別居後の離婚話が進まない…原因と対処法、スムーズに離婚するためのポイントを解説!

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  • 「別居に踏み切ったのはいいものの、いつまでたっても離婚できない…どうすればいい?」
  • 「別居後にスムーズに離婚するためのコツが知りたい」

離婚を前提とした別居をしたにもかかわらず、一向に離婚話が進まないとお悩みの方はいませんか?一日も早く離婚したいのに、相手が離婚話に応じないという人もいるかもしれません。別居後の離婚話を先に進めるには、その原因を知り、適切な対処法を取ることが重要に。

さらに離婚を前提として別居を始める前にすべきことや、スムーズな離婚のために別居中やってはいけないことについても紹介するので、これから別居を始める予定という方も参考にしましょう。

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目次

別居後の離婚話が進まない原因

別居後の離婚話が進まないのは、次にあげる5つの原因があると考えられます。

相手が話し合いに応じない

相手が話し合いに応じてくれないと、離婚話が一向に進みません。相手が離婚したくないと考えて、わざと連絡を無視するようなケースです。また相手の別居先や連絡先が分からなくなり、物理的に話し合いができなくなることも。

相手が離婚を拒否している

話し合いに応じるものの、相手が離婚を拒否し続けていると、離婚話が先に進みません。離婚は当人同士の話し合いからスタートします。配偶者が離婚をかたくなに拒否している状態では、離婚の話し合いができないでしょう。相手が離婚を拒否しているのは、次のような理由が考えられます。

  • 離婚したい理由に納得できない
  • 愛情があって夫婦関係を修復したいと思っている
  • 離婚後の生活(経済面)が心配
  • 子どものために離婚すべきでないと思っている

相手が離婚を拒否している場合は、どのような理由から拒否しているか知る必要があります。

配偶者に離婚を納得させる言葉について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚を夫や妻に納得させる9つの言葉|拒否する理由や心理学的交渉術を知ってスムーズな離婚を」

子どもへの影響を考えて

未成年の子供がいる場合は特に、子どもへの影響を考えて離婚話が進まないケースが多いです。「両親の離婚が子どもの生育に悪影響を及ぼすのではないか」と考えて、離婚に踏み切れない人もいるのではないでしょうか。

片方の親に会えなくなるのは当然のこととして、離婚による引っ越しを余儀なくされ、転校や転園による心理的ストレスが生じる可能性が。両親の離婚自体、子どもにとってストレスとなることは避けられません。夫婦関係が破たんして別居していても「子どもが学校を卒業するまで」「子どもが結婚するまで」と考え、離婚をしないケースも少なくないでしょう。

子どものために離婚しないのは正解かについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「『子どものために離婚しない』は本当?離婚の判断基準や子どもの本音を知って後悔しない生き方を」

離婚条件で折り合わない

離婚することには合意しているものの、離婚条件で両者の意見が折り合わないと、いつまで経っても離婚できないでしょう。離婚するときには、次のような離婚条件について決める必要があります。

  • 別居中の生活費「婚姻費用」の分担について
  • 子どもの「親権」をどちらが持つか
  • 子どもの「養育費」の金額
  • 夫婦共有の財産を分ける「財産分与」
  • 片方に離婚原因がある場合の「慰謝料」請求について

このような離婚条件でなかなか両者の折り合いがつかないと、話し合いは長期化の傾向に。

単に連絡を取りたくない

同居中から家庭内別居状態だったり、別居後配偶者と連絡や会話をしなくなった場合には、いざ離婚の話し合いをしようと思っても、心理的になかなか連絡を取りたくないという人もいるでしょう。別居に踏み切ったほどなので、「連絡したくない」「顔を合わせて話し合いをしたくない」と思うのも不思議ではありません。

また相手のDVやモラハラで離婚を決意した方は、別居に至るまでの経緯を踏まえると、別居後は相手と連絡を取りたくないというのもある意味当然のこと。このような場合は無理に連絡を取る必要はありません。第三者や専門家の力を借りながら、離婚の話し合いを進めていきましょう。

