【離婚したい人向け】別居前にやること・準備マニュアル|知っておくべきポイント・注意点とは

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  • 「離婚を前提とした別居に必要な準備とは?」
  • 「離婚を有利に進めるために別居前にやっておいた方がいいことを知りたい」

別居から離婚へと進める場合、別居準備はとても大切です。離婚後の生活をスムーズにするためだけでなく、離婚条件を有利に進める上でも重要に。そこでこちらの記事では、離婚したい人向けに別居前後でやった方がいいことを詳しく解説していきます。

さらに別居前に決めた方がいい事柄や注意点についても紹介。DVなどよほどの事情がない限り、別居前にはある程度の準備期間が必要です。その間にしっかりと別居準備を進め、後悔しない離婚を目指しましょう。

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別居前に決めるき10のこと

離婚を前提とした別居前には、後のために様々なことを決める必要があります。やるべきことをスムーズに行うためにも、時間をかけて検討したうえで決めていきましょう。

別居開始のタイミング

まずは別居開始のタイミングをいつにするか決めていきます。別居するには引っ越し費用や離婚までの間の生活費も必要です。荷物の整理や持っていくものの選定、離婚に関する資料集めなどした方がいいでしょう。そうした別居前の準備にどのくらいの期間かかるかで、別居開始のタイミングを決めていきます。

また子どもがいる場合は、子どもの負担がなるべく少ない時期に別居をすべきでしょう。子ども自身が転居する場合はもちろんのこと、片方の親が家を出て子どもが今の自宅に残る場合でも、子どもにとっては大きな環境の変化になるからです。子どもの中には家のことが気になって勉強に手がつかなかったり、今まで夢中だったことに無気力になることも。

子どもには時間をかけて説明し、家を出る説得もしなければなりません。もちろんDVなど、今すぐにでも家を出た方がいいケースはこの限りではありません。また子どもへの負担が大きな時期であっても、親のメンタルが耐えきれない場合もあるでしょう。別居時期に「絶対」はありません。よく考えて自分たち家族にとってベストなタイミングを選びましょう。

どちらが今の家を出るか

別居前には別居後(離婚後)の生活も踏まえて、どちらが今の家を出るかについてもよく話し合って決めてください。何となく今の家に残った方がいいのでは?と考える人もいるでしょうが、賃貸の場合は別居後も家賃を払い続けることができるでしょうか。住宅ローンが残った家に住む場合は、どちらが返済を負担するかについても決める必要があります。

また別居によってワンオペ育児になる方は、助けてもらいやすい実家の近くに転居した方がいいかもしれません。単純に嫌な思い出のある家に住みたくないという人もいるでしょう。子どもの生活環境をなるべく変えたくないという場合は、子どもの親権を持つ側が自宅に残れるように話し合ってください。

住宅ローンや家賃はどちらが負担するか

どちらが出ていくか決まったら、今住んでいる家の家賃や住宅ローンはどちらが負担するかについても決めていきます。賃貸に住んでいる場合、名義人である配偶者が家を出て家賃を払わなくなったら契約違反となります。場合によっては督促を受けたり家を追い出される可能性も。

住宅ローンはローン名義人が住む家に対する貸付なので、こちらも契約違反となって裁判を起こされる可能性があります。家を出ていく側が名義人の場合、住み続ける側に名義を変更する手続きが必要だったり、別居先での家賃を払いながらローンも支払うという二重生活になるというケースも。どちらがどのように負担するかについても、別居前に十分に話し合っておいてください。

住宅ローンが残った家に住む方法については、こちらの記事を参考にしましょう。

「住宅ローンが残った家に離婚後も妻が住む方法|ケース別対処法と知っておくべき注意点」

子どもはどちらと住むか

夫婦の間に子どもがいる場合、子どもはどちらの親と一緒に住むかも決めなければなりません。一般的にはこれまで主に世話をしてきた方(主たる監護者)の親と暮らすことが子どものためになると考えられています。夫婦が協力して子育てしてきた共働き世帯の場合には、別居しても双方が子どもをサポートできるよう、近くに住むという選択肢もあります。

子どもがどちらの親と住むのかを決める場合、大切なのは親自身がどうしたいかではなく、子どもの生活や成長のためにはどうするのがベストなのかという視点で考えるようにしましょう。

