- 「夫がダブル不倫していることが分かった…相手に慰謝料を請求したい」
- 「ダブル不倫で高額な慰謝料を請求するためのポイントとは?」
既婚者同士もしくは夫婦それぞれが別の相手と不倫していることを「ダブル不倫」といいます。法的に有効な証拠があれば、自分の配偶者や不倫相手に慰謝料を請求することができますが、慰謝料の相場はどのくらいで、どのように請求したらいいのでしょうか?
こちらの記事では、ケース別の慰謝料の相場と変動する要素について詳しく解説していきます。さらに相手に慰謝料を請求する方法やダブル不倫ならではのポイントについても紹介するので参考にしてください。場合によっては弁護士に依頼した方がスムーズに交渉が進む可能性もあります。自分ですべて手続きをするのが難しいという方は、弁護士に相談することも検討しましょう。
ダブル不倫に伴う慰謝料について
まずはダブル不倫の定義や慰謝料が発生するケース・しないケースについて解説していきます。
ダブル不倫とは
ダブル不倫とは、次の二つの状態のことを指す場合があります。
- 夫婦の一方が、配偶者以外の既婚者と不貞関係を持つこと
- 夫婦の両方が、それぞれ配偶者以外の相手と不貞関係を持つこと
2番目のケースでは、不貞の相手は独身でも既婚者でも構いません。しかし一般的に慰謝料問題が複雑になりやすいのは、既婚者通しで配偶者以外の相手と不貞関係を持つケースです。通常の不倫とは異なり、双方に配偶者がいるので、発覚したときには二組に夫婦に影響が出ます。
そしてそれぞれの配偶者からの慰謝料請求が発生する可能性があるので、法的にも道義的にも大きな問題に。こちらの記事ではとくに後者のケースに限って、慰謝料の問題について解説していきます。
婚外恋愛と不倫との違いが知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「婚外恋愛と不倫との違い|婚外恋愛のリスクや影響を認識しトラブルを防ぐ対処法を知ろう」
慰謝料が発生するケース
ダブル不倫で慰謝料が発生するのは、次のような条件下です。
不貞行為があった
ダブル不倫にかかわらず、不倫で慰謝料請求ができるのは不貞行為があった場合です。単なるデート相手や食事を一緒にするだけでは、法的に慰謝料請求は認められません。またキスやハグがあっただけでは、不貞行為と認められないでしょう。
法的には不貞行為を「配偶者以外の異性と自由意思に基づいて肉体関係を持つこと」と規定しています。「自由意思に基づいて」とあるように、脅されて無理やり関係を持ってしまった場合や強姦などの犯罪行為、風俗通いなどは基本的に不貞行為に当たりません。
風俗通いで慰謝料請求ができるかどうかについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「風俗通いによる離婚の可否|発覚した後の対処法と慰謝料請求する場合のポイントとは」
相手が既婚者だと知っていた
不倫の相手が既婚者だと知っていたことも、ダブル不倫で慰謝料を請求できる条件です。職場が同じでお互いに既婚者だと知っていた場合や、会話の中で結婚していると明かされたなど、相手が既婚者だと知っていたケースまたは知ることができた場合に限り慰謝料を請求できます。
逆に自分の配偶者が既婚者であることを隠して不倫していた場合、不倫相手には原則として慰謝料請求ができません。不倫相手に慰謝料請求をするときには、その点の確認も必要です。
彼氏が既婚者だと知らずに慰謝料を請求されたときの対処法は、こちらの記事を参考にしてください。
「彼氏が既婚者だと知らなかった…慰謝料請求されたときの対処法や減額方法を解説」
ダブル不倫によって夫婦関係が悪化した・離婚した
不倫の相手が既婚者だと知っていたことも、ダブル不倫で慰謝料を請求できる条件です。職場が同じでお互いに既婚者だと知っていた場合や、会話の中で結婚していると明かされたなど、相手が既婚者だと知っていたケースまたは知ることができた場合に限り慰謝料を請求できます。
