離婚のストレスでうつ病になりそう…離婚がストレスになる原因とうつ病にならない適切な対処法とは?

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  • 「離婚問題がこじれてうつ病になりそう…」
  • 「相手のうつ病が原因で離婚するときに慰謝料を請求できる?」

離婚問題に発展したとき、円満離婚という形ですっきり別れられる夫婦がいる一方で、多くの夫婦は喧嘩や離婚の話し合いで多くのストレスがかかかります。このままの状態が続くとうつ病になりそう…という方はいませんか?こちらの記事では離婚のストレスでうつ病になりそうな方むけに、うつ病になる原因やうつ病にならないための対処法を解説。

さらにうつ病の相手との離婚方法やポイント、自分がうつ病のときの慰謝料問題や子どもの親権問題についても紹介していきます。離婚は大きなライフイベントです。うつ病になる程ストレスを抱えないよう、適切な対処法を取って離婚後の生活に備えましょう。

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目次

なぜ離婚はうつ病の原因となるのか?

ではどうして離婚はうつ病の原因となってしまうのでしょうか。こちらではうつ病とはということから、離婚が人の精神に与える影響について解説していきます。

うつ病になる原因

うつ病は精神疾患の一種で、様々な原因により発症する病気です。うつ病を発症するメカニズムについては、まだ明らかになっていませんが、これまでの研究によっていくつかの仮説が提唱されています。こちらではうつ病が起きるメカニズムについて見ていきます。

脳の機能障害

うつ病は、脳の機能障害によって引き起こされることが分かっています。脳の中では神経細胞を通して、様々な情報が伝達されます。その伝達で重要なのが「神経伝達物質(モノアミン)」です。中でも「セロトニン」や「ノルアドレナリン」という物質は、人の感情に関する情報を伝達すると考えられています。

しかしうつ病になるとこのセロトニンやノルアドレナリンが欠乏し、脳の神経伝達がスムーズに行われずに思考力・判断力・集中力が低下したり意欲がなくなったりします。

個人の性格によるもの

うつ病になりやすいかどうかは、個人の性格的な面も関係があります。ストレスを感じやすい性格には「メランコリー親和型性格」というものがあり、次のような性格の人はうつ病になりやすいといわれています。

  • 仕事熱心
  • 責任感が強い
  • 生真面目
  • 几帳面
  • 完璧主義
  • 凝り性
  • 弱音を吐きにくい
  • 周囲への気遣いや配慮をする
  • 相手の感情を敏感に察する

このような性格の人は社会的に評価される一方で、何か問題が起きると悲劇的になる傾向が。また他人に弱みを見せられない性格のため、自分の中になんでも抱え込んでしまいがちです。

ストレス

うつ病は精神的ストレスや身体的ストレスをきっかけに発症することが多い精神疾患です。とくに次のようなストレスが生じると、うつ病にかかりやすくなるといわれています。

  • 大切な人や物を失う喪失感
  • 環境の変化(引っ越し・転職・就職など)
  • 人間関係のトラブル
  • 経済的困窮
  • 病気やケガの発症
  • ライフイベント(結婚・出産・離婚など)

とはいえこのようなストレスに対する反応には個人差があり、同じような状況であってもそれをストレスと感じる人もいれば感じない人もいます。

生育環境

幼少期の家庭環境は、成長後の人生や人格に大きな影響を与えると考えられています。例えば幼少期にトラウマ体験をすると、成人後にうつ病を発症するリスクが高まります。また幼少期に次のような逆境体験をすると、成人後にうつ病を発症するリスクが2~3倍に高まるといわれています。

  • 身体的・精神的・性的虐待
  • 家庭内暴力
  • ネグレクト(育児放棄や無視)
  • 親の精神疾患・薬物依存
  • 親の離婚や死別
  • 貧困
  • 同居家族の犯罪

幼少期にこのような家族の問題を抱えた人は、「自分は愛される価値がない」「信頼できる人はいない」という否定的な思考に陥りやすく、その後の対人関係や自己評価に大きな影響を与えます。

遺伝によるもの

うつ病は特定の遺伝子があれば発症するというものではありませんが、いくつかの遺伝子が関与してうつ病に対する脆弱性(かかりやすさ)が遺伝すると考えられています。親や兄弟など二親等以内の血縁者に、うつ病を発症した人がいる場合、そうでない人と比較してうつ病の発症率が2~3倍高くなるといわれています。

