再婚で養育費を減額できる?減額請求の方法と勝手に減額されたときの7つの対処法

再婚で養育費を減額できる?減額請求の方法と勝手に減額されたときの7つの対処法
再婚で養育費を減額できる?減額請求の方法と勝手に減額されたときの7つの対処法
  • 「再婚したら養育費は減額できる?」
  • 「養育費を減額する方法と中点が知りたい」

離婚後自分や元配偶者が再婚すると、自動的に養育費を減額できると思っている方はいませんか?確かにこのような話を聞いたことがあるという方も多いと思います。しかし実際は再婚だけでは減額できず、正しい方法で減額請求をする必要があります。

こちらの記事では再婚後の養育費の減額について、養育費を受け取る側と支払う側双方の条件を解説。また勝手に養育費を減額されたときの対処法や、養育費減額に関する注意点も紹介するので、これから再婚予定の方や養育費の支払いが厳しくて減額できないか考えている方は参考にしましょう。

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目次

再婚で養育費の減額は可能か?

自分や元配偶者の再婚で、養育費は減額できるのでしょうか。

再婚だけでは減額できない

離婚した元夫婦の片方もしくはその両方が再婚しても、それだけで養育費を減額できる訳ではありません。というのも再婚したからといえ、子どもとの親子関係がなくなる訳でなく、子どもの親である以上は離婚後も子供を扶養する義務は消えないからです。

民法第877条には「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と規定があります。実の子どもは直系血族となるため、民法上の扶養義務があるということで、子どもと同居して監護していない方の親は、再婚後でも養育費を継続して支払う義務があります。

勝手に減額すると強制執行の恐れ

再婚したからと、勝手に養育費を減額すると、最悪の場合強制執行される恐れがあります。とくに給与所得者の場合は、一番差し押さえしやすい給料から強制執行の対象に。裁判所から勤務先に通知が届くので、養育費を支払っていないことを職場に知られてしまうでしょう。

中でも次のような「債権名義」と呼ばれる書類を作成している方は、勝手に養育費を減額したり踏み倒しているとすぐに給料や預貯金を差押えられることに。

  • 強制執行認諾文言付き公正証書
  • 民事・家事調停調書
  • 民事・家事審判書
  • 離婚裁判の判決が確定した判決書の正本・和解調書
  • 仮執行宣言付き支払督促

また銀行預金などを差し押さえられると、口座が凍結されて預金が引き出せなくなったり、口座引き落としができなくなったりします。

話し合いで合意できれば減額可能

一度決まった養育費の金額でも、先方との話し合いで合意できれば減額可能です。これは民法第880条にも規定されています。

第八百八十条 扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。

引用:民法|e-GOV法令検索

養育費を減額できるケース

一度決めた養育費の金額でも、その後の再婚や離婚時典で予測できなかった事情の変化により、養育費の減額が可能です。こちらでは養育費を支払う側と受け取る側、それぞれの事情に分けて解説してきます。

【支払う側】養育費を減額できるケース

養育費を支払っている側に、次のような事情が発生した場合は養育費を減額できます。

再婚相手を扶養することになった

養育費を支払っている側(支払い義務者)が再婚し、再婚相手を扶養することになった場合、交渉により養育費の減額が可能。例えば再婚相手が再婚により専業主婦になった場合や、扶養範囲内のパート・アルバイト勤めとなった場合です。

このケースでは再婚によって実質的な扶養家族が増え、支払い義務者の経済的負担が増加することが、養育費を減額できる理由となるため。減額割合は専業主婦と扶養範囲内の働き方とで異なりますが、今まで支払ってきた養育費の減額交渉が可能です。

再婚相手との間に子どもができた

支払い義務者と再婚相手との間に子どもができた場合も、養育費の減額が認められる可能性が高いでしょう。上の場合と同様に、扶養義務を負う対象が増えたからです。元配偶者に事情の変化があったと、養育費減額請求の手続きを行えば、請求が認められる可能性が高いです。