逆に自分の配偶者が既婚者であることを隠して不倫していた場合、不倫相手には原則として慰謝料請求ができません。不倫相手に慰謝料請求をするときには、その点の確認も必要です。
彼氏が既婚者だと知らずに慰謝料を請求されたときの対処法は、こちらの記事を参考にしてください。
「彼氏が既婚者だと知らなかった…慰謝料請求されたときの対処法や減額方法を解説」
ダブル不倫では慰謝料問題が複雑に
上で少し触れましたが、二組の夫婦が関係しているダブル不倫では、被害者が2人と加害者が2人いることになります。これにより慰謝料問題がより複雑に。双方の夫婦が離婚するかしないかで金額が変わってくるだけでなく、両方の被害者が不倫について知っているかや片方の被害者しか不倫に気が付いていないかでも、請求すべきかどうかが変わってきます。
不倫慰謝料の場合、慰謝料を請求できるのは自分の配偶者と不倫相手の二者です。しかし二組の夫婦それぞれが不倫によって離婚するかどうかで、自分の配偶者にも請求した方がいいかが異なります。下で詳しくケース別の慰謝料請求の可否を紹介するので、参考にしてください。
【ケース別】ダブル不倫の慰謝料相場
ダブル不倫の慰謝料を請求する・される場合に気になるのは、慰謝料の相場です。こちらでは次の4つのケースに分けて詳しく慰謝料の相場や注意点、ポイントなどを解説していきます。
- 双方に不倫が知られたが、どちらの夫婦も離婚に至らなかった場合
- 片方のみに不倫が知られていて、どちらの夫婦も離婚しない場合
- 双方に不倫が知られていて、一方の夫婦のみ離婚する場合
- 双方に不倫が知られていて、両方の夫婦が離婚する場合
- 相手配偶者から慰謝料を請求されている場合
①双方に不倫が知られたが、どちらの夫婦も離婚に至らなかった場合
双方の夫婦が不倫の事実を知っていて、どちらの夫婦も離婚に至らなかった場合、慰謝料の相場は50万~200万円前後です。この金額は、下で詳しく紹介する様々な要素によって変動します。とくに不倫した一方が積極的に誘って不貞関係に至った場合、責任割合のより大きな方が慰謝料を多めに払って示談することも。
不倫慰謝料は自分の配偶者と不倫相手の二者に請求できるのが基本ですが、どちらの夫婦も離婚しない場合には、発覚後も生計を共にしていくため、それぞれ自分の配偶者に請求したところで実質的な利益はないと考えます。そのため不倫相手にのみ慰謝料請求するケースがほとんどです。
しかし不倫相手に請求して慰謝料を受け取ったところで、不倫相手の配偶者から自分の配偶者に対して請求される可能性があります。そうなると結局はお金が行ったり来たりして手間がかかるだけなので、経済的利益は期待できないでしょう。このようなときには、双方慰謝料なしで示談を成立させる場合が少なくありません。
②被害者の片方だけが不倫の事実を知っていてどちらも離婚しない場合
不倫された被害者の一方だけが不倫に気が付いていて、どちらの夫婦も離婚に至らなかった場合の相場は、100万~200万円ほど。こちらのケースでも、離婚をしないということで自分の配偶者に慰謝料を請求せず、不倫相手にのみ請求するのが一般的です。
このケースで相場が高めになる理由は、自分の夫や妻の不倫の事実をまだ知らない相手配偶者に知られたくないと考えるため。そのためこのようなケースでは、慰謝料請求に関する書類を郵便局止めや本人限定郵便、第三者の住所を指定して「気付」で郵送するなど、不倫を知らない相手配偶者に知られないようにする配慮が必要です。
③双方の配偶者に知られて、一方が離婚する場合
双方の配偶者に不倫の事実を知られていて、そのうち一方のみが離婚するケースでは、離婚する方に支払う慰謝料の金額が100万~300万円と高額になりがちです。そして離婚する側は、不倫した自分の配偶者にも慰謝料を請求できます。
一方の離婚しない側は、不倫した自分の配偶者には慰謝料を請求せず、不倫相手に対する請求金額も通常より低額になる可能性が高いでしょう。
④双方に知られてどちらも離婚に至った場合
