子持ち男が離婚を決めるとき|離婚を決めた後にすべきこと&親権を取るための方法とは?

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  • 「子持ち男性が離婚を決めるのは、一体どんなとき?」
  • 「父親が子どもの親権を取るにはどうしたらいいか知りたい」

夫婦としてこれ以上一緒にやっていけないと思っていても、子どもがいると離婚を躊躇する人は少なくありません。確かに「子どものために両親が揃っていた方がいい」「離婚すると子どもに会えなくなるのでは」という意見もあるでしょう。

そこでこちらの記事では、子持ち男性が離婚を決めるきっかけや理由、離婚に向けての行動指針を紹介していきます。子どもに会えなくなるから離婚したくないという人には、父親が親権を取れるかどうかについても検討すべきでしょう。父親が親権を得るには、いくつかのポイントがあります。自分と子どものために、後悔しない生き方をしましょう。

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目次

子持ち男が離婚を決めるきっかけ・理由

多くの子持ち男性が離婚を決めるのは、次のようなきっかけや理由からです。

他に好きな人ができた

子持ち男性が離婚を決めるきっかけに、他に好きな人ができたからということがあります。とくに家庭生活がマンネリ化している場合は、不倫相手との関係は刺激的で新鮮です。不倫で感じるドキドキ感やスリルは、多くの人にとって魅力的。この刺激を求める心理が、離婚を後押しする大きな要因となる場合があります。

今の家庭生活での不満が大きければ大きいほど、「新しい相手ならもっと幸せになれるのでは?」といった幻想を抱きがち。不倫関係が長期化すると、不倫相手と過ごす時間の方を優先するようになり、これにより益々家庭内での立場が悪くなるという悪循環に陥りがちです。

家族への愛情が薄れる

子持ちに限らず、多くの男性は家族への愛情が薄れると離婚を考え始めます。長い結婚生活により、夫婦間でのコミュニケーションが減り、日々の生活がより単調に感じられるのがその一因です。また繰り返される喧嘩や夫婦間の冷え込みなどにより、男性の中には「もう妻との関係は修復できない」と感じることも。

家庭での居場所がなくなる

家庭内で自分の居場所や役割がなくなったと感じると、離婚を考えるようになります。次第に家庭に帰ることがストレスに感じるようになり、不倫や仕事、趣味などの外での活動がより魅力的になります。確かに男性の多くは「自分の役割はお金を稼いでくること」という覚悟を持っています。

しかしそのような覚悟を持っていたとしても、家族から露骨にATM扱いをされていれば、やはり傷つくもの。次第に家に帰りたくなくなり、離婚を考えるようになってもおかしくありません。

最近妻が話しかけてこなくなった…とお悩みの方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「妻が話しかけてこなくなった…考えられる理由と関係を良好に保つコツを知り、最悪の事態を回避しよう」

価値観・性格の不一致

妻との価値観の違いや性格の不一致が原因で、離婚を考える男性もいます。子持ち男性に限らず、離婚の最も多い理由がこの価値観や性格の不一致です。ただ価値観の不一致といっても、趣味や食の好みなど表面積な要素だけで離婚を決めるケースは少ないです。しかし次のような違いがあると、離婚問題にまで発展する可能性があります。

  • 家族・友人・仕事に関する時間の使い方
  • 親族との関係
  • 金銭感覚
  • 子育てのスタンス
  • 「家事育児は妻がすべき」など性差による役割についての考え方

互いに妥協できないポイントがある場合、お互いに意地をはり合い喧嘩が生じてしまいま。結婚当初は我慢出来ていた相手への不満や価値観の違いが次第に許容できなくなり、これ以上結婚生活を続けるのが難しくなります。

価値観の違いで離婚できるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「価値観の違いで離婚したい…よくある理由と離婚の可否、迷ったときの相談機関を紹介」

性の不一致

夫婦間の性の不一致は、男性にとって大きなストレスになりがちです。とくに長期間に及ぶセックスレスが続くと、夫婦の関係が次第に冷え込み、コミュニケーションが減少していきます。男女問わず性に淡泊な人がいるのは仕方のないことですが、片方が求めているのにもう片方は「したくない」だと、夫婦間に亀裂が入りやすいです。

