養育費は何歳まで支払う?支払期間の考え方や変更・減額方法を解説

養育費は何歳まで支払う?支払期間の考え方や変更・減額方法を解説
養育費は何歳まで支払う?支払期間の考え方や変更・減額方法を解説
  • 「子どもが18歳になる、成人だから養育費の支払いを止めて大丈夫だろうか?」
  • 「養育費が家計の負担になって辛い、いつまで支払えばいい?」

養育費の支払い義務がある方の中には、養育費はいつまで支払えばよいのか疑問に思っている方もいるでしょう。養育費は親の義務ではありますが、養育費が家計の負担になっていて苦しい場合は「支払いをやめたい」という感情が強くなるのも無理はありません。

この記事では養育費は子が何歳になるまで支払えばよいのかについて、期間の考え方を解説します。また養育費は一方的に支払いを止めることはできません。実際に養育費を減額したい場合、支払い期間を短縮したい場合はどうすべきかを紹介します。養育費の支払いにお悩みの方、支払う期間や受け取れる期間が知りたい方はぜひ参考にしてください。

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養育費はいつまで支払うべきか

養育費の支払義務は民法の第766条で明文化されている事柄です。離婚した後でも子どもの監護にかかる費用は夫婦で分担し、子の利益を最優先すべきだと規定されています。

ただ養育費を何歳まで支払うべきかは法律では明文化されていません。実際の養育の場では、親は子どもが経済的に自立できるまで生活費など全般を負担していくものです。そのため普段養育をしない親(非監護親)も同様に子どもが経済的に自立するまでは養育費を支払う義務があると考えられています。

原則として20歳までが目安

養育費の支払金額、期間については離婚時に取り決めを行います。支払う期間について決めていなかった場合は原則として20歳まで支払いを行います。かつては成人年齢が20歳であり、子どもが自立して生活できるようになる年齢が20歳前後と考えられているためです

成人年齢の引き下げは影響しない

2022年4月に民法の一部が改正され、成人年齢が18歳に引き下げられました。この改正によって養育費の支払いも18歳までになると考えている方もいるでしょう。

しかし養育費の支払いを止める時期が即座に18歳までになるわけではありません。法務省は民法改正に際し、養育費を決めた段階で成人年齢が20歳であれば法律の改正によって養育費を受け取る年齢は変わらないと通達を出しています。

取決めがされた時点では成年年齢が20歳であったことからしますと,成年年齢が引き下げられたとしても,従前どおり20歳まで養育費の支払義務を負うことになると考えられます。
引用:法務省|成年年齢の引下げに伴う養育費の取決めへの影響について

そもそも養育費は子どもが経済的に自立するまで支払うお金です。成人年齢が引き下げられたとしても、18歳の誕生日を迎える子の大半は学生であり「18歳になったら養育費の支払いを打ち切る」というのは養育費の意義に反すると言えます。

子どもが経済的に自立するまでが一般的

あらかじめ養育費を受け取る年齢を決めていない場合、子が20歳になるまでが養育費の支払を続ける目安です。ただ養育費を決める段階では、子どもが20歳になった時に経済的に自立しているか明確ではありません。

そのため離婚から年数が経ち、子どもの進路がある程度決まってきた段階で養育費を支払う期間を決めなおすこともあります。子どもが高校卒業後就職をして働くのであれば18歳まで、大学に進学をするのであれば大学卒業までというように経済的に自立できるタイミングを考えて期間を決定します。

養育費の支払い期間が変わるケース

養育費は原則として20歳まで支払うことになっていますが、子どもの状況によっては支払期間が変動します。支払期間が変わるケースや条件についてさらに詳しく解説をしていきます。

子どもが大学に進学した

文部科学省の調査によると令和5年の大学・短大への進学率は61.0%と過去最高を記録しており、男女問わず過半数が大学へ進学をしていることが分かります。
参考:文部科学省|学校基本調査

大学に進学をした場合、卒業は20歳以降になります。大学在学中にアルバイトをする学生もいますが、大学の学費は子ども自身が支払える金額ではなく経済的・社会的に自立している状態とは言えません。そのため養育費の支払いの延長はもちろんのこと学費分を上乗せするよう要求されることも。

大学進学に同意していた否かで異なる

しかし離婚後に大学進学を理由に養育費を増額・延長してほしいと要求された場合、非監護親の全員が納得するわけではありません。できれば拒否したいと考えている方もいるはずです。