ダブル不倫が原因で両方の夫婦が離婚に至った場合、慰謝料の相場は100万~300万円ほどです。とくにこれまで夫婦関係が円満なほど精神的ダメージを受けやすく、さらに離婚を余儀なくされた場合には慰謝料請求額が高額になりがちです。同様に小さな子どもがいる場合や、離婚で生活が困窮する可能性が高い場合にもより高額な慰謝料請求が認められる可能性があります。
⑤相手配偶者からすでに請求されている場合
不倫慰謝料を相手配偶者からすでに請求されている場合、請求された側の配偶者も不貞相手に請求できます。相手からの取り分を取り戻せる可能性があり、話し合いや裁判の過程によっては、お互いに支払わないように「ゼロ和解」で合意できる場合もあります。
金額が変動する要素
ではどのような要素で離婚慰謝料の金額が変動するのでしょうか。こちらでは、9の要素について、詳しく解説していきます。
不倫期間が長い
不倫期間が長く不貞行為をした回数が多いほど、慰謝料の増額が認められます。不倫期間が長く回数が多いほど、悪質度が高く夫婦関係への影響が深刻とみなされるため。短期間の関係や一度きりの不倫であれば過失の程度が低いと判断される可能性が高いですが、数年にわたる関係で頻繁に会っていたなどの事実が証明できると、慰謝料の金額が高くなるでしょう。
婚姻期間が長い
結婚している期間が長ければ長いほど、請求できる慰謝料の金額もアップします。婚姻期間が長いほど夫婦の絆や信頼関係が深いと考えられ、それを裏切る不貞行為の影響が大きいと判断されるためです。婚姻期間別の具体的な慰謝料金額の相場は、以下の通りです。
婚姻期間 | 慰謝料の最低額 | 慰謝料の最高額 |
---|---|---|
5年未満 | 50万円 | 300万円 |
10年未満 | 50万円 | 500万円 |
20年未満 | 100万円 | 400万円 |
30年以上 | 200万円 | 1000万円 |
ただしこれらの金額は目安であり、夫婦の状況や不倫をした側の収入、不倫期間などによって変動します。
精神的・肉体的苦痛が大きい
配偶者の不倫によって精神的に強いショックを受けた、食欲不振や体重減少などの肉体的な影響が出た場合には、慰謝料の増額が認められる可能性があります。そもそも不倫の慰謝料は、不法行為(不倫)によって受けた精神的苦痛を慰謝するために支払われる金銭だからです。精神的苦痛が大きいほど、請求できる慰謝料金額も高額になります。
精神的苦痛が大きいと認められるためには、うつ病になったという診断書や不眠症などで精神科を受診したといった証拠が必要です。具体的な精神的被害があるほど、請求できる金額は高額になります。
請求相手の社会的地位・年齢・収入が高い
慰謝料を請求する相手の社会的地位や年齢、収入が高いと、金額も高額になりやすいです。例えば年収が200万円の人と1,000万円の人とでは、同じ不倫であっても請求できる金額に大きな差が出ます。また請求相手の社会的地位が高いほど、周囲の評判が気になって高額な慰謝料請求にも応じやすいという理由があります。
そのため慰謝料を請求するときには、相手の経済状況や年齢、社会的地位などを把握することがポイントです。
社内不倫がバレた後の顛末やその対応については、こちらの記事を参考にしましょう。
「社内不倫バレたらどうなる…?社内不倫の顛末とバレる理由、バレた後の対応を徹底解説」
夫婦関係が円満だった
不倫が発覚するまで夫婦関係が円満であればある程、慰謝料を増額できる可能性があります。例えば定期的に家族旅行に行っていた、子どもの学校行事に夫婦そろって参加していたなど、日常的に円満な関係であると認められる証拠があれば、不倫が円満な夫婦関係に与えた影響の大きさが証明されます。
逆に夫婦関係が冷え切っていたケースや、すでに別居状態にあった場合には、不倫による影響が相対的に少ないとみなされて、減額要因になる可能性があります。どちらの場合でも、夫婦の関係性を証明できる証拠が必要です。
家庭内別居ってどんな状態?という疑問をお持ちの方は、こちらの記事を参考にしてください。
