- 「離婚裁判で絶対に負けたくない!」
- 「離婚裁判で負けたときの対処法は?」
離婚話がこじれにこじれて裁判にまで発展したとき、誰しもが絶対に負けたくないと思うはずです。ではそもそも「離婚裁判で負ける」とはどのような状態を指すのでしょうか?こちらの記事では、過去の裁判統計からみる離婚裁判の終わり方や裁判で負ける理由などを詳しく解説。
さらに裁判で負けないためのコツや負けたときの対処法についても紹介するので、これから離婚裁判を控えている方はもちろん、離婚虚偽がこじれそうな方や、現在離婚調停中の方は必見です。
離婚裁判で「負ける」とは…
では離婚裁判で「負ける」とは、一体どのような状態のことを指すのでしょうか。過去の判例に基づく、裁判結果別の統計もあわせて紹介していきます。
離婚請求の棄却のこと
離婚裁判で負けるとは第一に、離婚請求の棄却のことをいいます。離婚したいと考えている側が離婚裁判を起こし、裁判で「離婚を認めない」という判決が出れば離婚することはできず、裁判にも負けたことになります。
多くの離婚裁判では、「離婚したい側」と「離婚したくない側」との争いです。様々な理由から離婚が認められないと裁判で負ける人が出てくるという訳です。
自分の主張が通らないこと
もう一つの解釈として離婚条件などで、自分の主張が通らないと「裁判に負けた」ということがあります。離婚裁判では、離婚する・しないという離婚そのものの他に、離婚慰謝料や子どもの親権、養育費や財産分与についても争います。
そのような離婚条件で、こちらの希望よりもはるかに低い金額で慰謝料が決定したり、子どもの親権が持てなかったりしたときに裁判で負けたということも。これら離婚条件は様々な証拠やこれまでの背景などによって決められます。必ずしも自分の希望通りになる訳でないことを覚えておきましょう。
離婚裁判の終結方法
裁判の終結方法には、主に以下の6種類があります。
終結方法 | 詳細 |
---|---|
判決 | 双方の言い分や証拠、経緯などをもとに裁判官が下す決定のこと |
和解 | 判決が出るまでの裁判の途中で和解勧告を求められ、それに応じると「和解離婚」が成立
裁判はその段階で終了する |
認諾 | 被告が原告の主張を全面的に受け入れて離婚が成立すること(認諾離婚) |
棄却 | 離婚そのものを認めないときに、内容を審理したのち原告の離婚請求が退けられること |
却下 | 要件を満たしていない訴えがあったとき、内容が審理される前にその訴えが退けられること |
取下げ | 離婚請求を提起したもののその後に訴えをする理由がなくなった場合などに、裁判所に対する審判の要求を撤回すること |
裁判官が下す決定のことを判決といい、それによる離婚を「判決離婚」と呼びます。裁判の途中で原告の主張を被告が全面的に受け入れたときは「認諾離婚」となり、双方が歩み寄る形で裁判を途中で終わらせることを「和解離婚」と呼びます。
離婚請求の要件を満たしていない訴えは内容が審理される以前に「却下」され、離婚を認めないという判断が下った場合は「棄却」されます。また原告側の判断で離婚請求を撤回することを「取下げ」と呼びます。
データで見る離婚裁判の終わり方
では実際に、離婚裁判はどのような終わり方をする場合が多いのでしょうか。最高裁判所事務総局家庭局がまとめた、離婚裁判の終局区分件数一覧によると、平成22年~令和元年までの離婚裁判の終わり方は次の通りです。
和暦/終局区分 | 離婚訴訟既済件数合計 | 判決 | 和解 | 取下げ | その他 | |||
合計 | うち容認 | うち棄却 | うち却下 | |||||
平成22年 | 9,532 | 3,852 | 3,516 | 321 | 6 | 4,594 | 867 | 219 |
平成26年 | 8,912 | 3,850 | 3,487 | 351 | 6 | 4,011 | 830 | 221 |
令和元年 | 7,829 | 3,079 | 2,743 | 331 | 5 | 3,494 | 1,047 | 209 |
- 終局区分の「認容」には,原告の請求が一部認容された場合が含まれる。
- 終局区分の「取下げ」には,調停に付され,調停成立で終局したものが含まれる。
離婚裁判の終わり方で最も多いのが、裁判途中で和解する和解離婚です。直近の令和元年のデータによると、和解は全体の約45%を占めています。続いて容認離婚が約35%、訴えの取下げが約13%です。いわゆる裁判で負けた状態である「棄却」は、全体の4%ほどにとどまっています。
