- 「不倫した配偶者と不倫相手に制裁を加えてダメージを与えたい…」
- 「不倫された側がやってはいけない制裁と法律の中でできる精細とは?」
信じていた配偶者に不倫されたと知ったとき、怒りや悲しみなど様々な感情が沸き起こります。そして「なぜ自分だけがこんな目に?」と思い、人によっては配偶者や不倫相手に何かしらの制裁を加えたいと考えることもあるでしょう。
こちらの記事ではそのような人のために、ダメージを与える制裁の仕方について、合法・違法それぞれについて解説していきます。確実に相手にダメージを与える制裁をするには、事前の準備や証拠集めが必須です。ときには専門家の助けを借りながら、合法的にダメージを与えられる制裁について考えていきましょう。
合法的にダメージを与える制裁方法とは?
まずは法律に基づいて合法的にダメージを与えることができる制裁について、配偶者と不倫相手とに分けて解説していきます。
配偶者に与えられる制裁
不倫した自分の夫や妻には、次のような制裁を与えることができます。
慰謝料を請求する
配偶者の不倫(不貞行為)が発覚した場合、離婚する・しないにかかわらず、原則として配偶者と不倫相手の両方に慰謝料請求ができます。慰謝料とは、第三者に不法に侵害を加えられたことによる精神的苦痛に対する損害賠償のこと。
もちろん不倫が原因で離婚問題に発展した場合には、不倫による損害賠償の他に離婚したことによる損害賠償を請求できます。そのため、離婚しない場合に比べて離婚した方が慰謝料の金額が高額になります。
プラトニック不倫で慰謝料が発生するかどうかは、こちらの記事を参考にしてください。
「プラトニック不倫で慰謝料は発生する?不貞行為との違いと慰謝料相場、請求する・されたときの対処法」
受け取れる慰謝料の相場
受け取れる慰謝料の相場は、次のような要素に応じて変動します。
- 婚姻期間の長さ
- 不倫期間の長さ
- 不倫の回数や頻度
- 不倫が始まった経緯
- 子どもの有無
- 子どもの年齢
- 婚姻関係の破たん(離婚や別居)の有無
- 不倫を知ってからの態度
- 反省や謝罪の有無
- 不倫相手への経済的支援の有無
- 不倫相手との妊娠・子どもの有無
慰謝料の金額は支払う側が合意すれば、いくらでも受け取ることができます。裁判になった場合の相場は、不倫が原因で離婚した場合は100万~300万円程度、離婚に至らなかった場合は数十万~100万円となっています。
ただし配偶者と不倫相手の両方から二重に受け取ることはできません。すでにどちらか一方から相場に近い慰謝料金額を受け取っている場合にはもう片方にはそれ以上請求できないと覚えておきましょう。
不倫での慰謝料相場や変動する要素については、こちらの記事を参考にしましょう。
「不倫がバレたらどうなる?トラブルを防ぐ対処法や慰謝料の相場・変動する要素を解説」
夫婦間契約・誓約書を作成
配偶者が離婚したくないと主張し、あなたが折れて婚姻関係を継続させると決めた場合は、夫婦間契約を結んだり誓約書を作成してもらうのもいいでしょう。書面では不倫の事実とその責任について認めさせ、相手に会わないなど禁止する行為についても決めておくといいでしょう。
次にまた同じようなことをした場合のペナルティを決めると、不倫の再発防止に有効です。例えば「今度離婚したらすぐに離婚届を提出する」「その場合は慰謝料を○○○万円支払う」など。ただしペナルティの内容が過度になってしまったりすると、相手が拒否してしまう可能性があります。また暴行を加えるや脅迫をするなどの行為は避けましょう。
浮気と不倫の違い、法律上の不貞行為の定義については、こちらの記事を参考にしてください。
「浮気と不倫の違いはある?法律上の不貞行為の定義や『不倫しているかも』と思ったときの対処法」
親同席で謝罪させる
配偶者への不倫の制裁として、両家もしくはあなたの親同席の謝罪の場を設けるという方法があります。あなたに謝罪するだけよりも、はるかに制裁としての効果があります。あなたを大切に育てた親に向かって、あなたへの裏切り行為を謝罪するのはかなりのエネルギーが必要です。