父親が親権をとるためにすべきことは、こちらの記事を参考にしてください。

「子持ち男が離婚を決めるとき|離婚を決めた後にすべきこと&親権を取るための方法とは?」

子どもの連れ去りとみなされないために

子どもを連れて別居するときには、連れ去りとみなされないための準備が必要です。とくに相手が「親権は絶対に譲らない」と言っている場合、無理やり子どもを連れて別居してしまうと、違法な連れ去りと解釈されてしまう可能性も。

こちらは子どもを連れて別居する場合に、違法となるケースとそうでないケースです。

違法となるケース 違法とならないケース
普段子どもの面倒を見ていないのに突然子どもを連れ去った

子どもが今の家を出たくないと言っているのに無理やり連れて出た

子どもの通園・通学中に車で連れ去った

子どもを連れ去るときに配偶者や子どもに暴力を振るった

同居中子どもへの虐待があった

相手からのDVがあり、子どもがおびえていた

ある程度の年齢になった子どもが家を出たいと言っていた

普段から子どもの世話をしている側が子供を連れて出た

いずれにしろ、子どもの親権者は「どちらと住むのが子供のためになるか」という観点で決めるべきで、相手に負けたくないという意地や見栄の気持ちで決めてはいけません。たとえ子どもと暮らせなくて寂しくても、相手が親権者になった方が子どもにとって良いのであれば、相手に譲る姿勢が必要です。

別居後の生活について

別居するタイミングでは、別居後の自分の生活費と相手の生活費がどのくらいになるかをしっかり試算したうえで、双方の収入状況を踏まえて、離婚までの間の生活を維持できるか検討しましょう。夫婦には相互に扶助義務があり、別居中であっても相手にも自分と同等の生活をさせなければなりません。

共働き世帯で夫婦の収入が同等の場合はいいですが、妻が専業主婦だったりパートやアルバイト勤めのときには、収入の多い夫の方が、「婚姻費用」として妻の生活費を負担する義務が生じます。また子どもを連れて別居する側には、子どもの養育費を支払う必要もあります。

女性のための離婚準備については、こちらの記事を参考にしましょう。

「【完全版】女性のための離婚準備マニュアル|スムーズかつ有利に離婚するために必要なこととは?」

別居時に持っていくもの

離婚を前提とした別居のために家を出ると決めたら、別居時に持っていくものをリストアップしてください。というのも別居時の荷物の持ち出しはトラブルになりやすく、後の離婚までの流れをスムーズに進められるかに大きく影響するため。

一日も早く離婚したいあまりに、着の身着のまま家を出てしまうと別居後の生活が不便になります。また別居後に離婚協議が始まってしまうと、家に物を取りに戻るのが気まずかったり家に入ること自体を拒否されたりする可能性も。とくに子どもの持ち物に関しては、再購入すると金額が大きくなったり無いと勉強に困るものがあるため、忘れずにリストアップして持っていきましょう。

生活必需品
  • 公的な身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)
  • 社会保険関係の証書(健康保険証・年金手帳など)
  • 最低限の衣類
  • 常備薬
  • 化粧品
  • お薬手帳
子どもに関するもの
  • 母子手帳
  • 学生証
  • 学習教材(教科書・ノート・筆記用具など)
  • 通園・通学に必要な物(ランドセル・カバン・制服など)
  • 育児に必要なもの(哺乳瓶・ミルク・オムツなど)
  • 思い出の写真や物
  • よく遊ぶおもちゃ
財産的価値の高いもの
  • 現金
  • 財布
  • スマートフォン
  • 預金通帳・キャッシュカード
  • クレジットカード
  • 実印
  • 貴重品(宝石・貴金属など)
  • 生命保険の証書
記念品・思い出の品
  • 独身時代の思い出の品
  • 親の形見
  • 子どもの成長記録や写真
  • もらったプレゼントなど

持ち出すべきでないもの

一方で、別居時に持ち出してはいけないものもあります。これらを持ち出すとトラブルや争いの元になる可能性が高いため、持ち出さずに証拠として写真を撮るなどしておきましょう。

相手の特有財産 特有財産は財産分与の対象外

勝手に持ち出すと窃盗罪として通報されたり、損害賠償請求をされる可能性がある

  • 相手名義の預金通帳
  • 相手名義の生命保険証書
  • 相手方が結婚時持ってきた家電や家具など
共有名義の財産 共有名義は1/2ずつ分配するのが財産分与の基本だが、別居時に持ち出すのはNG