ただしこの場合、前の結婚での子どもと再婚で新しくできた子どもに対する扶養義務は同等にあります。どちらかを優先できるというものでないため、再婚後の子どもを養育するために養育費は支払えないといった主張は通りません。減額はあっても免除はできないと考えましょう。

再婚相手の連れ子を養子縁組した

再婚相手に連れ子がいて、その連れ子と養子縁組した場合、扶養義務対象者が増えたということで養育費の減額が認められるでしょう。養子縁組を結ぶと法律上の親子関係が生じ、連れ子に対しても扶養義務が発生するからです。

連れ子目線で見ると、養子縁組により法律上は養親と実親が同じ扶養義務者となります。しかし通常は再婚によって養親と共同生活することになるので、養親が一次的な扶養義務者となり、実親が二次的な扶養義務者になるとみなされます。

支払い義務者は連れ子との養子縁組によって、同党の扶養義務を負う子どもが増えます。一方の子どもの養育費の負担で、連れ子に対する扶養を果たすことができないという状況は避けるべきでしょう。

養育費の相場が高すぎて払えないという方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「養育費の新算定表が高すぎる…改定の理由と従来との変更点、支払えないときの減額方法とは?」

養子縁組とは

前出の通り、養子縁組とは血縁関係がなくても法律上の親子関係を生じさせる手続きです。養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があります。普通養子縁組は、養子を受け入れるときに用いられる手続きで、養子縁組後も実親との親子関係は存続します。

一方の特別養子縁組は、手続きによって実親との親子関係を終了させることができます。実親による子どもの扶養や監護が困難な場合に子どものために設けられた制度。特定の人物に財産を相続される目的、いわゆる相続対策で行われることもあります。

(普通)養子縁組の方法

再婚相手の連れ子を養子縁組する場合、通常は普通養子縁組となります。未成年の連れ子を養子縁組する場合には、家庭裁判所に「養子縁組許可の申立て」手続きが必要です。また養親本人と養子縁組の同意も必要に。養子が15歳未満の場合は養子の法定代理人(親権者)が本人に代わって養子縁組の同意をします。

家庭裁判所の許可が下りたら、お住まいの役所への届出によって効力が生じます。養親または養子に配偶者がいる場合、原則としてその配偶者の同意も必要になります。

予期せぬ理由で収入が減った

再婚という理由以外でも、次のような事情で収入が減った場合、養育費の減額が認められる可能性があります。

  • 病気・けが・事故などによる退職や失業
  • 勤務先の経営悪化によるリストラ
  • 自営業者の場合は、経営悪化による収入の減少

いずれのケースでも、故意ではなく「やむを得ない」事情があるときに養育費の減額請求が認められます。養育費を支払いたくないからと故意に収入を少なく調節したり、勤め先を辞める人がいますが、潜在的稼働能力があると判断されると減額が認められない点は気を付けましょう。

養育費は何歳まで支払ったらいいか知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「養育費は何歳まで支払う?支払期間の考え方や変更・減額方法を解説」

【受け取る側】減額されるケース

養育費を受け取る側の事情でも、養育費の減額請求をされる場合があります。

再婚相手と子どもが養子縁組した

養育費を受け取る側が再婚し、その再婚相手と子どもが養子縁組した場合、相手からの減額請求が認められるでしょう。上で説明した通り、養子縁組を結んだことで再婚相手が一次的な扶養義務者になるからです。逆に考えると、養育費を受け取る側が再婚しても子どもと再婚相手が養子縁組しなければ、基本的に減額されることはないという訳です。

ただ再婚相手と養子縁組しない場合、あなたが再婚相手の戸籍に入り再婚相手の姓に変わっても、子どもの姓は自動的に変わらず、戸籍も別のままです。養子縁組せずに再婚相手の戸籍に入れることも可能ですが、その場合は子どもの姓を再婚相手と同じに変更しなければなりません。

