- 「転勤族の夫についていくのが辛い…離婚したい」
- 「夫が転勤族というのは離婚理由になる?」
定期的に転勤がある夫と離婚を考えているという人はいませんか?転勤があると分かって結婚したものの、実際に経験してみると思った以上に辛く「定年までこの生活が続くのか…」と考えると、離婚の二文字が頭をよぎることも。
そこでこちらの記事では、転勤族の夫との離婚に焦点を当て、離婚したくなる理由や離婚の可否を詳しく解説。また転勤族の夫との離婚を悩んでいる人へ、離婚したい気持ちを上手に処理する方法をお教えします。周りの人から見れば「そんなことで?」と思われるかもしれませんが、家族にとっては深刻な問題。自分自身や家族にとって最良の道を選びましょう。
転勤族の夫との離婚について
転勤族を夫に持つ人にとって、転勤族や単身赴任と離婚との関係は気になるところです。こちらでは転勤族と家族・夫婦関係の傾向について紹介していきます。
転勤族の家族はストレスが増えがち
転勤族が勤務する企業は全国各地に支店や支社を持っているということで、経営が安定し終身雇用を採用しているところが多いです。そして転勤するにしたがって出世していくので、出世欲のある夫にとっての転勤は、キャリアを積む一番の近道です。
一方で転勤族の家族は、環境の変化や度重なる引っ越しなどでストレスがたまりがち。もちろん転勤族の妻も様々な不安や悩みがありながら、夫や他の家族のサポートをしなければなりません。とくに住み慣れた故郷に住んでいる人は、転勤でいきなり見知らぬ土地に住むことが大きなストレスに。当の夫と他の家族の間には、転勤に伴う感情に落差が生まれることも少なくありません。
転勤族には仮面夫婦が多い?
転勤族を夫に持つ夫婦は、そうでない夫婦に比べて仮面夫婦が多いという特徴があります。夫が「自分の方が家計を支えているのだから家族がついてくるのが当然」と思う一方で、「もう知らない土地に行くのがうんざり」と考える妻がいるためです。
見知らぬ土地への転勤がきっかけで妻がうつ病になるケースや、夫についていきたくないからと単身赴任を選ぶケースも。とくに共働き夫婦の場合、転勤によって夫婦間のすれ違いが大きくなる可能性が高まります。
単身赴任の離婚率は高い
子どもの学校の関係や、持ち家を購入したタイミングで、単身赴任を選択する家族も多くいます。しかし単身赴任になると、そうでない夫婦に比べて離婚率は高い傾向に。一般の夫婦の離婚率が1.7%ほどといわれている今の日本で、単身赴任中の夫婦の離婚率はその2倍ほどです。
主に次のような理由で、離婚が増えると考えられています。
- 夫婦間・子どもとのコミュニケーション不足
- 夫や妻の必要性が薄れてしまう
- 浮気や不倫へのハードルが低くなる
- 夫婦間の必要な助け合いができないため、不満がたまりがち
とくに単身赴任になると、配偶者の目が届きにくく自由に使えるお金が増え、寂しさから浮気や不倫に走るケースが多く見られます。これは男女ともに共通してみられる傾向で、夫婦の片方または両方が不倫すると、互いの気持ちが急激に離れ、不倫相手と再婚をしたい側から離婚を切り出されやすくなります。
旦那と離婚したいと思った方は、こちらの記事を参考にして別居や離婚への準備を進めていきましょう。
「旦那と離婚したい…ストレスで生じるリスクや解消法・別居&離婚への手順を解説」
転勤族の夫と離婚を考える理由
では転勤族の妻は、どうして夫との離婚を考えるようになるのでしょうか。
住み慣れた場所を離れることの不安や孤独
