- 「心の浮気で離婚を請求できる?慰謝料請求の可否も知りたい」
- 「パートナーが心の浮気をしている場合の対処法は?」
パートナーに浮気を問い詰めたとき「身体の浮気じゃないから問題ない」と反論された人はいませんか?果たして心の浮気とはどのような状態で、体の浮気とはどう違うのでしょうか。実は心の浮気の方が危険な場合もあります。こちらの記事では、心の浮気の定義やその危険性、心の浮気が発覚したときの対処法を紹介します。
また相手から心の浮気が原因で離婚を請求されたときや、こちらから慰謝料請求する場合には、不法行為の有無がポイントになります。パートナーの心の浮気でお悩みの方はもちろん、自分の心の浮気で離婚を考えている方も参考にしましょう。
そもそも心の浮気とは?身体の浮気との違いと危険性
まずは心の浮気とは?という点や、身体の浮気との違い、心の浮気が疑われる相手の言動について詳しく見ていきましょう。
心の浮気とは
心の浮気とは、性的な関係・接触を伴わないものの、パートナー以外の特定の相手に対して恋愛感情ともいえる特別な感情を抱くこと。両想いか片思いかは関係なく、「好き」「会いたい」「一緒にいたい」などの感情を抱いたり、パートナーには話せない悩みを個人的に相談するような間柄です。
身体の浮気とは
一方の身体の浮気とは、パートナー以外の人と性的な関係を持つこと。性行為はもちろんのこと、裸で抱き合うなどの性交類似行為も身体の浮気とみなされます。相手に恋愛関係があるかは問題にならず、「セフレ(セックスフレンド)」も身体の浮気とみなされます。
身体の浮気は、法律では「不貞行為」とみなされる可能性が高く、具体的な証拠により慰謝料請求や離婚請求が可能です。
不貞行為はどこからの行為か知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「『不貞行為』はどこからの行為?不倫・浮気との違いや当てはまるケース、法的に有効な証拠を解説!」
心の浮気はデジタル時代で増加傾向
心の浮気は、デジタルでの交流が主流になっている現代で増加傾向にあります。インターネットがない時代、心の浮気をするには相手との積極的な関り不可欠でした。誰かに直接会い、そこで恋心に火が付いたり一目ぼれしたりしなければ、何も起こりませんでした。
しかしSNSやチャットなどを通して、知らない人と気軽につながれる状況にあると、簡単に心の浮気ができるだけでなく誰にも気が付かれずに気持ちを醸成しやすくなります。このような理由から、デジタル時代の今だからこそ、心の浮気が問題になりやすいといえます。
浮気の定義は人それぞれ
心の浮気と身体の浮気、どちらの浮気の方がよりダメージが大きいか、どちらの浮気がより許せないかは、人それぞれで違います。人によって価値観が違い、経験に基づく様々な基準で判断するためです。実際に浮気の定義は人によって異なります。
- パートナー以外に心を寄せるだけで浮気
- 2人っきりで会ったら浮気
- パートナーに内緒にしたら脇
- 手をつないだら浮気
- キスまで行けば浮気
- セックスしたら浮気
個人差の他に、男女間でも意見が異なります。女性はより感情的なつながりの深さを重視する傾向があるので「心の浮気」だけでも許せないと感じます。一方の男性は性的関係を重視する傾向があるため、性的関係の有無で浮気かどうかを判断する傾向があります。
婚外恋愛と不倫の違い、リスクについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「婚外恋愛と不倫との違い|婚外恋愛のリスクや影響を認識しトラブルを防ぐ対処法を知ろう」
心の浮気が疑われる相手の言動・変化
こちらでは心の浮気が疑われる言動や変化について、具体的に紹介していきます。自分のパートナーが「最近なんか変」と感じている方は、心の浮気をしているかをチェックしましょう。また自分が心の浮気をしているという方は、次のような言動でパートナーに気が付かれる可能性があるので気を付けましょう。
特定の人に対する興味や話題を避ける