これはセロトニンの分泌を調整している3種類の遺伝子(SS型・SL型・LL型)が関係していると考えられます。この遺伝子の中でも、SS型の遺伝子を持つ人は、特に不安を感じやすくうつ病のリスクが高いといわれています。日本人はS型の遺伝子を持つ人が多いので、うつ病に注意する必要があるでしょう。

うつ病の症状

うつ病になると次のような症状が出てきます。このような症状が2週間以上続くような場合には、早めに精神科や心療内科を受診しましょう。

精神的症状 身体的症状
  • 気分の落ち込み
  • 不安感
  • 意欲や興味の低下
  • 喜びを感じなくなる
  • 集中力や思考力の低下
  • 口数が減る
  • 何事も否定的に考えるようになる
  • もう死んだ方がいいと考えるようになる
  • 疲れやすい・だるい
  • 寝つきが悪い・眠れなくなる
  • 過度に寝てしまう
  • 食欲がなくなる・過食
  • 性欲がなくなる
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 動悸
  • 胃の不快感
  • 下痢や便秘
  • めまい
  • 異常な口の渇き

離婚がうつ病の原因になる理由

では離婚とうつ病にはどのような関係があるのでしょうか。

ライフイベント自体が発症を引き起こす

上で少し触れましたが、人生の様々なタイミングで起きる重要なライフイベント自体が、うつ病の発祥の原因となります。例えば次のようなイベントです。

  • 一人暮らし
  • 就職や転職
  • 結婚
  • 出産や育児
  • 家の購入
  • 車の購入や買い替え
  • 子どもの進学や就職
  • 定年退職
  • 親の死去
  • 配偶者の介護

ライフイベントにはうれしいこともあれば悲しいこともあり、自分でコントロールできることもあればできないこともあるでしょう。このようなライフイベントは、うつ病などの精神疾患の発症と密接な関係があるといわれています。

1967年にホームズとレイという研究者が「社会的再適応評価尺度」という研究を発表しました。これはライフイベントによって引き起こされた環境の変化が、心身の健康状態に影響を与えるという考えに基づいたもの。過去10年のライフイベントを調査し、それによるストレスの強さを「結婚」の50を基準として、0~100点の得点で示しています。

配偶者の死 83点
会社の倒産 74点
親族の死 73点
離婚 72点
夫婦の別居 67点

ライフイベントで最も精神的ストレスが高いのは配偶者の死の83点です。続いて会社の倒産や親族の死が続きます。そして離婚は72点と全体の4番目、夫婦の別居は67点と5番目に位置しています。離婚や夫婦の別居は、人生における大きなストレス源の一つであることが分かります。

参考:ライフイベント法とストレス度測定|国立保健医療科学院

離婚でストレスになりやすい要因

離婚はライフイベントにおける大きなストレスになることが分かったところで、具体的にどのようなことがストレスになるのでしょうか。

  • 離婚するかどうかで悩む
  • どうして離婚になってしまったのか考える
  • 相手との離婚の話し合いがうまくいかない・相手が合意しない
  • 離婚の条件が折り合わない
  • 離婚調停や離婚裁判が大変
  • 離婚後の環境の変化についていけない
  • 離婚後の生活がうまくできるか
  • 離婚後の経済的な不安がある
  • 子どもにとって離婚が悪影響にならないか

いずれの場合でも離婚のゴタゴタが長期に及ぶと、精神的苦痛が続きうつ病の原因になってもおかしくありません。心が落ち着かない状態が続き、徐々に眠れない・食欲がないなどの症状に現れてきます。これは離婚を切り出した側も切り出された側も関係なく生じるストレスです。

離婚する人が増えたとはいえ、まだ離婚を「かっこ悪い」「恥ずかしい」という印象を持つ人が少なくありません。そのため周囲に離婚のことを隠したいという人もいて、他人の目が気になったり些細なことに神経質になりがち。このような精神状態も、うつ病の原因となってしまいます。