大学進学した際の養育費は法律ではっきりと規定されていないため、条件については断定ができないのが現状です。ただ大学進学に伴う養育費の増額や延長についてはあらかじめ子どもの大学進学に同意していたか否かで対応が変わります。

大学進学に同意したとみなされる証拠とは

支払い義務者が子の大学進学に同意していたことを証明するには第三者が見て「進学に同意している」と分かる物的な証拠が必要です。もし養育費について調停を申し立てることになった場合、当事者の主張だけでは決着がつけられないためです。実際には、以下のようなものが証拠として採用されます。

  • 手紙やメール、SNSのやりとり
  • 会話の録音・録画
  • 離婚協議書や合意書

大学進学への同意は「子どもを大学に進学させたい」という報告に対し「分かった」と返事をするといったような簡潔なものでも同意とみなされます。

また進学に対する同意は明確な返答だけでなく、子どもが大学進学を希望することを知りながら反対していないといった黙示的なものも同意に含まれます。具体的には以下のようなケースです。

  • 子どもが受験勉強をしていることを知っている
  • 子どもの受験を応援している
  • 子どもが塾の大学進学コースに通っていることを知っている

大学進学に同意していなくても支払いが必要なケース

家庭裁判所が養育費の算定のために用いる養育費算定表は公立の中学・高校へ進学した際の費用を考慮して作成されており、大学は標準の教育費に含まれませんので大学に進学した場合の費用の負担は義務付けられていないとも解釈できます。そのため支払義務のある親が子の大学進学に同意していない場合、養育費の延長や増額は必要ありません。

しかし先に提示した通り大学進学率は上昇を続けており、大学への進学は特別なことだとは言い切れなくなっています。そのため裁判所も夫婦の状況を総合的に判断し以下のいずれかに該当する場合は、同意がなくとも養育費の延長・増額を認めることがあります。

家庭環境からみて大学進学が妥当である

両親の収入や学歴、地位などを判断し、子どもが大学に進学することは妥当であると判断された場合です。例えば両親(特に非親権者)が大学を卒業している場合、子どものころから塾などに通い熱心な教育を受けてきた場合は、その子どもも同じように大学に進学する機会を保障すべきだとみなされます。

まだ非親権者の収入が高く、子どもの進学費用を負担できる経済的余裕がある場合、もし両親が離婚しなければ確実に大学進学ができたはずです。そのような場合も養育費の増額や延長が認められることが多いです。

離婚時に大学進学が決まっている

離婚が決まった時に既に大学進学が決まっている、もしくは既に在学中である場合です。明確に同意していなかったとしても、大学進学を反対しなかった以上は黙示的に同意していたものとみなされるためです。

実際に支払う金額の考え方

養育費の計算で使用される算定表は、公立高校へ進学した際の学費を見込んだものです。大学に進学した際は入学金や授業料、通学費用、教科書代などがかかり、公立高校と比較すると膨大な金額になります。そのため大学でかかる費用については「特別出費」として養育費に上乗せして扱うことになります。

加算額の算出方法

大学進学を理由に養育費を増額する場合は、具体的にいくら加算すべきなのかを根拠が必要です。大学へ支払う費用が明示されている入学案内、実際に振込を行った振込明細書などをもとに、以下のように金額を算出します。

    年間の学費などの総額が120万円だった場合、一カ月分の上乗せ金額は
    120万円÷12ヵ月=10万円

これは一例であり、実際にこのように計算されるとは限りません。裁判官によっては公立高校の授業料相当(年間33万円)を差し引いた後で計算すべきと考える人もいます。また実際の過去の判例では、国立大学の授業料の3分の1に相当する金額を養育費に上乗せするよう命じた例も。

大学進学時の養育費については法律で明示されていないため、金額や割合については断言できないのが現状です。実際には非親権者の経済状況、大学進学に同意していたか否かを踏まえ、総合的に判断されることが多いです。

子どもが高校を中退し働き始めた

18歳になる前に子どもが高校を中退、もしくは高校に進学せず働き始めた場合、子どもが経済的に自立していると判断されれば養育費の支払い義務はなくなります。

ただ18歳未満は未成年ですので、雇用契約や賃貸契約などさまざまな場で親の同意が必要です。したがって社会的には自立しているとは言い難く、実際には18歳になるまで養育費の支払いが継続することも。その場合は本人の収入分が考慮され、養育費の減額ができる可能性が高いです。