離婚後すぐに再婚できるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚後すぐに再婚できる?待婚期間の推移と今後の見込み、再婚するときの注意点を解説」

収入が増えた

養育費を受け取る側の収入が増えた場合、減額請求されるとそれが認められる可能性があります。養育費の金額は、裁判所の養育費算定表に基づいて算出されます。養育費は支払う側と受け取る側の収入によって決まるため、離婚時に想定していなかった理由で受け取る側の収入が増えると、単純に子どもの養育にかけられる原資が増加したとみなされて減額が認められるでしょう。

ただし離婚時の話し合い時点で、すでに受け取る側の収入増が見込めるような状況(専業主婦から働きに出ることが決まっていた)にあった場合は、減額請求が認められない可能性があります。

再婚により世帯年収が増えた

養育費を受け取る側の再婚により、世帯年収が増加した場合も、養育費を減額される可能性があります。例えば再婚相手の収入と合算できる場合や、再婚後に受け取る側が事業を立ち上げた場合などです。こちらも子どもの養育にあてられる金額が増加したとみなされるためです。

面会交流を拒否したいとお考えの方は、こちらの記事を参考にして違法性と対処法を知りましょう。

「面会交流を拒否したい!子供に会わせないことの違法性と対処法を解説!」

養育費の減額を請求する方法

養育費を減額できる可能性があるときには、元配偶者に養育費の減額請求が可能です。次のような方法で養育費の減額請求を行っていきましょう。

元配偶者の再婚を知る

元配偶者の再婚による減額請求を希望しているなら、まずは元配偶者の再婚や養子縁組の事実について知らなければなりません。面会交流などでコンスタントに連絡を取っている場合は、相手から伝えられることもありますが、全く連絡が取れない場合には、次のような方法で元配偶者の再婚を知ることができます。

SNSや共通の友人を通して

元配偶者のSNSをチェックしたり、共通の友人を通して再婚について調べられます。元配偶者のSNSアカウントを知っていれば、投稿内容から再婚したのでは?とチェック可能。また共通の友人・知人からの情報で、元配偶者の再婚を知るという方法があります。

戸籍を取得する

弁護士に依頼すれば、元配偶者の戸籍を取得して、再婚や子どもの養子縁組について調べられます。通常離婚により本籍地が変わると、元配偶者の戸籍の附票を取ることができません。しかし離婚後も本籍地を移していない場合には、元配偶者であっても戸籍の附票を取れます。

また子どもの戸籍を取ることで、元配偶者の再婚を知る方法もあります。子どもの名前が自分の戸籍に残っていれば、子ども本人の戸籍として取得できます。子どもの戸籍を元配偶者側に移している場合でも、子どもの法定相続人として戸籍情報を取得可能。

弁護士に依頼する

弁護士に依頼して元配偶者の再婚を知る方法があります。弁護士に養育費の減額請求を依頼すると、弁護士の権限で元配偶者の戸籍の附票を取得できるからです。子どもが養子縁組を結んだかも、その戸籍から確認可能。

例えば元配偶者が戸籍を転籍した場合や、それにプラスして子どもが元配偶者と同じ戸籍に入っていない場合などです。戸籍法第10条には「職務上請求」として、弁護士など一定の国家資格を有する者がその職務を遂行するために必要な範囲で第三者の住民票や戸籍謄本などを請求できるとしています。

この制度を利用すれば、自分では取れない元配偶者や子どもの戸籍の附票を取れるという訳です。

養育費に関する弁護士費用が知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「養育費に関する弁護士費用が知りたい!ケースごとの相場・払えないときの対処法とは?」

減額相場をチェック

次にいくらぐらい減額できるか相場をチェックしましょう。弁護士に依頼している方は、弁護士に聞けば減額可能金額が分かります。自分で減額請求する場合は、裁判所の算定表に基づいた「養育費計算ツール」などを利用してもいいでしょう。

