面会交流の第三者機関とは|組織の種類と支援内容・費用相場を知り利用するかどうか検討しよう

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  • 「面会交流で利用する第三者機関って何?」
  • 「第三者機関の支援内容やかかる費用が知りたい」

離婚時に面会交流について取決めする場合、第三者機関の利用の要否やどのようなタイプの支援を利用するかについても検討することが少なくありません。では第三者機関とは一体どのような組織で、どのような支援が受けられるのでしょうか。こちらの記事では、面会交流の第三者機関について詳しく解説していきます。

さらに支援内容ごとに第三者機関を利用した方がいいケースや、問題になりやすいケースについても紹介。第三者機関を利用するには条件や期間が決められています。適切な第三者機関を選んだ上で、スムーズかつ問題なく面会交流を実施できるようにしていきましょう。

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目次

面会交流の第三者機関とは

まずは離婚後の面会交流についてや第三者機関の役割、組織の違いなどの基本情報について解説していきます。

面会交流とは

面会交流とは親子交流ともいい、離婚後に一緒に暮らしていない側の親(非監護親)と未成年の子どもが交流する権利です。面会交流は非監護親のためという側面がある一方で、子どものためでもあります。子どもの健やかな成長のためには、同居する監護親からの愛情だけでなく、別居している非監護親からの愛情も必要だからです。

離婚時には子どもの親権を決める必要がありますが、同じタイミングで面会交流についても決めるのが一般的。当事者間だけで話し合いがまとまらないときには、調停や審判など裁判所の手続きを利用する方法があります。

2026年5月までに施行される予定の共同親権については、こちらの記事を参考にしてください。

「共同親権のメリット・デメリット|民法改正による変更点と親権の決め方を徹底解説」

離婚時の取り決め項目

離婚時には、面会交流について次のような内容を具体的に協議します。

  • 面会交流の頻度
  • 子どもの受け渡し方法
  • 連絡(日程調整)方法
  • 面会交流の場所
  • 面会交流の時間
  • 面会交流の方法(直接・オンラインなど)
  • 立会人(祖父母など)の可否
  • 宿泊や旅行を伴う面会交流の可否およびその方法
  • 学校行事や発表会への参加の可否およびその方法
  • 交通費など面会交流にかかる費用の負担割合
  • 子どもの成長に応じて面会交流の内容を再協議するかどうか
  • 生活環境(引っ越しや再婚)が変化した場合に面会交流の内容を再協議するかどうか
  • 第三者機関の利用の要否および利用する支援のタイプ

面会交流の内容だけでなく、再協議をするかどうかや第三者機関を利用するかどうかについても取り決めしておくことをおすすめします。

当事者に代わって支援してくれる組織

面会交流の第三者機関とは、当事者である父母に代わって面会交流を支援してくれる組織です。当事者だけで面会交流の実施が難しいときには、両者の間に入って面会交流がスムーズに実施できるように支援しています。なお面会交流の第三者機関は「親子交流支援団体」や「面会交流支援団体」などと表現されることがあります。

面会交流の第三者機関には、次のような種類があります。

自治体による支援

自治体の中には、直接面会交流を支援してくれるところがあります。お住いの自治体が面会交流支援をしている場合には、これらの支援を利用するという方法があります。面会交流を支援している自治体の一部は、以下の通りです。

(例)兵庫県明石市

こちらでは、兵庫県明石市の面会交流支援事業について紹介していきます。

支援の内容 交流日程の連絡調整サポート

交流当日の子どもの引き合わせ

費用 無料
対象者 明石市在住で子どもが中学3年生までの親子

父母間で面会交流の内容の取り決めをしている

申し込み方法 電話・FAX・メール等

お住いの自治体によって、支援の内容や対象者、条件や申し込み方法などが異なります。面会交流を直接支援しているかどうかも併せて、自治体窓口に問い合わせてみましょう。

自治体が団体に委託しているケース

自治体が面会交流の支援機関を立ち上げていたり、専門機関に委託しているケースもあります。例えば東京都ではひとり親家庭支援センター内で面会交流支援事業を実施。公的な機関なので、基本は無料で利用できます。