パートナーとの会話で、特定の人に関する話題をあからさまに避ける場合には、その人に興味や特別な感情を抱いている可能性があります。例えば他の人のことは楽しそうに話すのに、特定の人の話題になると急に口数が減る、他の話題に無理やり換えようとするといった場合です。他にもその人の話題を出すと怒りだす、逆にけなし始めるといった態度をとることがあります。
これはその人に対する自分の感情を、パートナーに知られてはいけないという防衛本能が働くためと考えられます。このような態度がパートナーに疑念を抱かせ、浮気を疑われる原因になります。
特定の人の話をよくする
逆に特定の人の話題をよくするといった場合もあります。これは、その人に特別な感情があることに自分でも気が付いていないために起こります。純粋に関心がある人のことをよく考えているため、パートナーとの会話でも話題に上げている可能性が高いです。好きなアーティストや芸能人の話題を身近な人と共有したいという心理に似ています。
このようなケースでは、時間が経てば落ち着く可能性があります。逆に不自然に話題を避けるようになると、自分の気持ちに気づいてしまっている場合があるので、注意が必要です。
浮気が本気になるとどうなるかについて知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「不倫が本気に変わるとどうなる?本気になりやすい人の特徴&本気の不倫の解決方法について」
誰かと頻繁にLINEをしている
パートナー以外の相手と頻繁にメッセージのやり取りをしたり、SNSをしたりしているというときには、心の浮気を疑ってもいいかもしれません。パートナーと一緒にいるときでも片時もスマホを手放さず、LINEが来ると待ってましたとばかりに夢中で返信しているときには、その相手に特別な感情を抱いてしまっている証拠です。
また嬉しそうに画面を見つめながらメッセージを打ったり、異常とも思える頻度でやり取りをするといった行動も、心の浮気の特徴。このような行動は、パートナーよりもやり取りをしている相手の方に気持ちが傾いていないとできないことです。
LINEで浮気の証拠を見つける方法は、こちらの記事を参考にしましょう。
「LINEで浮気の証拠を見つける13の方法|見つけた後にすべきことや注意点とは?」
スマホの画面を隠すようになる
パートナーがスマホをのぞき込んだときに、反射的にその画面を隠すようになる行動も、心の浮気が疑われる行動の一つです。極端なときにはパートナーが近くを通っただけでも、スマホ画面を隠すような仕草をします。またパートナーが部屋に入ってきたときにスマホを見ていないように装ったり、わざとスマホを少し離れたところに置くといった行動もあります。
これはパートナーにバレてはいけないと心の中で思っているため。「内緒にしないと大変なことになる」という気持ちがあっての行動ならば、すでに心の浮気をしているといえるのではないでしょうか。
態度が冷たくなる
パートナーに対する態度が冷たくなるのも、心の浮気をしている証拠となり得ます。人は興味がない物事に対して無関心になりやすく、優先度も低くなりがち。今まで優しかったのに急に態度がそっけなく感じたときには、他の人に対する感情の高まりが影響しているのかもしれません。
ただし人間関係や自分の身体の事など、何か深刻な悩みを抱えていたり、仕事によるストレスが高まっている状態でも、同じような行動を取ってしまう人がいます。相手の生活状況と照らし合わせて、注意深く観察することをおすすめします。
情緒が不安定になる
優しかったのに急に冷たくなったり、穏やかな人が急に怒りっぽくなる場合も、心の浮気が疑われます。「LINEの返信が来ない」「今日は顔を見られなかった」「二人っきりで話ができた」など、パートナーとの関係以外の原因で感情的になっている可能性があるからです。
またパートナー以外に気になる人が現れたことにより、どちらを選ぶべきか悩んだり、パートナーへの罪悪感から情緒が不安定になる人も。
上の空になりがち
パートナーと一緒にいながらも他の人のことを考えていると、上の空になりがちです。「最近よく考え事をしている」「ボーっとしていることが増えた」「話しかけても反応が遅い」といった場合には、あなた以外の人のことで頭がいっぱいになっている可能性があります。
