離婚で年金はどうなる?財産分与における年金分割の種類と方法、離婚後に後悔しないポイントとは

NO IMAGE
  • 「離婚すると夫の年金はもらえなくなる?」
  • 「離婚時の年金分割の方法が知りたい」

熟年夫婦が離婚を決めた場合、財産分与で気になるのが将来貰える予定の年金についてです。離婚してしまうと配偶者が現在支払っている年金を受け取れなくなるのではと心配になる方がいるかもしれません。しかし「年金分割」という方法で、離婚後も年金を受け取れる可能性があります。

こちらの記事では、年金分割の種類や離婚時の手続き方法について、詳しく解説していきます。さらに年金分割で損しないコツや注意点についても見ていきます。年金は働けなくなった後の離婚後の生活を支えるためにとても重要。忘れずに手続きして、老後の生活資金を確保しましょう。

離婚の無料相談ができる弁護士を多数掲載中
お住まいの地域から弁護士を探す
北海道・東北 北海道青森岩手宮城秋田山形福島
関東 東京神奈川埼玉千葉茨城群馬栃木
北陸・甲信越 山梨新潟長野富山石川福井
東海 愛知岐阜静岡三重
関西 大阪兵庫京都滋賀奈良和歌山
中国・四国 鳥取島根岡山広島山口徳島香川愛媛高知
九州・沖縄 福岡佐賀長崎熊本大分宮崎鹿児島沖縄

離婚すると年金はどうなる?

まずは離婚すると年金がどうなるかについて見ていきます。

年金分割でもらえるようになる可能性

離婚しても年金分割という手続きを取れば、将来年金を受け取れる可能性があります。年金分割とは婚姻期間中に納付した年金保険料のうち、厚生年金部分を離婚時に分割するという手続き。平成19年4月に導入された比較的新しい制度です。

年金には全国民が加入する「基礎年金部分」と、賃金に応じて保険料を支払い、支払った金額に応じて年金を受け取れる「報酬比例部分」の2段に分かれているケースがあります。会社員や公務員が加入している厚生年金が、報酬比例部分に当たります。年金分割はこの報酬比例部分を分割する手続きです。

年金分割が必要な理由

年金分割が導入された背景として、離婚した後の夫と妻の生活水準に大きな格差が生まれる可能性があるという理由があります。例えば会社員の夫に扶養されていた妻は厚生年金に加入しているため、妻に支払われる年金の額が少なくなってしまいます。

老後も夫婦が一緒に生活する前提であれば、妻の年金が少なくてもとくに問題にならないでしょう。しかし離婚して別々に生活するとなると、年金の少ない妻の生活は困るように。婚姻期間中は妻の支えがあったからこそ、夫は外で働くことができたともいえるので、将来の年金受給額に大きな差が生じないように年金分割制度ができました。

年金分割で受け取れる年金

上で説明した通り、年金分割制度で受け取れるのは「報酬比例部分」に当たる厚生年金のみです。確定拠出型年金などの企業年金部分は、年金分割の対象外です。また夫が自営業者の場合は国民年金のみで厚生年金に加入していないので、年金分割制度を利用できません。

年金分割の対象となる期間は婚姻期間のみなので、結婚前や離婚後の期間は分割対象とならないので注意しましょう。

離婚したいけどお金がないという方は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚したいけどお金がない方必見!我慢せず離婚できる方法と対策を紹介します」

将来貰える年金を分ける制度ではない

年金分割は将来貰える年金の受給額そのものを分割するのではなく、受給額を算定するもととなる「保険料納付実績」を分ける手続き。そのため再婚したり離婚後に元配偶者が死亡したりしても、年金分割の結果に影響しません。

さらに自分自身に年金受給資格がなければ、年金分割をしたとしても年金を受け取ることができないので注意しましょう。年金受給資格は、保険料納付期間と保険料免除期間などを含めた受給資格期間が10年以上ある場合で、原則65歳からという内容になっています。

熟年離婚で後悔しないためには、次の記事を参考にしましょう。

「熟年離婚の実態|8つの離婚原因と夫婦の特徴とは?メリットデメリットを知り後悔しない第二の人生を!」

事実婚でも手続き可能

年金分割制度は、法的に婚姻関係にないいわゆる事実婚状態のカップルや内縁関係でも手続きできます。年金分割の請求をするときに、事実婚状態であることが分かる書類(住民票等)や、双方が当該事情を認めている旨の申立書(双方の署名あり)を添付すれば、年金分割が可能です。

