離婚調停が不成立…その後どうすれば?注意点と確実に離婚するためのポイントとは

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  • 「離婚調停が不成立になるともう離婚できない?」
  • 「離婚調停が不成立にならないために、できることが知りたい」

離婚調停に進む人の割合は、離婚全体の9%ほどとそれほど多くありません。しかし、協議離婚できない場合には、調停を経るしか離婚する方法がないのも事実。できれば調停を成立させて一日も早く離婚したいと考えている人は多いでしょうが、中には不成立になるケースもあります。

そこでこちらの記事では、離婚調停が不成立になる理由や離婚のためにすべきことを紹介していきます。また調停を不成立にしないためにできることや調停を有利に進めるポイントも解説するので、これから離婚調停を申し立てようとお考えの方は参考にしましょう。

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目次

離婚調停の不成立とは?

まずは離婚調停の不成立とはどのようなことかについて見ていきます。

離婚調停について

離婚調停は、家庭裁判所で裁判官や裁判所が選任した男女2名の調停委員を交えた話し合いで、離婚の成立や離婚条件の合意を目指す手続き。調停委員は正式に「家事調停委員」といい、最高裁判所によって任命されています。一般市民の良識を反映させるために、専門知識や豊富な社会生活上の知識経験を持つ人、地域に密着して幅広く活動してきた人などが選ばれます。

離婚調停では調停委員が当事者それぞれに交互に意見を聞き、双方の主張のすり合わせを行います。離婚調停はあくまで裁判官や調停員を介して、夫婦間の意見の調整を行う場。最終的な結論を下すのは裁判所ではなく本人たちという点が、離婚裁判とは異なります。

夫婦間で合意できないと不成立に

夫婦間で合意がなされないと、離婚調停は不成立となってしまいます。つまり「離婚調停をしたけれども離婚できなかった」という状態です。調停が不成立になった場合、調停の手続きはそこで終了します。

逆に離婚調停が成立した場合は、成立した日が離婚の日となります。ただしそのままでは戸籍に離婚の記載がされないので、成立の日を含めた10日以内に原則として申立人本人が、夫婦の本籍地となっている自治体の役所に「調停調書謄本」を添付して離婚届を提出します。

調停が不成立になる割合

では離婚調停を申し立てたうち、どの位の割合で不成立になるのでしょうか。直近の司法統計(令和3年度)で見てみましょう。

結果 件数 割合
離婚調停申し立て総数 64,884
認容(婚姻継続) 2,976 4.6%
却下 233 0.4%
調停成立 31,929 49.2%
調停不成立 11,739 18.1%
調停をしない 425 0.7%
調停に代わる審判 5,318 8.2%
取下げ 12,061 18.6%
当然終了 203 0.3%

参照:令和3年司法統計年報3家事編|最高裁判所事務総局

この結果を見ると、離婚調停を申し立てた約半数が調停成立となっています。一方で調停が不成立になった割合は約18%、調停に代わる審判となった割合は8.2%、取下げとなった割合は約19%という結果です。

不服申し立てはできない

離婚調停が不成立になった場合、その結果に納得できなくても不服申し立てはできません。そもそも不服申し立ては、裁判所が下した判断に不服がある場合に救済の可能性を残すための制度。離婚調停では、離婚を認める・認めないという判断を出すわけでないので、不服申し立ての制度がありません。

一方で離婚裁判では、裁判所の判決内容に不服がある場合、上級裁判所に「控訴」することができます。控訴の判決に不服がある場合は「上告」して、さらに上の裁判所で判決の成否を判断してもらえます。この点で離婚調停と離婚裁判の大きな違いです。

複数の調停を同時に申し立てることができる

複数の調停を同時に申し立てることができるということを知らない方も多いのではないでしょうか。例えば離婚を求める「離婚調停」と、別居期間の生活費の負担を求める「婚姻費用分担請求調停」を同時に申し立てられます。

離婚調停と同時に申し立てると、同じ調停日に話し合いが行われるので、裁判所に行く回数が増える心配がありません。とはいえ離婚と婚姻費用という、異なる二つの内容について話し合うので、話し合いが複雑になり調停が成立するまでに時間がかかる可能性も。

