- 「私カサンドラ症候群かも…この辛い結婚生活から解放されたい」
- 「発達障害の夫と離婚するための方法は?」
「カサンドラ症候群」とは何かご存じですか?最近ではテレビなどでも取り上げられる機会が増えましたが、まだまだ認知度が低いのが現状。発達障害(疑い)の配偶者との関係に悩み疲れてどうにかうまく対応できないかネットなどで調べている間に、カサンドラ症候群という言葉を知ったという人も少なくありません。
そこでこちらの記事では、発達障害との関係をめぐる「カサンドラ症候群とは?」ということから、カサンドラ症候群になりやすい人や発達障害との相手と離婚を考える理由について詳しく解説。さらにカサンドラ症候群の人が離婚するときのポイントについても紹介していきます。
カサンドラ症候群とは?発達障害との関係
まずは「カサンドラ症候群とは何か?」ということから解説していきます。
発達障害(ASD)が身近にいることで起こる心身症状
カサンドラ症候群とは、発達障害の中でもとくに自閉症スペクトラム障害(ASD)の人が身近にいることで生じる心身症状のことをいいます。ASD特有の情緒的交流の乏しさや適切な意思疎通のできなさを起因とする心的ストレスから、心身に様々な症状が起きている状態を表す言葉です。
職場内や家庭内で起こりがちで、とくに夫婦間では別居や離婚するしか離れる方法がないため、深刻になりがち。先に心身症状が出たことから「自分はカサンドラ症候群なのでは?」と気づく人もいます。
正式な疾患名でないため理解を得られにくい
カサンドラ症候群は正式な病名や障害名ではないため、周囲の人に理解を得られにくいという問題があります。心理学者により2003年に「カサンドラ情動障害」と公表され、やがてカサンドラ症候群という名前で知られるようになりましたが、今のところ明確な診断基準は定められていません。
公表されてからまだ20年ほどしか経過していない症例で、認知度がまだ低く、医療用語として確立されていないため、診断名としてではなく「状態」としてとらえることとなります。
「カサンドラ」の語源
カサンドラの語源は、ギリシャ神話からといわれています。ギリシャ神話に登場するトロイの王女・カサンドラは予言者でもありました。太陽神アポロンから、誰にも予言を信じてもらえないという呪いをかけられ、彼女の予言は誰も信じる人がいなくなり、そのことによりカサンドラは苦しむことになります。
「カサンドラ症候群」という名前はギリシャ神話のカサンドラが陥った境遇が、ASDの配偶者を持つ人の境遇に似ていることから名づけられました。世間的には良い夫(妻)と思われている配偶者とのコミュニケーションが取れず、その不満を周囲の人に打ち明けてもなかなか分かってもらえない…。その結果として、益々自分を責めるといった悪循環に陥りやすいのがカサンドラ症候群の特徴です。
発達障害とは
カサンドラ症候群を引き起こす原因となる発達障害は、生まれつきの脳機能の発達に関係する障害です。発達障害者支援法によると、次のように定義されています。
この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
発達障害は大きく分けて、次の3種類があるとされています。
- 自閉症・自閉スペクトラム症(ASD)・広汎性発達障害
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)
- 学習障害(LD)
3種類の発達障害は、「スペクトラム(連続体)」という言葉から分かるように、重い自閉症から軽い自閉症、グレーゾーンから健常発達まであいまいな境界を持ちながらつながっていて、いくつもの発達障害を併発することもあります。
発達障害になる要因は、先天的な遺伝があるのではと考えられています。それが胎児期もしくは出生後に脳や心身が発達していく中で、環境要因と影響しあって脳機能障害として現れると考えられています。
ASDとは
カサンドラ症候群の原因と言われるのが、発達障害の中でも「自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder)」の人との親密な関りです。英語の頭文字を略して「ASD」と表されることが多いです。これまで自閉症や広汎性発達障害、アスペルガー症候群などと様々な名前で呼ばれていましたが、2013年にアメリカ精神医学会の診断基準「DSM-5」の発表以降は「ASD」とまとめて表現されるようになりました。