離婚後に出やすい理由

離婚が無事成立した後も、次のような感情が起きることで抑うつ状態(うつ病の複数の症状が持続している状態のこと)となり、うつ病を発症する原因となる場合があります。

  • パートナーがいなくなって寂しい
  • 相手への怒りが消えない
  • 生活環境の変化
  • 本当は離婚条件に納得していない
  • 離婚を周囲に理解されない・言えない

離婚ストレスの解消法・乗り越え方

では離婚前後で生じるストレスはどのように解消し、離婚というライフイベントをどのように乗り越えていったらうつ病にならないのでしょうか。

誰かに話を聞いてもらう

離婚することやしたことに対する不安や悩みは、信頼できる誰かに話を聞いてもらってストレスを吐き出しましょう。話を聞いてくれる相手は、あなたの言ったことに良い・悪いの判断をせずに、ただ気持ちを受け止めてくれる相手がいいでしょう。信頼できる相手に心のうちを吐き出すことで、心の整理が付くだけでなく自分の本当に気持ちに気づけるようになります。

趣味や仕事に没頭する

離婚のストレスで意欲や興味が低下する前に、仕事や趣味に没頭してください。今までとくに趣味を持たなかった人は、この機会をいいチャンスとして新しい趣味を始めてみるのもいいでしょう。とくに手芸や絵画といった手先を動かす趣味や、スポーツなどの体を動かす趣味は、無心になれる時間があるので離婚のストレスを忘れることができます。

新しい相手を探す

すでに離婚した人は、新しい相手を探すのもいいでしょう。離婚直後はそのような気にならないかもしれませんが、信頼できる新しい相手を見つけられれば、あなたの離婚ストレスが解消される可能性も。相手があなたのストレスを受け止めてくれるなら、その後の人生を一緒に歩んでくれる相手になるかもしれません。

離婚問題に詳しい弁護士に相談

離婚ストレスを軽減したいなら、離婚問題に詳しい弁護士に相談するのがおすすめ。とくに離婚の合意ができない、離婚条件が折り合わない、離婚の法的手続き(調停・裁判)が難しいというときには、離婚問題に精通した法律の専門家の助けが必要です。

あなたの代理人として相手と交渉してくれるだけでなく、適切な離婚条件についてアドバイスを受けたり、裁判所の手続きをスムーズに進めてくれます。離婚のストレスの軽減には、いかにスムーズに離婚できるかにかかってきます。なるべく早い段階で弁護士に相談することで、その後の交渉や手続きがスムーズに進められるでしょう。

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相手のうつ病が原因で離婚できる?

相手のうつ病が原因で離婚を考えている方にとっては、どうすれば離婚できるか知りたいはずです。こちらではうつ病の配偶者と離婚できるかについてや離婚の方法、離婚条件について解説していきます。

相手が合意すれば離婚が可能

配偶者のうつ病が原因で離婚を考えたとき、相手が離婚に合意すれば協議離婚が可能です。協議離婚は日本で9割以上の人が取る離婚の方法。夫婦の合意があれば離婚できるので、最も時間や費用、手間をかけずに離婚できる方法です。ただし未成熟の子どもがいる場合には、父母のどちらを親権者とするか決めないと、離婚届が受理されません。

相手が合意しないときは離婚裁判を起こす

相手が離婚に合意しないときには、最終的に離婚裁判を起こす必要があります。裁判で離婚が認められるには、民法第770条で定められている「法定離婚事由」が必要です。裁判で離婚を求めるためには、法定離婚事由の内容を理解して、離婚が成立する法的条件を満たす必要があります。

離婚裁判で負ける理由については、こちらの記事を参考にして下さい。

「離婚裁判で負ける理由|統計からみる裁判結果と裁判を進めるコツ&負けたときの対処法とは」

5つある法定離婚事由

民法第770条で定める法定離婚事由には、次の5つがあります。

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

 

引用:民法|e-GOV法令検索

1番目の「不貞な行為」とは、配偶者以外の人と任意で性的関係を持つ浮気や不倫のこと。2番目の「悪意の遺棄」とは夫婦の同居・協力・扶助義務を正当な理由なく放棄する行為です。そして5番目のその他婚姻を継続し難い重大な事由とは、上記4つに当てはまらないものの、夫婦の現状に鑑みて婚姻生活を継続するのが難しいと判断されときは離婚が認められます。

離婚裁判にかかる期間について知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚裁判の期間を手続きの流れごとに解説!長引くケース・期間を短縮する秘訣とは?」

うつ病は「強度の精神病」になる?

