別居に必要な準備をシチュエーション別に解説!別居に関する注意点とは?

別居に必要な準備をシチュエーション別に解説!別居に関する注意点とは?
別居に必要な準備をシチュエーション別に解説!別居に関する注意点とは?
  • 「別居を考えているが必要な準備は?」
  • 「別居準備で気を付けることを知りたい」

夫婦仲が悪くなったとき「いきなり離婚は…」という場合に「別居」という選択肢が取られます。しかし、いざ別居するとなったとき、何をどのように準備したらいいか分からないという方も多いのではないでしょうか?そこでこちらでは、別居準備の進め方や準備の方向性、別居準備に必要な「もの」や「手続き」などを詳しく解説していきます。

さらに専業主婦や子連れ、熟年夫婦やモラハラ夫からの別居など、シチュエーションごとに必要な別居準備についても解説。自分が別居する場合は、どんな準備が必要かチェックしておきましょう。別居は離婚手続きにおいて、とても重要な意味を持っています。別居や別居準備に関する注意点などをよく理解し、大切な人生の選択を間違えないようにしましょう。

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目次

別居準備の進め方について

一日も早く離婚したいと思っていても、いつどんなタイミングで別居したらいいか分からない、何を持ち出してどのような手続きが必要になるか分からないという方のために、こちらでは別居準備の進め方について解説していきます。

基本は双方の同意が必要

別居は離婚を実現したい人にとって、とても有効な方法です。しかし相手の許可なく別居をしてしまうと、夫婦に課されている「同居義務」違反に該当する場合があるので気を付けましょう。相手に黙って家を出ていってしまうと、離婚時に慰謝料請求の対象となる「悪意の放棄」とみなされる可能性も。基本的には夫婦両方が合意した上で別居するのが望ましいといえます。

「別居を先に切り出すと後の離婚に不利になるのでは?」と心配する方がいますが、どちらから別居を提案したかによって不利になるようなことはほとんどありません。

DV・モラハラでの別居では同意の必要なし

前項で別居するには双方の同意が必要と説明しましたが、別居の理由が正当なら同居義務違反に当たらず問題になる可能性は少ないでしょう。とくに相手のDVやモラハラで別居を希望している場合は、それらの行為が「婚姻を継続し難い重大な事由」とみなされるため、相手の合意がなくても、黙って別居に踏み切っても離婚に不利になったり慰謝料を請求されることはありません。

婚姻を継続し難い重大な事由には、DVやモラハラ以外にも次のような理由が当てはまります。

  • セックスレス・性交渉の不満
  • 義家族との不和
  • 過度な宗教活動
  • 金銭問題
  • 犯罪による服役

もしも自分が別居したい理由が該当しない場合は、別居前に離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

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別居のタイミングはいつがいい?

別居を実行するタイミングは、相手に非があり離婚を考えているときです。とはいえ子どもを連れて別居しようと考えているなら、幼稚園や学校の入学式のタイミングや、時間的に余裕のある長い休みに合わせて手続きできるといいでしょう。

子ども関係以外にも仕事やお金、住むところの準備次第で別居のタイミングが変わってきます。「今すぐにでも家を出たい」という人が多いでしょうが、別居するには様々な準備が必要です。家を出た後で後悔しないよう準備は周到に行い、自分や子どもに最も負担が少ないタイミングで別居に踏み切りましょう。

必要な「もの」「こと」のリスト化

別居の準備を始めるときは、別居に必要な「もの」や必要な「こと(手続き)」をリスト化することをおすすめします。一覧で見やすくすると過不足なく準備でき、精神的に余裕も生まれます。

必要なもの

別居に必要なものは、離婚に向けた別居か否かで変わってきます。離婚に向けた別居の場合は、財産分与の一環として結婚している間に購入した家財道具などを運び出すことができます。逆に離婚に向けた別居でない場合は、家具や家電などを一から買いそろえなければなりません。

