離婚調停は弁護士なしで対応できる?依頼したほうがよいケースとメリット・デメリット

離婚調停は弁護士なしで対応できる?依頼したほうがよいケースとメリット・デメリット
離婚調停は弁護士なしで対応できる?依頼したほうがよいケースとメリット・デメリット
  • 「離婚調停を考えているが、正直弁護士費用はかけたくない…」
  • 「弁護士に依頼しないと離婚調停は不利になる?」

離婚調停とは、離婚について話し合いがまとまらない時に家庭裁判所に間に入ってもらい、調停委員の仲介のもと話し合いを進める手続きのこと。裁判所を利用した手続きですので、弁護士に依頼する必要があると思っている方もいるかもしれませんが離婚調停は弁護士なしでも対応が可能です。

ただ離婚調停を弁護士なしで申し立てる事にはデメリットもあります。この記事では離婚調停を弁護士なしで対応することのメリットとデメリットを紹介します。また離婚調停を弁護士に依頼したほうがよいケース自分で離婚調停を申し立てる手順についても解説していますので、これから離婚調停を検討している方はぜひ参考にしてください。

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離婚調停は弁護士なしでも対応できる

離婚調停は家庭裁判所に申立てを行う手続きです。そのため弁護士に依頼しなくてはいけないと思う方もいるでしょう。しかし実際には弁護士に依頼せず調停を申し立てる方もいます。

離婚調停で弁護士に依頼しない人の割合

実際に離婚調停において弁護士に依頼した人の割合は、家庭裁判所が裁判所のホームページで公表しているデータで確認ができます。令和3年の手続代理人弁護士関与率は以下の通りです。

双方に代理人なし 35.9%
申立人にのみ代理人あり 27.0%
相手方にのみ代理人あり 4.9%
双方に代理人あり 32.2%

参考元:裁判所|家庭裁判所における家事事件及び人事訴訟事件の概況及び実情等

「双方に代理人なし」「相手方にのみ代理人あり」を合計した40.8%の方が、弁護士に依頼せず自分で調停申立を行っているという計算です。全体の半分までは及ばないものの、決して少ない数字ではありません。

弁護士なしの離婚調停でかかる費用

弁護士に依頼せず離婚調停を申立てる場合、依頼する費用がかからないため金銭面での負担を大きく削減できます。自分で調停を行う際にかかる費用は以下の通りです。

収入印紙代
(夫婦関係調整調停)
1,200円
戸籍謄本 450円
切手代 800円程度
(家庭裁判所による)
住民票 200円~400円程度
(自治体による)

離婚だけでなく財産分与や慰謝料、養育費の請求も同時に申し立てた場合、その分の収入印紙が追加でかかります。例えば上記に併せて財産分与と養育費の請求を申し立てた場合、それぞれに対し収入印紙代が1,200円、合計3,600円分の収入印紙が必要です。

以上を考慮しても、弁護士に依頼をしたときと比べて非常に低い金額で申立てができます。

離婚調停を弁護士に依頼した際の費用

弁護士費用の形態や相場は法律相談所によって異なります。しかし大半の法律事務所が費用を着手金成功報酬金の2つに分けており、成功報酬は調停における成功の度合い、経済的利益によって算出されることがほとんどです。

着手金

弁護士に依頼した際にかかる費用のことです。相場はさまざまですが、離婚調停の場合は20万円~40万円程度が目安です。

成功報酬金

慰謝料や財産分与の請求の場合は獲得した金額の10%~20%程度が相場です。離婚の成立、子どもの親権獲得など金銭が絡まない問題について依頼した場合は10万円~30万円程度を成功報酬として支払います。

弁護士なしで離婚調停を行う手順

では実際に弁護士に依頼せずに自分で離婚調停を申し立てるにはどうしたらよいかを解説します。離婚調停は正式には夫婦関係調整調停と呼ばれ、家庭裁判所の管轄です。相手の住所を管轄する家庭裁判所に申立てを行いますが、相手の同意が得られれば別の家庭裁判所でも問題ありません。

離婚調停の申し立て

相手の住所地、もしくは当事者同士が合意で決めた家庭裁判所に、必要な書類と費用を準備して提出を行います。必要な費用は先に解説をした通りですが、切手代は家庭裁判所によって異なりますので、あらかじめ確認をしましょう。必要な書類は以下の通りです。

