離婚時の養育費の相場が知りたい!ケース別の相場や増額方法、請求方法とは?

離婚時の養育費の相場が知りたい!ケース別の相場や増額方法、請求方法とは?
離婚時の養育費の相場が知りたい!ケース別の相場や増額方法、請求方法とは?
  • 「離婚時の養育費の相場を知りたい」
  • 「養育費を増額・減額する方法は?」

子どもがいる夫婦が離婚するとき、子どもの生活や教育に必要な養育費の金額についても決めなければなりません。しかし一般的にどのくらいが妥当なのか分からないと、養育費の金額を決められません。そこでこちらの記事では、ケース別の養育費の相場を詳しく解説。養育費を決めるときの参考にしましょう。

さらに離婚後に養育費を増額(減額)できる要素や方法も紹介します。いつの間にか支払われなくなってしまった場合の対処方法や、なるべく多くの養育費を獲得できる方法を知って、子どもの生活や将来の教育のためにしっかり養育費を得られるようにしましょう。

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養育費の相場を知るには?

養育費の相場を知るには、過去の平均金額や算出方法、金額が変動する要素などを知らなければなりません。こちらでは、養育費の相場を知るために基礎知識について解説してきます。

子ども一人当たりの養育費の平均金額

裁判所では毎年、司法統計として過去の離婚調停や審判事件の結果を公表しています。こちらは令和2年の司法統計「離婚の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち母を監護者と定めた未成年の子有りの件数―夫から妻への養育費支払額別子の数別―全家庭裁判所」より、裁判所で決定された養育費の月額の割合をパーセントで示した表です。

月額 1万円以下 2万円以下 4万円以下 6万円以下 8万円以下 10万円以下 10万円以上 額不定
割合 2.4% 9.4% 38.6% 25.5% 11.5% 5.6% 6.1% 0.9%

また、厚生労働省が統計を取っている平成28年(2016年)「全国ひとり親世帯等調査の結果」によると、母子家庭と父子家庭の子どもの人数別、養育費の平均月額はこちらです。

子どもの人数 1人 2人 3人 4人
母子家庭 38,207円 48,090円 57,739円 68,000円
父子家庭 29,375円 32,222円 42,000円

参考:全国ひとり親世帯等調査 / 平成28年度全国ひとり親世帯等調査|e-Stat

上の表から算出する養育費の平均月額は、母子家庭で43,707円、父子家庭で32,550円です。先の裁判所の平均月額を見ても、6万円以下が全体の約76%を占めていることが分かります。

養育費の相場が変動する要素

それでは養育費の相場は、どのような要素で変動するのでしょうか。養育費は子どもの人数や年齢、養育費を支払う側と受け取る側の年収や支払う側の働き方によって、次のように変動します。

  • 子どもの人数(人数が多いほど増額)
  • 子どもの年齢(年齢が高いほど増額)
  • 支払う側の年収(年収が高いほど増額)
  • 受け取る側の年収(年収が低いほど増額)
  • 支払う方が給与所得者か自営業者か(自営業者の方が増額)

子どもの人数が多いほど養育費が増額されるのは当然ですが、子どもの年齢が上がるほど教育や学校にお金がかかるため増額の理由となります。また養育費を支払う側の年収が高く、受け取る側の年収が低いと算定金額が高くなります。

さらに支払う側が給与所得者よりも自営業者の方が、年収に占める基礎収入が多くなると考えられているため、養育費も高額になるという訳です。

養育費の計算に便利な家庭裁判所の算定表

養育費を計算するのに欠かせないのが、平成15年(2003年)に東京と大阪の裁判所が公表した「養育費算定表」です。こちらは実務上の成果を反映させたもので、子どもの人数や年齢が該当する表を選ぶことで、すぐに養育費の相場が分かるようになっています。

養育費の算定は元々複雑な計算方法によって算出されていたため、専門知識がないと簡単には算出できませんでした。それを誰でも分かりやすく算出できるようにしたのが、こちらの「養育費算定表」です。

ただ、公表後の物価上昇や社会情勢の変化によって、一般的な生活費の水準よりも低く算出されていたため、令和元年(2019年)には増額した養育費の算定表が裁判所から公表されています。これから養育費を算定しようという方は、こちらの算定表を使用してください。

