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離婚前提、お互いを見つめ直すため、やむを得ない家庭の事情など、様々な理由で別居を選択する夫婦がいます。では別居中に不倫した場合、法的な問題になるのでしょうか。こちらの記事では別居中の不倫に焦点を当て、離婚や慰謝料といった法的問題が発生するのかについて見ていきます。
問題が生じるケースと生じないケース別に具体的な別居の状態を知ることで、リスクを回避できる可能性も。これから別居予定という方だけでなく、すでに別居していて相手が不倫しているかも、自分が不倫したいと考えている方も参考にしましょう。
別居中の不倫で法的な問題が発生する?
まずは別居中の不倫で法的な問題が発生するかについて、判断のポイントや基準について紹介していきます。
不貞行為の有無がポイント
別居中の不倫が離婚や慰謝料問題になるのは、不貞行為があったときです。不貞行為とは法律で離婚が認められる「法定離婚事由」の一つで、民法第770条では「不貞な行為があったとき」としています。具体的には「配偶者以外の人と自由な意思の元で性的関係を持つこと」を指します。それぞれの言葉の意味は以下の通りです。
| 配偶者以外の人 |
|
| 自由な意思のもとで |
|
| 性的関係を持つ |
|
別居中の不倫が不貞行為とみなされれば、離婚裁判で離婚が認められるだけでなく、配偶者とその相手に慰謝料を請求できます。不貞行為の有無は具体的な証拠に基づいて、請求する側が事実の有無を証明しなければなりません。
不貞行為はどこからの行為か知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「『不貞行為』はどこからの行為?不倫・浮気との違いや当てはまるケース、法的に有効な証拠を解説!」
別居中の不倫で慰謝料問題になるのは?
別居中の不倫で慰謝料を請求する場合、不貞行為の有無にプラスして次のような要件を満たす必要があります。以下で詳しく見ていきましょう。
- 不貞行為を行ったことにつき故意・過失が認められる
- 不貞された配偶者に損害(精神的苦痛を含む)が生じている
- 不貞行為と損害(婚姻関係破綻)との間に因果関係が認められる
不貞行為を行ったことに故意・過失が認められる
不倫相手に慰謝料を請求する場合、不貞行為を行ったことに故意や過失が認められるという要件が必須です。ここでいう「故意」「過失」とは、次のような意味となっています。
| 故意 | 結果の発生を認識または容認していた(相手が既婚者だと知っていた・夫婦関係が壊れることが分かって関係を続けていた) |
| 過失 | 結果の発生を予見していた
不注意やうっかりで見逃していなかった |
不倫慰謝料の請求が認められるには、不倫相手が性的関係を持った人が既婚者だと知っていた、加えてその関係を継続することで相手夫婦の婚姻関係の平穏を壊す可能性があることを知っていた(故意)か、もしくは注意していれば知ることができた(過失)という証明が必要です。
不貞された配偶者に損害が生じている
慰謝料を請求するには、不貞された被害者側の配偶者に精神的苦痛を含む損害が生じていなければなりません。というのも、不倫慰謝料は「不法行為(不倫)によって生じた損害や精神的苦痛に対する損害賠償」だからです。不貞された配偶者に何も損害(精神的苦痛)が生じていない場合には、原則として慰謝料を請求できません。
不貞行為と損害との間に因果関係がある
また不貞行為と損害との間に因果関係がないと、慰謝料を請求できません。つまり「不貞行為(の発覚)が原因で夫婦関係が破綻した」ことを、慰謝料を請求する側が証明しなければならないという訳です。そのため不貞行為が明らかになる前から夫婦関係が破たんしていた場合には、不倫慰謝料を請求できない可能性があります。
夫婦関係が破綻していたかの判断基準
夫婦関係が破綻していたかの判断基準は、夫婦の現状や同居の有無などに基づいて慎重に行われます。具体的には次のような状況にある夫婦は、すでに婚姻関係が破綻していると認められる傾向にあります。
- 不貞行為が始まる1年以上前から離婚を前提とした別居をしている
- 配偶者から離婚調停を申し立てられている
- 配偶者からのDVやモラハラがあり、離婚に向けた協議が進められている