離婚裁判で「負ける」理由
では実際には、どのような理由で離婚裁判に負けてしまうのでしょうか。
法定離婚事由に該当せず離婚が認められない
離婚裁判をしても離婚が認められない代表的な理由は、「法定離婚事由」に該当しないという場合です。離婚請求が認められるかどうかは、法定離婚事由の有無に当てはまるかどうかにかかっているため。明確かつ民法で定めた離婚事由がないと、そう簡単には離婚することはできません。
5つある法定離婚事由
法定離婚事由は5つあり、民法第770条に次のように規定されています。
一 配偶者に不貞な行為があったとき
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
参照:民法|e-GOV法令検索
不貞な行為とは、配偶者以外の異性と性交渉を伴う不倫や浮気などです。悪意の遺棄とは夫婦間にある義務に不当に反する行為のこと。例えば正当な理由なき別居や生活費を渡さない、健康なのに働こうとしないなどです。
一番解釈が難しいのが5番目の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」ではないでしょうか。いわゆるDVやモラハラがこれに該当しますが、それ以外にも生活の不一致や過度な宗教活動、犯罪による服役や義実家との不和などが挙げられます。
法定離婚事由の一つ、不貞行為について定義や法的に有効な証拠等を知りたい伊方は、こちらの記事を参考にしてください。
「『不貞行為』はどこからの行為?不倫・浮気との違いや当てはまるケース、法的に有効な証拠を解説!」
法定離婚事由が必要な訳とは
ではどうして、離婚裁判に法定離婚事由が必要なのでしょうか。法定離婚事由の内容を見ても分かる通り、配偶者の生死が長期間分からないという状態や、回復の見込みがない精神病の配偶者に一方的に尽くさなければならないという状態は、客観的に見てあまりに理不尽です。また度重なる浮気やDVを受けているケースでは、決して円満な婚姻関係とはいえません。
このように第三者から見て婚姻関係を継続することが理不尽だと思われる理由があるときや、さまざまな理由から夫婦関係の修復が見込めない判断されたときは、法律の規定によって離婚が認められるべきと考えられるため。法定離婚事由を定めることで、結婚生活に理不尽に縛り付けられる人を救うという意味合いがあります。
裁判所が離婚を認めない
ただし、法定離婚事由があるケースでも裁判所が離婚を認めない場合があります。例えば夫の不貞行為を理由とした離婚請求を起こし、不貞の事実を証明できた場合でも、婚姻関係を継続した方がいいと裁判所が判断した場合には、妻の離婚請求は棄却されます。
裁判で離婚が認められるかどうかは、法定離婚事由があることにプラスして、婚姻関係が修復不可能だと客観的に判断される必要があります。夫に不貞な行為があっても、これまで通り一緒に暮らし協力して子育てや家計の維持を行っていた場合や、夫婦関係の改善が見込める場合には、離婚裁判を起こしても離婚が認められません。
証拠がない・弱い
法定離婚事由に当たる行為があっても、それを客観的に証明する証拠がなかったり、証拠能力が弱かったりすると離婚が認められません。というのも裁判では証拠がすべてです。強い証拠がないと裁判所がその事実をあったと認定することができず、その結果「なかった」という前提で判決が下されるため。
証拠があったとしても、相手側がそれを覆すより強い証拠を提出してきた場合には、相手側の主張が認められることになります。
離婚原因を作った有責配偶者である
離婚原因を作った「有責配偶者」からの離婚請求は、基本的に認められません。少し考えると分かるのですが、浮気をした側が「夫婦関係が破綻したから離婚したい」と訴えても、「そもそもあなたの行為がなければ破綻しなかったのでは?」と裁判所に判断されてしまうでしょう。結果的に有責配偶者からの離婚は認められません。
ただし離婚裁判でも、相手が途中で気が変わり離婚に合意した場合は和解して離婚することができます。また別居期間が婚姻期間と比べて相当長期で、婚姻関係が破綻していると判断されれば離婚が認められる可能性があります。
別居期間が短すぎた
離婚裁判で離婚が認められるかどうかは、別居期間の長さにもよります。長期の別居は婚姻関係が破綻したとみなされる可能性がありますが、別居期間が短すぎると離婚が認められない場合があります。別居期間は何年あれば離婚できるという明確な基準がなく、婚姻期間との比較やその他の状況をみて総合的に判断されます。