別居の理由がDVやモラハラのケースでは、そもそも黙って別居する必要があるので、あまり大きなものや荷造りが大変なものは持ち出せません。相手の目を盗んで密かに引っ越しの準備をしなければならないので、以下のような生活できる最低限のものをあらかじめリストアップしておくとスムーズに準備できます。

  • 現金
  • 預貯金(自分名義・子ども名義)
  • キャッシュカード
  • 健康保険証
  • 年金手帳
  • 本人確認書類(運転免許証・パスポート)
  • 母子手帳
  • 常備薬
  • 生活必需品(衣類・化粧品・子どものオムツなど)
  • 離婚時に必要な書類(証拠資料・財産関係)

一旦家を出ると、別居前の自宅には簡単に出入りできなくなる恐れがあります。どうしても持っていきたい思い出のものや処分されたくないものは、必ず持ち出すようにしましょう。

必要な手続き

離婚前提の別居なら、住民票の移動と郵便物の転送の手続きは必須です。住民票の移動は今まで住んでいたところと新しく住むところの自治体役場で転出と転入の手続きをします。住民票を移動していないと別居後の保育園の申し込みや金融機関への届出等、生活に必要な手続きがスムーズにできなくなります。

また郵便局に新旧の住所を記入した転送届を出しておくと、提出から1年間は元の住所宛ての郵便物を新しい住所に転送してもらえます。手続きは無料でインターネットからも可能なので、なるべく早めに手続きを済ませておきましょう。

別居後どうするかを決める

可能なら別居期間や別居中の連絡、別居後の方向性のすり合わせをしておきましょう。

別居期間

夫婦関係の再構築が少しでも視野に入っているなら、別居前にあらかじめ別居期間を決めておいた方がいいでしょう。相手が別居に反対している場合でも「別居期間は半年」など最初に決めておくと、別居の同意が得やすくなります。また相手の不倫が原因での別居なら「不倫相手と別れたらまた一緒に暮らす」と条件を付けるのも有効です。

ただしあまり別居期間が長すぎると、調停や裁判になったときに「夫婦関係が破綻している」とみなされるので気を付けましょう。具体的に何年なら破綻しているとみなされるか明確な基準がなく、個々の夫婦の事情や別居の原因、婚姻期間の長さなどで総合的に判断されますが、別居前に期間を決めておくことで「破綻している」と判断されるのを防げます。

連絡の有無

別居期間中、定期的に連絡をするかや連絡の頻度をどの程度にするかも決めておくといいでしょう。もしこちらが離婚したくないと思っているなら、連絡は定期的にしたいと要望することをおすすめします。相手を気に掛けているという姿勢を示せ、別居していても夫婦関係が破綻していないという証明になるからです。

子どもと離れて生活する側は、子どもとのコミュニケーションも大切です。週に一度程度でも電話やLINE、ZOOMなどで連絡を取り合い、お互いに近況報告をしあえる間柄を維持していきましょう。

家族で会う頻度

別居後に家族で会う頻度についても、あらかじめ相談することをおすすめします。離婚を目的とした別居以外、家族で過ごす時間をなくすべきではありません。週に一度や月に一度など、夫婦間で時間や場所などを決めて、別居後に家族で会う時間を作るようにしましょう。

子どもがいる場合は、尚更父親と母親の関係が良好だと感じさせる必要があります。夫婦仲が悪いことで子供が必要以上に傷付かないよう、家族で会っている間はできるだけの配慮が必要です。

別居後の方向性

相手と話し合いができるのなら、別居後の方向性を話し合うのも必要です。どうしても夫婦としてやっていけないのなら、協議離婚や調停離婚を視野に入れる必要があります。もしも子どもが巣立っているなら、籍を抜かないまでも別居状態を保つ「卒婚」という方法もおすすめ。

