離婚後の児童手当・児童扶養手当の手続きについて|ケース別の変更方法と基礎知識

離婚後の児童手当・児童扶養手当の手続きについて|ケース別の変更方法と基礎知識
離婚後の児童手当・児童扶養手当の手続きについて|ケース別の変更方法と基礎知識
  • 「離婚後の児童手当の手続き方法が知りたい」
  • 「ひとり親家庭が受けられる公的扶助は?」

子どもを引き取って離婚後の生活を送る予定の方にとって、児童手当の存在はありがたいものです。そこでこちらの記事では離婚前後の児童手当の手続き方法や、離婚後に受け取れる児童扶養手当の申請方法について詳しく解説。手続き方法や条件などを知って、いち早く手続きを済ませましょう。

児童手当は離婚前でも手続きが可能。同居中や別居後、住民票が同じなどケースごとに手続き方法や必要書類が異なるので、自分のケースに当てはめて、どんな手続きをすべきなのか学んでください。さらに離婚後に受けられるその他の公的扶助の知識も得て、離婚後の生活をスムーズに送れるようにしましょう。

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児童手当の基礎知識と手続き方法

まずは児童手当という制度の基礎知識や手続き方法について解説していきます。

児童手当の基礎知識

児童手当は、子ども支援のために支給される国の制度です。児童手当の基本として子どもを養育している人が受け取るもので、受け取るためには申請が必要となります。子どもを育てているからといえ、自動的にお金が入ってくるものではないので気を付けましょう。

支給条件

児童手当が受け取れるのは、子どもを養育している人です。具体的には子どもと一緒に暮らし、生計を維持している人のことを指します。子どもを養育している人が複数人いる場合は、一般的に父母のうち所得が高い人の方に支給されます。

申請者は住民登録があれば、国籍が日本でなくても支給対象になります。また子ども養育している人は父母に限らず、祖父母や親族など支給対象の子どもを養育している保護者がいれば、その人を受給者として申請することが可能です。

両親のうち所得が高い方が単身赴任などで別居している場合は、別居後も生計を同じくしていると認められれば、引き続き所得の高い方に支給されます。事情があって学校に通っていなくても支給対象となり、一定の要件が満たされれば留学などで外国に居住している場合でも、受給可能です。

年齢別の月額支給額

児童手当は、中学生(15歳になった年度の3月31日)までの子どもを養育している人に支給されます。子どもの年齢によって次のように月額支給額が異なり、子どもの人数によっても支給額が変わってきます。

子どもの年齢 月額支給額(子ども1人当たり)
0歳以上3歳未満 15,000円
3歳以上小学校修了まで 10,000円(第3子以降は15,000円)
(ただし第何子かを数えるのに、18歳になった3月31日を過ぎている人は人数に含まない)
中学生 10,000円

児童手当には所得制限があり、所得制限以上の所得がある場合は、子どもの年齢に関係なく、1人につき5,000円の支給です。例えば小学生と中学生の2人の子どもを養育している場合は、所得制限の限度額未満なら毎月20,000円を受給できます。

支給の時期

児童手当の支給時期は、子どもの年齢や人数に関係なく、4カ月分ずつまとめて振り込まれるため年3回の支給となります。支給月ごとの支給期間は以下の通りです。

支給月 支給期間
2月 前年10月から当年1月までの分
6月 2月から5月までの分
10月 6月から9月

支給日は市区町村によって異なりますが、毎月10日から15日が支給日になっていることが多いです。まれに支給日が土日祝祭日と重なっていると、支給日を過ぎても振り込みを確認できないことがあります。数日経過しても入金が確認できない場合は、お住いの市区町村役場や金融機関に確認するようにしましょう。

手続きに必要なもの

児童手当の新規の申請手続きに必要な書類などは、以下の通りです。

  • 児童手当・特例給付認定請求書
  • 別居監護申立書(子どもと別居している場合)
  • 振り込み希望口座の情報が分かるもの(通帳・キャッシュカード)
  • 健康保険証または年金加入証明書(厚生年金加入の場合)
  • 住民税課税(非課税)証明書
  • マイナンバーが確認できるもの(マイナンバーカード・通知カード)
  • 印鑑(認印可)