また離婚調停では、離婚そのものについてや養育費、財産分与、慰謝料といった内容も話し合うことができます。

離婚調停が成立しない4つのケース

こちらでは、離婚調停が「成立」とならない4つのケースについて、どのような場合に発生するかを詳しく解説していきます。

裁判官・調停委員による判断

離婚調停が成立しない理由に、裁判官や調停委員による判断があります。例えば次のようなケースで、離婚調停では離婚が成立する見込みがないと判断されると、調停が不成立となります。

  • 相手が離婚をかたくなに拒否している
  • 相手が離婚原因を認めていない
  • 相手が一度も調停に出席しない
  • 離婚条件がまとまらない

その他にも、相手の意見に納得できない場合や早く離婚裁判を行いたいとの理由で、申立人本人が調停不成立を希望して申し入れることも可能。基本的に離婚調停は、当事者の合意が見込める限りは何回か調停が繰り返されます。

しかし意見の対立が激しく、全く合意が見込めないようなときには、調停が1回目であっても不成立と判断される場合があります。

申立人による取下げ

申立人本人がこれ以上調停を続けていても合意できそうもないと判断したときや、離婚したい気持ちが変わった場合など、申立人の都合で調停を取下げることができます。相手の同意は必要なく、申立人が裁判所に「取下書」を提出することで、離婚調停が終了となります。

ただし調停のあとに離婚裁判を起こそうと考えている場合、取下げはしない方がいいでしょう。日本では裁判手続きは「調停前置主義」が原則です。調停を経ないと離婚裁判を起こすことができません。調停を取下げると、調停で十分な話し合いが行われたと判断されず、その後の離婚裁判を提起できない可能性が。

離婚裁判を起こすには、裁判所から出される「不成立証明書」や調停が終了したときに作成される「事件終了証明書」の提出が必須です。調停を取下げた場合、厳密には調停不成立とはならず不成立証明書が発行されないので気を付けましょう。

調停を行わないことによる終了

ほとんどないケースですが、調停を行わないことによる終了があります。不当な目的で調停が申立てられた場合や、調停を行うのは適当でないと判断されたときに、調停委員会(裁判官・調停委員)が調停を行わないとして調停を終了させることが認められています。主に次のようなケースが該当します。

  • 調停が不成立になったにもかかわらず、すぐに再度離婚調停を申し立てた
  • 不当に離婚調停を繰り返している
  • 根拠のない申立てである
  • 申立人本人が調停に出席しない

死亡したことによる当然終了

上記の司法統計の表にある「当然終了」というのは、調停の当事者である夫婦のいずれかが死亡したことで、婚姻関係が消滅してしまった場合の結果です。このケースでは調停を続ける目的がなくなるので、離婚調停は当然終了となります。

離婚調停が不成立になる5つの原因・理由

こちらでは離婚調停が不成立になる原因や理由について、さらに詳しく解説していきます。よくある理由として次の5つが考えられます。

相手が離婚に合意していない

相手が離婚そのものに合意していないと、話し合いは平行線をたどり離婚調停は不成立となります。このような場合には、まず相手が離婚を拒否する理由を明確にするのがポイント。調停委員に対し、なぜ相手が離婚を拒否しているかの理由を聞いてもらい、その対策を講じる必要があります。

相手が離婚理由を作った有責配偶者であれば、離婚裁判を起こせば離婚が認められる可能性があります。離婚裁判では、相手が有責配偶者であるという証拠が必要です。下で詳しく説明しますが、離婚理由ごとの適切な証拠を準備しましょう。

相手が離婚原因を認めていない

相手が離婚原因を認めていない場合もまた、離婚調停が不成立となります。そうならないためには、相手が離婚原因について認めるような証拠をしっかりと確保しましょう。離婚原因が相手にあることの証拠が揃えられれば、調停員から相手に対して離婚する方向に働きかけてくれる可能性が。

またしっかりとした証拠があれば、離婚裁判になった場合でも相手が離婚原因を認めていなくても、法的な離婚理由があると判断されると離婚が認められます。とくに相手の不倫やモラハラ、DVなどが原因で離婚を求めているケースで、相手がそれらの有責行為を認めずに調停が不成立になることがあります。事実が分かる客観的な証拠をそろえて、調停に臨むようにしましょう。

