離婚裁判の期間を手続きの流れごとに解説!長引くケース・期間を短縮する秘訣とは?

離婚裁判の期間を手続きの流れごとに解説!長引くケース・期間を短縮する秘訣とは?
離婚裁判の期間を手続きの流れごとに解説!長引くケース・期間を短縮する秘訣とは?
  • 「離婚裁判にかかる期間を知りたい」
  • 「離婚裁判の期間を短くする方法は?」

離婚調停でも離婚やその条件の合意に至らない場合は離婚裁判に移行します。その離婚裁判の流れや手続きごとにかかる期間はご存知ですか?こちらの記事では過去データからみる離婚裁判にかかる期間や回数、最近の傾向などを解説。これから離婚をしたいと検討している方は参考にしましょう。

さらに離婚裁判が長引いてしまう原因や期間を短くする方法を知って、自分の裁判に役立ててください。離婚裁判は長期戦です。なるべくスピーディーに進められるよう、下準備を怠らず専門家のアドバイスを聞きながら挑みましょう。

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【データで見る】離婚裁判にかかる期間

裁判所では毎年「司法統計」を出しているので、そこから裁判離婚にかかる期間や回数を見ることができます。今回は令和2年のデータをもとに、離婚裁判にかかる期間を解説していきます。

離婚裁判の平均期間

裁判所の司法統計によると、審理期間別の件数とその割合は以下の通りです。

審理期間 件数(総数:1,865件) 割合
1カ月以内 14 0.75
3カ月以内 119 6.34
6カ月以内 388 20.8
1年以内 872 46.76
2年以内 429 23.0
2年以上 43 2.35

こちらの表から分かる通り、審理期間1年以内の割合が全体の約75%を占めています。また2年以内を含めると約98%が審理を終えていることから、離婚裁判の期間としては10カ月~1年が平均です。ただし裁判の訴訟を起こしたもののお互いが争わずにすぐ終わるケースもあるため、実質的に争いになった場合では、1年~2年ほどかかると見た方がいいでしょう。

参考:婚姻関係事件数 終局区分別審理期間及び実施期日回数別|裁判所

実施期日回数の平均

実施期日の回数も裁判所の司法統計から分かります。こちらは実施期日の回数ごとの件数とその割合です。この表を見ると離婚裁判の審理実施期日は6回~10回が30.3%と最も多く次いで4回の17.4%、5回の17.4%と続きます。こちらから審理回数は多くても10回前後ということが分かります。

実施期日の回数 件数(総数:1,865件) 割合
0回 13 0.7
1回 69 3.7
2回 149 8.0
3回 262 14.0
4回 324 17.4
5回 274 14.7
6~10回 656 30.3
11~15回 99 5.3
16~20回 17 5.8
21回以上 2 0.1

離婚裁判の最長・最短期間

離婚裁判では、訴訟の提起をしたものの訴えの取り下げがあった場合や請求の棄却、欠席裁判による終局などにより1カ月程度で終わることがたまにあります。このようなことがあるとその時点で審理が終わるため、審理期間は極端に短くなるということです。また当事者同士が早期に和解した場合は3カ月程度で終わることも。離婚裁判は平均して2年弱かかることを考えれば、かなり短く感じられます。

逆に離婚裁判が長くかかるケースでは2年を超えることもあります。下で詳しく説明しますが、争点が多かったり双方の主張が平行線のままだと離婚裁判が延びる傾向に。敗訴した側が上訴するとさらに期間は伸び、最高裁まで争うことになると3年はかかることになるでしょう。

審理期間は年々長期化している

離婚裁判は一般的に解決まで1年~2年はかかります。年々その審理期間の平均は長期化しているため、これから離婚裁判を起こそうと考えている方はそれなりの覚悟が必要になります。こちらは平成23年度から令和2年度までの平均審理期間(月)の一覧です。

これによると平成23年度の平均審理期間が15.5カ月だったものが平成27年度には16.6カ月になり、令和2年度には19.1カ月にまで上昇しています。令和2年度の数字が新型コロナウイルスにより開廷できなかった期間があったことによるものとしても、年々審理期間が長くなっているのは確実です。

