養育費の新算定表が高すぎる…改定の理由と従来との変更点、支払えないときの減額方法とは?

養育費の新算定表が高すぎる…改定の理由と従来との変更点、支払えないときの減額方法とは?
養育費の新算定表が高すぎる…改定の理由と従来との変更点、支払えないときの減額方法とは?
  • 「養育費の新算定表はどうして高くなった?」
  • 「養育費が支払えないときの減額方法が知りたい」

離婚時に子どもの養育費を、裁判所の算定表を基にして計算することはよく知られていますが、その算定表が近年改定されて、以前よりも金額が高くなったことをご存知でしょうか?これから離婚交渉をする方は、その新しい算定表を基準に養育費の金額を決めていくことになります。

そこでそのような方のために、養育費の算定表が改定された理由や主な変更箇所を詳しく解説。養育費が支払えないときの減額方法や、養育費の改定に関する注意点についても紹介していきます。スムーズに離婚するには事前の備えが大切。養育費の相場を知って、離婚後の生活に備えましょう。


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養育費の新算定表とは?基準と推移

それでは算定表とはどのようなもので、その算定表が新しくなったのにはどのような理由があったのでしょうか。まずは算定表の基準や変更になった理由、変更手などを詳しく解説していきます。

算定表とは養育費の金額を決める基準

算定表とは、親権を持たない方の親が未成年の子どもの養育や教育のために支払う養育費の金額を、調停や離婚裁判の場で決めるときに目安となるもの。家庭裁判所では「養育費・婚姻費用算定表」としてHP上に公開、誰でもチェックできるようになっています。

元々は数名の裁判官が研究を重ねて策定したもので、2003年に法律雑誌で発表されました。個別の事案に応じて養育費の金額を決めるべきという批判もあるものの、次第に全国の家庭裁判所で用いられるようになったという経緯があります。

養育費算定表は、養育費を支払う側(義務者)と養育費を受け取る側(権利者)の年収や子どもの人数、年齢を基準として金額が決まります。義務者の年収が高い場合や子どもの人数が多い、子どもの年齢が高いほど養育費の金額は高くなります。

離婚時の養育費の相場が知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚時の養育費の相場が知りたい!ケース別の相場や増額方法、請求方法とは?」

時代の流れに合わない算定基準

2003年の基準に基づいて決められた算定表は、物価の上昇や景気の悪化などにより、今の時代に合わない内容となっていきました。この算定表の金額自体、子どもを養育したり生活を維持するには足りないというケースが多く、義務者の生活水準に比べて、権利者の水準が著しく低くなるという指摘もあります。

母子家庭や子どもの貧困が社会問題になりつつあるという社会情勢を踏まえ、次第に算定表を改定すべきという声が高まっていました。

2016年・日弁連が新提言を発表

そのような状況の中、日本弁護士連合会(日弁連)は2016年、新しい算定基準を提示して家庭裁判所に対して算定表の改定を求めました。これまでの算定表による養育費の金額よりも、およそ1.5倍の水準に引き上げた内容となっています。

元の養育費算定表は2003年時点の水準となっているということと、日弁連の提言を受け、最高裁判所の司法研修所では、現状よりも増額の方向で養育費の新基準を策定する方針を決定しました。

参照:養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言|日本弁護士連合会

2019年に「養育費算定基準」が改定

そして日弁連の働きかけなどにより、2019年12月に新しい基準となった養育費算定表が公表されるに至りました。2003年に作成されてから、実に約16年ぶりの見直しです。新しい算定表に基づく養育費の計算方法は、司法研修所編「養育費・婚姻費用の算定に関する実証的研究」に記載されています。

基本的な算定方法に変更はなく、算定表の見方も変わっていません。ただ細かい計算方法が変更されており、場合によっては月額1~2万円増額となるケースも。そういった意味では、これから養育費の金額を決めるという方は、以前よりも多くもらえる可能性があるでしょう。