相手が調停に出席しない

相手が調停に出席しないと、調停が不成立になります。何か事情があって出席できないケースもあれば、わざと出席しないという場合も。1回の欠席ですぐに不成立となる可能性は低いですが、何回か無断欠席を続けると「調停に参加する意欲がない」と判断されて不成立なることが多いようです。

それでも調停での話し合いを希望するのであれば、家庭裁判所の調査官の事実調査という制度を利用して、相手方の出席を要請したり、相手の都合に合わせて調停日を再調整するという方法が考えられます。

親権についての争いがある

未成熟の子どもがいる場合、夫婦間で親権についての争いがあると、離婚調停が不成立になる場合があります。離婚届提出時には、親権をどちらの親にするか決定していないと離婚届が受理されません。親権問題は離婚に際して、とても重要な決め事となります。

しかし両親それぞれが親権を持ちたいという強い気持ちがあり、激しく対立している場合には、話し合いがまとまらずに調停が不成立となります。

離婚条件で合意できない

親権以外の財産分与や慰謝料、養育費といった離婚条件で折り合いがつかないと、調停が不成立に終わる可能性があります。離婚条件で調停不成立になった場合には、離婚裁判を検討することになりますが、金銭面での争いになっているケースでは、譲歩して調停による解決を目指すのか裁判にするのかを検討すべきです。

ただ子どもの親権とは異なり、財産分与については離婚した後でも取り決めが可能です。財産の処分で時間がかかりそうなときには、財産分与のみ離婚後に行っても問題ありません。とはいえ離婚後の交渉が困難になる恐れがあるため、なるべく離婚と同時に解決するのが望ましいでしょう。

離婚調停が不成立になった後に取れる対応は?

離婚調停が不成立になった場合、その後にどのような対応が取れるのでしょうか。

再び夫婦間で協議する

調停が不成立になった後は、可能であれば夫婦間で再度協議してみましょう。調停で話し合いが持たれたことで、相手の意見や希望が分かり、調停時よりも話し合いがスムーズにできる可能性があります。協議離婚は裁判所を通しての手続きが必要ない分、時間や労力、費用を軽減できる利点があります。しばらく別居を継続しつつ、タイミングを見て話し合うというのも一つの方法です。

弁護士を通じて協議を試みる

当事者同士の話し合いが難しいときには、弁護士などの専門家を通じて協議を試みてみましょう。とくに離婚したい理由が相手のモラハラやDVの場合、不用意に接触するのは危険です。このようなときこそ弁護士の力を借りて交渉しましょう。

弁護士から連絡が来ると、心理的プレッシャーから無視をせずに対応してくれる可能性があります。モラハラやDVをする人は強いもの・立場が上の人には弱いので、弁護士が出ると交渉がスムーズに進むことも。離婚問題に強い弁護士に相談し、交渉を依頼しましょう。

別居する

調停が不成立に終わってもどうしても離婚したい場合は、別居するのが有効です。一般的に3年~5年の別居期間があると、婚姻関係が破たんしているとみなされて離婚裁判で離婚が認められる可能性が高まります。

「お金が心配で別居は…」という方も安心してください。別居中は収入の高い側が低い側に対して婚姻費用を支払う義務があります。婚姻費用を長い別居期間に請求され続けたくないと考える相手にとって、婚姻費用の請求は離婚について前向きに考えるきっかけになるでしょう。婚姻費用は請求した時点から支払ってもらえるので、別居したときはすぐに婚姻費用の分担請求を検討しましょう。

相手の合意が必要

調停後に別居するときには、なるべく相手の同意を得るようにしましょう。相手に内緒で勝手に家を出てしまうと、法定離婚事由の悪意の遺棄に該当する可能性があるからです。離婚裁判になったときに不利になるおそれがあり、慰謝料を支払わなければいけない可能性も。

別居するときには、メールやLINEでも構わないので、「離婚を前提とした別居をしたい」という内容を伝えておきましょう。

離婚理由の証拠集めや財産調査を忘れずに

別居するまでに、離婚理由の証拠集めや相手の財産調査は忘れずに行ってください。別居してしまうと相手の行動が把握しづらくなったり、相手の財産を調査するのが難しくなるからです。とくに財産分与では、別居時点での共有財産が分与の対象となります。相手に隠している財産がないかなど、別居している間にきちんと把握しておきましょう。

