統合失調症の配偶者と離婚できる?離婚を回避する方法や精神疾患の相手との離婚手順を解説

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  • 「妻が統合失調症になった…離婚したいが子どもの親権はどうなる?」
  • 「統合失調症の配偶者とスムーズに離婚する方法が知りたい」

配偶者が統合失調症になって夫婦関係が悪化したという方はいませんか?統合失調症を発症するのは日本では100人に1人弱の割合とそれほど多い訳ではありません。かといって、全く心配がないという訳でもありません。自分や配偶者がそうなったときにどのような対処をしたらいいか知っておくべきでしょう。

すでに統合失調症を発症している配偶者がいる方は、離婚が現実問題となっているケースも。そこで離婚が認められる要件やスムーズに離婚するポイント、注意点についても解説していきます。統合失調症はいつ誰が発症してもおかしくない病気です。いざというときのために、しっかりとした知識を身に付けましょう。

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統合失調症と離婚の関係

まずは統合失調症とはどのような病気なのかという点や、離婚との関係について解説していきます。

統合失調症とは

統合失調症はどのような病気なのでしょうか。症状や特徴などを紹介していきます。

精神疾患の一種

統合失調症は精神疾患の一種で、思考・感情・行動といった脳のさまざまな働きを統合することが難しくなるために、妄想や幻覚などの症状が発生する病気です。10代後半から30代にかけて発症するケースが多く、人間関係に波乱をもたらす大変厄介な病気といえます。

以前は「精神分裂症」という名前で呼ばれていましたが、2002年8月の日本精神神経学会において「統合失調症」と名称が変更されました。

主な症状

統合失調症はある日突然いきなり発症する場合もあれば、数日~数週間かけて発症する場合もあります。人によっては何年もかけて徐々に発症するケースも。統合失調症の主な症状は以下の通りです。

幻聴 悪口や指示、命令など、実際に言われていない言葉が聞こえる
幻視 あるはずのないものが見える
妄想 被害妄想(困らされている・後をつけられている・監視されている・騙されている・見張られている)

関係妄想(新聞や本、歌の歌詞の内容が自分に向けられている)

思考奪取・思考吹入(他人に自分の心を読まれている・自分の思考が人に伝わっている・外部の力によって思考や衝動が吹き込まれている)など

思考障害 思考が混乱して考えに一貫性がなくなる
その他 感情の鈍麻・平坦化、思考や会話の貧困など

症状の種類や重症度は人によって異なりますが、妄想や幻聴により意欲が減退してしまったり、会話の脈絡がまとまらなくなってコミュニケーションに支障が生じることが少なくありません。統合失調症を発症すると、社会生活や結婚生活を送るのが困難になる可能性が高いです。

参考:統合失調症|家庭版MSDマニュアル

統合失調症の患者数

統合失調症の患者数は、日本では約80万人といわれています。生涯のうちに発症する人は、全体の人口の約0.7%、100人に1人弱です。厚生労働省の「令和2年(2020)患者調査の概況」によると、統合失調症や統合失調型障害、妄想性障害で入院加療を受けている患者の数は、およそ143,000人いることが分かります。

統合失調症は決して珍しい病気ではなく、誰でもかかり得る身近な病気といえます。

病気の原因

統合失調症の原因はいまだはっきりとは解明されていませんが、遺伝的要素と環境的要素の両方が関係していると考えられています。遺伝的要素にプラスして環境によるストレスや大麻などの物質の使用といった外的要因が引き金になる可能性が。

医学界では、脳内の神経伝達物質の機能障害が統合失調症の発症につながっているのではという説が提唱されています。つまり統合失調症は、元々その人が持っている遺伝子や脳の構造に、進学・就職・結婚といったライフイベントに伴う環境の変化で生じるストレスや物質の使用が複雑に絡み合って発症するのではと考えられます。