新算定表の主な変更点

では実際に、新算定表ではどのような点が変更になったのか具体的な内容を見ていきましょう。

基礎収入の内容

養育費を算定するに必要な「基礎収入」の内容が、新算定表になって変わっています基礎収入とは、総収入から次のような項目を控除した養育費ねん出のもととなる金額のこと。

  • 租税公課(税金や保険料)
  • 職業費(仕事をするために必要な経費)
  • 特別経費(住居費や通信費など固定費)

全体的に近年の統計や税金の実情などを踏まえて、基礎収入額が以前の算定表よりも高く設定されるようになりました。

項目 旧算定表(総収入に占める割合) 新算定表(総収入に占める割合)
租税公課(給与所得者) 12~31% 8~35%
職業費 20~19% 15~13%
特別経費 26~16% 20~14%

さらにフリーランスで働く人の増加という現状に鑑み、自営業者の収入についてより細かい算定がなされるようになっています。これにより給与所得者と自営業者の基礎収入率は次のように改定されています。

基礎収入率 旧算定表(総収入に占める割合) 新算定表(総収入に占める割合)
給与所得者 42~34% 54~38%
自営業者 52~47% 61~48%

子の生活費指数

新算定表では、「子の生活費指数」も変わっています。子の生活費指数とは、成人が必要な生活費の指数を100としたときの子どもの生活費の指数のことです。具体的には、次のように指数が変わっています。

子の生活費指数 旧算定表 新算定表
0~14歳 55 62
15歳以上 60 85

新算定表では0~14歳までの生活費指数が上がったのに対して、15歳以上の指数は下がっています。これは国公立高校の学費が以前よりも下がったことが理由です。なお公的な就学支援金を利用していても、子の生活費指数は変わりません。支援金を受けていることを理由に、養育費が減額されるべきでないと考えられているからです。

旧→新算定表に変わった場合の養育費相場

上のような変更点に基づいて、新算定表になった場合の婚姻費用と養育費の相場について見ていきましょう。

夫(会社員・年収700万円)、妻(会社員・年収300万円、子ども(12歳以下が2人)の場合

新旧算定表の別 婚姻費用相場 養育費相場
旧算定表 10~12万円 6~8万円
新算定表 12~14万円 8~10万円

(会社員・年収1000万円)、妻(専業主婦・年収0円)、子ども(15歳以上が2人)の場合

新旧算定表の別 婚姻費用相場 養育費相場
旧算定表 20~22万円 16~18万円
新算定表 22~24万円 18~20万円

上のケース2例とも、婚姻費用と養育費それぞれで2万円前後の増額となっています。ただし年収や子どもの人数によっては、新算定表になっても増額とならない場合が。自分のケースでは変更になるかどうか、チェックすることをおすすめします。

参考:平成30年度司法研究(養育費、婚姻費用の算定に関する研究)の報告について|裁判所

養育費の一括払いを考えている方は、こちらの記事を参考にして計算方法や注意点について知りましょう。

「養育費の一括支払い・請求について|メリット・デメリットや計算方法、注意点を解説」

養育費の支払いが苦しいときは…減額を検討

算定表が改定された以外にも、養育費の支払いが苦しくなった事情や理由は様々あります。次のようなケースに当てはまる場合は、減額を検討してみてはいかがでしょうか?減額する手順と併せて解説していきます。

減額できるケース

次のような場合、養育費の減額が認められる可能性が高いでしょう。

支払う側の収入の減少

養育費を支払う側の収入が著しく減少したり、リストラ等で収入がなくなった場合には、養育費の減額が認められるでしょう。ケガや病気による失業や、自営業者の場合は経営悪化による収入減少も含まれます。いずれのケースも本人に落ち度のない「やむを得ない事情」があるときが条件です。