日本医療研究開発機構によると、ASDは全体の54人に1人の割合で認められる頻度の高い発達障害。脳内でドーパミンD2/3受容体の減少が認められ、社会的コミュニケーションの困難さや変化に対して混乱しやすいという特徴、興味が偏り同じ行動を好むという傾向があります。
最近ではASDを含む発達障害の子どもを対象とした療育(治療教育)機関が増えつつあり、気になる行動が目立たなくなったりして生きやすくなる可能性があります。しかし適切な療育が受けられないまま成長した大人のASDの人は、そもそも自分が発達障害だということを認識しておらず、人間関係の失敗から二次障害を発症するといった困難も。
参考:自閉スペクトラム症には脳内のドーパミンD2/3受容体の減少が関連し、社会的コミュニケ―ションの困難さや脳部位間の機能的な結びつきに関与していることが明らかに|日本医療研究開発機構
大人のASDの特徴
ASDは脳の機能障害のため、治療によって治るということがありません。ADHDのように症状を和らげる薬もないのが現状です。こちらでは大人のASDの特徴を詳しく解説。自分の夫や妻が発達障害かも?と思ったら、判断の参考にしましょう。
コミュニケーション
ASDには、次のような社会的コミュニケーションが困難という特徴があります。
- 表面的な会話はできるが、会話の裏側や行間を読むことができない
- 明確な言葉がないと理解できない
- 比喩表現をそのままの意味で受け取る
- 人の言葉で勘違いしやすい
- ちょっとしたことで傷つきやすい
- あいまいな表現が苦手
- 極端な言葉やその場に不適切な表現を使う
- 想定外のことに対応できない
- 表情や声の感じから相手の気持ち・感情を読み取ることが苦手
発達障害でない人の中にも、上記のような特徴を持つ人がいるかもしれません。またASDと診断された人であっても、コミュニケーションに問題がないと自覚する人もいるでしょう。ASDと言っても症状は様々で、その出方は人の数だけ異なります。
しかしASDは「コミュニケーションの障害」と言われるとおり、相手の気持ちを想像したり、あいまいな言葉を理解することが苦手な人が多いのが特徴。そのため、他の人と一緒に作業したりグループでの活動が苦手という声もよく聞かれます。
対人関係
社会的コミュニケーションが苦手ということで、対人関係にも次のような影響を及ぼします。
- 場の空気を読むことが難しい
- 発言が一方的で自分の興味のある話をし続ける
- 相手の気持ちを理解し、寄り添った言動が苦手
- 社会的なルール・共通認識・暗黙の了解を察せられない
- 対人関係を上手に構築できない
- 相手を傷つけたり自己中心的な言動をとる
他人との関わり合いが避けられない社会生活では、会社や学校などコミュニティならではの言語外での共通認識が存在し、そのことを前提として考え、発言し、行動します。しかしASDの人との間では、本来あるはずの共通認識を持つことができないため、会話が成り立たない、質問に対して答えてもらえないといったことが頻繁に起こります。
理解不能な言動に困惑することもあり、想定していない方向からのイライラやストレスを絶えず受け続けることに。とくに対人関係では、大きく分けて次の4タイプに分けることができます。
孤立型 |
|
受動型 |
|
積極奇異型 |
|
尊大型 |
|
限定した物事へのこだわり
大人のASDでも、次のような限定した物事へのこだわりや興味が見られます。
- 一度興味を持つと過剰なほど熱中する
- 規則性や法則性のある物を好む
- 自分のルールがあり、それが崩れることを極端に嫌う
知的な遅れがないため発見・自覚が遅れがち
ASDは知的発達や言語発達に遅れがないため、発達障害では?という発見や自覚が遅れがちです。子どものころからアイコンタクトが取れない、気持ちの共有がしにくいといったコミュニケーション面での不安は感じつつも、学力や勉強の面で問題がないということで、そういう個性の子どもとみなされる場合も。
大人になるまで親も発達障害とは気が付かず、社会に出てから本人がコミュニケーションでつまずいたり、結婚した配偶者がカサンドラ症候群になって初めて、自分がASDだと分かる人も少なくありません。
カサンドラ症候群の主な症状となりやすい人
ではどのような人がカサンドラ症候群になりやすく、カサンドラ症候群になると心身にどのような症状が現れるのでしょうか。
カサンドラ症候群の心身症状
カサンドラ症候群になると、心身に次のような症状が現れます。
精神的な症状 | 身体的な症状 |
|
|