統合失調症の特徴

統合失調症には、主に次の4つの症状が見られます。一部の症状だけが現れる場合もありますが、人によっては全ての症状がみられる場合も。

陽性症状 幻覚(幻聴・幻視・幻臭)、妄想(被害妄想・関係妄想・思考奪取・思考吹入)
陰性症状 感情表現が減少する(感情鈍麻)、発話が乏しくなる、快感消失(喜びが感じられなくなる)、非社交性(人とのかかわりに興味を失う)
解体症状 思考障害(思考が支離滅裂になる・話にとりとめがなくなる、支離滅裂になる)
奇異な行動(子供じみた行為・不適切な外見や行為・不衛生な行為)
認知障害 集中力、記憶力、問題解決能力、計画能力などに問題が生じる

統合失調症は再発しやすい精神疾患でもあります。とくに初期の5~10年は再発リスクが高いので気を付けましょう。再発を繰り返すと徐々に症状が重くなり、回復するにも時間がかかってしまいます。

統合失調症を発症すると、約20%の人が自殺を試み、5~6%の人が実際に自殺するというデータも。さらに多くの患者が自殺を真剣に考えるようになります。このように統合失調症を発症すると、平均余命が一般の人よりも短くなるのが特徴です。

アルコール依存症の相手と離婚できるのかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「アルコール依存症の相手と離婚したい!離婚の可否やスムーズに離婚方法、ポイントなどを徹底解説」

離婚に至りやすい理由

統合失調症は上記のような様々な症状から社会生活が困難になる病気ですが、適切な治療を行えば症状をおさえることが可能です。しかし結婚後の環境の変化(仕事・住む場所・子どもの誕生など)で再発の可能性が高まるのもまた事実。

再発した場合、感情が不安定になったり行動が予測不可能になる可能性は大いにあります。このような配偶者とコミュニケーションを取ることは大変困難で、結婚生活に疲れて結果として離婚を考えるようになる人が少なくありません。

離婚危機を回避する方法

統合失調症の配偶者との離婚を回避するためには、次のようなことがポイントになります。

早期の適切な加療

統合失調症の配偶者と離婚しないためには、早期の適切な治療が欠かせません。精神疾患の中でも統合失調症は、早期発見・早期治療で予後が良くなるという報告があります。統合失調症は発症から治療開始の時期が平均で約1年あるといわれていて、この未治療の時期が短ければ短いほど、経過が良好になります。

参考:精神疾患の早期発見・治療の重要性 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

周囲の病気への理解

配偶者以外の家族や親族、友人や勤務先など、周囲の病気への理解も必要です。精神疾患を配偶者に持つ人は、気軽に周囲に配偶者の悩みを打ち明けられず孤独になりがち。そのようなときでも親族や友人が統合失調症という病気を理解してくれていると、孤独の波に飲み込まれず連携を取って協力してくれるでしょう。

また患者の勤務先にも早期に病気であることを伝えられると、負担が少ない部署への異動や勤務時間の調整、業務内容の変更といった配慮が得られる可能性が。職場では周囲の人に統合失調症の症状を理解してもらい、サポートしてもらえるようにしましょう。

専門窓口への相談

患者とどう接していいか分からない、サポートの方法が知りたいという方は、お住まいの地域の次のような相談窓口に相談してみましょう。

  • 精神保健福祉センター
  • 地域活動支援センター
  • 保健センターや保健所
  • 相談支援事業所

自治体の精神保健福祉センターや保健所などで相談が可能です。またお住いの場所によっては、統合失調症の家族会やピアグループに参加するのもいいでしょう。直接相談に行くのが難しい方は、電話やインターネットによる相談方法を選択してください。

相談先 連絡先
心の健康相談統一ダイヤル 電話:0570-064-556
よりそいホットライン 電話:0120-279-226

FAX、チャット、SNSによる相談も可能

上記以外でも、訪問看護ステーションや病院などに相談することも可能。一人で悩まずに専門の相談機関に問い合わせてみましょう。

統合失調症の配偶者と離婚できるか

統合失調症の配偶者との離婚危機を回避できず離婚するしかないと思った場合、果たして離婚は可能なのでしょうか。こちらでは離婚の可否や離婚に必要な要件、判断基準について解説していきます。

