「したい夫」と「したくない妻」-セックスレスをめぐる離婚の可否と離婚時の注意点とは?

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  • 「妻が応じてくれない…離婚を考えているができる?」
  • 「夫からセックスレスを理由に離婚を請求されているけど離婚したくない」

結婚生活が長くなるにつれ、新婚時代のような雰囲気になりにくいのが夫婦の現実。とくに仕事や子育てなど、やることがたくさんある妻にとって、夫との性交渉は苦痛に感じることも。そこでこちらでは、最近のドラマでも話題になっている「したい夫」と「したくない妻」をめぐる離婚の可否や慰謝料請求方法について詳しく解説。

セックスレスを理由に離婚を求められた場合、どうしても離婚したくない人はどうしたらいいのでしょうか。セックスレスによる離婚に関する注意点と併せて紹介するので、セックスレスで離婚したい人・したくない人は参考にしましょう。

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目次

セックスレスは離婚原因になる?

まずはセックスレスが離婚原因になり得るのかについて解説していきます。離婚が認められる期間や、ポイントなども紹介するので参考にしましょう。

セックスレスとは

セックスレスとは、そもそも夫婦間での性交渉が長期間ない状態のことをいいます。夫婦は互いに「貞操義務」を負っています。貞操義務とは、配偶者以外の異性と性的関係を持ってはいけないという義務です。そのため夫婦間の性交渉はとても重要。

夫婦なのに相手から性交渉を拒否されてしまうと、セックスレスを理由に離婚を考える人もいるでしょう。また離婚原因として考える場合には、広義での「性的不一致」もあります。性的不一致とは、セックスレスだけでなく相手が変わった性的思考を持っていてそれについて行けない場合や、双方の性交渉の好みや方法が合わないなどのことをいいます。

「正当な理由」がない限り離婚が認められる

結論からいうと、性交渉を拒み続けることに正当な理由がない限り、離婚が認められる可能性が高いでしょう。日本の法律では、夫婦間の性交渉を大切なものと位置付けています。そのため病気や年齢など、正当な理由なく性交渉を拒み続けていると法的に離婚が認められる法定離婚理由に該当する可能性が高いでしょう。

法定離婚事由には次の5項目があり、正当な理由がない性交渉の拒否は5番目の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当します。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

引用:民法|e-GOV法令検索

とはいえセックスレスに関しては、原因や具体的な夫婦の事情、互いの性交渉への考え方などにより個別に判断する必要があります。そのためセックスレスで離婚が認められるかについては一概にいえず、ケースバイケースの判断が必要です。

離婚が認められる期間

セックスレスが原因で離婚が認められるためには、セックスレスだった期間も重要に。例えば性交渉を拒否した期間が授乳中の間だけという場合には、その後に応じる可能性があるためセックスレスとは認められません。少なくとも1年以上にわたってセックスレスの状態だと、裁判で離婚が認められやすいでしょう。結婚してから一度も性交渉がない場合や、極端に少ない場合には、期間が1年未満でもセックスレスと認められる可能性があります。

しかし逆にセックスレスの期間が長すぎると、性交渉が無くても婚姻関係を維持できていると判断される可能性が。そのためセックスレスの期間は長ければ長いほどいいという訳でないことを覚えておきましょう。

夫婦関係が破綻したかが重要

セックスレスが原因で離婚が認められるためには、夫婦関係が破綻したかという点が重要です。というのも、セックスレスでも夫婦関係が円満だったり、性交渉がないことを双方が不満に思っていなければ、セックスレスが原因での離婚は認められません。

婚姻関係が破綻しているかは、主観的な側面と客観的な側面の両面から判断します。主観的な側面からは、夫婦それぞれが結婚生活を継続する意思をなくしているかで見ます。しかしこれは判断が難しいため、裁判では別居期間の長さといった客観的な側面から判断するケースが多いです。

さらにセックスレスが直接の離婚原因にならない場合でも、セックスレスが原因で夫婦仲が悪くなり、長期間別居状態という場合は、それ自体で婚姻を継続しがたい重大な事由と認められて、離婚できる可能性があります。

