キスだけで「不倫」になるか?慰謝料請求が認められる要件と関係を継続する6つのリスク

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  • 「キスだけの関係だから不倫にならないはず…」
  • 「キスだけの不倫で慰謝料請求されることはあるの?」

相手が既婚者もしくは自分が結婚している状態で、キスだけの関係に陥ったとき、果たして不倫になるのでしょうか。こちらの記事ではキスだけで不倫になるのかという点を中心に、不倫・浮気・不貞行為の定義について詳しく解説してきます。

さらにキスだけの関係で慰謝料をされるケース・されないケース、実際に請求されたときの対処法についても紹介していきます。キスだけの関係を続けるのは、少なくないリスクがあります。自分もしくは相手の配偶者にバレる前に、早急に今の関係を清算しましょう。

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目次

キスだけで不倫になる?浮気・不貞行為の定義とは

まずはこちらの記事をお読みの方が一番気になる「キスだけで不倫になるか」という問題について解説していきます。不倫・浮気・不貞行為といった言葉の定義についても紹介するので、参考にしましょう。

不倫とは

「不倫」とは、1980年代から一般的に使われるようになった言葉で、結婚している男女が配偶者以外の人と性的関係を持つという意味で使われています。夫婦には配偶者以外の人と性的関係を持たないという「貞操義務(守操義務)」があるのですが、その夫婦の義務を破り、道徳的に許されない行為を行うことを不倫といいます。

自分が独身で相手が既婚者の場合だけでなく、自分が既婚者で相手が独身の場合や自分と相手どちらも既婚の場合に不倫というのが一般的です。

では「キスは不倫になるか」という点についてですが、法的な判断で考えるとキスをしただけでは不倫には当たりません。不倫には性的関係を伴うとの認識があるからです。キス以上の性交渉やそれに類似する行為があった場合に不倫といい、キスしただけで性的関係を持っていないなら、不倫ではないと言えるでしょう。

浮気と不倫との違い、不倫しているかもと思ったときの対処法は、こちらの記事を参考にしてください。

「浮気と不倫の違いはある?法律上の不貞行為の定義や『不倫しているかも』と思ったときの対処法」

浮気とは

「浮気」とは、一般的に独身・既婚者問わず、パートナー以外の相手に恋愛感情を持つことを言います。浮気の定義は人それぞれでその境界線はあいまいですが、性的関係の有無にかかわらずデートしただけでも、パートナー以外の人と親密な関係になれば、浮気と呼ばれるケースが多いようです。

そのため、パートナー以外の人とキスしただけでも、浮気とみなされる可能性があります。

心の浮気はどこからになるのか知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「心の浮気はどこから?身体の浮気とは違う対処法と離婚・慰謝料請求の可否を徹底解説」

不貞行為とは

不倫や浮気と似た言葉に「不貞行為」があります。不倫・浮気と不貞行為との大きな違いは、法律用語かどうかという点です。不貞行為は民法770条に定められている法律用語で、「法定離婚事由」の一つです。法定離婚事由とは、法律で離婚が認められる理由のことで、「既婚者が配偶者以外の人と自由な意思に基づいて性的関係を持つこと」をいいます。

通常離婚は、両者の同意がなければ成立しません。しかし法定離婚事由があると離婚裁判で認められたケースに限り、双方の合意がなくても離婚が成立します。以下では不貞行為の3つの要件について、詳しく見ていきましょう。

好きな人ができて離婚を考えている方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「好きな人ができた…離婚できるか知りたい人必見!判断のポイント&やるべき7つのこと」

婚姻関係にある

不貞行為は婚姻関係にある人との性的関係に限られるため、独身者同士の関係や同棲カップルの浮気には該当しません。婚姻届を役所に提出済みの夫婦の他に、法律婚はしていないものの、事実上夫婦と同じような生活を送っている事実婚や内縁関係の場合に不貞行為とみなされます。

婚約が成立しているカップルは婚姻関係にないものの、それに準じた関係があるとして、不倫の慰謝料請求が認められるケースがあります。

プラトニック不倫で慰謝料は発生するかについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「プラトニック不倫で慰謝料は発生する?不貞行為との違いと慰謝料相場、請求する・されたときの対処法」