法定離婚事由の4番目に「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」とありますが、うつ病は強度の精神病に当てはまるのでしょうか。うつ病が強度の精神病と認められれば、裁判で離婚が認められるはずです。過去の判例で離婚が認められた「強度の精神病」には、次のような病気があります。

  • 統合失調症
  • 双極性障害
  • 偏執病
  • 老人性精神病
  • 認知症

上記の精神疾患のうちでも、回復の見込みがないほど症状が重いものが該当します。一方でノイローゼやアルコール依存症、薬物依存症では離婚は認められません。そしてうつ病も回復の可能性がある精神疾患という認識から、離婚が認められる可能性が低いのが現状です。

配偶者の認知症で離婚が認められるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「配偶者の認知症を理由に離婚は認められる?認知症の度合に応じた対処法も紹介」

婚姻を継続しがたい重大な事由が必要

うつ病が強度の精神病に当てはまらない場合でも、婚姻を継続し難い重大な事由があれば裁判で離婚が認められる可能性があります。婚姻を継続し難い重大な事由となるのは、次のようなケースです。

  • 暴言や暴力がある
  • 働かず家計を維持できない
  • 理由も言わず家を飛び出した
  • 度重なる自殺未遂
  • 性的不一致(セックスレス・性的異常など)
  • 過度な宗教活動
  • 親族との不和(嫁姑問題など)
  • 犯罪による服役
  • 長期(5年~10年)にわたる別居

ここでポイントになるのが、長期にわたる別居です。元々の別居原因が相手のうつ病であったとしても、5年~10年の別居期間があればもはや夫婦関係の修復は望めないとして、離婚請求が認められる可能性があります。

相手のうつ病で離婚するための条件

相手のうつ病が回復の見込みがないほど強度の場合、法定離婚事由の4番目の理由で離婚が認められる可能性があります。しかし配偶者が強度の精神病であるだけでは離婚が認められないことが通常です。病気の要件にプラスして、次のような条件を満たす必要があります。

献身的に支えていたという実績

うつ病の相手と裁判で離婚するには、離婚までの間に献身的に支えてきたという実績が必要です。本来夫婦には同居して協力し助け合いながら夫婦関係を維持・継続する義務があります。夫婦の片方がうつ病で働けなくなったり、家のことができない場合でも、夫婦で協力して乗り越えられるように努力しなければならないからで。

そのためにはまず相手の病気の治療のために力を尽くして、家庭を維持するために努力してきたことを証明する必要があります。具体的には次のような証拠の提出が求められます。

  • 看病しても回復の見込みがない状態であること(医師の診断書)
  • 相当期間を看病してきたこと(日々の出来事や生活を日記として残す)
  • うつ病により婚姻生活を継続するのが難しいこと(日々を記録した日記や別居を証明できるもの)
  • これ以上夫婦関係の維持を求めることが酷であること(自身の体調を崩したという診断書や相手の暴言・暴力の証拠)

このような書類を裁判所に提出し、これ以上婚姻生活を継続するのが難しいと判断されれば、離婚が認められるようになります。

離婚後の相手の生活に支障がないこと

うつ病の相手との離婚が認められるためには、離婚後の相手の生活に支障がないことが条件です。裁判所では自分だけで生活を成り立たせるのが難しいうつ病の患者を、離婚によって社会に放り出すことができないと考えているため。離婚後もうつ病の相手が安心して生活できることを証明する必要があります。

  • 離婚後に面倒を見てくれる人がいる証拠(両親との同居が確認できる書類)
  • 離婚後に介護施設に入所できる証拠
  • 金銭的に困窮しないことを証明できる証拠(障害者年金の記録など)

場合によっては、離婚後も何らかの金銭的援助が必要になる可能性があることを覚えておきましょう。

うつ病の相手と離婚するポイント

うつ病の相手と離婚するには、次のようなポイントがあります。

離婚したい理由をよく考える

うつ病の配偶者と離婚するには、離婚したい理由を今一度よく考える必要があります。配偶者がうつ病になったとたんに離婚したいと考える人は少ないでしょう。離婚の二文字が頭をよぎるようになるまでには、様々なことがあったのではと想像できます。

