夫や妻の貯金使い込みで離婚できる?別居時に気を付けたいこと&財産分与で損しない方法

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  • 「夫の貯金使い込みが発覚…離婚したい」
  • 「配偶者が貯金を使い込みした場合の離婚時の財産分与の方法は?」

家計用の貯金や子どもの学費のために貯めていた預金を夫や妻に使い込みされていたことが分かり、離婚を考えている方はいませんか?果たして貯金の使い込みで離婚が可能なのでしょうか。こちらでは貯金使い込みでの離婚の可否や離婚の方法について解説していきます。

配偶者の貯金の使い込みは、離婚時の財産分与に影響します。慰謝料請求が可能かという点も併せてお教えするので、離婚時の参考にしてください。離婚を後悔しないためには、離婚時に受け取ることができるお金をしっかりと確保できるようにしましょう。

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目次

貯金の使い込みで離婚できる?

夫や妻が貯金を使い込んでいることが発覚…そこには借金やギャンブル、衝動買いやゲームへの課金などの問題行動が隠れている場合が少なくありません。果たして貯金の使い込みが理由で離婚できるのでしょうか。

相手が合意すれば離婚は可能

離婚の方法には主に、協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3つの方法があります。このうち協議離婚は、双方の合意が得られれば離婚届を提出するだけで離婚が成立します。話し合いでまとまらないときには、調停離婚に進みます。

調停離婚でも基本的に双方の合意が得られなければ、離婚はできません。逆に言うと、協議離婚や調停離婚では、両者の合意さえ得られれば離婚できます。

裁判離婚では法定離婚事由が必要

離婚調停が不調に終わると離婚裁判に進む場合がありますが、離婚裁判を申し立てるためには民法第770条に規定されている「法定離婚事由」が必要です。

(裁判上の離婚)

第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

引用:民法|e-GOV法令検索

原則として「貯金の使い込み」だけでは、法定離婚事由にはなりません。しかし次のようなケースでは、法定離婚事由の5番目、その他婚姻を継続しがたい重大な事由に該当する可能性があります。

  • 貯金を使い込んだだけでなく多額の借金までするようになった
  • 浪費やギャンブルがやめられず、指摘すると暴力をふるう
  • 貯金の使い込みや借金が深刻で、家計に影響を及ぼしている

単に貯金の使い込みだけでは離婚が認められないものの、家計にダメージを与えるような行為や、夫婦関係に重大な影響を及ぼすような行為は、婚姻を継続しがたい重大な事由とみなされて離婚裁判を起こすことが可能です。この場合には、相手が離婚を拒否していても裁判所が離婚を認めれば最終的に離婚できます。

ギャンブル依存症の相手と離婚する場合の注意点は、こちらの記事を参考にしましょう。

「ギャンブル依存症の相手と離婚すべき?慰謝料や養育費を獲得する方法&注意点とは」

使い込みは違法行為とはならない

貯金という(人の)財産を使い込む行為は、窃盗などの違法行為に当たらないの?と思う人もいるでしょう。しかし日本の法律では、家庭内の問題は家庭内で解決すべきという考えが強く、親族間の窃盗は「親族相盗例」として、高い確率で窃盗罪などの罪を免除されます。

夫婦間も同様で、貯金の使い込みだけで逮捕されるというケースは、まずないと考えましょう。

使い込みで離婚するには立証が重要

相手の貯金使い込みで離婚するには、使い込みの理由や使い込んだ額などを明らかにする必要があるでしょう。使い込みの理由が浪費だった場合でも、離婚原因になるかどうかは次のような背景によって変わってきます。

  • 浪費の資金源は何か
  • 夫婦の収入に占める浪費の割合
  • 浪費によって家計が圧迫されたことが離婚原因か

浪費の資金源が配偶者の結婚前に貯金だったり、相続した財産だった場合は浪費(共有財産の使い込み)とは認められません。また夫が高収入の専業主婦が、夫の収入の一部を趣味に使っていたとしても、家計を圧迫しているとはいえない場合に浪費とは認められないでしょう。

そして浪費を客観的に証明するには、次のような証拠が必要です。

  • 高額商品購入の領収書
  • クレジットカードやローンの契約書
  • 浪費に関して注意したやり取りが分かる会話の録音・メッセージのやり取り

高額な買い物1回だけでは浪費癖があるとまでは判断できないので、継続して浪費している証拠が必要です。浪費による離婚においては、複数の証拠をつなぎ合わせてでも度重なる浪費によって夫婦の信頼関係が失われ、婚姻生活が破たんしたといえるかがポイントです。