相手が離婚に同意すれば可能

相手の同意があれば、統合失調症にかかっているときでも離婚が可能です。協議離婚や調停離婚では、どのような理由があっても夫婦の合意があれば離婚できるからです。

ただし統合失調症の症状が重い場合には、正常な判断ができなかったり、そもそも話し合いができないというケースも。また仕事ができない患者が離婚すると生活できないことから、離婚を拒否する場合もあるでしょう。このようなときにこちらに有利な条件で離婚してしまうと、離婚が無効になる恐れがあるので気を付けてください。

相手の状況によっては、離婚という判断に誤りがあったとして、民法第95条の「錯誤」を理由に離婚の無効を求めて法的措置を取られる可能性があるため。このようなトラブルを避けるためには、統合失調症の配偶者が離婚後の生活に困らないよう一定の保障を約束したうえで、その約束事を離婚協議書にまとめておくのが有効です。

相手が離婚に応じない場合

相手が離婚に応じない場合、最終的には離婚裁判で離婚を争うことになります。離婚裁判では、民法第770条にある「法定離婚事由」が必要です。これが認められれば相手が離婚を拒んでいても、裁判で離婚できます。民法で定められている法定離婚事由は次の5つです。

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

引用:民法|e-GOV法令検索

統合失調症の配偶者と離婚したいときには、まず法定離婚事由の4番目にある「強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」に該当するかを検討します。

「回復の見込みのない強度の精神病」とみなされる要件

法定離婚事由に規定されている、回復の見込みがない強度の精神病とみなされるためには、次の3つの要件を満たす必要があります。

精神疾患である

一つ目の要件は精神疾患であるということ。裁判で離婚が認められた精神疾患には次のようなものがあります。

  • 統合失調症
  • 双極性障害
  • 失外套症候群
  • 偏執病
  • 初老期精神病
  • 認知症(アルツハイマー型・脳組織障害)

一方で次のような精神疾患では、法定離婚事由に定める強度の精神病とみなされない可能性が高いでしょう。

  • アルコール依存症
  • 麻薬中毒
  • ヒステリー
  • 神経衰弱症(ノイローゼ)
  • 適応障害

精神病の種類や程度の判断は、医師の見解が尊重されます。アルツハイマー型認知症では見解が分かれるところですが、そのほかの要件を満たすといえるかが慎重に判断されます。そのため強度の精神病であるかや回復の見込みがないかどうかは医学的な判断に基づいた医師の見解(診断書・意見書)が欠かせません。

メンヘラな相手との離婚方法については、こちらの記事を参考にしましょう。

「メンヘラな配偶者との離婚|メンヘラの特徴や離婚方法・手順を知り、上手に離婚に持ち込もう」

共同生活が送れないほどに症状が重い

精神疾患の症状により共同生活を送るのが困難とみなされると、離婚が認められる可能性があります。一般的には病気の程度や治療期間、回復の見込みやコミュニケーションの可否などによって症状の重さが検討されます。一方で統合失調症であっても症状が軽かったり薬で十分に症状が抑えられている場合には、この要件に該当しません。

回復の見込みがない

回復の見込みがないことも、離婚裁判で離婚が認められる要件です。つまり「不治」の病かどうかが判断の基準となります。ただかつては不治の病とされていたものが、薬の開発や医学の進歩により不治ではなくなったというケースも少なくありません。

とくに統合失調症では、1990年代に「第二世代」といわれる抗精神病薬が開発されたり、治療の自己中断による再発を予防する薬が誕生し、不治の病ではなくなりつつあります。そのため配偶者が統合失調症になっただけでは、「回復の見込みがない強度の精神病」による離婚は難しいでしょう。

立証方法

離婚裁判において法定離婚事由の4つめにある「回復の見込みがない強度の精神病」で離婚するためには、離婚を請求する側が次のような資料をもとに、その事実を立証していかなければなりません。

  • 診断書
  • 障害者手帳認定のもととなった資料
  • 入院中のカルテ
  • 医師の意見書

同時に当事者本人たちのコミュニケーションの状況を、陳述書や尋問などによって明らかにしていきます。加えて夫婦で協力して婚姻生活を継続できる能力があるかや、子どもの世話ができるかなどの要件を考慮したうえで総合的に判断されます。

