アスペルガー夫と離婚したい人必見!発達障害の夫と離婚する方法&離婚条件で注意すべきポイントとは?

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  • 「夫がアスペルガーかも…発達障害は離婚原因になる?」
  • 「アスペルガー夫と離婚するときの注意点が知りたい」

最新の統計によると、日本における発達障害の割合は10%程度。中でもアスペルガー症候群を含む自閉スペクトラム障害は、人口の3~5%程度という報告があります。男性の方が数倍程度多いため、夫がもしかしたらアスペルガー症候群なのでは?という方がいるかもしれません。

そこでこちらの記事では、アスペルガー症候群の特徴やアスペルガー夫と離婚を考えるようになる経緯について紹介していきます。アスペルガー症候群にはコミュニケーションが取りにくいという特性があるがゆえに、離婚の協議がスムーズに進まないことも。時には専門家の力を借りながら、アスペルガー夫と離婚する方法を身に付けましょう。

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アスペルガー症候群を含む発達障害について

アスペルガー症候群は発達障害の一種です。では発達障害とはどのような障害で、アスペルガー症候群にはどのような特徴があるのでしょうか。

発達障害とは

発達障害とは脳機能の発達に関する障害のことで、次のような種類があります。

  • 自閉症スペクトラム症(アスペルガー症候群・ASD)
  • ADHD(注意欠陥多動性障害)
  • LD(学習障害)

この中でもよく耳にするのがアスペルガー症候群とADHDです。このほかに吃音症やトゥレット症候群も発達障害に含まれます。日本で一番多い発達障害とされているのがADHDで、次いで自閉症スペクトラムと言われています。

文科省の調査によると、普通級に在籍する小中学生の8.8%に発達障害の可能性があるということが分かっています。35人学級であれば、3人ほどの割合です。

参考:小中学生の8.8%に発達障害の可能性 文科省調査|日本経済新聞

アスペルガー症候群とは

アスペルガー症候群は発達障害の一種、「自閉症スペクトラム症」に分類される障害。かつては「アスペルガー」や「アスペ」などという名称で呼ばれていました。現在はアメリカ精神医学会発刊の機関誌において、「自閉症スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)」という表記で統一されています。

アスペルガー症候群は知的障害を伴わない発達障害で、コミュニケーションや社会性、共感性や想像力などの部分で独特の特徴を持っています。これらの特性は脳の機能障害にかかわるものなので、完治は難しいとされています。生活療法や薬物療法などで症状を緩和できますが、本人に困り感がないと治療に積極的になれず、知能に遅れがないので周囲も障害を見逃しがちに。

適切な療育や治療を受けずに成長すると、いわゆる「大人の発達障害」として認識されるようになります。そしてアスペルガー症候群の特性は、夫婦関係において大きな影響を及ぼします。

※こちらの記事では、便宜上アスペルガー(症候群)で統一しています。

アスペルガー症候群の特徴

アスペルガー症候群には、大きく分けて次の5つの特徴があるとされています。

社会性の障害
  • 対人関係の形成が難しい
  • 相手の言葉をそのまま鵜呑みにして、人の発言を勘違いしやすい
  • あいまいなコミュニケーションが苦手
  • その場にふさわしい話し方ができない
  • 複数の人がいる場面では、誰に対して発言しているか分からない
コミュニケーションの障害
  • 場の空気を読んだり言語外のコミュニケーションを理解するのが困難
  • 質問されたことに対して的外れな回答をする
  • 自分が話したい話題になると相手の反応を見ることなく話し続ける
想像力の障害
  • 物事の流れを把握したり、状況に応じて柔軟に対応するのが困難
  • 他人の気持ち想像するのが難しいため、その後の会話や行動に食い違いが出る
  • 過去の経験を他に応用するのが苦手
  • 未経験のことをイメージするのが苦手
  • あいまいな表現が苦手
こだわりの強さ
  • 一度興味を持つと過剰なほど集中し、他のことが目に入らなくなる
  • 自分の興味があることをずっとしゃべり続けてしまう
  • 規則性や法則性があるものを好み、その規則や法則が崩れることを極端に嫌う
  • ルールや予定が変更になると混乱しやすい
感覚の偏り
  • 視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚という語感のいずれかが非常に過敏(感覚過敏)
  • 食べ物に偏食がある、においのある物が食べられないなど