スキンシップゼロによる離婚の可否については、こちらの記事を参考にしてください。

「スキンシップゼロ夫婦の離婚|離婚の可否と離婚を回避する7つの方法を知り、離婚すべきか考えよう」

セックスレスで離婚する夫婦の割合

では実際、セックスレスで離婚する夫婦はどのくらいいるのでしょうか?裁判所がまとめた令和2年度の司法統計によると、家庭裁判所で処理された婚姻関係に関する事件の申し立ての動機別で、セックスレスを含む「性的不調和」を理由に挙げた人は、夫が11.3%、妻が6.5%の割合です。

また結婚歴があり、かつセックスレスの経験がある男女300人に対するアンケートの結果は以下の通りです。

離婚について/性別 男性 女性
離婚を考えたことはない 63.9% 66.7%
考えたことはあるが離婚していない 26.7% 25.3%
考えたことがあり離婚を予定している 0% 1.3%
実際に離婚した 4.0% 6.7%

参考:司法統計|裁判所セックスレスによる離婚率は?結婚歴のある男女300名に聞いた実情|ユナイテッドクリニック

これらの結果を見ると、5%~10%ほどの人はセックスレスで離婚をしているという結果に。離婚を考えたことがあるという人も含めると、30%近い数字になっています。またセックスレスで不満を抱きやすいのは、女性よりも男性が多いということも分かります。セックスレスの問題で悩んでいる人は、決して少数派ではありません。

セックスレスで離婚できる・できないケース

こちらでは実際にセックスレスが理由で離婚できるケースとできないケースについて解説していきます。

セックスレスが離婚できるケース

セックスレスが原因で離婚が認められる可能性が高いのは、次のようなケースです。

どちらか一方が理由もないのに拒否している

夫婦のどちらか一方が、特に理由もないのに性交渉を拒否し続けていると、離婚が認められるでしょう。正当な理由がない性交渉の拒否は、法定離婚事由の「婚姻を継続しがたい重大な事由」として、裁判で離婚が認められる可能性が高いため。

例えば夫婦とも20代で年齢が若く、健康で性交渉するのに全く支障がないケースです。夫が激務ということもなく妻も育児に追われるような状況でない場合で、食事を食べる時間や寝る時間、起きる時間も大体同じだとします。

このとき夫が妻に性交渉を求めても、妻が理由を説明することなく一方的に拒絶し続けているようだと夫は不満を抱き不審にも思うでしょう。そしてこの状態が長期間続くと、夫婦仲も徐々に悪くなることに。お互いにギスギスして喧嘩が絶えなくなったり、お互いが婚姻関係を継続する意思がなくなることも。そうなると、セックスレスが原因で離婚が認められる可能性が高いです。

不倫や浮気が原因になっている

性交渉を拒絶する側が不倫や浮気をしていると、セックスレス以前に不貞行為が原因で離婚できます。法定離婚事由には「配偶者に不貞な行為があったとき」という項目があり、客観的な証拠が確保できれば裁判でも離婚が認められます。

ある期間から急に妻(夫)が性交渉を拒むようになったという背景には、実は拒絶している側が不倫しているというケースが少なくありません。配偶者が急に性交渉を拒み始めたという方は、相手が不倫していないか確認することをおすすめします。

自分で浮気調査するときの注意点について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「浮気調査で証拠なかった…どうしたら?自分で証拠を集めるときのポイントと注意点とは?」

子どもが欲しいが拒否されている

夫婦の一方もしくは両方が子どもを欲しいと思っていて、それにもかかわらず性交渉をしてくれないという場合には、離婚原因になる可能性が高いでしょう。結婚の目的に「子どもを持つこと」をあげる人は少なくありません。とくに女性にとっては、結婚や妊娠の遅れで高齢出産のリスクが高まるということはよく知られています。

一方で男性の中には、子どもを強く望まない、それほど急いでいない人もいて、軽い気持ちで性交渉を拒否するケースも。結婚当初から「子どもは作らない」という合意がない限りは、このようなケースで「婚姻を継続しがたい重大な事由」として、離婚が認められる可能性が高いでしょう。