子どもが障害や病気で働けない

養育費の支払い期間は、子どもが経済的に自立できるまでが目安です。そのため子どもが障害や病気で働けない場合は成人後も養育費を支払う義務が継続する場合があります。

ただ障害の度合いは人によって差があり、障害があっても収入を得ている人もいます。そのため障害や病気を理由にした養育費の支払いにあたっては、子どもの状況を慎重に確認した上で判断がされます。

養育費が減額できるケース

離婚時の子どもの年齢によっては、長い期間にわたり養育費を払い続けることになります。その間に何らかの事情で支払いが厳しくなったり、お互いの環境が変化することもあり得ます。以下のように支払義務者や養育者の状況が変わった場合、養育費が減額できる、もしくは支払期間の短縮ができることがあります。

  • 義務者の収入が変化した
  • 義務者に扶養家族が増えた
  • 子どもが相手の再婚相手と養子縁組をした
  • 受け取る側の収入が増えた
  • 子どもが経済的に自立した

義務者の収入が変化した

養育費の金額は夫婦それぞれの収入で算出します。養育費の支払いが終わるまでの間に非監護親の収入が減る、もしくは病気や怪我で収入がなくなる可能性はゼロではありません。養育費を決めた時より収入が大幅に変化した場合は、今の収入に応じ養育費を決めなおすことができます。

義務者に扶養家族が増えた

養育費を払う側が再婚などによって扶養家族が増えた場合、扶養する分の経済的負担を考慮し養育費の減額ができる場合があります。

ここで注意したいのは義務者が再婚しただけでは養育費は変更できないということです。再婚相手が前妻(夫)との間の子に対する養育費の支払いに否定的であり、再婚を機に養育費の減額を考える方も多いです。しかし再婚を機に養育費を減らせるのは以下のいずれかに該当する場合ですので気をつけましょう。

  • 再婚し子どもが産まれた
  • 再婚相手の連れ子と養子縁組を結んだ
  • 再婚相手の収入が少ない

養育費を支払っている側が再婚し扶養する子ともが増えた場合、今までの収入に対する被扶養者数が増えることになり、被扶養者一人あたりに充てられる金額は低くなります。そのため養育費の減額が認められることが多いです。

再婚相手に収入がない場合、極端に少ない場合も同様です。今までの収入で再婚相手の生活を支えていくことになるため、養育費の減額が認められやすい傾向が。

子どもが相手の再婚相手と養子縁組をした

養育費を受け取る側が子を連れて再婚したとしても、子どもの扶養義務は血がつながっている親にあることは変わりません。そのため再婚だけでは養育費の減額は認められません。

しかし再婚相手が子と養子縁組をした場合、扶養義務は再婚相手に移ります。再婚相手が問題なく子を扶養できる経済状況であれば、養育費の減額や免除が認められる可能性があります。

受け取る側の収入が増えた

養育費を受け取る側の収入が大幅に増えた場合も、養育費の減額ができることがあります。養育費は夫婦それぞれの年収を基準に決めるため、収入が大きく変わった場合は支払う金額も当然変動します。

しかし受け取る側がもともと専業主婦(主夫)で離婚を機に働き始めた、パートから正社員になった等収入が増えることを離婚前に見込んでいた場合、養育の減額を申請しても認められないケースが多いので注意しましょう。離婚後は自分で生計を立てなければならず、収入が増えるのは当然のことと言えるためです。

子どもが経済的・社会的に自立した

養育費は経済的・社会的に自立していない子ども、すなわち未成熟子の成長のために支払われるものです。成人年齢に達していたとしても、就職せず一人で生活ができない状況であれば未成熟子として扱われ、養育費の支払義務は続きます。

逆に子が経済的・社会的に自立した場合、もう未成熟子ではなく、養育費の支払は必要ないということになります。そのため支払期間変更の申し立てをすることで、養育費の終了が認められる可能性が高いでしょう。

養育費の支払いを減額・短縮したい際の対処法

養育費の支払いができなくなった、もしくは養育費の支払いを短縮できる条件に当てはまったからといって勝手に養育費を打ち切ってはいけません。相手に条件の確認を行い、同意の上で支払の変更を行うようにしましょう。

最後に実際にどのように養育費の減額・免除手続きを行えばよいのか、手順を紹介します。養育費を決めなおす際の注意点も解説していますので、これから養育費の支払期間や金額を変更したい方はぜひ参考にしてください。

一方的に支払いを止めるのは高リスク

「養育費を払わなくてよい条件に該当している」「金銭的に払えない状況にある」等の理由があるからといって、相手に断りなく養育費の支払を停止するのはやめましょう。

離婚した相手とはできるだけ連絡を取りたくないと考える方は少なくありません。お金のことであれば尚更です。しかし相手に無断で支払いを止めた場合、状況によっては財産や給与の差し押さえに移行する恐れがあります。