例)東京都ひとり親家庭支援センターはあと

東京都ひとり親家庭支援センターはあとが行っている、面会交流支援事業はこちらです。

支援の内容 親子交流の付き添い

子の受け渡し

交流日時・場所・方法などの連絡調整

費用 無料
対象者 中学生までの子どもがいること

子どもと同居している親については、都内に住所があること

子の連れ去り、配偶者暴力などの恐れがないこと

過去に本事業を利用していないこと

期間・時間 支援開始月から1年間(最大12回)

交流は月一回まで、時間は1回一時間程度

申し込み方法 申込書を当該機関に提出後、事前相談により決定

住まいや子どもの年齢の他に、子の連れ去りや配偶者暴力などがないことが条件です。また期間や交流時間に制限があるので、利用を希望するときには事前に確認しましょう。

民間による支援

面会交流の支援事業は、自治体などの他に民間の組織やNPO法人なども行っています。完全な営利法人でないところがほとんどですが、民間の機関を利用するとなれば費用が発生します。一方で自治体が運営する支援団体よりは支援内容が充実しているのが特徴。

費用は掛かってもきめ細かい面会交流を希望している方は、民間の支援機関を利用するといいでしょう。代表的な支援団体には、次のような種類があります。

  • 一般社団法人アイエムアイ(北海道)
  • 公益社団法人家庭問題情報センター宇都宮ファミリー相談室(栃木県)
  • 一般社団法人円満婚ソサエティ(群馬県)
  • 一般社団法人おやこリンクサービス(千葉県)
  • NPOまめの木(東京都)
  • 株式会社Bonheur・BonheurShip(神奈川県)
  • 公益社団法人家庭問題情報センター名古屋ファミリー相談室(愛知県)
  • 特定非営利活動法人京都面会交流ひろば(京都府)
  • 特定非営利活動法人こどもステーション(広島県)
  • 面会交流支援団体 ハレル(福岡県)

上記以外で面会交流の支援をしている第三者機関をお探しの方は、法務局が公表している「親子交流支援団体等(面会交流支援団体等)の一覧表」を参考にしてください。

(例)公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)

面会交流の第三者機関として代表的なのは、公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)「養育費・親子交流相談支援センター」です。こちらは家庭裁判所調査官のOB・OGが立ち上げた団体。子ども家庭庁の委託事業として認定されているので、安心感から利用する人が多いのが特徴。FPICの支援内容はこちらです。

支援の内容 面会交流の場での付き添い

子の受け渡し

日時や場所などの連絡調整

面会交流の予行演習としての短期支援

費用(税込) 申込金:年間3回以上支援10,000円、2回以下支援5,000円

付き添い型:1回15,000円~25,000円

受け渡し型:1回10,000円~15,000円

連絡調整型:1回3,000円

短期支援:1回15,000円~25,000円

対象者 小学6年生までの子どもがいること

事前相談を受けること

面会交流について当事者間で合意が成立していること

面会交流の合意事項内容にFPICが求める必須事項を盛り込んでいること

期間・時間 付き添いおよび受け渡し支援は月1回が限度

短期支援は2回まで

継続的支援の機関は1年、希望すれば1年単位での更新が可能

申し込み方法 電話・メール・チャット

詳しくは、「面会交流支援の案内」をご覧ください。

弁護士法人による支援

弁護士事務所や弁護士法人でも、離婚後の面会交流支援を実施しています。支援の内容は、付き添い型・受け渡し型・日程調整型のほか、Zoomを使用したオンライン見守り型や協議中・調停中の方限定のスポット面会交流などのサービスがある場合も。