- 家庭内別居が続き夫婦間の会話や協力関係がない
- 夫婦双方が離婚に合意していて、具体的な離婚協議が進められている
- 長期間にわたって生計を別にした別居をしている
ここでポイントになるのが「別居の有無」です。別居の期間や理由、様態によって「夫婦関係が破綻していた」もしくは「夫婦関係が破綻していない」の判断が分かれるという点で、別居は非常に重要です。
夫婦関係が破綻していた=不倫による慰謝料請求が難しいケース
ではどのような別居が「夫婦関係が破綻していた」とみなされるのでしょうか。別居中の不倫の場合、別居によりすでに夫婦関係が破綻していたと判断されると、不倫慰謝料は原則として請求できません。不倫の事実が発覚したとしても、それにより夫婦関係が破綻したとはみなされないためです。
別居中の不倫で慰謝料を請求しようと思っているかたは、以下に該当しないかチェックしましょう。
別居期間が長い
別居期間が長期間続いていた場合、すでに夫婦関係が破綻していると判断されるのが一般的です。どのくらいの別居期間があれば認められるかについては、同居期間や夫婦の年齢との対比によって判断が分かれるものの、通常は3~5年程度の別居期間があれば、すでに夫婦関係が破綻していたと認められやすいです。
また別居のきっかけにかかわらず10年程度の別居期間があれば、すでに夫婦関係が破綻しているとみなされて、不倫慰謝料を請求できない可能性が高いでしょう。
別居期間1年で離婚できるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「別居期間1年で離婚できる?長引く・認められないケースと早く離婚するポイント」
離婚前提の別居
再同居の予定がない離婚前提の別居の場合、夫婦関係が破綻していると判断されます。つまり離婚前提の別居中に相手配偶者が不倫したとしても、配偶者とその相手には不倫慰謝料を請求できない可能性が高いという訳です。逆に慰謝料を請求された側は、離婚前提の別居ということを次のような証拠をもとに証明していきます。
- 住民票の異動履歴
- 別居先の住居の賃貸借契約書
- 光熱費の契約名義・利用開始日
- 郵便物の転送届
- 別居の意思表示(メール・LINE・書面)
離婚した方がいい夫婦の特徴については、こちらの記事を参考にしましょう。
「離婚したほうがいい夫婦の特徴|悩んだときのポイントと対処方法を知ってより良い道を選ぼう」
離婚協議・調停・裁判中だった
すでに夫婦間で離婚協議が始まっていたり、離婚調停中もしくは離婚裁判中だった場合は、両者に婚姻継続の意思がなく、夫婦関係が回復する見込みがないため夫婦関係が破綻していると判断されやすいです。別居期間が短期間であったとしても、具体的に次のような状況にあれば、夫婦関係が破綻していると認められます。
- すでに両者が離婚に合意し、具体的な離婚条件について話し合っている
- 弁護士に依頼したうえで離婚に向けての交渉を行っている
- 離婚届に必要事項を記入して相手に渡している
- 離婚調停・離婚裁判が進行している
一方で、上記のような状況にある場合でも、有責配偶者(不倫した側)が一方的に離婚の申し出をしている場合や、離婚届を役所に取りに行っただけというケースでは夫婦関係の破綻は簡単には認めてもらえないでしょう。
別居から離婚が成立するまでの期間が知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「別居からの離婚が成立する期間はどれくらい?必要な期間や別居する際の注意点」
夫婦関係が破綻していない=不倫による慰謝料請求が可能なケース
別居中でも次のようなケースでは、夫婦関係が破綻していないとみなされると不倫慰謝料の請求が可能です。
別居を始めたばかり
別居を始めたばかりの頃に不倫が発覚した場合、夫婦関係が回復する可能性があるということで夫婦関係が破綻していないとみなされて、不倫慰謝料が請求できるでしょう。どの程度の別居期間が短いと判断されるかはケースバイケースで、別居の経緯や同居期間との対比で総合的に判断されます。
状況にもよるものの、1年程度の別居では夫婦関係が破綻していないと判断される可能性が高いです。別居してすぐの不倫はリスクが高いことを覚えておきましょう。
双方が一時的な別居だと認識していた