スキンシップがない夫婦の離婚方法については、こちらの記事を参考にしてください。

「スキンシップゼロ夫婦の離婚|離婚の可否と離婚を回避する7つの方法を知り、離婚すべきか考えよう」

産後・子育て中のトラブルから

産後や乳幼児の子育て中は、夫婦関係が険悪になりがちです。というのもこの期間は女性は子どもにかかりっきりで当然のように母親としての役割を求められる一方で、男性側はこれまでと変わらない生活をしてしまいがちだからです。

とくに産後は女性ホルモンのバランスが崩れるため、イライラや疲労感、不安感が強くなる傾向にあります。このようなときに男性が気遣いの姿勢を見せなかったり、父親としての役割を果たさないと夫婦喧嘩の原因になります。「産後の恨みは一生」という言葉がある通り、長い時間が経っても産後の夫の言動で根に持っていることがあるという人は少なくありません。

産後クライシスによる離婚の可否と回避方法は、こちらの記事を参考にしてください。

「産後クライシスで離婚はできる?離婚につながりやすい理由と回避法を知って夫婦仲を改善!」

妻の不倫

子育てが一段落して、仕事や社会生活に復帰できるようになった妻が、不倫や浮気に走るケースが見られます。これは、産後のセックスレスが長期化してしまうことが一因です。他にも子育てを通して夫に失望したケースや、家庭以外に目を向けたときに起こりがち。

妻の不倫で離婚を決意した場合、たとえ子どもがいても「不倫するような母親に子どもを任せられない」と思い、親権の獲得を希望する男性も少なくありません。

托卵妻と離婚する方法については、こちらの記事を参考にしてください。

「托卵妻と離婚する方法|子どもの親子関係と養育費、慰謝料はどうする?困ったときのポイントを解説」

妻の浪費やギャンブル

妻の浪費やギャンブルが原因で、離婚を考える男性もいます。とくに子育て中の主婦の場合、夫が稼いだお金を次のようなことに使うケースがあります。

  • 子育てのストレス発散といい浪費する
  • 外に買い物に行けないからと、ネットショッピングをし続ける
  • 空いた時間にパチンコなどのギャンブルをして生活費を使い込む

男性としては、自分が稼いできたお金をこのようなことで浪費されてはたまったものではありません。家計の心配もしなければならず、将来への不安が大きくなるのも当然です。結果として妻への信頼が揺らぎ、夫婦関係に深刻な亀裂が入ってしまう恐れがあります。

妻の貯金の使い込みで離婚を考えているという方は、こちらの記事を参考にしてください。

「夫や妻の貯金使い込みで離婚できる?別居時に気を付けたいこと&財産分与で損しない方法」

親族関係のトラブル

性格の不一致にもつながることですが、相手の両親との折り合いが悪いと離婚を考えるきっかけになります。逆に自分の親と妻との関係が悪かったり、トラブルが絶えないことでも離婚を検討しがちです。

実際、裁判所に調停や裁判を申し立てた動機を見てみると、男性の12.7%、女性の6.1%が「家族親族と折り合いが悪い」という理由となっています。核家族世帯が増えたとはいえ、親族関係のトラブルは夫婦の離婚原因となることが分かります。

参考:司法統計|裁判所

嫁姑問題で離婚を考えている場合には、こちらの記事を参考にしてください。

「嫁姑問題を理由に離婚や慰謝料請求をしたい!離婚を決断する前にすべきことは」

子持ち男が離婚を考えたときの行動指針

では子持ち男性が離婚を考えたとき、どのような行動を取るべきなのでしょうか。

浪費を避け貯金に努める

スムーズに離婚するためには、どうしてもお金が必要になります。別居や引っ越しにお金がかかるだけでなく、財産分与や子どもの養育費などのお金も準備しなければなりません。新しい相手を見つけて再婚するにも、お金が必要です。そのためにはまず浪費を避け、貯蓄に励むようにしましょう。