離婚話が進まないときの対処法

別居後の離婚話が進まないときには、次のような対処法を取ることをおすすめします。

相手が離婚を拒否している理由(真意)を知る

相手が離婚を拒否しているために離婚話が進まないときには、離婚を拒否している理由(真意)を知る必要があります。そうしない限り、相手が離婚に応じるまでに大変な時間を要する可能性が高いからです。

例えば表面上は離婚に応じられないというスタンスを取っている場合でも、内心は離婚したいと思っているが相手からの要求にこたえるのは腹立たしい、できる限りのお金を取って別れたいと考えているケースがあります。中には本当に関係修復を望んでいる人もいるでしょう。また離婚するのは仕方がないが、経済的な問題で離婚に不安があるという人もいるはずです。

離婚を拒否する理由には、大別して「感情の問題」と「お金の問題」、「子どもの問題」の3つがあります。別居後の離婚をスムーズ行うには、相手が拒否している真の理由を探る必要があります。

理由に応じた対処法をとる

相手が離婚を拒否している場合には、拒否の理由に応じた適切な対処法を取るべきです。例えば感情の面(離婚が納得できない・関係修復できると思っている)で離婚を拒否している相手には、なぜこちらが離婚したいのか、夫婦関係の継続が不可能と考える理由は何なのかをキチンと説明する必要があります。

経済的な面が心配で離婚に踏み切れない相手には、財産分与や和解金などを渡すことで経済的な面を補填する提案をすれば話が進む可能性も。子どもへの影響が理由で離婚に踏み切れない人には、仲の悪い両親の元で暮らす悪影響を説明したり、面会交流の面で融通をつければ離婚に同意するケースも少なくありません。

夫が離婚に応じないときの対処法は、こちらの記事を参考にしてください。

「夫が離婚してくれない…応じない8の理由と同意を得る方法とは?離婚手順も詳しく解説」

譲歩することも必要

離婚条件で折り合わないときには、こちらが譲歩する姿勢を見せるようにしましょう。そのためには自分が譲れない条件はなにか、譲歩できる場合はどこまで譲歩できるかについてしっかりと考えてみましょう。

その上で相手に離婚条件を提示するときには、「自分はこの条件を飲むから、あなたは○○を譲歩して欲しい」という形で進めるのがおすすめです。こうすることで相手も納得しやすくなり、「そこまで言うなら」と提案を受け入れてくれることがあります。

第三者を通じた話し合い

相手と顔を合わせた話し合いしたくない、こちらの話を聞き入れてくれない可能性が高いというときには、第三者を通じた話し合いをすべきでしょう。夫婦共通の知人や友人、親族などに間に入ってもらい、離婚の話し合いを進めるという方法があります。

ただし親を含めた親族間で不信が生じている場合や、夫婦の一方への肩入れが明らかな場合には、第三者を入れた話し合いが逆効果になる可能性が。間に入ってもらう人の人選には、慎重になりましょう。

弁護士に交渉を依頼

離婚の話し合いが進まないときや双方の言い分が対立しているときには、弁護士に交渉を代理してもらうという方法があります。弁護士に依頼すると、代理人として相手への連絡や通知を行うだけでなく、離婚条件等の交渉も行います。

またモラハラやDVが原因で別居に至った場合でも、身の安全を守りつつ離婚の話し合いを行えます。離婚交渉を弁護士に依頼すると、次のようなメリットがあります。

  • 交渉による精神的な負担を軽減できる
  • 交渉力に期待できる
  • 調停や裁判など法的手続きへの移行がスムーズ
  • 離婚協議書や公正証書の作成を任せられる

ときには時間をかけることも必要

別居後に離婚話が進まないときには、時間をかけることも必要です。離婚協議は相手の心情も慮って慎重に進める必要があります。場合によっては多少時間がかかっても、そのときの状況や相手の移行に応じた交渉を持ちかける方が、離婚への最短ルートになる可能性が。