申し訳ない気持ちはもちろん、後悔や恥ずかしさ、自分への情けなさなど様々な感情が湧きおこるでしょう。またあなたの親から感情をぶつけられることで、心からの反省が期待できるはずです。
退職・転居の強制
不倫相手と同じ職場だったり生活圏が被っていたりする場合、退職や転居が不倫の制裁として効果的です。強制的に環境を変化させることで、精神的ストレスを与えたり身体・居住の自由を奪うことになるため。
ただし退職や転居の強制は、慎重に判断する必要があるでしょう。強制的な不安や家族への影響、将来の計画などを考慮して、総合的な判断を下すべきでしょう。また退職や転居には費用がかかることも。事前に計画をしたうえで実行するべきでしょう。
離婚請求
離婚請求することで、配偶者への制裁とする方法があります。とくに相手が離婚を希望していない場合は、次のような経済的・心理的制裁を与えられるでしょう。
経済的制裁 | 慰謝料の支払い
財産分与(婚姻期間中に取得した財産は離婚時に原則として等分される) 養育費の支払い(未成年の子どもがいる場合、親権を持たない親は養育費を支払う義務がある) 別居期間中の婚姻費用の支払い(離婚までに別居していた場合、収入の多い方が少ない方の生活費を負担する義務がある) 転居に伴う費用の出費(引っ越し費用・住居費・その他) |
心理的制裁 | 親権を失う(子どもを日常的に養育していない側は、親権獲得に不利になる)
離婚して孤独になる |
不倫の証拠がある場合、離婚問題がこじれて離婚裁判になったとしても離婚が認められる可能性が高いでしょう。不倫は法律で離婚が認められる不貞行為であり、不貞行為をした側は離婚原因を作った「有責配偶者」として、有責配偶者からの離婚請求は原則として認められません。こちらのタイミングで離婚を求めることが可能です。
托卵妻と離婚する方法については、こちらの記事を参考にしてください。
「托卵妻と離婚する方法|子どもの親子関係と養育費、慰謝料はどうする?困ったときのポイントを解説」
不倫相手への制裁
不倫した配偶者と同じくらい、人によってはそれよりも不倫相手に制裁によりダメージを与えたいと考える方も多いでしょう。こちらでは、合法的に不倫相手にできる制裁方法について解説していきます。
慰謝料を請求する
不倫された場合は、配偶者と同様に不倫相手に対しても慰謝料を請求できます。慰謝料を請求することで、相手に経済的な制裁を加えられるでしょう。
慰謝料金額の相場
不倫相手への慰謝料請求では、不倫によって夫婦関係がどのように変化したかで金額の相場が変わってきます。
夫婦関係 | 慰謝料相場 |
---|---|
不倫の事実があったが夫婦関係は継続 | 50万~100万円 |
不倫が原因で別居に至った | 100万~200万円 |
不倫が原因で離婚に至った | 100万~300万円 |
配偶者への慰謝料請求と同じように、金額は複数の要素から決まります。複数の要素が重なれば、場合によっては上記の相場を超えて慰謝料が増額できる可能性も。詳しい慰謝料の金額については、男女問題に詳しい弁護士にご相談ください。
略奪婚で慰謝料を請求されるかについては、こちらの記事を参考にしてください。
「略奪婚で慰謝料を請求される?略奪婚を考えている人が知っておきたいリスクや法的知識」
「求償権」に注意
不倫相手に慰謝料請求する場合、気を付けたいのが「求償権」についてです。求償権とは、不倫相手が自分で負担すべき金額を超えた慰謝料を支払った場合、その超えた分に関してもう一方の当事者であるあなたの配偶者に支払を請求できる権利のこと。
前出の通り、不倫慰謝料は配偶者と不倫相手の双方に請求できます。しかし配偶者をすでに許しているケースや、夫婦の財布が一緒だからと配偶者に慰謝料請求をしていないとします。一方で不倫相手には100万円の慰謝料を請求し受け取ったとすると、不倫相手はあなたの配偶者に対して、超過分である50万円の返還を請求できるという訳です。