性的関係がある

不貞行為は、既婚者が配偶者以外の人と性的関係を持つことを言います。ここで言う性的関係とは、挿入を伴う性行為の他に、口淫や手淫といった性交類似行為も含まれるケースが多いです。性交類似行為も含まれる理由は、夫婦の性的独占を侵害する程度が強く、性交渉と同程度の親密性があると評価されやすいためと考えられます。

そのため、「最後までしていない」といったケースでは、認められる慰謝料の金額に影響する場合はあっても、不貞行為と認められないという訳ではありません。

ラブホテルの領収書が証拠になるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「ラブホテルの領収書は証拠になる?不貞行為を証明できる証拠の種類と法的に有効な確保の方法」

当人の自由な意思に基づいている

不貞行為と認められるためには、当人同士の自由な意思に基づいていることが原則です。自由な意思とは、自分自身の判断や考えに基づいて自発的に行動を選択できることを意味します。そのため強制や脅迫、暴行を伴う行為など、自分の意思に反して無理やりさせられた場合は、不貞行為とはみなされません。

法定離婚事由の一つ

先ほど紹介した通り、不貞行為は民法第770条の法定離婚事由の一つです。法定離婚事由には不貞行為以外にも、次の4つの項目があります。

悪意の遺棄
  • 夫婦の同居・協力・扶助義務を悪意を持って履行しないとき
  • 無断での別居や長期の外泊
  • 家事や育児の放棄
  • 働く能力があるのに全く働かない
  • 収入があるのに生活費を全く入れてくれない
  • 病気で働けないのに医療費を出してくれない
  • 不貞の相手と同棲をはじめて家に帰ってこなくなった
  • 行く当てもない配偶者を家から追い出して家に入れない
  • 生活費は送られてくるが相手がどこに住んでいるのか教えてくれない

 

3年以上の生死不明 3年以上配偶者の居所が分からず、安否も不明なとき
回復の見込みがない強度の精神病 配偶者が医師の診断により回復の見込みがないと認められた精神病に罹患したとき

  • 統合失調症
  • 双極性障害
  • 早発性痴呆
  • 麻痺性痴呆
  • 失外套症候群
  • 偏執病
  • 初老期精神病
  • 認知症(アルツハイマー型・脳組織障害)
その他婚姻を継続し難い重大な事由 上記の4項目に当てはまらないものの、婚姻を継続するのが困難だと認められる理由があるとき

  • 家庭内暴力(DV)や子供への虐待がある
  • 暴言などの精神的暴力(モラハラ)・経済的DV・性的DVなどがある
  • セックスレス・性的異常・性的不能・不妊など
  • 過度の浪費や借金
  • ギャンブルや依存症(アルコール・薬物など)
  • 家事育児への非協力や放棄
  • 親族との不和(嫁姑問題など)
  • 過度な宗教活動
  • 犯罪行為や服役
  • 長期にわたる別居

慰謝料請求が可能になる

不貞行為と認められれば離婚請求はもちろん、慰謝料請求も可能になります。というのも不貞行為は、婚姻生活を平和に送るという権利または利益を侵害する行為、いわゆる「不法行為」とみなされるためです。不貞行為が原因で別居や離婚となれば、された側に慰謝料の請求権が発生します。

キスは不貞行為にならない

不貞行為は性交渉もしくは性交類似行為がなければ認められないため、キスだけの関係では不貞行為とはなりません。一般的にキスだけでは性的関係があったとまでは言いにくいからです。同様に2人きりで食事に行く、デートをする、メールなどで愛情表現をするだけでは、不貞行為とはみなされません。

人によってはキスだけでも不倫になるというケースもあるでしょうが、法的な意味での不貞行為の方が、日常的な不倫の概念よりも狭いという認識になります。

キスだけの関係を継続する6のリスク

キスだけの関係では不貞行為とみなされず、原則として離婚請求も慰謝料請求も認められません。ということで「だったらキスだけの関係を続けていてもいいのでは?」と思う方がいるかもしれません。しかしキスだけの関係であっても、それを続けていると次のようなリスクが生じる可能性があります。