アスペルガーの原因

アスペルガー症候群の原因は今のところはっきりとは分かっていませんが、先天的な脳機能障害が関与していると考えられています。遺伝的な要素が影響している可能性が高いとされ、二卵性双生児よりも一卵性双生児の方が発症率が高いと分かっています。

同時に環境的要素が複雑に絡み合って発症するケースもあり、これが複雑に影響しあってアスペルガー症候群として発現すると考えられています。

ADHDとの違い

発達障害には主にアスペルガー症候群とADHDがあるのですが、それぞれにどのような違いがあるのでしょうか。前提としてADHDには、不注意や多動性、衝動性といった特徴があります。一昔前までは「落ち着きがない子ども」で済まされていたほど、本人も周囲も障害だと気づかないケースが多いです。

同じ発達障害ということでアスペルガー症候群とADHDは混同されがちなのですが、次のような違いがあります。

発達障害の種類 アスペルガー症候群 ADHD
集中力 優れている 散漫
運動神経 問題ありの場合が多い 問題なし
物事に対するこだわり 強い なし

実際の診断では、両者を見分けるのは難しいとされています。というのも両者とも「ものの言い方がストレート過ぎて相手をイラつかせる・傷つける」「空気が読めない」といった特徴が目立ってしまうため。さらにアスペルガー症候群とADHDを併発している人も少なくないので、両方の特性を持っている場合があります。

知的発達の遅れがないため見逃されやすい

前項で少し触れましたが、アスペルガー症候群には言語や知的な遅れがないため、発達障害とは気が付かれにくい傾向があります。アイコンタクトが取れない、気持ちの共有が難しいといったコミュニケーションの取りにくさを感じるものの、学力に問題がなく表面的な言語コミュニケーションには支障がないため、大人になるまで気が付かなかったという人も。

平成18年以降は子どもに対する発達検査が積極的に行われ、発達障害も早期に分かるようになっています。一方で発達検査がなかった子ども時代を過ごしていた場合は、社会に出てから仕事や人間関係でつまずきを感じて「自分は発達障害ではないか」と気づくケースが少なくありません。

男性により多く現れる

アスペルガー症候群の診断に関しては男女比率に大きな差があり、男性の方が女性の4倍ほど多いといわれています。診断基準が男性の特性に焦点を当てているためや、情緒的な表現の豊かさといった女性特有の特性によって隠れてしまうためといった理由があります。このため夫婦関係では、「アスペルガー夫に悩む妻」という構図になりがちです。

妻がカサンドラ症候群になって気が付くケースも

夫がアスペルガー症候群だと、妻がカサンドラ症候群という症状に悩まされるケースがあります。カサンドラ症候群は正式な病名でないものの、アスペルガー夫とのコミュニケーション不全や情緒的交流が乏しいことなどを理由として、抑うつ症状や不安障害、うつ病やPTSDなどの病気を発症する状態のこと。

心身の様々な不調から心療内科や精神科を受診して、上記のような精神疾患と診断され、その原因を探るうちに夫がアスペルガー症候群なのではないかと気が付くことが少なくありません。妻は最も身近な存在として夫に大きな影響をうけるため、カサンドラ症候群になりやすいという訳です。

「夫と一緒にいるとしんどい」「いつも疲れている感じがする」というときには1人で抱え込まず、周囲の人や専門の医療機関に相談するようにしましょう。

カサンドラ症候群を理由に離婚する方法については、こちらの記事を参考にしましょう。

「カサンドラ症候群で離婚するには?ASD配偶者との離婚を考える理由とスムーズに離婚するポイント」

アスペルガー夫の特徴と離婚を考える経緯

一緒に暮らす夫にアスペルガー症候群があると、次のような特徴として出やすいです。アスペルガー夫と離婚を考える経緯と共に、自分たち夫婦が当てはまるかどうかチェックしてみましょう。