離婚成立までの期間や注意点については、こちらの記事を参考にしましょう。

「別居からの離婚が成立する期間はどれくらい?必要な期間や別居する際の注意点」

親権取得を希望する場合は子どもとの同居が必須

子どもの親権取得を希望するときには、必ず子どもを連れて別居してください。というのも子どもの生活環境を変えずに子どもと同居している親が親権者としてふさわしいとみなされるため。子供と一緒に家を出て、監護実績を積むと、離婚後も子どもを安心して監護できると認められる可能性が高まります。

有責配偶者の場合は10年の別居期間が必要

通常、離婚裁判で離婚が認められるには3年~5年の別居期間が必要と言われていますが、離婚原因を作った有責配偶者からの離婚請求の場合は、最低でも10年程度の別居期間が必要です。また有責配偶者からの離婚請求が認められるには、別居期間以外に次のような条件を満たす必要があります。

  • 夫婦間に未成熟の子どもがいない
  • 離婚しても相手が、経済的に過酷な状況に陥らない

条件を満たせないときには、子どもが成人するまで待つか、離婚後に経済的に困窮しないほどの十分な経済的援助が必要となります。

別居期間1年で離婚できるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「別居期間1年で離婚できる?長引く・認められないケースと早く離婚するポイント」

再調停を申し立てる

離婚調停の申立に期間や回数の制限がないので、不成立になった後で再び離婚調停を申し立てることができます。しかし何も状況が変わっていないのであれば、調停を申し立てても同じ結論になることは目に見えています。また「当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをした」とみなされると、調停をしないものとして終了となります(家事事件手続法第271条)

審判に移行する

離婚調停が不成立になったものの、離婚を成立させるのが相当と裁判所が判断すれば、審判に移行して裁判官が離婚を認める判断を下します。夫婦双方に離婚の意思があるものの、子どものために結論を急いだほうがいいケースや些細な条件が折り合わなかったときなどです。

ただし審判には異議申し立てが認められていて、異議が出た場合には審判はなかったこととされるので、最終的には通常の裁判で解決せざるを得ません。このように効力が乏しいことから、実際に審判離婚が行われるケースはほとんどないというのが実情です。

審判離婚について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「審判離婚とは?審判離婚になる条件や離婚までの流れを知ろう」

離婚裁判を起こす

調停が不成立になった場合、それでも離婚を強く望むときには離婚裁判を起こせます。離婚裁判は片方が離婚を拒否していたとしても、双方から提出された証拠をもとに裁判官が離婚の可否や離婚条件について判決を下す法的手続きです。

調停が不成立になっても自動的に裁判に移行する訳でないので、自分で裁判所に裁判の申立てをする必要があります。調停不成立から2週間以内に裁判の申立てを行った場合、離婚調停の申立費用を離婚裁判の申立て費用に充当することができます。

離婚裁判にかかる期間は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚裁判の期間を手続きの流れごとに解説!長引くケース・期間を短縮する秘訣とは?」

調停を経ないと裁判に進めない

上で少し触れましたが、離婚調停を経ないと離婚裁判へと進めません。調停前置主義が原則となっているという理由からで、離婚裁判を起こすには、原則として調停を経ていることを証明する書類が必要です。調停不成立から離婚裁判を起こすまでの期間に決まりはありませんが、調停終了1年以内であれば、問題なく裁判の申立てを受け付けてくれるでしょう。

調停の内容は引き継がれない

調停を経ないと裁判に進めないものの、調停の内容は引き継がれないので注意しましょう。離婚調停と離婚裁判は法的に別の手続きになるので、離婚調停で主張した内容や提出した証拠などは離婚裁判に自動的に引き継がれません。調停で主張したから裁判所では分かっているはずといった考えは、持つべきでないでしょう。

離婚裁判では主張したいことを書面や証拠で提出し、自分の主張を認めてもらえるよう証明する必要があります。とはいえ、離婚調停で双方がどのような主張をして、どのような点が争点になったかをメモしておくと、裁判がスムーズに進行するでしょう。