とくに事務所としてサービス内容に盛り込んでいないところでも、依頼した離婚事件に付随するものとして、面会交流の調整や立ち合いを依頼できる可能性があります。夫婦だけスムーズに面会交流ができそうもないというときには、離婚問題を依頼した弁護士に相談してみましょう。

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第三者機関が行う支援・援助の内容について

こちらでは第三者機関が行う支援や援助の内容について具体的に解説していきます。依頼した方がいいケースも併せて見ていきましょう。

面会交流の付き添い(付き添い型)

付き添い型といわれる支援は、第三者機関の支援員が1~3時間程度の面会交流の場に付き添う形式です。面会場所を第三者機関の事務所内にするケースもあれば、現地集合・現地解散のケースもあります。支援員が付き添うことで、面会を安全かつ安心な状況で実施できるようサポートするもの。

付き添い型は他の支援とセットになっている場合が多いので、3つの支援方法の中で一番高額になりやすい特徴があります。また有料の施設などを利用するときには、付き添う支援員の利用料を負担するのが通常です。1回あたりの時間は3時間が限度で、小学3年生の子どもまでという条件を設けているところもあります。

子どもの受け渡し(受け渡し型)

父母が直接顔を合わせたくないときに、父母に代わって子どもの受け渡しを行う支援もあります。上の付き添い型とは異なり、第三者機関は受け渡し時点の立ち合いのみで、面会交流自体には立ち会いません。子どもが付き添いなしで別居親と過ごせる年齢だったり、面会交流自体には心配ないが相手と顔を合わせたくないケースなどでメリットがあります。

面会交流の連絡や調整(連絡調整型)

父母が直接面会交流の日程や場所の調整ができないときには、当事者に代わって相手と連絡を取り調整を行います。第三者機関が行うのはあくまでも事前の連絡や調整のみで、子どもの受け渡しや付き添いは父母本人が行います。

短期支援

短期支援とは面会交流の予行演習的な支援です。別居中や離婚調停中などに利用するのが一般的で、1~2回程度付き添い型で面会交流を実施します。以降は当事者だけで面会交流ができるようにするのが目的です。面会交流自体は行いたいものの、非監護親が子どもとどのような話をしたらいいか分からないときや、どのように過ごしたらいいかアドバイスが欲しいときなどに、支援員がサポートします。

費用について

民間の第三者機関から面会交流の支援を受けるには、1回あたり次のような費用が発生します。

付き添い型 10,000円~30,000円
受け渡し型 10,000円~15,000円
連絡調整型 3,000円~5,000円
短期支援 15,000円~25,000円

支援内容ごとの費用は、各第三者機関によって異なります。利用を希望する場合には、事前に確認しておくことをおすすめします。

条件・期間

多くの第三者機関では、面会交流の支援について条件や期間を定めています。条件は子どもの年齢(学年)や面会交流について双方の合意があること、配偶者暴力や子の連れ去りの恐れがないことなどです。そして面会交流の回数も月○回までと決められていることがほとんど。

支援期間については原則1年までと定めているケースが多いですが、第三者機関によっては延長の合意があれば1年を超えて利用を継続することも可能です。ただし延長が可能なFPICによる支援でも、支援開始3年目には自分たちだけで面会交流を実施できる状況を目指しています。

第三者機関を利用するときに決めること

利用する第三者機関によっては、面会交流の合意内容を踏まえた書面の提出を求められる場合があります。これは第三者機関を利用した際にトラブルがないようにするもので、次のような内容を決めていきます。