預貯金や給与を差し押さえられる

養育費の取り決めを行った公正証書(強制執行認諾文言付きのもの)や調停証書がある場合は受取側が申し立てをすることで給与や預貯金の差し押さえが可能になります。差し押さえは実行日があらかじめ本人に知らされることはありません。

預金が差し押さえられた場合、請求額が口座から強制的に引き落としされます。原則として差し押さえは一度の申し立てに対し一回のみ行うため、口座に預金残高が確実にある給料日を狙って実行されることが大半です。差し押さえられた側は得られるはずの収入が予告なく奪われるため、生活が苦しくなるでしょう。

養育費の不払いによって給与が強制執行の対象になった場合、最大で手取りの2分の1が差し押さえられます。受取側が裁判所に申し立てを行うと、裁判所から勤務先に差し押さえを行う旨の送達が届きます。勤務先には養育費の不払いが原因で強制執行がされたことが知られることになります。

転職をしても強制執行は可能

今までは養育費不払い者が転職し勤務先が不明になった場合、相手の給与の差し押さえが不可能になっていました。過去には離婚後すぐ元配偶者に無断で転職し、音信不通になるという悪質なケースも。

しかし2020年4月1日に改正民事執行法が施行されたことで、裁判所を通し金融機関等の第三者機関から勤務先や預金口座等の情報提供を得られるようになりました。そのため離婚時に公正証書を交わしていた場合、相手に無断で転職をしても強制執行により養育費が回収される可能性があります。いわゆる「逃げ得」は不可能と考えてよいでしょう。

養育費を強制執行されるデメリットについては、以下の記事でも詳しくまとめています。強制執行が気がかりな方は併せてお読みください。
養育費を強制執行する・されるデメリットとは?強制執行の基礎知識とデメリット回避方法

公正証書がない場合は調停が行われる

養育費について取り決めをした公正証書(強制執行認諾文言付き)や調停証書がない場合、突然預金や給与を差し押さえられることはありません。しかし相手が養育費の支払を求め、調停を申し立てる可能性があります。

調停の出廷依頼があっても出席せず調停不成立になった場合、調停で合意ができなかった場合は審判手続きに移行します。双方の主張や証拠に基づき、申立人の主張が認められるかどうかを裁判官が判断します。

審判によって養育費の支払義務が認められた場合、その審判書は法的効力を持つことになりますので、そのまま支払をしなければ強制執行が行われ預金や給与の差し押さえがされることになります。

養育費の相場を再確認する

相手の収入が大幅に増加した、もしくは自分の収入が減少したことを理由に養育費を減額したい場合は養育費の相場を確認しましょう。養育費の金額を決める際には、よく裁判所が好評している養育費・婚姻費用算定表が用いられます。

ただし養育費・婚姻費用算定表は令和元年12月に改訂をしており、以前の表と比較すると生活費の割合が増え、国公立高等学校の学費が低めに計算されるようになっています。また算定表は「0歳~14歳」と「15歳以上」に分けられており、後者のほうが金額が高いです。

そのため新しく計算をし直しても養育費に大きな変動がない、ということもあり得ます。実際に減額請求を行う前に確認をしておきましょう。

相手と話し合う

養育費の減額請求を行いたい場合はまず元配偶者と話し合いを行いましょう。本人同士の話し合いで解決ができれば、家庭裁判所に調停を申し立てる手間が省けます。調停の申し立ては手間がかかる上、何度が出廷をしなければならず、想定以上の労力を伴いますので避けるに越したことはありません。

ただお金が絡む問題となると簡単に応じてもらえないこともあります。子どもの生活に関わることですので誠実な態度を心がけつつ、減額してほしい理由や根拠をはっきりと伝えましょう。

話し合いで養育費の金額や期間を新しく決めなおした場合、法的効力のある公正証書を作成することで後のトラブルを防げます。

調停の申し立てを行う

相手が減額を拒否した場合、もしくは話し合いや連絡を拒否された場合は家庭裁判所に養育費減額請求調停を申し立てます。調停は調停委員が当事者の間に入り、お互いの主張を整理し問題の解決を目指す手続きのことです。

調停の流れ

調停のおおよその流れは以下の通りです。

  • 相手の居住地を管轄する家庭裁判所に申立を行う
  • 裁判所が適切な日程を決め、期日通知書を送付
  • 家庭裁判所で調停委員を介し意見を主張する
  • 合意した内容に基づき合意書を作成する