  • 申立書とその写し1通
  • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 年金分割のための情報通知書
  • など

裁判所によっては、上記以外にも事情説明書や連絡先の届出書などが必要になります。用紙は裁判所のホームページで取得できますが、家庭裁判所でもらうことも可能です。

調停で離婚後の年金分割割合についても申し立てる場合は年金分割のための情報通知書も提出が必要です。年金事務所もしくは各共済窓口で申請することで取得可能です。

期日調整

離婚調停を行う日(調停期日)は、家庭裁判所側の調停室の空き状況や裁判官・調停委員のスケジュール、申立人や相手方のスケジュールを踏まえた上で決められます。家庭裁判所は平日のみ開廷しているため土日や祝日に調停は行いません。

一度決定した期日を変更したい場合、その旨を担当裁判官に伝え、裁判官の判断によって決めてもらう必要があります。ただ期日の変更は余程の事情がないと行えません。病気やケガで延期をしたい場合は診断書の提出が必要です。

調停期日

指定された日時に家庭裁判所に行くと、当時者それぞれ別の控室に案内され、片方ずつ調停室に呼び出されます。離婚調停は裁判とは違って非公開の手続きです。調停室は小さな会議室のような部屋で行われるのが一般的であり相手と顔を合わせることはありません。

一回の調停では大体2~3回ずつ調停委員と話を行い、双方の主張がまとまらない際には次回期日を設定します。この時追加の資料の提出を求められるケースも。

調停の終了

調停は一回きりでなく1~2ヵ月ごとに数回行います。多くの場合3回程度の調停で成立もしくは不成立が決まります。

調停不成立の場合

複数回調停を行ったにも関わず、話し合いが発展せずこれ以上調停を継続しても意味がないと裁判所が判断した場合、調停不成立として調停が終了させられます。原則として不成立にするかは裁判所が決めますが、当事者側から不成立にするよう希望を出すことも可能です。

調停不成立になった場合、離婚訴訟を行うか検討することになります。離婚訴訟で離婚が認められる条件は、相手方に以下の法的離婚事由があるかどうかが重要です。

  • 不貞行為があった
  • 扶養義務を果たさないなど、悪意の遺棄があった
  • 生死が3年以上不明である
  • 強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
  • その他婚姻を継続しがたい何らかの理由がある

離婚訴訟は調停よりも多大な時間と手間がかかるため、弁護士なしで挑むことはお勧めできません。また調停と違い裁判は法廷で行われますので、第三者に傍聴される可能性があります。法的離婚事由に基づいて離婚を請求する場合は客観的な証拠が必要になる点にも気をつけましょう。

調停成立の場合

調停がお互いの同意によって終了する場合、話し合いの内容に沿って調停調書を作成します。そして調停の最後に当事者同士が調停室に入り、裁判官が調書を読み上げて確認を行います。

調停証書は離婚手続きに必要ですので、調停終了時に手数料を支払い交付手続きを受けてください。そして調停終了から10日以内に離婚届を提出します。調停を経た離婚は、離婚届に相手方や証人の署名・押印は要りません。

相手側が調停を申し立てた場合

調停の申し立ては相手の同意なしに行えます。相手があなたに事前告知なしに調停を申し立てていた場合は突然裁判所から調停申立書が届くことになります。そこで相手側が調停を申し立てた場合の対処法についても解説します。

指定された期日に出席できるようにする

裁判所の通知書には調停の期日が指定されていますので、その日に出席ができるよう調整を行ってください。どうしても出席が難しい場合は裁判所に期日変更の申し立てを行います。

健康上の理由で外出が難しいなど、特段の事情がないと期日の変更はできません。万が一欠席する場合でも、あらかじめ裁判所に連絡をした上で欠席するようにしてください。

答弁書などを提出する

裁判所からの通知には答弁書が同封されています。自分の主張を書き指定された回答期限までに家庭裁判所に提出しましょう。提出せずにいると調停委員の心証が悪くなり、調停で不利な立場になる恐れがあります。