男性が離婚時にすべきことについては、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚したい男性必見!男性が離婚したい理由と離婚時にすべきこと、注意点とは?」

異性関係に気を付ける

離婚を決意した場合は、離婚が成立するまで異性関係に気を付けましょう。自分の不倫が原因で離婚を考えている場合は、絶対に妻にバレないよう当分の間はおとなしくしているのがいいでしょう。というのも妻に不倫の証拠を取られると、離婚時に慰謝料を請求される可能性があるため。

慰謝料の相場は100万~300万ほどですが、大事になると会社や自分の親に知られてしまう恐れがあります。多くの女性は男性よりも勘が鋭いです。「不倫しているのでは?」「離婚を考えてそう」などと気づかれると、離婚がスムーズにできなくなります。

ある程度のことは自分でできるように

離婚を決めたら、料理や洗濯、掃除など身の回りのことはある程度自分でできるようになりましょう。子どもの親権を獲得したい場合は、なおさら子どもの身の回りの世話が問題なくできるというアピールが重要になります。離婚しなくても、ある日突然妻が病気などで入院することがあるかもしれません。男だからなどと考えず、最低限の身の回りのことは自分でできるようになっておいた方がいいでしょう。

子どものことを考える

夫婦の間に子どもがいる場合は、子どものことについてよく考える必要があります。

親権

未成年の子どもがいる夫婦の離婚の場合、親権をどちらが取得するか決めないと離婚ができません。離婚後は母親に子育てを任せたくないという方や、どうしても子どもと離れて暮らすのは考えられないという方は、自分の方で子どもを引き取りたいと思っても当然です。

しかし現実的には、子どもの年齢が小さいほど母親が親権獲得に有利。父親がどうしても親権を獲得したい場合は、離婚前からの準備が必須です。

養育費

親権を獲得できなかった側は、離婚後は親権者である元配偶者に対して、子どもの養育費を支払う必要があります。養育費の金額は、双方の収入や子どもの年齢、人数などにより算出が可能です。裁判所が公表している「養育費算定表」を参照して、相場の範囲内で取り決めるようにしましょう。

離婚後に支払う側の収入が減少したり、扶養家族が増えたときには、養育費の減額を請求できます。状況によっては養育費の支払いをストップできる可能性も。養育費の取り決めや離婚後の減額については、弁護士に相談することをおすすめします。

養育費の減額請求のポイントについては、こちらの記事を参考にしてください。

「養育費を勝手に減額できる?減額請求時のポイント&減額されたときの対処法を解説」

面会交流権

親権者でない方の親には、定期的に子どもと会える「面会交流権」があります。離婚前に面会交流について、次のようなことを決めておくと、スムーズに面会交流が実現できます。

  • 面会の回数
  • 日時
  • 場所
  • 引き渡し方法
  • 監護親の立ち合いの有無
  • 第三者の立ち合いの有無
  • プレゼントの価格・頻度
  • 学校行事への参加の可否

離婚後も元妻との関係を良好に保つには、事前に決めた面会交流の内容を守りましょう。事前の約束を守らないでいると、元妻の怒りを買い子どもと会わせてもらえなくなる可能性があります。

その他の離婚条件について検討する

子どもに関して以外も、離婚前に決めておかなければならない条件があります。

婚姻費用 別居期間がある場合、妻よりも収入が多いと婚姻費用を請求される可能性がある
財産分与 婚姻期間中に形成した夫婦共有の財産は、離婚時に基本的に1/2ずつ分ける必要がある
年金分割 婚姻期間中に厚生年金保険へ加入していた場合、離婚時にその加入記録の分割を請求される可能性がある
慰謝料請求 相手の不貞行為やモラハラが原因の場合、離婚時に慰謝料請求できる可能性がある

婚姻費用は別居期間中の配偶者と子どもの生活費を指します。夫婦は別居中であっても互いに助け合う義務があるため、収入の多い側は少ない側に婚姻費用として支払う必要があります。財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に共同で築いた財産を離婚時に分け合う制度。離婚原因がどちらにあるかや収入の多寡に関係なく、1/2ずつが原則です。