興味の変化
好きな音楽や趣味など、興味の変化が見られたら、心の浮気をしているかもしれません。恋愛中は好きな人の興味のあることについて自分も詳しくなりたい、相手と共通点を持ちたいと考える人は多いもの。今まで興味がなかったことに興味を持つようになったり、話題を出すようになったときには「急にどうしたの?」など探りを入れてみましょう。
スキンシップを嫌がる
心の浮気をしていると、パートナーとのスキンシップを避けるようになります。これは単純に他の人に心が向いているからという場合や、パートナーへの罪悪感から来るものかもしれません。以前は自然していた手をつなぐ、ハグやキスといったスキンシップを避けるようになるだけでなく、性的な接触を避けるようになったら要注意です。
心の浮気を注意すべき7の理由&浮気をする・されるリスク
身体の浮気でないから、パートナーがいても他に好きな人ができるのは仕方ないからといった理由で、心の浮気を放置するのは危険です。こちらでは心の浮気を注意すべき7つの理由と、心の浮気をする・されるリスクについて紹介していきます。
感情的な裏切り行為になる
心の浮気は肉体的な接触はないものの、感情的な裏切り行為となります。人によっては心の浮気の方が許せないと考える人も多いのも、ある意味当然です。カップルや夫婦のどちらかが、パートナー以外の人に恋愛感情を持ってしまった場合、かなり高い確率で信頼関係が崩壊します。また浮気された側は、長期間引きずるような心の傷を負ってしまうでしょう。
境界線があいまい
浮気の境界線があいまいなのも、心の浮気が厄介な理由です。身体の浮気には「性的関係を持つ」というはっきりとした境界線があります。しかし心の浮気はどこからが浮気といえるのか、非常にあいまいです。とくに心の浮気は共感や理解を求める気持ち、精神的なつながりを重視する傾向があります。
表面的には仕事仲間や友人関係としてスタートし、徐々に特別な感情を抱くようになるケースが少なくありません。
隠すのが容易
心の浮気はパートナーに隠すのが簡単です。自分の心の中だけで甘い感情をかみしめたり、SNSでのやり取りだけで心の浮気を楽しむことも可能です。実際に会って性的関係を持つ必要がないので、身体の浮気よりもパートナーにバレにくいという特徴があります。
証拠が確保できない
浮気の証拠を確保しにくいのも、心の浮気ならでは。慰謝料請求や離婚請求するには、不貞の証拠が必須です。身体の浮気なら、ラブホテルに出入りした動画やホテルの領収書、メッセージのやり取りなどから不貞行為があったことを証明できます。
しかし心の浮気をしているだけでは、何の証拠もないので問い詰めることも不可能です。また心の浮気をしている本人自身も自分の感情と向き合うのを避けがちなため、問題解決がより困難に。恋愛感情は目に見えないからこそ、証拠の確保が難しくなります。
浮気調査で証拠がなかったときの対処法は、こちらの記事を参考にしましょう。
「浮気調査で証拠なかった…どうしたら?自分で証拠を集めるときのポイントと注意点とは?」
長期的な関係になりやすい
心の浮気は相手への理解や共感、感情的な親密さや精神的なつながりがベースにあるため、長期的な恋愛関係に発展しやすいという特徴があります。身体の浮気の場合は一時的な衝動や欲求から始まるケースがあり、短期間の関係で終わることが少なくありません。
しかし心の浮気は、時間をかけて醸成され、気が付いたときには精神的な深いつながりとなっています。その関係を断ち切るのは容易でなく、長期的な関係になりやすいのも心の浮気ならではです。
別れる結果になることが多い
パートナーが心の浮気をしていると、別れる結果になることが多いです。恋愛感情がない身体の浮気の場合には、「ちょっとした気の迷い」「一時の過ち」として、謝罪により関係を修復できる可能性があります。しかし心の浮気の場合は、深く精神的なつながりを持つことから、パートナーを許せないと感じる人が多いです。
またパートナーに問い詰めても「浮気などしていない」と否定されます。問い詰めれば問い詰めるほど、パートナーの気持ちはあなたから離れ、心の浮気相手に寄って行くのは避けられません。その感情をすぐに断ち切れず、お互いが疲弊した結果、別れを選択するカップルも少なくありません。