参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について|裁判所

日弁連が公表している新算定表

裁判所が出した「養育費算定表」では、養育費の金額が少なすぎるあまり生活に苦しむシングルマザーが増加している現状を踏まえ、日本弁護士連合会(日弁連)では平成28年(2016年)に「新算定表」を公表しました。裁判所の「養育費算定表」との主な違いは、以下の通りです。

  • 給与所得者の基礎収入を総収入の6~7割に増額
  • 生活費を子どもの年齢や家族の人数に応じて算定

これにより、従来の算定表から算出した金額の約1.5倍増額した金額となり、ほぼすべての年収および子どもの人数でみると、平均1万~2万円の増額が行われています。基本的に日弁連の「新算定表」も、裁判所の「養育費算定表」と見方は同じです。

算定表の見方

こちらでは裁判所の「養育費算定表」を参考にして、養育費の算出方法を説明していきます。日弁連の「新算定表」も見方はほぼ同じなので、養育費の相場を知る参考にしましょう。

養育費算定表は、子どもの人数や年齢ごとに全部で9の表に分かれています。まず自分のケースに合う表を探して、算定表を開いてください。尚、同じページには婚姻費用の算定表も載っていますが、必ず養育費の算定表を開くようにしましょう。

養育費の月額は、算定表の縦軸・義務者(養育費を支払う側)の年収と、横軸・権利者(受け取る側)の年収の交差した金額から算出します。年収は給与所得者と自営業者で分かれているので、それぞれ該当する金額を選んでください。

例えば子ども2人がいずれも14歳以下の場合、義務者(養育費を支払う側)の年収500万円、権利者(受け取る側)の年収が200万円(いずれも給与所得者)だとすると、養育費の月額は6万~8万円が相場ということになります。分かりにくい場合は、それぞれの年収の場所に線を引いて交差した場所の金額を見るようにしましょう。

【子どもの人数別】養育費の相場

では実際に子どもの年齢や人数別の養育費の相場を紹介します。こちらでは養育費を受け取る側の年収を、100万~200万円と仮定しています。尚、算定表はあくまでも相場を示す目安です。より正確な金額を知りたい方は、離婚問題に詳しい弁護士に相談しましょう。

離婚問題で依頼する弁護士の探し方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚時に依頼したい弁護士の選び方|相談前・相談時のポイントと費用に関する注意点を解説」

【子ども:1人】養育費の相場

子ども一人がいる夫婦が離婚する場合の、養育費の相場はこちらです。なお表にある年収は、養育費を支払う側の年収を示しています。養育費を支払う側が会社員の場合は給与所得者の欄を、自分で会社を興して仕事をしている場合は自営業者の欄の金額で見てください。

【子どもの年齢:0歳~14歳】

年収 300万円 400万円 500万円 600万円 800万円 1000万円
給与所得者 2万~4万円 4万~6万円 4万~6万円 6万~8万円 6万~8万円 8万~10万円
自営業者 4万~6万円 6万~8万円 6万~8万円 8万~10万円 8万~10万円 10万~12万円

【子どもの年齢:15歳~19歳】

年収 300万円 400万円 500万円 600万円 800万円 1000万円
給与所得者 4万~6万円 6万~8万円 6万~8万円 8万~10万円 8万~10万円 10万~12万円
自営業者 6万~8万円 8万~10万円 8万~10万円 10万~12万円 10万~12万円 12万~14万円

【子ども:2人】養育費の相場

子どもが2人いる場合、子ども2人共の年齢に応じた表を選んでください。

【子ども2人が0歳~14歳】

年収 300万円 400万円 500万円 600万円 800万円 1000万円
給与所得者 2万~4万円 4万~6万円 6万~8万円 8万~10万円 10万~12万円 12万~14万円
自営業者 4万~6万円 6万~8万円  8万~10万円 8万~10万円 12万~14万円 14万~16万円

【子ども1人が0歳~14歳、もう1人が15歳~19歳】

年収 300万円 400万円 500万円 600万円 800万円 1000万円
給与所得者  4万~6万円  4万~6万円 6万~8万円 8万~10万円  12万~14万円 14万~16万円
自営業者 6万~8万円 6万~8万円 8万~10万円 10万~12万円 14万~16万円 16万~18万円