夫婦の双方が一時的な別居だと認識していたときには、夫婦関係が破綻していないと判断されて不倫慰謝料を請求できます。例えば双方が話し合った結果、「夫婦関係をやり直すための冷却期間を設けよう」と別居した場合です。このようなとき、別居はあくまでも夫婦関係を再構築するための期間と考えられるため、夫婦関係の破綻は認められにくいでしょう。
やむを得ない事情による別居
別居せざるを得ない事情があるときには、夫婦関係の破綻は認められず、この期間の不倫は慰謝料問題になります。具体的には次のようなケースです。
- 単身赴任・長期出張(仕事の関係)
- 両親の介護のため
- 子どもの学校の都合
- 出産・育児のための里帰り
ただし上記のような理由で別居している最中に夫婦仲が悪化し、結果として離婚前提の別居になってしまった場合には、夫婦仲が悪化する前の別居期間を含めるかが問題になりやすいです。というのも夫婦関係が破綻したと認められやすい別居期間が3年~5年となっているためです。
このような場合には離婚を前提とした別居がいつから始まったかを証明できる証拠(メール・LINEのやり取り)などがポイントに。どの程度の別居期間があれば認められやすいかについては、不倫問題に詳しい弁護士に相談しましょう。
離婚前提の別居でも家族間の交流がある
離婚前提の別居であったとしても夫婦間や家族間の交流が継続していた場合には、婚姻関係回復の可能性があるとみなされて、不倫慰謝料を請求できるかもしれません。具体的には次のような交流がある場合です。
- 一緒に食事に行く
- 定期的に面会交流をする
- メール・LINEで日常会話(安否確認・体調を気遣う内容等)をする
- 家族旅行に出かける
- 子どもの教育や健康について相談・協力する
- 学校行事に夫婦そろって参加する
- 子どもの緊急事態に協力する
- 冠婚葬祭など親族付き合いを継続する
- 将来の計画について話し合う
裁判では夫婦関係破綻の判断はとても慎重に行われます。上記のような交流が継続していた場合、裁判所は「完全に夫婦関係が破綻していたとはいえない」として、離婚前提の別居中の不倫であっても、通常の不貞行為と同じように慰謝料請求を認める可能性が高いです。
経済的な結びつきがある
別居中であっても夫婦に経済的な結びつきがある場合には、夫婦関係が破綻していないと判断される材料となります。次のような経済的関係があるときには、注意が必要です。
- 生活費や養育費を定期的に支払って(受け取って)いる
- 家賃や住宅ローンを共同で負担している
- 家計の共同管理
- 共有財産の管理
- 確定申告など税務申告の協力
婚姻関係が破綻する前から不倫関係があった
婚姻関係が破綻する前もしくは別居する前から不倫関係が始まっていた場合、破綻(別居)前の期間について、不貞行為が認められます。実際の事例では、不倫のタイミングと別居が複雑に絡み合っているケースが多いため、単純に「破綻前」「破綻後」と区別することが非常に困難です。
一般的には次のような考えに基づいて、慰謝料の算定をしていきます。
- 破綻前の不倫については通常の不貞行為として責任を負う
- 破綻後の不倫については原則として責任を負わない
- 不倫継続によって破綻が深刻化したときには、追加責任の可能性が生じる
- 一時的な復縁努力(復縁に向けた話し合い・夫婦カウンセリング)があった場合には、その期間中の責任を負う
有責配偶者からの一方的な別居
有責配偶者からの一方的な別居の場合、不倫の被害者である配偶者に離婚する意志がないために、夫婦関係が破綻しているとはみなされません。有責配偶者とは、不倫やDV、モラハラをする側、夫婦間にある義務「同居・協力・扶助義務」を悪意を持って履行せず、夫婦関係を破綻させた責任がある配偶者のこと。
有責配偶者が一方的に夫婦としての生活を放棄した場合には、不倫慰謝料を請求できる可能性が高いという訳です。有責配偶者からの一方的な別居を夫婦関係の破綻として認めてしまうと、不倫する前に勝手に家を出てしまえば慰謝料請求から逃れられることになってしまいます。
そればかりか有責配偶者の行為が「悪意の遺棄」とみなされて、離婚請求や慰謝料請求の新たな根拠になってしまうでしょう。このように有責配偶者からの一方的な別居では、よほどの事情がない限りは夫婦関係の破綻とは認められません。
