離婚慰謝料の相場が知りたい!離婚理由や婚姻期間による相場・金額をアップさせるポイントを解説

離婚慰謝料の相場が知りたい!離婚理由や婚姻期間による相場・金額をアップさせるポイントを解説
離婚慰謝料の相場が知りたい!離婚理由や婚姻期間による相場・金額をアップさせるポイントを解説
  • 「夫の不倫で離婚するときの慰謝料相場を知りたい」
  • 「離婚の慰謝料をアップする方法はある?」

離婚時に慰謝料をどのくらいの金額もらえるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。こちらの記事では離婚理由や結婚期間ごとの慰謝料相場を詳しく解説。離婚の種類や子どもの有無、相手の年収による相場の違いも紹介していくので、自分のケースではどのくらいになりそうか確認できます。

離婚慰謝料の金額をアップさせるにはいくつかポイントがあります。少しでも多く慰謝料を貰いたいと考えている方は参考にして、慰謝料の増額を狙いましょう。離婚時の慰謝料には時効があり、場合によっては税金がかかることも。慰謝料請求時の注意点をよく理解してなるべく多く慰謝料を取れるよう対策を講じましょう。

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離婚慰謝料の計算方法はある?

離婚慰謝料の金額を計算するのに決まった計算方法や計算式はあるのでしょうか。慰謝料請求裁判では、過去の判例をもとに慰謝料の金額を決めることが多く、個々のケースによって条件や背景が異なるため、簡単に計算式で求められるものではありません。そもそも慰謝料というのは精神的苦痛に対する損害賠償金のことです。離婚時の慰謝料には主に次の2つがあります。

離婚自体慰謝料
離婚すること自体の精神的苦痛に対する慰謝料
離婚原因慰謝料
離婚の原因となった不貞やDVによる精神的苦痛に対する慰謝料

離婚自体慰謝料は離婚により住む場所や生活が変化すること、今の地位を失うことによる損害など離婚によって生じる影響に対する慰謝料のこと。離婚原因慰謝料は離婚原因がある場合に、その原因によって受けた精神的苦痛に対する慰謝料を指します。離婚する場合はこの二つを合わせた金額を慰謝料として請求できます。

離婚時の慰謝料は相手に不法行為があり、離婚の原因が相手の行為によるものだと明白な場合に請求できます。慰謝料には相場があり、次のような様々な算定要素によって金額が決められます。

  • 婚姻期間
  • 子どもの有無・人数・年齢
  • 離婚の原因
  • 離婚原因が行われた期間・回数・有責度
  • 夫婦の年齢
  • 夫婦の職業・年収・資産
  • 離婚原因を作った側の反省の度合い
  • 精神的苦痛の大きさ

裁判では離婚原因や精神的苦痛を受けた具体的な証拠をもとに、慰謝料の金額を決めていくことになります。

離婚の種類ごとの慰謝料相場とは

離婚には主に次の3種類あり、それぞれの離婚の仕方によって慰謝料の相場が変わってくる場合があります。

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 裁判離婚

こちらでは離婚の特徴や、離婚時の慰謝料相場について解説していきます。

協議離婚

協議離婚とは夫婦間の話し合いで決める離婚のことで、慰謝料の金額についても直接話し合って決めていきます。協議離婚の慰謝料相場は50万円~300万円です。ただし夫婦の話し合いのみで金額を決められるので、お互いが合意すれば0円でも1000万円でも構いません。

似たような意味の言葉に「円満離婚」がありますが、夫婦が揉めたり第三者が間に入ったりせず離婚に至るケースを指すことから、協議離婚の一種として分類されることも。協議離婚の大きなメリットは、話し合いが早期に解決すればスピーディーに離婚できることです。ただし話し合いの場で感情的になって揉めたり、後から「言った言わない」のトラブルが発生する心配があります。

円満離婚の慰謝料相場や慰謝料を減額・増額する方法を知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「円満離婚の慰謝料相場が知りたい!増額・減額する方法と弁護士に依頼するメリット」