求償権は相手の権利なので、絶対に行使させないようにする手段はありません。しかし慰謝料請求の交渉時に不倫相手との間で「求償権を放棄する」という内容の合意ができれば、その心配はなくなるでしょう。
不倫相手に接触禁止を要求する
不倫相手に、配偶者との接触禁止を要求するという制裁方法があります。夫婦関係を継続させる選択をした場合、相手とまだ続いているのではという心配があります。そのような場合不倫相手に対して、配偶者との接触禁止を要求して合意を取り付ける方法が有効です。
禁止するのは直接会うことはもちろん、電話やメール、FAXや手紙、SNSなどのあらゆる連絡手段を含みます。口約束では合意した記録が残らず、後でトラブルになる可能性が高いので、必ず合意書などの書面にしましょう。接触禁止の約束を破った場合は、違約金を支払うなどの内容を追加すればより効果的です。
ただし数千万円などあまりに高額な違約金を設定してしまうと、今度は民法第90条の「公序良俗違反」とみなされて、合意が無効となる恐れが。違約金の金額は、良識の範囲内で設定しましょう。
不倫と婚外恋愛の違いについて詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。
「婚外恋愛と不倫との違い|婚外恋愛のリスクや影響を認識しトラブルを防ぐ対処法を知ろう」
慰謝料不払いによる給与の差し押さえ
裁判で慰謝料の支払い判決が出たものの、不倫相手が期日までに慰謝料を支払わなかったり踏み倒そうとしている場合には、給与等の財産を差し押さえられます。ここでいう差し押さえとは、裁判所から不倫相手の勤務先や口座がある金融機関に差押えの命令が行き、支払われる予定の給与や口座にある預貯金からあなたへの慰謝料が差し引かれるという法的手続きです。
裁判所からの書類が来るため、職場には慰謝料を支払っていないということがバレてしまうでしょう。結果的に合法的に相手に心理的制裁を加えられるという訳です。ただし給与等の差し押さえができるのは、裁判の判決で慰謝料の支払いが命じられているケースに限られます。
合法か違法か判断が分かれる制裁
不倫の制裁の中には、合法か違法か判断が分かれる方法があります。このような制裁をしようと考えている方は、違法にならないか確認しましょう。
不倫相手を転職・転居させる
不倫相手を強制的に転職させたり転居させることは、刑法上の強要罪となる可能性があるので注意が必要です。とはいえ不倫相手が合意した場合や、請求する慰謝料を減額する代わりに退職や転居を求めることはできます。この場合にポイントになるのは、相手の了承があるかどうかです。
不倫相手の会社に訴状を送る
不倫相手の勤務先に、不倫裁判の訴状を送ることで「会社に不倫したことがバレたのでは?」などと強い心理的プレッシャー与えることができます。ただし勤務先に訴状を送れるのは、以下の条件が揃っているときに限られます。
- 不倫相手が自宅の住所を教えてくれない・調べても分からない
- 不倫相手の勤務先の住所が分かっている
不倫裁判を起こす場合は、訴状を不倫相手にも送る必要があります。民事訴訟法第103条には、「訴状は相手の自宅に送ることができない事情がある場合は、職場に送ることができる」とあるため、上記の条件が揃っていれば不倫相手の職場に訴状を送っても問題ありません。
ただし相手の自宅の住所が分かっているにもかかわらず、あえて職場に知らせるような行為をした場合は「名誉棄損罪」に問われる可能性があるので気を付けましょう。
不倫相手の親に知らせる
不倫相手の親に、「あなたの息子・娘が不倫していますよ」と知らせる制裁は、合法か違法かの判断が分かれます。というのもいくら親でも、子どもの不倫の事実を第三者に伝えるのは「プライバシー侵害」になりかねないからです。プライバシー侵害には罰則が設けられていないものの、不倫相手から慰謝料を請求される可能性があります。