不倫やDVなど離婚原因を作った側は、離婚時に相手に慰謝料を請求されるかもしれません。慰謝料の金額は婚姻期間の長さや悪質度合い、双方の収入や不法行為を行っていた期間によって変動します。

離婚を切り出すタイミングを考える

離婚を決めた後は、どのようなタイミングで相手に離婚を切り出したらいいか考えましょう。

証拠が揃ってから

不倫やモラハラなど、相手に離婚原因がある場合は、証拠が揃ったタイミングで離婚を切り出しましょう。証拠が揃う前に相手に離婚の意思を伝えてしまうと、証拠を確保するのが難しくなるため。慰謝料を請求できる内容であれば、しっかりと慰謝料を請求できるような証拠を確保してから相手に伝えましょう。

また夫婦の話し合いで離婚話がまとまらず、調停や裁判になったときには、相手の不倫やモラハラなど離婚理由を裏付ける証拠が大切になってきます。とくに子どもの親権を獲得したいのであれば、そのための証拠も集めておきましょう。

離婚の半年以上前から

離婚したい時期が決まっているときには、少なくともその半年以上前には相手に伝えることが重要です。離婚のための条件(財産分与・親権・養育費など)の話し合いは、一朝一夕にかたがつくものではありません。とくに双方に争いの種がある場合には、話し合いが長引くのは必至です。

お互いが少しでも納得できる条件で離婚するためには、自分が譲れない条件について相手に伝え、その代わり譲歩できるところがないか考えることが重要です。

スムーズに離婚したいなら弁護士に相談

スムーズに離婚するには、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。より有利に離婚したい場合も、弁護士に相談するのがベストです。弁護士に相談できれば、今後の見通しが分かり、アドバイスを元に効率的に離婚準備を進められます。

もしこちらに不利になりそうな点があったとしても、リスクやデメリットを最小限に抑えるための方針を立ててもらえます。モラハラがひどい妻や離婚の話し合に全く応じないという相手には、弁護士という第三者を通して交渉することで、話し合いが進展する可能性があります。

子どもの親権を取りたいと思ったら…

子どもの親権を取りたいと思っている方は、親権とはどのようなものかについてや、離婚時に親権を決めるときに重要なポイント、父親が親権を取れる確率などの情報を知っておきましょう。

親権とは

親権とは、未成年の子どもに対して行使する「権利義務」のことをいいます。「親権」と書くので権利のように見えますが、実際には社会的に未熟な子どもを保護し、心身ともに成長を促す親の義務としての意味合いが強いです。親権には、次の「財産管理権」と「監護権」の二つに分けられます。

財産管理権
  • 子どもの預貯金や子ども名義の不動産などの財産を維持管理する義務のこと
  • 財産の保存・利用・改良・処分を含む財産の管理
身上監護権
  • 子どもを保護して適切な教育を行う
  • 子どもが住む場所を指定する
  • 子どもに対して必要なしつけを行う
  • 未成年の子どもの労働を許可・制限する
  • 身分行為の代理権・同意権

一般的には財産管理権と身上監護権の二つをひとまとめにして、親権といいます。ただし例外的に身上監護権のみを分けて、親権と監護権とを分ける場合もあります。

親権はどう決まる?

未成年の子供がいる場合、離婚後に父母のどちらが子どもの親権を持つことを決めないと離婚できません。というのも離婚届には親権者を記入する欄があり、この欄を記入していないと離婚届が受理されないという制度があるため。

まずは夫婦間の話し合いで決めますが、話し合いで決められないときには裁判所の調停や裁判で決めることになります。具体的には次のようなポイントを踏まえ、裁判所が親権者を決めていきます。

子の利益と福祉に反していないか

親権者を決めるのに一番重要なポイントは、子どもの利益と福祉に反していないかです。ここでいう利益とは、子どもにとって最善なことという意味です。具体的には「保護され・世話を受け・関心をむけられ・愛され・信頼の元で見守られる」というもの。そして子どもの福祉とは、子どもが健やかに成長し、不利益を被らないように大人が配慮することを指します。