面会場所 第三者機関によっては、支援できるエリアや場所が決まっていることがある

どのような場所で面会を行い、どの第三者機関が利用できるか決めておく

利用期間 第三者機関を利用する期間について両者で合意しておくと、自分たちだけで行う面会交流の開始時期が明確にできる

ただし第三者機関の利用を終了するかの判断は、第三者機関の助言や判断による場合があるので、あくまでも目安程度と考える

費用負担割合 第三者機関を利用する費用について、その負担割合について合意しておく

一般的には折半するケースが多い

面会の代替手段 第三者機関を利用しても面会が実施できないとき(体調不良や学校行事など)に備えて、代替手段をあらかじめ検討しておくとトラブルを回避できる

第三者機関の利用を検討した方がいいケース

ではどのようなときに第三者機関の利用を検討した方がいいのでしょうか。取り決め時に問題になりやすいケースについても解説していきます。

相手と顔を合わせたくない・連絡を取りたくない

離婚した相手と顔を合わせたくない、連絡すら取りたくないという方は、第三者機関の利用を検討した方がいいでしょう。相手のDVやモラハラ、不倫などが原因で離婚した場合、苦痛を受けた相手とはもう二度と関わりたくないと思っても仕方ありません。子どものために面会交流が必要だと頭ではわかっていても、なかなか踏み切れないという人もいるかもしれません。

そのようなときに第三者機関を利用すれば、面会交流の日程や場所の調整、付き添いや受け渡しまですべて任せることができます。子どもの年齢が低いと、どうしても親同士が顔を合わせる必要がありますが、どうしても会いたくないというときには第三者機関の利用も選択肢の一つとして考えましょう。

子どもへの虐待で慰謝料請求をお考えの方は、こちらの記事を参考にしてください。

「子どもが虐待されたから慰謝料請求したい!配偶者ヘの請求方法を詳しく解説」

連絡を取り合ったり調整をするのが困難

相手と連絡が付かないときや面会交流の調整をするのが難しいときには、第三者機関の利用を検討してください。相手が電話に出てくれないときや、直接の連絡先が分からなくなったとき、話し合いで調整するのが困難なときには、日程調整型支援がある第三者機関を介して連絡を取り合うといいでしょう。

面会交流を拒否したいとお考えの方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「面会交流を拒否したい!子供に会わせないことの違法性と対処法を解説!」

子どもを会わせるのに不安がある

非監護親に子どもを会わせるのが不安だという方も、第三者機関の利用がおすすめ。子どもに暴力を振るわないまでも連れ去りの危険があったり、約束を守らない人で子どもに何をされるか分からないという不安がある場合には、第三者機関の付き添い型の支援を利用を検討してください。

付き添い型の支援を利用すれば、第三者機関の支援員が立ち会えるため、連れ去り等を抑止できる効果が期待できます。

連れ去り別居が親権獲得に与える影響については、こちらの記事を参考にしてください。

「連れ去り別居は違法?合法?親権獲得への影響と子どもを連れ去られたときの対処法とは」

監護親が面会交流に消極的

子どもは非監護親と会いたがっているのに監護親が面会交流を拒否しているケースで、第三者機関の利用が効果的です。監護親が面会交流を拒否している状況で無理に面会交流をしてしまうと、子どもが父母の板挟みにあい、子どもの利益を害する状況に陥ります。

そのようなときに第三者機関を利用すれば、監護親の拒否感情の軽減化が期待できるだけでなく、非監護親の子どもへの対応を改善させるなどの配慮も期待できます。

面会交流を拒否されてどうしたらいいか分からないという方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「面会交流を拒否された…拒否された側が取れる8の方法と慰謝料請求の可否とは」

裁判所の命令

裁判所の命令によって、第三者機関を利用しなければならないケースもあります。平成25年6月に東京高裁で出た面会交流に関する判決によると、母親が父親から別居前に精神的虐待を受けたと主張している点や父親による子の連れ去りを懸念している点を根拠に、面会交流を実施するための信頼関係を構築するには第三者機関の利用はやむを得ないという結論を出しています。

