結婚詐欺で慰謝料請求できる?詐欺と認められる要件と必要な証拠、請求の手順とは

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  • 「結婚詐欺にあった…慰謝料を請求できる?」
  • 「彼からやっぱり結婚できないと言われた、これって結婚詐欺?」

マッチングアプリや出会い系などで結婚相手を探す場合、気を付けたいのが結婚詐欺です。こちらの結婚したいという気持ちに付け込んで、金品を要求されるケースが後を絶ちません。では結婚詐欺に在ってしまった場合、慰謝料を請求できるのでしょうか。

こちらの記事では結婚詐欺の特徴や結婚詐欺と認められるための条件について詳しく解説。また実際に慰謝料を請求する流れや、結婚詐欺にあわないポイントも紹介するので、「これって結婚詐欺?」「結婚詐欺にあわない方法が知りたい」という方は参考にしましょう。

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目次

結婚詐欺ってどんな詐欺?

ではまず結婚詐欺の特徴や恋愛詐欺との違い等を、過去の判例を元に紹介していきます。

結婚詐欺とは

結婚詐欺とは簡単に言うと、結婚を前提として交際している相手に対して、様々な嘘を並べて金銭をだまし取る詐欺のこと。主に次のような嘘をつき、お金に困っているアピールをしてきます。

  • 事業に失敗して借金を作ってしまった
  • 自分や親族の手術代、入院費用が必要になった
  • 親から莫大な借金を相続してしまった
  • 友人の借金の連帯保証人になった
  • 新しく事業を興すのに、まとまった資金が必要
  • 2人の将来のためにお金を貯めたい

結婚詐欺が行われるのは、よく知らない間柄であることがほとんど。元々の知り合いや友人からの紹介である場合は、相手の素性が分かっているケースが多いので、だます意図で近づいてきた詐欺師の可能性が低いでしょう。

しかし最近では婚活サイトやマッチングアプリなど、素性の知らない間柄の男女が出会う場が増えてきました。また婚活パーティーや相席居酒屋、ラウンジなどでの出会いも注意が必要。本気で結婚したいと思っていればいるほど、その感情を利用して詐欺を行ってきます。

被害者は金銭をだまし取られるという財産的被害だけでなく、心をもてあそばれたという精神的被害も受けます。このような意味で結婚詐欺は、質の悪い詐欺の一つといえます。

結婚詐欺の特徴

こちらでは、結婚詐欺の手口や特徴について詳しく見ていきます。

高スペックを装う

結婚詐欺師は男女問わず「高スペック」を装うという特徴があります。婚活サイトやマッチングアプリでは、相手の学歴や職業、収入といったスペックが表示されるのが一般的。詐欺師はそのようなスペック表示で、高学歴の医師、弁護士、パイロット、高年収の会社社長といった高いステータスを設定しているケースが多いです。

女性の詐欺師だと客室乗務員やモデル、アパレルや美容系の会社経営などの設定にしているケースが多いです。さらに趣味は料理や茶道、華道などと偽り、異性を引き付けようとします。高スペックを装う理由は、異性として魅力的に見せるだけでなく、後に金銭をだまし取るときに、その時点ではあくまで借りるだけで返す能力が十分にあることを示す目的も。結婚詐欺は、最初の時点からだますことを考えているという訳です。

結婚の話が出るのが早い

結婚詐欺師と出会ってしまうと、結婚の話が出るのが早いという特徴があります。このような詐欺師は「できるだけ時間をかけずに相手からお金を引き出したい」と考えているからです。そのため時間をかけて交際するのではなく、出会ってから早い段階で結婚の話を出してくる傾向に。

結婚を焦っている人こそ、すぐに結婚話が出てくることで舞い上がってしまい、詐欺の対象にされやすいので注意が必要です。交際を重ねていないのにすぐに結婚の話を持ち出された場合は、相手が詐欺師の可能性があるという点も疑った方がいいかもしれません。

こちらの収入や資産を聞いてくる

やたらとこちらの収入や資産について聞いてくる場合も、結婚詐欺師の可能性が高いです。もちろん結婚するとなると互いの収入や資産について知るのは当然ですが、結婚詐欺師は交際の前に相手の資産状況を聞き出すような質問をしてきます。

