妊娠中なのに離婚したい…気になる親権や養育費、認知について解説

妊娠中なのに離婚したい…気になる親権や養育費、認知について解説
妊娠中なのに離婚したい…気になる親権や養育費、認知について解説
  • 「妊娠中に夫から離婚したいと言われた…」
  • 「妊娠中に離婚すると困ることはある?」

妊娠中はホルモンバランスの影響で精神が不安定になったりして夫の言動が気になり、些細なことでも離婚したいと考てしまう人がいます。妊娠中は夫の浮気が多い時期でもあり、夫から離婚を迫られるというケースもあるでしょう。こちらの記事では、妊娠中に離婚したいと思ったときの、子どもの親権や戸籍、養育費について詳しく解説。

また妊娠中に夫から離婚を切り出されたときの対処法を紹介するので、動揺せずにまずは冷静に対処しましょう。妊娠中に離婚が成立した場合、周囲に頼る人がいなければ自分一人で子供を育てなければなりません。そんなときに役に立つのは公的手当や税金等の減免制度です。離婚後に困らないよう、離婚前にしっかり制度について調べておきましょう。

目次

妊娠中でも離婚できる?

妊娠中、夫に愛想が尽きて離婚したいと思ったとき、果たしてスムーズに離婚できるのでしょうか。

妊娠が制限されることはない

妊娠中だからといって、離婚を制限されることはありません。双方が合意すれば協議離婚で離婚することは可能です。ただし妊娠中は特に女性が感情のコントロールができなくなりがち。これは妊娠によって女性ホルモンのバランスが崩れたことによるものですが、一時的な感情だけで離婚に突き進むのはあまりおすすめできません。

子どもの出産時期で手続きが変わる

妊娠中の離婚では、子どもの出産時期で戸籍や親権などの手続き方法が変わります。離婚届が受理されてから300日以内に生まれた子どもは、元夫の子どもと推定(摘出推定)されるとして結婚している夫婦の子どもと同様に「摘出子」として父親の戸籍に記載されます。逆に結婚していない男女の間の子供や離婚から300日以上経過してから生まれた子供は「非摘出子」として母親の戸籍に入ります。

妊娠中の離婚では、子どもが離婚後300日以内に生まれたのか、それとも以降に生まれたのかによって様々な取り扱いが変わってくるため注意が必要です。

また離婚が成立するまでに長引くと、離婚する前に子どもが生まれることもあるでしょう。この場合、親権は両方の親が持つことになり、離婚時に親権者の指定や子どもの戸籍をどうするかという問題が発生します。このように妊娠中の離婚には、妊娠中ならではの問題が出てきます。そのため、どのタイミングで離婚するか離婚前にしっかりと考えることをおすすめします。

決めたことは公正証書にする

離婚時に決めたことは離婚協議書などの書面にして、公正証書にするといいでしょう。公正証書とは公証役場の公証人によって作成される公文書で、法的に強い強制力を持ちます。公正証書で養育費や慰謝料などの支払いについて決めておくと、支払いが滞ったときに裁判の手続きを経ずに強制執行による差押えが可能です。未払いのまま逃げられる心配がなくなるので安心です。

離婚や出産に関するお金について

こちらでは妊娠中に離婚したときの慰謝料や出産に関するお金について解説していきます。妊娠から出産を経て育児の期間は、予定しなかったことも含め、多くのお金がかかります。取れるものはしっかり取るようにして、いざというときのために備えましょう。

慰謝料はもらえる?

妊娠中に離婚をせざるを得なくなったら、精神的な苦痛を受ける人も多くいるでしょう。果たしてそれだけで慰謝料は発生するのでしょうか。残念ながら法律上は、妊娠中に離婚しただけでは慰謝料は発生しません。とくに離婚の理由で一番多い「性格の不一致」による場合は、夫側に全面的な責任があるとはいえず、慰謝料は請求できません。

そもそも慰謝料は精神的な苦痛を与えたことによる損害賠償金のこと。どちらにも落ち度がない場合や、双方に責任がある場合は慰謝料を請求できないことになります。

相手に原因があれば請求が可能

ただし相手に離婚の原因があれば、慰謝料を請求できる可能性があります。慰謝料が発生するのは婚姻関係が破綻するような重大な不法行為があったときと決められているからです。婚姻関係が破綻するほどの不法行為には次のようなものがあります。