離婚したいけどお金がない…とお悩みの方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚したいけどお金がない方必見!我慢せず離婚できる方法と対策を紹介します」

使い込みとは認められない出費

無断で貯金を使っていても、次のような場合には使い込みとは断定できません。生活に必要な費用として認められる可能性が高いからです。

  • 生活必需品(食費・日用品・家電など)を購入するため
  • 医療費がかさんだため
  • 子どもの学費や塾の月謝
  • 家族のレジャー費用
  • 子どもの部活道具や遠征費用
  • その他生活に必要な費用

仮に妻が専業主婦だったとしても、夫にいちいち「今日は子どもの塾の月謝を支払います」などの許可を得ていない家庭がほとんどでしょう。夫が後でこのような費用を「これは使い込みではないか」といっても説得力はありません。このような理由から日常生活で使う費用は使い込みとはみなされません。

借金があるケースも少なくない

貯金の使い込みをする人は、共有財産の使い込みにとどまらず消費者金融のカードローンやキャッシングなどの借金を作ってしまうケースも少なくありません。家計のプラスがゼロになるだけでなく、マイナスになる恐れがあるということです。

借金に関しては、離婚時の財産分与の対象となる借金とならない借金があります。場合によってはその借金の返済を負担しなければならなくなるので注意しましょう。

別居後の貯金使い込みについて

離婚前提の別居をしている夫婦では、別居後の使い込みが発覚するケースがあります。

別居後の使い込みでよくあるケース

別居後の使い込みでよくあるのは、次のようなケースです。

不動産を売却される マンションや家が相手の名義になっている場合、別居後に相手が勝手に売却する
生命保険を解約される 解約返戻金のある生命保険を勝手に解約して、使い込んでしまう
退職金を使い込まれる 別居前や別居後に入金された退職金を、別居中に使い込まれる

別居後の使い込みは返還可能

原則として別居後の使い込みは、相手に返還を求めることが可能です。というのも別居時点の財産は「あるもの」として財産分与を行うため。決して、「使ったもの勝ち」にはならないので安心してください。この問題は財産分与の基準時に係るので、以下で詳しく解説していきます。

別居後の使い込みを防ぐ方法

別居後の使い込みに関しては返還を求めることができるにしろ、相手に財産がない限りは分割払いなどの方法を取らなければなりません。より確実に財産分与を行うには、相手に使い込みをさせないことが最良の方法。

別居後の使い込みを防ぐに法的な方法として「仮差押」が有効です。仮差押とは、財産を仮に差し押さえて凍結させる手続き。預金を仮差押すると、相手は勝手に入出金ができなくなります。また不動産を仮差押した場合は売却や抵当権設定ができなくなります。

保険や株式なども仮差押の対象ですが、仮差押を行うには法的な手続きが必要です。別居時に相手から使い込みをされそうなときには、弁護士に相談して仮差押の手続きを依頼するようにしましょう。

離婚時の財産分与について

離婚時には、夫婦で財産分与を行います。財産分与とは結婚期間中に夫婦で協力して築いた「共有財産」を分け合うこと。収入にかかわらずすべての共有財産は1/2ずつ分け合うのが原則ですが、次のような場合には状況に応じて財産分与の割合が変わる場合があります。

  • 片方が平均をはるかに上回る報酬を得ている場合
  • 双方の合意がある場合
  • 特異な能力や才能によって形成された財産の場合

財産分与の基準時

財産分与の対象となる財産の基準時は、別居していない場合は離婚時、別居している場合には別居を始めた時点となります。ここでいう別居は単身赴任や長期の出張という理由は該当せず、客観的に婚姻生活を解消したといえるものでなければなりません。

別居後に増えた財産に関しては財産分与の対象とならないので、相手が使い込んでも財産分与には影響しません。

分与の対象になるのは共有財産

上で少し触れましたが、財産分与の対象となるのは「共有財産」のみです。共有財産は婚姻していたすべての機関において、夫婦の協力によって維持形成された財産のことをいいます。車や住宅などは夫単独の名義にする場合も多いですが、財産分与では夫婦どちらの名義となっているかは関係ありません。

また妻が専業主婦であったり、夫婦間で収入格差がある場合でも、分与の割合は基本的に1/2。財産を築く過程では、夫婦の貢献度は等しいと考えられているからです。

離婚時に貯金を隠すことはできるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚時に貯金を隠すことは可能?財産分与の基礎知識と不利にならない方法」