症状の現れ方は人それぞれで、ASDの症状の程度によってもカサンドラ当事者への影響が変わってきます。ちょっとした体調の変化で済む人もいれば、日常生活を送るのも困難になるという人も。高いストレス状態に陥ってしまうことで、治療が必要となる場合も少なくありません。
不調があるのにもかかわらず理解を示したりサポートしてくれる人が身近にいないと、うつ病などの深刻な病気を発症する可能性が。「もしかして自分はカサンドラかも」と思ったら、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
うつ病で離婚するときの慰謝料については、こちらの記事を参考にしてください。
「うつ病で離婚するときに慰謝料は発生する?状況別の相場や請求方法、条件を解説」
カサンドラ症候群になりやすい人
ではどのような人がカサンドラ症候群になりやすいのでしょうか。
男性よりも女性が多い
カサンドラ症候群になりやすいのは、男性よりも女性です。というのもASDの発現は女性よりも男性の方が4倍も多いので、配偶者となる女性側にカサンドラ症候群になりやすいというのが理由です。とはいえ女性だけがカサンドラ症候群になるという訳ではなく、妻や会社の上司がASDだと、夫や会社の部下である男性がカサンドラ症候群になることも。
カサンドラ症候群になるのは、身近にASDなどの発達障害の人がいる場合です。その人との関係性で悩んだり苦しんでいるのであれば、性別は関係なくカサンドラ症候群になります。
性格的な特徴
カサンドラ症候群になる人は、次のような性格的な特徴が見られます。
- 真面目
- 几帳面
- 忍耐強い
- 完璧主義
- 面倒見がいい
このような性格の人は、ASDの配偶者や上司に対して真面目に向き合おうとするだけに、コミュニケーションが難しいことで悩み、それでもなおコミュニケーションを取り続けようと頑張る傾向があります。しかしASDの人の言動により忍耐強さが少しずつ崩れ、関係性が偏った状態に固定され、次第にカサンドラ状態になると考えられます。
また親からの過干渉や虐待から逃れられずに共依存の状態だった人や、絶対的権力者の祖父母や父母に支配されていた人は、自分の悩みやストレスを表に出せず、自分が悪いのではと考えがち。このような人もカサンドラ症候群になりやすいといえます。
カサンドラ症候群チェックリスト
カサンドラ状態から抜け出すには、まずは自分が「カサンドラ症候群かも」と自覚することから。次にあげるチェックリストで5項目以上当てはまる方は、ASDの配偶者が原因でカサンドラ症候群になっている可能性が高いです。なるべく早めに心療内科や精神科などの専門機関を受診するようにしましょう。
- 心身に様々な不調が出ている
- 配偶者の違和感を周りに言えない/言っても理解してもらえない
- 配偶者の言動に常にイライラしてストレスが溜まる
- 自分の考えや行動がおかしいと責められてどうしたらいいか分からない
- 会話がかみ合わない/話に共感してもらえない
- 配偶者の怒りのポイントがわからずいつもビクビクしている
- 自分自身が攻撃的になっていると感じる
- 配偶者にもう何を言っても無駄だと感じ無気力になる
- 共感しあえないことに絶望感を感じる
- 自分に自信が持てない
- 配偶者と同じトラブルばかり繰り返している
- 配偶者以外の人とどう接していいか分からなくなっている
ASDの配偶者との離婚を考えるようになる5つの理由
ではどうしてカサンドラ症候群となり、ASDの配偶者と離婚を考えるようになるのでしょうか。
周囲に理解してもらえない
カサンドラ症候群になり離婚を考えるようになる理由の一つに、周囲に理解してもらえないことがあります。カサンドラ症候群の語源にも、深く関係のある理由です。ASDの人は知的能力や言語能力に問題がある訳でなく、他人との表面的な人間関係を築くことに支障がない場合も珍しくありません。
またASDの特性上、外向きの環境では問題なく振舞えていることも少なくありません。家庭以外の場所で適応できているからこそ、家庭内での振る舞いに理解をしてもらえず、家庭内で辛い思いをしていると周囲の人に訴えても、問題を軽視されたり共感してもらえないということもよくあります。
ギリシャ神話のカサンドラのように、周囲の誰にも自分の気持ちを理解してもらえないと、配偶者との関係で八方ふさがりのまま、苦しみが毎日積み重なってしまうという状況になりがちです。
気遣ってもらえない
ASDの配偶者に自分のことを気遣ってもらえず、それが原因で心身に不調をきたし離婚を考えるようになります。たとえば妻が風邪をひいて寝込んでしまった場合、夫に「大丈夫か」と気遣ってもらったり、代わりに家事や育児をやってもらうということもあるでしょう。