自分が心の浮気をするリスク
では、自分が心の浮気をしてしまった場合、どのようなリスクが生じるのでしょうか。
気が付いたらのめり込んでいた
一旦好きになったら、気が付いたらのめり込んでいたという人もいます。初めは少しだけドキドキ感を味わうつもりでも、相手からの好反応があったりすると、恋愛感情は加速してしまいます。パートナー以外の人を好きになると、その段階でパートナーへの感情はほぼなくなるといってもいいでしょう。これが心の浮気が怖い点でもあります。
好きな人ができたときにやるべきことと判断のポイントは、こちらの記事を参考にしてください。
「好きな人ができた…離婚できるか知りたい人必見!判断のポイント&やるべき7つのこと」
ストレスが生じる
パートナーがいながら心の浮気を続けていると、バレることへの恐怖や罪悪感からストレスが生じてしまいます。このような状態では、純粋に心の浮気の相手とのドキドキ感を楽しめないだけでなく、常に不安や自己嫌悪との戦いに。最悪の場合はうつ病などの精神疾患を発症する可能性があり、健康に対する大きな影響の懸念もあります。
パートナーとの関係が悪化する
心の浮気がバレた場合、パートナーとの関係が悪化する可能性が高いです。信頼関係に大きな影響を与えて、良好な関係が一気に悪化してしまうでしょう。とくに今のパートナーと別れる決意ができていない人や、心の浮気相手と正式に付き合う段階になっていない限り、パートナーとの関係が悪化する原因となる言動には細心の注意が必要です。
離婚や慰謝料を請求される
心の浮気がパートナーにバレると、最終的に離婚や慰謝料を請求される可能性があります。以下で紹介しますが、性的関係がない心の浮気だけでも、慰謝料請求を認められた事例があります。「何もやましいことをしていないから大丈夫」と高を括っていると、ある日突然離婚や慰謝料を請求されるということも。
いくら恋心を隠そうと思っていても、パートナー以外の人に気持ちが移ると、自然に言動に現れるようになります。そうなるとパートナーに気が付かれ、関係が悪化して改善するのが困難になります。気が付いたら取り返しのつかないことになっていたとならないために気を付けましょう。
不倫がバレたらどうなるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「不倫がバレたらどうなる?トラブルを防ぐ対処法や慰謝料の相場・変動する要素を解説」
パートナーが心の浮気をするリスク
自分のパートナーが心の浮気をすると、次のようなリスクがあります。
心の距離ができる
パートナーが心の浮気をしていることを知ると、「相手と会っているんじゃないか」「自分との関係を終わらせようとしているのでは」と疑心暗鬼になり、心の距離が生じてしまいます。またそれが原因でコミュニケーション不足に陥ったり、あなたの態度の変化をマイナスにとらえて、逆に心の浮気相手との距離を深めてしまう可能性も。
別れを意識させるようになる
パートナーとの間で心の距離ができると、相手に別れを意識させるようになります。また感情的になって浮気を問い詰めたりすることで、「もう別れたい」という気持ちにさせてしまうことも。心の浮気を許せない気持ちは理解できますが、むやみに自分の感情をぶつけてしまうと、パートナーとの信頼関係を失わせる結果に。逆効果になる可能性が高いので、気を付けてください。
本当の問題点が分からなくなる
パートナーの心の浮気で、本当の問題点が分からなくなるリスクもあります。実はパートナーが心の浮気をしてしまった原因が、あなたの言動やあなたとの関係に不満を抱えていたということはないでしょうか。心の浮気に動揺して自分の至らない点に気づかないでいると、更なる関係悪化や別れとなる可能性が高くなります。
「これって心の浮気?」と感じたときの対処法
自分の気持ちやパートナーの行為が「これって心の浮気?」と感じたときには、次のような対処をしてください。
自分が心の浮気をしているケース
自分が心の浮気をしているときには、次のような対処が有効です。
浮気をしてしまう理由を考える