例えば進言しても病院に行ってくれない、薬をきちんと飲んでくれないといったことがあったかもしれません。また懸命に看病してきたにもかかわらず「あなたのせいでうつ病になった」と責められたケースもあるかもしれません。そばにいて寄り添っていても、一向に回復する兆しがなくこちらまで精神状態がおかしくなってしまうことも少なくありません。

あなたが離婚を決意した経緯をもう一度振り返ってみましょう。法定離婚事由の強度の精神病に当てはまらない場合でも、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」を理由として離婚を申し立てられる可能性があるかもしれません。

話し合いが難しいときは成年後見人を立てる

うつ病の配偶者との話し合いが難しいときには、成年後見人を立てる必要があるでしょう。成年後見人とは痴呆症や精神疾患などで判断能力が低下している人を支援するための制度。預貯金などの金銭の管理や人権を保護するため、法的手続きを代理で行うための制度で、家庭裁判所に申し立てて審判を受ける必要があります。

申し立てから開始までの期間は3~4カ月かかるので、必要なときには早めの対応を検討してください。成年後見人には、本人の判断能力に応じて次の3つから選ぶことができます。

正しい判断が常に困難な人が対象 後見
軽度の精神疾患などで判断能力不十分な人が対象 補助
精神上の障害によって判断能力が著しく低下した人が対象 保佐

できるだけ証拠をそろえる

離婚裁判になったときに備えて、できるだけ証拠をそろえておきましょう。具体的に第三者が「離婚した方がいい」と判断できるような証拠が必要です。離婚裁判以前の調停でも、しっかりした証拠があれば調停委員や裁判官が「離婚すべきだ」と相手を説得してくれる場合も。次のような証拠があると、離婚を有利に進められます。

  • うつ病の治療・入院履歴
  • 回復の見込みがないことが明記された医師の診断書
  • 発病前後で受けた暴力や暴言の詳細が分かるもの(写真・診断書・音声など)

配偶者のうつ病で離婚すべきタイミング

「夫婦なんだからうつ病の配偶者を支えなければ」と考える人もいるでしょう。しかし次のようなことが起こったときには、真剣に離婚について考えるタイミングなのかもしれません。

収入が途絶えて生活できない

経済的な問題で家庭を維持できなくなったときには、離婚について真剣に考えた方がいいでしょう。とくに主な収入を頼っていた側がうつ病にかかると、仕事ができなくなって収入が途絶えるケースがよくあります。完全に収入が無くならないまでも、生活費が足りなくなってしまうことが少なくありません。

このようなときは借金してまで家計を維持するべきではありません。また自分が働いて家計を支えようと思っても、看病をしながらでは無理は禁物です。家庭が崩壊して家族全員が路頭に迷うくらいなら、早めに見切りをつけて離婚した方が家族全員のためになる場合もあります。

子供に影響が出たとき

子どもに悪い影響が出たときも、離婚を決意するタイミングです。子どもは親が考えている以上に周りをよく見て状況を正確に把握しています。親がうつ病になって家に閉じこもるようになったり、夫婦仲が悪くなったらどれだけ繕っていてもすぐに子どもは気が付きます。

うつ病のことを理解できない子どもは、親の様子がおかしくなったり不仲になったことを自分のせいだと思い込んで自分を責めてしまう可能性も。配偶者がうつ病になるとどうしても相手のことに関心が向いてしまいますが、子どもの変化にも目を向けることが大切です。

以前は明るかったのに無口になったり食欲がなくなったりした場合には、子どもがストレスを感じている証拠です。急におねしょをしたりチック症状が出ていないかなどをチェックして、異変があるときには別居や離婚を視野に入れた方がいいタイミングかもしれません。

自分もうつ病になりそうなとき

自分もうつ病になりそうなときは、相手と離れる必要があります。うつ病の配偶者が家にいると毎日が大変です。家事も育児も相手の看病も仕事も全部ひとりでこなさなければならず、精神的・肉体的ストレスがかかります。無理をすると自分も倒れてしまったり、同じように抑うつ状態になることも。

一度うつ病になってしまうと、たとえ離婚できてもその後ずっとうつ病を抱えて生きていかなければなりません。離婚後の子どもに対する影響もより大きくなります。相手の看病や仕事などで「疲れたな」と感じたら、うつ病になる前に離婚を考えた方がいいでしょう。

離婚に悩む人の決め手について知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚に悩む人の決め手は?決断を後押しする理由と後悔しない6つのポイント」

自分のうつ病で離婚を要求されたら?