なお、事実婚であると法的に認められるためには、次のような要件を満たす必要があります。

  • 婚姻の意思があること
  • 同居していて住民票が同一であること
  • 生計が同一であること
  • 社会的に夫婦であると認識されていること

たとえ一緒に暮らしていても、互いが夫婦としての認識を共有していないと事実婚とは認められません。また単なる同棲などと異なり、生計を同一にしていたり住民票を同一にしている必要も。ただし仕事の都合などの事情がある場合は、同居は必須でありません。

年金分割している夫婦の割合

厚生労働省がまとめた「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」を見ると、令和元年度の離婚件数が213,349件に対して年金分割の件数は29,391件で、離婚する夫婦の約14%が年金分割をしています。また令和4年度の統計を見ると、離婚件数が180,583件に対して年金分割の件数は32,927件と約18%にとどまっています。

いずれも20%に満たない割合である理由は明確になっていないものの、年金分割という制度自体の認知度不足が大きな要因であると考えられます。

参考:令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省年金局

年金分割で増える金額

「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金分割を受ける側(女子)の年金分割前後の受給額(老齢基礎年金含む)の平均月額は、分割前で55,215円、分割後で87,949円と1カ月当たり32,734円増額しています。

令和4年度の厚生年金保険(第1号)の受給者平均年金月額144,982円です。婚姻期間中ずっと夫の扶養されていた妻は、離婚時にたとえ年金分割しても平均レベルの年金はもらえないケースが多いようです。

年金分割の種類

年金分割には「合意分割」と「3号分割」の二つの種類があります。それぞれで分割割合や要件、夫婦間の合意の要・不要に違いがあるので、離婚時にはどちらの制度を利用すべきか確認しておきましょう。

年金分割の種類 合意分割 3号分割
対象者 離婚した夫婦の一方

(被保険者の種別は不問)

離婚した第3号被保険者
夫婦間の合意 必要

(合意が得らえない場合は家庭裁判所が分割割合を決定)

不要
対象期間 婚姻期間全体 平成20年4月1日以降の婚姻期間のうち、第3号被保険者であった期間
分割割合 報酬比例部分の1/2を上限とする範囲内 報酬比例部分の1/2

3号分割では夫婦間の合意が費用なため、離婚後に必要な手続きを行えば年金分割を受けられます。一方で合意分割では夫婦間の合意が必要なため、相手の合意が得られない場合には調停などの法的手続きで分割割合を決めることに。3号分割に比べて時間がかかる可能性があります。

合意分割

合意分割は夫婦間の合意によって、分割(按分)割合を決める年金分割の方法。分割割合の条件は1/2までとされていますが、多くのケースで1/2で合意できています。合意分割の要件は以下の通りです。

  • 2007年4月1日以降に離婚した
  • 婚姻期間中に標準報酬月額・標準賞与額などの厚生年金記録がある
  • 当事者双方の合意がある(合意できない場合は裁判手続きにより按分割合を決定している)
  • 請求期限(離婚等をした日の翌日から起算して2年)を経過していない

分与の対象になるのは、婚姻期間中の夫婦の標準報酬総額の合計額です。収入の多い方の標準報酬のみが分与の対象になるわけではありません。

3号分割

3号分割は第3号被保険者の請求に基づいて、第3号被保険者であった期間の標準報酬について、自動的に1/2の割合で分割される制度。第3号被保険者は専業主婦など第2号被保険者(会社員・公務員などの厚生年金保険の加入者)に扶養されている、20歳以上60歳未満の配偶者のことをいいます。

3号分割は双方の合意が必要ないので、第3号被保険者だった人が単独で手続き可能です。3号分割に必要な要件は以下の通りです。

  • 2008年5月1日以降に離婚をした
  • 2008年4月1日以前の婚姻期間中、国民年金第3号被保険者であった期間の標準報酬月額・標準賞与額などの厚生年金記録がある
  • 請求期限(離婚等をした日の翌日から起算して2年)を経過していない

3号分割は2008年4月に開始された制度のため、分割の対象は2008年4月1日以降に納めた年金保険料のみとなります。それ以前に納めた年金については、合意分割による手続きが必要に。婚姻期間が長い夫婦の離婚の場合は、合意分割と3号分割の両方を併用するケースも少なくありません。

また3号分割が適用されるのは、第3号被保険者であった期間のみ。2008年以降に会社員として働いていた期間や、2008年以前から結婚している場合には合意分割が必要です。

