- 「最近夫婦間の雰囲気がよくない、夫婦関係はもう終わりかもしれない…」
- 「相手と離婚したくない。気を付けるべき兆候はある?」
愛し合って結婚したはずの夫婦でも、さまざまな理由により離婚をすることがあります。そのような夫婦はある日突然離婚を決めるわけではありません。夫婦生活の中ですれ違いや摩擦が生じ、それが取返しがつかなくなるほど大きくなった結果離婚を決断します。
離婚には何らかの前兆やサインがあります。そこで今回は離婚する夫婦の前兆について解説しそれに気づいた時の対処法を解説していきます。現在夫婦生活について悩みを抱えている方、相手が離婚を考えているか不安になっている方はぜひ参考にしてください。
離婚する夫婦の前兆・予兆とは
それではまず離婚する可能性がある夫婦に見られる前兆や予兆について、具体的な例を挙げながら紹介していきます。また親との同居など離婚の可能性を高める可能性がある出来事についても解説します。
性格の不一致
結婚して生活を共に過ごしていくうち、今までは気にとめていなかった性格の不一致に気づき気になり始めることがあります。もしくは最初は「自分とは合わない」と感じていても然程ストレスにならなかった事柄に対し、ある日突然気になりはじめ嫌悪感を抱くようになることも。
性格が合わないくらいで離婚になるのだろうか、と思う方もいるかもしれません。しかし令和2年度の裁判所の司法統計によると、裁判所に申し立てれらた婚姻関係事件において、もっとも理由が多かったのは夫妻ともに「性格が合わない」でした。
(参考:裁判所|令和3年 司法統計年報(家事編))
例えば休日は家でゆっくり休養したい夫と、どこかに出かけたい妻。外食や食べ歩きが好きな夫と、外での食事が苦手な妻。これらのように好みが正反対だった場合、片方がもう片方に合わせなくてはならずストレスが積み重なっていきます。
数回であれば問題はないかもしれませんが、夫婦生活は長いものです。いずれ我慢の限界が訪れ離婚を視野に入れるようになります。
価値観の相違
性格の不一致と重複する部分もありますが夫婦間の価値観の相違も離婚の原因になります。具体的には育児や介護、金銭感覚などです。
例えば子育ての場合、子供を厳しく育てるか否かで意見が対立する傾向があります。夫婦どちらかは早いうちから受験をさせたいと考えているにも関わらず、もう一方はのびのびと育てたいと思っているようなケースです。
価値観による選択は人生に大きな影響を与えることが多いため、大きな違いがあった場合はお互いに許容することができず離婚に発展する可能性が。
夫婦の会話が減る
夫婦間の会話が減ってきた場合も要注意です。会話不足が引き金となりすれ違いが生じ、離婚にまで発展する恐れがあります。会話が減る理由としては相手への関心の薄れ、もしくは生活時間が合わなくなったことが挙げられます。
相手への関心が薄れる
お互いに一緒に自宅で過ごしているものの、相手に関心が持てず会話する意思を持てない状態です。
「好きの反対は無関心」というマザー・テレサの名言を聞いたことがある方もいるでしょう。パートナーに対しイライラすること、口論することも問題ではありますが、相手に関心が持てており夫婦関係を改善したいという意思があるため、危険度は低めです。
相手に無関心ということは相手に興味が持てず、関係を改善しようという意思も抱けないということです。このような状態では夫婦関係を続ける意味も見出すことができません。
生活時間が合わない
仕事などの都合で一緒にいられる時間が少なくなり、会話をする機会そのものが失われるパターンです。会話ができないとお互いの気持ちを共有できず、心が離れていきます。些細なことをきっかけとしたすれ違いが生じやすくなり、離婚へ発展する恐れが高まります。
浮気・不倫
夫婦どちらか、もしくは両方の浮気や不倫は離婚の前兆です。恋愛を経て結婚をした場合でも相手にずっと新鮮な気持ちを抱き続けることは難しく、長い人生の中でパートナー以外の人に恋愛感情を抱くこともあるかもしれません。しかし実際には家族のことを思い、不倫には至らないという方が大半のはずです。
しかし中には不倫を実行し、それをきっかけに離婚をする人もいます。不倫が原因で離婚をするパターンには以下の2通りがあります。
- 不倫された側が離婚を考える
- 不倫をした側が離婚を考える
不倫された側が離婚を考える
不貞行為は法的離婚事由として定められている事柄の一つで、パートナーへの最大の裏切り行為であるとも言えます。不倫された側は大きな心の傷を負うだけでなく相手が信じられなくなるため、夫婦関係に大きな亀裂が入ることになります。
不倫をした側が離婚を考える
不倫をする人の多くは夫婦関係を継続したまま不倫関係を続けようとしますが、中には不倫相手を本気に好きになってしまい、今のパートナーと離婚して新しい人生を送ろうとする人もいます。