悪意の遺棄による離婚について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。
「悪意の遺棄での離婚|認められる条件と必要な証拠、スムーズに離婚するためのポイントとは」
不貞行為の慰謝料について
別居中の不倫で慰謝料請求が可能だということが分かった方は、慰謝料の相場や金額が変動する要件、具体的な請求方法について知りましょう。
慰謝料の相場
不倫慰謝料の相場は、不倫が発覚したことで夫婦関係がどのように変わったかで金額が変わります。その理由は、夫婦共同生活の平穏の侵害によって、精神的苦痛の度合いが異なると判断されるためです。主に次のようなケースで、不倫慰謝料の相場が変わります。
| 不倫が原因で離婚した | 100万~300万円 |
| 不倫が原因で別居した | 50万~200万円 |
| 別居も離婚もしない(同居継続) | 50万~100万円 |
とくに別居中の不倫の場合には、夫婦関係破綻の程度によって慰謝料金額が変動します。次のようなケースでは、請求できる慰謝料が大幅に減額されたり、場合によっては請求できない可能性があります。
- 不倫開始時点で夫婦関係が悪化していた
- 別居期間が長期間に及んでいた
- 夫婦関係回復の可能性が限りなく低い
離婚慰謝料の相場について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。
「離婚慰謝料の相場が知りたい!離婚理由や婚姻期間による相場・金額をアップさせるポイントを解説」
金額が変動する要素
不倫発覚後の夫婦関係の変化以外にも、慰謝料の金額が変動する要素があります。
| 不倫の期間・回数 |
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| 不倫の悪質度 |
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| 夫婦関係・家庭への影響 |
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| 慰謝料を支払う側の資力 |
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| 精神的損害の程度 |
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| 夫婦の有責性の程度 |
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| 社会的立場への影響 |
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| 反省の度合い |
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不倫慰謝料算定の要件は、このように多岐に渡ります。一つとして同じケースがないため、自分のケースでどのくらいの慰謝料を請求できるかについては、個々に弁護士に相談することをおすすめします。
ダブル不倫の慰謝料相場については、こちらの記事を参考にしてください。
「ダブル不倫の慰謝料問題|ケース別慰謝料の相場と注意すべきポイント、弁護士に依頼するメリットとは」
慰謝料請求に必要な証拠
不倫した配偶者やその相手に慰謝料を請求するためには、不貞行為があったことを証明する証拠が必要です。充分な証拠がない段階で慰謝料を請求しても、配偶者や不倫相手にその事実を否定され、言い逃れされる恐れがあります。また裁判に移行した場合には、行為を示す証拠が必須です。
次のような証拠を確保したうえで、慰謝料請求をしていきます。
- ラブホテルや不倫相手の自宅に2人で出入りする写真・動画
- 同じ部屋に宿泊していることが分かるもの
- 性交渉中や裸で抱き合っている写真・動画
- 性的関係があったことを推認させる会話・メールのやり取り
- 不貞行為を認めた音声や書面
- 第三者の証言
- 探偵事務所の調査報告書
- ラブホテルや旅館の領収書・クレジットカードの利用明細
- 不倫について記録した日記・メモ
- その他性的関係があったことを推認させるもの