過去の判例から見ると、ケースにもよりますが大体3年~5年以上別居が継続していると離婚が認められる可能性が高いでしょう。ただし5年の別居期間があれば必ず離婚できるという訳ではありません。また有責配偶者からの離婚請求では、それよりも長く約10年の別居期間が必要で、未成年の子どもがいない、離婚で相手の生活が困窮しないなどの条件が必要です。
別居期間1年で離婚できるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「別居期間1年で離婚できる?長引く・認められないケースと早く離婚するポイント」
弁護士に依頼しない
弁護士に依頼しないと、離婚裁判に負ける可能性があります。裁判で勝つためには、法的に正当な主張やその主張を裏付ける証拠が必要です。「自分でも裁判を起こせる」と弁護士に依頼せず衝動的に動いてしまうと、裁判の要件を満たさなかったり、証拠が不十分だったりで、裁判に負ける原因に。
とくに相手側が弁護士を付けた場合、弁護士なしで裁判を戦うのは至難の業です。圧倒的に不利になることは確実で、裁判にも負けてしまうでしょう。相手が弁護士を付けてもそうでなくても、裁判に勝ちたいと思ったら、弁護士に依頼することは必須です。
離婚時に依頼する弁護士の選び方のポイントや費用に関する注意点は、こちらの記事を参考にしましょう。
「離婚時に依頼したい弁護士の選び方|相談前・相談時のポイントと費用に関する注意点を解説」
裁判を欠席した
裁判を欠席した場合も、こちら側に不利な内容の判決が下される可能性が高いでしょう。離婚裁判に限らず、裁判は平日の日中に行われるため、仕事やその他家庭の事情などで出席できないこともあるでしょう。訴えられた側(被告)の場合は、第一回目の期日なら答弁書を提出することでこちらの主張を示せ、欠席しても問題ありません。
しかし第二回目以降の期日では、欠席し続けると相手側(原告)の主張を争わないものと判断され、不利な内容で判決が下される恐れがあるため。どうしても裁判に出席することが難しい場合は、弁護士に依頼して代わりに裁判に出席してもらうようにしましょう。
離婚の条件で主張が通らない
離婚の条件でこちら側の主張が通らないと、裁判に負けたと同じ事といえます。
慰謝料請求が認められない
離婚が認められても、慰謝料請求が裁判で認められない場合があります。例えば相手の不貞行為の上に別居して、離婚裁判を起こしたケースなどです。相手の不貞行為を証明する証拠能力が弱いと不貞行為はなかったものとみなされ、慰謝料請求は認められません。一方で長期の別居が続いている場合には夫婦関係が破綻しているということで離婚が認められる可能性があります。
このように慰謝料請求が認められる事実と、離婚が認められる事実が必ずしも一致しない場合があることに注意しましょう。
離婚慰謝料の相場や金額をアップするポイントを知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「離婚慰謝料の相場が知りたい!離婚理由や婚姻期間による相場・金額をアップさせるポイントを解説」
財産分与が納得できない
財産分与で納得できないと、裁判をしても勝ったという気になれません。財産分与は離婚原因とは関係なく、夫婦共有の財産であれば基本的に1/2ずつを折半します。ただ適切に財産を取得するには、夫婦共有財産を抜けもれなく提示する必要があります。
そのためには、相手の財産について、何がどれだけあるか調査しなければなりません。相手が知らない口座に給与の一部を移していた場合などは、その口座の存在を見つけられないと損をすることに。とくに金融機関は本人の同意がないと情報開示に応じない可能性があるので、財産の調査はなるべく同居中に、証拠を確保することをおすすめします
子どもの親権を獲得できない
子どもの親権を希望しているケースでは、親権を獲得できないと、離婚裁判で負けたも同然です。ただし子どもの親権は離婚原因とは切り離して考えられるため、相手に離婚原因があったからといえ、必ず親権が獲得できるとは限りません。子どもの親権者としてどちらがふさわしいかの判断は、主に次のような観点から決められます。
- 継続性の原則(これまで子どもを監護養育していた側が、離婚後もこれを継続した方がふさわしいという考え)