年度 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 令和元年 令和2年
平均審理期間(月) 15.5 15.9 15.9 16.3 16.6 17.3 17.5 17.8 18.8 19.1

参考:人事訴訟事件の概況-令和2年1月~12月-|裁判所

あえて長期間の裁判が必要なケースも

離婚を成立させるため、あえて長期間の裁判が必要なケースもあります。離婚原因を作った方は「有責配偶者」となり、離婚を申し立てても認められることはありません。しかし別居期間が10年を超えるような場合は離婚が認められるケースがあり、有責配偶者が離婚を希望している場合に、あえて裁判を長期化させることで、離婚が認められる別居期間にまで持っていくという理由からです。

片方が離婚を希望していなくても離婚協議から離婚調停を経て、離婚裁判まですると数年~10年前後かかることも。離婚裁判終了時には離婚が認められる十分な別居期間となっていることを見越して、計画的に離婚するための戦略といえます。

手続きの流れとかかる期間

こちらでは離婚裁判の流れごとに、かかる期間や手続きの内容を紹介していきます。「離婚裁判ってどんなことをするの?」という疑問をお持ちの方は必見です。

訴状を提出(離婚裁判の申し立て)

離婚裁判は裁判所に訴状を提出することから始まります。夫または妻の住所地がある家庭裁判所に、訴状を提出することで離婚裁判(訴訟)を申し立て(提起)します。訴状には裁判を起こす人が訴えたいことを記しています。訴状のひな形は裁判所のホームページからダウンロードすることも可能です。

「同じ裁判所で離婚調停をしているから手続きを簡略化できないの?」と思われる方がいるかもしれませんが、離婚調停と離婚裁判は全く別の手続きとなるため手続きは簡略化できず、その内容も引き継がれません。離婚調停は双方の言い分をすり合わせていく手続きで、必ずしも法律に適う必要はありませんが、離婚裁判では法律に従って主張や立証をしなければなりません。

第1回口頭弁論の期日決定

裁判所に訴状を提出すると約3日~10日くらいで、原告(訴えた側)の都合を裁判所が確認して、第1回の口頭弁論の期日を決定します。第1回口頭弁論の期日は、訴状提出の約1か月~1カ月半後を目安と考えておくといいでしょう。

訴状・期日呼出状の送達

被告(訴えられた側)に対して、裁判所から期日の日時を知らせる通知「期日呼出状」と訴状が送達されます。第1回口頭弁論の期日に関しては、被告の都合を聞かれることは基本的にありません。

答弁書の提出

被告は訴状に同封された答弁書を、第1回期日の前までに裁判所に提出する必要があります。答弁書とは訴状の内容を認めるかや認めない場合の反論を記載できる書面のことです。被告が答弁書を裁判所に提出しないと、原告の訴えを全て認めたことになり敗訴が確定します。答弁書が届いたらからなず内容を確認し、期日前までに提出するようにします。

答弁書は原告にも提出するように求められますが、原告に直接送付せず、裁判所にだけ提出しても構いません。答弁書は期日当日にも提出可能ですが、なるべくなら期日の1週間前までに提出することをおすすめします。

第1回口頭弁論

訴えを提起して約1カ月~1カ月半後に指定されるのが、第1回口頭弁論です。家庭裁判所で書面を中心として審理が進められます。お互いが提出した訴状や答弁書、証拠書類などの内容をざっと確認して、次の期日の日程を決定してすぐに終わります。次回期日は通常1カ月間隔で設定されます。

次回期日の内容を確認する場合もありますが、時間にすると10分もかからないで終わることがあるので、裁判だと意気込んできた当事者は拍子抜けするでしょう。

2回目以降の口頭弁論

2回目以降の口頭弁論は、前回の期日から1カ月もしくは2カ月後に設定されるでしょう。全体では短くて半年、通常は1年から1年半続くでしょう。2回目以降の期日は、第1回の様に法廷で開かれることはなく、準備手続室というところで実施されます。準備手続室では相手方の主張への反論や自分の主張の追加、新しい証拠などを準備書面を提出する形式で進められます。