アスペルガー夫かどうかのチェックリスト

夫がアスペルガー症候群かどうかは、次のようなチェックリストで調べられます。

  • 愛情表現が極端に少ない(特に人前)
  • 夫婦喧嘩になると黙り込む・その場から立ち去る
  • 病気など大変なときに看病してくれない・いたわってくれない
  • 「おはよう」「行ってきます」「ただいま」「ありがとう」「ごめんなさい」など最低限の挨拶ができない
  • 他人に礼儀知らずな態度を取る
  • 約束の時間を守らない
  • 1人の時間を好む

これらの項目に当てはまる数が多いほど、アスペルガー症候群の可能性が高いです。

アスペルガー夫の特徴

では具体的に、アスペルガー夫と一緒に暮らしているとどのようなことが起きがちなのでしょうか。

コミュニケーションが取りにくい

アスペルガー夫は社会性コミュニケーションに困難を抱えているため、表面的な会話はできるものの、言葉の裏にある感情や意図を読み取ることが苦手です。またその場にふさわしい話し方が出来なかったり、複数の人がいる場面だと誰が誰に対して発言しているか分からないことも。

そのため夫婦間だけでなく、会社や友人関係でもトラブルを抱えていることが少なくありません。結婚前は「シャイなのかな」「嘘のない誠実な人」というプラスな印象を持つ場合もありますが、結婚して生活を共にすると空気が読めない発言をする、一方的に言いたいことだけを話し始める、比喩表現や遠回しな表現が通じないといった特徴により、適切なコミュニケーションが取れなくなります。

夫といるのがストレスを感じる人が離婚できるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「夫といるのがストレス!夫源病を理由にした離婚は認められる?」

適切な感情表現が難しい

アスペルガー夫は自分の感情を適切に表現するのが難しいため、相手に無関心に思えてしまうことがあります。このような特徴によって、妻は夫からの愛情を感じられず、孤独を感じてしまう可能性が。家族に関する大切なことを相談しても「無表情で何を考えているか分からない」「生返事で一緒に考えてくれない」というケースが少なくありません。

家にいても自分の部屋にこもって出てこないという夫もいて、一緒に家庭を運営していきたいのに、なんだか自分一人だけで頑張っているような気がすると感じる妻も多くいます。

共感性が低い

アスペルガー夫は共感性が低いので、相手の立場に立って物事を考えることが苦手です。例えば妻の体調が悪かったとします。普通の夫なら妻を心配していたわってくれます。場合によっては家事を代わりにやってくれたり、食べられる物を買ってきてくれたりするかもしれません。

しかしアスペルガー夫は、妻に「体調が悪い」と言われてもとくに心配するそぶりもなく、平然とテレビを見たり趣味のことをやり続けたりします。そしてアフターケアもありません。一緒に買い物に出かけても、1人でさっさと先を歩いて行ってしまったり、重い買い物袋を持ってくれないということも。

興味の偏り

アスペルガー症候群によくみられる興味の偏りから、アスペルガー夫に次のような特徴がみられる場合があります。

  • 同じものばかりを好んで食べ続ける
  • きれい好きという訳でないのに物の整理や置き方、しまい方にマイルールがある
  • 興味を持ったことに対して寝食を忘れて没頭する
  • 興味のないことはお願いしてもやってくれない

とくにアスペルガー夫の場合、興味の幅が極端に狭く特定分野の深い知識にこだわりがちです。

生活ルーティンへのこだわり

生活ルーティンへのこだわりが強いアスペルガー夫もいます。起きる時間や食事をとる時間、就寝時間など決まった時間に決まったルーティンを守ることに固執する傾向が強いです。しかし生活を続けていると、何か想定外のことが起きて時間通りにルーティンをこなせないということもあるでしょう。

それこそ子どもが生まれたりすれば、大人の生活も一変するのは当然ですが、アスペルガー夫はこれを受け入れてくれません。夜泣きする子どもがいるのに「俺は寝るから泣き止ませてくれ」などと言われて、妻は腹が立つやら悲しいやらで何ともいえない気持ちになります。