- 母性優先の原則(子どもの年齢が小さいほど母性の存在が欠かせないという考え)
- 兄弟不分離の原則(兄弟がいる子どもは、できるだけ離れ離れにならず一緒に養育するのが望ましいという考え)
- 子どもの意思の尊重(15歳以上)
たとえ妻側の不倫が原因で離婚になった場合でも、これまで主として子どもの世話をしていたのが妻で、今後も妻が監護養育する方が適していると判断されれば、妻側に親権がわたります。どうしても自分が親権を獲得したいと思ったら、こちら側に有利な主張を証拠とともに示さなければ、親権獲得は難しいでしょう。
父親が親権を取れる確率やポイントについては、こちらの記事を参考にしてください。
「父親が親権を取れる確率は?重視されるポイント・親権獲得のためにすべきことを解説」
希望した養育費が受け取れない
希望した養育費が受け取れない場合も、裁判に負けたと感じる人がいるでしょう。親権を持つ方の親は他方に養育費を請求できます。養育費は協議や調停では、相手が合意すれば任意の金額で決められます。しかし離婚裁判では原則として、裁判所が算定した「養育費算定表」に基づいて養育費の金額が決められます。
養育費算定表は、両親それぞれの年収や子どもの年齢、子どもの人数に応じて養育費を算出します。相手が極端に少ない年収を申告していたり、こちら側の年収を明らかしない限り、適正な金額を獲得することはできません。希望した養育費を受け取るには、財産分与と同様に、なるべく同居中に相手側の収入に関する書類を集めることがポイントです。
養育費の一括請求のメリットおよび計算方法については、こちらの記事を参考にしましょう。
「養育費の一括支払い・請求について|メリット・デメリットや計算方法、注意点を解説」
面会交流が認められない
子どもとの面会交流が認められなかったと、裁判結果に納得できない人もいるでしょう。面会交流は親権を持っていない方の親が、子どもと定期的に会って親子の交流を図ることができる権利です。しかし、子どもにとって悪影響があると判断された場合には面会交流が認められない可能性が。
とくに自身のDVやモラハラが原因で離婚裁判を起こされた場合、虐待する恐れがある等で子どもの成長のために望ましくないとみなされると、面会交流に制限がかけられることがあるからです。心当たりのある方は、面会交流が認められない可能性があるので要注意です。
離婚裁判で負けないためのコツ
離婚裁判で負けないためには、次のようなコツや対処法が必要です。費用をかけて弁護士に依頼して、平日仕事を休んで裁判に出席したのに、裁判で負けてしまっては元も子もありません。なるべく有利にかつスピーディーに離婚したいという方は参考にしましょう。
協議や調停で決着をつける
離婚裁判で負けないためには、その前の協議や調停で決着をつけるのが一番です。離婚調停や離婚協議で話し合い合意できれば、柔軟な形で離婚問題を解決することができるため。話し合い次第では、互いにメリットがある形での解決も可能です。
すでに離婚調停が終了した方以外は、なるべく離婚裁判に進む前に粘り強く交渉し、決着をつけることをおすすめします。
離婚調停にかかる費用や一括で払えないときの対処法については、こちらの記事を参考にしましょう。
「離婚調停にかかる費用とは?裁判所・弁護士費用の詳細や一括で払えないときの対処法も」
離婚裁判になったら和解を検討
離婚裁判に突入してしまった後は、和解離婚を目指すようにしましょう。離婚裁判では双方の主張や証拠の提出が済み、本人尋問や証人尋問を終えた段階で、裁判所の方から双方に和解をすすめてきます。離婚事件では、双方が納得するような形での解決がベストだと考えているため。
また当事者も「もし裁判で負けたらどうしよう」と考えるため、裁判前に激しく対立していても、裁判中に気持ちが変わり和解に応じる可能性が高いです。実際に離婚裁判では、約半数が和解離婚を選択しています。とはいえ和解協議をより有利に進めるには、法的に正当な主張や強い証拠の提出が欠かせません。
離婚裁判の期間および手続きの流れについて知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「離婚裁判の期間を手続きの流れごとに解説!長引くケース・期間を短縮する秘訣とは?」
なるべく早めに弁護士に依頼
離婚裁判で負けないためには、なるべく早いタイミングで弁護士に相談することをおすすめします。弁護士なら法定離婚事由に当てはまるかの判断ができ、それを裏付ける証拠の種類や確保の方法などのアドバイスができます。また離婚条件で争う場合は、こちらが有利になるような方法を考えてくれるでしょう。