準備書面は期日の1週間前までに裁判所と相手方に提出します。書面でのやり取りが主となるため、2回目以降の期日でも5分~10分前後で終わることがほとんどです。なお2回目以降の口頭弁論にまで進むと、被告が欠席しても裁判を終結させることはできません。通常の民事訴訟と違う点があることを覚えておきましょう。

和解勧告

口頭弁論を繰りして大方意見が出尽くしたところで、裁判官から和解を勧告されることがあります。ここで話し合いがまとまり和解が成立すれば、その時点で「和解離婚」となります。その後和解調書が裁判所によって作成され、和解調書を持参して10日以内に役所に離婚届を提出すれば離婚が成立します。

日本では裁判に進んでも和解で離婚する割合が、離婚訴訟全体の半数近くと非常に多いです。とはいえ裁判官から提示された和解内容に納得できない場合は無理に応じる必要はないので安心してください。

争点整理・証拠の調査

裁判の中ではどのような事柄について争うのか争点を整理します。また同時に提出された証拠を確認して、その証拠をもとに原告と被告のどちらの主張が正しいか検証されます。証拠を整理した結果、証人尋問や本人尋問へと進んでいくことに。

証人尋問・本人尋問

証拠の整理が終わると、当事者の本人尋問が行われます。不貞行為が原因の離婚の場合は、不倫や浮気の相手が証人として尋問される可能性も。原告・被告それぞれが自分の弁護士と相手側の弁護士、裁判官からの質問に答える形で尋問が進められます。尋問はそれぞれが提出した「陳述書」が事実かどうか答える形で進んでいきます。

陳述書とは、争点に関する互いの言い分やこれまでの結婚生活について、離婚に至る経緯などが自分なりの視点で説明した文書のこと。尋問と反対尋問で40分程かかるターンを原告→被告の順に行い、全体では1人当たり2時間程度かかります。

判決

本人尋問が終わって最後にお互いの主張をまとめた書面を裁判所に提出すると、離婚裁判は結審します。本人尋問から1カ月~2カ月ほどで判決が言い渡されるでしょう。判決には離婚をする・しないの他に、慰謝料や財産分与、親権や養育費といった内容についてサイン場所の判断が記されています。

判決は「判決正本」として文書でそれぞれに送達されます。判決が下る当日は裁判所に出向く必要はなく、後日判決文を裁判所に撮りに行くことも可能です。

離婚裁判にまつわる期間を解説

離婚裁判の流れごとにかかる期間が分かったところで、裁判以外の手続きにかかる期間を紹介していきます。

調停から裁判までトータルでかかる期間

離婚裁判をする前には、必ず離婚協議と離婚調停を経なければなりません。というのも「調停前置主義」という原則があるためで、離婚の訴えの他にも人事や家庭に関する事件が対象です。離婚調停の申し立てから不成立で終わるまでの期間と、裁判を提起して判決が出されるまでの期間をトータルで見ると早くて1年半、中には通算で3年かかるということもよくあります。

離婚調停単独で見るとかかる期間の平均は半年から1年前後ですが、離婚原因となる証拠がなかったり、離婚条件が複数あったりすると延びる傾向に。離婚調停は長いと2年かかるケースもあるため、離婚裁判を含めると4~5年となる可能性も。

離婚調停の期間と短縮するコツについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚調停の期間を短く有利にするには?長引く原因や疑問を解決して新たな一歩を」

調停不成立から裁判提起までの期間

調停が不成立に終わった場合、どうしても離婚したい方や離婚の条件の決着をつけたい方は離婚裁判に移行することになります。調停不成立は通知が送付されて知ることになりますが、その通知を受けてから何日以内に裁判を提起しなければならないという決まりはありません。

基本的には各裁判所の判断に任されていて、調停終了から1年以内ならほとんどの裁判所で訴訟の提起を受け付けてもらえます。ただし1年半を超えると受け付けてもらえない裁判所も出始め、2年を超えるとほとんどの裁判所でもう一度離婚調停をするように求められます。