  • 不貞行為
  • 長期に及ぶ別居や家庭の放置
  • DVやモラハラ
  • 度重なる犯罪行為による服役など
  • 働かない・生活費を渡さないなど
  • 飲酒癖や浪費癖によるトラブル

上のような理由で離婚する場合は、慰謝料を請求できる可能性が高いでしょう。ただしいずれの場合も、離婚の原因を証明する証拠が必要になります。

金額は相場で判断される

慰謝料が請求できるケースでは、慰謝料の金額は過去の判例に基づく相場で判断されます。慰謝料の相場は主に次のような要素で相場金額が変わります。

  • 結婚期間の長さ
  • 夫婦の年齢
  • 子どもの有無・人数・年齢
  • 支払う側の収入や資産
  • 有責性の高さ
  • 有責行為があった期間や頻度

中でも妻の妊娠中は夫婦生活を持つことが難しく、夫が他の女性と浮気や不倫をする事例も少なくありません。そのような場合の慰謝料は、結婚期間の長さにもよりますが100万円~300万円が相場です。自分のケースではどの位の相場になるか知りたいという方は、離婚問題に詳しい弁護士にご相談ください。

円満離婚での慰謝料相場を知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「円満離婚の慰謝料相場が知りたい!増額・減額する方法と弁護士に依頼するメリット」

養育費の請求方法

離婚後に子どもが生まれた場合、その子どもを育てるのにかかる養育費は請求できるのでしょうか。養育費の負担については、子どもの生まれた時期によって次のような手続きの違いが発生します。

300日以内に生まれた場合

離婚後300日以内に生まれた子どもの養育費については、嫡出推定により元夫が父親として養育費を負担しなければなりません。離婚後に特別な手続きをしなくても、元夫に養育費を請求できます。基本的には元夫婦の間での話し合いによって養育費について決めていきますが、話し合いだけでは決着が難しい場合は養育費請求を求める調停で話し合いをすることになります。

300日後に生まれた場合

離婚後300日以降に生まれた子供の場合、摘出推定が働かないため子どもと元夫の親子関係は法律上明らかになりません。子供との親子関係が明らかでないため、元夫に養育費を請求できないので気を付けましょう。

元夫から養育費を支払ってもらうには、まず子どもを「認知」してもらう必要があります。両者の話し合いで認知を求め、それでも応じてもらえない場合は認知調停や裁判で認知の訴えをおこす必要があります。最終的に訴訟になっても、DNA鑑定で親子関係が認められれば認知が成立します。

養育費を請求するための弁護士費用が知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「養育費に関する弁護士費用が知りたい!ケースごとの相場・払えないときの対処法とは?」

出産費用はどうなる?

妊娠中の健診や出産には高額な医療費がかかります。とくに出産費用は数十万円もかかるため、妊娠中に離婚した方は元夫に出産費用を出してもらえるか心配になるはずです。

離婚前は婚姻費用として請求できる

離婚前の妊娠中の通院費や切迫流産による入院費などは夫に請求できます。夫婦にはお互いに経済的に支え合わなければならないという「扶養義務」があります。つまり収入の高い方から低い方へ生活費などを支払わなければなりません。夫婦がお互いに負担すべき生活費のことを「婚姻費用」といい、病院への通院費や入院費は婚姻費用として収入の高い夫に請求できるという訳です。

離婚のタイミングを考え中の方は、離婚せず婚姻費用をもらうのと、離婚して子どもの養育費として払ってもらうのと、どちらがいいのか悩んでいる方もいるかもしれません。一般的に離婚後の養育費よりも婚姻費用の方が高い金額を貰えるので、これから出産を控えて大きな金額のお金が必要になる方は、離婚時期を考えた方がいいかもしれません。

離婚後は最低限の請求が可能

離婚後は夫婦ではなくなるので、法律的には婚姻費用として出産や通院にかかるお金を請求できません。ただし妊娠は男女が行った行為による結果です。男女両方に責任があると考えれば、たとえ離婚後であっても元夫に出産費用を負担するように求めることもできるはず。まずは費用の半額を支払うよう請求し、話し合いにより元夫が納得すれば全額負担してもうことも可能です。

子どもの親権・戸籍・認知の必要性

子どもの親権や戸籍、認知などは子供の将来にも関わることなので、しっかりと考えていきたいものです。

親権はどうなる?