転勤で住み慣れた土地を離れることの不安や孤独感から、離婚を考える人がいます。地元や長年住んでいる場所には友人や友達がいて孤独を感じることはありません。しかし見知らぬ土地に引っ越すと、知り合いは誰もおらずまた一から人間関係を築いていく必要があります。
引っ越しした当初は夫としか会話しない日が何日も続くことで、ノイローゼやうつになることも。とくに生まれ育った場所から一度も離れたことのない人は、頼れる実家や友達もない場所で、その土地のコミュニティに溶け込むまで寂しい日々が続くでしょう。
進学や就職など自分の意思で引っ越すケースとは異なり、半ば強制的に住み慣れた場所を離れることになるため、引っ越しに伴う不安や孤独は大きなストレスとなります。
自分の仕事への影響
共働きの夫婦の場合、妻の仕事への影響から離婚を考えるようになります。引っ越し先の場所に支店などがあり、異動が可能な仕事ならいいのですが、ほとんどの場合は夫の転勤に伴って妻の仕事を辞めなければなりません。
妻はせっかくキャリアを積んできたのに、また一からキャリアプランを考えなければならなくなります。「夫は転勤でどんどん昇進していっているのに、私はしたい仕事ができない」とストレスがたまるのも当然。転勤先で仕事を探そうにも、また数年で引っ越す場合は正社員になるのも困難です。
こうした妻側の仕事への影響から、転勤族の夫との離婚を考えるようになります。
引っ越しが面倒・お金がかかる
引っ越しの準備や後片付け、その他引っ越しに伴う手続きが面倒だというのも離婚したい理由になります。引っ越しの荷造りや荷ほどきはもちろんのこと、業者の手配や住宅の確保、住民票の異動や子どもの転校の手続きなど、引っ越しに伴う作業が山積みです。これを数年おきに繰り返すことを考えると、うんざりしてしまうのもうなずけます。
また引っ越しにお金がかかるのも、家計にとっては負担です。「引っ越し貧乏」という言葉がある程、引っ越しにはお金がかかります。会社からいくらか手当が出るケースもありますが、引っ越し業者を依頼するだけで消えることがほとんど。それ以外にも不要な家具の処分や新たな家電の購入、その他手続きに必要なお金などで数十万円単位の出費があります。
仕事を辞めるまでマイホームを持てない
夫が仕事を辞めるまでマイホームを持つことができないのも、離婚を考える一因になります。若くしてマイホームを持った友人などを見ると、うらやましいと感じる転勤族の妻も多いでしょう。やりたいことがあるうちに自由に使えるマイホームを持ちたいという人もいるかもしれません。
子どもが小さいうちに広い家で過ごさせたいと思っていても、転勤生活が終わるまではマイホームを買うことができません。賃貸物件には様々な制約があり、家を持てるのは定年後。そう考えると、このまま転勤族の夫についていって幸せなのかと疑問に思うようになっても不思議ではありません。
子どもの転校や影響
子どもがいる場合、見知らぬ土地への引っ越しや転校による影響は気になるところです。「新しい学校にうまくなじめるか」「友達はできるか」など、心配は尽きません。それが子どものストレスとなって、心身へ影響が出たり不登校になったりする原因にも。
とくに転勤族の場合、子どものケアを主にするのは妻側です。引っ越しの準備や手続きだけで手いっぱいなのに、子どものケアまでとなると、一層自身のストレスがたまることに。「夫の転勤さえなければ」と離婚を考える人も多いようです。
転勤族の夫と離婚できる?