親の都合や希望ではなく、子どもにとってどちらの親に育てられた方がいいかを見て、親権者を決める必要があるという訳です。もちろん子どもに肉体的・精神的虐待をする親も、親権者としてふさわしくありません。必ずしも経済的に豊かである必要はありませんが、ギャンブルなどで借金を繰り返していたりすると、財産管理能力に問題があるとみなされ、親権獲得に不利になります。

今までの監護実績

親権を獲得する上で、今までの監護実績もポイントになります。今まで適切に子どもの世話をしてきたという実績があれば離婚後も引き続き子どもを適切に監護する意欲が期待できるため。これまで子どもの監護を母親にまかせっきりにしていた方は、この点において親権争いに不利になる可能性があります。

親権者の健康状態

親権者の健康状態もまた、親権者を決めるときに重要視されます。子どもを適切に養育するためには、親の心身の健康状態が安定していなければならないため。重い病気で入退院を繰り返していたり、精神疾患があり精神的に不安定な場合は、子どもを適切に養育できる状態にないと判断されがちです。

この点において、母親に心身の病気がある場合には、子どもの福祉や利益の面から、父親が親権者として有利になる可能性があります。

子どもの養育環境

離婚後の子どもの養育環境で判断する上では、「継続性の原則」が重要視されます。継続性の原則とは、離婚前後で子どもの養育環境に大きな変化がないことが望ましいという考え方。親の離婚はただでさえ、子どもの精神状態に大きなダメージを与えます。それに加えて引っ越しや転校など、子どもの生活環境が変わると、いっそう心理的なダメージが加わることは避けられません。

ただしここで注意したいのは、子どもの親権を獲得したいからと勝手に家を出てしまうケースです。このような行動を取ってしまうと、身勝手な行為とみなされて親権獲得に不利になります。子どもを連れて別居するときには、相手に伝えてからにしましょう。

子どもの年齢・きょうだいの有無

子どもの年齢や兄弟の有無でも、親権獲得に影響します。日本では「母性優先の原則」があり、子どもの年齢が小さいほど母親が親権を持つのにふさわしいとされています。ただし父親が従来の母親の役割を果たしているというケースでは、この限りではありません。過去の判例でも、父親に親権を認める判決が出ています。

また子どもが複数いる場合には、「兄弟姉妹不分離の原則」が親権に影響します。今まで一緒に育ってきたきょうだいがいるときには、離婚後も一緒に育てるのが望ましいという考えです。これも子どもの心理面への影響に配慮した考えで、きょうだいがバラバラにならず、一緒に育てることが可能な親の方が、親権獲得に有利になります。

子ども自身の意思

子どもの年齢がある程度高くなると、子供自身の意思も尊重されます。日本では15歳以上の子どもに対しては、裁判所は必ずどちらの親と暮らしたいかを確認します。裁判所によっては15歳未満でも、10歳前後なら自分の意思を表現できるとして、子どもの希望を聞くケースもあります。

面会交流についての寛容性

面会交流についての寛容性も、親権獲得に影響します。離婚後に別居親と会いたいという子どもの気持ちを汲んで、面会交流に協力的な親の方を親権者としてふさわしいと判断する傾向があります。

父親が親権を取れる確率

では、父親が親権を取れる確率はどのくらいなのでしょうか?最新(2022年)の政府統計によると、父親が全児の親権を取れる確率は子ども1人の場合では12.0%、2人以上だと10.6%、3人以上のきょうだいだと9.1%ほどです。離婚する10組に1組ほどが、父親が親権者となっている現状です。

ただし子どもが2人以上いる場合は、それぞれの親で一人ずつ親権を持つというケースも考えられるため、実際に父親が親権を取れる確率は、上記よりも若干高くなると考えられます。

参照:親権を行う子をもつ夫妻の親権を行う子の数・親権者(夫-妻)別にみた年次別離婚件数及び百分率 |政府統計

父親が親権を獲得できる確率について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「父親が親権を取れる確率は?重視されるポイント・親権獲得のためにすべきことを解説」