プライバシーの侵害とみなされる可能性が高いのは、悪意を持って故意に知らせた場合。相手との交渉や裁判で不利になる可能性があるので、このような制裁をしようとしている方は慎重にしましょう。
不倫相手の配偶者に知らせる
ダブル不倫だった場合、不倫相手の配偶者にもこの事実を知らせたいと思う人がいるでしょう。しかし感情のままに知らせてしまっては、また別の人を傷つける結果になることも。人によってはそのような行為に対して、好意的でない感情を抱いてしまう場合があります。
相手の配偶者に知らせるのは、制裁の一つの方法ですが、慎重に行動するようにしましょう。知らせる目的を明確にし、証拠や情報を示すときには関係者のプライバシーや安全性を尊重しながら明らかにする必要が。
不倫相手の配偶者もあなたと同じ立場です。あなたの配偶者に慰謝料を請求する権利があるため、結果的に行った来たでゼロに終わる可能性もあるでしょう。こちらは離婚したのにあちらの夫婦は離婚せず、慰謝料もなかったこととなれば、制裁の意味がそれほどなくなります。
ダブル不倫で離婚する場合の離婚や慰謝料請求方法については、こちらの記事を参考にしてください。
「ダブル不倫で離婚したい!離婚の方法や気になる慰謝料請求について解説」
不倫の制裁だとしても…これはNG!
いくら不倫の制裁をしたいと思っても、このような行為はNGです。法律に違反してしまうと、場合によってはあなたが逮捕されたり相手に慰謝料を請求される可能性があるからです。相手に効果的な制裁を与えるためには、一度冷静になって行動しましょう。
相手への暴言や暴力
不倫された怒りのあまり、配偶者や不倫相手に対し「殺すぞ」「死ね」などの暴言や、殴る蹴るなどの暴力をふるってしまうと、あなたが罪に問われる可能性があります。たとえあなたが不倫の被害者だとしても、暴言や暴力が正当化されることはないからです。
暴言は侮辱罪や名誉棄損罪に、暴力は暴行罪という罪に問われる恐れが。どれだけ感情的になっていたとしても、絶対に暴言や暴力は控えましょう。
脅しや強要
脅しや強要も、犯罪となる可能性が高いでしょう。脅しは脅迫罪(刑法第222条)として、他人の生命・身体・名誉・自由・財産に対して害を及ぼすことを告げる犯罪。具体的に次のような脅しが該当します。
- 不倫したことを会社・家族・友だちにばらす
- 痛い目にあわせてやる
- 会社にいられないようにしてやる
強要罪もまた刑法第223条に規定されている犯罪です。他人を脅したりして、相手に無理な要求をしたり本来義務のないことを指せたりする行為のこと。具体的には次のような言動が当てはまります。
- 「土下座して謝れ」と頭を掴んで無理やり土下座させる
- 「職場に不倫をばらす」といい不倫相手に退職を強要し、実際に退職させる
- 「サインしないと親に不倫のことをバラす」といい、不倫を認める内容の念書や慰謝料支払いの合意書を書かせる
このような行為は刑法の強要罪に当たります。絶対にやらないようにしましょう。
脅して金銭を要求する
脅して金銭を供給する行為は恐喝罪(刑法第249条)に当たる可能性があります。実際に相手がお金を渡さなくても、脅すなどした時点で恐喝未遂罪が成立する場合があります。例えば、「要求通りに慰謝料を支払わないと、周囲に不倫のことをバラす」と脅して慰謝料を支払わせたりすると、恐喝(未遂)罪に当たるでしょう。
恐喝罪は未遂であっても10年以下の懲役という重い刑罰が科されます。相手が警察に被害を訴えたら、あなたが犯罪者として罪に問われてしまうでしょう。相手にお金を要求したい場合は、必ず慰謝料請求という形で合法的に行ってください。
何度も連絡する
不倫相手に対して何度も電話したり会いに行ったりすると、その行為がストーカー行為とみなされる可能性があります。また1日に何度も継続的に着信を残す、SNSにメッセージを送り続けるなどの行為もNG。