まずは自分で「なぜ他の人を好きになってしまったのか」について冷静に考えてみましょう。浮気相手に惹かれてしまった理由や、今のパートナー感じている正直な気持ちを明確にすることで、自分自身を理解できるようになります。そして今後どのような行動を取るべきかが見えてきます。
相手と距離を置く
パートナーとの関係を続けたいときには、心の浮気相手との距離を意識して取るようにしましょう。人は繰り返し接触する機会を持つことで、好意を抱きやすくなります。とくに心の浮気の場合は、接する機会が増えるたびに恋愛感情が大きくなり、自分の気持ちを抑えきれなくなることも。
気になる人ができてしまったときには、あえて相手との距離を置き、自分の感情を抑えるようにしましょう。
不満があるときはパートナーに伝える
もしパートナーに不満があり、それが原因で他の人に気持ちが移りそうなときには、自分の気持ちを正直に伝えることで、心の浮気をストップできる可能性があります。まずはパートナーとの問題解決を最優先し、直して欲しい点や改善して欲しいところを伝えてください。
このままだと別れることも視野に入っていると伝えれば、パートナーにも深刻さが理解できるはず。パートナーとの関係を改善できれば、心の浮気をする必要がなくなるかもしれません。
パートナーとの別れを考える
どうしてもパートナーとの関係を改善できない、心の浮気相手が諦められないというときには、自分の幸せのために別れを決意した方がいいのかもしれません。自分の気持ちに嘘をついたままの状態でいることは、心身の健康にも悪影響です。人生は一度きりと考え、思い切って別れるという選択肢もあります。
第三者からのアドバイスを受ける
自分の気持ちが分からない、どうしたらいいか迷っているという方は、第三者によるアドバイスを受けることをおすすめします。信頼できる友人や身近な家族、カウンセラーなどに相談してみましょう。第三者からのアドバイスによって、自分の気持ちが明らかになり、問題解決につながる可能性があります。
離婚カウンセリングを受けるときの注意点は、こちらの記事を参考にしましょう。
「離婚カウンセリングは役に立つ?相談内容や注意点、メリット・デメリットを解説」
パートナーが心の浮気をしているケース
パートナーが心の浮気をしているかもというときには、次のような対処法を取ってください。
相手の様子を観察する
まずはすぐに問い詰めたりせず、しばらくパートナーの様子を注意深く観察してください。もしかしたら心配事やストレスがあったために、心の浮気を疑うような言動をしていたのかもしれません。またこの先どのような対応をすべきなのか、検討する時間に充てられます。
「このまま放置していたら取り返しがつかなくなるのでは?」と思われるかもしれませんが、盛り上がっているパートナーにはあなたの言葉が充分に伝わりません。許せないという怒りや辛い気持ちがあふれてくるでしょうが、信頼できる友人に相談に乗ってもらいながら、思い詰めすぎないようにしましょう。
原因について考える
別の人に心が向いてしまった原因には、様々なことが考えられます。パートナーがなぜ心の浮気をしてしまったのか、原因について考えるのも重要です。これまでの関係のどこに問題があったのかを理解できれば、お互いの関係を見つめ直す良いきっかけになります。
話し合いをする
心の浮気を疑ったときには、パートナーとの話し合いが必要です。このとき、一方的に相手を責めたり感情的になったりしないように気を付けてください。最近愛情が感じられないことや関係に不安があること、パートナーへの不満など、自分の気持ちを正直に伝える努力をしましょう。
同時にパートナーの話をしっかりと聞く姿勢も必要です。反論したいことがあっても話を遮らず、まずは最後まで聞いたうえで自分の気持ちを伝えてください。双方の考えをすり合わせることができれば、関係の方向性を見いだせるかもしれません。
心の浮気で離婚できる?気になる離婚と慰謝料請求について
自分やパートナーの心の浮気が原因で離婚を考えたときには、離婚できるかについてや慰謝料請求の可能性が問題になります。こちらでは過去の判例を参考にしながら、スムーズに離婚する方法をご紹介していきます。