いずれの場合も離婚裁判で負けないためには、法的に正当な主張をして、そのための証拠を提出できるかにかかっています。法的なスキルや専門知識の有無によって左右されるため、法律の専門家である弁護士に力を借りるのが一番の近道です。
離婚裁判で負けたときの対処法
では離婚裁判で負けてしまったとき、このままでは納得ができないという場合には、次の一手はあるのでしょうか。
控訴期間内に控訴する
離婚裁判で離婚請求が認められなかった場合、判決が出てから2週間以内なら控訴が可能です。この2週間を過ぎてしまうと控訴ができず、判決が確定してしまいます。また後で裁判を起こそうと思っても、同じ内容(離婚請求)で裁判を繰り返し起こすことはできません。
控訴した場合も、次に勝つには新たな証拠が必須です。控訴期間は2週間以内と決まっていますが、実際に控訴審が開かれるのは4~6カ月後。その間に新たな証拠を集められれば、控訴審で勝てる可能性があるでしょう。また控訴したという事実そのもので婚姻関係が破綻していると認められれば、離婚請求が通るケースも。
家庭裁判所から高等裁判所に控訴する場合、控訴理由に関してとくに制限はありません。また離婚は認められたが離婚条件で納得がいかない場合は、一部敗訴部分についてのみ控訴することが可能です。
「その他婚姻を継続し難い重大な事由」について検討
離婚請求が裁判で認められなかったときには、自分たちのケースが本当に法定離婚事由に該当しないのかもう一度確認してみましょう。場合によっては「その他婚姻を継続し難い重大な事由」と認められる可能性があるからです。
証拠が不十分で相手の不貞行為やモラハラが認められなくても、夫婦喧嘩が絶えないことや義理の家族との不仲などの合わせ技で離婚が認められる場合も。もう一度自分たち夫婦の現状や事情を、振り返って考えてみましょう。
別居期間を設ける
離婚請求しても離婚が認められないときには、別居期間をさらに設けるといいでしょう。上で説明した通り、長期間の別居はその事実だけで「その他婚姻を継続し難い重大な事由」と認められる可能性があるため。とくに同居したまま離婚裁判に臨んだ方や、別居してすぐに裁判を提起した方には有効な方法です。
離婚が認められるであろう別居期間は3年~5年が目安ですが、これには裁判している期間も含めることができます。実際に離婚が認められるかどうかは夫婦の事情や背景によって異なるため、具体的な別居期間を知りたい方は、個別に弁護士に相談することをおすすめします。
相手に有利な離婚条件を提示
なるべく相手に有利な離婚条件を提示すると、離婚することが可能です。中には婚姻費用をもらい続けた方が、離婚して養育費を受け取るよりも得だと考え、離婚を拒否し続けるケースがあります。そういった場合には、「今離婚に応じるなら通常より多くの財産を分与する」などいう交渉ができるでしょう。
婚姻費用をもらって離婚を拒否し続けるより、離婚した方が経済的利益があると分かれば、早期の離婚に応じる可能性も。相手は何がネックで離婚に応じないのかを良く見極めれば、条件交渉によって離婚できるかもしれません。
婚姻費用をもらい続けたいと思っている方は、こちらの記事を参考にして損をしない対策を取りましょう。
「婚姻費用をもらい続ける方法は?損しないための対抗策とよくある質問に答えます!」
まとめ
離婚裁判で負けるというのは、一般的に離婚請求が棄却されたときや希望した条件が認められなかったときのことを指します。裁判で負ける理由は、法定離婚事由に該当しない場合や証拠が不十分なケース、有責配偶者からの離婚請求や別居期間が短すぎたなど様々。
裁判で負けないためには、なるべく協議や調停で合意を取り付けることが大切です。またなるべく早めに弁護士に依頼し、実際に裁判になったら和解離婚を選択することをおすすめします。
裁判で負けた後は2週間以内に控訴し、新たな証拠をそろえられれば控訴審で離婚が認められる可能性も。また他に婚姻関係が破綻していると認められるような事情がないか検討したり、さらに別居期間を長く設けることが有効です。離婚裁判で負けないためには、法的な手続きに慣れた専門家の存在が欠かせません。自分のケースで離婚裁判に勝てるのか、離婚問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。