再構築を希望している場合は安易に別居してしまうと、別居中に他の異性と仲良くなってしまったり、結婚生活を維持する気持ちが冷えてしまう危険があります。夫婦としてやり直したいと思っている側は、別居を回避できないか相手とじっくり話し合う機会を設けることをおすすめします。

別居のメリット・デメリットを知る

別居のメリットやデメリットを知るのも、別居準備には必要なことです。自分にとってのデメリットがメリットを上回るようなら、別居を回避した方がいいケースがあるからです。こちらは別居の主なメリット・デメリットです。

別居のメリット 別居のデメリット
  • 婚姻関係の破綻とみなされるため離婚原因を作り出せる
  • 離婚後の生活をイメージしやすい
  • 夫婦喧嘩を子どもに見せずに済む
  • 同居によるストレスを軽減できる
  • 相手に離婚意志が固いことを分からせることができる
  • 自分がどうしたいか(離婚・再構築)分かるようになる
  • 再構築が難しくなる
  • 生活費が2倍かかる
  • 婚姻費用や慰謝料を請求される
  • 離婚請求される可能性がある
  • 証拠の収集が難しくなる
  • 世間体が気になる
  • 子どもが不安を感じやすい

別居のメリット・デメリットを知って、本当に別居すべきかもう一度考えてみましょう。

別居後のイメージを明確にする

別居後のイメージを明確にするのも、別居前に必要なこと。別居後はこれまでの生活が一変するため、できるだけ具体的に別居後の生活を想像してください。具体的にはどこに住まいを準備するのかや別居にかかる必要な費用、子どもとの生活についてや収入確保のための手段などです。自分の収入だけでは生活が難しい場合は、相手に婚姻費用をいくら請求すればいいか計算してみましょう。

仮面夫婦がしんどいときの対処法をチェックしたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「仮面夫婦がしんどいと感じたら…対処方法や離婚方法を知って後悔しない選択を」

別居に必要な基本の準備

それでは別居に必要な基本の準備について解説していきます。別居の準備には基本的に男女の性別は関係ありませんが、こちらでは今まで住んでいた家を出て別居をするケースについて見ていきましょう。

別居後の住居の確保

家をでて別居する場合、住居の確保は必須です。とりあえず実家に住まわせてもらうという方以外は、賃貸で家を借りたりして住居を準備しなければいけません。別居前の動けるうちに子どもの学区や勤務先を考慮に入れて、家探しを始めてください。別居前は考えることが多く時間も労力も必要ですが、根気強く探すことが大切です。

専業主婦の場合、収入がないということで賃貸物件を借りにくい可能性があります。家を借りる前に仕事を見つけたり、親や親戚に連帯保証人を依頼するなどの準備が必要です。またDVやモラハラなどによる別居では、なるべく相手に見つからない場所が第一条件です。場合によってはシェルターなどの避難先も別居先の候補に入れておきましょう。

引っ越し費用・生活費の確保

別居するまでに引っ越し費用や当面の生活費を準備しておきましょう。賃貸物件を借りる場合は毎月の賃料の5カ月分ほど初期費用として掛かると計算します。月8万円のところなら40万円は最低必要です。それに家具や家電を買いそろえる費用や、引っ越し業者に依頼する費用などもプラスすると、最低でも100万円は現金で準備した方がいいでしょう。

また毎月かかる食費や光熱費、子どもにかかる費用などを計算し、最低いくら必要なのか把握することが大切。別居後に仕事を探す予定の方は、最初の給料が出るまでの生活費も必要です。お金のことは別居までに何度もシミュレーションして、なるべく出費を抑えられる方法を探していきましょう。

離婚原因となる証拠を確保

別居するまでに別居や離婚原因となる証拠を確保するようにしましょう。別居した後では証拠を確保しにくくなるためです。とくに不倫の証拠は相手のスケジュールや行動を把握するのに同居中が最も都合がよく、DVやモラハラは家庭内だけで起こるので別居後は証拠が取れない可能性があります。