男性不妊が理由で離婚を考えている方は、こちらの記事を参考にしてください。

「男性不妊を理由に離婚したい!離婚や慰謝料請求はできる?」

セックスレスで離婚が認められた事例

では実際の裁判で、セックスレスが原因で離婚が認められた事例を紹介していきます。

最高裁判所第3法廷  昭和34年(オ)第888号 夫が生殖にかかわる手術をしたものの性交渉にはそれほど影響がないと説明されていたが、結婚当初から別居するまでの1年半ほど性交渉が無かったケースで、性交渉が可能との説明を信じて結婚した点と結婚当初からセックスレスだったという点がポイントになり、裁判で離婚が認められた
岡山地方裁判所津山支部 昭和63年(ワ)第123号、同昭和63年(ワ)第155号 妻が性交渉を拒否し続けていたために婚姻関係が破綻したと認められたケース

破綻の原因がセックスレスだけでなく、夫からの暴言や性暴力を含むDVが原因で婚姻関係が破綻したとの判断が出た

他にも、次のようなケースで離婚が認められています。

  • 勃起不全(ED)の事実を告げずに結婚して、結婚後一度も性交渉がない
  • 同性愛者である夫が、妻との性交渉を拒否し続けた
  • 性的画像や写真にしか興味を持たずに、妻と性交渉しない

裁判所では、セックスレスが本来あるべき夫婦像に反しているということを明らかにしています。このようなことからセックスレスが夫婦間で大きな問題になり得ると考え、離婚が認められる可能性が高いという訳です。

離婚原因にならないケース

一方で、セックスレスでも離婚が認められないケースがあります。

セックスレスの原因が自分にある

セックスレスになってしまった原因が自分にある場合、セックスレスで離婚が認められないでしょう。原因を作った側からの離婚を認めるのは難しく、裁判所でも離婚請求を認めない可能性が高いです。例えば不倫していたことがバレて妻が性交渉に応じてくれなくなったような場合です。

不倫をした側は「有責配偶者」として、夫婦関係破綻についての責任を負わなければなりません。セックスレスの原因はあなたにあるので、あなたから離婚を求めることは許されないのが原則。なお有責配偶者からの離婚請求が認められるためには、通常8~10年の別居期間が必要です。

風俗通いが原因で拒否されているという方は、こちらの記事を参考にしてください。

「風俗通いによる離婚の可否|発覚した後の対処法と慰謝料請求する場合のポイントとは」

お互いに合意したうえでのセックスレス

夫婦が若く元気だったとしても、双方が合意したうえでのセックスレスであれば、離婚原因になりません。納得したうえで性交渉がないことは、夫婦生活の中でも大きな問題とはならず、セックスレスは「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するとはいえないためです。

病気・高齢よるセックスレス

またどちらかの病気や高齢によってセックスレスになった場合にも、離婚が認められません。例えば心臓病になり性交渉をすると負担がかかるケースや、高齢で体力が弱っていて性交渉ができないケース、また妊娠や出産に母体への負担や感染症への感染を防ぐために性交渉を避けた方がいい時期などです。

夫が勃起不全(ED)になっているケースでは、判断が分かれます。EDによるセックスレスが離婚原因になるという考えもあるものの、夫の治療への威力やその他の状態も考慮されるため、EDになったからといってすぐに離婚できるという訳ではありません。

物理的に性交渉ができない

単身赴任や長期の出張などで物理的に性交渉ができないようなケースでも、離婚が認められないでしょう。このような理由がある場合は、「婚姻を継続しがたい重大な事由」とまではいえないので、離婚するのは難しいです。ただし物理的な距離を理由に夫婦間のコミュニケーションを怠り、改善の努力もなしにセックスレスの状態を放置した場合は、裁判で離婚が認められる可能性があります。

仮面夫婦がしんどいと感じたときの対処法は、こちらの記事を参考にしてください。

「仮面夫婦がしんどいと感じたら…対処方法や離婚方法を知って後悔しない選択を」

セックスレスが原因の離婚で慰謝料請求はできる?