最初はしつこくするつもりがなかったのに、慰謝料請求の書類を送っても応じず、連絡も付かなかったのでいつの間にか何度も電話していたということがあるかもしれません。しかし相手が被害届を提出したりすると、あなたがストーカーとして罰せられる可能性があります。
ネット・SNSで不倫の事実や個人情報を拡散
インターネットやSNS上で、不倫の事実や相手の個人情報を拡散するのもまた犯罪です。名誉棄損罪や侮辱罪に該当する可能性があり、次のような刑事罰を科される可能性が。
名誉棄損罪 | 3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金 |
侮辱罪 | 1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料 |
とくにSNSに投稿する行為は、他の制裁方法よりも圧倒的に多くの第三者を巻き込むもの。またいったん拡散されると、半永久的にその情報が残り続けます。いくら不倫の被害者であっても、加害者である配偶者や不倫相手の信用を失わせるような行為はプライバシーの侵害や名誉棄損罪に該当する可能性が高いでしょう。
ネットやSNSに不倫や個人情報をばらすような方法での制裁は、絶対にやめるようにしましょう。
職場や周囲に不倫を暴露する
ではネットやSNSを使わず、職場や周囲などごく限られた範囲に不倫を暴露しても大丈夫なのでしょうか。個人的な問題を相手の職場に持ち込む行為は、プライバシーの侵害や名誉棄損に当たる可能性が高いでしょう。また相手の近所や周囲の人に、悪意を持って不倫のことをバラす行為も同様です。
あなたが職場に不倫の事実を知らせたことで、相手が退職してしまった場合、訴えられると一定期間の給与相当分や慰謝料の支払いを命じられる可能性があります。
不倫をし返す
いくら配偶者が不倫したのが悔しいからといって、あなたが不倫をし返すのもNGです。既婚者の不貞行為は民事における違法行為です。配偶者にバレれば慰謝料請求の可能性が高いでしょう。また不倫したことが周囲にバレると、あなたの社会的信用を失いかねません。
あなたにとって不倫の発覚がどんなに辛いことであったとしても、このような制裁をするべきではありません。一日も早く平穏な生活に戻るためには、冷静に判断・行動し合法的にダメージを与えるのが望ましいでしょう。
不倫の制裁をするためにすべきこと
合法的かつ正当な手段で不倫の制裁を与えるには、次のようなポイントをおさえる必要があります。
不倫の証拠を集める
まずは、配偶者が不倫したという確たる証拠を集める必要があります。証拠がなければ弁護士に依頼しようと思っても受任してもらえなかったり、裁判になっても不倫が認められずに慰謝料請求や離婚請求が失敗する可能性が高いからです。
不倫の証拠となるもの
不倫の証拠として認められるのは、次のような不貞行為があったことを示すもの。不貞行為とは配偶者以外の異性と、性的交渉もしくはそれに類する行為を行うこと。これから紹介する証拠を、できるだけたくさん集めるようにしましょう。
証拠の種類 | 内容 |
---|---|
写真 | 二人でラブホテルに出入りしたことが分かるもの
旅館や相手の家に泊まったことが分かるもの |
音声データや撮影データ | 性行為もしくは性行為があったことを予測させる会話等の録音、動画 |
誓約書・音声データ | 配偶者や不倫相手が不倫を認めた音声データや誓約書 |
クレジットカードの利用明細・レシート | ラブホテルや旅行先で使用したと思われるもの
避妊具等の購入の明細やレシート |
交通系ICカードの利用履歴 | 不倫相手の家の最寄り駅等で使ったSuica、PASMOなどの利用履歴 |
メール・手紙・LINE | 不倫相手とのやり取りが分かるもの
性交渉があることが分かるもの、密会の予定など |
ブログ・SNS | 不倫相手との交際や性行為について書かれたもの |
日記・メモ | 配偶者との会話や目撃した行為、日常の行動などを継続的に記した手書きの記録 |