対象財産や基準時、評価額などに対立が生じる可能性がある

  • 同居していた自宅の不動産権利証
  • 結婚後に相手が購入したもの
  • 家族で一緒に使っていた家具や家電など
必要性が低いもの 離婚とは別に荷物の持ち出し自体が問題となり、肝心の離婚の話し合いがストップしてしまう可能性がある
  • 無くても困らない生活用品
  • 財産分与や婚姻費用として認められる範囲を超えた財産的価値の高いもの

別居費用の負担について

別居のためには転居先の家賃や敷金礼金、引っ越し費用が必要です。これら別居費用をどちらが負担するかも、あらかじめ決めた方がいいでしょう。別居費用は、家を出ていく側が負担するのが原則。しかし状況に応じて相手に負担してもらったり、夫婦の共有財産から支出することも可能です。

また双方が転居する場合には、今住んでいる家を引き払うための費用も必要です。賃貸ならばクリーニング費用や修繕費用が発生します。また家財道具の処分に費用がかかる場合もあるでしょう。これらの費用もどちらがどのように負担するかも検討してください。

別居先を知らせるかどうか

離婚を前提とした別居をした後は、相手に別居先を知らせるかどうかという問題が発生します。通常のケースでは離婚協議や子どもの親としての関係が続くため伝えるべきでしょうが、同居時にDVや子どもへの虐待があった場合や、ストーカー行為等の嫌がらせが予想されるときには、別居先を知らせるとトラブルの恐れが。

役所に異動届を提出するときに、住所を秘匿する手続き「住所・氏名等の秘匿制度」を取っておくといいでしょう。自分では対処できそうもないときには、弁護士に対応を依頼する方法も。相手に別居先を知らせずにこっそり転居したいときには、置手紙等で今後の連絡先を弁護士に指定する方法がおすすめです。

別居後の子どもとの交流について

別居か離婚かに関係なく、子どもと別に暮らす親と子どもとの交流方法についても、別居前に取り決めておきましょう。別居中に面会交流を行うことで、離婚協議がスムーズに進む可能性があります。逆に別居中に十分に子どもと会えていないと、「離婚したらさらに会えなくなるのでは」と離婚そのものに反対されたり、親権争いに発展することも。

子どもとの交流は、離れていても親子の関係は切れないと実感できる良い機会です。親にとってはもちろん、子どもにとっても大切なもの。たとえ離婚前でも面会交流は子どもの権利でもあり、子どもの利益を最優先に考えるべきでしょう。

面会交流に第三者機関を利用したいという方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「面会交流の第三者機関とは|組織の種類と支援内容・費用相場を知り利用するかどうか検討しよう」

【生活編】別居前にやること

別居後の生活に備えて、別居前から次のようなことをやってください。

住まいの確保

今住んでいる家から転居する予定の方は、別居後の住まいを確保しなければなりません。実家に戻るという方以外は、賃貸を借りることが予想されますが、子どもの学区や仕事先までの通いやすさを加味して、新しい住まいを探してください。

今まで専業主婦だった方は、収入が無いという理由から賃貸物件を契約できない可能性があります。家を探す前に安定した収入を得られる仕事が先決です。一時的な別居であれば、家具家電付きのウィークリーマンションを利用するという方法があります。

別居費用・生活費の確保

離婚を前提とした別居をする場合、引っ越し費用や敷金礼金、前家賃や当面の生活費などが必要です。借りる家や状況にもよりますが、100万円ほどかかると考えてあらかじめ準備しておきましょう。自分名義の預貯金がない場合は、100万円ほど貯めてから別居を実行に移してください。

自分名義の通帳に、相手に気づかれないように準備してください。離婚協議がまとまらずに調停や裁判に移行したときには、余計に費用がかかります。別居費用は余裕をもって確保してください。

婚姻費用

上で少し触れたとおり、別居中であっても夫婦には互いに生活を保持する義務があります(生活保持義務)。よって夫婦のうち収入の少ない側は多い側に対して、生活費として婚姻費用を請求できます。婚姻費用の支払いを受けられるのは、請求した時点から離婚が成立するまでもしくは、別居を解消するまでです。

婚姻費用は過去にさかのぼって請求できないので、別居を開始したら早めに請求しましょう。婚姻費用は夫婦の収入や子どもの人数、年齢をもとに算出します。具体的な金額は裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」を参考にしてください。