妊娠中に離婚した場合、離婚後に生まれた子どもの親権はどちらが持つことになるのでしょうか。

出産前の離婚では母親が獲得

出産前に離婚した子どもの親権は、ほとんどのケースで母親側が獲得します。これは子どもの誕生が離婚から何日経っていようと変わらず、生まれたときから母親が持つことになります。親権には原則として子どもを実際に育てる権利「監護権」も含みます。よって生まれた後に子どもを育てる権利も、親権者の母親にあります。

出産後の離婚では協議が必要

何らかの事情で離婚時期が後ろにズレ込んだ場合、子どもが生まれてから離婚することもあるかもしれません。このケースでは両親が親権者となるため、離婚後に親権をどうするかは双方の協議が必要です。離婚届を提出するときには、子どもの親権をどちらにするか決めないと離婚届が受理されません。よって離婚前に子どもの親権について話し合っておく必要があります。

もしもどちらが親権者になるか話し合いで決着がつかなかった場合は、家庭裁判所での調停や裁判で離婚することになり、親権についてもその手続きの中で決められることになります。

戸籍はどちらに入る?

子どもの戸籍は離婚した日と生まれた日の関係で変わってきます。戸籍は親権と混同しがちですが、親権と戸籍は連動していないため、親権者になったからといえ自動的に戸籍も同じになるということはありません。

離婚後300日以内に生まれた子は元夫の戸籍に

離婚後300日以内に生まれた子どもは元夫の戸籍に入ることになります。前述の通り、離婚後300日以内に生まれた子どもは摘出推定により、元夫の摘出子とみなされるためです。もちろん子どもの姓も元夫と同じになるため、母親側が親権者となり子どもと一緒に暮らして育てていても、母親が結婚前の姓に戻った場合は、子どもとは姓(名字)や戸籍が違うという現象が起こることに。

母親の戸籍に入れたいと思ったら…

同居の母子の姓や戸籍が違っていると、様々な不都合が生じます。それを解消するためには母親の戸籍を作り、子どもをその戸籍に入れるという手続きが必要になります。こちらでは離婚後に子どもを母親の戸籍に入れる場合の手順を解説していきます。

①母親が筆頭者の新しい戸籍を作る

生まれた子どもと同じ姓、同じ戸籍にするには、まずは母親が筆頭者の新しい戸籍を作る必要があります。離婚して夫の戸籍から妻だけが抜けた場合、次の3つの方法が考えられます。

  1. 姓を結婚前の旧姓に戻して実家の戸籍に戻る
  2. 姓は結婚時のまま変えずに新しい戸籍を作る
  3. 姓を旧姓に戻して新しい戸籍を作る

上の1のままでは、戸籍法上子どもを実家の戸籍に入れることはできません。まずは自分が筆頭者の新しい戸籍を作る必要があります。戸籍を作る場合は、離婚後の姓を旧姓に戻すかそれとも結婚時と同じにするか決めることになります。

②「子の氏の変更申立」を家庭裁判所に提出

離婚後の姓を旧姓に戻して戸籍を新しく作った場合でも、結婚中と同じ姓を名乗っている場合でも、父親の姓のままの子どもの姓を変更する必要があります。というのも見かけでは同じ姓ということになりますが、戸籍法上は戸籍も姓も別だと考えられるからです。

子どもの姓を変更するには、家庭裁判所に「子の氏の変更申立」を行います。子どもが15歳未満の場合は親権者が子どもに代わって申し立て、15歳以上になると子供本人が申立人として手続きを行います。

申立書を提出するのは子どもの住所地を管轄している家庭裁判所です。戸籍謄本などを添付して申立て費用の800円を収入印紙で納め、連絡用の郵便切手を添えて提出します。特に問題がなければ2~3週間ほどで許可が下ります。

③子を母親の戸籍に入籍させる

子の氏の変更申立が認められ、許可審判書が届いたら、母親の本籍地がある自治体役場に子どもの入籍届を提出します。無事に入籍届が受理されれば、子どもと同じ姓・戸籍にする手続きは完了です。

離婚後300日以降に生まれた場合は母親の戸籍へ

離婚後300日以降に生まれた子どもの戸籍は、初めから母親側の戸籍に入ることになります。このとき元夫からの認知がなければ非摘出子ということで、戸籍の父親の欄は空欄となります。もちろん元夫との法律上の親子関係はなく、養育費の請求や元夫が死亡した場合の遺産相続もできません。