調停離婚

調停離婚とは家庭裁判所に申し立てて、調停委員という第三者を交えて協議する離婚のこと。慰謝料の相場は100万円~300万円の間でまとまることがほとんどです。調停の場ではそもそも離婚すべきなのかや子どもの親権、養育費などについても同時に協議します。

お互いが顔を合わせたくないときは、弁護士を代理人に立てて調停員と交渉してもらうことも可能です。調停では話し合いがまとまるよう代理人や調停員から説得されることがありますが、内容に納得がいかなければ合意しなくても構いません。調停離婚を有利に進めるには、調停委員をいかに味方につけるかがポイントで、合意した内容は「調停調書」にまとめられます。

裁判離婚

離婚調停でも交渉がまとまらない場合は、裁判離婚となります。裁判離婚の相場も調停離婚と同様、100万~300万円となるケースがほとんど。裁判所を通す離婚手続きでは過去の判例から慰謝料を算定するため、希望通りの慰謝料金額にならないこともあります。

離婚調停でまとまらなくても裁判へ自動的に移行する訳ではないので、新たに地方裁判所に訴状を提出して、訴訟を提起することになります。裁判途中で双方の主張を踏まえた和解案が裁判官から提示され、それを受け入れて解決となれば「和解示談」で終わることに。和解にならないときは判決まで進むのですが、最終的に判決まで行くケースはごく少数です。

慰謝料が変動する要素と相場について

上で少し説明した通り、離婚の慰謝料が変動するのは様々な要素の詳細によってです。こちらでは要素ごとの慰謝料相場を詳しく解説していきます。

離婚理由ごとの相場

離婚慰謝料の金額を決めるときに最も重要な要素の一つが離婚に至った理由です。離婚時に慰謝料を請求しようと考えている人のほとんどが、これらの離婚理由に該当するのではないでしょうか。

不貞行為

不倫や浮気など配偶者の不貞行為によって離婚する場合の相場は、100万円~300万円です。不貞行為による慰謝料請求では、不貞に関するこのような要素によって慰謝料の相場が変動します。

  • 不貞行為の回数
  • 不貞行為が続いた期間
  • 不貞行為に至った経緯
  • 悪質度
  • 不倫相手の妊娠・出産の有無

もちろん不貞行為の回数や期間が多ければ多いほど相場は高額となります。不倫相手の妊娠や何度も繰り返されたなど、不貞行為の悪質度が高ければそれだけ精神的苦痛も大きなものだったと判断されるため、慰謝料を多く請求できるでしょう。不貞行為に関する要素にプラスして、婚姻期間や子どもの有無などでも慰謝料の金額が変動します。

DV・モラハラ

配偶者のDV(ドメスティック・バイオレンス)やモラハラ(モラルハラスメント)によって離婚する場合の慰謝料相場は、50万~300万円前後です。ここでも行為の深刻さや期間、婚姻年数や子どもの年齢によって慰謝料の金額が変動します。DVやモラハラで慰謝料請求する場合は、その行為によってケガをしたりうつ病になるなど心身へのダメージが大きければそれだけ慰謝料は高額に。

ただDVやモラハラは主に家庭内で起こることのため、証拠が確保しづらい可能性があります。また暴力・暴言の頻度がそれほど多くない場合や程度が軽いと慰謝料の金額が低くなることも。さらには慰謝料を請求する側にDVやモラハラを誘発するような言動がなかったかも慎重に判断されます。

性の不一致

性の不一致で離婚する場合の慰謝料相場は0円~100万円前後です。性の不一致で慰謝料が請求できるのは、次のような場合です。

  • 原因がないのに一方的に性交渉を拒否される
  • セックスレスの期間が長い
  • 結婚してから一度も性交渉がない
  • 性的異常(SM・回数が多いなど)

性の不一致に該当したとしても上のような状況を証明するのが難しいため、慰謝料の相場は0円から数十万円程度になることがほとんどです。ただしこれらのケースの不貞行為といった事情が重なって離婚に至った場合は、慰謝料は増額される可能性も。

悪意の遺棄

悪意の遺棄が離婚理由の場合の慰謝料は、50万円~300万円ほどが相場です。夫婦には同居義務やお互いに協力して生活を営む「扶助義務」があると民法で定められています。その義務を「悪意を持って遺棄(捨てて顧みないこと)」すると離婚理由となり、慰謝料が請求できます。悪意の遺棄に該当するのは次のような行為です。