お住いの自治体によっては、上記以外の書類の提出を求められる場合があります。必ず申請前に問い合わせをして、必要書類を確認するようにしましょう。

所得制限について

上で少し触れましたが、児童手当には所得制限が設けられていて、子どもと同居している親(受給権者)の所得によって子ども1人当たり5,000円の支給額に制限される場合があります。所得制限額は子どもの人数に応じて、下の表のようになっています。

所得制限は父母の所得を合計したものでなく、所得の高い方単独の年収で判断されます。ちなみに子どもの数「0人」というのは、前年末に子どもが生まれていなかったケースです。

子どもの数 所得制限限度額 年収の目安(控除前)
0人 622万円 833.3万円
1人 660万円 875.6万円
2人 698万円 917.8万円
3人 736万円 960万円
4人 774万円 1002万円
5人 812万円 1042万円

子ども6人以上の場合の所得限度額は、1人につき38万円(扶養親族等が同一生計配偶者または老人扶養親族のときは44万円)を加算した金額となります。

養育費との関係

離婚問題で児童手当が話題に上がるのは、養育費の金額を決めるときが多いです。養育費を支払う側から「児童手当が入ってくるなら、その分養育費を減らす」と言われることもあるかもしれません。しかし基本的に児童手当が養育費の算定に影響を与えることはありません。他の児童扶養手当などの公的扶助も同様です。

というのも私的扶助である養育費と、児童手当のような国や自治体からの支援である公的扶助は全くの別物だからです。むしろ子どもの生活費の支払い義務を負っている両親が支払う養育費が先に存在し、その補助的な役割として公的扶助があるイメージとなります。

児童手当や児童扶養手当をいくらもらっていたとしても、養育費が減額される理由にはならないため、養育費の算定でもめた場合などは、法律の専門家に相談することをおすすめします。

離婚時の養育費の相場が知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚時の養育費の相場が知りたい!ケース別の相場や増額方法、請求方法とは?」

児童手当の手続き方法

こちらでは児童手当の基本的な手続き方法について解説していきます。

認定までの流れ

新規で児童手当の受給を申請する流れは以下の通りです。

  1. 支給条件を満たしていると確認後、認定請求を役場に提出
  2. 自治体で内容を審査し、支給開始月を決定
  3. 認定が認められたら通知が発送される

必要書類は住んでいる自治体窓口に提出します。内容を審査して問題がなければ、申請した翌月分からの支給が開始されます。ただし出生日や異動日が月末近い場合は、申請が翌月になっても異動日から15日以内の場合は申請月の分から支給対象となります。申請が遅れると遅れた分は受給できないので、早めの手続きが必須です。

受給者変更

受給者であった夫と離婚して母子で生活する場合は、受給者変更の手続きが必要です。上で説明したとおり、児童手当は子どもと同居して養育する人に対して支給されます。別居や離婚後は必ず受給者変更手続きを行いましょう。ただし受給者変更が可能なのは、次のような要件を満たす場合です。

  • 今の支給者との世帯が住民票上別であること
  • 子どもと同一世帯であること
  • 離婚の事実を証明できる書類があること

「離婚の事実を証明できる書類」は、離婚届けの受理証明書や離婚の記載のある戸籍謄本などです。なお同時期に児童扶養手当などのひとり親を対象とした手当を申請した場合は、これらの書類は不要です。また役所で離婚の事実を確認できる場合は、提出を省略できることもあります。

氏名・住所・口座の変更

受給者の住所氏名や振込口座、保険証の種類が変わった場合は、その都度「住所等変更届」などの書類を役場窓口に提出します。書類はお住いの窓口の担当部署で入手でき、窓口に提出するか郵送で手続きすることも可能です。必要書類を前もって問い合わせておくと、スムーズ手続きできます。