では、転勤族の夫と離婚することはできるのでしょうか。
双方が合意すれば可能
互いに離婚について話し合い、夫婦双方が合意すれば離婚は可能です。日本での離婚件数の約9割が、夫婦間の協議でのみ離婚が成立する「協議離婚」という形です。引っ越しがもううんざりという理由や、住み慣れた地元から離れたくないという理由でも、夫が合意すれば離婚が可能です。
話し合いで離婚そのものや離婚条件の折り合いがつかなかったときは、家庭裁判所で行われる「離婚調停」を申し立てます。離婚調停では調停委員を介して話し合いをしますが、こちらでも相手の合意がなければ離婚はできません。
協議離婚の慰謝料相場が知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「協議離婚の慰謝料相場が知りたい!増額・減額できる秘訣や慰謝料の決め方を解説」
転勤だけが理由で離婚するのは難しい
ただし転勤だけが理由で、離婚することは難しいでしょう。夫が離婚に合意しない場合、最終的には離婚裁判になるのですが、離婚裁判では民法第770条で定めた5つの離婚理由(法定離婚事由)が必要だからです。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 三年以上の生死不明
- 回復の見込みがないほどの強度の精神病
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
転勤は一見すると「婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまりそうですが、夫の転勤は自分の意志ではなく会社の決定です。その会社に勤め続けるのであれば、その命令に従うのが通常。妻も夫に協力するのが前提となっているため、転勤そのものが裁判で離婚を認める理由にはなりません。
転勤により夫婦関係が破綻していると離婚できる
転勤が理由で夫婦関係が破綻した場合は、離婚裁判で「その他婚姻を継続し難い重大な事由」と認められれば離婚が可能です。単身赴任した結果、夫が赴任先から戻ってこなくなったケースや、転勤先になじめない妻に対して配慮せず夫婦間の対立が決定的になったようなケースです。
度重なる転勤と夫の無理解でうつ病などになった場合も、離婚が成立する可能性が高いでしょう。このとき精神的苦痛が生じたとして、慰謝料請求ができます。
離婚裁判の期間や手続きの流れについて知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「離婚裁判の期間を手続きの流れごとに解説!長引くケース・期間を短縮する秘訣とは?」
不倫などしている場合は離婚が可能
単身赴任先で夫が不倫をした場合は、不貞行為に該当するので離婚が可能です。赴任先から帰ってこなくなった、抜き打ちで夫の住んでいる部屋に行ったら女性の気配がしたという場合は、不倫している可能性大です。離婚したいと思ったら、客観的に不貞行為が分かる証拠を確保しましょう。
一緒に住んでいないケースでは、不貞行為の証拠が取りにくい恐れがあります。場合によっては興信所や探偵事務所などのプロに依頼することも検討しましょう。不貞の証拠が確保できれば、それをもとに慰謝料請求や離婚を申し立てることが可能になります。
不貞行為がどこからなのか知りたい方や法的に有効な証拠について押さえておきたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「『不貞行為』はどこからの行為?不倫・浮気との違いや当てはまるケース、法的に有効な証拠を解説!」
離婚を考えたら弁護士に相談
実際に離婚できるかどうかは、それぞれのケースによって異なります。自分が離婚できるか知りたい場合は、離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。法律問題に詳しい弁護士なら、夫婦の現状やこれまでの経緯などから、どうすれば離婚できるかアドバイスしてもらえます。
また有利に離婚・慰謝料請求するための証拠確保の方法や法的に有効な証拠について教えてもらえるとともに、実際の調停や裁判の手続きなども依頼できます。どうしても離婚したいという方は、まずは弁護士事務所が行っている無料相談に行ってみましょう。
転勤族の夫と離婚したい気持ちを処理する方法
転勤が理由だけでは離婚ができないとき、離婚したい気持ちを処理するには、次のような方法を夫と話し合って試してみましょう。
夫婦で人生設計を見直す
夫の転勤が嫌で離婚を考えるほどにまでなっている方は、夫婦で今後の人生設計を見直すことをおすすめします。離婚したいほど辛いという気持ちを夫に打ち明け、単身赴任や転勤のない仕事への転職ができないかなど、家族の人生設計を見直すべきでしょう。