別居後に慰謝料を請求したり離婚を求めるためには、離婚原因となる証拠の確保が欠かせません。同居中に集められる証拠はなるべく確保しておき、相手の言動なども日記やメモとして残しておくことをおすすめします。

離婚理由ごとの慰謝料相場を知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚慰謝料の相場が知りたい!離婚理由や婚姻期間による相場・金額をアップさせるポイントを解説」

夫・妻の財産や収入の把握

別居後に離婚へ進む可能性が高い場合は、別居前に相手の財産や収入の確保も必要。離婚が正式に決まると、財産分与を行うことになるからです。財産分与は、結婚後に夫婦が協力して築いた財産を、離婚時に等分に分けることを指します。財産の合計額を算出し、より多くの財産を持っている方が少ない方へ差額を支払うという形で財産分与が行われます。

したがって相手の財産をキチンと把握していないと、財産分与のときに手続きをスムーズに行えないばかりか、損をしてしまう可能性が。共有財産には現金や預貯金はもちろん、不動産や有価証券なども含まれます。相手名義の財産でも結婚後に取得したものなら、共有財産とみなされます。そして別居が財産分与の基準時となるため、別居直前の財産を調べる必要があります。

別居日を基準とした財産の種類ごとの把握したい内容はこちらです。

財産の種類 把握したい内容
預貯金 銀行名・支店名・口座番号・婚姻日から別居日直前までの残高の把握
掛け捨てではない生命保険・個人年金 生命保険会社名・契約者名・証券番号・保険商品名・解約返戻金の有無
有価証券・株式 証券会社名・銘柄・保有数
負債(住宅ローンなど) ローンの残高・所有名義・不動産の実勢価格・連帯保証人・連帯債務者
収入 給与明細・源泉徴収票(会社員の場合)
課税証明書・決算書・売掛先(自営業の場合)
結婚後に購入した家財道具 購入日・購入金額

不動産や車などは別居後でも査定書を取得することが可能なので、別居前に急いで取得する必要はありません。逆に自治体役所で取得する配偶者の課税証明書は、原則として同居家族しか代理で取得できないので、別居前に忘れず取得するようにしましょう。

離婚届不受理申出書を役所に提出

別居前には「離婚届不受理申出書」を住所地のある役所に提出してください。離婚届不受理申出書とは、まだ離婚の合意や意思がないのに勝手に提出された離婚届を受理できなくする届出のこと。「別居するくらいならいっそのこと離婚した方がいい」と配偶者に判断され、合意していないのに無断で離婚届を提出されるリスクがあるためです。

ゆくゆくは離婚したいと思っていても、財産分与や養育費など離婚条件について合意していない間は離婚すべきではありません。未成年の子どもがいる場合は、子どもの親権を勝手に取られないようにするためにも離婚届不受理申出書の提出は必須です。離婚届には子どもの親権をどちらにするか記入する欄があり、ここに配偶者の名前を記入して提出されると子どもの親権を失ってしまうからです。

夫婦問題に詳しい弁護士に相談

別居前に夫婦問題に詳しい弁護士に相談するのもおすすめです。相手の合意なく別居を決行しようとすると「悪意の遺棄」に該当するといって慰謝料を請求される恐れがあるため。別居前に弁護士に相談出来れば自分のケースが悪意の遺棄に該当するか判断してもらえます。また別居中の生活費を「婚姻費用」として相手に請求できるかも弁護士に相談できます。

とくに離婚を前提とした別居を考えている方は、離婚や慰謝料請求に有利な証拠のとり方や、別居の進め方などを詳しく説明してもらえるでしょう。相手と直接別居の交渉ができない場合は、弁護士などの第三者を介して協議を進められます。