ただ調停不成立の通知を受け取ってから2週間以内に訴訟を提起すると、訴訟に必要な費用から調停に使用した印紙代を控除できます。裁判をすることを決めていて、少しでもその費用を節約したい場合は、2週間以内に提起することをおすすめします。

判決が出てから控訴できるまでの期間

離婚裁判で判決が出たものの内容に不服がある場合は、判決が送達されてから2週間以内に控訴する必要があります。正確には、判決正本が裁判所から送達された翌日から14日以内です。実際に手元に届いてからではないので注意しましょう。もしこの期間内に控訴しなかった場合は判決が確定します。離婚を認める内容の判決なら、ここで離婚が成立することに。

内容に不服があって控訴する場合は、申立先は判決を下した家庭裁判所(第一審)になります。上級の裁判所に控訴するということではないので、こちらも注意したいポイントです。

判決確定後に離婚届を提出する期間

判決確定後は、判決確定日から10日以内に離婚届を役所に提出しなければなりません。そのとき「判決確定証明書」と「判決書謄本」を添付します。提出先は夫婦の本籍か住民票がある役所です。場合によっては他の書類も必要になることがあるため、事前に役所に確認しておくといいでしょう。

ちなみに離婚届を記入する場合は、署名捺印は夫と妻の分だけでよく、証人欄への署名捺印の必要はありません。

離婚裁判後すぐに再婚できる?

離婚裁判後に再婚したいと考えている方は、すぐに再婚できるか気になる人もいいでしょう。今の民法では男性は翌日にでも再婚できます。しかし女性の場合は離婚から100日を経過しないと再婚できません。その理由として民法では嫡出推定を次のように定めているからです。

離婚から300日以内に生まれた子どもの父親
離婚した前夫
再婚から200日以後に生まれた子どもの父親
再婚した今の夫

離婚からすぐに再婚できるとすると嫡出推定の期間が重なってしまうため、生まれた子どもの父親か誰か分からなくなってしまいます。このようなトラブルを未然に防ぐため、女性には離婚後の再婚禁止期間が100日と定められています。

離婚前と離婚後の手続きについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚前・離婚後の手続きの流れを解説!離婚の条件や種類別の期間、注意点とは」

離婚裁判に関する基礎知識

離婚裁判で気になるのは手続きにかかる期間だけではありません。こちらでは裁判を提起するのに必要な書類や、手続きに関する費用の相場について見ていきます。

離婚裁判に必要な書類

離婚するかどうかを判断してもらう離婚裁判を申し立てるときに必要な書類は、次の通りです。

  • 離婚調停不成立調書(調停と異なる裁判所で提訴する場合)
  • 訴状(正副本各1通)
  • 夫婦の戸籍謄本及びその写し

離婚する・しないだけでなく離婚条件についても争う場合は、次のような書類が必要になります。

主な争点 必要書類
慰謝料請求
  • 不法行為の証拠写真・動画・音声など
  • ケガの診断書
  • 精神科への通院履歴
  • うつ病などの診断書
年金分割
  • 年金分割のための情報通知書(2部)
財産分与
  • 財産目録
  • 預貯金通帳の写し・残高証明書
  • 不動産登記事項証明書・固定資産評価証明書
慰謝料請求
  • 夫婦の収入が分かる書類(源泉徴収票や確定申告書など)

上のような書類の他にも、担当の弁護士や裁判官から提出を求められる場合があります。提出を求められたらなるべく速やかに提出するようにしましょう。

離婚裁判にかかる費用

離婚裁判では費用がどのくらいかかるのか知りたい方が多いのではないでしょうか。こちらでは裁判所費用と弁護士費用とに分けて費用相場を解説します。

裁判所費用

裁判所費用とは申し立てのときや証人を裁判に呼んだ場合にかかる費用のこと。裁判所に納める手数料は収入印紙を準備して支払うことになり、裁判所からの通知に必要な郵便料金は予納郵便切手という形で支払います。こちらは訴訟内容ごとにかかる収入印紙代と郵便切手代です。