口論が増える
人が一緒に過ごしている以上、口論が発生することは仕方がないことです。しかし口論が増えて減る気配がない、もしくは毎日口論ばかりの生活になっている状態は大変危険です。
口論が続く状態はお互いの関係が悪化したまま回復ができていない状態です。素直に謝罪ができない、感情が抑えられないことを理由に口論を続けていると、顔を合わせることさえも苦痛になり離婚を考えるようになります。
また口論がヒートアップすることにより離婚に直結するような発言をしてしまうこともあります。
- 「結婚するんじゃなかった」など結婚を否定する発言
- 夫の稼ぎへの文句など、相手のプライドを大きく傷つける発言
上記のような発言は相手の心を大きく傷つけるものであり、後から「悪気はなかった」「怒りすぎてしまった」等と言い訳をしても許してもらえない可能性が高いです。
DV
DVの被害に遭っている人はパートナーから強い影響を受けているため、離婚すべきかどうかの判断力が鈍りがちです。しかしDVは離婚のサインである上、立派な犯罪です。
今被害に遭っているという方は、まずは自分の身を守るためにパートナーと距離を置くことを考えるべきです。DVを放置することは身体・精神ともに大きな傷を負う行為であり、最終的にはあなたや家族が生命の危機に晒される恐れもあります。
無駄遣い・浪費
買い物やギャンブルに夢中になり、常軌を逸するほどの浪費をするようになった場合も離婚のサインです。
夫婦生活においては金銭面でもお互いに協力していく必要があります。「家を建てたい」「老後に備えたい」など、財産に関する目標を共有する夫婦も多いはず。
それにも関わらずお金をギャンブル等に使い込むという行為は自己中心的であり、夫婦関係を省みない行為であると言えます。浪費を止められない場合はやがて生活費にも困るようになり、夫婦生活に亀裂が入る恐れも。
なお、浪費をしてしまう背景には何らかのストレスがあることが多いです。お金を使うことがストレス発散になっているということです。浪費を辞めさせたい場合はまずはその原因を探らなくてはいけません。
セックスレス
病気など特別な理由がないにも関わらず、夫婦間の性交渉が長い間ない状態をセックスレスと呼びます。夫婦ともに性交渉に関心がなく、精神的な繋がりを重視しているのであれば問題はありません。
しかし夫婦の片方が性交渉を希望しており、もう片方がそうでない場合は極めて危険です。性交渉を断られることで心に深い傷を負い、夫婦関係が壊れる恐れがあります。
親との同居
未婚・既婚であるに関わらず、人生において避けて通れない問題の一つが親の介護問題です。結婚したばかりの時は親と別居していても、親が歳をとり心配な状況になった場合や介護が必要になった場合は同居しようと考えている方もいるはずです。
しかし親との同居をきっかけに夫婦関係が悪くなり、離婚問題にまで発展することもあります。義両親と関係がうまくいかず離婚するケース、そして自分の親と暮らすことで離婚するケースです。
義両親とうまくいかず離婚
結婚生活において、相手の親が苦手だと感じている人は少なくありません。別々に住んでいるからこそ問題なく関係を続けることができていたにも関わらず、同居することになり離婚を決断した、という人もいます。
また義両親の介護が原因で離婚する事例も多いです。介護は実の親でも大変ストレスが溜まるものです。「嫁だから夫の親の面倒を見るのは当然」というような考えのもと介護を押し付けられ、それなら離婚したほうがよいと離縁を決断する人もいます。
自分の親と住むために離婚
自分の親を介護するために実家に帰り、そのまま離婚するという事例も実際にあります。また自分の親を優先する妻に対し、夫側が「俺の親を優先しろ」と主張したことにより離婚になったケースも。もともと親子関係が良好だった場合は夫より自分の親を選ぶということもあり得ます。
離婚の前兆に気づいた時の対処法
離婚の兆候を放置していると事態が悪化していき、最終的に本当に離婚を決断することになりかねません。それでは離婚のサインや前兆に気づいたときにどうすればよいのか、具体的な対処法を解説していきます。
夫婦関係を改善できないかを話し合う
まずはお互いに現在の状況について話し合うことが重要です。事柄によっては話題に出したくないこと、このままで我慢できると思っていることもあるかもしれません。しかし放置をし続けて物事が悪化することがあっても、改善することはほぼありませんので、現状に向き合うことが大切です。
夫婦で話し合う上で大切なことは感情的にならず冷静に話し合うことです。夫婦生活において不満を抱えているのはあなただけではなく、相手も同様かもしれません。今まで口に出せなかった不満が爆発し、相手が感情的になる可能性もあります。