ただし養育費の減額をもくろんであえて仕事を辞めてしまったり、浪費で故意に財産を減少させた場合は、減額が認められない可能性が高いので気を付けましょう。

受け取る側の収入の増加

養育費を受け取る側の世帯収入が増加したときも、慰謝料の減額が認められるでしょう。たとえば養育費を受け取る側が、離婚後に事業を立ち上げたり給料の良い会社に就職したりして、離婚時に考えられないほど経済状況が改善したようなケースです。

受け取る側の世帯収入が増えたということは、子どもの養育のための費用もかけられるということになるため。ただし離婚時にすでに再就職が決まっているなど、受け取る側の収入増が予測できるような場合は、減額請求が認められない可能性があります。

扶養家族の増加

養育費を支払う側が再婚し、専業主婦の妻や子どもができるなどで扶養家族が増えると、養育費の減額が認められる可能性が高いでしょう。単純に扶養すべき親族が増えたため、離婚時と収入が変わらないのであれば、子ども1人あたりの養育費金額は減額できます。

ただし前妻の子どもと今の妻の子ども、どちらの子どもの扶養義務も同等です。今の妻の子どもの方が大切だからと、前妻の子どもの養育費を理由もなく減額したり支払わなかったりすることは許されていません。

受け取る側の再婚

養育費を受け取る側が再婚し、再婚相手と子どもが養子縁組した場合は、養育費の減額が認められる可能性が高いでしょう。子どもの扶養義務者がその再婚相手ということになるためです。実の親であるあなたの扶養義務がなくなる訳ではありませんが、減額は可能です。

ただ例外的に再婚相手の収入が高かったり、資産が多い場合には、先方の方から「再婚後はもう養育費を支払わなくていい」ということで、支払を免除できるケースもあるでしょう。

再婚で養育費を支払わないようにできるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「再婚で養育費を払わないようにできる?減免ができるケースや請求方法、注意点を解説」

減額する手順

実際に養育費を減額して欲しいとき、どのような手順で交渉や手続きを進めればいいのでしょうか。

相手と直接交渉

養育費を減額したいと思ったら、まずは直接相手に交渉してみましょう。養育費の金額は双方が合意すれば、自由に決めることができます。やむを得ない事情で今まで通りの養育費を支払えなくなったら、まずは相手にその事情を伝え、減額が可能か話し合いましょう。減額が合意できたら、何らかの書面に残し双方で保管してください。

自分勝手な理由からの減額交渉は、相手に受け入れられないでしょうが、きちんと説明できる背景がある場合は真摯に説明すれば納得してもらえる余地はあります。

減額請求調停を申し立てる

直接の話し合いでまとまらないときや、話し合いそのものを拒否されたときには、家庭裁判所に養育費の減額請求調停を申し立てることになります。離婚時の調停と同様、調停委員が間に入り双方の主張を聞き、妥当な金額での解決を図ります。調停にかかる期間はおよそ半年から1年前後です。

養育費減額審判に移行する

調停でも減額に合意してもらえない(調停不成立)ときには、養育費減額審判の手続きに移行します。調停が不成立になると自動的に審判に移行するため、特に申し立て手続きは必要ありません。審判の場では当事者それぞれの主張をもとに、裁判官が減額を認めるかの判断を下します。

調停や審判となった場合、それぞれの場で新たに金額を取り決めるまでは減額できません。調停・審判に入る前あるいは最中にもかかわらず、勝手に減額することはできないので気を付けましょう。

養育費の支払いに関する注意点

養育費の支払いや減額に関して、次のようなポイントに注意が必要です。

支払えなくても義務は消滅しない

やむを得ない事情で養育費が支払えなくなっても、子どもの扶養義務は消えてなくなる訳ではありません。養育費が支払えるようになったら、また毎月の支払いを再開すべきでしょう。

そもそも離婚しても親権を持っていなくても、実の親子には互いに扶養する義務があります。扶養義務とは、自分の生活と同程度の生活を、子どもにも保証するという義務のこと。未成年の子どもは一人で生活を成り立たせることができないため、双方の親が扶養しなければなりません。