年金の受け取り開始時期

年金分割した年金が受け取れるのは、自分の年金受給が開始されてからです。年金分割の手続きをすればすぐに受け取れるという訳ではありません。また上で触れたように、自分の受給資格に必要な年金保険料納付期間(2017年8月以降は10年)がないと、年金分割を受けても年金を受給できません。

年金分割で受け取れる金額を知る方法

ではいくら年金分割で受け取ることができるのでしょうか。年金分割による年金額を知るには「年金分割のための情報通知書」を取得してください。「年金分割のための情報通知書」とは、年金分割の按分を決めるのに必要な書類のこと。請求時に50歳以上であれば、分割後の年金見込み額などを教えてもらえます。その他、通知には次のような内容が記載されています。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 基礎年金番号
  • 婚姻期間
  • 対象期間標準報酬総額
  • 按分割合の範囲
  • 対象期間標準報酬総額

「年金分割のための情報通知書」は、戸籍や基礎年金番号が分かる書類(年金手帳など)、年金分割のための情報提供請求書などをお近くの年金事務所に持参すれば取得可能です。

参考:離婚時の年金分割|日本年金機構

年金分割の手続き方法

こちらでは具体的に、年金分割の手続き方法について解説していきます。

3号分割

まずは配偶者の合意が必要ない、3号分割の手続き方法から見ていきましょう。

手続き方法

3号分割の手続き方法は、以下の通りです。

  1. 「年金分割のための情報通知書」を請求し、受け取る
  2. 離婚が成立
  3. 「標準報酬改定通知書」に必要事項を記載
  4. 必要書類を近くの年金事務所に提出
  5. 按分割合に基づいた改定後の標準報酬通知書が送られてくる

なお、年金分割の金額が知れる「年金分割のための情報通知書」は離婚前でも請求可能です。ただし離婚後に請求すると相手方にも同じ通知が届けられるので、分割請求をしようとしていることを相手に知られたくない方は要注意です。

専業主婦の離婚に必要な準備と注意点は、こちらの記事を参考にしましょう。

「専業主婦だけど離婚したい!離婚後に成功するための準備と注意点」

必要書類

3号分割の手続きに必要な書類は以下の通りです。

標準報酬改定請求書 お近くの年金事務所や日本年金機構のホームページで取得可能
基礎年金番号またはマイナンバーが分かる書類
  • 請求者の基礎年金番号通知書
  • 年金手帳等
  • マイナンバーカード等
婚姻期間を明らかにできる書類
  • それぞれの戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 戸籍抄本(個人事項証明書)

(請求日から6カ月以内のもので婚姻日および離婚日が確認できるもの)

請求日前1カ月以内に作成された、夫婦の生存を証明できる書類
  • 夫婦それぞれの戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 戸籍抄本(個人事項証明書)
  • 住民票など

なお事実婚の場合は、上記にプラスして住所が同一である住民票や双方が当該事情を認めている旨の申立書の提出が必要です。

合意分割

合意分割は双方の合意が必要なため、原則として夫婦2人が一緒に年金事務所に行って手続きします。ただし公証役場や裁判所が作成した合意に関するか器用な書類があれば、夫婦の一方だけでも手続きが可能です。

  • 公正証書
  • 公証人の認証付きの年金分割合意書
  • 調停調書
  • 審判書

手続き方法

合意分割の手続き方法は、次のような手順に従って進めます。

  1. 「年金分割のための情報通知書」を請求し、受け取る
  2. 双方の話し合いで按分割合を決定
  3. 公正証書や公証人の認証付きの年金分割合意書を作成
  4. 離婚が成立
  5. 合意した内容に従って「標準報酬改定通知書」に必要事項を記載
  6. 夫婦2人で必要書類を近くの年金事務所に提出
  7. 按分割合に基づいた改定後の標準報酬通知書が送られてくる

なお、3の夫婦の話し合いで合意が得られない場合は、家庭裁判所に「年金分割の割合を定める調停」を申し立てます。まだ離婚していないのであれば「夫婦関係調整調停(離婚調停)」の中で年金分割について話し合うことも可能です。調停でも結論が出ないときには審判に移行し、最終的に裁判官が原則として1/2ずつで按分割合を決定します。

必要書類

合意分割に必要な書類は、以下の通りです。

標準報酬改定請求書 お近くの年金事務所や日本年金機構のホームページで取得可能
基礎年金番号またはマイナンバーが分かる書類
  • 請求者の基礎年金番号通知書
  • 年金手帳等
  • マイナンバーカード等
婚姻期間を明らかにできる書類
  • それぞれの戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 戸籍抄本(個人事項証明書)