訴訟内容 手数料の金額
離婚のみを求める場合(親権者の指定を求める場合も含む) 印紙代:13,000円
郵便切手代:5,000円~6,000円
養育費・財産分与・年金分割を求める場合
(養育費は子ども一人につき)
印紙代:各1,200円
慰謝料の請求をする場合 印紙代:請求する慰謝料の金額で決定
(300万円の慰謝料…2万円分・500万円の慰謝料…3万円分)

郵便切手代は訴訟を起こす裁判所によって必要な種類や額面が変わってきます。また当事者尋問が行われた場合は尋問調書をもとに反論や主張を行うため、尋問調書を謄写(コピー)しなければなりません。裁判所では1枚20円~40円のコピー代がかかり、コピー費用が2万円を超える場合も。コピー代は原告・被告それぞれの負担となります。

また訴訟で証人を呼んで尋問する場合は、証人に日当と旅費が支払われるケースも。日当は8,000円前後が上限で、旅費は交通費や宿泊費を実費で支払います。ただ実際は証人が旅費日当の受け取りを拒否する場合がほとんどです。

弁護士費用

離婚裁判を提起する場合は、弁護士に依頼するのは必須になります。調停は当事者間の話し合いの場なので、弁護士がいなくても手続きできますが、訴訟は法律をもとに主張を整理したり立証する必要があるためです。また離婚裁判の手続きは複雑で、専門家の助けなしではとても乗り切れません。

離婚裁判を弁護士に依頼するときには、依頼時に支払う着手金と、結果に応じて算出される報酬金(成功報酬)を支払う必要があります。また遠方の裁判所に行くのに必要な日当や交通費や宿泊費といった諸経費を請求される場合も。どのような費用がかかるのか、相談時に確認するといいでしょう。こちらは項目ごとの費用相場です。

弁護士費用 費用相場
初回相談料 無料~10,000円
着手金 20万~50万円
成功報酬 離婚裁判勝訴…10万~20万円
親権の獲得…10万~20万円
養育費の獲得…獲得した金額の10%~20%
慰謝料獲得…獲得した金額の10%~20%
財産分与獲得…獲得した金額の10%~20%
日当 3万~5万円(1日当たり)
諸経費 かかった分だけ

着手金など一括で支払うのが厳しい場合は、分割払いに対応している弁護士事務所に依頼することをおすすめします。弁護士に依頼するには、電話でアポイントを取った後に事務所で初回の相談をしたうえで正式に依頼する流れとなります。多くの弁護士事務所では無料相談を実施しているので、まずは直接会ってみて弁護士の対応や相性を確認しましょう。

離婚調停にかかる費用については、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚調停にかかる費用とは?裁判所・弁護士費用の詳細や一括で払えないときの対処法も」

離婚裁判が長引くケース

離婚裁判は平均すると1年~2年かかる長い道のりです。その上に次のような事情があると、さらに長引く可能性があります。

争点が多い

離婚裁判の争点が離婚する・しないだけと比べると、お金についてや子どもについての争点が多い方が、裁判期間が長くなります。お金に関する争点には財産分与や慰謝料、年金分割や婚姻費用などがあり、子どもに関する親権や養育費、面会交流についても争っていると、さらに時間がかかることに。

一つ一つの争点ごとにお互いの主張を整理して、相手の主張に対して反論したり立証を進める必要があるため、結果として裁判が長期化します。他にも離婚原因で争っているケースでも離婚裁判は長くなるでしょう。

事実を認定する証拠が少ない

離婚の原因など、事実を認定する証拠が少ないと裁判が長引きます。離婚裁判では「法定離婚事由」がないと離婚が認められません。不貞行為や悪意の遺棄、その他婚姻を継続し難い重大な事由がないと離婚が認められない訳ですが、それぞれの離婚事由があったと証明できる証拠が少ないと、相手に反論する余地を与えたり、のらりくらりと逃げられる原因に。