婚姻費用を請求する流れは、①夫婦間での協議、②婚姻費用分担請求調停、③婚姻費用分担請求審判という順です。夫婦間での協議や調停では、双方が合意すれば金額が決定します。調停でも決まらない場合は最終的に審判に移行して、裁判所が判断します。

仕事を見つける・転職

専業主婦(主夫)の場合やパート、アルバイトとして働いている方は、別居前に職探しや転職を検討しましょう。別居中は婚姻費用を請求できるものの、相手がすぐに支払ってくれるとは限りません。離婚後の生活基盤を整えるためにも、自分で安定した収入を得られる手段を確保しましょう。

今はスマホやパソコンから簡単に求人情報を確認できます。ハローワークに足を運べば、職員に相談しながら自分にあった仕事を探せます。このようなサービスを積極的に利用して、早めに仕事を見つけるようにしてください。

子どもへのケア

子どもを連れて別居する方は、子どもへのケアも忘れずに。両親が喧嘩ばかりで家庭の中が冷え切っていると、子どもは不安定になってしまいます。一方で別居して生活環境が変わることもまた子どもにとってストレスです。別居する前から時間をかけて、お父さんとお母さんは一緒に暮らせなくなったから別の家に引っ越すことなどを説明してください。

このとき、両親は変わらず子どもを愛しているということを伝え、別居は子どものせいでないことも伝えましょう。転居に伴って転園・転校が必要なときには、それらの説明も必要です。ある程度の年齢の子どもの場合、親の気持ちを押し付けるだけでなく、子どもの意思を尊重する姿勢もときには大切です。

子どものメンタルに配慮した伝え方やケアの方法は、こちらの記事を参考にしましょう。

「【離婚】メンタルに配慮した子供への伝え方&ケアの方法|離婚が子供に与える影響と伝えるときの注意点」

【離婚に向けて】別居前にやること

離婚を前提とした別居をするときには、スムーズに離婚するために次のようなことをしておきましょう。

証拠の確保

相手の不倫(不貞行為)やDV、モラハラや悪意の遺棄などが原因で離婚を検討しているときには、別居前にこれらの証拠を確保しておきましょう。相手が離婚原因となった行為を認めないときには、離婚請求や慰謝料請求をする側がそれらの事実を立証しなければなりません。

別居してしまうと相手の行動を把握しにくくなったり、証拠を確保するのが難しくなるので、なるべく別居前に証拠を確保する必要があります。具体的には次のようなものが、法的に有効な証拠になります。

不貞行為
  • 浮気相手と一緒にラブホテルに出入りしている動画
  • 性行為中やそれに近い写真・動画
  • 興信所や探偵事務所の調査報告書
  • 泊りがけで旅行に行ったときの写真
  • ホテル支払の領収書やクレジットカードの利用明細書
  • LINEやメールでのやり取り
  • ICカードやETCの位置情報
  • 浮気について認めた内容の音声・書面
DV・モラハラ
  • 怪我をしたことが分かる医療機関の診断書
  • 怪我をした箇所や荒らされた室内を写した写真・動画
  • 暴言や暴行の様子を録音した音声データ
  • 着信履歴・LINEやメールでのやり取り
  • 経済的DVが分かる家計簿や通帳などの資料
  • 警察・専門機関への相談履歴
  • 第三者の証言
  • 普段の生活やDV行為の詳細を記した日記・メモ
悪意の遺棄
  • 勝手に家を出ていったことが分かる状況証拠
  • 不倫相手と一緒に暮らしていることが分かる住民票
  • 生活費を入れてくれないことが分かる通帳の取引履歴、家計簿など
  • 家事や育児をしていないことが分かる写真や動画
  • 働けるのに働けないことを証明する診断書や健康診断の結果など

DVの証拠の残し方については、こちらの記事を参考にしましょう。

「DVの証拠の残し方|離婚に有利になる10種類の証拠の取り方&証拠を集めるときの注意点とは」

相手の収入調査

離婚後に請求できる婚姻費用や離婚後の養育費は基本的に夫婦の収入から算出します。適正な金額に取り決めするためには、正確な相手の収入額が必要に。また財産分与のときにも、相手の正確な収入額や預貯金額は必須です。同居中に相手の収入が分かる次のような資料を事前にコピーするなどしましょう。

