離婚で慰謝料を払いたくない人必見!ケース別11の方法や減額・支払い方法変更のコツとは?

離婚で慰謝料を払いたくない人必見!ケース別11の方法や減額・支払い方法変更のコツとは?
離婚で慰謝料を払いたくない人必見!ケース別11の方法や減額・支払い方法変更のコツとは?
  • 「離婚したいけど慰謝料を払いたくない…」
  • 「慰謝料を減額できる方法はある?」

配偶者から離婚時の慰謝料を求められているけど、どうにか支払わずに済む方法はないかと考えている方はいませんか?慰謝料など離婚する上で、お金の問題は切っても切り離せません。こちらの記事では離婚で慰謝料を払いたくない人へ、ケース別の払わない方法や決められた慰謝料を払わなかったらどうなるかについて詳しく解説。

また「全額払うのは難しいけど減額できれば払える」という方や「分割払いならどうにか…」という場合の、減額や支払い方法変更への交渉のポイントを紹介していきます。慰謝料の減免が難しいケースもあるため、自分が当てはまらないかチェックしてみましょう。

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【ケース別】慰謝料を払わない方法

そもそも慰謝料というのは、他人(この場合は配偶者)による不法行為によって受けた精神的苦痛を賠償するために支払うお金のこと。離婚理由として一方的に落ち度がある場合に認められます。慰謝料は夫婦間の話し合いで決められるものではなく、民法(710条・711条)の「不法行為の請求権」として法律で決められている権利です。

とは言え離婚理由や事情によっては慰謝料を支払わなくてもいい場合があります。こちらでは慰謝料支払いの合意前・合意後のケースごとに、支払わない方法を紹介していきます。

慰謝料支払い合意前

慰謝料支払いに合意する前の段階では、お互いの話し合いで慰謝料の支払いから逃れられる可能性があります。

冷静になって話し合いをする

慰謝料を支払わないようにするには、冷静になって話し合うことがポイントです。慰謝料を請求する側は要望通りの金額を払ってほしいばかりに、いかに自分が辛かったかやひどい仕打ちを受けたかなど主張してきます。これに対してカッとなって感情のままに反論してしまうと、いつまで経っても話し合いが進みません。

まずは自分が冷静になり相手の要求や言い分を十分に聞き、自分に非がある部分は認めて謝罪し、主張が間違っている場合は細かく理論的に反論する必要があります。相手に反論ばかりせず反省の気持ちや償う気持ちがあることを伝えられると、相手もこちらの主張を聞いてくれるようになるでしょう。

言い分をすぐに受け入れず拒否する

「どうせ言っても無駄だから」「時間の無駄だから」と相手の言い分を鵜呑みにしてしまうと、実は慰謝料の支払い義務がなくても合意してしまったことで、慰謝料を支払わなければならなくなります。一般的な離婚理由である「価値観の相違」や「性格の不一致」などでは、慰謝料請求されても応じる必要はありません。

上で説明した通り、慰謝料を支払う必要があるのは不法行為によって精神的苦痛を受けたときに限られます。慰謝料を請求してくるからには、あなたに責任があったからという論法で来ると考えられますが、そもそも離婚の理由が不法行為に該当しなければ法律の場では認められません。そのようなときには「慰謝料は支払わなくてもいいはずだ」ときっぱりと拒否しましょう。

法的に有効な証拠があるか確認

あなたの不法行為によって離婚に至った場合でも、法的に有効な証拠がなければ調停や裁判の場で慰謝料の支払いが認められる恐れがありません。基本的に夫婦の話し合いで離婚に至る協議離婚では、不法行為を証明する証拠の提出は必要ありません。ただ相手が「証拠があるから慰謝料払って」と言ってきたときには、キチンとその証拠が法的に有効なのかチェックする必要があります。

裁判になった場合も、証拠として提出されたものを法的に有効なのか確認してください。ちなみに不貞行為の証拠として法的に認められるのは次のような証拠です。

  • 不倫相手と二人でホテルに出入りした画像や映像
  • 不貞の事実を認める発言をした音声や動画
  • 探偵事務所の報告書
  • 性行為を撮影した写真や動画
  • 不倫相手と宿泊したホテルの領収書やクレジットカードの明細書
  • 不貞行為の記録があるメモ・手紙・日記
  • 第三者からの証言