不倫関係に発展する可能性が高い

キスだけの関係だったとしても、それを続けていると不倫関係に発展する恐れがあります。キスだけではお互いの高ぶった気持ちをおさえきれなくなり、その先の関係を望むようになるためです。頭では「不倫はいけない」と分かっていても、一時の感情や欲望を優先するあまりに、容易にそのハードルを飛び越えてしまう人も少なくありません。キスだけの関係には、容易に不倫関係に発展するリスクが多くあります。

職場に関係がバレる

キスだけの関係を続けていると、勤務先にバレる可能性が高まります。職場の人にキスの現場を目撃されたり、街中を仲良く歩いている姿を見られるだけでも「不倫しているのでは」という噂が出回ってしまうためです。キスだけなので不貞行為ではないという主張ができるかもしれませんが、第三者にしてみれば同じこと。噂が広まって職場に居づらくなったり、退職につながる可能性も少なくありません。

社内不倫がバレたらどうなるかについて詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「社内不倫バレたらどうなる…?社内不倫の顛末とバレる理由、バレた後の対応を徹底解説」

周囲の人間関係への影響

職場だけでなく、友人知人や親族に2人の関係についての噂が広まる可能性もあります。噂話が配偶者や子どもの耳に入れば、家族関係もギクシャクしてしまうでしょう。夫婦が不仲になり、別居や離婚を切り出されるケースも。子どもは傷つき、精神面にも悪影響を及ぼします。

自分は「キスだけ」と軽く考えていても、それがバレれば周囲の人間関係に大きな影響を及ぼします。キスだけの関係であっても、安心するのはやめましょう。

離婚問題に発展する可能性

キスだけの関係を続けていると、離婚問題に発展する可能性が高いです。キスだけで不貞行為とはならないものの、ラブホテルや相手の自宅に出入りする写真・動画を撮られると、性交渉があったと推認される恐れがあるためです。裁判に証拠として提出されると、離婚が認められる場合も。

子どもの親権を相手に取られると、近くで子どもの成長を見守ることができなくなります。財産分与で自宅や車を手放す羽目になったり、1人孤独な暮らしをせざるを得なくなります。

不倫がバレたらどうなるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「不倫がバレたらどうなる?トラブルを防ぐ対処法や慰謝料の相場・変動する要素を解説」

慰謝料を請求される可能性

キスだけの関係を続けていると、慰謝料を請求される恐れがあります。性交渉がなくても、婚姻共同生活の平和を維持する権利を侵害したと認められれば、不法行為とみなされるため。また交際の様態によっては、性交渉があったと推認されたり、婚姻生活の破綻の原因とみなされる可能性もあります。

ダブル不倫の慰謝料問題について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「ダブル不倫の慰謝料問題|ケース別慰謝料の相場と注意すべきポイント、弁護士に依頼するメリットとは」

不貞行為がないことの証明は困難

前提として、不貞行為がないことの証明は困難です。そのためラブホテルや相手の自宅に出入りする現場をおさえられたりすると、性的関係もあるのではと疑われる可能性が高いです。その証拠をもとにして離婚請求や慰謝料請求をされた場合、性的関係がなかったという主張を裏付ける根拠(証拠)がない限り、あなたの主張は認められないでしょう。

「ある」ことの証明は可能ですが、行為が「なかった」ことを証明するのは非常に難しいと認識して、キスだけの関係を続けるのは控えましょう。

キスだけの関係で慰謝料請求する方法

こちらでは、キスだけの関係で慰謝料を請求する方法や慰謝料の相場について解説していきます。

慰謝料請求が認められるケース

キスだけでは不貞行為に当たらないものの、状況によってはキスだけでも慰謝料が認められる可能性があります。こちらではキスだけで慰謝料請求が認められるケースについて紹介していきます。

社会通念上許容できる限度を超えているケース

2人の関係が社会通念上許容できる限度を超えている場合、キスだけの関係でも慰謝料請求が認められるでしょう。平成28年9月16日に東京地裁で出た判決によると、抱き合ったりキスをする、服の上から体を触るといった行為が不法行為に該当すると判断しています。

これは交際の様態が、配偶者のいる異性との交際として社会通念上許容できる限度を超えているとみなされたため。判決では、慰謝料50万円の請求が認められています。

参考:弁護士から見る不貞に関わる証拠|全日本相当調査業協会

状況から不貞行為があったと推認できるケース

キスだけの関係でも、状況から不貞行為があったと推認できるケースでは、慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。例えば次のような証拠があるケースです。