生活ルーティンが崩れたり予定が変更になるとパニックを起こす場合もあるため、社会生活や対人関係にも大きな影響を及ぼします。

感覚の偏り

アスペルガー症候群の特徴に感覚過敏があるため、服の肌触りやにおいにこだわって、いつも同じ服を着たがったり、においのある物が食べられないといったケースがあります。他にもざわざわした場所にいることに苦痛を感じたり、子どもの声を過剰にうるさがったりすることも。

感覚過敏から他人に触れられることが苦手な人もいて、スキンシップを嫌がるといった特徴も。恋人同士や夫婦間でもよく見られるので、性行為を嫌ってセックスレスになる夫婦もいます。

知的レベルが高い一方で威圧的

アスペルガー症候群の人は、何か特定の分野に秀でていたり、知的レベルが高い人が少なくありません。その一方で相手に伝えるのが下手で共感性が低いといった特性も見られるため、相手が理解を示さないとイライラした態度をとったり、相手を言い負かそうと高圧的な態度に出ることが少なくありません。

経営者や外資系企業の社員、士業や医師など社会的に成功した立場で、高圧的で人の意見を聞かないという夫はアスペルガー症候群の可能性があります。

離婚を考えるようになる経緯

アスペルガー症候群の人は、大人になるまで発達障害と気づかれずに成長していくこともあります。社会に適応できる人の場合は、職場でのコミュニケーションに問題が出ません。付き合っているときには関係性がうまくいく場合が多いので、結婚して一緒に暮らすまで夫がアスペルガー症候群と分からない場合も。

では結婚して離婚を考えるまでには、どのような経緯をたどっていくのでしょうか。

夫と話がかみ合わない・スムーズに日常生活が送れない

アスペルガー夫と共に暮らすにつれて、スムーズに日常生活が送れない、コミュニケーションが取れないということが増えてきます。これは上で説明したアスペルガー夫ならではの特性から来るものですが、特性によって妻は疲弊し、自分だけが家庭を回しているのではという孤独感を感じるようになります。

またアスペルガー夫の特徴として、結婚すると妻は他人ではなく自分の延長線上のものだととらえるようになるという傾向があります。自分が思っていることは言わなくても妻も分かっているはず、自分が心地いいと妻も心地いいはずと思いがちです。また脳の特性によって、恋人から夫、そして父親になるという変化に対応できないことも。そのため、結婚前は分からない夫の特性に驚き、受け入れられずに疲弊してしまうという訳です。

夫の発達障害を疑う

アスペルガー症候群の特性を持った夫との生活に疲れた妻は、夫の発達障害を疑うようになります。また子どもに発達障害の疑いがあると指摘されたことから、同じ特性を持つ夫の障害に気が付くケースも。

とはいえ夫に「あなたはアスペルガー症候群だと思うんだけど」と直接的に言える妻はごくわずか。そのようなことをいうと「きっと夫は怒るだけで認めない」と思うためです。夫本人を病院に連れていって確定診断を得られる人は少なく、アスペルガー症候群のチェックリストに照らし合わせて、夫の特性を自己診断するにとどまります。

夫を理解し夫婦関係を修復しようとする

夫がアスペルガー症候群かもと思ったとき、ショックを受けるよりも安堵する妻の方が多いといわれます。というのも原因が分かれば解決方法や対処方法が見つかるかもしれないと思うため。また悪いのは夫ではなくてアスペルガー症候群という障害だという結論が出せるためです。

そうしてアスペルガー夫に関する書籍やネット記事からアスペルガー夫の対処法を学び、自分が努力したり工夫したりすることで、夫婦関係を良好に保てるように努力し始めます。具体的には次のような対処法があります。

  • 視覚的に分かりやすい環境を整える
  • 指示は短く具体的に
  • 注意をひいたうえで事前に伝える
  • できない行動は事前・事後のかかわりを工夫する
  • 自分の感情を具体的に説明する

夫に対する諦めが出る

いくら夫がアスペルガー症候群だということを理解し対処法を変えても、なかなか夫は変わってくれません。逆に頑張れば頑張る程、うまくいかなかったときのしんどさが増大します。例えば他人への共感性が低いという特徴で考えてみましょう。この場合妻は「言わなければ分からないからきちんと伝えよう」と伝え方を工夫します。