双方の合意があれば離婚できる
心の浮気が原因の場合、双方の合意があれば離婚が可能です。日本で9割の夫婦が選択している協議離婚は、夫婦の話し合いの結果、合意した内容に基づいて離婚する方法。両者が記名捺印した離婚届けを役所に提出するだけで、離婚が成立します。また条件等の話し合を調停で行う場合にも、両者の離婚への合意が必要です。
協議離婚は最もスムーズに時間をかけずに離婚できる方法です。まずは協議離婚を目指して、相手の合意を得られるよう話し合いを進めましょう。
夫や妻が離婚に応じないときの対処法は、こちらの記事を参考にしてください。
「夫や妻が離婚に応じない…基本とケース別の対処方法を解説!やってはいけないNG対応とは?」
心の浮気だけでは離婚理由にならない
離婚問題がこじれて裁判を考えたとき、心の浮気だけでは離婚は認められないでしょう。というのも民法では、裁判で離婚が認められる「法定離婚事由」が決められていて、これらに該当しない理由の場合、原則として裁判官は離婚を認めていません。
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
引用:民法|e-GOV法令検索
法的には不貞行為の有無が焦点
心の浮気が原因で離婚裁判を起こして離婚する場合、不貞行為の有無が焦点となります。不貞行為とは、「配偶者以外の相手と自由な意思のもとで、性的関係を持つこと」を指します。そのため、単に他の人を好きになっただけ、手をつないだだけ、デートしただけでは、不貞行為があったとは認められません。
不貞行為の証拠となるもの
裁判で確実に不貞行為を証明するためには、配偶者以外の相手と性的関係を持ったと類推できる客観的な証拠が必要です。不貞行為の証拠となるのは、具体的に次のようなものです。
- 二人でラブホテルや相手の自宅に2人で出入りしたことが分かる写真や動画
- 性行為中に撮影された写真や動画
- ラブホテルや旅行先ホテルの領収書、クレジットカードの利用明細
- SNSやメールのやり取りで、性的関係があることが分かるもの
- 不貞関係の実態が記載された日記やメモ
- 当事者が不貞の事実を認めた発言の録音や書面化したもの
- 探偵事務所や興信所の調査報告書
自分で証拠を確保するのが難しいときには、探偵や興信所などに依頼するようにしましょう。
心の浮気でも慰謝料が発生する?
では心の浮気をされただけでも慰謝料を請求できるのでしょうか。こちらでは、過去の判例をもとに具体的な慰謝料金額についても紹介していきます。
慰謝料が発生する3つのケース
心の浮気だけで不貞行為がない場合でも、夫婦関係に重大な影響を与えたとみなされると、慰謝料請求が認められる可能性があります。というのも夫婦には、平穏な結婚生活を送る権利があります。しかし片方の心の浮気によってその権利が侵害された場合には、裁判所で慰謝料責任の発生を認めるケースがあります。
具体的には次の3つのようなケースです。
- 一定程度の親密な肉体的接触(キスやハグなど)があった
- 積極的に夫婦関係を破綻させる行為(相手が離婚・別居を求めていた、結婚の約束をしていた)があった
- 2の行為が、夫婦関係破綻の一因となった
2の行為が、夫婦の平穏な関係を壊すだけの影響があったと判断されれば、慰謝料請求が認められる可能性があります。
離婚慰謝料の相場が知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「離婚慰謝料の相場が知りたい!離婚理由や婚姻期間による相場・金額をアップさせるポイントを解説」
慰謝料請求が難しいケース
一方で、次のようなケースでは、慰謝料請求が認められない可能性があります。
- 2人だけでの食事や外出
- 「好きだよ」「愛してる」といったメールのやり取り
- 記念日に浮気相手と過ごす
- 高価なプレゼントをした
- 浮気相手を自分の実家に連れていった
- 浮気相手の親族の冠婚葬祭に出席した
行為を見る限りでは、多くの人がとても許せないことと思えますが、これだけでは婚姻生活が破綻したとはいえないのが現状です。裁判所で慰謝料請求が認められるためには、性的関係の有無や婚姻生活の破綻の有無が判断の基準となります。