【子ども2人ともが15歳~19歳】

年収 300万円 400万円 500万円 600万円 800万円 1000万円
給与所得者  4万~6万円 6万~8万円 8万~10万円 10万~12万円  12万~14万円  16万~18万円
自営業者 6万~8万円 8万~10万円 10万~12万円  12万~14万円  16万~18万円  18万~20万円

【子ども:3人】養育費の相場

子どもが3人の場合も子ども2人のケースと同様に、子どもそれぞれの年齢に応じた表で養育費を算出します。

【子ども3人が0歳~14歳】

年収 300万円 400万円 500万円 600万円 800万円 1000万円
給与所得者 2万~4万円 4万~6万円 6万~8万円 10万~12万円  12万~14万円 16万~18万円
自営業者 4万~6万円 6万~8万円 8万~10万円 12万~14万円 14万~16万円 18万~20万円

【子ども2人が0歳~14歳、もう1人が15歳~19歳】

年収 300万円 400万円 500万円 600万円 800万円 1000万円
給与所得者 4万~6万円 4万~6万円 6万~8万円 12万~14万円 12万~14万円 16万~18万円
自営業者 6万~8万円 6万~8万円 8万~10万円 14万~16万円 14万~16万円 18万~20万円

【子ども1人が0歳~14歳、2人が15歳~19歳】

年収 300万円 400万円 500万円 600万円 800万円 1000万円
給与所得者 4万~6万円 6万~8万円 6万~8万円 12万~14万円 14万~16万円 18万~20万円
自営業者 6万~8万円 8万~10万円 8万~10万円 14万~16万円 16万~18万円 20万~22万円

【子ども3人ともが15歳~19歳】

年収 300万円 400万円 500万円 600万円 800万円 1000万円
給与所得者 4万~6万円 6万~8万円 6万~8万円 12万~14万円 14万~16万円 18万~20万円
自営業者 6万~8万円 8万~10万円 8万~10万円 14万~16万円 16万~18万円 20万~22万円

なお子どもが3人以上いる場合は、子どもの人数やそれぞれの年齢によって、さらに複雑な条件を当てはめて養育費を算出してくことになります。

離婚後に養育費を増額・減額・請求する方法

離婚後に養育費を減額(増額)したいと思うこともあるでしょう。ただし単に「払いたくないから」では、一度決めた養育費の減額は認められません。こちらでは離婚後に養育費を減額・増額できる要素や金額を変更する方法、途中で支払われなくなったときの対処法を解説していきます。

養育費が増額できる要素

子どもが大きくなると予想外に教育費や食費、洋服代などがかかることがあります。離婚時に決めた養育費では、到底足りなくなったという人もいるのではないでしょうか。しかし「足りなくなったから養育費を増額して」と言っても、そう簡単に認められるものではありません。

養育費を受け取る側にこのような事情がある場合は、養育費の増額を請求できます。

  • 子どものけがや病気で予想以上に医療費がかかった
  • 子どもが重度の障害を負った
  • やむを得ない事情(リストラ・病気など)で収入が下がった

養育費の金額は一般的な治療費を含めて考慮されていますが、予想以上に医療費がかかった場合や、子どもが重度の障害を負った場合などは、養育費の増額が可能になるでしょう。またリストラやケガ、病気といったやむを得ない事情で、受け取る側の収入が下がった場合も、養育費の増額を請求できます。

さらに養育費を支払う側の転職や昇進で収入が大幅にアップした場合も、養育費を増額して獲得できる可能性があるでしょう。

養育費を減額できる要素

以前に決めた養育費を減額できるのは、受け取る側と支払う側の双方の事情によって異なります。養育費を受け取る側にこのような事情がある場合は、養育費の減額が可能です。

  • 収入が養育費の金額を決めた時点よりも増えた場合
  • 再婚相手と子どもが養子縁組をした場合

養育費を受け取る側の収入が予想以上に増えた場合や、受け取る側が再婚して子どもと再婚相手が養子縁組をした場合に、養育費の減額が認められます。そしてこちらは支払う側の事情です。