元配偶者の再婚によって事情の変更がある場合には、現在の事情に当てはめて養育費の金額を再計算します。

【離婚時】

支払う側の収入(給与所得):年収800万円 受け取る側の収入(パート):150万円

子ども(8歳)1人の養育費は、約84,000円

【再婚後】(支払う側が再婚し子ども1人が生まれた)

支払う側の収入:年収900万円 受け取る側の収入(パート):200万円

子ども(12歳)1人の養育費は、約52,000円

上記の事例では離婚時よりも32,000円の減額が可能となります。

離婚時の養育費の相場に関しては、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚時の養育費の相場が知りたい!ケース別の相場や増額方法、請求方法とは?」

当事者間での話し合い

養育費の減額請求をする場合、当事者同士の話し合いから始めるのが一般的です。まずは事情を話し、養育費の減額を希望する旨を説明して、相手の合意を得られるようにしましょう。双方の話し合いのみでまとまると、減額できる金額を自由に決められます。直接顔を合わせて話し合うのが難しい場合は、弁護士を代理人として交渉してもらいましょう。

ただしいくらやむを得ない事情があったとしても、算定表に基づいた金額は子どもを育てるのに十分とはいえません。とくに離婚から長い時間たっているときには、相手にとってマイナスにしかならない話し合いです。交渉が長引いたり、決裂したりする可能性が十分考えられることを覚えておきましょう。

内容証明による通知

相手に話し合いを拒否されたなど交渉が難しい場合は、養育費の減額請求を内容証明郵便で行うという方法があります。より確実に減額したいという場合もおすすめです。また弁護士に依頼した場合も、内容証明による通知を手段として用いることがあります。

内容証明郵便は、郵便局が差出人・相手方・差出日・書面の内容を証明してくれるもの。「配達証明」を付けて送ると、相手がいつ受け取ったかの証拠になります。交渉よりも先に内容証明を送るという方法もありますが、いきなり送り付けると高圧的と思われる可能性が。なるべく事を荒立てたくなければ、話し合いから始めましょう。

決まった内容は合意書にする

交渉により決まった内容は、合意書などの書面にすることをおすすめします。減額後の金額や支払い方法など、合意内容を記入して公正証書にしてください。今後の養育費受け取りを担保する根拠となり、いったいわないのトラブルを避けられます。

裁判所に調停を申立てる

双方による話し合いや弁護士による交渉で合意が得られなければ、家庭裁判所に養育費の減額請求調停を申し立てます。調停では2名の調停委員と裁判官が、双方の希望や主張を聞きながらすり合わせをしていきます。調停では直接顔を合わせる必要がないので、気兼ねせず希望がいえるでしょう。

合意した内容は調停調書に記載されます。万が一養育費の支払いが滞ったときには、調停調書が債権名義となるので、裁判を経ずに強制執行が可能です。調停で合意に至らない場合は、不成立(不調)に終わります。

審判にて金額を決定

調停が不成立になっても、審判という法的手続きで減額請求が可能です。審判では裁判官が減額を希望する事情や双方の言い分などを聞き、具体的な養育費の金額を決定します。こちらは調停と違い、双方の合意がなくても決着が付きます。

審判の内容に不服がある場合には、2週間以内に不服申し立てが必要です。今度は高等裁判所にて再審理されます。

勝手に減額されたときの対処法

養育費を支払う側が勝手に減額してきたり支払をストップしてきたときには、これまで通り受け取りを継続するために次のような対処方法がとれます。

減額が認められにくい証拠を得る

減額請求を避けるには、減額が認められにくい証拠を確保するのが有効です。例えば相手にやむを得ない事情がないことや、減額されると子どもの生活が苦しくなることなどを証明できる証拠を準備しましょう。またこちらの再婚を理由に勝手に減額してきたときは、再婚相手と子どもが養子縁組していないことを証明してください。