逆に自分がうつ病になって相手から離婚を要求されたときは、どうしたらいいのでしょうか。

慰謝料請求の可否

自分がうつ病になって相手から離婚を要求されたときには、相手に慰謝料を請求できるのでしょうか。結論から言うとうつ病になったからという理由だけでは、慰謝料請求が認められません。というのも慰謝料が発生するためには相手が不法行為を行ったという有責性が必要になるため。自分がうつ病になったのは、相手の責任とはいえないのが一般的だからです。

うつ病になった原因によっては請求可能

しかし自分がうつ病になった原因が、相手の不法行為によるものだったときには、慰謝料請求が可能です。相手の不倫やモラハラ、DVが原因で精神的苦痛を受け、結果としてうつ病になったような場合です。とくに離婚慰謝料を請求する場合、相手の不法行為が原因でうつ病を発症したと認められれば、慰謝料金額が増額できます。

うつ病になったことで精神的苦痛が大きかったと判断できるためです。一方で離婚原因が性格の不一致や相手の親との不仲というだけでは慰謝料は認められません。

嫁姑問題で慰謝料請求を考えている人は、こちらの記事を参考にしましょう。

「嫁姑問題を理由に離婚や慰謝料請求をしたい!離婚を決断する前にすべきことは」

【原因別】慰謝料相場

離婚慰謝料は、その原因によって請求できる相場の金額が変わってきます。こちらは離婚原因や慰謝料請求の原因となりやすい理由ごとの、慰謝料相場です。

慰謝料を請求できる原因 相場金額
不貞行為(浮気や不倫) 100万円~300万円
モラハラ 50万円~300万円
DV(暴言や暴力) 50万円~300万円
悪意の遺棄 50万円~300万円
性行為の拒否 0円~100万円

こちらの金額はあくまでも目安です。婚姻期間の長さや子どもの有無、不法行為悪質度合いや相手の支払い能力などによって請求できる金額が変わってきます。また不法行為の回数・期間や離婚に至ったかどうかによっても金額が変動するのが一般的です。

うつ病で離婚する時の慰謝料相場については、こちらの記事を参考にしてください。

「うつ病で離婚するときに慰謝料は発生する?状況別の相場や請求方法、条件を解説」

慰謝料請求に必要な証拠

相手の不法行為によりうつ病になり、相手から離婚を要求されたときには、慰謝料請求のために次のような証拠を確保しておきましょう。

医師の診断書 うつ病になる程、心身に悪影響があったという証拠になる
DVでケガをしたときの診断書も有効
病院の通院歴が分かるもの 病院の診療明細書・処方された薬の内容が分かる書類
通院時期や通院回数が分かるもの
医師やカウンセラーに相談したことが分かるもの
写真 DVを受けたときのあざや傷の写真
浮気相手とホテルを出入りしているところが分かる写真
音声や動画データ DVやモラハラを受けたことが分かるもの
不貞行為を認めた内容の音声
不貞行為していることが分かるもの
性交渉を拒否されたことが分かるもの
LINEやメールの内容 不貞行為を裏付ける内容のもの
性交渉を拒否されたことが分かるもの
日記やメモ 日頃の相手の言動が分かる内容
自分の気持ちを綴ったもの
警察や相談センターへの相談履歴 DVを受けて警察に相談したこと
相手のことで悩んでいるという相談をした履歴
離婚を考えていることを相談した内容

日記やメモに相手の言動などを記すときには、相手の言った言葉などなるべく具体的に記録してください。好意があった日だけでなく、何もなかった日も継続的に日記をつけていくと、どのくらいの期間にどのくらいの頻度で行われていたかが分かります。

LINEで浮気の証拠を見つける方法については、こちらの記事を参考にしましょう。

「LINEで浮気の証拠を見つける13の方法|見つけた後にすべきことや注意点とは?」

子供の親権に不利になる?