  • 直近の源泉徴収票
  • 直近3カ月程度の給与明細
  • 直近の確定申告書・課税証明書
  • 夫婦共有口座や相手名義の口座の預貯金通帳

とくに収入が複数ある場合には、収入の一部を隠している可能性があります。別居前に収入に関する資料を確保しておきましょう。

財産調査・共有財産の把握

離婚時には、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた共有財産について財産分与を行うのが一般的です。双方の収入や仕事にかかわらず、半分ずつにするのが原則。財産分与で損をしないためには、共有財産の調査によって内容の把握が必要です。

  • 預貯金(通帳のコピー)
  • 収入を証明する書類(源泉徴収票・確定申告書・納税証明書など)
  • 不動産登記簿
  • 生命保険証書
  • 証券口座に関する書類

具体的にどのような財産があり、それらの評価方法はどうしたらいいのか確認しましょう。

財産の種類 評価方法
住宅などの不動産
  • 離婚当時の評価額を参考にするのが一般的
  • 住宅ローンが残っている場合は、離婚時のローン残額を負債として計算
  • 不動産の名義や住宅ローンの名義、離婚後にどちらが住むのかなどを考慮して分与する
自動車
  • 離婚時の査定額を評価額として計算
  • ローンが残っているときの考え方は、住宅ローンと同じ
株式などの債権
  • 離婚時の時価を評価額として計算
学資保険、生命保険などの解約返戻金
  • 結婚後の期間に相当する部分が財産分与の対象
  • 離婚時の解約返戻金の金額をもとに計算
貴金属などの動産
  • 離婚時の査定額を評価額として計算
  • ただしプレゼントした物や贈与した物の場合は、特有財産とみなされることもある
退職金
  • 結婚後の期間に相当する部分が分与の対象
  • 将来受け取る予定の退職金の場合は、確実に支払われるといえるケースに限られる
年金分割
  • 婚姻期間に納付した厚生年金の納付記録を離婚後に分割する手続き
  • 分割方法により「合意分割」と「3号分割」の2種類がある

財産分与時の口座整理の注意点については、こちらの記事を参考にしましょう。

「【離婚前】口座整理の注意点とは?ケース別・口座整理のポイントとよくある疑問質問にお答えします!」

離婚届不受理申請書の提出

別居中、離婚条件も決まっていないのに相手が勝手に離婚届を提出する恐れがある場合には、役所に「離婚届不受理申請書」をあらかじめ提出しておきましょう。この手続きをしておくことで、相手が無断で離婚届を提出しようとしても、窓口で受理してもらえません。

親権獲得のために

子どもの親権を獲得するためには、親権者の条件を把握する必要があります。夫婦の協議で決められないときには、具体的に次のような状況を勘案して親権者が決定されます。

母性優先の原則 子どもの年齢が低いほど、母親が親権を持つ方が相応しいという考え

ただし最近では、父親であっても母親の役割を果たせる場合は、父親に親権を認める判例が出ている

継続性の原則 子どもの養育環境に大きな変化がないことが望ましいという考え

離婚前もしくは別居後の生活が安定していたと判断されれば、それらの生活を維持できる方が子どものためになるとみなされる

兄弟姉妹不分離の原則 子どもが複数いる場合は、一緒に育ってきた兄弟姉妹と離婚後も暮らせるほうが子どものために望ましいという考え
これまでの監護実績 離婚前まで適切に子どもの世話をしてきたという実績が重要視される
親権者の健康状態 子どもを適切に養育するためには、親権者の心身の健康状態も重視される

病気で入退院を繰り返しているケースや、精神疾患のため安定して子どもを養育できないような場合には、親権者としてふさわしくないと判断される

子どもの意思 15歳以上の子どもの場合、裁判所はどちらの親と一緒に暮らしたいか確認し、子ども自身の希望が重視される
面会交流についての寛容性 別居親との定期的な面会は子どもの心身の成長においてとても重要だという考えから、離婚後の面会交流により協力的な親の方が親権獲得に有利になる

親権争いで母親が負ける理由については、こちらの記事を参考にしましょう。

「親権争いで母親が負ける理由とは?親権争いを勝ち取る6つの対策も解説」

【別居後】やることリスト

無事に別居に踏み切れた後は、次のような手続きを進めていきましょう。

住民票の異動

元の家から引っ越しして14日以内に、役所で住民票の異動手続きを行います。この手続きをすることで、子どもの転園や転校手続き、公的機関からの郵便物の受け取り、児童手当の受給者変更などがスムーズにできます。同一自治体内での引っ越しなら、一か所の役場で手続きが可能です。