(請求日から6カ月以内のもので婚姻日および離婚日が確認できるもの)

請求日前1カ月以内に作成された、夫婦の生存を証明できる書類
  • 夫婦それぞれの戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 戸籍抄本(個人事項証明書)
  • 住民票など
年金分割の割合を明らかにできる書類
  • 公正証書の謄本または抄録謄本
  • 公証人の認証付きの年金分割合意書
  • 年金分割の合意書
  • 調停調書の謄本または抄本
  • 審判書の謄本または抄本および確定証明書
年金分割の請求をする側の本人確認書類
  • 運転免許証
  • 運転経歴証明書
  • パスポート
  • マイナンバーカード
  • 印鑑登録証明書 のいずれか

3号分割の手続きに必要な書類との違いは、年金分割の割合を明らかにできる書類が必要だということ。さらに年金分割の請求をする方の本人確認書類も忘れずに持参しましょう。

年金分割をする場合の注意点・ポイント

離婚時に年金分割をする場合、次のような点に注意が必要です。損しないためのポイントも併せて見ていきましょう。

事前のシミュレーションが損しないコツ

年金分割で損しないためには、事前のシミュレーションをしっかりとしましょう。専業主婦の方でも、結婚期間中に厚生年金に加入していた方は、その期間における自分の標準報酬総額も年金分割の対象になることを忘れずに。また相手が年金分割に合意せず、合意分割と3号分割でそれほど差が生じない場合には、あえて3号分割の手続きだけをするという選択も考えられます。

自分でどう計算したらいいか分からないときには、ファイナンシャルプランナーや弁護士といった専門家に相談したり、事前に年金事務所でシミュレーションしてもらうことをおすすめします。

共働きで年収が自分の方が上だと年金が減る可能性

配偶者よりも自分の年収の方が高い場合、年金分割をすると逆に受け取れる年金が減る可能性があります。そもそも年金分割は年収の高い側が支払った年金を、低い側に分ける制度だからです。必ずしも夫が支払った分を妻に分けるという制度ではありません。

そのため、共働きで夫婦ともに厚生年金に加入していた場合、妻の年収の方が夫よりも多ければ、妻の厚生年金を夫へ分割することに。事前に年金事務所に問い合わせて、年金分割により自分がもらえる年金額が増えるかを確認しておきましょう。年金分割で減る場合は、あえて自分から年金分割を請求しない方がいいでしょう。

なお、以前は夫よりも稼いでいたけれど、途中で専業主婦になったという場合は、3号分割を利用することで年金を多くもらえる可能性が。いずれも、

  1. 結婚した時期
  2. 第3号被保険者になった時期
  3. 第3号被保険者になるまでに得ていた収入額

によって最適な方法は異なります。不明な方は専門家に相談するようにしましょう。

厚生年金が未納だと受け取れない

年金保険料を支払っている配偶者が厚生年金に未加入・未納だと年金を受け取れません。前出の通り、年金分割は厚生年金部分を分割する制度なので、配偶者が自営業者などで厚生年金に加入していない場合は年期分割ができません。また配偶者が年金保険料を10年以上支払っていることも条件です。

未納期間があり、配偶者自身が受給資格を満たしていなければ、年金分割により年金を受け取ることができません。

離婚後2年以内の手続きが必須

年金分割を受けるには、離婚後2年以内の手続きが必要。年金の受給開始がまだかなり先であったとしてもです。厳密には、「離婚した日の翌日から起算して2年を経過していない」ことが年金分割請求の要件となっています。また夫婦間で年金分割の合意があっても、年金事務所で期間内に手続きをしていないと、年金分割を受けられないので注意しましょう。

相手の死亡後は1カ月以内の手続き

離婚後2年を経過していなくても、年金分割をする側が死亡して1カ月経過すると、年金分割の手続きができなくなります。場合によっては別れた配偶者が亡くなっても、すぐに知らせが来ないケースもあるでしょう。離婚後2年の猶予があるといえ、このような状況も考えられるため、年金分割の手続きは離婚後速やかにするようにしましょう。

死後離婚する方法はある?という方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「死後離婚をするには?配偶者と死別後の手続きや注意点をすべて解説」

振替加算の停止の可能性

年金分割をすると、振替加算が停止される可能性があります。振替加算とは、配偶者の老齢基礎年金に60歳~64歳までの期間上乗せされる給付(加給年金)の代わりに、妻が65歳になった後で受け取れるプラスアルファの年金のこと。