不貞行為を示す直接的な証拠がない場合でも、次のような間接的な証拠を組み合わせて不貞行為を証明することができます。どんな小さな証拠でも残さずに確保しておきましょう。
- 頻繁な連絡のやり取りがあったことが分かる通話履歴・メール・LINE・SNSの内容
- デート中の写真や動画
- プレゼントのやり取りが分かる証拠
- 一緒に外出や食事をした証拠
- 相手を「恋人」と紹介している証拠
不倫の証拠の残し方については、こちらの記事を参考にしましょう。
「不倫の証拠の残し方|具体例ごとの集め方と残すときのポイント・注意点を知って証拠を効果的に使用しよう」
慰謝料を請求できる相手
不倫慰謝料を請求できる相手は、不倫をした配偶者とその相手の双方です。妥当だと認められた慰謝料の金額をどう振り分けるかは、請求する側の自由な判断に任されます。例えば配偶者の不倫によって被った精神的損害の程度が200万円の慰謝料に相当する場合、次のように請求先・請求金額を振り分けることができます。
- 配偶者に200万円全額を請求
- 配偶者に150万円・不倫相手に50万円を請求
- 配偶者に100万円・不倫相手に100万円を請求
- 配偶者に50万円・不倫相手に150万円を請求
- 不倫相手に200万円全額を請求
とはいえ配偶者に200万円、不倫相手にも200万円というように、慰謝料の二重取りはできません。この点に注意しながら、どのように振り分けるのか決めていきましょう。
不倫相手に忠告するときの注意点は、こちらの記事を参考にしましょう。
「不倫相手に忠告・警告するときの注意点とは?ケース別・直接対決するときのポイントとNG行為」
慰謝料の請求方法
慰謝料の相場や請求相手が分かったところで、具体的に慰謝料の請求方法を見ていきましょう。
相手との直接協議
まずは慰謝料を請求したいという内容を直接配偶者や不倫相手に伝えたうえで、交渉を開始します。交渉時には、感情的にならないよう冷静に対応するのがポイントです。配偶者との離婚を考えているときには、離婚するかどうかや離婚条件についても話し合います。
当事者同士顔を合わせるのが苦痛だという場合には、第三者に間に入ってもらうことも検討すべきでしょう。その際は双方に利害関係のない弁護士などの専門家に依頼するのがベストです。話し合いでまとまった内容は、「合意書」「離婚協議書」などの書面として残すといいでしょう。
慰謝料請求調停を申し立てる
話し合いで合意できない場合には、家庭裁判所に慰謝料請求調停を申し立ててください。調停では男女各1名ずつの調停委員がいる場所に、あなたと請求相手が交互に呼び出されて、双方の主張を繰り返します。調停委員からは別居は離婚を前提としたものではなかったかなどの質問をされる場合もあります。
双方が合意に至れば調停成立となり、合意した内容が「調停調書」としてまとめられます。合意に至らない場合、調停は不調(不成立)となり、原則として自動的に裁判に移行します。日本では「調停前置主義」を採用しているため、調停を経ずに裁判を提起することはできません。
離婚調停にかかる費用については、こちらの記事を参考にしましょう。
「離婚調停にかかる費用とは?裁判所・弁護士費用の詳細や一括で払えないときの対処法も」
最終的には慰謝料請求訴訟を提起する
調停が不調に終わった場合は、裁判を提起して慰謝料を請求します。裁判では証拠をもとにして事実を精査し、最終的に裁判官が判断を下します。裁判では慰謝料を請求する側が、その根拠となった不貞行為の存在を証明する必要があります。
裁判で使用する書面(訴状・陳述書・準備書面)の作成には、法律の知識が必要です。また裁判で使える証拠かどうかの判断や裁判所手続きにも専門的な知識が欠かせません。慰謝料請求を裁判で行いたいとお考えの方は、なるべく早いタイミングで弁護士に相談することをおすすめします。
離婚時の弁護士費用に関して知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「離婚時の弁護士費用を徹底解剖!費用をおさえるコツや注意点を紹介」
別居中の不倫で慰謝料を請求されたときの対処法
別居中の不倫がバレて慰謝料を請求された方は、これからご紹介する対処法をもとにして適切に対応していきましょう。
すぐに返事をしない