他の自治体に引っ越す場合には、元の役場で「転出証明書」をもらい、その後引っ越し先の自治体で「転入届」を提出する流れで住民票を異動します。配偶者のDV被害やストーカー被害などが予想されるときには、事前に警察や配偶者暴力支援センターに相談士たうえで、窓口に「住民基本台帳事務における支援措置申出書」を提出する流れで、住民票に閲覧制限をかけられます。

郵便物の転送届

別居先に移ったら郵便物の転送届も忘れずに手続きしましょう。この手続きをしないと、以前の住所に郵便物が届いてしまうためです。勝手に中身を空けられて詮索されたり嫌がらせされるのを防ぐには、郵便物の転送届を提出しましょう。

最寄りの郵便局に備え付けてある転送届に記入して窓口に提出する方法の他に、インターネットからの手続きも可能です。引っ越し日が分かっているときには、事前に手続きもできます。

公的支援制度・手当の申請

別居で世帯主が変わった場合の子どもの手当や、別居中に利用できる支援制度の手続きも行ってください。

児童手当 子どもが15歳になった年度末まで受け取れる手当

通常住民票上の世帯主もしくは収入の多い方に振り込まれるため、事情を役所に説明し受給者変更の手続きが必要

児童扶養手当 子どもが18歳になる年度末まで、ひとり親世帯に支給される手当

一時的な別居の場合は支給対象外だが、相手が家を出て1年以上経過しているときや、DV防止法の保護命令を受けているとき、子どもに障害がある場合には支給対象となる

生活保護 収入のない女性が子供を連れて別居したものの、すぐに働ける状況にないときには福祉事務所に相談して生活保護の受給が可能

生活保護を受給していても子どもの親権者にはなれる

ひとり親向け公的支援制度について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「貯金なしでも子連れ離婚できる?必要な離婚準備と手順、ひとり親家庭向け公的支援制度とは」

離婚に向けて別居するときの注意点

離婚に向けた別居をするときには、次のような点に注意が必要です。

別居とみなされないケースがある

一口に「別居」といっても、家庭内別居や単身赴任は法的に別居とみなされないので注意が必要です。家庭内別居とは同じ家で暮らしているものの、夫婦関係が冷え切っており、互いに口を利かないといった状態のことを指します。たとえ全く接触がなかったとしても、同居していることに変わりがないため、離婚裁判で夫婦関係が破綻しているとみなされず離婚が認められません。

一方の単身赴任は仕事の都合による別居とみなされるため、法的な離婚原因に該当するような別居とみなされるのは難しいでしょう。ただし単身赴任中に不倫をしてしまい、赴任期間が終了しても自宅に戻らないケースでは、悪意の遺棄とみなされて離婚原因として考慮される可能性があります。

家庭内別居の定義やデメリットについては、こちらの記事を参考にしてください。

「家庭内別居はどのような状態?離婚理由になる?メリットやデメリット、注意点を知ろう」

合意なく別居すると離婚に不利になる可能性

相手の合意なく勝手に家を出てしまうと、離婚に不利になる可能性があるので注意してください。夫婦には同居義務があるためです。配偶者の合意なく別居すると、同居義務違反とみなされて裁判上で離婚が認められる「法定離婚事由」の一つ、「悪意の遺棄」とみなされて離婚原因を作った側(有責配偶者)になってしまうため。

基本的に有責配偶者からの離婚請求は認められず、相手から慰謝料を請求される可能性があります。別居するときには相手に直接伝えるほか、メールやLINE、手紙などで相手に理由とともに別居することを伝えてください。

悪意の遺棄での離婚に関して認められる条件は、こちらの記事を参考にしましょう。

「悪意の遺棄での離婚|認められる条件と必要な証拠、スムーズに離婚するためのポイントとは」

慰謝料を支払わなければならない場合がある

離婚を前提とした別居を行うとき、対応を間違うと慰謝料を請求される恐れがあります。前出の通り、相手に黙って家を出ると、悪意の遺棄とみなされて慰謝料を請求されるばかりか離婚に不利になる恐れも。また相手から婚姻費用を請求されているにもかかわらず、支払わないときにも悪意の遺棄が成立可能性が高いでしょう。