認知の必要性

子どもの生まれた日と離婚した日の関係によっては、認知の必要性が変わってきます。認知の有無によっては子どもの将来に大きな影響を及ぼすことがあるため、十分に気を付けましょう。

300日以内に生まれた子の認知は不要

離婚から300日以内に生まれた子どもについては、認知の必要がありません。元夫の子供だと推定されることから、法律上親子関係があるとみなされるためです。とはいえ離婚後に養育費を確実に払ってくれるかは元夫次第。確実に養育費を支払ってほしいなら、離婚時に決めた事柄は必ず公正証書で作成をしておきましょう。

300日後に生まれたら認知を請求

出産予定日よりも大きく遅れ、離婚後300日後に生まれた子どもの場合、元夫による認知が必要になります。話し合いで元夫が認知をしてくれないときは、調停や裁判で認知を請求しましょう。

離婚に至るいざこざで元夫と顔を合わせたくないと考える方がいるかもしれませんが、元夫が認知してくれないと父親の欄は空欄になり、養育費や相続権も発生しなくなります。子どもの将来のことを考えれば認知してもらうに越したことはありません。ただし認知するかしないかについては、元夫の判断次第になることを覚えておきましょう。

元夫の実子でない場合

離婚後300日以内に生まれた子どもはたとえ元夫の実子でない場合でも、元夫が「父親」として戸籍に載ってしまいます。それでは都合が悪いと考えるなら、次の二つの手続き方法をとって、親子関係がないことを証明することが可能です。

「摘出否認」を申立てる

元夫が「摘出否認」を家庭裁判所に申立てて調停や訴訟が成立すると、生まれた子どもは元夫と親子関係がないとされ、元夫の戸籍から外れます。この申し立ては出生を知った日から1年以内に行わなければならないので、早めに対応しなければなりません。訴訟では父と子のDNA鑑定結果などを示して、親子関係がないという事実が証明されれば、法律上の親子関係を断つことが可能です。

「親子関係不存在確認」による調停

1年以内に「摘出否認」ができなかったときは、親権者側から「親子関係不存在確認」の調停を家庭裁判所に申し立てられます。こちらの調停は申立てに期限がなく、誰でも申し立てることが可能です。父親側が住んでいるエリアを管轄する家庭裁判所に申し立てて、実費でDNA鑑定を行います。

面会交流について

親権を持たない方の親は、子どもと定期的に会ったり交流したりする「面会交流」の権利があります。離婚後に面会交流について揉めないためには、次のような点に注意しましょう。

事前に取り決めをしておく

面会交流についてトラブルを防ぐためには、離婚前にしっかりと取り決めをしておく必要があります。双方が合意した内容は、養育費などと同様、公正証書にしておきましょう。面会交流に関する取り決めには、次のような項目があります。

  • 面会について(回数・日時など)
  • 子どもの引き渡し方法(時間・場所)
  • 監護者の立ち合いの有無
  • 第三者の立ち合いの有無
  • 贈るプレゼントの頻度や価格
  • 学校行事への参加の有無

妊娠中に離婚した場合、元夫に子どもを合わせたくないと考えることも多くあります。しかし面会交流は子どもが親と会う権利とされており、正当な理由なしに母親の気持ちだけで面会を拒否することはできません。生まれてすぐの子どもには明確な意思はありませんが、親の都合だけでなく子どもが将来感じるであろう気持ちを考えることも大切です。

面会交流が認められないケースも

ただし子どもにとってマイナスになるようなケースでは面会交流が認められません。「子の福祉」に悪い影響を及ぼすと判断されるからです。子の福祉に悪影響を及ぼすと考えられるのは次のような場合です。

  • 子どもを虐待する可能性がある場合
  • 面会交流によって子どもに精神的な負担がかかる場合
  • すでに再婚後の父親がいて、新しい家庭との間で子どもが混乱する可能性がある場合

とくに子どもを引き取った母親が再婚して新しい家庭を築いているというケースで、新しい夫のことを本当の父親として認識していると面会交流が認められない場合が。そのような状況で別れた父親と面会させると、子どもが混乱してマイナスの影響を与えてしまうからです。

妊娠中に「離婚したい」と言われたら?