共有財産の使い込みは分与時に調整

共有財産の使い込みは、財産分与で調整します。分与前の共有財産は、夫婦2人のものであり、勝手に処分したり使い込んだりしてはならないため。共有財産の使い込みがあった場合には、単純に財産を半分にするのではなく、使い込み分を考慮して相手の取り分を減らす形で分与します。

そのためには、使い込まれた金額(時価)を明らかにし、使い込みが不必要な支出だったことを証明する必要が。相手が「浪費ではなく生活費」などと主張してくる恐れもあり、条件面で揉めるとなかなか話し合いが進まないことも考えられます。

借金も財産分与の対象になる

財産分与で分け合うのは、不動産や預貯金などのプラスの財産だけではありません。借金などのマイナスの財産も夫婦で公平に負担すべきというのが原則。ただし分与の対象となる借金は、婚姻生活を継続するために作ったマイナスの財産というのがポイントです。具体的には次のようなものが財産分与の対象となります。

  • 家族が住む家の住宅ローン
  • 家族が使用する車のローン
  • 子どもの教育費のための学資ローン
  • 生活費をねん出するために利用したローンやキャッシング
  • 子どもの教育費

片方の趣味やギャンブルのための借金は分与の対象となりませんが、生活必需品の購入や医療費、教育費やレジャー費のための借金は財産分与の対象です。民法第761条でも、日常の家事(生活)について法律行為(借金の契約)をしたときは、もう一方も連帯して責任を負うとして次のように規定しています。

(日常の家事に関する債務の連帯責任)

第七百六十一条 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

引用:民法|e-GOV法令検索

保証人になっていれば返済義務が生じる

借金の理由が婚姻生活を継続するためでなくても、配偶者が借金をするときに保証人になっている場合には、借金の支払い義務が生じます。保証人になってしまったら、たとえ離婚をした後でも支払い義務はなくなりません。もし配偶者に保証人になって欲しいと頼まれた場合でも、何に使うお金なのかや本当に借りる必要があるかまできちんと確かめておきましょう。

特有財産は財産分与の対象外

共有財産ではなく個人の「特有財産」は、離婚時の財産分与の対象外となります(民法第762条)。

(夫婦間における財産の帰属)

第七百六十二条 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。

引用:民法|e-GOV法令検索

特有財産に該当するのは、次のような財産です。

  • 結婚前に得た財産
  • 実親からの贈与・相続財産
  • 配偶者からプレゼントされた宝飾品など

妻が相続した家の修繕費を夫が支払ったなど、特有財産の維持のために寄与していた場合には、その割合に応じた財産分与を求められる可能性があります。

特有財産の使い込みは返還請求が可能

特有財産は財産分与の対象とならないため、使い込みが発覚した場合は返還請求をすべきでしょう。いくら夫婦であっても、特有財産を使う法律上の権限がないとみなされるからです。特有財産の使い込みが発覚したら、離婚時に忘れずに返還してもらうように請求してください。

返還請求を可能にするためのポイント

貯金の使い込みをしている配偶者に返還を求めても、相手に資産がないと現実的には不可能です。このような場合は、次のような方法で回収可能性を高められます。

分割返済 月額5万円×10回などの長期の分割返済を検討

合意した内容は、離婚協議書にまとめる

融資を受けてもらう 相手に次のようなところから借入してもらい、離婚時に一括で支払わせる

  • 銀行など金融機関から
  • 職場から
  • 親族や知人から

相手の方が離婚を希望している場合、離婚問題をスムーズ解決するのと引き換えに、上記のような分割返済や借入を要請するのがポイントです。

慰謝料的財産分与という考え方

相手が有責配偶者の場合には、慰謝料分を財産分与の金額にプラスするという方法(慰謝料的財産分与)があります。有責配偶者とは、離婚の原因について主な責任があるとみなされる配偶者のこと。例えば相手の不倫やDV、浪費や借金により離婚に至った場合は、相手が有責配偶者となります。

慰謝料的財産分与をする場合は、慰謝料の金額がいくらになるか計算する必要があります。離婚慰謝料の裁判上の相場は100万~300万円ですが、さまざまな要素によって変動します。具体的な慰謝料の金額について知りたい方は、離婚問題に詳しい弁護士に相談しましょう。

離婚慰謝料は1000万円もらえるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚慰謝料で1000万もらえる?高額慰謝料を手にする方法と減額するコツとは」

財産分与で損しないためのポイント

貯金の使い込みがあった場合は特に、財産分与で損しないためのポイントが重要になります。

隠し財産の調査

財産分与で損しないためには、使い込みの有無にかかわらず財産調査を行ってください。使ったと見せかけて別の場所に隠している可能性があるからです。そうでなくても自分名義の共有財産を隠し持っている場合も。相手が財産を隠したりしていると、分与対象の財産が減ってしまい、損をする可能性が。