しかしASDの夫の場合、相手の気持ちや体調を察することが苦手で相手の立場に立って物事を考えるのが不得意なため、次のような状況になりがちです。
- 夫も具合が悪いと訴えだす
- 急に不機嫌になる
- 無理して家事をしていると体調が良くなったと誤解する
- 何をしたらいいか分からないから何もしない
- 自分の食事だけ準備する(買ってくる)
体調が悪いときにこのようなことをされると、私に興味がないのかな、どうでもいいのかなと考え、辛く寂しい気持ちになるのは当然です。
夫婦間のモラハラで慰謝料請求する場合には、こちらの記事を参考にしましょう。
「夫婦や恋人間のモラハラで慰謝料請求できる?相場や方法を知って有効な証拠を確保しよう」
周囲に失礼な態度をとる
ASDの人は相手との気持ちの距離感を掴んだり、空気を読むのが苦手です。そのため、他人に対してなれなれしい態度で接したり、平気で失礼なことを言ってしまうことも少なくありません。夫婦でいるときに他人と会話をする場面では、夫が失礼なことを言わないように絶えず妻が神経をとがらせていなければなりません。
そのような言動から、大人としての常識を疑われたり人間性を疑われてしまう場面も。夫婦は一心同体として見られることもあることから、これ以上一緒に居ることは耐えられないと離婚を考える人もいるようです。
話し合っても改善されない
ASDの人にいくら注意しても話し合っても改善されないので、問題解決が難しいまたは不可能なことがあります。そもそもASDの人はごく狭い範囲の情報しか取り入れることができず、1つの情報しか頭で処理することができません。そのため注意された内容がそもそも頭に入らず、注意されたことすら忘れてしまいます。
またミスしていてもそれに自分で気づけないので修正することが難しく、以前注意されたことと今やっていることを関連付けて考えることができません。このようなことから同じ失敗を何度も繰り返す、止めてと言ったことを何度もしてしまうという状況が起こりがちです。
心の結びつきが感じられない
夫婦になったからには、互いに支え合って生涯を共にしたいと考える人はほとんどでしょう。しかし配偶者がASDだと、感情の共有や情緒的な結びつきを深めていくことができません。そもそもASD、は人の気持ちや考えを想像することが困難な障害です。
ASDを配偶者に持つと子どもの成長を共に喜んだり、辛い経験を共有していたわり合うなど、夫婦として当たり前と思われていた心の結びつきが感じられません。そればかりか日々相手の言動に対して違和感やストレスを感じ続け、夫婦間で対立関係が生じることも。
カサンドラ症候群の人が離婚するには?
カサンドラ症候群の人がASDの配偶者と離婚するには、次のポイントをおさえる必要があるでしょう。
カサンドラ症候群の治療を受ける
カサンドラ症候群によりうつ症状やパニック障害などを抱えてしまった場合、なるべく早めに医療機関を受診して治療を受けましょう。カサンドラ症候群が悪化すると、完治が難しいうつ病になどの精神疾患になる可能性があるからです。
とくに自分がカサンドラ状態であることは自分で認識できないケースも多いです。愛情深い人や相手のことを大切に思っている人ほど、自分の心身の不調の原因が配偶者であることに気が付きにくいもの。上で紹介したチェックリストに当てはまるかもと思ったら、まずは心療内科などの医療機関を受診しましょう。
配偶者がASDだけでは離婚できない
夫や妻がASD(発達障害)というだけでは離婚することができません。民法で定められている法定離婚事由には「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと」という項目がありますが(民法第770条1項4号)、ASDをはじめとする発達障害は「強度の精神病」には該当しません。
そのため、配偶者がASDであるということだけで、裁判で離婚を求めるのはかなり難しいと考えられます。
話し合いが難航しがち
ASDの配偶者と離婚しようと思い、相手に直接離婚を切り出しても、離婚話が難航することは想像に難くないでしょう。なぜ離婚したいかという気持ちが伝わらないばかりか、健常者よりも会話を成立させることが難しく、話し合いにならないことがほとんどです。
またあなたが離婚を考えるほどに苦しんでいたことや、その原因がどこにあるか本質的に理解できないため、いくら離婚を要求しても納得しない可能性が高いでしょう。協議離婚は難しく、離婚調停を申し立てたとしても双方の話し合いが決裂して調停が不調に終わる恐れがあります。