【シチュエーション別】別居に必要な準備

上で説明した基本の準備に加えて、シチュエーション別に別居に必要な準備についても紹介していきます。

専業主婦の別居

専業主婦が別居する場合、生活費を得る手段を考えていかなければなりません。具体的には次の二つの方法があります。

別居後の仕事を決める

今まで専業主婦だった方は、別居後の仕事を決める必要があります。別居から離婚となると子どもの費用や生活費など予想以上に出費が増えて、経済的な不安が出てくるためです。なるべくなら別居する前に新しい住居の近くで仕事を探しておくと、別居後の経済的な不安が和らげられます。

「今までずっと働いていなかったから仕事の見つけ方が分からない」という方は、別居する場所から一番近いハローワークに行ってみましょう。子供がいる方向けのマザーズハローワークもおすすめです。パート勤務の方は正社員やフルタイムの仕事への変更も考慮に入れる必要があります。今までの仕事を続けたいという方は、パソコンとネット環境があればできる副業にチャレンジしてみては?

婚姻費用分担請求する

専業主婦の方は夫に、別居中の生活費として「婚姻費用分担」を請求することができます。別居中でも夫婦である限り、お互いの生活を保持する義務があり、収入の低い方は収入の高い方へ婚姻費用として生活費を請求する権利があるからです。夫と別居したいが経済的に難しいという方は、婚姻費用分担請求を忘れずに行いましょう。

婚姻費用の金額は、双方の収入や養育が必要な子どもの人数によって変動し、家庭裁判所が作成した「婚姻費用算定表」に基づいて決められることがほとんど。したがって婚姻費用を請求したい場合は、別居前に夫の収入を把握することが望ましいです。婚姻費用として認められるのは、衣食住に関係する費用と医療費、子どもの教育費などです。

別居後すぐに婚姻費用を受け取れるようにするには、別居前から婚姻費用調停の申し立て準備を万全にして、別居したらすぐに裁判所に申し立てするといいでしょう。裁判所が婚姻費用を認めるのは申し立てした月の分からなので、ロスなく婚姻費用を受け取れます。申し立てに必要な書類(所得証明書・源泉徴収票・戸籍謄本など)は別居前に取得しておくと安心です。

子連れの別居

子どもを連れての別居の場合、自分だけでなく子ども関係の準備も必須になります。

通園・通学可能かを確認

別居に伴い、以前通っていた幼稚園や学校に引き続き通えるかを確認してください。通常は自治体の役所に転居届を提出するタイミングで、転校の手続きに必要な書類を渡されます。転園となると、転居場所の関係で待機児童問題の状況を考慮する必要があります。また学校を転校しなければならない場合には、学年途中からよりは入学や学年が変わるタイミングがいいでしょう。

学校以外に習い事をしているときは習い事をやめるのか、これまで通り続けるのかも決めなければなりません。子どもを連れて別居する場合は住居やお金のことだけでなく、子どもの養育環境をどのように整えたらいいかも考える必要があることを覚えておきましょう。

児童手当の受給者変更手続き

子どもを連れて別居する場合は、児童手当の受給者変更手続きを忘れずに。児童手当は世帯主である夫名義の口座に振り込まれることがほとんどでしょうが、別居により世帯を分離すると児童手当の受取人を変更することができるからです。児童手当は母子の生活にとってかなり貴重な収入源です。仕事が軌道に乗るまでの生活費にすることも可能なので、確実に手続きしましょう。

別居時に自分の住民票と一緒に子どもの住民票も移動すると、幼稚園・学校の編入や児童手当の手続きがスムーズに行えるはず。同時に「児童扶養手当」など、ひとり親家庭への公的支援についても、しっかりとチェックすることをおすすめします。手当が受け取れる制度はもちろんのこと、家賃補助や就業支援などの様々な支援が受けられるようになっています。

親権を取るための証拠集め

離婚後子どもの親権を持ちたいと思ったら、親権を取るための証拠集めをしてください。別居してしまうと次のような資料をかつての家から持ち出せなくなったり、処分されるのを防ぐためです。