離婚前に別居を考えている方は、別居前に隠し財産の調査をすることをおすすめします。別居してからだと他に預金口座を持っていないかや、隠れて車や不動産を購入していないか等の調査が難しくなるため。場合によっては弁護士などの専門家の手を借りながら、財産調査は念入りに行いましょう。

退職金を財産分与する場合の計算方法や請求方法は、こちらの記事を参考にしてください。

「退職金も離婚時の財産分与になる!金額計算から請求方法まで解説します」

財産の保全も検討

使い込みを未然に防ぐには、財産の保全も検討に入れましょう。財産の保全方法には、上で紹介した仮差押の他にも次のような方法があります。

  • 弁護士名で警告書を出してみる
  • 裁判所に保全処分を申し立てる

離婚裁判にまで発展して、裁判で財産分与を命じる判決が出されたとしても、財産を回収できなければ何の意味もありません。このような状況に陥らないためには、少しでも早く財産保全を行うということが重要です。

合意内容は公正証書にする

財産分与について合意した内容は、公正証書にするのがベスト。公正証書とは個人の依頼に基づき公証役場で作成する公文書のこと。公正証書は私文書よりも高い証拠力があるため、いざというときのトラブル回避に役立ちます。

また公正証書は「債権名義」でもあります。債権名義とは裁判所による強制執行を行うときに必要になる文書のこと。分割払いの内容などを公正証書にしておくと、相手が途中で支払わなくなったときに裁判手続きを経なくても強制執行が可能です。

期限の利益喪失約款を付ける

合意書には、単に「いつまで」「いくら」支払うだけでなく、支払方法や懈怠(けたい)約款(支払いを怠った場合のことをあらかじめ決める条項)を入れるといいでしょう。

懈怠約款として一般的なのは、「期限の利益喪失約款」です。期限の利益喪失約款とは、相手が一定期間(金額)以上分割払いを滞納したら分割払いができなくなるという取り決め。相手が期限の利益を喪失すると、その段階での残金を一括払いしなければなりません。

遅延損害金を設定する

懈怠約款に遅延損害金を設定する方法もいいでしょう。遅延損害金とは、借金などの返済や分割払いを遅延したときに追加で支払わなければならない損害賠償金のようなもの。年利(%)で計算され、何も定めがないときの利率は年利3%ですが、法定利率の上限である年利14.6%に設定することも可能です。

財産分与の請求権には時効がある

財産分与の請求権には時効(期限)があり、離婚成立後2年を経過すると財産分与を請求できません。離婚成立までに決めておくのがベストですが、離婚までに交渉がまとまらないときでも、離婚後2年を超える前に請求するようにしましょう。

使い込みによる離婚で慰謝料請求は可能か

配偶者の使い込みによって離婚となった場合、慰謝料請求することは可能なのでしょうか。

請求できる可能性

離婚慰謝料は、相手に不貞行為など民法上の不法行為があったときに請求します。貯金の使い込みは、それ自体でただちに不法行為とみなされる訳ではないものの、使い込みの理由や頻度、使い込みが原因で夫婦関係が破たんした場合などは相手に離婚原因があるとして慰謝料を請求できる場合があります。

慰謝料の金額は使い込みの金額や婚姻生活への影響、婚姻期間の長さによって変わります。使い込み以外に不貞行為やDVなどがある場合には、その悪質度なども金額に影響します。

協議離婚の慰謝料相場については、こちらの記事を参考にしてください。

「協議離婚の慰謝料相場が知りたい!増額・減額できる秘訣や慰謝料の決め方を解説」

請求できないケース

一方で使い込みの金額が少額であり、生活にほとんど影響が出ないときなどには慰謝料請求は難しいでしょう。また浪費を示す客観的な証拠がない場合も、慰謝料請求は難しいと考えます。

実際に慰謝料が取れるかは別問題

貯金の使い込みで慰謝料請求は可能なものの、実質的に請求した通りの金額が支払われるかどうかは別問題です。配偶者の貯金を使い込みするような相手には財産はほぼないと思うのが当然で、そればかりか借金している可能性も。

慰謝料請求にかかる手間や時間を考えると、費用倒れになる恐れが高いでしょう。また使い込みの金額や頻度によっては慰謝料請求が認められない場合があります。そのような状況で相手が使い込んだ金額を少しでも回収するには、慰謝料請求するよりも財産分与に使い込まれた分を反映させる方が現実的でしょう。