法定離婚事由が必要

離婚裁判を起こすには、民法第770条にある「法定離婚事由」が必要です。

第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

引用:民法|e-GOV法令検索

それぞれの具体的な内容は次の通りです。

1.不貞な行為 夫婦以外の異性と合意の元で性的な関係(性交渉やそれに類似する行為)を結ぶこと
2.悪意の遺棄
  • 夫婦の同居・協力・扶助の義務に正当な理由なく反して、婚姻生活を破綻させる行為
  • 収入があるのに生活費を渡さない
  • 不倫相手と同棲して帰ってこない
  • 理由を告げずに一方的に家出する
  • 専業主婦なのに家事をしない
  • 健康で働けるのに働かない
  • 配偶者を家から追い出して帰宅を認めない
3.3年以上の生死不明 最後に消息を絶った日から3年以上、配偶者が生きているか死んでいるか分からない状態
4.回復の見込みがないほどの強度の精神病 配偶者が夫婦の協力義務を果たせないほどの重度の精神病にかかっているとき
5.その他婚姻を継続しがたい重大な事由
  • 夫婦の婚姻関係が破たんして、回復の見込みがないこと
  • DV(家庭内暴力・虐待)
  • モラハラ
  • 長期間の別居
  • 多額の借金やギャンブルなどの金銭問題
  • 過度な宗教活動
  • 配偶者の親族との不和
  • 犯罪による服役
  • 性の不一致など

離婚裁判で法定離婚事由が必要なのは、結婚生活に理不尽に縛り付けられる人を救うため。第三者から見て明らかに婚姻関係が破たんしていると思われるときや、結婚生活を維持するのが理不尽だと思われる理由があるときには、法律の規定に基づいて離婚が認められるべきという考えがあるからです。

証拠の確保が重要

離婚裁判で離婚が認められるためには、法定離婚事由の存在を裏付ける証拠の確保がポイントです。

不貞行為
  • ラブホテルや自宅に2人で出入りしている写真・動画
  • ラブホテルの領収書やクレジットカードの明細書
  • 本人が不貞を自白している音声や動画
  • 性行為があったことが分かる写真や動画
  • 性行為があったことを匂わせるやり取り
  • 探偵事務所や興信所の調査報告書
悪意の遺棄
  • 住民票の写し(別居して住民票を異動させていた場合)
  • 新たな住居の賃貸借契約書
  • 生活費が送金されなくなったことを示す通帳のコピー
  • 正当な理由なく出ていったことが分かるメッセージのやり取り
  • 配偶者の言動を記録した日記やメモ
DV・モラハラ
  • 医療機関によるケガやPTSD、その他心身症の診断書・受診歴
  • 暴力によるケガや壊されたものの写真
  • 警察や公的機関への相談履歴
  • 暴行や暴言を記録した音声・動画・メッセージ
  • 配偶者の言動を記録した日記やメモ
性の不一致
  • 夫婦で話し合ったときの音声
  • 性行為を拒否された日を記録した日記など

離婚条件について争う場合

調停不成立後に離婚条件について争う場合、次のような手順でその後を進めていくといいでしょう。

財産分与・養育費

離婚調停が不成立になった場合、離婚裁判を提起してその中で養育費を請求したり財産分与に関する処分を申し立てるという対応が考えられます。また一部の離婚条件を除いて、離婚調停を成立させるという手もあります。このような場合は、離婚調停が成立した後で再度協議をするか、再調停の申立をします。

その調停が不成立になった場合には、その後自動的に審判手続きに移行し、裁判官による判断を得ます。またごくまれではあるものの、いきなり審判を申し立てるという方法も。審判の内容に不服があるときは、高等裁判所に不服申し立てをし、さらに養育費や財産分与について争うこともできます。

養育費を途中で増額できるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「養育費、途中で増額できる?請求できる要件と手続き方法、増額請求を成功させるポイントとは」

親権

どちらが親権を持つかで対立し、調停が不成立になった場合には、家庭裁判所に離婚裁判を起こし、離婚を求めるとともに親権者の指定についても申し立てます。裁判では自分が親権者としてふさわしい事情を、具体的に主張・立証しなければなりません。

どちらが親権者となるか、家庭裁判所の判断で調査官調査を行うこともあります。調査官調査とは様々な専門知識を持つ調査官が、個別に面談したり家庭訪問を行ってどちらが親権者としてふさわしいかの調査。調査の対象は当事者である夫婦や未成年の子どものほか、監護を手伝っている親族や幼稚園、保育園や学校などの関係機関に及びます。