とくに突然離婚を切り出したような場合には、当然すぐに相手は受け入れることができないでしょう。夫婦としてやっていけないことを伝え、離婚に対して本気だという態度を見せつつ、時間をかけて相手が「もう離婚するしかないか」と思うまで待ちましょう。

離婚調停を申し立てる

離婚の話し合いが進まない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる方法があります。離婚調停では、男女1名ずつの調停委員を介して離婚の話し合いを進め、合意を目指す手続き。離婚調停で合意が得られればちょうていが成立し、調停調書が作成されます。

離婚調停の申立先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。調停期日が開かれるのは平日の昼間、1回あたり2時間から4時間ほどで、おおむね月一回のペースで開かれます。平日仕事をしている方は、その度に休みを取らなければなりません。

弁護士に依頼している方は、調停成立の期日を除けば、本人の代わりに弁護士だけが参加することが認められています。しかし調停成立以外でも、話し合いで解決を図るという調停の性質上、本人の参加が必要になるケースもあります。

離婚調停の期間を短くするには、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚調停の期間を短く有利にするには?長引く原因や疑問を解決して新たな一歩を」

調停不成立の場合は離婚裁判

離婚調停が不成立になった場合、裁判所に提起して離婚裁判を起こすという方法があります。離婚裁判では裁判所が判決として結論を下します。裁判は自分で起こすことも可能ですが、法的手続きや専門知識が必要なため、弁護士に依頼するのが一般的です。

「法定離婚事由」が必要

離婚裁判を起こすには、「法定離婚事由」が必要です。法定離婚事由とは民法第770条で定める離婚理由のこと。

(裁判上の離婚)

第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

 

引用:民法|e-GOV法令検索

以下では、法定離婚事由となりやすい離婚理由について具体的に解説していきます。

離婚裁判の費用については、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚裁判の費用を徹底解説!金額の相場や払えないときの対処法、注意点とは?」

不貞な行為

不貞な行為とは、配偶者以外の人と性的関係を持つことをいいます。夫婦には貞操義務があり、配偶者以外の人と性的関係を持つことが禁止されているからです。不貞行為と認められるには、性交渉もしくはそれに類する行為が必要で、何度かデートしただけやキスだけの関係では不貞行為と認められない可能性が高いです。

不貞行為がどこからの行為かについては、こちらの記事を参考にしてください。

「『不貞行為』はどこからの行為?不倫・浮気との違いや当てはまるケース、法的に有効な証拠を解説!」

悪意の遺棄

悪意の遺棄とは、民法第752条に規定されている夫婦間の同居・協力・扶助義務を正当な理由なく履行しないことを指します。具体的に次のようなケースが悪意の遺棄に該当します。

  • 収入があるのに生活費を渡さない
  • 不倫相手と同棲して家に帰ってこない
  • 理由もなく何度も家出を繰り返す
  • 専業主婦なのに家事をしない
  • 健康で働けるのに働かない
  • 配偶者を家から追い出して帰宅を認めない

DV・モラハラ

DVやモラハラがあったときには、法定離婚事由の5番目「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。DVやモラハラを受けていたことを客観的に証明できれば、離婚裁判で離婚が認められるでしょう。DVやモラハラを証明するには、次のような証拠が必要です

  • ケガやPTSDなどで医療機関にかかったときの診断書や受診歴が分かるもの
  • 暴力によるケガや壊された物の写真
  • 暴力や暴言を記録した音声・動画など
  • 配偶者の言動を記録した日記やメモ
  • 警察や公的機関への相談履歴

DV夫と離婚する手順やポイントは、こちらの記事を参考にしてください。

「DV夫と離婚したい…早く安全に離婚するための手順・相談先・気になるポイントを徹底解説」

セックスレス

セックスレスは、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」として裁判で離婚が認められる可能性があります。法的に認められるためには、セックスレスになっている期間が1年以上、納得できる理由がないのに一方的にセックスを拒否している状態であると証明する必要が。