もしも相手が提出した証拠の中に自分のスマホから勝手に取ったであろうLINEやメールのやり取りが含まれていたら、こちらのプライバシー権が侵害されたということで、逆に慰謝料を請求できる可能性があります。調停や裁判では、不法に入手した証拠は証拠として認められないため、慰謝料請求も却下されることも。

たとえ仮に不倫やDVが事実だったとしても、証拠がなかったり証拠が不十分だとそれを理由として慰謝料請求を拒否するという方法があります。

金銭的に払えない理由を説明する

こちらに不法行為があっても実際に払えるお金や現金に変えられる資産がなく、慰謝料を払えないことを説明できれば、払わずに済む場合があります。たとえ訴訟によって慰謝料請求を行っても実際に払えるお金がない場合は、支払う旨の判決が出た場合でも支払いは実現しません。この場合は慰謝料の減額や分割払いなどで折り合いをつけていくことになります。

夫婦関係が破綻していたことを証明

すでに夫婦関係が破綻していたことを証明できれば、たとえ不倫で離婚になったとしても慰謝料を支払う必要がありません。というのも不倫の原因が夫婦関係の破綻によるものだと考えられるからです。さらに夫婦関係が破綻しているのであれば、不貞行為による精神的苦痛も認められないという結論に至ります。

夫婦関係が破綻していたという客観的な証拠を集めるのは難しいですが、友人や親族など周りの人の陳述書も証拠として認められるので、いざというときにはお願いするといいでしょう。他にも別居が長期に及んでいるケースや、一定期間夫婦生活がない場合も夫婦関係が破綻していたと認められる可能性が高いです。

相手にも慰謝料請求して相殺を狙う

相手にも離婚理由となり得る不法行為がある場合は、こちらからも慰謝料を請求して相殺を狙うという方法もあります。よくあるのが夫婦共に不貞行為をしていたというパターンです。相手にも怪しい行動が見られたら、知らない異性とホテルに出入りする証拠をとったり、SNSにアップされている写真などを証拠として揃えましょう。

不法行為の内容によっては、相手の方が非が大きいと判断されることがあります。その場合には慰謝料を支払わずに済むばかりか、逆に相手から慰謝料を貰える可能性も。離婚したいと思っている人の中には、自分の悪い部分を隠したまま相手を責め立てる言動をするひともいるので、「ちょっとおかしいな」と思ったら迷わず証拠を掴みましょう。

慰謝料の時効を待つ

慰謝料の支払いを逃れるには、慰謝料請求の時効を待つという方法もあります。慰謝料を請求する権利は3年で時効を迎えます。3年の時効の起算日は、不貞の例だと最後の不倫があってからや、不倫相手を知ってからとなります。つまり不倫のことがバレても3年以上経っていると、そのあとに離婚したとしても不倫に対する慰謝料を請求できないという訳です。

結婚期間が長い熟年離婚の場合は、昔の不倫を離婚原因と言われて慰謝料を請求されても、時効を迎えているため慰謝料を支払う必要はありません。

協議離婚で離婚する

協議離婚で離婚できれば、慰謝料を請求されても支払わなければならないという決まりはありません。そもそも協議離婚は夫婦の話し合いのみで決める離婚のため、夫婦のどちらか一方が合意しないと慰謝料の支払い義務も発生しないことになります。不法行為があっても協議離婚する可能性がありますが、この場合は慰謝料の支払いがないか、あってもごく少額でまとまることがほとんどです。

慰謝料支払い合意後

慰謝料の支払いを一旦合意した後でそれをくつがえすのは簡単なことではありませんが、方法が全くないわけではありません。

話し合いで説得する

相当な労力や忍耐が必要でしょうが、話し合いで合意後の慰謝料支払いを免れることが可能です。約束したことを反故にするということなので、ダメ元で説得するくらいの気持ちでいた方がいいでしょう。

話し合いだけで合意した場合は慰謝料を支払わなくても問題ありませんが、自分で署名捺印した合意書を作成していた場合は、その後裁判になった時に証拠として提出され、採用されると強制執行となることも。どのような形で合意したのかということを踏まえて説得するようにしましょう。