また事実を認定する証拠がないと、裁判官が「これなら離婚になっても仕方ないだろう」「これが事実なら〇〇万円の慰謝料の支払いをすべきだ」などと判断できません。逆に反論の余地もないような明確な証拠があれば、離婚裁判は長引かずに終わる可能性が高いです。

双方の対立が激しい

双方の対立が激しいと離婚裁判は長引きます。離婚裁判は離婚調停と異なり、双方の話し合いで決めるような手続きではありませんが、事実の認定や和解について一歩も引かない姿勢でいると、どうしても時間がかかる原因に。裁判期間を短くしたいと考えるなら、妥協することも考慮しましょう。

財産分与のための調査が入る

財産分与のための調査が行われると、離婚裁判にかかる期間が延びてしまいます。財産分与が争点になる離婚裁判では、相手が隠し財産を持っていないか疑いがある場合に財産調査が必要となり、そのための手続きに時間を要します。特に多額の財産を持っているようなケースで、より長期化する傾向があるようです。

子どもの親権が争点

離婚裁判で子どもの親権争いが起こっていると、離婚裁判の期間が長くなります。というのも親権を争う離婚裁判では、子どもの親権者としてどちらの親がふさわしいか判断するために、家庭裁判所の調査官による調査が行われるからです。調査官は次のような方法で親権者を決めるための調査を行います。

  • 子ども本人から話を聞く
  • 親から個別に話を聞く
  • 家庭訪問して子供の様子をチェックする
  • 学校や幼稚園の先生から話を聞く

上記のような調査の結果は調査報告書としてまとめられ、裁判官に提出します。この調査には数カ月かかることもあり、その間は親権についての話し合いがストップします。結果的に裁判が長期化するという訳です。

和解協議が決裂した

和解協議が決裂してしまうと、結果的に離婚裁判が長期化します。上で説明した通り、裁判中に双方の主張が出尽くしたタイミングで一度和解を勧められます。ここで和解に応じればすぐに裁判は終わり離婚が成立しますが、和解協議が決裂した場合は再び尋問期日が設けられることになり、それだけでも数カ月の期間がかかります。

また和解期日を何度も設けたものの結局和解できないということになると、その度に通常の裁判手続きに戻って尋問をする必要があり、和解の話し合いをしていた時間だけ裁判期間がのびるでしょう。

離婚裁判の期間を短縮するポイント

こちらでは離婚裁判の期間を少しでも短縮するためのポイントを紹介していきます。

主張は初期段階にすべて出す

自分が主張したいポイントは、裁判の初期段階にすべて出すと期間を短縮できます。通常裁判では、第1回口頭弁論の期日までにすべての主張を出す必要はありません。ただ後になってから新たな主張を追加で出すと、その主張に関する争点ができてしまうことに。以降の期日では新たに出てきた争点に対して双方が主張や立証を行うため、どうしても時間がかかってしまいます。

そこで裁判期間を長引かせたくないという方は、できるだけ初期段階からすべての主張を出すようにするといいでしょう。もちろん戦略的に主張を後から出す場合もあります。まずは担当の弁護士と相談して、主張の出し方についてアドバイスをもらいましょう。

証拠も早期に提出

離婚原因となった不法行為の証拠についても、なるべく早めに出す方が裁判期間を短縮できます。離婚の条件等が争点になっている場合、自分の主張の正当性を裏付けるものとして証拠を裁判所に提出しなければなりません。例えば相手の不倫が原因の慰謝料請求が争点になっている場合、相手が不倫の事実を否定しているときには、慰謝料を請求する側が不倫の証拠を示す必要があります。

法的に有効な証拠を示せない場合は、裁判所は慰謝料の請求を棄却します。証拠は裁判がある程度進んだ段階でも提出できるケースが多いのですが、後から追加で提出するとその証拠に対する相手方の反論が予想されるので、判決が出るまで時間がかかってしまうでしょう。