  • 働いている夫が専業主婦の妻に生活費を渡さない
  • 理由もないのに同居を拒否する
  • 勝手に家出を繰り返す
  • 健康なのに働かない・家事をしない
  • 姑との折り合いが悪く実家に帰ったまま

生活費を払わない期間や家出をしていた期間が長いほど慰謝料が高額になります。またこのようなケースでは離婚慰謝料とは別に結婚期間の生活費「婚姻費用」も追加で請求できます。悪意の遺棄の場合、これらの行動の他に不貞行為やモラハラといった離婚原因が背景にあることが多く、証拠が確保できれば慰謝料がさらに上乗せさできる可能性も。

婚姻を継続しがたい重大な事由

不貞行為やDVなどがないものの婚姻を継続し難い重大な事由がある場合は、慰謝料を請求できます。このときの慰謝料相場は100万円~300万円前後です。どのような事由が該当するのかはケースバイケースですが、主に次のような理由が当てはまります。

  • 浪費癖やギャンブル依存症
  • 度重なる配偶者の借金
  • 宗教や信仰上の対立
  • 過度な宗教活動への傾倒
  • 相手の親族との不和
  • 犯罪行為により服役している

客観的に見て結婚生活を継続するのは難しいと判断されれば慰謝料が請求できますが、別居の有無や子どもの年齢などで総合的に判断されます。まずは自分のケースが「婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまるかを、離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

子どもの有無で見る慰謝料相場

夫婦の間に子どもがいるかいないかでも、離婚時の慰謝料相場が変わってきます。

子どもありの場合

子どもがいない夫婦よりも、子どもがいる夫婦間の方が慰謝料は高額になります。子どもがいて離婚となると、より生活への影響が大きく、精神的苦痛も増すと考えられるからです。また子どもの人数が多いほど相場は高く、子どもが幼いほど精神的な被害を受ける可能性が高いとみなされ相場は高額になります。

子どもが関係する離婚時のお金に「養育費」がありますが、こちらは親が子どもの扶養義務を果たすために支払うお金です。慰謝料とは別の性質のお金になるため、分けて金額を決めることになります。

養育費請求での弁護士費用については、こちらの記事を参考にしましょう。

「養育費に関する弁護士費用が知りたい!ケースごとの相場・払えないときの対処法とは?」

子どもなしの場合

子どものいない夫婦の離婚の場合は、子供ありの夫婦に比べて慰謝料は低くなります。ただ子どもに関する問題が発生しないため、話し合いは比較的スムーズに進むでしょう。養育費など子どもに発生するお金は受け取れませんが、財産分与や年金分割など、夫婦間の資産を等分して受け取れることがあります。

婚姻期間の長さごとの慰謝料相場

結婚期間は慰謝料の算定に大きな影響を与えます。結婚年数が長ければ長いほど夫婦で積み重ねた歴史があり、離婚によって平穏な結婚生活を壊されたことで、精神的苦痛が大きいと判断されるためです。離婚理由によって相場は変動しますが、こちらでは不貞行為で慰謝料請求するときの婚姻期間別の相場を紹介していきます。

1年~5年

1年~5年という結婚生活が短い場合の慰謝料の相場は100万円~200万円です。不貞行為の期間など有責度によって金額は変動します。ちなみに結婚一年未満の場合は、数十万円から高くても100万円までが相場となります。

5年~10年

婚姻期間が5年~10年の場合は、100万円~300万円が相場です。こちらは不貞行為で離婚に至った場合の相場で、別居していない夫婦やそもそも離婚をしない夫婦間では30万円~200万円ほどと相場は低めになります。

10年以上

10年以上の婚姻期間の場合、150万円~500万円が相場です。別居や離婚がない場合は50万円~200万円ほどと低く算定されます。熟年離婚でも婚姻期間に離婚原因や受けた精神的苦痛の度合いによって変動します。