一方で夫は相談もなく突然会社を辞めてきたりします。「どうして前もって相談してくれないの?」と聞くと、「自分のことだから相談しなくてもいいと思った」「仕事を辞めるときは相談してって言われていない」という返事が返ってきます。

幾ら共感性が低いというアスペルガー症候群の特徴を理解していても、過去の経験や未経験の出来事から想像するのが難しいため、対処しきれない問題がたくさんでてしまうという訳です。

離婚を考えるようになる

夫の特性を知った当初は夫婦関係の改善に前向きでも、変わらない夫に心身共に疲弊する生活が続くと「どうせ夫は変わらない」という諦めの気持ちに行きつきます。夫婦関係の改善を諦めた先には、家庭内別居を選択するなど、なるべく夫との接触を避けて自分が傷つかない方法をとる人もいます。

しかしいくら避けていても、同じ家にいるストレスや生活のしにくさからは避けられません。心身の疲弊が限界に達すると、次第に夫婦関係を終わらせることを考え始めます。

アスペルガー夫との離婚を考えたときは?

アスペルガー夫との離婚を考えたときには、どのような手順を踏んでどのように離婚すればいいのでしょうか?

専門家のサポートを受ける

夫の発達障害やアスペルガー症候群による夫婦問題に直面したときには、すぐに離婚を選択するのではなく、専門家のサポートを受けることから始めてください。適切なサポートを受けることで、問題の本質を理解して適切な対処法が見つかる可能性があるためです。

またアスペルガー症候群だと思っていても、実は別の発達障害があり、対処法が異なるケースも少なくありません。とくにアスペルガー症候群のような発達障害を抱えている人は、うつ病などの二次障害に罹患することがあり、その治療をする必要があります。まずは専門家のサポートを受けながら、特性に配慮した関係性の構築を検討しましょう。

離婚を検討した方がいいケース

アスペルガー症候群や発達障害で離婚すべきかどうかは、非常に複雑で個人的な問題です。関係改善の努力をしたにもかかわらず、離婚を選択せざるを得ないという状況もあります。とくに次のような状況下では、離婚を検討した方がいいかもしれません。

  • DVやモラハラがある
  • 子どもの健全な成長や安全が脅かされる恐れがある
  • 浪費や無計画な支出によって家計が破綻する恐れがある
  • 長期にわたるカウンセリングや治療を行っても改善の見込みがない
  • 双方の価値観やライフスタイルに違いが大きく妥協点を見いだせない

とくに子どもの健全な育成に悪影響が及ぶようなときには、離婚を真剣に検討すべきでしょう。

アスペルガー夫と離婚する方法

アスペルガー夫とこれ以上やっていけないと分かったら、離婚する方向に舵を切りましょう。具体的には次のような方法で離婚へと向かってください。

離婚についての話し合いをする

まずは夫に離婚したいことを伝えてください。双方が離婚に合意できれば、離婚届を役所に提出すれば離婚が成立します。このような方法のことを協議離婚といいます。ただし相手にアスペルガー症候群の特性があると、突然妻から離婚を突き付けられたような気持になり離婚を受け入れてもらえません。

妻としては「今まで何度もこのままじゃやっていけないと伝えたのに」「夫婦関係が冷え切っていたことは分かっていたでしょう」と思っていたとしても、アスペルガー夫は自分が苦痛を感じない限り夫婦関係に無頓着だったりすることが珍しくありません。

またいくら説明しても離婚理由を理解してもらえず、離婚の話し合いになると自分の部屋にこもってしまったり「そんな話はしたくない」と怒ったり、何を言ってもだんまりで全く話が進まないということが少なくありません。

離婚条件を決める

離婚を決意すると同時に、離婚条件についても決める必要があります。離婚条件については夫がアスペルガーであってもそうでなくても大きな違いはありませんが、いくつかの注意事項があります。慰謝料や財産分与、養育費については別途決めることもできますが、離婚後に交渉することは難しいため、なるべく離婚前に決めるようにしましょう。