要件を満たしていても離婚が認められないケース

しかしながら、上記の要件を満たしていればただちに離婚が認められるという訳ではありません。というのも民法第770条2項には、次のような規定があるからです。

2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

引用:民法|e-GOV法令検索

実際に昭和33年7月に最高裁判所で出た判決では、民法第770条2項に関して、次のように述べています。

民法第七七〇条第一項第四号と同条第二項は、単に夫婦の一方が不治の精神病にかかつた一事をもつて直ちに離婚の請求を理由ありとするものと解すべきでなく、たとえかかる場合においても、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできるかぎりの具体的方途を講じ、ある程度において、前途に、その方途の見込のついた上でなければ、ただちに婚姻関係を廃絶することは不相当と認めて、離婚の請求は許さない法意であると解すべきである。

引用:裁判例結果詳細|裁判所

つまり、配偶者が回復の見込みがない強度の精神病にかかったとしても、様々な事情を考慮して患者の離婚後の生活等においてできる限りの対処を行い、その対処の目途がついたうえでない限り、直ちに婚姻関係を解消するのは不相当であるとして離婚の請求を許可しないという判断です。

裁判所では、配偶者が統合失調症のような精神疾患にかかったときほど夫婦が助け合うべきという考えがあります。夫婦の一方が結婚生活を継続したいと強く思っているときや、実際に協力して乗り越えようとしている最中のときには、夫婦関係を改善できると判断され離婚が認められるのは難しいでしょう。

最終的に離婚できるかの判断基準

上記の最高裁判決が出された後、回復の見込みがない強度の精神病を理由に離婚が認められるかどうかは、次のような基準に基づいて判断されます。

これまでの経過

離婚が認められるほど強度の精神病といえるには、これまでの経過が重要な判断材料です。これ前にどのような症状が出ていたかや治療の有無、配偶者や家族がどれほど協力していたかという事情によって、離婚を認めていいかが変わってきます。

例えば通院治療を継続し、家族が協力して充分に世話をし続けていたが、長期間にわたり病気が回復せず、これ以上支えるのは限界だという段階になってはじめて、裁判で離婚が認められるという訳です。そのため強度の精神病による離婚を希望するときには、まずは配偶者に医師の診療を受けてもらい、治る可能性を求めて努力を尽くさなければいけません。

公費による入院加療の可否

配偶者の統合失調症が公費による入院加療の対象となれば、強度の精神病により離婚が認められる可能性があります。公費による入院加療とは措置入院のことで、精神病にかかった人を強制的に入院させることができる行政の制度(精神保健福祉法第29条)です。

措置入院は本人の意思にかかわらず可能で、相当重度の場合は対象となる場合があるでそう。ただし措置入院となるのは、その病状から自傷や他害の恐れが高いものに限られます。精神疾患にかかって自殺しようとした場合や、子どもを虐待したといった危険がないと措置入院とはならないため、措置入院で離婚が認められるのは例外的なケースに限定されます。

離婚後の生活の見通し・対応

配偶者の強度の精神病で離婚が認められるためには、離婚後の見通しやそのための対応がポイントになります。というのも、精神病を理由に離婚されてしまった配偶者は、離婚後の生活が立ち行かなくなってしまう恐れがあるからです。例えば相手の離婚後の生活を考えて、次のような対応が必要になります

  • 離婚後も一定額の生活費を定期的に払う
  • 精神疾患を治療するための施設に入居させる
  • 離婚後に生活保護が受けられるよう、福祉事務所の了解を得る
  • 相手の実家と話し合い、実家で療養できるように手配する
  • 行政の支援制度を調べ、受けられるサポートの手続きをする
  • 離婚後も定期的に会い、精神的に元配偶者をサポートする

重度の精神病で離婚するのは仕方がないとしても、見捨てるのではなく離婚後の生活に配慮し、様々な形で計画的に支えていく姿勢を見せない限り、裁判で離婚が認められるのは難しいでしょう。