セックスレスが原因で離婚する場合、相手に慰謝料を請求することができるのでしょうか。前提として、どちらかに離婚原因(有責性)があると、離婚時に慰謝料を請求できます。

慰謝料請求ができるケース

セックスレスで慰謝料が請求できるのは、どちらかが理由もないのに性交渉を拒否し続けたケースや、性的不能を黙って結婚したようなケースです。

ただしセックスレスで離婚するどのような場合でも慰謝料が発生するという訳でなく、どちらかが一方的に悪いとは言えないケースやそもそもセックスレスが離婚理由として認められないケース、不法行為というほどの違法性がないケースは慰謝料請求が難しいです。また協議離婚する場合には、双方の話し合いの結果として慰謝料なしで合意することもあります。

慰謝料の相場

セックスレスが原因で離婚する場合の慰謝料の相場は、数十万円~100万円程度ですが、悪質なセックスレスが原因で離婚した場合には100万円ほどや、それ以上の300万円の高額な慰謝料請求が認められる可能性があります。セックスレス単体ではそれほど高額にならないものの、個別の事情に応じて適切な金額を判断しなければなりません。

金額を左右する要因

セックスレスの慰謝料金額が高額になるのは、次のような要素があるときです。

  • 配偶者に不貞の相手がいる
  • セックスレスの期間が長い
  • セックスレスに至る経緯
  • セックスレスとなった責任・原因の所在
  • 性交渉を求めたときの態度
  • セックスレス解消の努力があったか
  • 婚姻期間の長さ
  • 未成年の子どもの有無
  • 支払う側の年収
  • 支払う側の社会的地位

セックスレスになった原因が相手の不倫だった場合には、慰謝料金額が高額になりやすいです。またセックスレスに至った背景や期間、責任の所在によっても変動します。さらに離婚慰謝料全般にいえることですが、婚姻期間が長かったり未成年の子どもがいる、支払う側の年収や社会的地位が高いと、金額が高額になりやすいです。

離婚慰謝料の相場について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚慰謝料の相場が知りたい!離婚理由や婚姻期間による相場・金額をアップさせるポイントを解説

慰謝料請求の方法

セックスレスによる離婚慰謝料を請求するには、まずは離婚原因を明らかにしたうえで自分の希望金額などをまとめましょう。そのうえで相手に「慰謝料を請求したい」と伝えてください。相手から離婚や慰謝料請求に関しての合意が得られたら、具体的に慰謝料金額の交渉に入ります。

おおよその金額が決まったら、いつどのようにして支払うのかという支払い方法について話し合ってください。協議による合意が得られないときには、家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。調停でも話し合いがまとまらないときには、裁判に進む場合も少なくありません。慰謝料について合意した内容は、離婚協議書などにまとめ、公正証書にしておくと安心です。

セックスレスによる離婚を回避する方法

夫や妻から「セックスレスだから離婚したい」といわれた場合、離婚を回避するにはどのような方法を取るべきなのでしょうか。

離婚したい理由をはっきりさせる

相手から離婚したいといわれた場合、セックスレス以外に理由がないかよく話を聞いてください。もしかしたらセックスレスは表面的な理由で、それ以外に直して欲しい部分や言いにくい本心が隠れている可能性が。絶対に不機嫌になったり怒ったりしないと約束し、離婚したい本当の理由を聞くべきでしょう。

相手が不倫している可能性がないか

セックスレスが原因で離婚したいといわれた場合でも、相手が不倫をしている可能性があります。急に性交渉を拒むようになった、最近行動が怪しいというときには、不倫をしていないかしっかり調査してください。自分で調査するのが難しいという場合は、探偵事務所や興信所に依頼する方法もおすすめ。

相手が何を求めているか知る

離婚したい理由がセックスレス以外にある場合、解決可能な問題であれば、真摯な姿勢を見せてなるべく相手が求めている行動を取りましょう。自分に落ち度があるときには、直す努力も必要です。

個人差があるものの、男性はプライドの生き物なので家庭内で認められていないとモチベーションが下がったり、自信が持てなくなります。多少のことは目をつぶってでも、夫に気分良くいてもらう度量をしましょう。女性は完璧を求めがちな側面があり、家事や育児でいっぱいいっぱいになっているときには積極的に手助けをして、リラックスできる時間を作るようにしましょう。

妻が話しかけてこなくなった理由が知りたいという方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「妻が話しかけてこなくなった…考えられる理由と関係を良好に保つコツを知り、最悪の事態を回避しよう」

寝室を一緒にする

もし今すでに別の寝室で寝ているという場合には、まず寝室を同じにすることから始めましょう。心の距離を千縮めるには、まずは物理的な距離から縮めるのが有効です。寝室を同じにすることで、眠るまでのコミュニケーションが取りやすくなります。また互いに手が届きやすい距離にいるので、自然にセックスレスが解消される可能性が高まります。 