現況届

児童手当を継続して受給するには、毎年「現況届」を提出しなければなりません。現況届とは児童手当の受給条件を満たしているかの確認書類で、毎年6月に自治体役場から送付されます。この現況届の提出を忘れると、6月分以降の児童手当を受け取れなくなります。忘れずに期限まで提出するようにしましょう。

現況届に必要な添付書類は、以下の通りとなります。

  • 健康保険被保険者証の写し(請求者が給与所得者の場合)
  • 前住所の自治体が発行する前年分の児童手当用所得証明書(その年の1月1日に住民登録がない場合)

受給事由の消滅届

離婚で児童手当の受給者を父から母に変更する場合は、夫からの「受給事由消滅届」と妻からの「認定請求書」の提出がセットで提出が必要です。とくに別居してそのまま離婚した場合、夫側が消滅届を提出しているか不明なことも。

担当窓口に問い合わせれば確認が可能で、本人が記入したものなら夫から受け取り、認定請求書と一緒に代理で提出することも可能です。受給事由消滅届は自治体のホームページからダウンロードすることもできるので、一度確認してみましょう。

【ケース別】離婚までの児童手当の手続き方法

児童手当は子どもを養育している人のうち、年収の高い方に支給されます。夫婦2人いる家庭では、夫の方に支給される場合が多いのですが、別居や離婚で子どもを妻側が引き取る場合、児童手当を夫から妻へと変更させる手続きが必要になります。

そこでこちらでは、離婚協議中から離婚成立までの児童手当の手続き方法について詳しく解説していきます。

離婚協議中で同居、住民票も同じ

離婚の話し合いをしているものの、まだ一緒に住んでいて住民票も同じ場合、児童手当の受給者は年収の高い方のままです。今後の別居や離婚の準備を進める段階だと考え、必要書類を集めたり、手続き方法などを知っておきましょう。

あらかじめ役所から「受給事由消滅届」の用紙を入手して、夫に署名してもらってもいいでしょう。提出は代理人でも構わないので、世帯が分かれた時点で「認定請求書」と一緒に提出できるよう、前もって準備しておきましょう。

離婚協議中で別居済み、住民票が別

離婚協議中で別居中、住民票も別になっている場合は、子どもと同居して養育している側に受給資格があります。離婚を前提とした別居中であることを証明できれば、受給者の変更が可能です。同居優先受給に関する申立書」または「児童手当等の受給資格に係る申立書(離婚前提)」を役所に提出することで変更できます。

これらの申立書には、離婚前提の別居であることが公的に証明できる書類の添付が求められます。具体的には次のような書類が該当します。

  • 離婚協議申し入れにかかる内容証明郵便の謄本
  • 家庭裁判所への離婚協議申し入れの控えと調停期日呼び出し状の写し
  • 家庭裁判所における事件係属証明書
  • 離婚調停不成立証明書
  • 離婚協議について弁護士に依頼していることが分かる書類(任意の離婚協議の進捗状況に係る報告書など)
  • 離婚協議中であることが分かる公正証書

書類について不明な点がある場合は、役所の窓口に問い合わせてください。

離婚協議中で同居中、世帯分離

離婚協議中で一緒に暮らしているものの、住民票は別の「世帯分離」状態では、別居している状態と同じように扱います。上で説明した通り、離婚協議中であることが分かる書類を添付して申請すれば、子どもを養育している側を受給者に変更できます。

離婚協議が長引いて書類の入手が困難な場合

離婚協議が長引いて、離婚協議中であることを証明できる公的書類の入手や提出が難しい場合もあるでしょう。そのようなときは、子どもと同居する側(申請者)が住んでいる市区町村役場に、相手側から「離婚協議中である旨の申立書」を提出。

自治体が申立書の内容を相手に確認できた場合に限り、離婚協議中と同様に扱うことが可能になります。

離婚が成立し住民票が別

離婚が成立して住民票が別になっている場合は、子どもと同居している側が受給者となります。新規に児童手当の申請をする方法で、新たに住む市区町村役場に児童手当の申請を行いましょう。