うつ病で離婚する場合に慰謝料が発生するかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「うつ病で離婚するときに慰謝料は発生する?状況別の相場や請求方法、条件を解説」

財産分与の規模や実現の見通し

配偶者の精神疾患で離婚したいときには、お金に関する離婚時の条件を譲歩するべきでしょう。離婚後に相手が生活に困らないためには慰謝料や財産分与として、相手にあげるお金を増やす必要があります。離婚時にまとまったお金が準備できないときには、「扶養的財産分与」を検討するといいでしょう。

扶養的財産分与とは、離婚によりどちらか一方が困窮することが予想される場合に、経済的余裕がある側がそうでない側に、離婚後の一定期間生活費の一部を援助するというもの。認められる金額は裁判所が公表している婚姻費用算定表を参考にできますが、一時的なサポートとしての意味合いが強いため、婚姻費用よりも低額になるのがほとんどです。

退職金も財産分与の対象になるかどうかは、こちらの記事を参考にしましょう。

「退職金も離婚時の財産分与になる!金額計算から請求方法まで解説します」

「婚姻を継続しがたい重大な事由」による離婚

回復の見込みがない強度の精神病が理由で離婚が認められそうもないときでも、法定離婚事由の5つ目「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるかどうかを検討するケースが増えています。こちらの場合でも病気の状況や期間、回復の見込みなどを含めて、離婚が認められる可能性があります。

具体的には次のようなケースで、裁判で離婚が認められるでしょう。

  • アルコール依存症や薬物中毒を併発したとき
  • 精神疾患が原因で暴言や暴力がある
  • 犯罪行為があり服役している
  • 借金やギャンブル、過度な浪費を繰り返す
  • モラハラがある

また上記のようなことがあり別居をした場合には、3~5年の別居期間で離婚が認められる可能性があります。というのも長期の別居はそれだけで、婚姻関係が破たんして修復の見込みがないと判断されるからです。ただし上記のような理由もなく相手に黙って別居してしまうと「悪意の遺棄」とみなされる可能性が。

こちらが有責配偶者となり、こちらからの離婚請求で離婚が認められなくなる恐れがあります。統合失調症の配偶者と離婚したいと思っても、個々の状況や背景によって取るべき方法が変わってきます。どのような要件を満たす必要があるかや、どのような対策が必要かなどは、離婚問題に強い弁護士に相談するのがベストです。

ギャンブル依存症の相手と離婚する方法は、こちらの記事を参考にしましょう。

「ギャンブル依存症の相手と離婚すべき?慰謝料や養育費を獲得する方法&注意点とは」

スムーズ離婚するためのポイントと注意点

統合失調症の配偶者とスムーズに離婚するためには、次に紹介するポイントや注意点を踏まえて、しっかりと事前準備をするようにしましょう。

必要以上に相手を刺激しない

統合失調症の配偶者と離婚するには、必要以上に相手を刺激しないように気を付けてください。相手に精神疾患があっても判断能力に問題がなければ、合意のもとで離婚を成立させられます。しかし必要以上に相手を刺激して感情的な対立が大きくなると、病気が悪化して離婚がさらに難しくなってしまうためです。

そのため離婚協議の序盤のうちから、相手を刺激するような言動は避けた方がいいでしょう。とくに症状が軽度で相手に病気の自覚がないときには、精神疾患のことを強く指摘すると話し合いが進まなくなる可能性があります。

医師の診断を受ける

精神疾患を理由とした離婚のためには、医学的な判断が欠かせません。統合失調症を疑われるようなときには、速やかに専門の医師の診察を受けてもらいましょう。夫婦関係が破たんしていない段階であれば、病院につきそうのもいいでしょう。

たとえ離婚が回避できないときでも、夫婦関係が破たんする前から医師の診察を受けていれば、その症状が重く長期間続いていることの証明にもなります。加えて精神疾患の原因が夫婦間のストレスだったと主張されにくくする効果もあります。

子どもの親権について

夫婦間に未成熟の子どもがいる場合、子どもの親権をどちらが持つのかについても考えておく必要があります。親権に関しては、子どもの年齢が低いほど母親側に有利とされています。たとえ妻が精神疾患にかかっていても、育児ができる程度の症状なら親権の判断には影響しないのが原則。