そうして相手に一定の収入や資産があることが分かった場合に、お金を引き出すために交際を申し込むという手口が一般的。交際前にもかかわらず、相手が自分の収入や資産について何度も聞いてくるという場合には、獣医が必要です。

交際後に金銭的理由から結婚できないと言われる

結婚を前提とした交際が始まった後、金銭的理由から結婚できない(延期せざるを得ない)と言われるのが定番パターンです。理由は上で紹介したような内容であることがほとんどです。そして理由を伝えた後のお決まりのフレーズが「支払うお金は持っているのだが、(様々な理由で)すぐには準備できないので、一旦立て替えてもらえないか」というもの。

交際直後ということで恋愛感情が一番盛り上がっている時期というだけでなく、嘘であるものの高スペックを提示されていることから、「すぐに返してくれるなら」と立て替えてもいいという気持ちに仕向けさせられます。それでも渋っていると「将来結婚する相手を信じてくれないなんて」と追い打ちをかけてくるのが手口です。

客観的な証拠を残さない

結婚詐欺師は後で騙されたと知り、捕まることがないように極力客観的な証拠を残さないようにしています。一緒に写真を撮ろうといっても拒否されたり、親や友人に会わせてくれない場合には、証拠を残さないための行動の一つである可能性が。デートの待ち合わせ場所は、詐欺師の自宅や会社付近を選びません。詐欺師は住所や勤務先を偽っているからです。

またお金を要求するときにも、銀行振込ではなく手渡しで要求してくるのも、証拠を残さないための手段です。振込口座を指定してきた場合は、他人名義の「とばし」の口座である可能性が高いです。

何度も金銭を要求してくる

一度詐欺師に金銭を渡してしまうと「追加でどうしても必要になった」「あと少し足りない」などといって、さらに金銭を要求してきます。すでに金銭を渡してしまったことで心理的ハードルが下がっている状態に付け込み、巻き上げられるだけ巻き上げようという魂胆があります。

最終的には連絡が取れなくなる

巻き上られるだけお金を取った後、そうでなくても執拗に返済の催促をされた場合や詐欺ではないかと疑われているのではと勘づいたりすると、徐々に会う頻度や連絡回数を減らし、最終的には音信不通になります。相手に電話しても連絡が付かず、メールやLINEにメッセージを送っても返信がなかったり既読になりません。

恋愛詐欺との違い

結婚詐欺は「結婚しよう・したい」という言葉を言われるなど、結婚を前提とした関係になりますが、恋愛詐欺は結婚を前提としていなくても恋愛感情を利用して交際相手から金銭をだまし取る詐欺のこと。いずれも法律用語ではなく、どちらも詐欺の被害者となるので、両者を厳密に区別する必要はないでしょう。

「詐欺罪」に該当する犯罪行為

結婚詐欺や恋愛詐欺は、刑法上の「詐欺罪」に該当する犯罪行為です。被害にあった人は、渡した金銭の返還を求められるだけでなく、相手に慰謝料を請求できます。詐欺罪で警察に逮捕されると、刑法第246条により十年以下の懲役が科されます。

(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

引用:刑法|e-GOV法令検索

刑法上の詐欺罪と認められるためには、次のような4つの構成要件を満たす必要があります。結婚詐欺のケースに当てはめて見ていきましょう。

1.欺罔行為(嘘をつくこと) 結婚する意志がないのに結婚する意志があると嘘をついた
2.錯誤(騙されてしまうこと) 結婚してくれると誤って信じて騙された
3.財物の交付(金銭を渡すこと) お金を渡してしまう
4.因果関係(嘘をつかれたから騙されて金銭を渡したこと) 上記の行為には因果関係が認められる

詐欺行為の取消権

詐欺行為については、民法第96条により取り消すことができます。取り消しによって交際時に結んでいた契約がなかったことになるので、例えば贈与契約で何かを贈与していた場合には、その贈与契約を取り消すことができます。そして贈与したものについては「不当利得返請求権(民法第703条)」に基づいて、返還を請求できます。