「裏切られた」と思っていても、具体的な不貞行為の証拠や婚姻関係破綻との因果関係を証明できない限り、慰謝料請求は難しいでしょう。
メールだけの浮気で慰謝料請求できるかについては、こちらの記事を参考にしてください。
「メールだけの浮気で慰謝料請求できる?できるケースとできないケース、注意点を解説」
過去の判例で慰謝料請求が認められたケース
では、過去に心の浮気で慰謝料請求が認められたケースはあるのでしょうか。こちらでは2つのケースに焦点を当てて解説していきます。
10万円の支払いを命じられたケース
こちらは肉体関係を認めるに足る証拠がないものの、交際の実態が明らかに社会的妥当性の範囲を逸脱するものとみなされて、90万円の請求に対して10万円の支払いが相当であるとみなされた事例です。交際の内容は食事や映画に一緒に行くというもので、不倫関係ではないとしていますが、頻繁なデートや手紙、プレゼントのやり取りなどがあり、配偶者に浮気相手との交際が発覚。
一時は家庭内別居状態になるなど、夫婦関係に重大な影響を及ぼしています。交際が半年という短期間で終わっているということと、婚姻関係が最終的に破たんしておらず維持されているという理由から、慰謝料金額は10万円が妥当だという結論にいたっています。
44万円の支払いを認められたケース
こちらは妻がいる男性と同僚女性との間のプラトニック不倫の事例です。プラトニック不倫とは、性的関係を伴わない不倫関係のことで、心の浮気とほぼ同じ意味として使われています。妻が女性に対して220万円の慰謝料を請求した裁判で、最終的には44万円の支払いを命じています。
男性が同僚女性に夫婦関係を相談するようになり、次第に食事や出張を共にする仲に。男性からの要求に対して性的関係を拒否し続けていたものの、2人で会い続けることを止めず、「社会通念上、相当な男女の関係を超えたものと言わざるを得ない」との判断に至りました。
同時に同僚女性は、「夫婦関係で問題を抱える男性に対して無謀な期待を抱かせた」として、上記金額の慰謝料の支払いを命じています。
参考:「プラトニック不倫」でも賠償命令…肉体関係「回避の努力」認めず一蹴の判決理由|産経WEST
離婚・慰謝料請求を考えたら…弁護士に相談
自分や配偶者の心の浮気で離婚・慰謝料請求を考えている方は、なるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。どのような方法で離婚できるか知りたい方は、法律の専門家のアドバイスを受けましょう。相手との交渉を任せられれば、協議による合意が得らえるかもしれません。
慰謝料請求する側は、請求が認められるかどうかや証拠の集め方、浮気相手への請求を依頼できます。より高額な慰謝料を手にしたいなら、弁護士に相談するのが最良の方法です。
逆に慰謝料を請求される側は、今後どのような対応をすべきかのアドバイスが受けられます。夫婦関係や交際内容から、そもそも慰謝料請求が認められない可能性もあります。金額の妥当性を確かめたり、適切な対処方法を知るには、法律の専門家に相談するのがベストです。
まとめ
心の浮気とは、性的接触を伴わないパートナー以外の相手への恋愛感情をいいます。どこからの行為が心の浮気になるかは、人それぞれで解釈の仕方が異なります。パートナーが特定の人の話題を避けるようになった、態度が急に冷たくなった、興味の対象が変わった、スキンシップを避けるようになったときには心の浮気を疑っていいかもしれません。
心の浮気は感情的な裏切り行為で、長期的な関係になりやすく、別れを選択するケースが少なくありません。自分が浮気をしているときには、ストレスがたまりやすくのめり込むと大変なことに。パートナーが浮気をしている場合は、心の距離ができるために別れを意識させることにつながります。
不倫した訳でないからと真剣に取り合わないでいると大変なことになりかねません。心の浮気だけが原因で裁判離婚が認められる心配はありませんが、過去の事例では慰謝料請求が認められたケースも。離婚や慰謝料請求を検討しているときには、離婚問題に詳しい弁護士に相談しましょう。