夫婦の間に子供がいる場合、自分の病気のせいで親権争いに不利になるのではと心配になる人もいるでしょう。しかしうつ病だからといって、子どもの親権が取れないとはなりません。中には様々な精神疾患を抱えながら親権者となり、離婚後も子どもを育てている人がたくさんいます。

具体的事情によって決定

親権は子どもと親、両方の具体的な事情によって総合的に判断されます。もちろんうつ病の人よりはうつ病でない人の方が親権獲得に有利です。しかし親権を判断するときには、子どもにとっての幸せを含めて総合的に判断されるのが一般的。こちらは親権を判断する場合の親と子の事情です。

親側の事情 子どもの事情
  • これまでの養育実績
  • 子どもとの関係
  • 現在子どもと同居しているか
  • 子どもを育てる意欲があるか
  • 住居・教育・経済状況が整っているか
  • 実家の親や親族の協力が得られそうか
  • 面会交流に対する考え方
  • 子どもの年齢
  • 子どもの性別
  • 兄弟姉妹の有無
  • 心身の発育状況
  • 環境への適応状態
  • 子ども自身の意思

子どもの年齢が低いほど、これまで主として子どもの養育をしてきた母親側が親権獲得に有利です。またうつ病で十分に収入が得られそうもないときでも、実家の経済的援助が期待できれば親権獲得に不利になりません。いざというときに周囲に頼れる人がいれば、うつ病があっても親権を獲得できるでしょう。

親権争いで母親が負けるケースについて知りたい方は、こちらの記事を参考にして下さい。

「親権争いで母親が負ける理由とは?親権争いを勝ち取る6つの対策も解説」

うつ病で養育費が支払えないときは?

自分が養育費を支払う側の場合、離婚後に養育費を支払っていけるか不安に感じるかもしれません。うつ病などで無職になった場合でも、養育費の支払い義務はなくなりません。しかし養育費の金額を減額できる可能性があります。

というのも養育費は多くの場合子どもが大きくなるまで長期にわたって支払う性質のものであるため、それまでの間に事情が変わることが珍しくありません。そしてやむを得ない事情があるときには、離婚時に決めた養育費の金額を減額できという訳です。

相手に養育費の減額を求めるには、当事者同士で直接協議するか、家庭裁判所に養育費減額調停を申し立てるという方法があります。いずれの場合でも、どのような事情変更があったかという点や、事情変更後の収入をどのように見るかという点がポイントになります。

再婚で養育費を減額できるかや減額請求の方法については、こちらの記事を参考にしましょう。

「再婚で養育費を減額できる?減額請求の方法と勝手に減額されたときの7つの対処法」

困ったら弁護士に相談

自分のうつ病が原因で離婚を要求されたときには、弁護士に相談してください。うつ病になった原因によっては、相手に慰謝料を請求できる可能性があります。慰謝料請求に必要な証拠の確保の仕方や慰謝料請求方法をアドバイスしてもらえるでしょう。

また子どもに親権が取れるか心配な方も弁護士に確認してみましょう。現在の病状を踏まえて、親権獲得に有利になる方法を教えてもらえるはず。離婚後の養育費の支払いが苦しい方は、養育費減額調停の手続きを弁護士に依頼してください。弁護士が裁判所の手続きややり取りを代行してくれるので、ご自身はうつ病の治療に専念できます。

離婚問題を依頼した弁護士を変えたいという方は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚問題を依頼した弁護士を変えたい!変更の手順や注意点は?払った着手金はどうなる?」

まとめ

離婚のストレスでうつ病になりそうという方は少なくありません。うつ病の原因は様々あるものの、離婚自体が大きなストレスとなるため。気分の落ち込みや不眠、食欲不振などの身体的症状が2週間以上続く場合にはうつ病が疑われます。なるべく早めに医療機関を受診してください。

離婚のストレスでうつ病にならないためには、信頼できる相手に話を聞いてもらい、趣味や仕事に没頭するのがおすすめ。早めに弁護士に相談するのも有効です。相手のうつ病で離婚を考えている人は、離婚したい理由について再考し、裁判で離婚が認められそうか確認してください。

自分のうつ病が原因で離婚になりそうなときには、慰謝料を請求できるかや親権が取れそうかなどをチェックしましょう。自分一人でどうしたらいいか分からない、うつ病で思うように動けないという方は、離婚問題に詳しい弁護士に相談したうえで、様々な手続きを依頼するのがベストでしょう。

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