結婚詐欺・恋愛詐欺に関する過去の判例・事件

こちらでは結婚(恋愛)詐欺に関する過去の裁判・事件の一例を紹介していきます。

事例①白血病のピアニストを装った結婚詐欺

こちらは白血病のピアニストを装った結婚詐欺師が、治療費名目で約777万円をだまし取った詐欺に関する裁判です。音楽系アプリを通じて知り合ったピアニストをかたる詐欺師と被害者は、約2年後結婚を前提とした交際を開始。実は交際を始めるまでの間、別の女性2人から金銭をだまし取り、懲役1年6カ月の実刑判決を受けていたという事情がありました。

不幸な生い立ちや突然の病気などで同情を引き、トータルで2000万円近い金銭をだまし取られた被害者。詐欺師の行動から次第に怪しみ始め、正常値の血液検査の結果から、生年月日や白血病が嘘であることに気が付きました。詐欺師からの性暴力があったことがきっかけで、警察に通報に至りました。これにより詐欺師は懲役4年6カ月の実刑判決を受けています。

参考:結婚詐欺師“白血病のピアニスト”に懲役4年6カ月「保釈金300万円」を用意した女性の正体とは|文春オンライン

事例②10人以上から1億円をだまし取った結婚詐欺

こちらは無職の50代の男が、10人以上もの女性からトータル1億円以上の金銭をだまし取った結婚詐欺の判例です。婚活サイトや婚活パーティーで知り合った女性に対して結婚をほのめかし、時には同棲関係を結びながら、金を要求したりクレジットカードを盗んで勝手に金を引き出したりしていました。

手にした金のほとんどは競艇などのギャンブルに充てていて、ギャンブル依存症の可能性が高いという指摘も。結局6年ほどの間に10人以上から金銭をだまし取り、懲役5年6カ月の実刑判決を言い渡されています。

参考:言葉巧みに次々交際…10人以上から1億円?結婚詐欺師が抱えていた闇|西日本新聞

事例③約5千万円をだまし取ったロマンス詐欺

SNSを通じて知り合った男性に対し、女性と偽ってワイン売買の投資を進め、トータルで5千万円を超える現金をだまし取られたという詐欺事件です。女性と偽ってやり取りをしていたので、実際に会うことはなかったようですが、相手男性に恋愛感情を抱かせて詐欺を行ったとして「ロマンス(恋愛)詐欺」として捜査が行われました。

ワイン購入費として5千万円を指定の口座に振り込ませ、後日相手と会う約束をしていたが連絡が取れなくなったことで犯行が発覚。被害男性が警察に相談したことで発覚しました。

参考:「ロマンス詐欺」5千万超被害 ワイン売買投資持ちかけ|YAHOO!ニュース

詐欺行為に当たらないもの

上では結婚詐欺の特徴や実例について紹介してきましたが、こちらでは結婚詐欺に当たらないケースについて解説していきます。

金銭的被害が発生していない

第一に、金銭的な被害が発生していない場合、結婚詐欺や恋愛詐欺に該当しません。詐欺罪は金銭など財産をだまし取ることに対する犯罪なので、単に独身と偽って交際していただけのようなケースでは詐欺になりません。ただし既婚者が独身であると偽って性的関係を持った場合には、貞操権侵害として損害賠償請求できる可能性があります。

相手が金銭を要求していない

相手が金銭を請求しておらず、被害者が自分の意思で渡した場合には結婚詐欺に当たりません。詐欺罪は相手が錯誤に陥る行動をして、それにより金銭を支払うことで成立する犯罪だからです。相手が明確に金銭を要求しておらず、一方的に渡した場合には錯誤に陥る行動をしているとみなされず、詐欺罪が成立しないという訳です。

結婚詐欺の慰謝料相場と請求するための条件・必要な証拠

こちらでは結婚詐欺で騙されたときの慰謝料相場と、慰謝料を請求するための条件、それに必要な証拠について解説していきます。

結婚詐欺で慰謝料が請求できる理由

そもそも結婚詐欺で慰謝料が請求できるのは、民法上の不法行為(民法第709条)に該当するため。結婚するという期待を裏切られたことで精神的苦痛を受け、それに対する賠償請求が慰謝料です。また民法第710条では、相手に騙されて渡してしまった金銭的損害についても損害賠償請求できるとしています。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