他にも子どもの教育をどこで受けさせるかや住宅の購入、妻の仕事や赴任先での生活スタイルなど、話し合っておくべきことはたくさんあります。どうしても単身赴任や転職が嫌だという場合は、なるべく転勤の少ない部署に異動できないか検討してみましょう。
単身赴任を検討する
夫婦で話し合った結果、単身赴任を選ぶというのも一つの方法です。妻や子どもが住みなれた土地で生活できるので、転勤に伴う多くのストレスを解消できます。近頃は音声だけでなくカメラでの通話も無料で気軽にできるようになったので、単身赴任中でも顔を見て夫婦や親子の会話ができるはず。
また離れて暮らすことで、改めて夫・妻のありがたみを実感できるかもしれません。平日は夫に赴任先で仕事をしてもらい、休日などに帰ってきたときに思いっきり労ってあげる方が、夫婦関係が改善する可能性も。ワンオペで家事や育児をする必要がありますが、親や周囲の協力を得ながら、無理しない範囲でできます。
転勤後家族で過ごす時間を多くしてもらう
転勤先に家族でついていった場合、新しい土地に慣れるまではなるべく夫に家族で過ごす時間を作ってもらうようにしましょう。夫が仕事から早く帰ってこられれば、一日あったことや不安なことなどを話せます。また休日は家族で一緒に行動するようにすると、その土地に早くなじめたり、コミュニティを広げたりすることもしやすくなります。
転勤後夫の仕事が忙しすぎて、知り合いもいない場所で誰とも会話せず過ごしているとストレスがたまる原因に。慣れない土地で出かける場所も分からず、普段の生活を楽しめません。そこでなるべく転勤直後は、妻に孤独を感じさせないよう、話を聞いたり一緒に休日に出かけたりしましょう。
どこでも楽しめる趣味を見つける
どこに転勤しても楽しめる趣味を持っておくと、新しい場所でも楽しく生活することができます。趣味を通して知り合いを見つけやすくなり、転勤に伴うストレスを発散できることも。運動や楽器演奏、絵画や英会話など一人でも続けられる趣味を見つけられると、全国どこに行っても困ることはありません。
その土地に少し慣れてきたら、地元の趣味団体やレッスンに参加してみてもいいでしょう。最初は多少お金がかかりますが、新しい挑戦だと思って夫にも応援してもらってください。
地域のコミュニティに参加する
地域ボランティアに参加したり、子ども主体のイベントに参加するのもいい方法です。初めは知らない人ばかりで緊張することもあるでしょうが、何度か参加しているうちに顔見知りが増え、新しい人間関係を築いていけるはず。自治体の広報誌にそのようなイベントが掲載されているので、興味のあるイベントをチェックしてみましょう。
転勤は「長い旅行」と考える
転勤を「少し長い旅行」だと考えると、気持ちが軽くなることがあります。その土地でしか味わえないグルメを探したり、休日は観光スポットに家族で出かけたりすれば、転勤先の場所を好きになれるでしょう。本当の旅行だと時間に制限がありなかなか穴場スポットまで見ることはできませんが、数年の時間があればお気に入りの場所を見つけられることも。
まずは転勤先のガイドブックを購入したりして、その土地のことを調べてみましょう。日本各地の転勤先のことをゆっくり知ることができるのも、転勤族ならではのメリットではないでしょうか。
頑張りすぎをやめる
転勤に伴い辛い思いをしがちな方は、なるべく頑張りすぎるのをやめるようにしましょう。転勤先に住み始めると、新しい土地に早く慣れなければと頑張りすぎて疲れてしまう人がいます。そのような頑張りは必要ですが、程度が過ぎるとかえってストレスになることも。そのため頑張りすぎる自覚がある方は、一旦無理や我慢をやめることをおすすめします。
たまには子どもを夫に預けて一人で外出したり、家事代行サービスを利用して家事の手を抜いてみたりしてもいいでしょう。人間関係も「うまくいかないこともある」と開き直り、無理してまでコミュニティになじもうとする必要はありません。頑張れば頑張る程ストレスはたまってしまうもの。一度頑張ることをやめるのも一つの方法です。
まとめ
転勤族の夫を持つ家族は、転勤に伴う不安やストレスを抱えがち。知り合いや助けてくれる人が誰もいない場所で、引っ越し作業や子どものケアなどを一人でこなさなければなりません。そのため仮面夫婦になったり、単身赴任を経て離婚したりする夫婦が多いのが実際のところです。
夫婦双方の合意があれば離婚は可能ですが、ただ「転勤が耐えられない」という理由だけでは離婚できません。単身赴任先で夫が不倫をしたり、転勤が原因で夫婦関係が破綻したと認められないと、離婚裁判で離婚が認められないでしょう。
転勤が嫌だからと離婚を考えている方は、離婚しないための方法を試してみることをおすすめします。まずは夫と今後の人生設計について話し合い、単身赴任することも視野に入れましょう。どこでも楽しめる趣味を見つけたり、頑張りすぎをやめるのも大切です。