自己破産する

慰謝料を逃れるために、自己破産するという方法があります。自己破産は借金を払いきれなくなった人を救済するための制度で、裁判所に申し立てて認められると借金が免責(ゼロ)となります。慰謝料は自己破産しても免責されない「非免責債権」に該当しますが、不倫や浮気の慰謝料は「悪意を持って行った」不法行為に当たらないと判断されるため免責できるという訳です。

ただしDVやモラルハラスメントが原因の場合は悪意を持った行為とみなされるため、自己破産しても慰謝料を免責できません。また自己破産するとローンが組めなくなったり、財産を処分される等のデメリットもあります。慰謝料支払いを逃れるためだけにとる方法としては重すぎるデメリットがあるため、よく考えてから実行することをおすすめします。

弁護士に依頼する

離婚問題に強い弁護士に依頼すれば、慰謝料支払いを免除してもらうまではいかないものの、大幅に減額できる可能性があります。弁護士にお願いしたとしても、一度合意した後にそれをくつがえすのはかなりハードルが高いため、現実的な着地点としては慰謝料の減額が妥当でしょう。

慰謝料をやっぱり払いたくないと思ったとき、まずは慰謝料の支払い義務が法律上あるのかを判断しなければなりません。その上で話し合いや調停、裁判の場で減額を求めていくという流れになりますが、調停や裁判の対応には法律の知識が求められるため弁護士の協力が欠かせません。

どうしても慰謝料を払いたくないと思ったら、まずは弁護士の無料相談に行き、自分のケースでは減額が可能か相談してみましょう。

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決定した慰謝料を払わなかったらどうなる?

慰謝料支払いが決定したのにもかかわらず、「お金がなくて支払えない」「どうしても慰謝料を払いたくない」などの理由で慰謝料を支払わなかったらどうなるのでしょうか?

離婚したくてもできない

決定した慰謝料を約束の期日までに支払わないと、離婚したくてできない恐れがあります。慰謝料の合意は離婚前に行うことがほとんど。相手が離婚を望んでいないときは、慰謝料を貰うよりも結婚生活を継続させる方に気持ちがあるため、「慰謝料を貰えないなら離婚しない」という態度に出る可能性があります。

離婚原因を作った有責配偶者が自分の場合、こちらが離婚を切り出したとしても相手の合意があれば離婚できますが、相手が離婚に応じてくれないと離婚は難しくなります。有責配偶者でしかも合意した慰謝料を払いたくないということは全く認められないため、離婚したくても出来ず、自分の人生を先に進められなくなるというリスクが生じます。

財産が差し押さえられる

慰謝料請求に合意して合意書や離婚協議書を作成した場合、慰謝料をいつまでも払わないと財産が差し押さえられる可能性があります。相手が慰謝料請求訴訟を裁判所に申し立てて、証拠などが認められれば相手の慰謝料請求権が確定して、裁判所によって強制執行が行われるからです。裁判所から財産が差し押さえられる流れは、以下の通りです。

  • 内容証明が届く
  • 慰謝料請求訴訟
  • 判決・和解
  • 強制執行申立て
  • 財産の差し押さえ

差し押さえられる財産には、次のようなものがあります。

  • 給与・賞与・退職金
  • 不動産
  • 預貯金
  • 有価証券
  • 生命保険の解約返戻金
  • 宝石・絵画・骨董など

給与やボーナスが差し押さえられるには、裁判所から勤務先の会社に対して差し押さえ令状が送付されます。これにより会社に離婚の慰謝料が未払いだということがバレる可能性が。預貯金が差し押さえられると引き落としや振り込みができなくなったり、お金を下ろすことも出来なくなります。

慰謝料を支払う意思があっても、裁判所からの出廷を無視すると支払い義務を無視したとみなされる可能性も。裁判所から調停の出廷を求められたときには、必ず出廷するようにしましょう。