ただしセックスレスの期間が長すぎると、性交渉がなくても夫婦関係を継続できたとして、離婚理由として認められない場合があります。

長期間の別居

長期間の別居もまた、それ自体で法定離婚事由の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」として、離婚が認められる可能性があります。過去の判例から見ると、裁判で離婚が認められる期間は3年~5年程度です。それ以下でも、同居期間よりも別居期間の方が長かったり、子どもがいない・独立済みの場合には、離婚が認められるでしょう。

ただし婚姻期間や夫婦の年齢によっては、離婚が認められない可能性も。また離婚原因を作った有責配偶者からの離婚請求では、10年程度の別居期間がないと離婚が認められないという判決が出ています。

別居期間は調停や裁判をしている期間も含まれます。裁判所の手続きにはある程度の時間を要するため、別居してすぐに調停の申立をしたとしても最終的に離婚できるまで最低でも1年程度かかることを覚えておきましょう。

別居から離婚が成立するまでの期間は、こちらの記事を参考にしてください。

「別居からの離婚が成立する期間はどれくらい?必要な期間や別居する際の注意点」

離婚をゴールとした別居を始めるときの注意点・ポイント

離婚をゴールとした別居を始めるにあたり、別居前にやるべきことや手続きに関する注意点があります。別居を離婚への確実なステップにするためにも、事前の準備は忘れずに行いましょう。

スムーズな離婚のために別居前にやるべきこと

 

別居後の生活についての準備は万全に

別居に踏み切る前に、別居後の生活の準備は万全にしておきましょう。まずは住まいの確保が必要です。とくに子連れで別居する場合には、子どもの養育環境が整っていないとみなされると、親権獲得に不利になる可能性が転居先によっては、転校や転園が必要になるケースもあるので、子どもへの影響も十分に考慮してください。

別居後の生活費に不安がある方は、婚姻費用を請求する予定という方もいるでしょう。しかし婚姻費用だけで自分と子どもの生活を成り立たせるのは難しいので、収入を得る手段も別居前に確保する必要が。専業主婦の方は仕事を見つけ、パートやアルバイトの方は正社員の仕事を探しましょう。

貯金ナシで子連れ離婚できるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「貯金なしでも子連れ離婚できる?必要な離婚準備と手順、ひとり親家庭向け公的支援制度とは」

離婚原因の証拠を集めておく

相手に離婚原因がある場合は、不貞行為やDVなどの証拠を別居前に集めておきましょう。また慰謝料を請求したい場合も、慰謝料請求の原因となった行為を立証できる証拠が必要です。

別居した後だとこれらの証拠の確保が難しくなります。できれば別居を切り出す前、相手が油断している間に離婚原因となった証拠を集めておくことをおすすめします。

相手の財産の調査

離婚時には財産分与が行われるので、相手の財産を把握していない方はその調査が必要です。財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に形成した財産です。財産の名義が相手方であっても、財産分与の対象となります。共有財産をきちんと把握していないと、別居中に相手に財産を処分されたり隠されたりする可能性があります。

別居を切り出す前に共有財産をしっかり把握し、その財産について証明できるもの(通帳・証書など)のコピーを取っておきましょう。

退職金の計算方法や請求方法は、こちらの記事を参考にしてください。

「退職金も離婚時の財産分与になる!金額計算から請求方法まで解説します」

子どもの親権について考える

離婚を前提とした別居を始めるにあたり、子どもの親権について考えるのは必須です。というのも不用意に別居してしまうと、その後の親権者決めで不利になる可能性があるからです。自分が親権を持ちたいと考えるのであれば、必ず子どもを連れて別居してください。

また未成年の子供を連れて別居するときには、別居先での子どもの養育環境を整える必要もあります。逆に言うと、子どものことを考えて別居準備をして実践できれば、その後の親権獲得に有利になるという訳です。