弁護士なしで離婚調停を行うメリット・デメリット

離婚調停は弁護士に依頼しなくても対応ができます。しかし弁護士に依頼すべきなのか迷っている方に向け弁護士なしで離婚調停を行うメリットとデメリットを紹介します。

メリット

離婚調停を弁護士に依頼しないメリットは費用を抑えられることです。自力で離婚調停を行った場合、かかる費用は申立て費用も含め合計3千円程度です。

一方弁護士に離婚調停を依頼した場合、着手金だけで20万円~40万円程度はかかります。弁護士への依頼によって離婚が成立した場合は成功報酬の支払も必要です。慰謝料や財産分与についても争った場合、得られた金額の10%~20%程度を成功報酬として支払わなくてはいけません。

離婚調停でかかる具体的な費用については以下の記事でも詳しくまとめていますので、併せてお読みください。
離婚調停にかかる費用とは?裁判所・弁護士費用の詳細や一括で払えないときの対処法も

デメリット

弁護士なしで離婚調停を行うことのデメリットは複数あります。手続きを全て自分で行うため手間がかかる点、漏れが生じやすい点が挙げられます。また何度も離婚問題に対応している弁護士とは違い、大半の方が初めて調停を行うことになりますので、知識不足によるデメリットも生じます。

準備を全て自分で行わなくてはいけない

離婚調停を申し立てる際には申立書を作成する必要があります。離婚以外に親権や慰謝料についても調停を行いたい場合、その事案ごとに申立書が必要です。また申立書以外にも戸籍謄本など、さまざまな書類を揃えなくてはいけません。弁護士に依頼をすることにより書類の準備や作成を代行してもらえます。

しかし依頼しない場合は書類の準備や作成、提出までを全て自分で行います。財産分与の調停も併せて申し立てる場合、夫婦の財産に関する資料も全て準備しなくてはいけません。

離婚条件に漏れが生じる場合がある

本来離婚をする際には、財産や子どもに関することなど決めるべきことが多くあります。弁護士なしで調停を行っていると決めなくてはいけない重要な事柄が見逃され、調停後に問題が生じる恐れがあります。

調停委員や裁判官が確認してくれれば問題ないのですが、離婚調停では離婚するか否かに焦点を合わせて進行していくため、調停委員や裁判官が決めるべきことを指摘してくれるとは限りません。

調停委員に主張が伝わらない場合がある

離婚調停では相手と直接話すのではなく、調停委員と話をして問題の解決を図ることになります。調停委員は中立的な立場ですが、話し合いを進めるためにどちらかの主張を尊重することがあります。調停を有利に進めるためには調停委員に主張を理解してもらい、自分の味方になってもらうことが非常に重要です。

しかし調停委員も人間ですので必ずしもあなたと話が合うとは限らないことに注意してください。相手の悪い点を伝えても必ず共感してもらえるとは限りません。感情を相手にぶつけることで、かえって調停委員の心証を損ねることもあります。

相手の提示する条件が妥当か判断ができない

弁護士なしで調停を行う場合は相手が提示する条件が妥当かどうか、法律に合っているか判断できないというデメリットがあります。

特に相手側が弁護士に依頼している場合は厳重な注意が必要です。調停委員は中立的な立場ですが、全員が法律に詳しいわけではありません。そのため相手側の弁護士の主張に対し、的確に反論できないケースのほうが多いです。

それどころか調停委員が相手側弁護士の主張をそのまま受け入れ、不利な条件を受け入れるようあなたを説得してくることもあります。

調停委員は法的知識が豊富とは限らない

調停委員に任命されるのは離婚問題に詳しい人だと思っている方がいるかもしれませんが、全員がそうとは限りません。調停委員を務められるのは以下の3つの条件のいずれかに当てはまる人です。

  • 弁護士の資格がある人
  • 民事や家事の紛争の解決に役立つ専門知識や経験がある人
  • 人格識見が高い40歳以上70歳未満の人

調停委員になるには特別な資格は必要なく、法的知識がなくても務められます。そのため相手が調停であなたに著しく不利な条件を提示しても調停委員が条件が妥当か判断できないということは決して珍しくありません。

弁護士に離婚調停を依頼したほうがよいケース

弁護士に依頼せず離婚調停を行うことにはデメリットがあります。しかし依頼費用が気になり決断ができずにいる、という方もいるでしょう。そこで最後に弁護士に離婚調停を依頼すべきなのはどのようなケースなのかを紹介します。