具体的には戸籍謄本や課税明細書、給与明細などが証拠となります。減額理由が納得できないときには、証拠を提示してキッパリと「減額には応じられない」と断るようにしましょう。

債権名義を準備する

相手が勝手に養育費を減額してきたり、支払を停止してきたときには、早急に債権名義を準備してください。債権名義があることで、裁判所を通さずに相手の給与や預貯金を差し押さえできるからです。差し押さえするには、冒頭で紹介した債権名義が必要。

単に離婚時に作成した「合意書」や「離婚協議書」は債権名義になりません。債権名義がない場合には裁判所に申し立てて強制執行の手続きを進めなければなりません。今は取り決め通りの養育費を支払ってもらっているとしても、いつ支払いがストップするか分かりません。いざというときに備えて、債権名義は準備しておきましょう。

未払い分の養育費請求

支払い義務者が養育費を一方的に減額したり支払いをストップしたときには、未払い分の養育費請求をしてください。まずは相手に電話などで取り決めた養育費の金額を勝手に変更できないことなどを伝えましょう。そして早めに内容証明郵便で、未払い分の養育費請求をしてください。

養育費を一括で支払って欲しいという方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「養育費の一括支払い・請求について|メリット・デメリットや計算方法、注意点を解説」

履行勧告

養育費を勝手に減額されたときには、裁判所の履行勧告という制度を利用する方法があります。履行勧告制度とは養育費や婚姻費用の支払いをしない人に対し、家庭裁判所が必要な調査を行った上で支払を促す制度。家庭裁判所の調停や裁判で養育費の取り決めをしたケースに限られ、支払を強制することはできないものの、相手にプレッシャーを与えられる効果があります。

裁判所に調停・審判を申立てる

離婚後に養育費の請求をしたい場合は、裁判所に養育費請求調停・審判を申立ててください。養育費の支払いを裁判所で決めていると、その後の支払いがスムーズに受けられる可能性が高いからです。

調停を申立てるのは、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所。申立て費用は子ども1人につき1,200円の手数料と連絡用の郵便切手数千円分です。詳しい申立方法は、裁判所のホームページを参考にしましょう。

強制執行による回収

何度催促しても不足分を支払ってもらえないときには、強制執行による財産の差し押さえにより回収します。債権名義があるか確認し、債権名義がある場合は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に「債権執行」の申立を行います。

裁判所は受け取った書類を確認したうえで「債権差押命令」を発令。支払い義務者と勤務先や銀行口座のある金融機関など「第三債権者」に差押命令を発送します。差押命令を送付してから1週間後には、第三債権者に対する取立権が発生し、差し押さえが可能になります。

養育費を勝手に減額されたときの対処法について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「養育費を勝手に減額できる?減額請求時のポイント&減額されたときの対処法を解説」

弁護士に相談

勝手に養育費を減額されたり支払いをストップされたときには、弁護士に相談してください。相手との交渉を任せられるだけでなく、内容証明郵便の送付も依頼できます。もちろん調停や審判になった場合もあなたの代理人として手続きを進めてもらえます。

相手から減額請求が来た場合には、その金額が妥当なのかを判断してもらえるでしょう。養育費問題に対処するには、交渉力や法律の知識が欠かせません。減額に応じなければならないケースでも、なるべく減額幅を少なく抑えられるよう弁護士に相談することをおすすめします。

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再婚による養育費減額に関する注意点

再婚による養育費減額に関しては、次のような注意点があります。

養子縁組なしでも減額の可能性がある

前項では養子縁組によって養育費を減額できる可能性を紹介しましたが、養子縁組なしでも減額の可能性があります。法的な根拠として民法第752条の「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」という定めと、民法第760条の婚姻費用分担の義務があるからです。