調停の申立は、原則として相手の住んでいる住所の家庭裁判所に行います。調停の日程(期日)が決まると、当事者双方に調停期日呼出状が届きます。調停当日は当事者同士は直接対面せず、調停委員2人が双方の話を交互に聞くという形式で話し合いが行われます。

調停はおよそ1ヵ月に1回のペースで行われます。回数に制限はありませんが、だいたい3ヵ月~6ヵ月、3回程度の調停を経て「成立」「不成立」「取下(申立人が申立てを取り下げること)」のいずれかに決定します。話し合いの内容について合意に至った場合、その旨を示す書類を発行し協議が終了します。

調停不成立になった場合

調停はあくまでも話し合いですのでお互いに主張を譲らず平行線になることもあります。また相手が調停に出席しないケースも珍しくなく、裁判所が出廷を促すよう督促しても応じないことも。

何度か調停を繰り返しても合意に至らない場合、相手が出頭しない場合は調停は不成立となり自動的に「審判」へ移行します。審判では提出された書類や今までの双方の主張を元に、裁判官が養育費の金額を決定します。

裁判官が決めた養育費に不満がある場合は2週間以内に不服の申立て(即時抗告)が可能です。即時抗告が行われると、家庭裁判所ではなく高等裁判所で新たに審理され判断が下されることになります。

申立に必要な書類

養育費減額請求調停の申立てに必要な書類は以下の通り。

  • 申立書
  • 事情説明書
  • 調停に関わる進行照会書
  • 子どもの戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 申立人の収入に関する書類

申立書・事情説明書・調停に関わる進行照会書の3つは調停を申し立てる際に必要となる書類です。裁判所のホームページで様式をダウンロードできます。

養育費を決定するには当事者の収入を証明するものが必要ですので、申し立ての際には必ず収入が分かるもの(源泉徴収票、給料明細、確定申告書等の写し)を準備してください。

手続きが不安な方は弁護士に相談を

養育費の支払について金額の変更や停止をしたいと考えている方で、手続きが不安な方は弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に依頼をすることで、本人に代わり配偶者と交渉を行ってくれるだけでなく、調停を申立てすることになった場合に強力なサポートを得られます。

相手との連絡を一任できる

養育費について変更や免除を行うにはまず監護親に連絡をしなくてはいけません。しかし相手が感情的になったり、そもそも話し合いに応じてくれなかったりする可能性があります。元配偶者に連絡をするのは気が進まないという方もいるでしょう。

弁護士は相手への連絡や交渉を全て代行できるため、自分から元配偶者に連絡し顔を合わせる必要がありません。また法律知識が豊富な弁護士が減額請求をすることで相手が納得し変更に応じる可能性が高くなります。

調停や審判のサポートを受けられる

当事者同士の話し合いができない、もしくは双方の意見がまとまらない場合は家庭裁判所に養育費減額請求調停を申し立て、調停や審判によって養育費の問題を解決することになります。

裁判所への申立のためには準備する書類が多く、何を記載すればよいのか自分では判断できないことがあります。また調停期日もどのように対応したらよいか、調停委員に何を伝えるべきか迷う方もいるはずです。

弁護士に相談することで調停申立のための書類作成や申立手続きを全て依頼できます。また弁護士は調停期日に調停室まで同席ができますので、調停委員に自分に有利となる情報を的確に伝えられます。有利な条件で養育費問題を解決したい場合は、弁護士に依頼することを強くお勧めします。
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まとめ

養育費の支払いは、前もって期限を定めていない場合は子が20歳になるまで行うとされています。実際には子どもが未成熟子かどうか、すなわち経済的に自立しているかどうかに基づいて判断されます。そのため20歳未満であっても高校卒業後に就職し自立した場合、それ以降の養育費の支払が免除される可能性があります。

非監護親の収入が大きく変化した、もしくは扶養家族が増えた場合は養育費の減額が認められることがあります。また監護親が再婚して子が再婚相手と養子縁組を場合も、扶養義務は再婚相手に移るため養育費の支払義務がなくなります。

養育費の減額や免除は勝手に行えるものではありませんので、まずは監護親に相談をしなくてはいけません。弁護士に養育費の手続きを依頼することで、相手への連絡や交渉、調停手続きを一任できます。手続きが不安な方、自分に有利に交渉を進めたい方はまず法律事務所へ相談をすることをお勧めします。

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