離婚前にDVやモラハラがあったり、子どもの連れ去りが懸念されるようなケースでは、裁判所の判断で第三者機関を利用した面会交流を命じられる可能性があるという訳です。

参考:判例タイムズ 1393号 12月号 (2013年11月25日発売)|判例タイムズ

【支援の種類別】利用した方がいいケース

こちらでは支援の種類別に、利用した方がいいケースを紹介していきます。実際に第三者機関のどの支援を利用したらいいか分からない方は参考にしましょう。

付き添い型
  • 子どもが小さい(小学3年程度)
  • 面会交流で子どもに現在の生活について根掘り葉掘り聞き出すかもしれない場合
  • 面会交流で子どもに監護親の悪口や批判を植え付けようとする可能性がある場合
  • 面会交流の約束やルールを非監護親が破る可能性がある場合
受け渡し型
  • 面会交流自体には不安がない
  • 子どもが小さく一人で待ち合わせ場所に行けるか不安な場合
  • 父母のどちらかが相手からDVやモラハラを受けていた場合
  • 非監護親が面会交流の約束の時間を守らない可能性がある場合
  • 父母が直接顔を合わせたくない場合
連絡調整型
  • 面会交流自体には不安がない
  • 子どもがある程度大きく、自分で待ち合わせ場所に行ったり家に帰れる場合
  • 父母が連絡を取り合いたくない、または連絡が取れない場合
短期支援
  • 面会交流の方法や流れが知りたい場合
  • 別居中や離婚調停中で、離婚後の面会交流の予行演習がしたい場合

面会交流の第三者機関を利用する流れ

面会交流で第三者機関を利用するためには、どのような手順で進めていけばいいのでしょうか。こちらでは第三者機関を利用する流れについて解説していきます。

面会交流の内容について協議する

まずは離婚前に、父母で面会交流に関する詳細な内容を話し合って決めていきます。同時に第三者機関を利用するかどうかや、費用の負担割合についても合意しておかなければなりません。離婚前に第三者機関の利用を協議しなかった場合には、改めて第三者機関を利用するかどうか協議したうえで双方の合意を得る必要があります。

話し合いがまとまらなければ調停(審判)

面会交流の内容や第三者機関を利用するかどうか、支援内容(付き添い型・受け渡し型・連絡調整型)などについて当事者間の協議がまとまらないときには、家庭裁判所に「面会交流調停」を申し立ててください。調停では調停委員や裁判官を交えて、話し合いによる解決を図ります。

調停での話し合いでも解決できないときには、自動的に審判手続きに移行します。審判では家庭裁判所が一切の事情を考慮したうえで、裁判官が審判を下します。

離婚の手続きについて具体的に知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚の仕方と手続き方法|後悔しないための離婚条件とを切り出す前にすべき離婚準備を徹底解説」

合意内容を書面化する

合意した内容については、他の離婚条件と同様に合意書や離婚協議書などの書面にしておくのがポイントです。後になって「言った」「言わない」のトラブル防止に役立ちます。また第三者機関を利用するときには、合意内容を記した書面の提出を求められる場合があります。

第三者機関を探す

第三者機関を利用した面会交流を実施したいときには、具体的に利用したい第三者機関を探して申し込む必要があります。面会交流の合意を書面で交わしてから第三者機関を探すことも可能ですが、利用するにあたり面会交流の合意内容に盛り込まなければならない項目が決められている場合もあるので、合意成立前に一度第三者機関で事前相談を受けた方がいいでしょう。

インターネットで探すときには、「(お住いの地域名)+面会交流支援」などのキーワードで検索してください。上で紹介した法務省の公式サイトにも支援団体の一覧が記載されています。

第三者機関への申し込み

依頼したい第三者機関が決まったら、指定する申し込み方法で申し込みを行ってください。支援内容には付き添い型や受け渡し型、連絡調整型などがあるので、状況や希望に応じて最適な支援内容を選んでください。なお、民間の第三者機関を利用するときには、それなりの費用がかかります。