財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築いた共有財産を公平に分ける手続きです。通常は1/2ずつ分け合うのですが、障害特性による浪費行動や就労困難などが考慮され、分割比率が通常と異なる可能性があります。なるべく公平にしたい場合は、弁護士などの専門家の助けを借りることをおすすめします。

離婚時の財産分与で家を売りたくないという方は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚時の財産分与で家を売らない方法はある?ケース別の方法と注意点、スムーズに分与するポイントとは」

慰謝料

離婚時の慰謝料は、相手の不法行為によって離婚の原因を作った側が相手配偶者に支払う損害賠償金のこと。夫が発達障害やアスペルガー症候群という特性そのものは、不法なものでないため、これらを理由に慰謝料請求が認められることはありません。

しかし夫がアスペルガー症候群であることが間接的な理由となり、不貞行為やDV、モラハラなどの問題が生じたときには、その程度によって離婚慰謝料が発生する可能性があります。

慰謝料請求をしない方がいいケースについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「慰謝料請求しない方がいい? 控えた方がいい11のケースと【離婚理由別】取るべき対策とは」

親権

子どもの親権は、子どもの利益を最優先に考えて決定されます。とくに発達障害のある親の場合は、以下の点を考慮されて親権を決定します。

  • 子どもの養育能力
  • 子どもとの普段の関係
  • 障害の程度と日常生活への影響
  • サポート体制の有無

アスペルガー症候群があるからといって、それだけで親権が制限されることはありません。とはいえ障害の程度が重く、子育てに具体的な悪影響が生じている場合には、親権者として不利な事情の一つとなります。親権争いが生じたときには個別の具体的な状況を元にして判断していく必要があります。

親権争いで母親が負ける理由を知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「親権争いで母親が負ける理由とは?親権争いを勝ち取る6つの対策も解説」

養育費

子どもの親権を持たない方の親は、離婚後も子どもの養育費を支払う義務があります。養育費は子どもの教育や養育のために必要なお金で、金額は裁判所が使用する「養育費算定表」に基づいて計算されるのが一般的。

発達障害がある親の場合は、収入状況や就労能力の他、障害に関する医療費が考慮され、人によっては標準的な養育費の算定表とは異なる金額となり可能性があります。

養育費を途中で増額できるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「養育費、途中で増額できる?請求できる要件と手続き方法、増額請求を成功させるポイントとは」

面会交流

夫に発達障害があったとしても、面会交流は子どもの健全な育成にとって重要です。親との交流を通じて、離婚後も子どもは両親との絆を維持し、自己アイデンティティを形成していきます。

一方で発達障害やアスペルガー症候群のある親子がよりストレスの少ない状態で面会交流するためには、特別な配慮が必要となるケースも。急な予定変更は避け、事前に明確なルールを設定したうえで、時間や場所、交流内容について慎重に決めていきましょう。必要に応じて第三者の立ち合いを検討するのもおすすめです。

面会交流を拒否できるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「面会交流を拒否したい!子供に会わせないことの違法性と対処法を解説!」

離婚調停を申し立てる

夫婦の話し合いで離婚の合意が得られない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる必要があります。離婚裁判をする場合でも、必ずその前に離婚調停を行わなければなりません。離婚調停では裁判官や調停委員が夫婦の間に入り、双方の主張や希望を聞きながら、法的に妥当な合意を目指します。

なぜ離婚したいと思ったのかというところでは、夫のアスペルガー症候群の特性について丁寧に説明し、相手方や調停委員の理解を得るプロセスが大切です。具体的には次のような点に注意して、離婚調停の成立を目指しましょう。

  • 事前に主張したい点や譲れる条件を明確にする
  • 感情的にならず客観的な事実に基づいて説明する
  • 親の都合ではなく子どもの幸せを第一に考える
  • 裁判官や調停委員の意見を尊重する
  • 100%自分の希望が通るとは限らないと柔軟な姿勢を持つ

離婚調停が不成立になった後どうすればいいかは、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚調停が不成立…その後どうすれば?注意点と確実に離婚するためのポイントとは」