GPS・位置情報サービス | ラブホテルや不倫相手の家に滞在したことが分かる記録 |
住民票の写し | 配偶者と不倫相手が同棲している場合、同棲を示す住民票 |
子どもの血液型・DNA鑑定 | 子どもが夫婦の子ではないことを示す結果 |
妊娠や堕胎を証明できる書類 | 配偶者が妊娠した、不倫相手を妊娠させた場合にそれを示す証拠 |
探偵事務所や興信所の調査報告書 | 不倫調査を依頼した場合 |
上記に加えて、不倫の目撃証言や関与した第三者の証言も不倫の事実を補強する証拠となります。また不倫相手に送ったであろうプレゼントの購入履歴や銀行取引履歴、スケジュール帳なども不倫の実態を示す証拠となります。
慰謝料を請求する場合、金額は複数の要素によって算定されます「より長い期間不倫していた」「より多くの回数不倫していた」と分かる証拠があると、慰謝料の増額が認められやすいでしょう。
不倫の証拠とならないもの
一方で、次のようなものは不倫の証拠として認められない可能性が高いでしょう。
- レストランで食事をした明細
- 腕を組んでデートしている写真
- 性的関係があるとみられないメールやLINEのやり取り
- 不倫相手の自撮り写真
- 配偶者のSNSに異性と見られる後ろ姿が映っていた
- 不倫相手のSNSに配偶者のものと思われる時計・アクセサリー・洋服が映っていた
また改ざんが疑われる画像データや違法な手段で集められた証拠は、裁判所で証拠と認められない可能性があります。さらに夫婦が別居した後の不倫の証拠も、すでに夫婦関係が破綻していたと評価されるため、たとえ不貞の証拠があっても慰謝料請求が認められない恐れがあります。
どのような証拠が有効かについてや、証拠の集め方については、弁護士に相談することをおすすめします。
言い訳への対処法を考える
不倫相手に慰謝料を請求しようと思っても、様々な言い訳を並べて請求を拒否しようとするケースはよくあります。こちらでは言い訳に対する対処法をいくつか紹介するので、いざというときの参考にしましょう。
不倫相手の言い訳 | 対処方法 |
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「性的関係はない」 | 不貞の証拠を示す |
「結婚していると知らなかった」 |
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婚姻関係が破綻していると思っていた |
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交際相手が既婚者だと知らなかったときの対処法は、こちらの記事を参考にしてください。
「彼氏が既婚者だと知らなかった…慰謝料請求されたときの対処法や減額方法を解説」
不倫相手の情報を集める
慰謝料を請求する場合、不倫相手の個人情報などを集めておく必要があるでしょう。
慰謝料を請求する場合、不倫相手の個人情報などを集めておく必要があるでしょう。不倫相手の情報 集める理由個人情報 氏名・住所・連絡先尚身元を特定するための情報は慰謝料請求に必須相手に連絡する上でも役立つ所属情報 相手の職業や勤務先、所属する組織や地位などの情報は、慰謝料請求や法的手続きを行う上で重要な要素となる通信記録 不倫相手とのやり取り(メール・SMS・通話履歴・SNSのダイレクトメッセージなど)連絡履歴は相手との関係ややり取りの証拠として利用可能関係者情報 不倫相手とかかわりのある共通の知人や会社の同僚などの情報を収集相手の不倫への関与度が分かり不倫の事実を補強する証言を得られる可能性がある
不倫相手の情報 | 集める理由 |
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個人情報 | 氏名・住所・連絡先尚
身元を特定するための情報は慰謝料請求に必須 相手に連絡する上でも役立つ |