引用:民法|e-GOV法令検索

結婚詐欺による慰謝料相場

結婚詐欺で受け取れる慰謝料の相場は、過去の裁判事例から見ると数十万円~200万円程度です。結婚詐欺で慰謝料を請求する場合、どのような「精神的損害」があったかを主張しなければなりません。しかし精神的損害を金額で表示するのが非常に難しく、事情によっては相場以下になることも。

ただし慰謝料とは別に相手に渡した金銭の返還請求もできます。これは損害額に応じて変わり、場合によっては1000万円を超える可能性もあるでしょう。

婚約破棄の慰謝料相場については、こちらの記事を参考にしましょう。

「婚約破棄の慰謝料相場・高額になる要因|確実に獲得する請求方法とは?」

慰謝料が高額になりやすいケース

結婚詐欺の慰謝料が高額になりやすいのは、次のような事情がある場合です。

  • 被害金額が大きい
  • 詐欺が悪質
  • 被害者が妊娠・出産・中絶した
  • 交際期間・婚約期間が長い
  • 被害者の年齢が高い
  • 結婚準備が進んでいた
  • 被害者が精神病になった
  • 被害者が退職した

結婚詐欺による被害が大きかったり、事情が悪質と判断されると慰謝料が高額になりやすいでしょう。

妊娠中絶で相手に慰謝料を請求したいという方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「妊娠中絶で慰謝料請求したい…請求の可否と請求方法、相場について徹底解説」

慰謝料請求には時効がある

ただし結婚詐欺による慰謝料の請求には、時効があります。時効の時期は次のいずれかとなります。

  • 結婚詐欺だと気づいたときから3年間
  • 1以外の場合で不法行為があったときから20年間

基本的には1のケースで時効を迎えてしまう場合がほとんどなので、3年で慰謝料請求の時効が来ると考えていいでしょう。

起訴する場合にも時効がある

結婚詐欺師を起訴する場合にも時効があります。検察が公訴の提起(起訴)ができる期間には、原則として7年が経過すると時効が成立します。刑法上の詐欺罪を問う場合にも時効があることを覚えておきましょう。

結婚詐欺と認められる条件と証拠

結婚詐欺として訴えたり慰謝料を請求するには、認められる条件や証拠が必要です。前提として、詐欺の事実があったかが重要。つまり客観的に見て騙す行為と財産的な損害の発生の有無、そして最初から金銭をだまし取る意思があったかを証明する必要があります。

それを細かく分けると、次の4つの事実に分けられます。

  1. 被害者が加害者にお金を渡したという事実
  2. 加害者が被害者に対して結婚することを誤信させたという事実
  3. 相手が結婚してくれると被害者が誤信したという事実
  4. 相手が結婚しないことが分かっていたなら、被害者がお金を渡すことがなかったという事実

次では、結婚詐欺と認められる条件や証拠を具体的に説明していきます。

お金を渡したという事実を証明する証拠

まずは1のお金を渡したという事実を証明する証拠が必要です。詐欺と認められるためには金銭の授受が必須なのは当然ですが、実際にお金を渡した(貸した)ということを証明するのは案外難しいもの。とくに交際関係や婚約関係であれば、いちいち借用書や領収書を書くケースは少ないでしょう。

しかしお金を渡したという事実を証明できなければ、慰謝料を請求できません。次のような証拠があるか検討してください。

  • 借用書・念書
  • 領収書
  • 振込明細書
  • 出金・振込したことが分かる銀行の通帳
  • 相手から金銭を要求されたときのメールやLINEの内容
  • 相手とのやり取り、金銭の授受を記録した日記やメモ
  • 高額なものを買わされた、契約を結ばされたときの領収書や契約書

結婚してくれると誤解してもやむを得ない証拠

に被害者が結婚してくれると誤解しても仕方がないと判断される証拠が必要です。結婚詐欺の場合には、相手が結婚してくれると誤信したからお金を渡す(貸す)という因果関係があるため。裁判においては、相手が認めている場合を除き、客観的に婚約が成立しているといえる次のような証拠が必要です。