例えば再婚によって扶養家族が増え、夫婦の収入の関係で生活費負担割合が極端に高くなった場合、以前取り決めた養育費の金額が高すぎると判断される可能性があります。また元配偶者の再婚でも、再婚相手が子どもの養育費まで含めて負担しているという事情がある場合には、養育費の減額請求が認められる場合があります。

自営業者の収入操作は認められない

いくら支払っている養育費を減額したいからといえ、自営業者である自分の収入を操作して減らしてまで減額請求することは認められません。収入減少による減額請求においては、とくに問題になりやすいケースでもあります。

自営業者は給与所得者と違い、自分の役員報酬(給与)を簡単に操作できます。養育費を減額したいと思ってあえて役員報酬を操作するというケースが見られますが、裁判所では減額を認めないでしょう。ただし予測不能な理由で経営状況が悪化し、以前のような役員報酬を出せないことを証明できれば、減額請求が認められる場合があります。

籍を入れていないと減額できない

再婚によって扶養家族が増えると養育費を減額できる可能性があるということが分かりましたが、では籍を入れずに事実婚状態で同居しているケースはどうなるのでしょうか。結論からいうと、籍を入れていないと減額請求は認められないでしょう。

支払い義務者が入籍せずに同居している場合、たとえ内縁の妻やその子どもを扶養していたとしても、原則的に養育費の減額は認められていません。同様に元配偶者が同棲している場合も、子どもと養子縁組している訳でないので、扶養義務はありません。これら二つのケースでは、同居や同棲を理由にして減額請求するのは難しいと考えます。

再婚でも減額が認められないケースがある

一方で、再婚しても養育費の減額請求が認められない場合があります。次のようなケースでは、たとえ再婚しても減額が認められないでしょう。

  • 養育費の金額で元配偶者と合意したにもかかわらず、1年以内程度で減額請求がなされた場合
  • 支払い義務者が再婚の予定があるのにそれを相手に黙って養育費の合意をした場合
  • 元妻との養育費の合意時点で、支払い義務者の再婚相手が義務者との子を妊娠していた場合
  • 減額請求自体は養育費の合意から1年以上経過しているが、1年以内で再婚していた場合

いずれのケースでも、養育費についての合意時点で再婚のことを黙っていたりすると、後の減額請求が認められないでしょう。このような場合は2年以上経過するまで待つか、子どもの進学など新たな支出が必要になった段階で養子縁組するなどして扶養家族とすると、減額請求が認められる可能性があるでしょう。

すでに支払った養育費の返金問題

元配偶者の再婚を知らずに養育費を支払い続けていた場合、「再婚から今まで多く支払った分の養育費を返金して欲しい」と考える人もいるはずです。再婚時からの養育費の金額が確定し、実際の支払額が多すぎるとなれば法的に返金を求める権利はあります。

しかし裁判所が「すでに支払った養育費の返金を命ずる」という判断を下すことは極めてまれです。過去にさかのぼって減額を認めた判決もありますが、再婚したのが随分前だと返金額が極めて高額なる場合などは認められない可能性が高いでしょう。どうしても養育費の返金を求めたいという方は、一度弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

再婚しただけでは養育費を減額することは難しく、勝手に減額すると強制執行となる可能性が高いでしょう。再婚で養育費を減額できるかどうかは、養育費の支払い義務者・支払い権利者それぞれでケースが異なるので、自分たちのケースに当てはまるか確認しましょう。

養育費を減額するには、まず元配偶者の再婚をしり減額相場をチェックします。そのうえで当事者間で減額交渉をしてください。交渉が決裂した場合は、調停や審判という手続きで減額を求めていくことになります。あらかじめ弁護士に依頼できれば、相手との交渉や法的手続きを依頼できます。

勝手に養育費を減額された側は、債権名義を取得して未払い分の養育費請求をしてください。履行勧告や調停、審判を経て強制執行という流れになります。こちらの場合も弁護士に依頼するのが有効。減額に応じなければならないケースでも、なるべく減額幅を抑えられる方法がとれます。

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