裁判離婚で離婚を目指す

調停でも離婚できないときには、最終的に離婚裁判で離婚を目指すことになります。離婚裁判では、客観的な証拠に基づいて、裁判所が離婚すべきかの判断を下します。いくら相手が離婚に反対していたとしても、離婚の判決を得れば強制的に離婚が可能です。

法定離婚原因が必要

一方で離婚裁判を提起するには、民法で定める次の「法定離婚事由」が必要になります。

1.配偶者に不貞な行為があったとき 配偶者以外の異性と性的関係を持ったとき
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき 働いているのに生活費を払わない、理由もなく無断で家を出ていった、不倫相手と生活するために家出したなど
3.配偶者の生死が三年以上明らかでないとき 3年以上行方不明で連絡が全く取れない、遭難して生死が分からないなど
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき 統合失調症や偏執病、認知症や失外套症候群などを発病し回復の見込みがないとき
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき DV、モラハラ、セックスレス、性的異常、過度の浪費や借金、親族との不和、長期の別居、犯罪による服役など

アスペルガーであるだけでは離婚理由にならない

上の表を見ると、夫の発達障害やアスペルガー症候群だけでは、法定離婚事由に該当しません。しかし発達障害に起因する言動や状況が、5番目の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」と認められる可能性があります。例えば、次のようなケースです。

  • 極端なコミュニケーション不全が原因で、修復不可能なほど夫婦関係が悪化している
  • 感情のコントロールが難しく、暴力や暴言が頻発している
  • 固執性が強く、結婚生活に著しい支障をきたしている
  • 経済観念の欠如や衝動性による浪費で、家計が破綻している

このような状況が離婚の正当な理由として認められるかは、個々のケースによって異なります。離婚裁判では婚姻期間や別居期間、障害の程度や子どもの有無、これまでの努力などを総合的に判断し、離婚すべきかを決定していきます。

離婚の仕方と手続き方法については、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚の仕方と手続き方法|後悔しないための離婚条件とを切り出す前にすべき離婚準備を徹底解説」

場合によっては別居を検討

民法で定められた理由がないと、離婚裁判を提起できません。それでもアスペルガー夫との離婚を希望する場合は、長期間の別居をすることで「その他婚姻を継続し難い重大な事由がある」と認めてもらう必要があります。具体的な別居期間は個々のケースで異なるものの、通常3年~5年以上の別居期間で、認められやすくなります。

別居期間1年で離婚が可能か知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「別居期間1年で離婚できる?長引く・認められないケースと早く離婚するポイント」

弁護士に相談する

アスペルガー夫との離婚を考えたときには、離婚問題に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。障害由来によりコミュニケーションがうまく取れない可能性が高く、離婚交渉が難航する恐れがあるためです。またこれまでの夫の言動が離婚理由になるかといった点や、夫婦関係の破綻を証明する証拠などについてのアドバイスを受けられます。

アスペルガー夫とのコミュニケーションがうまく取れないと、顔を合わせるだけでもストレスを感じる人もいます。そのようなときにも弁護士に依頼すれば、代理人として相手と交渉してくれます。もちろん離婚調停や離婚裁判の手続きも代わりに行ってもらえます。

離婚時の弁護士費用について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚時の弁護士費用を徹底解剖!費用をおさえるコツや注意点を紹介」

まとめ

アスペルガー症候群とは知的障害を伴わない発達障害の一種で、コミュニケーションや社会性、想像力や共感性に独特の特徴があります。夫がアスペルガー症候群だと、日常のコミュニケーションが難しく共感してくれない点で妻が孤独を感じやすくなります。

夫がアスペルガー症候群かも?と思った段階ではまだ関係を修復できると考えがちですが、いくら自分が適切な対応をしても夫は今まで通り。次第に離婚を考えるようになります。夫婦間で話し合いがまとまれば離婚が可能ですが、アスペルガー夫との離婚は一筋縄ではいきません。

特性由来の不法行為がある場合には離婚裁判で離婚が認められる可能性があるものの、そうでない場合には長期の別居を計画的に行うなどの対処が必要です。アスペルガー夫との離婚を考えたときには、法律の専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。まずは無料相談を利用して、アスペルガー夫との離婚が可能なのかについて聞いてみましょう。

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