  • LINEやメールで相手から「結婚しよう」などというメッセージ
  • 婚約指輪や結婚指輪を購入したときの領収書、指輪の現物
  • 結婚式場の下見や予約をしたことが分かるもの
  • 結婚式場とのやり取りの記録・申込書・振込明細書の控え等
  • 両親との顔合わせや結納で撮影した写真
  • 両親との顔合わせや結納で支払ったレストランの領収書など
  • 友人や知人に婚約者として紹介したことが分かるもの
  • ブライダルサロンに登録したことが分かるもの

婚約破棄後の指輪の行方について気になる方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「婚約破棄による指輪の行方|贈った・贈られた側の立場別の対処法と慰謝料請求の可否について」

最初から金銭をだまし取る意思があったという証拠

そして、最初から金銭をだまし取る意思があったという証拠が必要です。

  • 初めからだますつもりだったと推測できるやり取り(メール・LINE・音声)
  • お金を借りるための理由が嘘であったことが分かるもの
  • 婚活サイトや婚活パーティーでのプロフィールに「独身」「未婚」「婚姻歴ナシ」などの嘘がかかれていたことが分かるもの

お金は借りていたが初めは結婚する意志があり、結婚直前になって嫌になって結婚をやめたという場合には、詐欺を証明するのが困難です。また結婚するつもりがあり後で金銭を返す意思があったのにたまたま資力がなく手返済できなかった場合には、騙し取ろうという詐欺の意思がないため、詐欺として認められない可能性があります。

LINEで浮気等の証拠を見つけるポイントについては、こちらの記事を参考にしてください。

「LINEで浮気の証拠を見つける13の方法|見つけた後にすべきことや注意点とは?」

正当な理由なく婚約を破棄されたことを証明する証拠

婚約の成立が証明できても、正当な理由に基づいて破棄された場合は慰謝料を請求できない可能性があります。例えばあなたが婚約者以外の異性と性的関係を持った場合や、あなたが勤務先や職業について嘘をついていた場合です。このようなときには相手に婚約を破棄する「正当な理由」があると認められ、あなたからの慰謝料請求は認められません。

正当な理由なく婚約を破棄されたことを証明する証拠には、次のようなものがあります。

  • こちらがメールやLINEなどで連絡しているのに、返信がないことが分かる画面
  • 相手が別れを告げてきたメールやLINE、手紙など
  • 相手の言っていた名前や住所、勤務先が嘘であることが分かる資料
  • 住所に該当がないと分かる探偵事務所の報告書

婚約成立の条件や破棄の要件については、こちらの記事を参考にしましょう。

「婚約破棄はどこから?婚約成立の条件や理由・慰謝料が発生するケースを解説」

性交渉があったことを証明する証拠

貞操権侵害として損害賠償請求するには、性交渉があったことを証明する証拠が必要です。

  • ホテルに泊まったときの領収書
  • 宿泊ありの旅行の予約表や行先での領収書、クレジットカードの利用明細書
  • 性交渉を持った後で送り合ったメールやLINEの内容
  • 性交渉を持ったことが分かるやり取りや会話の録音
  • 妊娠した場合の診断書・エコー検査の記録・医療費明細書など

独身と嘘をついていたことが分かる証拠

相手の行為の悪質性が高いことを証明する証拠として、独身と嘘をついていたことが分かる証拠も有効です。

  • 相手から「彼女がいない」「家族が欲しい」「早く結婚したい」「独身です」「子どもは〇人欲しいね」「結婚したら○○に住みたい」「新婚旅行楽しみだね」といった内容のメッセージ・音声データ
  • 婚活アプリで知り合ったことが分かるスマホやパソコンの画面
  • 結婚相談所や婚活パーティーで知り合ったことが分かる資料

慰謝料・賠償金を受け取るのは困難

もっとも結婚詐欺の証拠を確保し、裁判で慰謝料請求が認められたとしても、実際に慰謝料や賠償金を受け取ることができるかはまた別の問題です。詐欺をした加害者は、受け取ったお金を使ってしまっているケースが多いためです。強制執行をしたとしても請求した満額を受け取れるかという問題が生じ、現実的に回収するのは難しいと考えます。