「家庭内別居はどのような状態?離婚理由になる?メリットやデメリット、注意点を知ろう」
子どもの有無
子どもの有無も、不倫慰謝料の金額に影響します。子どもがいる家庭で夫婦の不倫問題が発生すると、家庭崩壊の影響が大きく出ます。とくに不倫が原因で子どもが精神的ストレスを受けた場合や、子どもの養育環境が悪化した場合には、家庭への影響がより深刻とみなされて、請求できる慰謝料の相場が高額に。
また子どもの年齢が低いほど影響が大きいとみなされ、未成年の子どもの人数も相場が変動する要素となります。
謝罪や反省の態度の有無
不倫をした側の謝罪や反省の態度の有無も、慰謝料の相場が変動する要素です。不倫が発覚したのに、反省するどころか開き直って謝罪もないような状態だと、より高額な慰謝料を請求できる可能性が。逆に真摯な謝罪があるなど、反省の態度が見られるときには減額要素となる場合があります。
責任の程度
不倫に対する責任の程度も、慰謝料の金額が変動する要素です。より積極的に不倫関係を始め、継続させた側の方が責任の度合いが高いとして、請求する慰謝料の額に差が出る可能性があります。そのためできれば不倫の主導権がどちらにあったかを明確にしたうえで、慰謝料を請求するようにしましょう。
悪質度合い
不倫の悪質度合いによっても、請求できる慰謝料の金額が変わってきます。不倫によって自分もしくは相手の家庭を壊そうと認められた場合には、悪質度の高さから受ける精神的苦痛の度合いが大きくなりやすいので、慰謝料金額は高額になりやすいでしょう。
他にも不倫期間の長さや回数の多さや、発覚後も不倫を継続しようと嘘をつき続けた、反省の態度が見られずに責任逃れをしたなどがあった場合にも、悪質度合いが高いとして慰謝料の金額が高くなる傾向があります。
慰謝料の減額や免除が認められるケース
一方でダブル不倫があっても、次のような慰謝料の減額や免除が認められるケースがあります。
- 夫婦関係がすでに破綻していた(家庭内別居・別居・離婚協議中など)
- 既婚者だと分からなかった・相手から独身だと言われていた
- 一度きりの関係で、継続性がなかった
- 証拠がなく不貞関係が立証できない
- 双方の同意なく性的行為をされた
このような事情があるときには、慰謝料を請求しても法的に認められなかったり、大幅減額される恐れがあります。逆に請求される側は、弁護士を介して上記のような内容を主張、立証することで、請求金額の大幅減額や支払い義務そのものを否定できる可能性があるでしょう。
不貞行為の定義や浮気と不倫の違いについては、こちらの記事を参考にしてください。
「『不貞行為』はどこからの行為?不倫・浮気との違いや当てはまるケース、法的に有効な証拠を解説!」
慰謝料請求するには証拠が必要
慰謝料請求するために不貞行為を立証するには、肉体関係を持ったという証拠が必須です。単にLINEなどで親しいやり取りをしていただけだったり、2人きりで食事をしていたというだけでは不貞行為と認められません。具体的には次のような証拠が必要です。
- ラブホテルや相手の自宅に2人で出入りしたことが分かる写真や動画
- ラブホテルを利用したというクレジットカードの利用明細や領収書
- 肉体関係があると分かるメール、LINEでのやり取り
- 不倫相手と宿泊を伴う旅行をしたことが分かるホテルの領収書や写真など
- 性行為中や二人で裸でベッドにいるなど親密な様子が分かる写真や動画
- 探偵や興信所による不倫の調査報告書
- 不倫の事実があったと認める当事者の音声や動画
- 不倫の事実を認める念書などの書面
ラブホテルや相手の自宅に2人で出入りした写真や動画、探偵による調査報告書は不貞行為があったとみなされる有力な証拠です。単独では不貞行為の証拠と認められないものでも、複数組み合わせることで不貞行為があったと判断できる可能性があるので、どんな些細な証拠でも確保しておきましょう。
不貞行為があった事実については、できるだけ日時や場所、方法が特定できる形が望ましいです。また第三者の証言を証拠にする場合には、その話が信用できるという裏付けの証拠をセットとすると信憑性が高まります。