有利な条件で離婚を成立させたい場合

先の項目でもお伝えしたとおり、弁護士なしで離婚調停に臨んだ場合、自分にとって不利な条件を提示され、同意するよう説得されることがあります。条件に関係なく離婚問題を早く解決したいのであれば問題ありませんが財産分与や親権、養育費や慰謝料などについて有利な条件で離婚したい方は弁護士に依頼しましょう。

離婚問題への対応実績が豊富な弁護士は、どのような対応をすれば依頼者にとって有利に離婚ができるかを熟知しています。相手側が不利な条件を提示してきた際も、法律や今までの事例を根拠にきっぱりと否定し、条件を改めるよう冷静に対応をしてくれます。

調停委員とのやりとりが不安な場合

離婚調停における調停委員は男女一名ずつが任命され、性別による不公平さが生じないよう配慮されています。しかし調停委員が必ずしもあなたの味方になってくれるとは限りません。

また調停委員に対し「話しにくい」「相手の味方ばかりしてる」などの不満があったとしても、原則として調停委員の変更はできません。有利な離婚ができるかどうかは担当になる調停委員次第であると言わざるを得ません。

調停室は弁護士も同席できますので、調停委員とのやりとりを弁護士に任せたり、助言をもらったりできます。離婚問題を多く請け負う弁護士は調停委員とのやりとりにも慣れているため、調停委員を味方につけやすくなります。

離婚調停後のトラブルを避けたい場合

離婚は離婚届を提出できれば成立するものですが、実際には財産分与や親権、養育費などの問題がどうしても絡むため、決めておくべきことも多いです。弁護士に依頼せず調停を進めた場合はそのことに気づかず、後から「離婚の時に決めておくべきだった」と後悔することも実際にあります。

相手に連絡を取り、再度話し合いができれば問題はありません。しかし中には「相手とはもう縁を切りたい」「一切関わりたくない」と考えている方もいるはずです。調停で離婚に関する事柄を全て決めておきたい方、調停後にトラブルが発生するのをできるだけ避けたい方は弁護士に依頼しましょう。

相手と離婚自体を争っている場合

調停で離婚をするかしないかを中心に話し合いをする場合も、弁護士に依頼することをお勧めします。もし相手側が離婚に反対する意思が強い場合、調停が不成立になり裁判へ移行する可能性が高いためです。

離婚裁判は調停よりも遥かに手間と時間がかかります。また状況によっては裁判で離婚が認めてもらえないこともあるためより慎重な対応が必要です。

そのため相手が離婚に反対しており、調停では解決ができそうにない場合、調停の段階で弁護士に依頼をしておくことをお勧めします。調停不成立になった後の裁判への移行もスムーズです。

仕事が忙しく準備や出頭が難しい場合

離婚調停を申し立てる際は、様々な書類を準備しなくてはいけません。書類の中には平日昼間にしか申請・受取ができないものもあるため、平日が仕事で忙しい方は申立前の準備だけでかなりの時間がかかります。弁護士に依頼することで書類の準備を一任できます。

また裁判所は平日のみの開廷ですので、調停は全て平日の昼間に行われます。離婚調停は原則として本人が出席しなくてはいけませんが、どうしても日時の調整ができない場合は代理権のある弁護士のみの出席でも可能です。平日は仕事で忙しい方は弁護士へ依頼をしたほうが離婚問題を早く解決できます。

まとめ

離婚調停は弁護士に依頼をしなくても申し立てが可能であり、実際にそうしている方も決して少なくありません。自分で手続きを行うことにより費用を大きく抑えられます。ただ書類の準備を全て自力で行わなければならず、調停も全て出席をしなくてはいけません。平日の日中に仕事をしている方はなかなか時間がとれず離婚手続きが先延ばしになる恐れが。

また離婚調停において決めるべきことに漏れが生じる、調停委員とのやりとりがうまくいかず自分に不利になる恐れもあります。自分にとって有利な条件で離婚したい方、調停後のトラブルを避けたい方は弁護士に依頼をすることをお勧めします。書類の準備や作成が一任でき、調停を有利に進める助言も得られますので、スムーズに手続きが進められるはずです。

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