父親が親権を取れる確率やポイントは、こちらの記事を参考にしてください。

「父親が親権を取れる確率は?重視されるポイント・親権獲得のためにすべきことを解説」

慰謝料の請求

離婚調停で慰謝料についての争いがあり不成立になったときには、離婚裁判を起こしその中で慰謝料を請求する流れが一般的です。また離婚調停で離婚について合意ができている場合は、離婚調停を成立させ、後日慰謝料請求の民事訴訟を起こすという方法があります。

なお慰謝料請求権には時効があり、離婚成立後3年経つと慰謝料を請求できなくなります。

離婚慰謝料の相場について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚慰謝料の相場が知りたい!離婚理由や婚姻期間による相場・金額をアップさせるポイントを解説」

婚姻費用の請求

離婚調停を申し立てる場合には、婚姻費用分担請求調停も同時に申し立てる場合が多いです。どちらの調停も不成立になった場合には、婚姻費用分担請求調停のみが自動的に審判に移行します。審判では裁判官が婚姻費用算定表に基づいて、婚姻費用の金額を決めていきます。

婚姻費用は別居中の配偶者や子どもにとってとても大切なお金です。そのため離婚調停と同時進行で進めている場合は、婚姻費用分担請求調停を先に成立させるよう、申立人側から求めることがポイントです。

婚姻費用を支払わずに済むか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「婚姻費用を払わない方法が知りたい!未払いで起こることと払えなくなるケースを知り、適切な対処法を」

調停不成立を回避・有利に調停を進めるためのポイント

離婚調停が不成立になると、再度協議を行ったり離婚裁判を経たりして、離婚までに時間を要してしまいます。なるべくなら調停不成立を回避して、有利に調停を進めたいものです。

離婚条件についての優先順位を付ける

調停不成立を回避するには、離婚条件について優先順位を付けることをおすすめします。調停はあくまでも話し合いの場なので、全てこちらの希望通りの内容で離婚するのは難しいと考えておきましょう。離婚条件のうちでも譲れないもの、金額面で譲歩できるものなどを明確にし、優先順位を付けておきましょう。

そうすることで調停で譲歩する姿勢を示せ、調停委員に与える心証が良くなり、調停が有利に進む可能性も。自分が譲歩できないラインは守りながらも、相手が応じるであろう具体的な代替え案を提示すると、交渉がまとまりやすくなります。

証拠をなるべく多く確保する

相手に離婚原因がある場合、なるべく多くの証拠を確保するようにしましょう。とくに離婚調停は離婚裁判を見越して進行されるので、裁判で認められる可能性が高い証拠を提示して主張すると、調停委員の納得を得られやすくなります。

一方的に意見を押し付けない

いくら相手に離婚理由があっても、調停の場では感情的になって配偶者への不満や恨みつらみを訴えないようにしましょう。このような態度は調停の場で相応しくないというだけでなく、かえって調停委員や裁判官の心証を悪くする可能性があるからです。

そして自分がこのような態度だと、相手も同じようにかたくなな態度になるのは容易に想像できます。これでは調停を続けていても意味がないと判断され、調停終了となります。調停を成立させたいのであれば、一方的に自分の意見だけを押し付けないようにしましょう。

調停委員を味方につける

調停を有利に進めるには、調停委員を味方につける必要があります。そのためには身だしなみや言葉遣い、立ち振る舞いに気を付けて、感情的にならずに誠実さを心がけるのがポイント。実際に調停員と話し合う場面では、冷静に端的に事実を伝えるとともに、自分の意見をしっかりと伝えるようにしましょう。

相手の真意を探る

離婚調停の不成立を避けるには、相手の真意を探る必要があります。調停委員に相手の真意を探ってもらい、相手の主張に歩み寄る代替え案を提示できれば、相手が満足し調停が成立する可能性が高まります。

例えばこちらが子どもの親権を持ちたい、できれば離婚後は相手に会わせたくないと考えていたとします。一方で相手も親権を主張してきたとしましょう。しかし実は、相手の真意は親権を持つことではない可能性があるという訳です。