  • ラブホテルへの出入り
  • 相手の自宅への出入り
  • 旅行や出張での同室宿泊
  • メールやLINEでの性交渉があったとうかがわせる親密なやり取り

これらの状況を証拠として押さえられると、キスしかしていないという主張よりも、性交渉があったと推認されやすくなります。性交渉がなかったことを証明するのは非常に難しく、慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。

浮気の証拠がなかったときの対処法は、こちらの記事を参考にしましょう。

「浮気調査で証拠なかった…どうしたら?自分で証拠を集めるときのポイントと注意点とは?」

積極的に夫婦関係を破綻するような様態が認められるケース

キスだけの関係でも、積極的に夫婦関係を壊すような様態が認められれば、慰謝料請求が妥当だと判断されます。これは不貞行為の有無が問題なのではなく、夫婦の平穏な生活を侵害したとして責任が認められる可能性が高いためです。

具体的には既婚者の相手に対して「今すぐ離婚して」「早く別居して一緒に住んで」などの働きかけをしたケースが該当します。キスだけの関係で、メールのやり取りしか証拠がない場合でも、夫婦の関係を壊す目的で継続的に強く関与していると判断されると、慰謝料請求が認められる可能性があります。

慰謝料請求が難しいケース

逆に次のようなケースでは、慰謝料請求が難しくなります。

  • 夫婦関係がすでに破綻(別居など)している
  • 相手が既婚者だと知らず、知らなかったことに落ち度がない
  • 不貞行為を証明する証拠がない・弱い
  • 慰謝料請求の時効が到来している

キスだけの関係が発覚する前に、すでに夫婦関係が破綻している状況だと、慰謝料請求が認めらない可能性が高いでしょう。また不貞行為の慰謝料請求には、「不倫の事実と相手を知った時から3年または不倫行為があった時点から20年のいずれか早い方」という時効があります。すでに時効が到来している場合も、原則として慰謝料請求はできません。

慰謝料の相場

不貞行為による慰謝料の相場は、離婚したかどうかで変わってきます。一般的に離婚しなかった場合の金額は50万から100万円、離婚した場合は100万~300万円が相場です。

金額が変動する要件

慰謝料相場に幅があるのは、次に紹介するような様々な要素によって変わってくるためです。こちらでは、慰謝料金額が高くなるケースと、低くなるケースについて見ていきましょう。

高くなるケース 低くなるケース
  • 不倫が原因で別居・離婚した
  • 婚姻期間が長い
  • 不倫期間が長い
  • 不倫回数が多い
  • 子どもが多い
  • 子どもが未成年
  • 不倫が原因で精神疾患を患った
  • 不倫の様態が悪質である
  • 請求される側の収入や社会的地位が高い
  • 別居・離婚に至っていない
  • 不倫期間が短い
  • 不倫回数が少ない
  • 子どもがいない又は成人している
  • すでに社会的制裁を受けている
  • 反省や謝罪の態度を表明している

不貞行為で慰謝料を請求する方法

不貞行為で慰謝料を請求する場合、次のような手順で行ってください。

不貞行為を証明できる証拠を確保

まずは不貞行為を証明する証拠を確保してください。具体的には次のようなものです。

  • ラブホテルや相手の自宅に出入りする写真・動画
  • 性交渉があったことを推認できる写真・動画
  • ホテル・旅館などの領収書・クレジットカードの利用明細
  • 不倫の事実を認めた音声や念書
  • 性交渉があったことをうかがわせるメールやLINEでのやり取り
  • 探偵事務所の調査報告書

実際に性交渉の最中を撮影したものが確保できればベストですが、その現場を証拠として残すのは難しいです。そのため不貞行為があったと推認できる証拠を確保できれば、慰謝料請求が可能です。

婚外恋愛と不倫との違いについて詳しくは、こちらの記事を参考にして下さい。

「婚外恋愛と不倫との違い|婚外恋愛のリスクや影響を認識しトラブルを防ぐ対処法を知ろう」

故意または過失の証拠を集める

不倫相手に慰謝料を請求する場合は、故意又は過失があったことを証明しなければなりません。相手が既婚者だと知っていて行為に及んでいたまたは、注意していれば既婚者だと分かったという証拠です。具体的には「奥さんに内緒にしてね」「旦那さんに怪しまれなかった?」などのメッセージのやり取りです。