和解を検討する

裁判途中で和解を検討すると、期間を短くすることが可能です。このまま裁判していても終わりが見えない場合や自分に不利な判決が想定されるときなど、和解に応じた方がいいケースが。また裁判をしている間は常にそのことが頭から離れず、生活に支障が出たり精神的に辛い状況になることもあるでしょう。長い目で見て少しでも裁判を早く切り上げた方がいい場合は和解を検討しましょう。

和解の申し入れは裁判中ならいつでも可能です。また審理の途中で何度か和解の提案をされる場面もあります。離婚する・しないという争点に関しては譲歩することが難しいですが、離婚の条件についてある程度譲歩の余地がある場合は譲歩を検討してみても損しないはず。

過去の事例から見て、裁判官から一方的に結論を出される判決に比べて、双方が納得して合意した和解の方がその後の義務をキチンと果たすと言われています。目先の利益だけにとらわれず、大局に立って和解を検討してみてはいかがでしょうか。

ある程度は妥協する

離婚の条件について、ある程度妥協する姿勢を見せると裁判期間を短縮できます。いつまでも自分の主張を曲げず妥協しないままだと、議論が進まず裁判が長引く可能性があるからです。例えば相手の不倫が許せないからと数千万円の慰謝料を請求したとして、相場よりかなり高額になるため、相手の収入が極めて高いなどの事情がない限りその要求は通りません。

金銭的な条件を決める場合の鉄則として、初めに高めの金額を提示するという方法があります。しかしいつまでも「この金額を請求したい」と主張し続けると裁判が長引く原因に。あらかじめどのラインで妥協するかを決めておくと、無駄に裁判に時間がかかるのを防げるでしょう。

離婚問題に詳しい弁護士に依頼

離婚裁判の期間を短縮したいと思ったら、離婚問題に詳しい弁護士に依頼するのがベストです。同じ弁護士といっても、刑事事件や企業法務、債務整理など得意分野は様々です。分野ごとに専門知識や裁判のノウハウが異なり、適用される法律も違うためです。その点離婚問題に詳しい弁護士なら、離婚に関する法律や進め方に関するコツを知っているため、審理がスムーズに進みます。

また離婚問題に精通している弁護士事務所の中には、探偵事務所やカウンセラーと提携しているところもあり、不倫の証拠集めや離婚で傷ついた心を回復させる手助けになることも。裁判の進め方はもちろん、本人尋問でどのように発言したらいいかアドバイスしてくれるため、裁判を有利にしかもスピーディーに進行できます。

離婚問題に詳しい弁護士の選び方は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚時に依頼したい弁護士の選び方|相談前・相談時のポイントと費用に関する注意点を解説」

弁護士から進行についての意見を出してもらう

弁護士から裁判の進め方について裁判所で意見を出してもらうという方法があります。裁判官は裁判のプロですが、中には早く解決することにあまり重点を置いていない人もいます。そこで少しでも早く裁判を終わらせることを希望する場合は、代理人弁護士から裁判の進行について意見を出してもらうことができます。

離婚問題に詳しい弁護士なら離婚裁判に慣れているため、進行が遅いと感じる場合は積極的に意見を出してくれるケースも。あまりにも裁判の進みが遅いような場合は、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

司法統計によると離婚裁判の平均期間は1年から2年ほどで、審理実施期日の回数は6回~10回となっています。場合によっては3年以上かかることもあり、離婚調停を含めると4~5年かかることも。離婚裁判では争点が多い、財産分与や子の親権が争点になっている、和解協議が決裂したなどの原因から長期化しやすいです。

調停が不成立に終わってから訴訟を提起するまでに決まった期限はありませんが、裁判で判決が出てからは10日以内に離婚届を提出しなければなりません。裁判が終わってからの再婚は、男性には期間に決まりがありませんが、女性は子どもの摘出推定の関係で、100日を超えないと再婚ができません。

なるべく離婚裁判を短くするには早い段階で自分の主張や証拠を提出し、和解を検討するのがおすすめ。そして裁判官に意見できる、離婚問題に詳しい弁護士に依頼することも重要です。まずは無料相談を実施している弁護士事務所にアポイントを取り、自分の話を親身になって聞いてくれる弁護士に代理人を依頼しましょう。

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