自分で不貞行為の証拠を集めるときの注意点は、こちらの記事を参考にしましょう。
「浮気調査で証拠なかった…どうしたら?自分で証拠を集めるときのポイントと注意点とは?」
慰謝料請求には時効がある
不倫や離婚に伴う慰謝料請求には、時効があります。請求する相手は慰謝料の種類に応じて、次のように時効が異なります。
不倫した配偶者への不倫に伴う慰謝料請求 | 「不倫の事実を知ったときから3年」または「不倫があってから20年」経過すると時効が成立 |
不倫した配偶者への離婚慰謝料の請求 | 「離婚時から3年」経過すると時効が成立
離婚後に不倫の事実が発覚したときには、「不倫の事実を知ったときから3年」または「不倫があってから20年」経過すると時効が成立 |
不倫相手への慰謝料請求 | 「不倫の事実及び不倫相手の素性(住所氏名など)を知ったときから3年」または「不倫があってから20年」経過すると時効が成立 |
ダブル不倫の場合、不倫の事実を知ったタイミングなどにより、慰謝料請求権の時効成立の時期が同じとは限りません。例えば先に不倫の事実を知っていた側は、時効が完成してしまった3年後には慰謝料を請求できません。一方の相手配偶者がつい最近不倫を知ったときには、慰謝料請求できる可能性があります。
略奪婚で慰謝料を請求されるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「略奪婚で慰謝料を請求される?略奪婚を考えている人が知っておきたいリスクや法的知識」
ダブル不倫で慰謝料を請求する方法
ではダブル不倫で慰謝料を請求する場合、どのような手順で請求していけばいいのでしょうか。
慰謝料請求の可否を判断
自分の配偶者と不倫相手に慰謝料を請求する前には、まず慰謝料請求が可能なケースなのかを検討しましょう。肉体関係があったかや夫婦が円満だと言えるか、独身だと嘘をついていなかったかなどです。また証拠を確保できそうもない場合や合意なく性交渉を強要したときもまた、慰謝料を請求できない可能性があります。
プラトニック不倫で慰謝料が請求できるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「プラトニック不倫で慰謝料は発生する?不貞行為との違いと慰謝料相場、請求する・されたときの対処法」
証拠を集める
不倫に伴う慰謝料請求を請求させるには、証拠の確保が必要です。前出した肉体関係の証拠だけでなく、精神的靴を受けたことが分かる医師の診断書や夫婦関係が悪化した経緯を記した日記なども、増額できる有効な証拠です。
LINEで浮気の証拠を集める方法について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
「LINEで浮気の証拠を見つける13の方法|見つけた後にすべきことや注意点とは?」
証拠を相手に示して請求する
不倫の証拠が揃ったら、まずは相手にその証拠を提示して話し合いの場で慰謝料を請求するのが一般的です。冷静に交渉を進めるためにも感情的にならないように注意しましょう。相手が素直に認めて慰謝料請求を受け入れたときには、示談書を作成して合意した慰謝料金額や支払い方法などを明記します。
ここで相手が慰謝料の支払いを拒否したときには、更なる対応が必要になります。
妻の浮気を見破るポイントが知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「妻の浮気を見破る8つのポイント|夫の場合と違う浮気の特徴や分かったときの対処方法とは?」
内容証明郵便を送る
話し合いでも慰謝料請求に相手が応じないときには、相手住所宛てに内容証明郵便を送付します。内容証明郵便とは、いつ・誰が・誰宛てに・どのような内容の文書を送付したかを、差出人が作成した謄本により郵便局が証明してくれるサービスのこと。
法的拘束力はないものの、相手に対して本気で慰謝料を請求するという姿勢を伝えられます。なおその後の交渉や裁判を見越した証拠にできるよう、内容証明郵便は弁護士に依頼して作成してもらうことをおすすめします。