妊娠中に突然夫から「離婚したい」と言われたらどうすればいいのでしょうか。

すぐに離婚に応じる必要はない

もし夫から離婚したいと言われても、妊娠中はすぐに離婚について考えたり応じる必要はありません。妊娠中に離婚してしまうと、出産後すぐに働けずに生活するお金にも困ることに。いくら医療が発達したといえ、スムーズに出産を終えられるとは限りません。さらに離婚して保険の移行中に出産や入院が重なると、高額な慰謝料を支払わなければならなくなります。

有利な条件で離婚したいと考えている夫の中には、子どもの親権をとりたい妻の気持ちに付け込んで、離婚時期を遅らせるなど不利な離婚の条件を突き付けてくることがあります。しかし日本では離婚後でも母親に親権が行くことがほとんど。親権のために不利な条件で離婚しないよう気を付けましょう。

中には生まれた子どもを見て、急に離婚の意思がなくなる夫もいます。まずは生まれてくる赤ちゃんのことを考えて、夫の言うことを真に受けず「離婚のことは出産が終わってからまた話し合いましょう」と保留にしましょう。

証拠集めからスタート

今まで円満だったのに、妊娠したタイミングで離婚を言い出す夫の中には、浮気や不倫が原因ということもあります。離婚の理由を聞いても「結婚してから変わった」や「ずっと我慢していた」など、妊娠中の妻に言うことかという内容をあげてくる場合は、浮気の可能性が高いでしょう。

浮気や不倫が疑われるときは、まずは証拠集めから始めましょう。妊娠中のため自分で証拠探しをするのはなるべく避け、できれば探偵などの調査の専門家に依頼することをおすすめします。とくに浮気の証拠で重要になるのは法的に有効な証拠かどうか。本人が浮気を認めた音声の録音のほか、ラブホテルに二人で出入りする写真や動画などが必要です。

別居も考慮に入れる

お互いが冷静になる時間が必要なら、一時的に別居することも考慮に入れましょう。夫婦は同居の義務がありますが、妊娠中や産後に静養のため実家に帰っても、それが離婚事由となることはありません。逆に物理的に離れることで、夫側も落ち着きを取り戻して離婚を回避できる可能性が高まります。

有責配偶者からの離婚は認められない

夫の浮気などで離婚を要求されても、離婚の原因を作った「有責配偶者」からの離婚は認められないので安心してください。婚姻関係を維持できない程の有責行為により配偶者を傷つけた上に、相手が望まない離婚を求めるということは、社会正義に反すると考えられているためです。

有責配偶者が離婚したいと考えることは誰にも止められませんが、たとえ離婚を求めて裁判を起こしたとしても、配偶者に非がない限り離婚は認められないので安心してください。勝手に離婚届を出されないようにするためには「離婚届不受理申出」を自治体役場に提出しておくと、独断で離婚届を出されても受理されません。

DVや暴力があったらすぐに避難

離婚問題で揉めて、夫からDVなどの暴力行為があった場合はすぐに避難するようにしましょう。妻が妊娠中でもモラハラやDVをする夫はいます。身体的な暴力にあうと母体はもちろんのこと、お腹の赤ちゃんの命をも危険にさらすことになります。

またモラハラのような精神的暴力や生活費を入れないなどの経済的DVを受けた場合は、妊娠中の不安定なメンタルにさらにダメージを与えかねません。自分と子どもの命を守るためには、安全な場所に避難することをおすすめします。もしも身寄りがない場合や実家に帰れないという場合は、自治体が設置している支援センターやDVシェルターに一時的に保護してもらうことも考えましょう。

弁護士に相談

妊娠中に夫から離婚を切り出されたときは、なるべく早めに弁護士に相談するのがおすすめ。結婚生活を継続させたいと考えるなら、円満調停などの方法で夫婦関係の修復に力を貸してくれるでしょう。離婚を望む場合も慰謝料の相場や子どもの養育費、親権などの交渉を任せられます。

調停や裁判になってもあなたの代わりに手続きを行ったり、裁判で代理人として主張することを任せられます。また本当に離婚するのが最適なのか、法律に基づいた客観的なアドバイスが得られるでしょう。そして何より弁護士に相談することで、妊娠中の心身の負担を軽減することができます。

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シングルマザーが受けられる支援制度

妊娠中に離婚して子どもを一人で育てなければならないくなっても、国や自治体による支援制度を受けられれば、ひとり親の負担も減らせます。そこでこちらではシングルマザーが受けられる様々な支援制度を紹介していきます。

支援制度には国が一律で行っているものや市区町村が独自に行っている制度もあります。制度内容や条件は毎年変更になる可能性があるので、詳しくは自治体の福祉関係窓口までお問い合わせください。