調停委員によく聞き取りをしてもらった結果、親権を主張する理由が実は「相手に負けたくない」という気持ちがある、または単純に「子どもとの関係を失いたくない」だけであると分かることも。この場合は面会交流の頻度や内容を考慮し、相手の主張に歩み寄る形を見せると、親権者は申立人でいいと応じる可能性があります。

離婚問題に強い弁護士に依頼する

調停を不成立にせずこちらに有利に終わらせるには、離婚問題に強い弁護士に依頼するのがベストです。調停に一緒に参加してもらうことで、困ったときや相手の主張にすぐに対応できないときでもフォローしてもらえます。

また調停で有利な資料集めや主張の整理、専門家目線でのアドバイスを受けられるので納得のいく結果が得られやすいでしょう。とくに調停では相手の一方的な主張を聞いて感情的になってしまったり、裁判官や調停委員から法律用語が出て理解できないときでも、弁護士がいることで安心して調停を乗り切れます。

さらに自身の希望や主張を弁護士が論理的に代弁することで、説得力が増して調停が有利に進められる可能性が高まるでしょう。

離婚時に依頼したい弁護士の選び方は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚時に依頼したい弁護士の選び方|相談前・相談時のポイントと費用に関する注意点を解説」

弁護士費用はどうなる?

弁護士に依頼するときに気になるのが弁護士費用ではないでしょうか。2004年4月以前は、弁護士報酬に関して基準が定められており、おおよその金額が明らかでした。しかし以降は自由化されており、弁護士事務所ごとに独自で料金体系を設定できるようになっています。

そのため弁護士費用は事務所ごとに異なるのが基本ですが、こちらではおおよその相場について紹介していきます。

離婚調停の報酬

弁護士に依頼した時点で、「着手金」を支払うのが一般的です。着手金の相場は、10万~30万円ほどです。争点が多いと高額になる傾向があり、調停が不成立に終わっても返金されません。

一方で「報酬金」は、事件終了後に相手方から金銭を回収できた場合や、希望した結果が得られたときに支払う弁護士費用で、回収額の10~15%が相場です。離婚調停が不成立になった場合には、それにより得られた結果がないので、基本的に報酬金は発生しません。

弁護士事務所の中には、「基本報酬」という形で、結果に関係なく事件終了後に報酬が発生する場合があります。着手金のあと払い的な意味合いがあるものですが、引き続き審判や裁判を依頼する場合には不要になるケースが多いです。

離婚調停にかかる弁護士費用は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚調停にかかる費用とは?裁判所・弁護士費用の詳細や一括で払えないときの対処法も」

審判に伴う費用

離婚調停が不成立になり、婚姻費用や面会交流の調停が審判に移行した場合、それに伴う追加費用が必要になる場合があります。調停と審判を同じ料金内で対応しているという事務所に依頼すれば追加費用はかかりませんが、改めて着手金が必要になる事務所では、追加費用がかかることも。

離婚裁判になった場合

離婚調停が不成立となり、その後離婚裁判を起こす場合には、改めて着手金が必要になる弁護士事務所が多いようです。とはいえ改めて着手金の全額を請求される訳ではなく、離婚調停の着手金と離婚裁判の着手金の差額分のみを追加で請求されるケースが多く見られます。

離婚裁判にかかる費用について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚裁判の費用を徹底解説!金額の相場や払えないときの対処法、注意点とは?」

まとめ

離婚調停が不成立になるのは、調停を申し立てたうちの18%ほど。裁判所による判断や申立人からの取下げ、調停を行わないことによる終了といった結果となるケースが多いです。調停が不成立になる理由は、相手が離婚に合意していない、離婚理由に納得していない、離婚条件で折り合わないなど様々。

調停が不成立に終わった後は、双方による再協議や審判への移行、離婚裁判を起こすという方法が考えられます。確実に離婚したい場合は、別居するのも一つの方法です。離婚条件で折り合わないときには、それぞれで最も適した方法を取るのがおすすめ。

離婚調停を不成立にせずなるべく有利に進めるには、相手の真意を探り離婚条件に優先順位を付けるのがポイント。また調停委員を味方につけるのも有効です。そして何より法律の専門家である弁護士に依頼するのがベスト。調停に一緒に出席し、あなたの主張を代弁してもらうことで、調停を成立させるだけでなく有利な条件で離婚できます。

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