結婚詐欺被害にあわないための対処法

結婚詐欺被害にあうと、金銭的被害だけでなく、精神的損害も大きいものとなります。なるべく被害にあわないためには、次のような点に注意が必要です。

具体的な話を聞く

出会ってすぐの段階では、相手のスペックが高いほど、具体的な話を聞くのがいいでしょう。まずは名刺をもらえるのならもらった方がいいでしょう。もらえなかった場合でも、会社名はもちろん役職や部署、詳細な仕事内容を聞くことをおすすめします。

相手が店舗や会社を経営しているのなら、社名や店舗名、所在地などを聞くのがベターです。このとき聞いても仕事の話を避けたり、抽象的な内容しか話さないようなら、嘘の可能性があります。疑った方がいいかもしれません。

つじつまが合っているか冷静に判断

二度目に会う約束をした場面では、その日までに前回相手が話していた内容について、つじつまが合っているか調べておきましょう。インターネットで会社名や所在地などを検索するのはもちろん、会社や店舗を経営しているのなら、実際にその場所に出向いて実在しているか確認してみましょう。

場合によっては法務局で会社の登記を取るのもいいでしょう。このような調査をした結果「検索したら詐欺被害を訴えるページがあった」「会社等が存在していなかった」「存在しているものの所在地や代表者名が違っていた」という場合も。未然に詐欺被害を防げる可能性があります。

相手の情報を集める

相手の情報をなるべく集めるのも、詐欺被害にあわないポイントです。仕事の話はもちろんのこと、出身地や家族構成、生い立ちや学歴などをそれとなく聞いて、相手の情報を集めるようにしましょう。電話する場合はあらかじめ録音するのも手です。相手が詐欺師だった場合、追いかけるのに役立つ情報が得られるかもしれません。

お金はすぐに渡さない

相手がお金を要求してきた場合でも、すぐに渡すのはNGです。渡す前には家族や友人などに相談して意見を聞いてください。このような段階になると相手への恋愛感情から、冷静な判断が難しくなるため。相手が言っている理由などを詳しく話し、騙されていないかなどを判断してもらってください。

弁護士に相談

どうしてもお金を貸したい、立て替えたいという気持ちになった場合には、弁護士に相談してください。弁護士に相談することで詐欺の可能性を判断できます。また必要であれば借用書(金銭消費貸借契約書)を弁護士に作成してもらうことも可能です。

相手の言っていることが本当なら、「ずいぶん準備がいいな」と思われるかもしれませんが、あなたの提案を拒否することはないでしょう。騙すつもりの相手であれば「弁護士に間に入られてはマズい」と考える可能性が高いです。

警察はハードルが高い

結婚詐欺を疑ったら、警察に相談に行くのも一つの手ですが、刑事事件としての恋愛詐欺や結婚詐欺を警察が事件として扱うケースはあまりありません。というのも、恋愛感情があることで単なる民事上の男女トラブルとみなされたり、証拠が乏しいことが多いので、詐欺事件として立件するのが難しいため。

ただし同じ相手に対して複数の被害届が出ている場合には、詐欺事件として捜査が進められることもあります。逮捕が怖い詐欺師は、弁護士を通じて示談を申し入れてくる可能性も。示談に応じれば不起訴処分となったり執行猶予が付く可能性が高いため、慰謝料請求や賠償金の請求に応じるケースがあります。

しかし示談に応じずに警察に逮捕されれば、逮捕されたことで開き直り、今後の慰謝料請求に応じない姿勢を取るリスクもあります。

結婚詐欺の被害にあったら…弁護士に相談

結婚を約束していたのに結婚詐欺にあったかもしれない…、結婚詐欺の被害にあって慰謝料請求をしたいというときには弁護士に相談するのがベストです。それは次のような理由からと考えます。

結婚詐欺かの判断ができる

交際相手や婚約者の言動が怪しく、結婚詐欺師かもしれないと思ったときには、自分自身で対応したりせず、弁護士に相談してみましょう。相手に対して恋愛感情を抱いている本人では、相手のことを冷静に見ることが難しくなります。しかし弁護士なら、客観的かつ冷静に状況を整理して、本当に結婚詐欺かを判断してくれるでしょう。