他にも職場が同じで既婚者だと知り得た状況や、交際期間が長く知る機会が多かったことなども過失があったという証拠になり得ます。逆に配偶者が独身と偽ってお見合いパーティーに参加して出会ったような場合は、故意や過失がないため不法行為が成立せず、慰謝料が請求できません。

直接相手と交渉する

上記のような証拠が揃ったら、まずは相手と直接交渉することから始めてください。交渉の場では、不倫の事実(いつ・どこで・誰と・何をしたか)について具体的に聞き取り、慰謝料について(金額・支払い方法・支払期限など)を話し合って決めてください。

同時に、今後の禁止事項(あらゆる手段で連絡を取らない・会わないなど)や、約束事を破った場合のペナルティについても決めていきます。最終的に聞き取った内容や合意した内容をもとに合意書を作成して、双方が署名捺印した上で一通ずつ保管します。

内容証明郵便を送る

直接相手と交渉ができないときには、相手の自宅や勤務先に内容証明郵便を送って慰謝料を請求します。内容証明郵便とは、郵便局がいつ・誰が・誰に・どのような内容の文書を送ったかを証明するサービスのこと。慰謝料の支払いを強制する法的拘束力はないものの、裁判で証拠として提出できるほか、相手に心理的なプレッシャーをかけられる点で効果的です。

調停を申し立てる

交渉で合意に至らないときには、家庭裁判所に調停を申し立てて慰謝料を請求します。相手の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出し、原則月1回の調停期日を経て慰謝料請求が妥当かや金額について話し合いを進めます。調停では裁判官や調停委員が双方の間に入り、当事者の言い分を聞いて合意に向けた解決を目指します。

ただし調停はあくまで当事者双方の合意がなければ成立しないので、どちらかが調停に出てこなかったり、交渉がまとまらないと不成立となります。

裁判を提起する

調停が不成立になった場合は、最終的に裁判となります。裁判では提出された証拠に基づいて不貞行為の有無や相手の故意・過失の有無などが争われます。裁判所から和解案を提示される場合もあり、和解に応じる場合はそこで裁判が終了します。

和解できない場合には、判決によって不貞行為の有無や慰謝料の金額が言い渡されます。判決の内容は判決書にまとめられ、法的拘束力を持ちます。相手が慰謝料の支払いに応じないときには、給与や預貯金の差し押さえも可能です。ただし解決まで半年~2年程度の時間がかかり、金銭的・精神的負担がかかる点がデメリットです。

キスだけの関係で慰謝料請求されたときは?

ではキスだけの関係で慰謝料請求される立場になったとき、どのような対処をしていけばいいのでしょうか。

無視はしない

キスだけであれば原則として慰謝料の支払い義務はありません。とはいえ、相手からの請求の連絡を無視してはいけません。相手の気持ちを逆なでするだけで、相手が弁護士に依頼したり、調停や裁判を起こせばトラブルが大きくなります。また「本当は不倫していたのにバレるのが嫌で無視しているのでは」と疑われる可能性も。

たとえキスだけの関係だったとしても、慰謝料を請求されたら無視せず対応してください。そのうえで既婚者とキスしたことへの謝罪や、慰謝料が発生しないことについて主張すべきでしょう。

性的関係がないことを主張する

相手の配偶者から慰謝料請求の連絡があった場合は、交渉の場で性的関係がないことと慰謝料を支払う義務がないことを主張してください。相手はデート中の写真やメッセージやり取りなどの証拠を出してきて「性的関係があったはず」と追及してくるかもしれません。

しかしそのような証拠だけでは、性的関係があったことを証明できません。「その証拠では性的関係があったと証明できない」と反論できます。逆に相手に「性的関係がなかったという証拠を出せ」と言われた場合は、「その証拠を用意する必要があるのは慰謝料を請求する側です」と主張してください。