しかし強度の精神疾患で育児ができないときや、病気が原因で子どもを虐待するような場合は、父親側にも親権が認められる可能性があります。

父親が親権を取るために重要視されるポイントは、こちらの記事を参考にしましょう。

「父親が親権を取れる確率は?重視されるポイント・親権獲得のためにすべきことを解説」

離婚前の別居について

前出の通り、長期間の別居はそれだけで「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」として離婚が認められる可能性があります。そのため精神疾患以外で離婚原因がないときには、別居することが離婚への近道に。そのときは、相手に離婚を前提とした別居をしたいことを伝え「悪意の遺棄」とならないように気を付けましょう。

また相手の病気が悪化して、自力では生活することができない状況になった後で別居をすることもまた悪意の遺棄とみなされる可能性が。もし離婚に向けた別居を検討している場合には、精神疾患の症状が軽度なうちにすべきでしょう。

別居期間1年で離婚できるかどうかは、こちらの記事を参考にしてください。

「別居期間1年で離婚できる?長引く・認められないケースと早く離婚するポイント」

判断能力に不安があるとき

統合失調症などが原因で、相手の判断能力に不安があるときには、離婚という行為をする意思能力が認められません。そのため双方の離婚の意思が必要な、協議離婚や調停離婚による離婚はできません。さらに判断能力がないので、自分で弁護士に依頼するということも不可能です。

そのようなときには、成年後見人を付けてもらうように家庭裁判所に審判の申し立てをする方法があります。そして後見人が付いたら、後見人との間で協議を行ったり、後見人相手に離婚裁判を起こす必要があります。通常夫婦であれば配偶者が後見人になれますが、後に離婚を考えている場合は夫婦といえども自分が後見人になる子とは認められていません。

相手の病気の原因が自分にあるとき

相手の精神疾患の原因が自分にあるとき、有責配偶者からの離婚請求は裁判では認められる可能性が低いでしょう。例えばあなたの不倫発覚がきっかけで統合失調症になったケースや、あなたによる重大なDVやモラハラがあるケースです。自分で離婚原因を作っておきながら、自分から離婚を求めるのは身勝手だという理由からです。

相手の精神疾患の原因が自分にあるときには、一層献身的な看護をし、それでもなお回復が難しいときには、婚姻関係を継続できない状態にあることを裁判所に理解してもらう必要があるでしょう。

離婚問題に強い弁護士に相談

統合失調症の配偶者とスムーズに離婚するには、離婚問題に強い弁護士に相談してください。弁護士に相談できれば、スムーズに離婚する方法や離婚が認められるケースについてアドバイスが受けられます。相手に精神疾患があるときにはまともな話し合いができない場合も。当事者同士の話し合いが難しいときには弁護士などの第三者に入ってもらう必要があります。

離婚裁判となったときには、法律の専門家である弁護士に依頼するのが必須です。弁護士に相談すれば主張の根拠となる証拠の集め方や、どのような事実があれば離婚が認められやすいのかについても教えてもらえるでしょう。

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まとめ

統合失調症は脳のさまざま働きを統合することが難しくなるため、幻覚や妄想、思考障害などが生じる精神疾患。100人に1人弱の人に発症の可能性があり、症状が悪化すると婚姻生活の継続や社会生活を送るのが難しくなります。離婚を回避するには早期の治療や周囲の理解、専門窓口への相談が有効です。

それでも離婚を希望する場合は、協議や調停により双方の合意があれば離婚できます。離婚裁判では回復不能な強度の精神病とみなされるかや、その他婚姻を継続しがたい重大な事由に該当するかの判断により、離婚が認められる可能性があります。

統合失調症を含む精神疾患の相手と離婚を考えている方は、なるべく早いタイミングで弁護士に相談することをおすすめします。相手を刺激しないような交渉術で離婚に合意が得られるかもしれません。裁判になった場合でも、証拠の取り方や裁判の進め方をアドバイスしてもらえるでしょう。

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