双方が感情的になった場合、大きな口論に発展し離婚に向かう恐れがあります。そうならないため冷静に構え、落ち着いて話し合いに臨むようにしてください。
離婚のメリット・デメリットを考える
離婚手続きそのものは離婚届を提出するだけで完了しますが、実際に離婚するとなると財産分与や養育費、そして離婚後の暮らしをどうするかについても考える必要があります。
離婚にはそれ以外のデメリットもあります。地域によっては離婚することでずっと陰口を言われ続けるケースがあります。また社会において「離婚する人に責任のある立場は任せられない」と考える人も未だに存在しますので、離婚が出世に影響する可能性がゼロとは言えません。
離婚は結婚よりも手続きが煩雑な上、精神的な負担がかかります。離婚をすることによってストレスからは解放されるかもしれませんがデメリットに見合ったメリットがあるのかどうかを考えましょう。
離婚を決断する前に確認すべきこと
離婚は人生を変える大きな出来事ですので、一時の感情だけで決めるべきことではありません。離婚後に後悔しないよう、以下のことを必ず確認してください。
- 経済的に自立した生活ができるかどうか
- 明確な離婚理由や証拠
- 請求可能なお金や資産の確認
経済的に自立した生活ができるかどうか
専業主婦(主夫)の場合、離婚後は自分の稼ぎで生計を立てていくことになります。シングルマザーの場合自治体からさまざまな支援が受けられますが、それだけで暮らしていくことは難しいでしょう。離婚後の仕事はどうするか、家を出る場合はどこに住むかをあらかじめ考えるようにしてください。
明確な離婚理由や証拠
相手がもし離婚に応じなかった場合、離婚調停によって離婚手続きを踏むことになります。離婚調停で離婚が成立しなかった場合は訴訟によって離婚を行うことになりますが、以下のいずれかの法的離婚事由に該当しないと離婚が認められません。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 配偶者が3年以上生死不明
- 配偶者が強度の精神病になり回復の見込みがない
- その他婚姻を継続しがたい重大な事由
該当する理由がある場合は証拠もあらかじめ準備しておくことにより、離婚手続きを有利に進めることができます。
請求可能なお金や資産の確認
離婚の際には財産分与が行われ、婚姻中に築いた財産が均等に分与されます。婚姻中の収入に関係なく、夫婦ともに同額の金額を受け取れます。また子供がいる場合は養育費を受け取ることができます。養育費の金額は相手の収入や子供の数によって相場が決まっていますので、裁判所や弁護士事務所で確認しましょう。
また相手の不貞行為、DVなどが原因で離婚する場合は慰謝料を受け取れる場合があります。請求の基準、金額は個々の事情によって異なりますので、気になる方は法律事務所の無料相談などで確認をしてみてください。
カウンセリングを利用する
夫婦間だけで関係を改善することが難しいと感じた場合は離婚カウンセリングなど相談機関の利用も検討しましょう。
夫婦間に関する問題は人になかなか相談しずらいものです。相談するのであれば親しい人や身内に、と考える方も多いかもしれません。しかし身内に相談をした場合、どうしても客観的な助言を得ることができません。身内である以上あなたに味方をするのは当然であり、相手が配偶者をどう思っているかによっても意見が変わってくるでしょう。
敢えて第三者の意見を聞くことで自分がどうすべきか、どのような方法が最善なのかをよく考えることができます。
離婚カウンセリングは具体的にどのようなものなのか、カウンセリングの選び方やメリット・デメリットについては以下の記事で詳しく解説をしていますので、気になる方は併せてお読みください。
離婚カウンセリングは役に立つ?相談内容や注意点、メリット・デメリットを解説
弁護士に相談する
夫婦関係が改善されず、離婚を視野に入れ始めた方は法律事務所の無料相談を活用し、弁護士に相談することをお勧めします。離婚手続きは弁護士に依頼をしなくても行うことができますが、弁護士に相談することで以下のような利点があります。
- 法的に離婚ができるかどうかを確認できる
- 受け取れる可能性がある養育費、慰謝料が分かる
- 相手との交渉を全て任せることができる
離婚問題に詳しい弁護士は、慰謝料が発生するケースや養育費の相場などを知り尽くしています。夫婦の状況を伝え相談することにより自分に有利な条件で離婚手続きを進めることができます。
また弁護士に依頼をすると相手との交渉を全て委任できることもメリットです。離婚するのであれば、法的な手続きだけでなく新しい生活の準備も必要です。弁護士に依頼をすることで交渉を全て任せ、自分は仕事や住居探しに専念できます。
もし相手から離婚を切り出されたら