所属情報 | 相手の職業や勤務先、所属する組織や地位などの情報は、慰謝料請求や法的手続きを行う上で重要な要素となる |
通信記録 | 不倫相手とのやり取り(メール・SMS・通話履歴・SNSのダイレクトメッセージなど)連絡履歴は相手との関係ややり取りの証拠として利用可能 |
関係者情報 | 不倫相手とかかわりのある共通の知人や会社の同僚などの情報を収集
相手の不倫への関与度が分かり不倫の事実を補強する証言を得られる可能性がある |
慰謝料の相場を確認
慰謝料を請求する場合は、適切な請求額を設定するために相場を確認することをおすすめします。同様のケースや過去の判例をもとに、どの位の慰謝料請求が認められたか調査しましょう。また自分が受けた被害や苦痛の評価を客観的に行うことも重要。精神的苦痛や経済的損失など、慰謝料請求の根拠となる要素を洗い出せます。
最終目標を明確に
相手に制裁を加える前には、最終的な目的を明確にするといいでしょう。夫婦関係を修復したいのかそれとも離婚したいのかによって、与える制裁の種類や方法が変わってくるため。また離婚するとしないとでは、請求できる慰謝料の金額が変わってきます。離婚後の生活のことも考え、慰謝料請求や財産分与を行いましょう。
弁護士に相談
不倫の制裁を加えたいと思ったら、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談するメリットとして、次の3点が挙げられます。
違法行為になるかどうか判断してもらえる
自分が行おうとしている不倫の制裁が、違法行為に該当するかどうか判断してもらえます。上で説明した通り不用意にSNSに個人情報に書き込んだり、相手の職場に不倫をばらしたりすると、名誉棄損罪や侮辱罪などの罪に問われる可能性が高いです。
結果的に不倫の被害者であるあなたが、罰金や懲役などの刑事罰を科せられてしまうことも。うっかり違法行為をしないためには、事前に法律の専門家である弁護士に相談するのがベストです。
心理的プレッシャーを与えられる
弁護士に依頼すると、配偶者や不倫相手に心理的プレッシャーを与えられます。弁護士に依頼すると、不倫相手に受任通知が送付されます。一般的には内容証明郵便で送付するケースが多いですが、不倫をしてしまったという負い目がある中で弁護士事務所から内容証明郵便が届いたとなると驚きます。
さらにその内容が「慰謝料を支払わないのであれば裁判をする」というものであった場合、さらなる心理的プレッシャーを与えられるでしょう。
離婚や慰謝料請求を有利に進められる
弁護士に依頼することで、慰謝料請求や離婚請求を有利に進めることができます。弁護士があなたの代理人として相手と交渉することで、不倫慰謝料を増額できたり有利に離婚条件を引き出すことが可能に。
調停や訴訟に進んだ場合でも、弁護士が面倒な裁判手続きや裁判所とのやり取りを代わりに行ってくれます。相手と直接交渉したり裁判所とのやり取りをするのは、不倫された直後には辛いもの。一日も早く立ち直るためには、専門家の力を借りて合法的に不倫の制裁をしていきましょう。
まとめ
不倫の制裁で配偶者や不倫相手にダメージを与える場合、離婚請求や慰謝料請求、誓約書作成や接触禁止の要求など合法的な手段を取りましょう。不倫相手を転職させる方法や不倫相手の親、配偶者にばらすやり方は、場合によっては違法となる可能性があるため注意が必要。
暴力や暴言、脅迫などは犯罪に該当する可能性があるので絶対にやめましょう。またSNSにさらすと名誉棄損罪に、何度も連絡を取ろうとするとストーカー行為とみなされる可能性があります。法律の範囲内で不倫の制裁を与えるには、不倫の証拠の確保や不倫相手の調査が必須です。
慰謝料の相場を把握したうえで、最終的に自分がどうしたいのかを考えてから行動しましょう。その点弁護士に依頼すると、合法な手段かの判断ができ相手に心理的プレッシャーを与えられます。また手続きや交渉のすべてをあなたの代わりに行ってくれるので、ストレスも軽減されるはずです。