詳しい費用の金額や父母のどちらが費用を負担するかなどもこのとき決めていきます。

契約締結

第三者機関との面談の結果、支援が必要と判断されれば父母と第三者機関の3者で契約を締結します。利用期間は原則1年としているところが多いので、継続的に利用したい場合は、延長を希望できるかについても事前に確認しておきましょう。

第三者機関を利用するときの注意点

面会交流で第三者機関を利用するときには、次のような点に注意が必要です。

でっち上げによるDV・虐待の認定

非監護親と子どもを会わせたくないと考える監護親の中には、実際にはないDVや虐待をでっち上げる場合があります。とくに面会交流について裁判にまで発展した場合には、事実に基づかないDVや虐待をでっち上げ、非監護親からの身体的・精神的虐待があったと主張すれば、それだけで第三者機関を利用した面会交流に制限される可能性が。

監護親が子どもと会わせたくないばかりに、DVやモラハラをでっち上げてくる恐れがあります。そのため別居に至る経緯やDVモラハラの有無については、証拠を確保しておく必要があります。

DVの証拠の残し方について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「DVの証拠の残し方|離婚に有利になる10種類の証拠の取り方&証拠を集めるときの注意点とは」

利用するには条件がある

面会交流の第三者機関は、誰でも無条件に利用できる訳ではありません。とくに自治体による支援では利用が無料である一方で、父母双方が面会交流の実施に同意していることや、一定の所得以下であるなどの条件があります。利用条件はそれぞれの組織によって異なります。事前にHPなどで確認しておきましょう。

期間や回数に制限がある

第三者機関の利用には、期間や回数に制限が設けられています。というのもそもそも第三者機関は、最終的には支援を「卒業」し、当事者のみでの面会交流の実施を目指しているため。子どもが成人になるまで際限なく利用できる訳でないことを覚えておきましょう。

トラブル発生の可能性

第三者機関を利用したからといって、非監護親からの暴言や連れ去りなど面会交流に関するすべてのトラブルを取り除くことは不可能です。たとえ第三者機関を利用した場合でも、相手が身勝手な行動を取るリスクは残ると自覚しましょう。万が一そのようなトラブルが発生したときには、すぐに面会交流を中止し、第三者機関が入っても解決できないケースでは弁護士や警察に相談してください。

子どもが拒否する場合がある

子ども自身が、第三者機関の支援員が介入することに拒否感を示すケースもあります。とくに支援員に面会交流の場所に送り迎えをされたり、面会交流に同席されたりすることに抵抗感を持つ子どもも少なくありません。そうなると第三者機関を利用したにもかかわらず、面会交流がスムーズに行えないことも。

第三者機関の利用を検討するときには、子どもの年齢や性格などを考慮したうえで判断してください。

メンタルに配慮した子どもへの離婚の伝え方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「【離婚】メンタルに配慮した子供への伝え方&ケアの方法|離婚が子供に与える影響と伝えるときの注意点」

まとめ

面会交流の第三者機関とは、様々な事情でスムーズに面会交流ができないときに利用できる支援組織です。自治体が独自で支援を行っている場合の他に、自治体からの委託を受けた団体や民間の組織、弁護士事務所などが参入しています。第三者機関が行える支援には、付き添い型・受け渡し型・連絡調整型などがあり、それぞれで利用した方がいいケースが異なります。

第三者機関を利用するには、離婚時に面会交流の内容を協議するときに第三者機関の利用の要否についての合意が必要です。あらかじめ第三者機関に事前相談を行った上で、合意書を作成するのもいいでしょう。利用する支援内容が決まったら第三者機関と契約し、1年~3年の支援を受けます。

第三者機関の利用には条件があり、期間や回数に制限が設けられています。また第三者機関を利用したからといってすべてのトラブルを回避できるわけではありません。子供自身が拒否する可能性も考えられるため、子どもの年齢や性格、当事者双方の事情を考えたうえで、最終的に第三者機関を利用すべきか検討しましょう。

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