配偶者の使い込みで離婚・慰謝料請求するときには弁護士に相談

夫や妻の使い込みで離婚・慰謝料請求をお考えの方は、弁護士に相談することをおすすめします。また離婚時の財産分与でも、弁護士があなたを次のような方法でサポートしてくれるでしょう。

使い込みの立証をサポートしてもらえる

離婚時に弁護士に依頼すると、配偶者の使い込みの立証についてサポートが受けられます。このような場合に慰謝料請求や財産分与に備えるためには、様々な証拠を集めなければなりません。弁護士に相談することで、証拠になりえるものについてのアドバイスや証拠の取り方のサポートを受けられます。

財産の調査を依頼できる

弁護士に依頼すると、相手の財産調査が容易になります。いくら配偶者でも、自分でできる財産調査には限界があります。銀行や保険会社、証券会社などを調査しようと思っても、基本は契約者本人でなければ取引内容を開示しません。

そのようなときは弁護士に依頼して「弁護士法23条照会」という手続きを取ってもらいましょう。弁護士法23条照会とは、弁護士がその職権により様々な事柄を調査できる手続きのこと。照会された機関や人には回答義務があるので、回答を得られる可能性は高いといえます。

財産を適切に評価できる

弁護士に依頼すると、財産を適正に評価できるのもメリット。財産分与では、財産の評価がとても重要です。上で説明した通り、財産分与の基準時は離婚した時点か別居時です。財産の種類によって、評価額の算出方法が変わります。

財産の種類 評価額の算出方法
預貯金 離婚(別居)時点での預金残高
生命保険 離婚(別居)日における解約返戻金相当額
不動産 離婚(別居)時点での時価総額
株式 離婚(別居)日もしくは直近の証券取引営業日における終値
退職金 離婚(別居)時点での退職金見込み額

このような財産の評価を、自分で適切に行うのは困難です。財産の評価方法で迷ったときには、弁護士にご相談ください。

財産分与を依頼する弁護士費用については、こちらの記事を参考にしてください。

「財産分与に関する弁護士費用|内訳別相場や変動する要素、安くする秘訣を解説」

離婚条件の提示や公正証書作成を任せられる

離婚時に弁護士に依頼すると、こちらに有利になるように離婚条件を相手方に提示してくれたり、相手との交渉を任せられます。また協議離婚時には離婚協議書の作成が推奨されますが、離婚協議書を公正証書で作成する場合も弁護士に依頼できるでしょう。

相手との直接交渉や法的な手続きである公正証書作成は、法律の知識や交渉スキルがない人にとってはとても難しいもの。相手との話し合いや離婚手続きをする時間がない人にとっても、弁護士は強い助けになってくれるでしょう。

調停や裁判の負担が軽減できる

離婚協議がまとまらず調停や裁判に進んだ場合でも、弁護士がいると心強い代理人としてあなたの助けになるでしょう。裁判所に提出する証拠の集め方や裁判所へ提出する書面の作成はもちろん、調停員への対策や合意可能な離婚条件の提示などを任せられます。

離婚時に揉めやすい婚姻日分担請求や財産分与、子どもの親権に関する調停・裁判も任せられます。調停や裁判では、法的知識が不可欠です。自分に不利な条件で離婚しないよう、調停や裁判になったときには弁護士に依頼することをとくにおすすめします。

離婚時の弁護士費用について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚時の弁護士費用を徹底解剖!費用をおさえるコツや注意点を紹介」

まとめ

夫や妻の貯金使い込みで離婚したいと思ったとき、双方が合意すれば協議離婚が成立します。調停や裁判では、使い込みで夫婦関係が破たんしたという証拠が必要。生活費の使い込みでは離婚が認められず、生活に影響を及ぼすほどの浪費や借金がなければ厳しいでしょう。

離婚の財産分与の基準時は、離婚時もしくは別居を開始した時点です。貯金使い込みで離婚を考えている相手との別居時には、必ず夫婦共有財産の調査や財産保全のための対策を取りましょう。財産分与で損しないためには、特有財産の使い込みに関する分割払いや懈怠約款を入れた公正証書の作成がおすすめです。

貯金の使い込みで離婚を希望する場合は、弁護士に相談するのがベストです。相手との交渉や財産分与で有利になる方法、調停や裁判の手続きなどをすべて任せられます。まずは離婚問題に強い弁護士を見つけ、無料相談を利用して信頼して任せられる弁護士に依頼しましょう。

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