  • 想定外の事情で収入が減った場合
  • 再婚相手が専業主婦やパート勤めになった場合
  • 再婚相手との間に子どもが生まれた場合
  • 再婚相手の子どもと養子縁組した場合

養育費を支払う側の収入が想定外の事情で減少した場合、減額が認められます。また支払う側が再婚して再婚相手が専業主婦になったり子どもが生まれた場合、再婚相手の連れ子と養子縁組した場合は、扶養義務者が増えたとみなされて、養育費の減額が認められやすくなります。

養育費の金額を変更する方法

養育費の金額を減額・増額するには、まず当事者同士の話し合いを行います。そこで合意できれば内容を公正証書にしてください。話し合いで合意に至らなければ、家庭裁判所に調停を申し立てます。養育費の減額や増額は、希望する人が動かないと変更できないので、支払う側が「養育費減額調停」を受け取る側が「養育費増額調停」を申し立てるのが基本です。

調停はあくまで調停委員を間に挟んだ話し合いの場なので、話し合いがまとまらない限りは「不成立」で終わります。調停が不成立になった後は、審判に移行することに。審判では裁判官が双方の意見や理由を聞いて、最終的な養育費の金額を決定します。

いくら養育費の支払いが厳しくなったからといえ、支払う側の自己判断によって養育費を減額することはできません。相手に訴えられてしまうと、裁判所の判断で給料などを差し押さえられる可能性もあるので注意しましょう。

養育費が途中で支払われなくなったときの対処法

離婚してすぐのころは毎月養育費が振り込まれていたのに、しばらく経つと養育費が支払われなくなったという例はよく聞きます。こちらでは養育費が途中で支払われなくなったときの対処方法を詳しく説明します。

養育費が支払われなくなった時の対処法でポイントになるのが「債権名義」の有無です。債権名義とは、裁判所が強制執行を行うときに必要となる公的機関が作成した文書のことで、次のような種類があります。

  • 公正証書
  • 調停証書
  • 審判書
  • 和解調書

離婚協議書を公正証書で作成していた場合や、調停や審判で養育費の金額を決めた場合は債権名義があるということになります。

債権名義がある場合

養育費に関する債権名義がある場合は、相手の財産や給料を差し押さえることで、養育費を強制的に支払ってもらうことができます。支払う側の住所地がある地方裁判所に、強制執行による差し押さえ申し立てを行います。申し立てが認められて、裁判所から「履行勧告」や「履行命令」が出れば、強制執行が可能です。

債権名義がない場合

上記のような債権名義がない場合は、まず支払いを求める内容の内容証明郵便を送ります。直接相手に支払いを求めるという方法もありますが、今さら顔を合わせたくないという方や、相手のDVや暴力で離婚した方は直接会って交渉するのはおすすめできません。

内容証明郵便を送っても返答がなかったり、養育費が支払われない場合は、家庭裁判所に「養育費調停」を申し立てます。その後は金額変更の手続きと同様に審判へと進み、それでもまだ支払いがないと地方裁判所に強制執行の申し立てをします。

当事者間で決めた養育費の内容を公正証書にしていなかったり、公的な債権名義がない場合は、いきなり強制執行を行うことはできないため、大変な時間や手間がかかることを覚えておきましょう。

養育費の取り決めや減額・増額で弁護士に依頼する場合の費用の相場は、こちらの記事を参考にしてください。

「養育費に関する弁護士費用が知りたい!ケースごとの相場・払えないときの対処法とは?」

なるべく多くの養育費を獲得する方法

養育費を受け取る側からしたら、なるべく多くの養育費を獲得したいと思うはず。こちらでは養育費をなるべく多くもらうためのポイントを紹介します。

相手の収入をキチンと把握

養育費算定表を見ても分かる通り、相手の年収が高いほどもらえる養育費も多くなります。支払う側は自分の収入を過少申告する可能性もあるため、相手の収入をきちんと把握することが重要です。離婚前の同居時点から、相手の給与明細や源泉徴収票を確認して、年収を把握しておきましょう。

相手が自営業者の場合は、確定申告書や自治体役場が発行する所得証明(課税証明)で分かります。ただ所得証明はたとえ同居の配偶者でも、本人の委任状がないと発行できないので気を付けましょう。また給与所得者でも副収入がある場合は、それらの収入についても忘れずに把握する必要があります。