相手から電話や内容証明郵便で慰謝料を請求された場合、すぐに返事をするのはNGです。慰謝料請求の金額や根拠が妥当かどうかは、よく検討してみないと判断ができません。罪悪感や早く解決したいからといって、安易に支払いを約束するのはおすすめできません。
相手から請求された場合は「いったん持ち帰らせてほしい」と言って、内容を精査した後で返答するようにしましょう。
不貞行為に当たるかを検討
慰謝料を請求された場合は、まず自分の行動が不貞行為に当たるかを確認してください。配偶者以外の人と仲良くなったとしても、性的関係を持っていなければ原則として不貞行為には該当しません。また別居期間が長い場合は、婚姻関係の破綻が証明できれば不貞行為が成立しない可能性も。
請求の根拠となる内容や事実関係を確認した上で、事実と異なる主張をしてきていないか確認してください。
プラトニック不倫と不貞行為との違いについては、こちらの記事を参考にしてください。
「プラトニック不倫で慰謝料は発生する?不貞行為との違いと慰謝料相場、請求する・されたときの対処法」
請求額が妥当か確認
次に慰謝料の請求金額が妥当か確認してください。不貞行為が実際にあったとしても、相手が請求してきた金額が相場よりも大幅に高額な場合は、交渉の上で減額できる余地があるかもしれません。自分だけでの判断は難しいため、不倫問題に詳しい専門家に相談しましょう。
請求者が誰になっているか確認
次に請求者が誰になっているか確認しましょう。配偶者本人からの請求の場合は、要求が妥当でなかったり法的な要件が不十分な可能性があります。相手の意向を把握したうえで、慰謝料を支払う義務があるのかや金額の妥当性を精査してください。
請求者が代理人弁護士になっている場合には、慰謝料請求に必要な法的要件を満たしているだけでなく内容も整理されている可能性が高いです。つまり自分に慰謝料を支払う義務があるという訳ですが、自分だけで対応してしまうと不利に働く恐れがあります。相手が弁護士を立ててきた場合は、こちらも弁護士への依頼を検討してください。
不倫慰謝料を分割払いできるかについて詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。
「不倫慰謝料を分割払いできる?請求する側・される側の注意点とトラブル回避のポイントとは」
婚姻関係が破綻していた証拠を集める
別居中の不倫が事実だとしても、すでに婚姻関係が破綻していたとの認識があるときには、その証拠を集めるようにしましょう。上で紹介した「離婚前提の別居」を示す証拠の他にも、次のような証拠が有効です。
- 別居合意書や協議書などの書面
- 離婚調停の申立書
- 連絡を絶っていることを示す証拠
- 復縁を拒否する内容のやり取り
不倫慰謝料を払いたくないとお考えの方は、こちらの記事を参考にしてください。
「不倫・浮気の慰謝料を払いたくない!請求の拒否や減額ができるケースとは?」
弁護士に相談
不倫慰謝料を請求された場合に、自分に支払い義務があるか確認するためにも、弁護士に相談したうえでアドバイスを求めるようにしましょう。不倫問題や離婚案件の取り扱い実績が豊富な弁護士に相談できれば、判例や過去の経験に基づいて、慰謝料の支払い義務があるかどうか判断してもらえます。
また相手が弁護士を立ててきたり、調停・裁判を申し立てた場合にも、専門家の助けが欠かせません。別居中の不倫による慰謝料請求は、とくに懇意関係破綻の有無が焦点になります。こちらに有利な内容でまとめるためにも、弁護士に相談することをおすすめします。
別居中の不倫や慰謝料請求に関するポイント
別居中の不倫による慰謝料請求や離婚については、次のようなポイント・注意点があります。
離婚しない場合は求償に注意する
離婚せず不倫相手にのみ慰謝料を請求する場合には、不倫相手から配偶者に対する「求償」に気を付けなければなりません。求償とは、自分の負担分を超えて慰謝料を支払った場合、その超過分については共同不法行為者であるあなたの配偶者に支払を請求できるというもの。この請求できる権利を「求償権」といいます。
離婚せずに婚姻生活を継続する場合、家計を一つにしている夫婦も多いのではないでしょうか。不倫相手が求償権を行使して配偶者に請求してきたときには、家計からお金が出ていってしまうことになり、経済的利益がそれほど得られない可能性も。
不倫相手に慰謝料を請求するときには、求償権を放棄させる代わりに慰謝料の減額に応じるなどの対処が必要なケースもあります。