父親が親権を取りやすいケース

実際父親が親権を獲得できるのは、全体の10%前後しかいません。というのも次のような理由があるためと考えられます。

  • 仕事により子育ての時間を取りにくい
  • 母子優先の原則があるから
  • 過去の判例の実績から
  • 子供自身が母親を選ぶ傾向にあるため

父親はどうしても母親と比べると、親権獲得の面で不利になりがちです。一方で母親に次のような問題行動があると、子どもの監護に問題があると判断され、父親が親権を獲得しやすくなります。

  • 子どもに精神的・肉体的な虐待をしている
  • 世話をせず育児放棄している
  • 家事を全くしない
  • 子どもよりも不倫相手を優先している
  • 薬物依存などの犯罪歴がある
  • 重度の心身の病気がある
  • 家出してどこにいるか分からない
  • 子供自身が父親と暮らしたいと希望している(15歳以上)

親権争いで母親が負ける理由について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「親権争いで母親が負ける理由とは?親権争いを勝ち取る6つの対策も解説」

父親が親権を取るための準備・ポイント

妻と離婚したい気持ちはあるものの、子どもと離れて暮らすのがどうしても受け入れられない、妻に子どもの親権を渡したくないという場合には、父親である自分が親権を取れるような準備をしたうえで離婚を切り出すべきでしょう。こちらでは、父親が親権を獲得するための準備やポイントについて解説していきます。

別居時は子どもを連れて出る

別居するため家族で暮らしていた家を出るときには、極力子どもを連れて出るようにしましょう。前出の通り、親権者を決めるときには「継続性の原則」が考慮されるため。とくに調停や裁判で親権者を決める場合、離婚後も子どもの養育環境を現状維持できる側が優先されます。

この点をクリアするためには、別居時に子どもを連れて出て、その後は子どもと安定して生活できているという実績が必要になります。実績をきちんと作っておけば、無理に現状を変えてまで母親を親権者とするという判断を出しにくくなります。

一緒に暮らせないときは面会交流を維持する

子どもの学校や仕事の関係などで、子どもを連れて別居できないときには、子どもとの面会交流を継続することが重要です。離婚前から面会交流をろくにしていない状況では、監護の意欲や子どもへの愛情に疑問符がついてしまうためです。

面会交流への積極性は「育児に積極的に関わりたい」という意思表示に。そのため面会交流の予定は、極力キャンセルしないようにしてください。面会交流以外でも、次のようなことを積極的に行うようにしましょう。

  • 面会頻度を増やしたいという希望を書面で送る
  • 子どもの学費や養育費を進んで負担する
  • 子どもに自分の気持ちを手紙などで伝える。

調停委員を味方にする

離婚調停で親権者を決める場合には、調停委員を味方につけるのがポイントです。調停委員は民事での紛争を解決するために裁判所に選任される人のこと。社会経験が豊富な人や弁護士など、男女2名が夫婦間の話し合いの仲介をします。

調停委員は調査官が行った調査をもとに、父母のどちらが親権者としてふさわしいかの判断の材料とします。いくら裁判所に任命されているといえ、調停委員もより印象が良い方の親に親権を渡したいと考えます。そのため最低限のマナーはもちろん、大人として親権者としてふさわしいふるまいを心がけ、調停委員を味方につけるようにしましょう。

長期間の育児実績を作る

父親が親権を獲得するには、ある程度の期間の養育実績を作ることが必須条件となります。親権獲得で重視されるのが「いかにきめ細やかな監護養育ができるか」という点だからです。生物学的な母親である必要は必ずしもないものの、子育てに深くかかわっていることを証明する必要があります。

具体的には次のような方法で、長期間の監護実績があることを証明しましょう。

  • 子どもの世話の様子を細かく日記に記す
  • 日常的に保育園や学校の連絡ノートを書く
  • 通園通学の送り迎えを積極的にする
  • 子連れでの外出のときは必ず写真を撮る
  • 授業参観などの学校イベントに参加する