突然支払いをやめると強制執行される可能性

養育費を調停調書や公正証書などで取り決めをしているのに、一方的に支払いをストップしてしまうと、強制執行により給与などが差し押さえられる可能性があります。とくに「債権名義」といわれる次のような書類がある場合には、訴訟を起こさなくても強制執行が可能です。

  • 執行認諾文言付き公正証書
  • 民事(家事)調停調書
  • 民事(家事)審判書
  • 離婚裁判の判決が確定した和解調書または判決書
  • 仮執行宣言付支払督促

強制執行で給与が差し押さえられると、勤務先に養育費を支払っていないことがバレてしまうでしょう。いくら毎月の支払が苦しくても、突然養育費の支払いをやめてしまうのは悪手です。決して安易に行動せず、誠実に対応する必要があります。

成人年齢引き下げによる影響はない

民法の改正により、2020年4月から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。ただこのことによる養育費への影響はないと考えていいでしょう。

養育費の取決め時に「子どもが成人を迎えるまで」という約束をした人の中には、「成人年齢が18歳になったのだから、2年短縮できるのでは?」と考える方がいるかもしれません。しかし上で紹介した裁判官による養育費算定の研究チームの見解によると、成人年齢が引き下げられても養育費支払いのゴールは変わらないとしています。

今まで通り20歳まで、あるいは子どもが自立したと個別に判断される時期まで養育費の支払いは続くことになるでしょう。

算定表の改定は金額の変動理由に当たらない

養育費を受け取る側にとって、金額は多いに越したことはありません。養育費算定表の改定を理由に、養育費の額を上げてほしいと思う人もいるでしょう。しかし裁判所が公表した新算定表の解説には、「新算定表の公表が養育費の金額を変更する理由には当たらない」と明記されています。

従って、新算定表の公表だけが理由で養育費の増額調停を申し立てても、主張が認められない可能性が高いでしょう。増額調停を申し立てる場合は、年収の減少や教育費の増加、家族構成の変化など双方の事情の変更を総合的に見て検討する必要があります。

参照:研究報告の概要|裁判所

養育費減額の交渉は専門家に依頼

一度決まった養育費の減額をお願いするのは、当事者だけでは難しいのが現状です。話し合いがこじれて取り付く島もないという状況になりかねません。そのため、なるべく早いタイミングで弁護士に相談し、交渉を依頼することをおすすめします。

また元配偶者が再婚しているかもという場合には、弁護士に依頼すれば、弁護の権限で戸籍を取得して子どもが再婚相手と養子縁組を結んでいるかが分かります。養育費を減額したいという方は、まずは弁護士事務所の無料相談を利用して、早めの対処を取るようにしましょう。

養育費に関する弁護士費用や払えないときの対処法が知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「養育費に関する弁護士費用が知りたい!ケースごとの相場・払えないときの対処法とは?」

まとめ

2019年12月に養育費の算定表が改定され、場合によっては月額1万~2万円増額となりました。支払う側からすると養育費は高すぎると思っていても、算定表はその時々の景気や経済状況を反映し、多くのケースでは正当な金額になっています。養育費の支払いは親としての最低限の義務です。算定表の金額は、必ず支払うようにしましょう。

もしやむを得ない事情による収入減や扶養家族の増加などで、養育費を減額して欲しいときは、直接相手との交渉や調停という方法があります。ただ減額の話し合いがまとまるまでは、勝手に養育費を減額できません。相手と交渉するのが難しいという人は、なるべく早めに弁護士に相談してみては?

弁護士なら主張の正当性や減額割合が適切に判断できます。また相手との交渉を任せられるので、精神的にも楽になります。依頼するときは、離婚問題や養育費問題に詳しい弁護士がおすすめ。無料相談でしっかりと相性を見極め、力になってくれそうな弁護士を探すようにしましょう。

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