離婚を前提とした別居をするには必要な準備があります。こちらの記事を参考にして、準備を万全にしましょう。

「別居に必要な準備をシチュエーション別に解説!別居に関する注意点とは?」

子どもの教育計画を明確に

なるべく多くの養育費を獲得するには、養育費の金額を決めるときに子どもの教育計画を明確にする必要があります。たとえ離婚時に乳幼児であっても、その後の幼稚園や小学校、高校や大学など、どんな教育を受けさせるかによって養育費の金額が変わってくるためです。

まずは次に示すそれぞれのタイミングで、自分の子どもにどの位のお金がかかるか見積もりを出してみましょう。

  • 小学校入学までの養育費
  • 小学校入学に必要な費用
  • 小学校卒業までの費用
  • 中学校入学に必要な費用
  • 中学校卒業までの費用
  • 高校入学に必要な費用
  • 高校卒業までの費用
  • 大学受験費用
  • 大学入学金
  • 大学の授業料

次に希望の教育を受けさせるために必要な塾や家庭教師、部活動などについても考えていきます。

  • いつからどんな塾や習い事に通わせるか
  • 学校の部活動にかかる費用について
  • いつから家庭教師をつけるか
  • 学校は公立か私立か
  • 大学の学部や学科

余裕ある養育費をもらえるようにするには、今の時点で分かっている範囲での教育計画や学習計画を立て、その計画に基づいて交渉するのが秘訣。とくに子どもが小さいうちは、将来のことを考えずに養育費の金額を決めがちですが、後からの増額はそう簡単に認められるものではないため、極力詳細に出すようにしましょう。

面会交流は拒絶しない

養育費を支払う側との面会交流を拒絶しないのも、慰謝料を多く獲得するポイントです。というのも普段離れて暮らしている相手からすると、自分の子どもと会いコミュニケーションを取れることが、養育費を支払うモチベーションになるからです。

定期的な面会交流は、子どもへの愛情や責任感の維持にも役立ちます。なるべく子どもとの時間を設けて、親としての自覚を促しましょう。ただし子どもが怖がって面会交流をしたがらない場合や、子どもへの肉体的・精神的暴力が見られる場合には、無理に面会交流をさせないように注意してください。

養育費の相場に関する注意点

こちらでは養育費とその相場に関する注意点を7つ紹介していきます。

会社員と自営業では年収の算出方法が違う

上で少し触れましたが、給与所得者と自営業者では年収の算出方法が異なるので注意が必要です。というのも給与所得者と自営業者では、年収から保険料や税金、業務上の費用などを差し引いた「基礎収入」が異なるため。養育費を決める年収は次のようにして算出し、確認方法は以下の通りです。

支払う側の働き方 年収の確認方法 年収の算出方法
給与所得者 源泉徴収票
所得証明書
源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)
所得証明書の「給与の収入金額」
自営業者 確定申告書 確定申告書の「課税される所得金額」に「実際に支出していない費用」を加算

給与所得者の年収であれば、源泉徴収票の「支払金額」や所得証明書の「給与の収入金額」からすぐに算出できます。自営業者の場合は、確定申告書の「課税される所得金額」から雑損控除や配偶者控除、扶養控除や基礎控除といった実際に支出していない費用分を加算して算出します。

同じ年収でも自営業者の方が多く養育費を支払うことになるのは、確定申告によって経費が差し引かれているからです。このように給与所得者と自営業者では、総収入のとらえ方や年収の算出方法が異なります。給与所得以外に収入がある場合や自営業者の場合には、年収を正確に押さえるのは難しいと言えます。

収入には児童扶養手当を含めない

養育費を算定する場合の収入には、児童扶養手当や児童手当を加算しないように気を付けてください。裁判所が公表した「養育費算定表」を使って算出する場合も、公的手当や補助金、助成金などを含めないで計算します。

児童手当など公的扶助に当たるものは、あくまでも生活を補助するためのお金で、離婚後に公的扶助が受けられるからといえ、私的扶助である養育費が減額されたり免除されるものではないからです。相手に「児童手当があるから養育費を少なくしてもいいだろう」と言われても、減額に応じる必要はありません。