養育実績の期間は、長ければ長いほど親権獲得に有利です。少なくとも半年程度は、上記のような記録を取りながら、子どもの養育実績を積み上げていきましょう。

周囲のサポート体制を整える

仕事などでどうしても育児に関われないときのために、周囲のサポート体制を整えることも重要です。実家の両親や自分の兄弟姉妹などに協力を求め、子どもの面倒を見てもらう体制を整えましょう。近くに頼れる親族がおらず転居も難しいときには、ヘルパーやシッターなどのサポートを受けられるような準備が必要です。

父親が親権を獲得するために必要なのは、「母親と同じように養育できるのか」という点です。きょうだいがいる場合には、一緒に引き取れる環境を維持できるかも重要となります。場合によっては実家の近くに引っ越すことも検討しながら、自分が育児に関われないときでも子どもを見てもらえる環境にしましょう。

場合によっては転職も視野に入れる

仕事の拘束時間が長く、子どもの養育に十分な時間が取れないようなときには、転職を視野に入れる必要があるでしょう。職場に事情を説明し、配置転換や勤務調整ができない場合には、思い切って転職した方が親権獲得に有利になるからです。

転職は難しい…というときには、残業や休日出勤を控える、自分がいないときには親族に面倒を見てもらうなどして、極力子どもに寂しい思いをさせないようにしましょう。

母親が親権者に向かない証拠を確保

母親に親権者としてふさわしくない言動があるときには、それらの証拠を確保するようにしましょう。証拠により母親が親権者としてふさわしくないと判断されると、父親が有るになるからです。具体的には次のようなものが証拠になります。

  • 子どもに大声で怒鳴っている音声
  • 部屋が散らかっている、ごみを捨てないなど家事を怠っている証拠の写真
  • 子どもにケガをさせたことが分かる写真や診断書
  • ネグレクトを思わせる周囲の人の証言
  • 子どもを家に放置したまま不倫していた証拠

ただし母親が親権者としてふさわしくないというアピールばかりしていると、裁判官や調停委員の心証を悪くする恐れが。相手を下げるのはほどほどにすべきでしょう。

子どもが成長するまで待つ

子どもが成長するまで離婚を待つというのも、一つの方法です。子どもが15歳以下だと母親が有利になるのに対して、15歳以上だと子ども自身の意思が尊重されるため。普段から子どもとの関係が良好で、子どもが父親と暮らしたいと思っているときには、親権獲得のために離婚時期を遅らせることも検討しましょう。

離婚問題に詳しい弁護士に相談

父親が子どもの親権を獲得したいと思ったら、離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。上で説明した通り、父親が親権を獲得できる確率はそれほど高くなく、調停や裁判では法的な知識や進め方、経験に基づいた交渉術などが必須になるため。

とくに親権問題は、子どもをどちらの元で育てるかという極めてデリケート問題です。親権問題に詳しい弁護士に早めに相談することで、有利に親権交渉を進めることができます。

養育費に関する弁護士費用については、こちらの記事を参考にしましょう。

「養育費に関する弁護士費用が知りたい!ケースごとの相場・払えないときの対処法とは?」

まとめ

子持ち男性が離婚を決めるのは、家庭に居場所がなかったり家族への愛情が薄れたときです。また妻との価値観や性格の違いから夫婦喧嘩が絶えなかったり、妻の浪費や不倫問題から離婚を考える人も少なくありません。離婚すると決めたときには、離婚後の生活を見据えて貯金をしたりある程度のことは自分でできるようになりましょう。

離婚時には子どもの親権や養育費のほか、財産分与や慰謝料など、決めるべきことがたくさんあります。そのため、妻に離婚を持ち掛けてから最低でも半年程度はかかると覚悟が必要。妻に離婚原因があるときには、それらの証拠が揃ってから切り出すのもポイントです。

どうしても子どもの親権を獲得したいときには、綿密な準備が欠かせません。長期の子育ての実績を作るのはもちろんですが、いざとなったら頼れるところや仕事の調整も必要です。そして親権交渉を有利に進めるには、法律の専門家で交渉のプロでもある弁護士に相談するのがベスト。離婚を決意したら、なるべく早めに弁護士に相談してください。

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