もし結婚詐欺だった場合でも、慰謝料を請求するために有効な証拠や証拠の取り方についてのアドバイスが受けられます。とくに詐欺師に対して金銭の返還を請求するには、示談交渉や民事訴訟、そのた法的手続きが必須です。そのためにも弁護士に相談するのがベストと考えます。

強力な調査ができる

弁護士には強力な調査権があるので、結婚詐欺師の情報を調べることが可能です。弁護士法第23条では、一定の条件のもとで公的機関又は公私の団体にかかわらず、必要な情報の報告を求めることができるとしています。

(報告の請求)

第二十三条の二弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。

2弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

引用:弁護士法|e-GOV法令検索

この調査権限のことを「23条照会」といい、相手の氏名や住民票上の住所、勤務先の調査が可能。またこれらの情報が分からなくても、携帯電話の番号から個人を特定することも可能です。

結婚詐欺でなくても慰謝料請求が可能

弁護士に依頼すると、結婚詐欺とみなされない場合でも相手に慰謝料を請求できる可能性があります。最初から相手に騙す意図があったかどうかを立証するのは非常に難しいため、詐欺を理由とすると相手から金銭の返還を求められないケースがあります。

しかしこのような場合でも、正当な理由なく婚約を破棄した場合には、婚約破棄を理由にして慰謝料請求が可能。また既婚者が独身と偽ってあなたと交際していた場合には、貞操権侵害として損害賠償請求ができます。いずれの場合でも慰謝料の請求を検討しているときには、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。

口約束の婚約で慰謝料請求が認められるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「口約束の婚約で慰謝料請求できる?婚約が認められる要件と慰謝料請求のポイントを解説」

【弁護士に依頼】金銭を取り戻すまでの流れ

弁護士に依頼した場合の、慰謝料や賠償金を取り戻すまでの流れを紹介していきます。

身元・財産調査

結婚詐欺師は偽名や嘘の住所を使用しているケースが多いため、慰謝料を請求するには詐欺師の身元調査を行わなければなりません。弁護士に依頼した場合は上で紹介した23号照会で相手の電話番号から、住所氏名等の情報を調べられます。

相手方に内容証明郵便を送付

相手の身元を特定できたら、慰謝料や騙し取られたお金の返還を求めるために結婚詐欺師との交渉を開始します。多くの場合、弁護士名で内容証明郵便を送り、相手からの連絡を待つのが一般的。場合によっては相手に電話をかけて直接交渉するという方法もあります。

弁護士に依頼した以降は、相手との連絡はすべて弁護士が対応します。基本的に依頼者に連絡がいかないので安心してください。

示談交渉をする

相手から連絡があったら、示談交渉の開始です。事前にどのような条件にするか、あなたと相談したうえで解決に向けた話し合いを継続していきます。交渉によって相手が返還を認めた場合、合意書を作成して合意内容を明確にします。

裁判を起こす

相手が結婚詐欺を認めない場合や、返還に応じない場合は、裁判所への訴訟の提起を検討します。婚約詐欺の立証が難しいときには、婚約破棄等を理由とした慰謝料請求に切り替えることも検討していきます。

裁判を起こして被害者の言い分を認める判決が言い渡された場合、判決に基づき相手の資産を差し押さえる等の強制執行手続きを取っていくケースもあります。

まとめ

結婚詐欺は結婚を前提としている相手に対して、様々な嘘の理由で金銭をだまし取ろうとする悪質な詐欺行為。マッチングアプリや婚活パーティーなど、身元のよく分からない相手と出会うときには注意が必要です。結婚詐欺は刑法上の詐欺罪に該当し、精神的苦痛に対する慰謝料や渡した金銭の返還請求が可能です。

ただし結婚詐欺と認められるためには、お金を渡したという事実や結婚することを誤信させた・誤信したという事実、結婚できないと分かっていたらお金を渡さなかったという事実の証明が必要です。それぞれで必要な証拠が変わってくるので注意しましょう。

結婚詐欺かどうか判断できない方や結婚詐欺で慰謝料請求したいという方は、弁護士に相談するのがおすすめ。結婚詐欺かどうかの判断や慰謝料を請求できるかの判断はもちろん、相手の調査や示談交渉、法的手続きまで任せられます。まずは無料相談を利用して、あなたの力になってくれる弁護士を探しましょう。

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