離婚が成立したが住民票が同じ

離婚は成立したがまだ相手側と同じ住民票の場合、まず夫に「受給事由消滅届」にサインしてもらい、住民票のある市区町村役場に提出します。その後、子どもと同居する妻が自治体に新規に児童手当を受け取る手続きを行ってください。これらの手続きで受給者を夫から妻へ変更することが可能です。

DVが原因で住民票と別の場所に住んでいる場合

配偶者からのDVなどが原因で、母子生活支援施設や女性保護施設など子どもを連れて住民票とは別の場所に住んでいる場合は、要件を満たせば受給者を変更できます。要件とは以下の2点で、それぞれ必要な書類はこちらです。

要件 必要書類
①配偶者からの暴力について分かる資料
  • 配偶者からの「暴力の防止及び被害者の保護に関する法律に基づく保護命令」が出ていることが分かる資料
  • 相談所等からの「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」
  • 申請者からの住民基本台帳の閲覧等の制限に係る申し出により、支援措置の対象となっていることが分かる資料
②申請者と子どもが配偶者の扶養に入っていない(社会保険上)ことが分かる資料 申請者と子どものみの国民健康保険加入が分かる資料

このような書類を添付できると、住民票の異動がなくても児童手当の受給者を変更できます。申請の状況や審査内容によっては、手当を受給できない月が発生する場合があります。自治体の窓口に確認しながら、手続きを進めてください。

児童扶養手当の基礎知識と手続き方法

児童扶養手当は、離婚や死別などでひとり親家庭になった場合や、親が一定の障がいがある場合に子どもの養育者に支給される公的扶助制度です。このような家庭における子どもの生活の安定と自立の促進のために給され、かつては「母子手当」と呼ばれていました。

法改正によって父親でも受給が可能になり、そのタイミングで名称も「児童扶養手当」に変更されました。こちらでは離婚後に受け取れる児童扶養手当の支給条件や金額、手続き方法について詳しく解説していきます。

支給条件

児童扶養手当を受け取るには、まず受給条件に該当するか確認が必要です。児童扶養手当の受給条件4つは以下の通りです。

  • 離婚後、別の異性と事実婚状態や内縁関係になっていないか
  • 公的年金(遺族年金・障害年金・遺族補償など)を受け取っていないか
  • 所得制限に該当しないか
  • 子どもが18歳(18歳になって最初の3月31日)になっていないか(障がいがある場合は20歳の誕生日前日)

障害年金や遺族年金などの公的年金の受給額が、児童扶養手当の受給額よりも多いケースでは、児童扶養手当を受け取ることはできません。また支給開始から5年以上経過しているのに、求職活動も就職もしていないと(病気などで働けない場合は除く)、半額カットとなります。

離婚しておらず上記の要件に当てはまらなくても、次のような事情があれば児童扶養手当を受給することが可能です。

  • 裁判所からDV保護命令が出た場合
  • 相手側から1年以上遺棄されている場合

「遺棄」とは、相手に生活費を要求しても払ってもらえなかったり、正当な理由なく連絡もなく別居しているような状況のこと。定期的に生活費を受け取っている場合や、安否を確認する連絡がある場合には遺棄には該当しません。

支給時期

児童扶養手当の支給時期は年6回、1月・3月・5月・7月・9月・11月の奇数月です。前々月と前月分の計2カ月分がまとめて支給されることになります。従来は4カ月分を年3回に分けて支給されていましたが、2019年11月の法改正からは、上記のように変更されました。

支給年齢

児童扶養手当は、高校卒業時期(18歳になった年度の3月31日まで)の子どもを育てているひとり親家庭等に支給されます。ただし子どもに障がいがある場合は、20歳未満が支給の対象となります。

年齢別の月額支給額

児童扶養手当の月額支給額は、高校卒業時期までの子どもの人数によって決まります。児童手当のように年齢によって金額に差はなく、子ども1人当たりの金額ではありません。支給額は物価スライドによって変動しますが、令和4年4月時点の全額支給の金額は以下の通りです。