生活保護

国が生活困窮者に対して行っている制度に生活保護があります。生活保護は何らかの事情により生活に困っている人に対して、最低限度の生活を保障しながら自立するのを助ける制度です。生活保護の受給を受けるには、次の4つの条件に当てはまる必要があります。

  • 援助してくれる親や親戚がいない
  • 資産を持っていない
  • 病気やケガなどやむを得ない事情で働けない
  • 収入があっても厚労省が定めている最低生活費の基準額に届かず上の3条件を満たしている場合

支給される生活保護費は、厚生労働省が定めた計算式に基づいて計算されますが、基本的には基準の最低生活費から収入を差し引いた不足分が生活保護費として支給されます。生活保護費は生活をする上で必要な8種類の経費に対して、それぞれ必要な金額が扶助されます。

  • 生活扶助
  • 住宅扶助
  • 医療扶助
  • 介護扶助
  • 出産扶助
  • 教育扶助
  • 生業扶助
  • 葬祭扶助

公的手当

都道府県や市区町村などの自治体では、子どものいる世帯やひとり親家庭に対して、次のような援助や手当を行っています。それぞれの制度の対象や支給金額はこちらです。

公的制度の名称 支給対象 支給金額(月額)
児童手当 0歳~15歳までの国内に住所がある子ども 0歳~3歳…15,000円
3歳~12歳…10,000円~15,000円
中学生…10,000円
児童扶養手当 ひとり親家庭の0歳~18歳までの子ども 全部支給…43,160円(子ども1人当たり)
一部支給…43,150円~10,180円
特別児童扶養手当 精神または身体に障害がある児童 52,500円(等級1級/子ども1人の場合)
障害児福祉手当 精神または身体の障害により常時介護を必要とする20歳未満の子ども 14,480円
児童育成手当 18歳までの児童を扶養する母子家庭 13,500円(児童1人当たり)
住宅手当 20歳未満の子どもを養育しているひとり親家庭 5,000円~10,000円
医療費助成制度 0歳~18歳までの子どもがいるひとり親家庭 所得に応じて変動
こども医療費助成制度 市区町村によって子どもの支給対象者が異なる 医療費の一部自己負担額を助成

他にも自治体によっては、20歳未満の子どもがいるひとり親家庭に対して資金の貸し付けを行う制度や、公営住宅へ優先的に入居できる措置が設けられています。

税金などの減免制度

上で紹介した手当や助成制度の他に、税金や公的保険の減免を受けられる制度もあります。公的手当などとあわせて活用していきましょう。

制度の名称 適用条件 減免割合
寡婦控除 以下の2つの条件いずれかを満たしている人
①離婚や死別により単身で生活している母子家庭で、生計を一にする子どもの総所得が38万円以下の場合
②離婚や死別により単身で生活している母子家庭で、世帯の合計所得金額が500万円以下の場合
特定の寡婦控除…所得税35万円・住民税30万円控除
一般の寡婦控除…所得税27万円・住民税26万円
国民健康保険の免除 前年より所得が大幅に減少した人
病気やケガなどで生活が苦しい人
2割~7割減額
国民年金の免除 前年所得が大幅に減少した人 1/4~全額免除
保育料の減免 保育所入所児童がいる世帯 半額~全額免除
上下水道料金の割引 児童扶養手当受給家庭など 各自治体によって異なる

まとめ

妊娠中でも夫と離婚することは可能ですが、離婚時期や子どもの生まれる日にちによっては、認知が必要になったり親権者が変わることも。子どもの将来にも関わることなので、離婚時期は慎重に判断しましょう。また慰謝料や養育費など、離婚時の取り決めは必ず書面に残し、公正証書にすることをおすすめします。

離婚後の生活に困ったら、生活保護やシングルマザーが受けられる公的手当などが利用できます。税金や国民年金が減免できる制度もあるので、自分はどの制度が利用できるかチェックして、子どもとの今後の生活に役立てましょう。

妊娠中に夫から離婚したいと言われたときは、すぐに結論を出そうとせず、別居も考慮に入れながら物理的に距離を置く方法を探りましょう。夫に浮気の疑いがある場合は、無理に自分で証拠を見つけようとせず、探偵などに依頼するのがおすすめ。離婚するにせよ回避したい場合も、弁護士に相談できると妊娠中の心身の負担が軽減されます。

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