プライベートや仕事に支障をきたす

慰謝料を払わないままでいると、プライベートや仕事に支障をきたすようになります。慰謝料請求訴訟を起こされると、こちらの言い分を答弁書にまとめたり、裁判所に出廷して口頭弁論を行う必要があります。どうしても裁判のために時間を割かれ、頻繁に仕事を休まなくてはなりません。また弁護士に依頼する場合でも弁護士の打ち合わせに時間を取られることに。

また給与が差し押さえになると会社に慰謝料未払いのことがバレ、直接の影響はないかもしれませんが個人の信用が落ちたり、査定に響くなどの間接的な影響が出る可能性があります。

慰謝料を減免するのが難しいケース

慰謝料を減免したいと思っても難しいケースが存在します。自分の離婚原因は慰謝料が認められやすいのかチェックしましょう。

「決定離婚事由」が不法行為である

離婚に至った原因が「決定離婚事由」に該当し、かつそれが不法行為のときは慰謝料の減免が難しいでしょう。法定離婚事由とは夫婦間で合意がなくても裁判で離婚が認められる事情のことで、民法第770条に下の5つの事由が定められています。

第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

参照:民法|e-GOV法令検索

上の5つの法定離婚事由に該当し不法行為だと認められれば、慰謝料の支払い義務が発生します。法定離婚事由の具体例は下で詳しく説明していきます。

浮気・不倫などの不貞行為

民法770条の1項に定められている「不貞な行為」があると、慰謝料支払いは免れないでしょう。不貞行為とは法律上婚姻関係にある人が、配偶者以外の異性と性的関係を結ぶことで、不倫や浮気などが該当します。夫婦間には「配偶者が自分以外の相手と性的関係を持たないように要求する権利」すなわち「貞操権」があり、不倫した側が貞操権を侵害したということで不法行為が成立します。

性的関係の程度によっては不貞行為とみなされない場合もあり、慰謝料の支払い義務が生じない可能性も。基本的には肉体関係があれば不貞行為とみなされます。しかし必ずしも肉体関係がなくても交際が親密だと認められれば、不貞行為に当たらなくても慰謝料の支払い義務が生じる可能性があります。

DVやモラハラ

DVやモラハラ行為があったと認められれば、慰謝料の支払い義務が発生します。DVはドメスティック・バイオレンスの略で、夫婦間や家庭内での身体的暴力を指します。暴力は刑法第208条の暴行罪に規定されている罪でもあり、夫婦間であっても不法行為が成立します。慰謝料が発生するのは日常的に長期間にわたって暴力をふるい、配偶者を心身共に傷つけていたようなケースです。

モラハラとはモラルハラスメントの略で、言葉や態度での精神的な暴力のことです。日常的に配偶者を貶めるようなことを言う、暴言を吐く、無視をする、極度な束縛などが該当します。モラハラも民法で規定している不法行為に当たるため、認められると慰謝料の支払い義務が生じるという訳です。

経済的理由

夫婦間の経済的理由で離婚する場合、慰謝料を減免するのが難しい可能性があります。夫婦はお互いに協力して生活をしなければいけないという「協力扶助義務(民法第752条)」を負っています。しかし次のような行為は、協力扶助義務に違反している不法行為して慰謝料の支払い義務が生じます。

  • 生活費を渡さない
  • 全て管理され自由に使えるお金がない
  • 健康上問題なく働けるのに働かない
  • 浪費などで多額の借金を作る
  • 家計に必要なお金を勝手に持ち出す

上のような行為は配偶者の経済的な自由を奪い、精神的に追い詰める「経済的DV」とみなされることも。一般的に収入が夫より低い妻側が被害者になりやすく、専業主婦がとくに多いと言われています。

セックスレス

セックスレスだと決定離婚事由の5番目「その他婚姻を継続し難い重大な事由」となり、慰謝料の支払い義務が生じます。夫婦は互いに貞操の義務を負う一方で、夫婦間でお互いに夫婦生活に応じなければならない義務があると考えられているからです。何も支障がないにもかかわらず、正当な理由なく一方が夫婦生活を拒むと、相手の性的自由を奪う不法行為とみなされます。

不法行為や精神的苦痛の証拠がある

上のような不法行為や不法行為による精神的苦痛の具体的な証拠がある場合は、慰謝料支払いから逃れられないでしょう。証拠となるのは不貞行為を証明する動画や写真のほか、DVの音声データや医師の診断書などです。離婚の原因が一方にあることが明白で、それにより精神的苦痛を受けたことが分かる証拠であることがポイントになります。