  • 母子手帳
  • 育児日記
  • 保育園・幼稚園・小学校の連絡帳
  • 子どもとの写真
  • 子どもの予定が記載されたスケジュール帳

上記以外でも自分が子育てに関わっている資料がある場合は、別居時に必ず持ち出しましょう。子どもの年齢が低ければ母親に親権がくることが多いですが、父親側が親権獲得を諦めなかったときの調停や裁判での証拠となります。

養育費請求の準備

離婚後の養育費請求の準備も、別居時に行うのが理想です。というのも別居からそのまま離婚となった場合に、毎月の貴重な収入源になるからです。養育費を決める場合は、裁判所が公表している「養育費算定表」を使って算出しますが、双方が合意していれば算定表以上の養育費を請求できます。

子どもの将来の目標のために習い事や私学への進学費用がかかるなど、「何年後にいくら必要になるか」を具体的に示し、相手が納得できるような教育費のシミュレーションを立てましょう。大切なのはなぜその金額が必要なのかという根拠です。「子どもの将来のために真剣に考えているんだな」と夫に思わせれば、相場以上の養育費を獲得できるでしょう。

養育費に関する弁護士費用の相場や負担できないときの対処法を知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「養育費に関する弁護士費用が知りたい!ケースごとの相場・払えないときの対処法とは?」

子どもの心のケア

子どもの教育やそれにかかるお金のことだけでなく、子ども自身の心のケアも忘れずにしたいものです。子どもを連れての別居だと、片方の親と離れて別な家に暮らすストレスだけでなく、転園や転校などで生活が大きく変化します。仲のよかった友達と遊べなくなるだけでも子どもにとっては辛いもの。

子どもを必要以上に不安にさせないためには、子どもの年齢に応じて別居や離婚についてある程度の説明が必要です。なるべく子どもに寄り添った目線で、精神的な負担がかからないよう配慮しながら、心のケアも怠らないようにしましょう。場合によっては別居のタイミングを遅らせるなど、別居時期も慎重に決めることをおすすめします。

DV・モラハラ夫からの別居

DVやモラハラ夫からの別居を希望している場合、まずは自分や子どもの身の安全を第一に考えてください。同居しているうちに別居や離婚を切り出すと、DVやモラハラがエスカレートする恐れがあります。別居したい旨を無理に相手に伝える必要はなく、相手に極力知られないように別居準備を進めてください。

別居先を知られないようにする

DVやモラハラをする夫には、別居先を絶対に知られないようにしてください。もし知られてしまうと、最悪の場合は命の危険を伴う可能性があるからです。まずは信頼できる親や友人の力を借りながら、別居準備を進めてください。また引っ越しに業者を使うときは別居の理由を説明すると、極力こちらに配慮したサービスが受けられることも。

別居先がどうしても決まらない場合は、民間団体や行政が運営しているシェルターに避難するのも一つの方法です。シェルターとは、DV被害者を一時的に保護するための施設です。シェルターへの入居期間は2週間程度と制限があるものの、個人情報が管理されているため安心して生活できます。

まずは内閣府が設置しているDV相談プラス」の窓口や、警察の生活相談課などに相談することで、避難可能なシェルターを紹介してもらえます。

住民票・戸籍の閲覧制限

離婚が成立するまでは、住民票や戸籍の閲覧制限をかけるようにしましょう。閲覧制限をかけないと住民票を移動した情報が住民票や戸籍の交付によって相手にバレ、新しい住所が知られてしまうからです。閲覧制限は「DV等支援措置」を使って行います。いきなり役所に行っても手続きができないので、まずは最寄りの警察署や配偶者暴力支援センターに相談する必要があります。

そちらで「住民票と戸籍の閲覧制限について相談したい」と伝えて「DV等被害者」になることで、閲覧制限の申し出ができます。措置期間は結果を申出者に連絡してから1年間ですが、期間の延長も可能です。この措置を受けると配偶者以外の第三者が閲覧を請求してきたときでも、本人確認や請求理由についてより厳しく審査してもらえます。