親権いらないから離婚したいとお考えの方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「親権いらないから離婚したい人向け|可能かどうかや『親権放棄』の方法を詳しく解説」

婚姻費用の請求

離婚後の生活のためにも、収入の低い方は別居中の生活費として忘れずに婚姻費用を請求してください。婚姻費用とは別居中の生活費のことで、夫婦の収入の多い側が低い側に対して支払う義務があるもの。離婚が成立するまでは婚姻費用を支払わなければなりません。

婚姻費用の金額は裁判所の「婚姻費用算定表」に基づき、夫婦の収入や子どもの人数・年齢によって決められます。婚姻費用は請求した時点から支払い義務が発生するので、別居を開始したらすぐに請求することをおすすめします。

婚姻費用をもらい続けている方法は、こちらの記事を参考にしてください。

「婚姻費用をもらい続ける方法は?損しないための対抗策とよくある質問に答えます!」

住民票を異動させる

別居を開始したら、別居先に住民票を異動させてください。住民票を移すと、別居していることや別居期間を証明しやすくなるからです。また子どもがいる場合には、児童手当が直接支給されるようにもなります。また子どもを近くの保育園や学校に通わせるようにできるのもメリット。

ただしDVの被害に遭って別居する場合は、住民票から居所が相手にバレてしまう可能性があります。あえて住民票を異動させないという方法や、移動させる場合はDV等支援措置を取り、住民基本台帳の閲覧や交付に制限をかけるという方法も。DVを受けている方が別居する場合には、慎重に行動しましょう。

やむを得ない事情があるときは別居とみなされない

別居が離婚に有利となるとはいえ、やむを得ない事情があるときには別居とみなされないので注意しましょう。例えば次のようなケースです。

  • 単身赴任など仕事の都合
  • 子どもの就学など
  • 親の介護・看病など

このような事情で夫婦が別々に暮らす場合、原則として「別居」とはみなされません。別居するときには、別居理由を明らかにしておくべきです。

家庭内別居は別居とみなされない

別居といっても、家庭内別居は法的に「別居」とは認められません。離婚裁判で「婚姻が継続し難い重大な事由」と認められないのはもちろんのこと、婚姻費用を相手に請求することもできません。というのも、形の上では同居を継続している状態であるため、完全な別居と比較して「夫婦関係が破たんした」理由として認められないからです。

ゆくゆくは裁判で離婚を認めてもらいたいと考えているのであれば、一日も早く本当の別居に踏み切るべきでしょう。

別居後に形成した財産は財産分与の対象外

財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に形成した財産ですが、別居後に形成した財産は分与の対象から外れます。法的に夫婦が協力して築いたとみなされないためで、別居する場合は別居時点で保有している共有財産が財産分与の対象です。

離婚で不利になる、別居中にやってはいけないNG行為

離婚で不利になる可能性がある別居中にやってはいけないことがあります。スムーズに離婚するためには次のことに気を付けましょう。

不貞行為や誤解されるような行為

別居中であっても、不貞行為や誤解されるような行為はNGです。次のような事情があると婚姻関係が破たんしていないとみなされて、有責配偶者になる恐れがあるからです。さらには不貞行為によって慰謝料を請求される可能性も。

  • 相手が離婚に反対している
  • 夫婦関係を修復するための別居である
  • 別居していても夫婦関係が良好で頻繁に会っている

離婚調停中の別居であれば慰謝料請求の対象とならない場合がありますが、原則として別居中の不貞行為は、相手の感情を逆なでする原因にもなり、離婚の話し合いがより複雑になってしまう可能性が高いです。別居中であったとしても、法的・倫理的に問題がない行動を心がけましょう。

婚姻費用を支払わない

相手から請求されても婚姻費用を支払わないのはNGです。婚姻費用の不払いは法定離婚事由の「悪意の遺棄」に該当して、離婚時に不利になってしまう可能性が高いからです。提示された金額が高すぎて払えそうもないというときには、相場を参考にした減額交渉をしていきましょう。