「別居婚」での不倫問題
同居している夫婦の別居後不倫とは別に、初めから「別居婚」だった場合の不倫問題はどうなるのでしょうか。別居婚とは入籍して夫婦になったとしても、一緒に暮らさずに別居を選択する結婚の形の一つです。決して夫婦仲が悪くなったからという訳でなく、夫婦仲が良好であることが前提となります。
別居婚で不倫問題が生じた場合、婚姻関係があることに変わりないため、同居している夫婦と同じように不倫された側は慰謝料を請求できます。しかし別居婚が長期に及んで夫婦のコミュニケーションがほとんどないときには、夫婦関係の破綻とまではいかなくても悪化しているとみなされて慰謝料が減額される可能性があります。
「家庭内別居」での不倫問題
では「家庭内別居」で不倫問題が生じたときはどうでしょうか。家庭内別居とは同じ家で生活をしていながら、夫婦としての共同生活をしていない状態を指します。家庭内別居の明確な定義がなく、夫婦の会話がない、食事を一緒にしない、寝室を別にしている、家計が別など夫婦の数だけ家庭内別居の様態も異なります。
夫婦のコミュニケーションが全くなく家庭内別居が長期間に及んでいるような状態では、夫婦関係が破綻しているとみなされる可能性が高いです。しかし実際の裁判においては、同居している以上「共同生活を送っている」とみなされて夫婦関係の破綻は簡単に認められないのが一般的。
家庭内別居は文字通り「家庭の中で行われている別居状態」のため、夫婦関係が破綻していることを証明するのは難しいといえます。
家庭内別居のメリット・デメリットについては、こちらの記事を参考にしてください。
「家庭内別居はどのような状態?離婚理由になる?メリットやデメリット、注意点を知ろう」
別居中は証拠の確保が難しい
不倫慰謝料を請求する場合、不貞行為を示す証拠が重要になってきます。しかし同居中と異なり、別居中は証拠の確保が難しくなる点に注意が必要です。一緒に暮らしているうちは相手のスケジュール把握が容易で、相手の持ち物チェックやスマホチェックもそれほど手間なく行えます。
しかし別居中となると、不貞行為を示す証拠を集めるのは難しくなります。また別居中の家に無断で立ち入る行為は、たとえ配偶者であっても刑法上の「住居侵入罪」に該当する恐れがあります。別居中に不倫の証拠を集めたい場合は、探偵や興信所などの専門家に依頼することをおすすめします。
またすでに集めた証拠があるときには、弁護士に今持っている証拠を組み合わせて慰謝料を請求できるか相談しましょう。弁護士が持つ調査特権で、不貞の証拠や相手の身元が分かるかもしれません。
別居後に相手が同棲していた場合
別居後に配偶者が不倫相手と同棲した場合、いつから同棲が始まったかがポイントです。とくに離婚を前提としない別居のときには、婚姻期間中に同棲を始めたことや、その同棲に付随する不貞行為によって夫婦関係が破綻したという証拠が必要に。主に次のような書類で確認する方法があります。
- 世帯全員の住民票の写し
- 賃貸借契約書の同居人欄
- 郵便局に提出した転居届
- 光熱費の利用明細書
- 別居先に届いた郵便物のあて名
略奪婚で慰謝料を請求されるリスクについては、こちらの記事を参考にしてください。
「略奪婚で慰謝料を請求される?略奪婚を考えている人が知っておきたいリスクや法的知識」
離婚後に不倫が発覚した場合の慰謝料請求
別居中に配偶者が不倫していたことを、離婚してから気づくケースも少なくありません。そのような場合でも、慰謝料の請求権が消滅する時効(消滅時効)が到来していなければ、離婚後でも慰謝料を請求できます。慰謝料請求の時効について民法では、次のように規定しています。
(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
引用:民法|e-GOV法令検索
これを不倫慰謝料で考えると、
- 被害者が不倫の事実もしくは加害者(不倫相手)を知った時点から3年
- 不倫が行われた時点から20年
のいずれか早い時期が到来すると、時効が成立します。時効成立間際のときには、内容証明郵便で請求したり、調停を申し立てることで時効の進行をストップできます。離婚後に配偶者が不倫していたことを知ったという方は、時効の期間を確認した上で早急に対応しましょう。