年金分割で厚生年金部分を分割すると、振替加算の要件の一つである「厚生年金被保険者期間(240カ月未満)」を超えてしまう可能性があり、振替加算が停止される場合があります。該当しそうな方は、振替加算と年金分割のどちらが得になるか、よく確認してから手続きしましょう。

遺族年金は受け取れない

離婚したことにより、遺族厚生年金は受け取れなくなります。遺族厚生年金とは厚生年金保険に加入していた方が亡くなったときに、その人によって生計を維持されていた遺族が受け取れる年金のこと。受給対象者は次のような遺族のうち、以下の順番で優先的に受給権が与えられます。

  1. 子のいる配偶者
  2. 子(18歳の到達年度の末日まで・20歳未満で障害者等級に該当する子)
  3. 子のいない配偶者
  4. 父母
  5. 孫(子と同じ条件)
  6. 祖父母

離婚した元配偶者は遺族年金の受給対象者から外れるため、年金分割によって年金の一部を受け取れたとしても、トータルでの年金受給額が減少する可能性が高いです。

離婚しない場合と老後を比較

とくに熟年離婚を希望している方は、離婚しない場合と離婚して年金分割を受ける場合で、老後にもらえる年金を比較してみましょう。もしかしたら離婚後に受け取れる年金額は、生活保護とあまり変わらない金額になる可能性があります。貯金を切り崩して生活費に充てるだけでは足りず、日々の生活に支障が出る可能性も。

例えば離婚せずにいたら受給できたはずの年金が毎月24万円だったとしましょう。夫婦で受給している限り、食費や生活費は夫婦共通の可能性があるので、この金額でもなんとかやっていける人も多いでしょう。

しかし離婚した場合に年金分割の対象となるのは24万円のうちの婚姻期間分だけです。さらにその中の厚生年金部分だけなので、自分の分の年金額と合算しても10万円を切ることも珍しくありません。生活保護受給者の場合、水道光熱費や医療費が無料で、住む場所も保証されていますが、年金受給者はこれらすべてを年金で賄わなければなりません。

このように計算していくと「年金分割すれば離婚後の老後も安心」ということはないので、我慢できる程度なら離婚せずに夫との生活を続けていった方が金銭的な苦労は少なくて済みます。

離婚するか迷ったときは、他の人がどのような理由で離婚を決断したかについてこちらの記事を参考にしましょう。

「離婚を迷う人必見!迷う理由や離婚を決断した理由を知って、未来のために正しい行動を」

将来の年金が不安なら個人年金保険も検討

将来受け取る年金に不安な場合、個人年金保険をはじめとする私的年金を検討すべきでしょう。個人年金には、外貨建て個人年金保険や株式・債権などで資産運用を行う変額個人年金保険などの種類があります。運用リスク等はあるものの、運用益などでさらなる年金の増額が期待できます。

保険会社によって様々な個人年金保険があります。将来の年金に不安をお持ちの方は、ぜひ検討してみましょう。

まとめ

離婚で財産分与するときには、年金分割も忘れずに行いましょう。年金分割は離婚時に、厚生年金部分いわゆる2階建ての2階部分の年金の納付期間を、婚姻期間に応じて原則1/2ずつ分ける制度。3号分割と合意分割の二種類があり、それぞれに要件や手続き方法が異なります。

とはいえ、離婚する夫婦のうち年金分割の件数は二割以下にとどまります。まずは離婚した場合に年金分割ができるか確認してください。そして年金分割で損をしないためには、どの方法で年金分割すべきかや年金分割せずに振替加算した場合の受取額などを慎重にシミュレーションすべきです。

年金事務所に「年金分割のための情報通知書」を請求すると、年金した場合に受け取れる年金額が分かります。離婚後の生活に不安を感じた場合は、個人年金保険の活用や離婚しないという選択肢も。離婚すべきかどうかや年金分割の話がまとまらない、手続き方法が分からないという方は離婚問題に詳しい弁護士に相談しましょう。

お住いの地位で、離婚問題に強い弁護士を見つける>>

離婚・不倫の慰謝料の相談は専門家にお任せください!

  • 離婚したいけど相手が応じてくれない。
  • 離婚後の生活に不安を抱えている。
  • 親権の獲得や養育費をきっちり払ってもらいたい。
男女問題でお困りの方は専門家に相談してご自身の人生を取り戻しましょう。

離婚の基礎知識カテゴリの最新記事

PAGE TOP