相手の疲労やストレスを軽減する

相手の疲労やストレスが溜まっている状態では、いくら誘っても拒絶される可能性が高いです。日常のことで疲れている相手に対して、協力できることは積極的にしていきましょう。そのうえでお風呂やマッサージなど、リラックスできそうな方法を試すようにしましょう。

病院を受診する

ストレスによる機能的な問題や年齢でセックスレスになっているときには、専門の病院を受診するようにすすめましょう。男性なら泌尿器科へ、女性は産婦人科で相談できます。一緒に付き添って病院に行くのもいいでしょう。経過や治療内容が分かっていれば、相手の状況をより理解できるようになります。

カウンセリングを受ける

夫婦2人だけで夫婦関係を良好にするのが難しいときには、夫婦カウンセリングを受けるという方法がおすすめ。夫婦の間に第三者が入ることで、当人同士では話しにくいことも話せるようになるでしょう。また専門のカウンセラーに相談することで、夫婦関係の改善に向けた具体的なアドバイスを得られます。

いきなり二人でカウンセリングを受けるのはちょっと…という方は、まずは自分一人だけでもカウンセリングを受けることができます。

裁判所に夫婦関係円満調停を申し立てる

家庭裁判所に「夫婦関係円満調停」を申し立てることで、離婚を回避できるかもしれません。夫婦関係円満調停とは、夫婦関係の修復を目的とした調停で、いわゆる離婚調停とは異なります。調停委員が夫婦それぞれの意見を聞き、夫婦関係継続のための提案やアドバイスをしてくれます。

お互いが納得できれば調停は成立となり、調停内で取り決めたことは「調停調書」として書面化されます。

弁護士に相談する

セックスレスが理由で離婚を切り出されたり、相手が不倫していることが分かったときには、男女問題に詳しい弁護士に相談してください。あなたの希望(離婚したい・したくない・慰謝料請求したいなど)をもとにして、最適なアドバイスをしてくれるでしょう。

セックスレスという問題は非常にプライベートな事柄なので、調停や裁判を経るよりも当人同士で解決するのが一番です。その点弁護士なら、守秘義務があるのでセックスレスで離婚問題に発展していることが他に漏れる心配がありません。

相手の不倫が分かって慰謝料請求したい場合でも、証拠の取り方や相手への切り出し方、離婚条件などをアドバイスしてくれるでしょう。直接相手と話し合うのが難しいときには、あなたに代わって相手と交渉をしてくれます。セックスレスと離婚については、自分だけで適切な判断をするのが難しいです。今後不利にならないためにも、まずは弁護士に相談しましょう。

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セックスレスによる離婚の注意点

セックスレスと離婚に関しては、次のような注意点があります。

プライベートな事柄がゆえの問題がある

夫婦間のセックスレスの問題は、プライベートな事柄ゆえの問題があります。というのは完全に夫婦2人だけの問題であり、閉じられた空間のプライベートなものであるという理由からです。性交渉を拒否されたかどうかは夫婦にしかわからず、それを誰かが確かめに行くことはできないでしょう。

さらにセックスレスについての悩み自体が非常にプライベートなもの。このような悩みは他人に相談しにくく、親や友人にさえ悩みを打ち明けられません。そのため自分一人で抱え込んで、どんどん苦しくなる悪循環に陥りがちです。

離婚の切り出し方

セックスレスを理由に離婚を考えている方は、離婚の切り出し方にも注意が必要です。というのも切り出し方を間違えると離婚までスムーズにいかずに、トラブルが複雑になる可能性があるからです。具体的には次のような手順で、慎重に進めましょう。

性交渉を求める

離婚を切り出す前に、まずは相手に性交渉を求めてください。「セックスレスなんだから今さら無駄なのでは?」と思われるかもしれませんが、相手が拒否したことによるセックスレスで離婚するには、自分が性交渉に積極的だったことを示さなければなりません。