ただ結婚生活が25年を超えると財産分与の金額がグッと上がり、1000万円を超えるケースが財産分与の取り決めがあったうちの20%を越えます。また年金分割も行われるため、離婚時にはまとまったお金を確保できる方が多いでしょう。

参考:財産分与の支払額別婚姻期間別|家庭裁判所

年収や社会的地位による慰謝料相場

慰謝料を支払う方の年収や社会的地位も慰謝料の算定に影響があります。

年収による相場

慰謝料の算定では「年収の何割」等の明確な取り決めはありません。相手の年収が高いほど高額な慰謝料請求が認められると考えられがちですが、年収に比例して慰謝料が高くなる訳ではないことを覚えておきましょう。とはいえ年収が高いほど話し合いや交渉によって、相手が高額な慰謝料請求に応じる可能性があることは間違いありません。

慰謝料請求する場合、相手の収入や資産など懐具合に応じて請求額を決めるのは一般的です。逆に年収が低いと請求が認められる慰謝料の金額は低くなりがちです。相手が支払えない程の慰謝料を請求しても、結局回収ができないことが多いからです。

無職の場合はそもそもの収入がないので難しいですが、家や車など財産の差し押さえや、今後働いて得られるだろう収入から払うように取り決めすることは可能です。婚姻期間の長さや有責度などによっては、年収以上の慰謝料請求が認められる場合も。配偶者の年収が低くても慰謝料を請求できる可能性は残っているので、まずは弁護士に相談してみましょう。

社会的地位による相場

会社経営者や社会的地位が高い相手に請求する場合は、相場よりも高額な慰謝料になる可能性があります。有名人や社会的地位が高い人は、離婚によって自分の評判が落ちることを気にする傾向にあり、高額な慰謝料を支払うことで離婚理由や離婚に至る経緯を口外しないことを誓約させるケースがあるからです。

海外セレブや芸能人が数億円の慰謝料を支払ったという報道を目にすることがあります。これも離婚によって自分に不都合な情報を外に漏らさないためや、「法外な慰謝料をポンと払える」ということを世の中に発信するための宣伝料的な役割があります。

離婚時に慰謝料が発生しないケース

離婚をすればどんな夫婦にでも慰謝料が発生する訳ではありません。こちらでは離婚時に慰謝料が認められないケースについて解説していきます。

性格の不一致による離婚

離婚理由が「性格の不一致」による場合は、慰謝料請求が難しいでしょう。日本では離婚理由の第一位にあがる理由ですが、離婚の原因として法に反する行為や損害を被ったという事実が認められないためです。性格や相性の良し悪しは法律では判断できず、相手が違えば問題ないこともあるので、性格の不一致だけが離婚理由の場合は慰謝料を請求できません。

ただし相手が慰謝料の支払いに同意した場合や、性格の不一致以外にも離婚理由がある場合は慰謝料を請求できます。相手が慰謝料を払ってくれるときは、協議によって夫婦間で金額を話し合うのが良いでしょう。性格の不一致以外に離婚理由がある場合は、そちらの離婚理由で慰謝料請求を試みてみましょう。

すでに夫婦関係が破綻している

離婚理由が発生する前からすでに夫婦関係が破綻している場合は、慰謝料を請求できなかったり金額が低くなる可能性があるでしょう。とくに別居中や家庭内別居の場合はすでに夫婦関係が破綻しているとみなされるため、その期間中に相手が不倫をしても慰謝料請求はできません。

ただし別居や家庭内別居にいたる理由が不貞行為やDVで、それによって離婚を考えている場合は慰謝料請求できる可能性が残っています。

自分にも離婚の責任がある

自分にも夫婦関係が悪化した原因があったり、離婚の責任がある場合は慰謝料請求ができない可能性も。よくあるのが次のようなケースです。

  • 夫の不倫の原因が妻側の理由のない性交渉の拒否だった場合
  • 夫のモラハラのきっかけが妻の不貞行為によるもの
  • 妻の浮気がきっかけで夫も浮気をしたとき