養育費をいつまで支払うかは話し合いで決定

養育費をいつまで支払うべきかは双方の話し合いで決定します。そもそも養育費は子どもが経済的や社会的に自立するまでに、子どもの教育や監護に必要なお金です。自立のタイミングを成人するまでにするか、大学を卒業するまでにするかは、協議によって自由に決められます。

養育費の支払い期間は法律で決められているわけでないため、養育費の金額同様、父母の双方が合意すれば子どもが20歳になるまでにするかや大学を卒業する3月までなど、環境や所得に応じて決めることができます。

成人年齢引き下げによる養育費の決め方

2022年4月に改正された民法で、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。これにより養育費の支払い時期に影響があるのでは?と心配になる方がいるかもしれませんが、2022年4月以前に決めた現在支払い中の養育費に関しては、支払い期間が短縮される心配はありません。

「成人まで」と決めていた場合は、取り決め時点での成人年齢を踏まえて20歳まで養育費の支払いが認められます。しかしこれから養育費の支払い時期を決める場合は、いつまで養育費を支払う義務があるか争点にならないよう注意が必要です。

具体的には「子どもが18歳の誕生日を迎えるまで」や「(大学卒業の)22歳の誕生日を迎えた3月まで」というように、子どもの年齢を明示して支払い期間の終了時期を明らかにするとトラブルを回避できます。

一括払いでは課税されることも

婚姻費用や養育費など扶養を目的とした私的給付は、原則として課税の対象外です。しかし非課税扱いになる前提として、それらの給付金を「必要金額を必要の都度支払う」ことが求められます。毎月支払うのは面倒だからと、離婚時に養育費を一括払いすると非課税扱いの前提を満たさくなる場合も。

養育費として認められないと、贈与税が課税される可能性があるので気を付けましょう。一括払いした養育費が課税されるかどうかは、税金を管轄している税務署の判断次第です。ただ一括で支払った養育費の金額が、養育費として多額すぎる場合以外は、あまり心配する必要はないでしょう。

口約束はトラブルのもと

養育費の金額や時期の取り決め、増額・減額の約束を口約束だけで済ませるとトラブルの原因です。後になってから約束通り支払ってもらえなかったり、言った言わないの争いの元になってしまうので、養育費について決めた内容は必ず書面化して、なるべくなら債権名義のある公正証書で作成しましょう。

離婚時に「離婚協議書」を作成したからといって、取り決めた内容が必ず守られるとは限りません。というのも公正証書で作成していない離婚協議書は、法的拘束力を持たないからです。養育費の未払いが発生したらすぐに強制執行で回収できるよう、離婚協議書も公正証書で作成するのがベストです。

養育費の請求には時効がある

養育費の請求には時効があり、時効を過ぎた分の養育費は後になって請求できないので注意が必要です。養育費は一般的に毎月一定額を支払うもので、このような債権のことを法律用語では「定期給付債権」といいます。定期給付債権の時効は5年と決まっているため、5年を過ぎると時効となって請求権が消滅します。

ただし調停や審判、裁判で養育費を取り決めた場合、取り決め以前の未払い分の養育費の時効は10年となります。また養育費の支払いを求めた内容証明郵便などを相手に送ると、時効が中断して時効をストップできます。養育費の支払いが止まってから時間が経っている場合は、時効がいつ到来するか確認して、時効が中断するような措置を講じることが有効です。

まとめ

養育費の月額平均は母子家庭で4万~6万円が相場です。養育費の算定には子どもの人数や年齢、双方の年収や支払う側の働き方が関係してきます。自分のケースの慰謝料相場について詳しく知りたい場合は、裁判所や日弁連が公表している養育費算定表を参考にしましょう。

離婚後に養育費を減額・増額するには、様々な条件をクリアしなければなりません。また金額を変更するには調停を申し立てたり審判を経て手続きする必要も。養育費が途中で支払われなくなった場合は、「債権名義」を取っているかどうかで対応が変わってきます。

養育費を支払う側が給与所得者か自営業者かで年収の算出方法が異なります。また養育費の請求には時効があり決めた内容は公正証書にするなどの注意点も忘れずに。養育費について不明な点やトラブルが発生した場合は、離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

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