弁護士に依頼して慰謝料請求
相手との協議が決裂したときや高額な慰謝料を請求したいときには、弁護士に依頼するのが効果的。弁護士に依頼すれば法的に有効な方法で請求でき、相手が拒否した場合でも法的手続きに移行できます。相手との交渉や法的手続きはすべて弁護士がしてくれるため、かかる精神的負担を軽減できます。
費用はかかるものの、確実に慰謝料を手にするには、専門家のサポートを受けたうえで請求していきましょう。
民事裁判を検討する
内容証明を送付しても弁護士に交渉を依頼しても相手との話し合いが進まないときには、最終的に民事裁判を起こして慰謝料を請求していきます。裁判で慰謝料請求が認められるためには、法的に有効な不貞行為の証拠が必要です。弁護士に相談したうえで、どのような証拠が必要になるのか準備を進めましょう。
こちらの主張が認められると判決により慰謝料の金額が確定します。場合によっては裁判所から和解案を提示されるケースもあり、こちらは双方が合意すれば和解によって慰謝料金額が決まります。
ダブル不倫で慰謝料請求する・されたときの注意点
ダブル不倫慰謝料を請求する、される場合には、次のような点に注意が必要です。
相互に請求される可能性
上で少し触れたように、ダブル不倫ではそれぞれの夫婦間で相互に慰謝料を請求する・される可能性があり、どちらも離婚しない場合には二つの夫婦の間でお金が行ったり来たりする可能性が高いです。法的にはそれぞれの慰謝料請求権は別々のものになるので、法律上の相殺はできません。
しかし実際は相殺するのと同じ形になるため、お互いに請求しない形で解決するケースは少なくありません。ダブル不倫で慰謝料請求する場合には、離婚する・しないについても考慮する必要があるでしょう。
負担割合と求償権について
不倫した自分の配偶者と離婚せず、不倫相手に慰謝料を請求するときには、慰謝料の負担割合についても注意が必要です。というのも不倫というのは2人以上の人下がいて初めて成立するものだからです。民法ではこのような行為を「共同不法行為」といいます(民法第719条)。
死して共同不法行為をした2人にはそれぞれ負担割合があり、自分の負担分を超えて支払った場合には、もう一方の当事者に対して請求(求償)できるとされます。これを「求償権」といいます。
例えば負担割合が5:5で、認められた慰謝料額が200万円とします。このとき夫の不倫相手に慰謝料を請求して150万円を受け取った場合、不倫相手は自分の負担割合を超えた50万円を他方当事者である夫に求償できるという訳です。
つまり不倫相手の夫婦が離婚し、自分たち夫婦が離婚しない場合、実はこちら側の負担割合が大きくなり、求償された場合には家計としてマイナスになる可能性も。求償権を放棄してもらえる場合もあるので、示談書にその旨を記載しるようにしましょう。
証拠集めでは違法行為に気を付ける
不倫の証拠集めをする場合、自分が違法行為をしないように気を付けてください。例えば相手の同意なく住居に侵入すると「住居侵入罪」になる可能性があります。また相手の家や車などに盗聴器・カメラなどを仕掛けた場合も違法とみなされます。
自分の配偶者のスマホから証拠を確保しようと思い、LINEのIDやパスワードを盗用して相手のアカウントにアクセスすると「不正アクセス禁止法違反」による処罰の対象になる可能性が。他にもプライバシーの侵害に当たる行為をしないよう注意しながら証拠を集めるようにしましょう。
不倫した相手に制裁を加えたいとお考えの方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「不倫の制裁をしたい!相手にダメージを与える方法とは?合法・違法なやり方と確実に制裁するためのポイント」
相手に「お金がない」といわれたときは