上のように夫婦関係が悪化した原因や離婚の理由がどちらか一方のみと判断できないケースでは、そもそも慰謝料が請求できなかったり、慰謝料が減額される可能性があります。

まれに「収入の低い妻が夫に無条件で慰謝料請求できるのでは?」と考えている人がいますが、これは間違いです。収入や性別によってのみ慰謝料が請求できるということはありません。離婚時に慰謝料が発生するためには、どちらかに必ず有責性がある場合に限られるからです。たとえ夫が高収入で妻が収入のない専業主婦でも、夫に離婚に至る有責性がないと慰謝料請求はできません。

法的に有効な証拠がない

法的に有効な証拠が確保できないと、慰謝料請求が認められません。弁護士に慰謝料請求交渉を依頼するときも、DVやモラハラなどの客観的証拠がないと「慰謝料は請求できません」と断られることも。自分で調停を起こす場合も調停委員に証拠を提出できないと請求は難しいと言われ、離婚裁判ではやはり証拠がないと支払い命令を出してもらうことは不可能です。

相手と直接交渉する場面でも、そもそも不貞の事実を認めていない相手では、慰謝料を支払うよう言っても「証拠もないのにどうして支払わなければならないのか」と反論してくるはず。離婚時に慰謝料請求が認められるには、確実な証拠の確保が欠かせません。

離婚慰謝料の金額を高くするポイント

離婚後の生活に不安を抱える人のほとんどは、少しでも慰謝料を多くもらいたいものです。そこで慰謝料の金額をアップさせるポイントを紹介していきます。

証拠は確実に取る

慰謝料を増額するポイントは、しっかりとした証拠を確保することです。確実な証拠がない場合、相手が自分に不利な事実について認めない可能性が高く、調停や裁判になった場合でも慰謝料請求が認められません。逆に有力な証拠が準備できれば、いざとなったら裁判になることも想定した上で相手の交渉を有利に進められます。

証拠を確保するまでは不貞行為について問い詰めたり、離婚をほのめかすことは厳禁です。相手も離婚について意識し出すと、不利な証拠を残さないように気を付けるためです。決して気づかれないように普段のままの生活を心がけながら水面化で証拠を確保し、準備が整ってから離婚を切り出しましょう。

不貞やDVの証拠

不貞行為やDVがあったことを証明できる証拠をとれれば、裁判で相手が有責配偶者であることを立証できます。不貞行為の証拠で重要なのは「配偶者以外の異性と肉体関係があったことを証明または推認できるような証拠」が確保できるかです。具体的には次のようなものが、裁判で認められやすい不貞の証拠となります。

  • ラブホテルに出入りする写真
  • ホテルに宿泊した領収書やクレジット明細
  • 不貞の事実を認める発言の録音や文書
  • 肉体関係があることが分かる内容のメールや手紙
  • 不貞相手の妊娠証明書
  • 探偵や興信所の調査報告書

モラハラやDVは家庭内でのみ行われることがほとんどで、一つ一つの行為はそれほど悪質といえないばあがあります。そのため一つの証拠だけで慰謝料請求の決め手とするのは難しいため、数多くの証拠を長期間にわたって継続的に集めることがポイントです。具体的には次のような証拠が当てはまります。

  • ケガをした写真
  • 病院の診断書
  • 音声データや動画の記録
  • 詳細な日時や場所、暴力を受けた内容を記した日記

ただし証拠がなかなか確保できないからと、勝手に相手のパソコンやスマホを盗み見るのは「プライバシー権の侵害」に当たります。またスマホ等のロックを承諾なしに解除する行為は「不正アクセス禁止法」に該当する可能性も。たとえ配偶者でも違法行為に該当し、違法な行為によって得られた証拠は裁判で認められないので気を付けましょう。

不貞行為の証拠を押さえようと車で尾行したり、盗聴や盗撮などの行為は思いがけない事故やリスクを伴います。自分一人だけで証拠を取ろうとせず、なるべくならプロの興信所や探偵事務所に依頼することをおすすめします。

精神的苦痛を受けた証拠

精神的苦痛を受けたという証拠があると、慰謝料の増額が望めるでしょう。慰謝料は精神的苦痛を受けたことに対する損害賠償金です。配偶者の一方的な有責行為によって心ならずも離婚に至った場合、精神的に不安定になったりうつ病になったという証拠(病院の診断書など)があれば、慰謝料が増額になる可能性が高まるでしょう。