既に夫婦の間に離婚の前兆があった場合突然相手から離婚を切り出されるという可能性も充分にあり得ます。では実際に離婚したいと言われたとき、どのように対処すればよいのかについて詳しく解説していきます。
離婚届不受理申出をする
もしあなたが離婚したくないのであれば、まずは関係の修復を試みるのが一番です。しかし相手が勝手に離婚届を出してしまうというケースもありますので、まずはそれを防ぐために本籍地に離婚届不受理の届け出をしておきましょう。この届け出をしておけば、相手が勝手に離婚届を提出しても受理されません。
離婚の原因を探る
関係を修復するためには相手がなぜ離婚を決断したのかを確認してください。夫婦の間に既に離婚の兆候がある状態で離婚を切り出された場合、「やっぱりそうだったか」「仕方がない」というような諦めに似た気持ちになるかもしれませんが、あなたが予想した理由以外の事情が隠れている可能性があります。
離婚はやむを得ないと思っていたとしても、相手が離婚を決断した理由を探りましょう。そしてもしあなたが離婚したくないと考えている場合、状況を改善するよう試みてください。
弁護士に依頼をする
離婚が避けられそうにない場合は弁護士を代理人に立て離婚の交渉をしてもらうことをお勧めします。先に触れた通り、離婚は相手の同意がないとできません。あなたに法的離婚事由があれば裁判で離婚が認められますが、法的な離婚原因がない場合はあなたが同意しない限り離婚はできないということです。
そのような状況で相手が離婚を希望している場合、何とかあなたに離婚に同意してもらおうと交渉を行って来るはずです。そこで弁護士に相手との交渉を任せることにより、財産分与の割合や慰謝料などについてあなたに有利な条件を引き出せる可能性があります。
真剣に離婚を検討すべき状況とは
今回の記事では離婚する前兆を紹介し、離婚を避けることを前提に対応策について解説を行ってきました。しかし離婚の兆候の中には、離婚を早めに決断したほうがよい危険な状況もあります。
そこで最後に真剣に離婚を検討したほうがよいケースについて紹介をしていきます。該当する方は支援機関や弁護士に相談をし、離婚を早めに検討することをお勧めします。
DVやモラハラがひどい
DVやモラハラが日常的に行われている場合、そのまま夫婦関係を続けていると精神的・肉体的ともに疲弊してしまう恐れがあります。特に相手が暴力を振るっている場合は関係を改善するための冷静な話し合いも難しいでしょう。
相手が逆上することで暴力がエスカレートし、大けがを負ったり生命の危機に晒さたりするかもしれません。できるだけ早く弁護士、もしくは自治体の支援センターに相談をしましょう。
DVを受けている方が相手と離婚する手順、相談先については以下の記事で詳しく解説をしていますので併せてお読みください。
DV夫と離婚したい…早く安全に離婚するための手順・相談先・気になるポイントを徹底解説
子供を虐待している
子供への虐待がある場合は即座に離婚を決断すべきです。虐待された子供は心身共に大きな傷を負い、その恐怖をずっと引きずることになります。また虐待がエスカレートした場合、命に危機が及ぶ恐れもあります。子供を守るためにできるだけ早く、各自治体の支援センターへ相談してください。
不倫を繰り返している
パートナーが一回だけでなく何回も浮気、不倫を繰り返している場合はもともと不倫癖がある可能性が高く、状況が改善される可能性は低いと考えてよいでしょう。
相手の不倫に目をつぶって夫婦関係が続けられるのであれば問題はありませんが、そうでない場合は離婚を決断し、新しい生活を踏み出すことをお勧めします。
夫婦関係がストレスになり心身に不調が表れている
夫婦関係が原因で身体や心に影響が出ている場合も離婚をすぐに検討すべきです。ストレスからの体調不良はじわじわと心身を蝕むため、これくらいなら我慢ができると侮ってしまいがちです。
しかし気づいた時には回復が難しくなり、長い休養が必要になったり、取返しがつかないほど悪化したりするケースもあります。自分自身のことを優先し、早めにストレスから距離をとるようにしてください。
まとめ
離婚の前兆には、性格の不一致や価値観の相違、夫婦の会話の減少などさまざまな事柄が挙げられます。結婚当初は関係がうまくいっていた夫婦が、時間の経過や環境の変化が原因ですれ違うようになることは決して珍しいことではありません。
離婚の兆候があると気づいた場合、その段階で対策をとれば夫婦仲は回復できるかもしれません。お互いに歩み寄り、落ち着いて話し合いをすることが大切です。カウンセラーなどの機関を頼るのもよいでしょう。
ただ残念ながら夫婦関係が改善できないこともあり得ます。そのような時は弁護士に相談をし、新しい幸せへのスタートを切れるよう前を向いていきましょう。