相手の荷物は持ち出さない

DV夫やモラハラ夫から別居する場合は、夫婦共有の財産になる物や夫の私物を持ち出さないようにしましょう。うっかり自分の物以外を持ち出してしまうと、後から執拗に責められるなどトラブルの元になるからです。

夫婦共有の財産は勝手に妻が持ち出しても窃盗罪などの犯罪に該当しませんが、あらを探して責め立てたい夫の餌食になるのは必須です。相手の神経を逆なでするのは、後の大きな問題のタネになり妻側が不利になる恐れがあります。離婚の話し合いをスムーズに進めるために、夫婦共有の持ち物でも持ち出さないように気を付けましょう。

熟年夫婦の別居

熟年夫婦が別居する場合、離婚後の生活費として夫の退職金や年金分割が大きなウエイトを占めます。これらを確実に手に入れるために、知識を学び別居前にできる準備をしていきましょう。

退職金の確認

熟年別居の場合、定年退職により退職金がもらえる時期が近付いている人も多いのではないでしょうか。退職金は財産分与の対象となるため、退職金の見込み額や退職時期などをしっかり確認しておきましょう。可能なら配偶者が勤務している会社の就業規則から、退職金支給規定や支給実態等もチェックできるとより確実です。

退職金が財産分与の対象となるのは、別居時に自己都合で退職したと仮定した退職金相当額から、結婚前の労働分を差し引いた額です。また退職金だけでなく、退職後に分割して受け取れる企業年金も財産分与の対象となる可能性があります。分与額の計算が少し複雑なので、離婚問題に詳しい弁護士に相談するといいでしょう。

年金分割の手続き準備

そろそろ年金がもらえる時期が近付いてきたという方は、年金分割の手続き準備も忘れずに。年金分割とは、本来厚生年金保険料を納めていなかった配偶者の方も、離婚後に婚姻期間に応じた分の厚生年金が受け取れる制度のことです。本来自分がもらえる年金にプラスして受け取れるので、離婚後の老後の生活費に充てられます。

ただし配偶者が自営業などで厚生年金に加入したことがない場合は、年金分割はできません。まず配偶者が厚生年金に加入しているかをチェックしましょう。厚生年金分割の手続きに必要な資料や情報は以下の通りです。

  • 年金の種類(厚生年金・国民年金)
  • 年金の支給予定額
  • 保険料の納付額
  • 納付機関
  • 婚姻期間中に保険料を納めていた記録

これらの情報は「年金分割のための情報通知書」という書類を入手できれば確認可能です。入手方法は年金事務所や共済窓口で取得できる情報提供請求書に必要事項を記入して提出します。

別居準備から別居中に関する注意点

別居準備や別居中は、次のような点に注意しましょう。

マイホームからの別居後は勝手に家に入れない

夫が名義になっているマイホームからの別居後は、勝手に家に入って荷物を持ち出せなくなるので気を付けましょう。いくらちょっと前まで住んでいて合鍵を持っているといえ、勝手に入ると「住居侵入罪」に該当する恐れがあるからです。別居した以上、夫と妻の女住環境は別になります。夫婦関係が破綻した状態だとみなされ、自由に出入りできなくなります。

以前住んでいた家に荷物を取りに行きたいというときは、必ず夫の許可を取るようにしましょう。

自分に非がある場合の別居は慎重に

自分自身に非がある場合は、率先して別居するべきではありません。自分の非を認めることになり、後々不利になるからです。いつまでも相手に責められて辛いと思うことがあるかもしれませんが、今すぐ離婚してもいいという方以外は、進んで別居することはマイナスにしかなりません。