他にもモラハラを受けた当時の日記に気持ちが書かれていれば、精神的苦痛があったことの証明に。またカウンセリングを受けた記録や仕事を止めざるを得なくなったという事実も、精神的苦痛を受けていたと推定できる証拠になります。

婚姻関係が破綻していない証拠

不貞行為が明らかになる前まで夫婦関係が円満だと証明できれば、離婚時の慰謝料は増額できるかもしれません。というのも突然の不貞行為の発覚と離婚によって、夫婦関係に重大なダメージがあったことが考慮されるからです。婚姻関係が破綻していない証拠には次のようなものがあります。

  • 普段の何気ないメールやLINEのやり取り
  • 家族で出かけたときに撮った写真
  • 定期的に性交渉があったという記録
  • 家庭内で一緒に食事をとっていた事実
  • 誕生日プレゼントをお互いに贈りあっていた事実
  • 冠婚葬祭に夫婦で参加していたという証言

上のような証拠が複数取れれば、客観的に見て婚姻関係が破綻していないとみなされるため、離婚時の慰謝料が増額される可能性が高いでしょう。

協議離婚で離婚する

協議離婚で離婚すると、慰謝料を相場よりも多くもらえる可能性があります。前出の通り、協議離婚とは夫婦で話し合って合意に至れば離婚するという方法です。話し合いで当事者同士が納得しさえすれば、慰謝料だけでなくどのような内容の離婚条件でも決めることができます。極端な例では相手がOKなら1000万円でも1億円でも慰謝料を支払ってもらえるということです。

ただし「公序良俗に反しない限り」という条件が付きます。公序良俗とは公共の秩序を守るための道徳的な観念のことを指します。慰謝料請求の場合は、相手が支払えない程あまりに高額な慰謝料を請求したり、脅して慰謝料を払わせるといった行為は公序良俗に反するとされ慰謝料請求が認められません。

分割払いも検討

一括払いにすると相場以下の慰謝料しか支払ってもらえないケースでも、分割払いにすると高額な慰謝料を手にできる可能性があります。ここでポイントになるのが、裁判を行わずに調停離婚や協議離婚を選択するということ。裁判離婚では判決が出ると慰謝料の一括払い命令になってしまい、相手に支払える余裕がないと慰謝料を受け取れません。

そのためなるべく高い慰謝料を請求するには、話し合いで金額や支払い方法が決められる協議離婚や調停離婚で離婚するようにしましょう。話し合いで決めた支払方法については、確実に支払ってもらうために公正証書で離婚協議書を作成することをおすすめします。

弁護士に交渉を依頼

弁護士に交渉を依頼できると、離婚慰謝料を高額にできる可能性が高くなります。というのも弁護士に依頼できると、相手との交渉を有利に進めるための経験に基づいたノウハウがあったり、相手に対して慰謝料請求に対する本気度が伝わりプレッシャーを与えられるからです。

当人同士が直接顔を合わせて交渉しようとすると、つい感情的になったり、相手が話に応じてくれない可能性が。またあなたに法律に基づいた専門的な知識や交渉力が十分にないと、口の上手い相手に言いくるめられて不当な金額で合意してしまう恐れもあります。DVやモラハラが原因の離婚では、そもそも当人同士が直接交渉することは精神的にも難しいでしょう。

本人からの慰謝料請求を無視するような人でも、弁護士からの連絡を無視する人はそう多くありません。弁護士に交渉を依頼できると相手との交渉の前段階、証拠集めや慰謝料の相場まで相談できます。慰謝料を確実に手に入れたい、なるべく高額な慰謝料にしたいという方は離婚問題に詳しい弁護士に相談するのが一番です。

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離婚慰謝料を請求するときの注意点

離婚慰謝料を請求する方は、次のような点に注意しましょう。

慰謝料請求には時効がある

離婚の慰謝料請求には「時効」があります。具体的な期間は3年ですが、請求する事情によってカウントされる時効の起算日に次のような違いがあります。

慰謝料請求の対象 時効の起算日
不貞行為を知ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料 不貞行為の事実を知ったとき
不倫相手の詳細(名前・住所など)を知ったとき
不貞行為が原因で婚姻関係が破綻したことに対する慰謝料 不貞行為によって婚姻関係が破綻したとき
不貞行為が原因で離婚したことに対する慰謝料 不貞行為によって離婚したとき