昔の不倫で慰謝料を請求するときのポイントについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「昔の不倫を追及できる?慰謝料請求が認められる要件と時効援用・時効の更新について徹底解説」
別居中の不倫と離婚時の親権の関係
別居中不倫していた相手と離婚する場合、子どもの親権を相手に渡したくないと考える人もいるでしょう。しかし親権者の判断において、基本的に離婚原因や有責性はほとんど影響を与えません。親権者の判断では、夫婦のどちらに離婚の原因があるかという点よりも、どちらを親権者とした方が子どものためになるのかが重要になるため。親権の判断要素としては、次のようなポイントが重視されます。
- 子どもの利益と福祉に反していないか
- これまでの監護実績
- 親権者の健康状態
- 子どもの養育環境「継続性の原則」
- 子どもの年齢「母子優先の原則」
- きょうだいの有無「兄弟姉妹不分離の原則」
- 子どもの意思(15歳以上)
- 面会交流についての寛容性
とくに子どもの年齢が小さいほど、母親が親権を持つべきという考え方があります。そのため、別居中に妻が不倫していたとしても、子どもを適切に養育していた実績があるときには、子どもの親権争いで不利になることはありません。
父親が親権を取れる確率が知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「父親が親権を取れる確率は?重視されるポイント・親権獲得のためにすべきことを解説」
別居中の不倫によるリスクを回避する方法
別居中であっても婚姻関係の破綻が認められない限り、配偶者以外の人との交際や不倫は大きなリスクがあります。このようなリスクを回避するために、次のような点に注意しましょう。
事前の取り決め
別居する前には夫婦でよく話し合った上で、別居の取り決めをしておきましょう。可能な限り次のような点について夫婦で合意をしておき、書面にしておくといいでしょう。
- 別居の理由や目的
- 別居期間の見通し
- 連絡の方法・頻度
- 交流の方法・頻度
- 別居解消に向けた努力の有無
- 配偶者以外の人との交際についての取り決め
証拠の保全
別居後の不倫問題や離婚問題が生じたときのために、別居に関する次のような証拠を確保しておくといいでしょう。
- 夫婦の話し合いの記録
- 別居についての合意書
- 別居中の連絡の記録
- 別居解消に向けた努力の記録
- 家計の記録
- 子どもに関する協力の記録
このような記録を確保することで、慰謝料請求時に婚姻関係の破綻がないことの証明や、離婚時に有利な条件を引き出せる可能性があります。
長期間の別居でも不倫・交際は厳禁
長期間の別居により婚姻関係が破綻していると認められれば不貞行為に該当しないものの、5年以上の別居期間があっても必ずしも懇意関係の破綻が認められるとは限りません。場合によっては不貞行為と判断される可能性もあるため、離婚が成立するまでは不貞行為はもちろん、交際していると疑われる行為は控えるようにしましょう。
別居中の不倫・交際は、慰謝料のリスクや離婚への影響があるだけでなく、子どもへの悪影響や職場、周囲の人への影響も無視できません。有利に離婚するためにも相手を刺激するような行動は避け、新しい相手との付き合いは離婚が成立するまで我慢してください。
まとめ
別居中の不倫が法的な問題になるかどうかは、不貞行為に該当するかや夫婦関係の破綻の有無がポイントです。別居期間が長かったり離婚前提の別居、離婚について具体的に動きのあるときにはすでに婚姻関係が破綻しているとみなされて慰謝料を請求できない可能性が高いでしょう。
逆にやむを得ない事情による別居や家族間の交流がある場合、有責配偶者からの一方的な別居の時には慰謝料を請求できるでしょう。慰謝料の金額は発覚後の夫婦の関係や不倫期間、子どもの有無などによって変動します。慰謝料を請求する側は、不貞の証拠を確保したうえで請求手続きを進めていきましょう。
別居中の不倫で慰謝料を請求された側は、すぐに返答したりせず、請求の根拠や請求金額、請求相手を確認するのがポイント。慰謝料を請求する側もされる側も、適正な条件で合意を得るには法律の専門家である弁護士に相談するのがベストな選択です。まずは無料相談を利用して、困っていることや不安なことを相談してみましょう。