高校卒業時期までの子どもの人数 支給月額
1人 43,070円
2人 53,240円
以下1人増えるごとに 6,100円加算

参考:児童扶養手当|東京都福祉保健局

所得制限について

児童扶養手当の支給金額は、前年の所得に応じて全部支給と一部支給があります。子どもが1人いて全部支給の対象となるのは、前年の所得が収入ベースで160万円以下の家庭です。ただし1月~6月に申請する場合は、前々年の所得で見られます。

所得制限の所得金額は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から各種控除を引いて、受け取っている養育費の8割分を足して計算します。所得額の計算は難しいため、自治体の窓口に問い合わせるといいでしょう。こちらは子どもの人数ごとの全部支給・一部支給の所得制限限度額です。

子どもの数 所得制限限度額(全部支給) 所得制限限度額(一部支給) 同居の扶養義務者
1人 87万円 192万円 274万円
2人 125万円 230万円 312万円
3人 163万円 306万円 350万円
4人 201万円 344万円 388万円
5人以上 以下1人増えるごとに38万円ずつ加算 以下1人増えるごとに38万円ずつ加算 以下1人増えるごとに38万円ずつ加算

上の「同居の扶養義務者」は、子どもを連れて実家に帰った場合などに該当します。子どもにとっての祖父母やおじおばなどと同居していると、彼らの収入によっては児童扶養手当が受給できないことも。対象は直系の血族と親の兄弟姉妹ですが、同居していなくても生計が同一だと判断されると扶養義務者とみなされます。

また住民票が別の世帯分離の状態でも、二世帯住宅でない限りは同居とみなされるので、同居の扶養義務者がいる場合には、所得制限にかかっていないかチェックが必要です。

手続き方法

児童扶養手当の受給条件に当てはまると分かったら、下記の必要書類を窓口に持参して、申請手続きを行います。ここでいう申請者とは、子どもの養育者のことを指します。

  • 申請者・子どもの戸籍謄本原本(発行から1カ月以内のもの)
  • 申請者名義の預金通帳
  • 申請者・子どものマイナンバーが分かるもの
  • 申請者の本人確認書類
  • 印鑑(認印可)

必要書類は自治体や家庭の状況によって、上記以外にも必要になる可能性があります。詳しくはお住いの自治体窓口にお問い合わせください。自治体の窓口に書類を提出すると、その場で担当者との面談があります。書類や面談の内容を審査し、審査が通れば児童扶養手当の支給が開始されます。

尚、児童扶養手当は児童手当と同様、毎年現況届を提出しなければなりません。こちらは8月に提出することになるため、忘れずに提出しましょう。さらに再婚する場合にも別の届け出が必要です。

その他ひとり親家庭が受けられる公的扶助

児童手当や児童扶養手当以外にも、ひとり親家庭が受けられる公的扶助制度があります。自分の住む自治体にこのような制度があるかチェックして、漏らさず手続きするようにしましょう。

特別児童扶養手当

特別児童扶養手当は、身体や精神に障がいを持つ20歳未満の子どもがいる家庭に支給される手当です。前述の児童扶養手当とは別の目的のために支給されるので、児童扶養手当との併給が可能です。障がいの程度や手帳の種類に応じて、支給額は次のようになります。

障がいの程度 手帳の種類 支給額(子ども1人当たり)
1級(重度) 療育手帳A
身体障害者手帳1、2級
52,200円
2級(中度) 療育手帳B
身体障害者手帳3級または4級の一部
34,770円

ただし子どもが児童福祉施設などに入所(通所施設は除く)している場合は受給できません。支給のタイミングは毎年4月・8月・11月の3回で、それぞれ前月分(11月は当月)までの分が支給されます。