あなたの行った行為を「非」と証明するのはあくまでも配偶者です。過去に行ったことは責められるべきことですが、その後に夫婦円満の努力をすれば「非」というマイナスをゼロに戻すことも可能です。たとえ浮気やDVの証拠を取られたとしても、その証拠の効力には限りがあります。証拠の効力が無くなるまで何もしないのも一つの方法でしょう。

別居準備は早い段階から余裕を持って

別居準備はなるべく早い段階から、時間に余裕を持って行いましょう。焦ってバタバタと別居準備をすると、後になって「あれも持ってくるんだった」と忘れていたものや見逃していた問題が出てきます。とくに別居からそのまま離婚を考えている方は、離婚条件を決めるのに必要な資料なども忘れずに。

別居準備をするには、まず必要なものや手続きのリストアップから始めましょう。子どもが複数人いる場合は、一人一人のリストを作成しましょう。配偶者との関係が悪化して、少しも心の余裕が持てない程に追い詰められてしまうと、頭が回らなくなります。限界を迎える前に別居を考え始めた時点でコツコツと準備を進めていくと、計画的に別居ができます。

別居中は異性と付き合わない

別居中いくら配偶者の目がないからといって、異性と付き合うのは厳禁です。離婚していない状態だと不貞行為だとみなされて、慰謝料請求の対象になります。とくに別居しても離婚したくないという方は、相手の信頼を失う恐れがあるので絶対に止めましょう。たとえ性的関係を持たなくても、異性と一緒に食事やデートしただけでも信頼関係を失う原因になります。

また相手の不倫やDVで離婚を望んでいる方も、今度はあなたが有責配偶者になってしまいます。双方痛み分けになり慰謝料を請求できなかったり、親権者としてふさわしくないと子どもの親権を取られる可能性も。別居中であっても離婚するまでは異性と付き合わず、より慎重な行動が必要です。

別居後に離婚したいと思ったら弁護士に相談

別居中にやっぱり離婚したいと思ったら、離婚問題に詳しい弁護士に相談しましょう。離婚に向けた準備は自分一人でも可能ですが、次のようなケースでは専門家のアドバイスや助けが必要になります。

  • 相手が離婚を拒否している
  • 離婚条件(親権・財産分与など)にこだわりがある
  • 相手に慰謝料を請求したい
  • 離婚に有利な証拠を集めたい
  • DV・モラハラ被害にあっている

多くの弁護士事務所では、無料相談を実施しています。自分の状況や希望の条件などを相談できると、適切なアドバイスが受けられるでしょう。またDVやモラハラからの別居なら、相手と直接連絡を取りたくない、新しい住所を知られたくないという人がほとんど。そのような場合は弁護士に離婚交渉を任せることで、ストレスや精神的な負担を軽減できます。

離婚を意識し始めたら相談する弁護士は、次の記事を参考にして選びましょう。

離婚時に依頼したい弁護士の選び方|相談前・相談時のポイントと費用に関する注意点を解説」

まとめ

夫婦が別居するには双方の合意が必要ですが、DVやモラハラなど相手に婚姻を継続し難い重大な事由があるときは黙って出ても問題ありません。別居するには住居やお金だけでなく、離婚原因の証拠確保や相手の財産の把握など様々な準備が必要。子どもの転園や転校のタイミングを見ながら、ベストな時期を選びましょう。

専業主婦の方は仕事を探したり、婚姻費用の請求などで経済的不安を解消できます。熟年夫婦の別居では年金分割や退職金の請求が可能です。DVやモラハラからの別居は身の安全を第一に考え、相手に別居後の住所を知られないようにしましょう。場合によってはシェルターへの避難も検討してください。

別居中は異性と付き合うことは厳禁で、勝手に別居前の家に入るのも止めましょう。別居するには必要なものや手続きの詳細をリスト化し、時間に余裕を持って準備するのがポイント。別居や離婚で困ったときは弁護士に相談することをおすすめします。法律問題を専門的な立場から解決でき、離婚を有利に進められるでしょう。

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