相手が性的関係を示す証拠を提示できない場合には、慰謝料の支払いを拒否する姿勢を貫いてください。

既婚者だと知らなかったことを主張する

相手が独身だと思って交際していた場合には、既婚者だと知らなかったと主張する必要があります。あなたに故意や過失がなければ、慰謝料を支払う義務がないからです。例えば次のようなもの証拠になり得ます。

  • 相手が「独身だよ」と述べた内容のやりとり
  • 「子どもができたら」「将来結婚したら」など、独身を前提とした会話
  • 配偶者のことを「元嫁」「元夫」などと呼んでバツイチだと思わせた内容
  • 婚活アプリで独身と書かれた相手のプロフィール画面
  • 独身者限定の婚活パーティーや結婚相談所で知り合ったことが分かる資料

他にも、交際期間が短くて相手が既婚者かどうかを知る機会が少ないことを示す証拠も有効です。

謝罪した上で二度と会わないと誓う

慰謝料の支払いを拒否する一方で、キスしたことが事実であればその行為について相手配偶者に謝罪し、今後二度と二人きりで会わないことを約束してください。職場が同じなど、どうしても顔を合わせざるを得ないときには、業務上以外の会話はしない、個別に連絡を取り合わないことを約束しましょう。

相手はあなたとの関係を終わらせる目的で、慰謝料を請求している可能性もあります。二度と会わないことを約束すれば、慰謝料請求を取下げてくれる可能性があります。トラブルをこれ以上大きくしないためにも、これまでの行為を謝罪して、既婚者との関係は終わらせてください。

当人だけで解決できないときには…弁護士に相談

自分だけで解決できそうもないときには、法律の専門家である弁護士に相談してください。交際の様態が不貞行為に該当するかどうかや慰謝料の支払い義務があるかなどを判断してもらえます。多くの弁護士事務所では、初回の相談を無料で行っているので、そこでアドバイスが得られれば自分で解決できる可能性が高まります。

実際に弁護士に依頼した場合は、相手との交渉をすべて任せられます。不貞行為がないことを証明した上で、慰謝料の支払いを拒否してもらえます。専門家に依頼すればある程度の費用は掛かりますが、請求された金額をそのまま支払うよりも経済的負担を抑えられ、直接やり取りすることによる精神的負担を減らせ、早期のトラブル解決が期待できます。

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キスだけの関係を理由に離婚できる?

ではキスだけの関係が理由で、配偶者と離婚はできるのでしょうか。

相手と合意できれば離婚できる

双方が離婚に合意していれば、どのような理由であっても離婚できます。日本で9割が選択している協議離婚では、離婚理由が何であれ、双方が署名した離婚届を役所に提出すれば離婚が成立します。財産分与や子どもの親権など、離婚条件で揉めている場合でも、離婚調停を経て合意できれば離婚することができます。

相手が拒否している場合は「法定離婚事由」が必要

一方で相手がかたくなに離婚を拒否している場合には、民法で定められている法定離婚事由が必要になります。キスだけの関係でも不貞行為があったと推認できるケースでは、ホテルや相手の自宅に出入りする写真・動画を証拠に離婚が認められる可能性が高いです。

しかし不貞行為の証拠を得られないときには、悪意の遺棄やDV・モラハラ、長期の別居といった他の離婚理由が必要になります。どのような事情が法定離婚事由として主張できるのかに関しては、弁護士に相談したうえで検討してください。

離婚裁判の期間や手続きの流れについて詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚裁判の期間を手続きの流れごとに解説!長引くケース・期間を短縮する秘訣とは?」

まとめ

キスだけで不倫になるかどうかは、不倫の定義についての考え方によるものの、一般的には不倫にならないと考えられます。一方で浮気とみなされる可能性が高く、キスだけでも関係を続けていると、周囲にバレたり離婚や慰謝料を請求されるリスクがあります。

キスだけの関係は法的に不貞行為とはみなされませんが、社会通念上許容できる限度を超えている場合や、不貞行があったと推認できるケース、積極的に夫婦関係を破綻させるような言動があった場合には、慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。

キスだけの関係で相手の配偶者から慰謝料を請求された方は、無視をせず性的関係がなかったことを主張してください。また既婚者だと知らなかったことを証拠と共に示し、真摯な態度で謝罪するのもポイントです。相手とトラブルになりそうなときには、早めに弁護士に相談したうえで適切な対応をとりましょう。

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