慰謝料請求の時効は不貞行為があったことを知ってから3年ですが、それを知らなかった場合は不貞行為があった時点から20年以内なら慰謝料請求が可能です。また3年を過ぎた後でも請求する相手が時効を主張せず、慰謝料を支払う意思を表していれば慰謝料を受け取れます。

事情があり一刻も早く離婚したい方は、離婚してから慰謝料を申立てることが可能です。離婚に対する慰謝料は離婚した時点が起算日となり、3年間の間に慰謝料請求を求める裁判を起こすと時効が中断されます。時効が目前に迫っている場合や裁判を起こす余裕がないという方は、相手に内容証明郵便を送ることで時効に6カ月の猶予ができます

公正証書で離婚協議書を作成する

離婚時に慰謝料について取り決めた内容は、必ず公正証書で離婚協議書を作成するようにしましょう。調停離婚の場合は調停調書に合意内容についてまとめられますが、協議離婚では書面にしなければならないという決まりはありません。後になって双方の認識の食い違いや言った言わないといったトラブルを生じさせないためには、公正証書で離婚協議書を作成するのがおすすめ。

公正証書とは国の機関である公証役場で、法務大臣が任命した公証人によって作成される書類のこと。法令にのっとった方式で作成されるので、高い証明力があるのが特徴です。離婚協議書に慰謝料請求についての取り決めを入れて公正証書で作成しておくと、万一支払がない場合は、裁判に訴えなくても相手の財産を差し押さえられます。

慰謝料請求に関しては、次のような内容を離婚協議書に入れるといいでしょう。

  • 慰謝料請求の理由
  • 慰謝料の金額
  • 支払期日
  • 支払方法
  • 銀行口座(振り込む場合)
  • 上記の内容で合意したことを示す一文
  • 合意した日にち
  • 双方の住所・署名・捺印

離婚協議書には慰謝料の他にも養育費や財産分与、年金分割について決めた内容も入れましょう。離婚に関する取り決めすべての内容を書面で作成すると、話し合いや書面作成の手間が省けます。

まれに課税対象となることも

慰謝料は精神的苦痛に対する損害賠償金なので収入や利益と異なり、原則として税金はかかりません。ただし相場よりも高額で、社会通念上高額過ぎると税務署が判断した場合は、超過分に対して贈与税が課せられる可能性が。また慰謝料として不動産を受け取ったというケースでは、不動産取得税や登録免許税がかかる場合があります。

不動産を慰謝料として受けとる場合は、地価や評価額の急激な変動によって多額とみなされるケースも。税務署からどのような経緯で取得した財産なのか証明するためには、予め調停証書や離婚協議書に慰謝料であることを記載しておき、後から説明できるようにしておきましょう。

まとめ

離婚時の慰謝料にはこれといった計算方法はなく、離婚の方法や離婚理由、子どもの有無や婚姻期間の長さによって相場が異なります。また性格の不一致による離婚やすでに婚姻関係が破綻している場合、自分にも離婚原因がある場合は慰謝料が発生しません。女性だからという理由や収入が低いからという理由で慰謝料がもらえる訳ではないので注意しましょう。

より高額な慰謝料を手にするには離婚原因となった行為の証拠をしっかりと取り、精神的苦痛を受けたことや婚姻関係が破綻していないことを証明できるかがポイント。協議離婚で離婚すれば相場よりも高額にできる可能性があり、分割払いにすると一括払いでは難しい金額で合意できることも。

慰謝料請求には時効があり、まれに課税されることもあります。離婚慰謝料について不明な点がある方や、自分一人では交渉できそうもないという方は弁護士に依頼することをおすすめします。慰謝料の交渉を任せられるだけでなく、時効についてや離婚協議書の書き方も教えてくれるはず。少しでも慰謝料を多く手に入れたい方は、ぜひ弁護士に相談してみましょう。

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