慰謝料を請求した相手に「お金がない」といわれたときでも、慰謝料請求を諦める必要はありません。たとえ相手に支払えるお金がなくても、支払わなくてもいいという訳でないからです。相手に慰謝料を支払える資力がない場合には、減額や分割払いといった方法で支払ってもらってください。
分割払いを選択したときには、相手が滞納する可能性を考え、すぐに財産を差し押さえる「強制執行」に移行できるように、合意書は「強制執行認諾文言付き公正証書」で作成することをおすすめします。
内縁関係でも請求は可能
婚姻届を出していないいわゆる「内縁関係」であっても、ダブル不倫で慰謝料請求することが可能です。内縁関係とは婚姻届けを役所に提出していないものの、双方に婚姻の意思があり社会的に夫婦と認められている関係のこと。「事実婚」と呼ばれている場合もあります。
法律上の夫婦との違いは婚姻届けを出していないことだけなので、一定の権利や義務が認められる可能性が高いです。その中には配偶者以外の相手と不貞をしてはならないという「貞操義務」も含まれるため、どちらかが不貞行為をしたときには、慰謝料請求が認められ、支払い義務が生じます。
合意書を提示されたときは
自分が慰謝料を支払う側で、相手から合意書を提示されたときには、記載されている内容をよく確認したうえでサインするようにしましょう。よく確認しないままサインしてしまうと、一方的に不利な条件を受け入れることになってしまうため。例えば次のような内容です。
- 相場よりも大幅に高い慰謝料金額
- 求償権の行使を破棄する内容
- 分割払い不可
- 今後一切の異議申し立てをしないこと
- SNSでの言及禁止や接触禁止など
- 義務条項違反時の違約金が高額
このような内容があるときには、サインする前に必ず法律の専門家に確認してもらってください。
実質プラスにならなくても法的解決がベスト
ダブル不倫の場合、双方に慰謝料を請求するケースがあるため、実質ゼロでの解決になることが少なくありません。そのような場合でも、示談による法的解決をしておくことが望ましいでしょう。というのも慰謝料請求に伴う合意書の作成には、関係解消等の約束により不倫関係を止めさせる目的もあるため。
また相手配偶者が不倫に気づいていない場合には、時効の問題が発生します。自分の請求権のみ3年で時効が来るため、相手配偶者が不倫に気が付いて請求したときには、自分の慰謝料請求が認められないという事態も起こり得ます。このような場合も、双方の夫婦間で合意書を作成する意味があるといえます。
困ったときには弁護士に相談
ダブル不倫に伴う慰謝料問題で困ったときには、法律の専門家である弁護士に相談するのがベストです。慰謝料を請求する側にとっては、必要な証拠の中身やその収集方法などをアドバイスしてもらえます。また不倫相手に慰謝料を請求するときには、弁護士に交渉を依頼できます。
また違法な証拠の収集や不適切な請求によって、逆にこちらが慰謝料を支払うというリスクも回避できます。ストレスのかかる相手との交渉や複雑な法的手続きをすべて弁護士に任せられるので、依頼者の時間的精神的負担を大幅に軽減できるというメリットも。
一方、慰謝料を請求された側にも利点があります。請求された金額や合意書の内容が妥当かの判断は、法律の専門家でないとなかなかできません。相手に裁判を起こされたときには、こちらも弁護士に依頼しないと、適切に法的手続きを進められません。
まとめ
ダブル不倫による慰謝料請求で問題になりやすいのは、二組の夫婦がいてそれぞれで「離婚する・しない」「不倫の事実を知っている・知らない」が変わってくるケースです。それぞれのケースで請求できる慰謝料相場や請求するときの注意点が変わってくるので気を付けましょう。
慰謝料を請求するときには、内容証明郵便や弁護士を通して、交渉による合意を目指します。相手が請求に応じないときには、民事裁判で慰謝料を請求します。慰謝料を請求するには、不貞行為があった証拠や精神的苦痛を受けた証拠、夫婦関係が悪化したという証拠が必要です。合法な方法で証拠を取得するようにしてください。
ダブル不倫の慰謝料を請求する側もされる側も、後のトラブルを防ぐには、弁護士に相談するのがおすすめです。