不法行為の期間や回数、悪質さによっては、相手に大きな精神的苦痛を生じさせたと判断されると、慰謝料の金額が高額になる可能性があります。

念書や離婚協議書などの書類がある

念書や離婚協議書などの書類に、慰謝料を「○○万円支払います」との旨の文章がある場合、慰謝料の減免を免れることは難しいでしょう。裁判で判決が確定したり、弁護士が間に入って書類を作成していなくとも、当人同士で慰謝料の支払いを合意して書類を取り交わしただけでも、その約束は法的に有効となるからです。

念書だけではすぐに財産が差し押さえられることはありませんが、慰謝料の支払いを拒否すると訴訟を起こされ、過去に支払いに合意したという書類が証拠として提出されれば、書類通りに慰謝料支払いを命ずる判決が下りる可能性が高いでしょう。念書や離婚協議書の他にも誓約書や合意書といった書類も、慰謝料支払いの義務を裏付ける証拠となります。

「強制執行認諾文言」付きの公正証書がある

「強制執行認諾文言」付きの公正証書があると、差し押さえが強制執行されることに。公証役場で作成される公正証書は、要件を満たしていると確定判決と同じ執行力があります。そのため公正証書の内容に基づいて強制執行による差押えが可能になるということです。

満たすべき要件とは強制執行認諾文言が付いているかどうかということ。「合意した支払いを怠った場合には強制執行されても意義はありません」という内容の文言があると、わざわざ裁判を起こさなくてもいきなり強制執行をかけられます。つまり慰謝料支払いを強制執行認諾文言が入った公正証書で作成し、支払いを怠っているといきなり差し押さえにあうことがあるので気を付けましょう。

慰謝料の金額・支払い方法は変更できる?

慰謝料の支払いを拒否することは難しくても、金額を減額したり、支払い方法を分割払いに変更することは可能なのでしょうか?減額や支払い方法を変更できるケースがあるので見ていきましょう。

減額できるケース

場合によっては慰謝料を減額できる可能性があります。とはいえ相手は精神的苦痛を与えられたとして慰謝料を請求している訳で、初めから減額ありきではなく、一旦慰謝料の支払いを受け止めてからの方が交渉がスムーズに進むでしょう。

相手にも落ち度がある

相手にも何かしらの落ち度がある場合は、慰謝料を減額できる可能性があります。例えば直接の離婚原因がこちらの不貞行為であっても、相手の拒絶による長期間のセックスレスなどにより悩み苦しんでいたことによるものなら、相手にも落ち度があるとみなされて減額できる場合も。

他にもDVや暴言に至った原因が相手の挑発的な態度やバカにしたような言動にあるなら、相手の落ち度として主張できます。また夫婦双方が不倫していた場合も、慰謝料なしで離婚できる可能性があるでしょう。

反省の態度が相手に伝わる

精神的苦痛による慰謝料を請求された後でも、本人が深く反省していて反省の態度が十分に相手に伝わる場合は、慰謝料の金額が確定した後でも減額できる可能性があります。慰謝料の問題をスムーズに解決するには、誠意のある対応が一番です。離婚原因が自分にある場合、慰謝料の支払いをいつまでも拒否していると相手の目には反省していない態度に映ってしまいます。

そのような状態では減額して欲しいと持ち掛けても、応じてくれないことがほとんどです。相手が一番望んでいることはお金ではなく、心から反省しているという事実だということを心に刻み、自分の非を認めたうえで誠意を持って交渉するようにしましょう。

収入や財産が少ない

収入や財産が少なく支払い能力がないと判断されると、慰謝料の減額や分割での支払いが認められることがあります。そのためにはまず、なぜ支払えないかやどの位の金額なら支払えるかを説明する材料を相手に示す必要があります。具体的には給与明細や家計簿、借金の明細などです。払いたくても現実的に払えないということが相手にも分かると、減額に応じてもらえる可能性が出てきます。