別居したいときには必ず相手と協議をして、どうしても別居がやむを得ないとなったときには婚姻費用の話し合いをしたうえで別居するのがベストです。

円満離婚の慰謝料相場については、こちらの記事を参考にしましょう。

「円満離婚の慰謝料相場が知りたい!増額・減額する方法と弁護士に依頼するメリット」

不倫中の別居は離婚に不利になる

自分が不倫しているときに別居すると、離婚に不利になる可能性が高いです。別居をしてそのまま不倫相手のところに走ってしまうと、不倫がバレて状況が一気に不利になります。通常のケースでは悪意の遺棄に該当しないケースでも、不倫が原因で一方的に家を出たとみなされると悪意の遺棄と認定されてしまうでしょう。

そうなったら不貞行為の慰謝料と悪意の遺棄の慰謝料の両方が発生して、支払う金額が増額される場合も。自分が不倫をしている場合の別居は、十分に慎重になるべきでしょう。不倫をするということはそれなりのリスクをとるということです。離婚を実現するためには、十分な覚悟や注意が必要です。

不倫の制裁をしたいとお考えの方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「不倫の制裁をしたい!相手にダメージを与える方法とは?合法・違法なやり方と確実に制裁するためのポイント」

別居中の不倫はNG

別居前までに不倫していない場合でも、離婚が避けられないケースであっても別居中の不倫はNGです。配偶者にバレると慰謝料を支払うリスクや離婚に不利になる恐れが出てきます。別居中は収入の少ない側が婚姻費用を請求できますが、不倫の事実が認められれば自分の生活費分は支払われずに子どもの生活費分のみとなって、婚姻費用が減額される可能性があります。

親権を獲得したければ子どもを連れて別居する

子どもの親権を獲得したいと考えたら、別居するときには子どもを連れていくのが原則です。夫婦の協議で親権者が決まらずに調停や審判になったときには、上で説明した「継続性の原則」が破談材料になるため。現在(別居中)の子どもの生活環境や生活状況に問題がない限りは、離婚後も環境を変えない方が望ましいという考えです。

ただし相手の同意なく子どもを連れて別居すると、違法な連れ去りとみなされて親権獲得に不利になる可能性があります。注意して別居するようにしましょう。

父親が親権を取れる確率やポイントは、こちらの記事を参考にしましょう。

「父親が親権を取れる確率は?重視されるポイント・親権獲得のためにすべきことを解説」

子どもを連れ去られたときの対処法

子どもを連れて別居生活を送っているときに、ある日突然配偶者が現れて子どもを連れ去られてしまったというケースは少なくありません。このような連れ去り行為は強引な手段を用いることも多く、親権者を決める法的手続きに不利に働きます。

とくに別居期間が長期に及ぶにつれ、安定していた子どもの生活を乱す行為とみなされて否定的な判断をされてしまうでしょう。万が一子どもを連れ去られた場合には、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所に「子の引き渡し審判」と「監護者指定審判」を申し立ててください。

子どもの身体に危険が及ぶような緊急事態の場合には、同じタイミングで「審判前の保全処分」を申し立ててください。こちらも自力で子どもを取り戻そうとすると、違法な連れ去りとして逆に不利な立場になってしまうので、これらの裁判所の手続きを踏んだ方が賢明でしょう。

連れ去り別居の違法性や連れ去られたときの対処法は、こちらの記事を参考にしましょう。

「連れ去り別居は違法?合法?親権獲得への影響と子どもを連れ去られたときの対処法とは」

まとめ

離婚を前提とした別居前には、どちらが家を出るかや子どもを連れていくかどうか、別居の時期をよく検討しましょう。同時に持っていくものをリストアップし、離婚のために相手の収入や共有財産の調査、証拠の確保を忘れずに行ってください。

子どもの親権を得たい場合は極力子どもを連れて別居してください。違法な連れ去りとみなされると、親権獲得に不利になるだけでなく、未成年者略取・誘拐罪とみなされる可能性も。別居後に相手が違法な連れ去りをした場合には、速やかに裁判所に「子の引き渡し審判」などを申し立ててください。

別居前にやるべきことや離婚を有利に進めるためのアドバイスが欲しいときには、離婚問題に詳しい弁護士に相談するのがベストです。離婚の手続きの進め方や離婚条件の決め方などについて、具体的かつ実務に基づいたサポートが受けられます。

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