障害児童福祉手当

障害児童福祉手当は、子どもが身体や精神に障がいを持っている特別障害児の場合に支給される手当です。支給の条件や金額、支給日などは以下の通りです。

支給の条件
  • 20歳未満である
  • 身体的または精神的な重度の障害のために日常生活を自力で送ることができない
  • 常時介護を必要とする
支給金額(月額) 一律14,480円
所得制限 あり(受給者もしくはその配偶者または扶養義務者の所得が一定金額以上の場合)
支給日 2月・5月・8月・11月の年4回

児童育成手当

東京都内の自治体やその他の市区町村には、児童育成手当というひとり親家庭向けの手当てがあります。支給の条件は児童扶養手当と同じように規定されていることが多く、支給時期は年3回になります。その他の詳細は以下の通りです。

支給の条件
  • 高校卒業時期(18歳に達した年度末)までの子どもを養育しているひとり親家庭
  • 申請自治体に住民票がある
支給金額(月額) 13,500円(子ども1人当たり)
所得制限 あり(扶養義務者の前年所得が限度額以上の場合)
支給日 2月・6月・10月の年3回

支給の条件などは各自治体によって異なります。児童扶養手当よりも高いところに所得制限が設定されているところがほとんどのため、所得制限で児童扶養手当が受けられなくても児童育成手当が受け取れるという場合があります。

住宅手当

ひとり親家庭向けに住宅手当を設けている自治体も多くあります。支給の条件や支給月額などは、場所によって異なりますが、おおむね次のような内容です。

支給の条件
  • 20歳未満の子どもを養育しているひとり親家庭
  • 生活保護を受けていない
  • 申請先の市区町村に6カ月以上住んでいる
  • 民間の賃貸住宅に住み、申請先の住所地に住民票がある
  • 扶養義務者の所得が、児童扶養手当の所得限度額以下である
支給金額(月額) 5,000円~10,000円(自治体によって異なる)
所得制限 あり
支給日 自治体によって異なる

ひとり親家庭の医療費助成制度

こちらも自治体独自の制度で、ひとり親家庭の親と子どもの医療費の自己負担分の一部を、負担してくれる制度です。お住いの地域によって異なりますが、高校卒業時期までの親子が対象になっていることが多いです。所得制限を設けていない自治体もありますが、児童扶養手当の基準と同じにしているところも多いです。

また年金をもらっているために児童扶養手当を受給できない世帯を対象に、医療費助成制度を設けている自治体もあるため、お住いのところの制度を確認してください。

こども(乳幼児)医療費助成

子どもの医療費のみを助成してくれる制度もあります。ひとり親家庭かどうかにかかわらず助成を受けられますが、所得制限を設けているところも。自治体によって小学校入学前、小学校卒業まで、中学校卒業までなどと、対象者が異なる場合があります。こちらもお住いの自治体窓口で確認してみましょう。

その他の控除・減免制度

所得が一定以下のひとり親家庭では、税金や公共料金、年金などが減免される制度があります。こちらも自治体によって異なりますが、公的な控除および減免制度には次のようなものがあります。

  • 所得税や住民税の減免
  • 国民健康保険の免除
  • 国民年金の免除
  • 交通機関の割引制度
  • 粗大ごみの手数料免除
  • 上下水道料金の割引制度

まとめ

児童手当は中学校卒業時期の子どもを養育している保護者に支給されます。年齢や子どもの人数によって月額が変動し、養育者が2人以上いる場合は、年収の高い方で所得制限の判断がなされます。支給条件などを確認の上、現況届とあわせて忘れずに手続きしましょう。

離婚や別居を理由として児童手当の受給者を変更するケースでは、住民票がどうなっているかで手続き方法が変わります。DVを理由に住民票を変えないような場合でも受給者変更ができるので、詳しくはお住いの自治体の担当窓口に相談しましょう。

児童手当や児童扶養手当以外にも、ひとり親家庭が利用できる手当や助成制度がたくさんあります。他にも自治体独自で行っている減免制度などがあるので、離婚前に居住地の制度をよく調べて、離婚後すぐに手続きできるように準備しておきましょう。

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