離婚事由があるものの違法性が低い

自分に法定離婚事由があるものの違法性が低い場合は、慰謝料の金額を減額できることがあります。精神的苦痛を受けたにしろ、その程度があまり重くないと判断されるからです。例えば不倫期間がごく短く回数も少ないというケースや、一度きりの浮気などです。

もちろん1回だけの不倫でも許される訳ではありませんが、長年の不貞行為に比べると精神的苦痛が少ないとみなされ、比較的少ない金額の慰謝料になるでしょう。また実際に肉体関係はなかったものの、配偶者に疑われるほどの親しい関係だった場合には、精神的苦痛を与えるのに十分な責任があるため、多少の慰謝料を支払うことで和解するケースがあります。

相場の範囲内に収まっていない

慰謝料の相場金額の範囲に収まっていない場合も減額できる可能性があります。慰謝料には婚姻期間の長さや相手の収入、精神的苦痛の度合いや離婚理由などによって相場が決まっています。その相場から外れてあまりにも高額な請求が来た場合は、その請求に応じる必要はなく減額交渉ができるでしょう。

一般的に裁判で認められた不倫や浮気の慰謝料の相場は50万円~300万円程度。婚姻期間が長い場合は500万円ほどになることもあります。しかし感情に任せて相場よりもはるかに高い金額が慰謝料として請求されても、たとえこちらに離婚原因があったとしてもそのまま認める必要はありません。

婚姻期間が短い

結婚している期間が数年と短い場合は、長い場合よりも慰謝料の金額が低くなる傾向があります。長年一緒に生活してきた夫婦だと、安定した生活を奪われてしまったという相手の精神的苦痛が深刻になり、慰謝料の金額も高額になります。また長期間にわたって夫婦間の協力を怠ったと判断されたり、離婚後の女性の社会復帰が難しいということから高額になると考えられます。

一方で婚姻期間が短い夫婦の場合は、そこまで重い精神的苦痛が生じないと考えられて金額が低額になる可能性があります。婚姻期間が5年未満というケースが一番低く、次いで10年未満、15年未満という順です。

条件次第では分割払いへの変更も可

慰謝料が一括で支払えないときでも、条件次第では分割払いに変更することが可能です。もしも一括で払えるほどの財産がなかったり、慰謝料が高額だったりした場合は、頃合いを見て分割払いを提案することをおすすめします。

財産や資産がないことの証明

分割払いに変更できる条件の一つ目は、財産や資産がないことの証明ができることです。財産があるにもかかわらず分割払いを申し出ても、「全額払いたくないだけなのでは?」と思われて交渉に応じてもらえない可能性があります。本当に収入が低くて支払い能力がないことを分かってもらえれば、慰謝料の分割払いを認めてもらえる余地があるでしょう。

分割で払う意思を示す

慰謝料の分割払いを了承してもらうには、分割でも必ず全額支払うという態度を示すことが重要。相手方は分割払いにすることで、途中で支払いがストップしてしまうことを一番懸念しています。そこでしっかりと自分に非があることを認め、なるべく早く全額支払うという気持ちを伝えられると、相手も納得してくれるでしょう。

また支払に関する内容について公正証書を作成すると、分割払いの約束を守る意思があると伝えられ、応じてもらえる可能性も高まるはずです。

まとめ

慰謝料を支払いたくないときは、慰謝料支払い合意前なら相手の言うことを鵜呑みにせず、法的に有効な証拠かを確認したり婚姻関係が破綻していることを証明できれば支払わすに済む場合があります。ただ支払いに合意した後は粘り強く交渉を続けるか弁護士に依頼する方法の他、自己破産するしか方法がありません。

また法的には法定離婚事由に不法行為がある場合や、確実な証拠がある場合、強制執行認諾文言付きの公正証書などの書類がある場合は支払いを逃れることは難しいです。合意した慰謝料を支払わないでいると、財産が差し押さえられたり離婚したくてもできない等、公私にわたって支障が出ることも。

相手にも落ち度があったり反省の態度が伝われば、支払う慰謝料の減額に応じてもらえる可能性があります。いずれのケースでも自分に非がある場合は真摯に反省し、責任を持って支払うという姿勢を見せることが重要です。自分一人では交渉ができないという場合や、減額や分割払いが認められるかの判断は、離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

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