そもそも自覚のないASDは、本人が自覚しておらず困っていないことがほとんど。そのため、いくら離婚の理由を説明しても理解してもらえないばかりか、強い被害者意識から逆に責められてしまうことも。話し合いで離婚しようという場合は、かなり時間を要することを覚悟しておきましょう。
先に別居をした方がいい場合も
離婚を切り出すよりも先に、別居してしまった方がいいケースもあります。話し合いが難しいと分かっているような場合や、一緒に生活を続けることに限界を感じているような場合です。とくに心身の不調が深刻化してしまうと、離婚に進むための気力や体力も出ません。限界を迎える前に別居して距離を置くようにしましょう。
別居によってASDの相手が危機感を抱き、改善しようと動き出す可能性があります。また長期の別居そのものが法定離婚事由の「婚姻を継続し難い重大な事由」と認められる場合も。裁判で離婚を認めてもらうには5年程度の別居期間が必要です。
どうしてもASDの配偶者と離婚したいのであれば、長期戦になることを覚悟して別居するのも一つの方法です。
別居に必要な準備をするには、こちらの記事を参考にしてください。
「別居に必要な準備をシチュエーション別に解説!別居に関する注意点とは?」
弁護士に相談するのがベスト
カサンドラ症候群が原因で離婚したいと思ったら、弁護士に相談することをおすすめします。ASDの特性として「現状にこだわる」ということが知られています。そのため離婚をかたくなに拒否するケースも少なくありません。自分で離婚協議をすすめようとしてもかえって疲れてしまう可能性大。
発達障害の配偶者との離婚案件を扱ったことのある弁護士なら、次のようなことを任せられます。
交渉を依頼できる
ASDの夫との離婚交渉は一筋縄ではいきません。すんなり離婚に同意する方が珍しいでしょう。そのようなときは弁護士に交渉を依頼するのがベストな方法です。とくに家族以外とのコミュニケーションが成り立つ相手なら、弁護士が交渉するとうまく話し合いが進む可能性があります。
できれば発達障害との交渉経験があったり、発達障害の知識を持つ弁護士に依頼できると話が早いです。相手の特性や特徴を理解して交渉を進められます。
仮面夫婦がしんどいと感じたときには、こちらの記事を参考にしてください。
「仮面夫婦がしんどいと感じたら…対処方法や離婚方法を知って後悔しない選択を」
有利な条件で離婚できる
離婚時に弁護士を依頼するメリットの一つに、有利な条件で離婚できるということがあります。ASDの配偶者を相手に離婚時の条件面について交渉しても、なかなか受け入れてもらうことは難しいでしょう。しかしそのようなときでも弁護士が交渉に当たることで、依頼者の主張をうまく伝え、財産分与や親権、養育費についてこちら側が有利になるよう話を進められます。
手続きを代行してもらえる
ASDの配偶者との離婚問題が調停や裁判まで発展すると、裁判所に提出する書類の準備や様々な法的手続きが必要です。申立書類の書き方は難しくて分かりにくく、提出書類もたくさんあります。弁護士であれば書類作成から提出まですべての手続きを一任できます。
また裁判所に出廷できない場合でも、代理人としてあなたの意見を代わりに行ってもらえます。このような法的手続きを代行してもらえることで、離婚に際しての身体的・精神的負担が間違いなく軽減されるでしょう。
離婚時の弁護士費用の相場を知りたいという方は、こちらの記事を参考にしてください。
「離婚時の弁護士費用を徹底解剖!費用をおさえるコツや注意点を紹介」
まとめ
カサンドラ症候群とは、発達障害の中でもASDの人が身近にいることで生じる様々な心身障害を総称する状態をいいます。ASDの人はコミュニケーションや対人関係が困難という特性があるため、相手の気持ちや状況を読めず悪気なく人を傷つけたり、やめてと言っても何度も同じ失敗を繰り返しがち。
また家族以外とのコミュニケーションが問題なかったりすると、周囲に辛い気持ちを分かってもらえないという苦しみも加わります。この状態が長期間続くと、体や心に深刻な症状が現れます。カサンドラ症候群を治すには、原因となっている配偶者と離れるのがベストです。
とはいえASDの相手とそう簡単に離婚することはできません。まずは別居をすることで、法定離婚事由の「婚姻を継続し難い重大な事由」と認定される方法があります。また交渉や手続きを弁護士に依頼するのもおすすめ。カサンドラ症候群の症状を悪化させないうちに適切な専門家に相談するのが、一日も早い離婚を勝ち取る秘訣です。