また支払う側の収入や資産が減少した場合や、受け取る側の収入が大幅に増加した場合には、婚姻費用の減額が認められる可能性があります。詳しくは、離婚問題に強い弁護士にご相談ください。

婚姻費用を払わない方法があるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「婚姻費用を払わない方法が知りたい!未払いで起こることと払えなくなるケースを知り、適切な対処法を」

面会交流を拒否する

いくら相手のことが嫌いでも、子どもとの面会交流を拒否するのはおすすめできません。面会交流は同居していない方の親と会えるという子どもの権利だからです。離婚が成立していなくても、子どもと同居して面倒を見ていない方の親は、もう一方に子どもとの面会交流を求める権利があります。

また面会交流は、子どもにとっても良い影響があると考えます。そのため、別居期間が長期に及んでいるケース程、面会交流について検討すべきです。

面会交流を拒否することの違法性や対処法は、こちらの記事を参考にしましょう。

「面会交流を拒否したい!子供に会わせないことの違法性と対処法を解説!」

不当な要求をする

離婚の話し合いで、相手に不当な要求をするのは避けるべきでしょう。相手の反発を招いて離婚の話し合いが難航する原因となってしまうからです。例えば相場をはるかに超える慰謝料を請求したり、過度な金額の財産分与を要求するようなケースです。

自分だけの判断では、どの程度の金額が適正で、どのくらいが過度な請求となるかを見極めるのは難しいでしょう。そのようなときには、弁護士に相談するようにしましょう。

共有財産を無断で処分する

別居中に共有財産を無断で処分するのもNGです。このような行為は相手方の権利を侵害するもので、信頼関係を損ない離婚の話し合いがこじれる可能性が高いでしょう。そればかりでなく離婚時に不利な立場になる恐れも。離婚時の共有財産に関すると決めは、双方の合意の元で行ってください。

相手への嫌がらせやストーカー行為

いくら離婚を要求されたのが納得できないからといえ、相手に嫌がらせをしたりストーカー行為をするのは許されません。相手に精神的苦痛を与えるだけでなく、場合によっては刑事責任を問われる可能性があります。離婚したくない場合や離婚の話し合に応じてもらえない場合でも、このような行為はNGです。

逆に相手に嫌がらせやストーカー行為を受けているときには、速やかに警察や弁護士に相談してください。

相手の合意なく勝手に別居する

相手の合意を得ることなく、勝手に別居するのはおすすめできません。夫婦には同居して互いに協力・扶助しなければならないという義務(民法第752条)があるからです。相手の同意を得ずに別居すると、法定離婚事由の「悪意の遺棄」に該当する可能性があり、離婚に不利になる恐れがあります。

DVやモラハラなど心身の危険がある場合には、正当な理由があるとみなされて、相手の同意がなくても別居ができます。それ以外の場合には、別居前に必ず相手の承諾を得るようにしましょう。

まとめ

別居後に離婚話が進まないのは、相手が離婚を拒否している場合や離婚理由に納得できない場合、離婚条件で合意が得られない場合などです。このようなときには、相手が離婚を拒否している理由を探り出し、それに応じた対応が必要。また弁護士などを間に入れて交渉したり、時間をかけて説得することも考慮に入れましょう。

それでも離婚に応じないときには、離婚調停・離婚裁判といった手段を取る必要があるでしょう。別居前には不法行為の証拠の確保や相手の財産についての調査を忘れずに。子どものことを考えたうえで別居後の生活環境を整える準備をしてください。別居後は、住民票の異動や婚姻費用の請求も忘れずに行ってください。

別居する場合は相手の同意を得てからが原則で、別居中は不貞行為や誤解されるような行為はNGです。また婚姻費用を支払わない、面会交流を拒否するといったことも離婚の話し合いがこじれる原因に。婚姻費用の請求など、離婚前提の別居で困ったときには、離婚問題に強い弁護士に相談してください。

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