「あなたの努力が足りなかったからでは?」という反論を防ぐ意味でも、自ら歩み寄る姿勢を見せる必要があります。

拒否する理由を聞く

性交渉を相手に求めて拒否された場合、その理由を尋ねてください。この段階での相手の言い分をきちんと記録できると、後の証拠として役立ち交渉を有利に進められます。 

自分に責任があったときには改善する

セックスレスの原因が自分にあったときには、改善の努力を示す必要があります。改善の努力をしてもなお性交渉を拒否された場合に、離婚を切り出すようにしてください。こちら側が努力をしたことによって、相手の責任を明確にできます。

離婚を切り出す場合、セックスレスが理由と面と向かって話せない人もいるでしょう。そのようなときには先に別居を切り出して、弁護士を通して離婚請求をする方法がおすすめです。

セックスレスで離婚する方法について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「セックスレスで離婚する方法|認められる条件や有利に離婚する4つのポイントとは」

証明が困難

法的に離婚を請求したり慰謝料を請求するには、客観的なセックスレスの証拠が必要です。しかしセックスレスを証明するのは非常に難しく、証拠を確保しにくいという問題があります。DVなどの行為が「ある」ことについては暴行を受けてケガをした写真や診断書などで証明できる一方で、性交渉が「ない」ことを証明するのはとても困難です。

結局夫婦それぞれの主張しか証拠がないケースも多く、実際どのような状況で拒絶されたのかなどを裁判で確認できません。そのうえで相手から「性交渉を拒否したことなどない」と反論されてしまうと、そもそもの離婚原因が認められないことに。セックスレスで離婚が認められるのは、相当高いハードルだということを覚えておきましょう。

セックスレスを証明する証拠

セックスレスを証明するのが難しいですが、それでも裁判で離婚や慰謝料請求が認められるためには、どのような証拠が必要なのでしょうか。セックスレスを証明するための証拠は、以下の通りです。

お互いの生活状況を示した表 夫婦が朝起きる時間・家を出る時間・家に帰ってくる時間・食事時間・就寝時間などを表にする

継続的な状況を示すことで、相手が性交渉できる状態にあるのに応じてないことが分かる

日記 日記はセックスレスを拒否された日だけでなく、毎日つけるのが原則

問題が起こったときだけ付けていると、後から「でっち上げだ」という反論を否定でき、改ざんや記憶違いを疑われるのを防げる

性交渉を求めたが拒否された場合には、相手の言動や反応についても詳細に記録する

これまでの経過を示す資料 セックスレスについて夫婦で話し合った内容や手紙のやり取り、メールでの会話などを証拠として残しておく

夫婦の会話をボイスレコーダーなどに録音するのも有効

このような資料を積み重ねると、相手が性交渉を拒否し続けていたことを証明できる

別居が有効なことも

セックスレスのみの理由で離婚が難しい場合は、別居が有効です。長期間の別居を経ることで、夫婦関係の破綻を示し、離婚が認められる可能性があるからです。セックスレスが短期間だったり、それだけで婚姻を継続しがたい重大な事由といえないようなときには、早めに別居をスタートさせるといいでしょう。

一方で相手の不倫でセックスレスになった場合には、別居の前に不倫の証拠を確保するようにしましょう。別居をしてしまうと証拠を確保しにくくなるためです。またセックスレスの証拠も同居中にしか入手できないものがほとんどなので、別居前に必要な証拠は確保しておくことをおすすめします。

別居後の離婚話が進展しないという方は、こちらの記事を参考にしてください。

「別居後の離婚話が進まない…原因と対処法、スムーズに離婚するためのポイントを解説!」

まとめ

セックスレスによる離婚件数はそれほど多くないものの、5~10%の人が離婚理由として挙げています。セックスレスに正当な理由がないときには、離婚が認められる可能性が高い一方で、病気や高齢のため、セックスレスの原因が自分にあるときには、離婚を請求しても認められないでしょう。

セックスレスによる離婚で慰謝料を請求できるのは、理由もないのに拒否し続けていた場合や、不倫していたことによるセックスレスなどです。セックスレスだった期間やそれまでの経緯、解消の努力があったかどうかで相場が変動します。

セックスレスで離婚や慰謝料を請求するには、日記ややり取りの経緯が分かる資料、毎日の行動を記録した表などの証拠が必須です。どのような証拠が有効か分からない方やセックスレスに該当するか微妙という方は、相手に離婚を切り出す前に弁護士に相談してみましょう。

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