離婚時の財産分与で名義変更が必要?必要な財産ごとの手続き方法・必要書類・期限を詳しく解説

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  • 「離婚で家の名義変更が必要、手続き方法が知りたい」
  • 「離婚で名義変更すべき財産にどのようなものがある?」

離婚時には婚姻期間中に協力して形成した共有財産を、財産分与という形で分配します。では財産分与時に名義変更が必要になる財産にはどのような種類があるのでしょうか。こちらの記事では、離婚で名義変更が必要な財産について、種類ごとの手続き方法を詳しく解説。

さらに離婚時の名義変更に関する疑問や質問にお答えするとともに、その他離婚前後で必要な手続きについても紹介していきます。これから財産分与の手続きを始めるという方はもちろん、離婚を考えているという方も、手続きの参考にしてください。

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目次

離婚時の名義変更について

こちらでは財産分与に関する基礎知識や名義変更をしないリスク、名義変更が必要な財産の種類について解説していきます。

財産分与の対象となる財産

財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に夫婦が協力して形成した「共有財産」です。財産の名義が夫(妻)名義であっても、共有財産であれば離婚時に貢献度に応じて等分に分配されます。夫婦の一方が専業主婦であっても、1/2ずつ分けるのが原則です。

共有財産となるのは、別居時もしくは離婚時のうち早い時点で保有していた財産が対象。不動産や自動車、預貯金や株式、家具や家財などが分与の対象です。

財産分与の対象外

一方で次のような財産は、財産分与の対象外です。

  • 相続によって取得した財産
  • 結婚前から所有していた財産
  • 結婚前の預貯金で購入した財産

自分の親などから相続によって取得した財産は、財産分与の対象となりません。また結婚前から所有していた財産や、それを元に購入した財産も共有財産の対象外です。

名義変更は双方の同意が必要

離婚時に財産の名義変更をする場合、双方の同意が必要です。とくに名義を失う側の実印や印鑑証明が名義変更には必要なので、相手方の協力がない限り勝手に名義変更を行うことはできません。

名義変更の前に離婚届を提出してしまうと、相手方が名義変更に協力的でない場合、財産分与の調停を家庭裁判所に申し立てる必要があります。離婚届を提出してしまうと、いくら元夫婦といえども他人になってしまうので、協力をお願いするのが難しくなることも。

名義変更をしないリスク

「なんだか面倒そうだから名義変更をしなくてもいいのでは?」と思われる方がいるかもしれませんが、離婚時に名義変更しないと、様々なリスクが生じてしまうでしょう。例えば名義が夫になっている家に離婚後妻が住む場合、名義変更していないと元夫の一存でその家を売却できてしまいます。また借金するときに家を抵当に入れてしまい、返済が滞ると家が取り上げられてしまうリスクも。

夫名義のローンが残っている車を妻が離婚後も使い続けるケースでは、相手がローンを滞納していると、車の販売店やローン会社に車を引きあげられてしまうでしょう。驚いて元夫に連絡を取ろうと思っても、連絡が取れなくなっている恐れがあります。離婚時に必要な名義変更をしないと、リスクしかないことを覚えておきましょう。

財産分与の申し立てには期限がある

財産分与の調停申し立てには、離婚後2年間という期限があります。2年を経過すると、申し立て自体ができなくなります。そうなると名義変更をするのはほぼ不可能でしょう。そうならないよう、離婚時の名義変更の手続きは、離婚届けの提出と並行して行った方がリスクは低減できます。

離婚時に名義変更が必要な財産①不動産

離婚時に名義変更が必要な財産の一つに、不動産があります。不動産の名義変更とは、法務局で行う「所有権移転登記」のことを指します。所有権移転登記は、不動産の所有者が変更になったことを登記簿に反映させ、第三者に所有権を主張するための手続き。

不動産を売買するなどの取引時に安全をはかる役割を持ち、離婚時に不動産の登記名義を変更しないと、所有権を失う可能性が。財産分与で相手名義の不動産を譲り受けた場合には、忘れずに名義変更を行ってください。

住宅ローンがある場合

住宅ローンが残っている相手名義の不動産を財産分与で受け取る場合、借入している金融機関の許可が必要です。原則としてローン名義と不動産名義は同一でないといけないため。とはいえ簡単に金融機関の許可が得られるわけではありません。ローン契約時と年収等の条件が異なるので、新たな所有者の返済能力を審査して、名義変更しても問題ないかを判断されます。

住宅ローンが残っている場合の名義変更では、ローンをどうするかも検討しなければなりません。次のような方法を取れば、相手名義の不動産を譲り受けることが可能です。

ローンの借り換えをする

不動産購入時に住宅ローンを組んでいて、離婚時にローンが残っているときには、ローンを借り換えるという方法があります。借り換える場合は、新たに金融機関の審査が必要です。ただしこの方法が実現するためには、譲り受ける側が正社員として働いていて安定した収入を得らえることが大前提です。

 共有名義の場合

夫婦でペアローン等を組んでいる場合、不動産の名義も共有になっていることが多いです。離婚後のどちらか片方の名義に変更する場合にはローンもどちらか一方の単独名義にすることが可能です。この場合、借り換えと同様に安定した収入や返済能力等の審査があることを忘れずに。

一方でこれまで通り住宅ローンを共同で返済していく場合には、ローンの名義変更は不要です。ただし離婚時に返済の負担割合や万が一の対応方法についてもよく話し合っておくのが重要。後のトラブル防止のため、合意内容を離婚協議書などにまとめておくといいでしょう。

共有財産のままにするのはNG

上で少し説明した通り、不動産を共有名義のままにして離婚するのはおすすめできません。売却したいときに相手の同意が必要になるだけでなく。リフォームや抵当権の設定など何かしらの変更を加えるときに、常に相手の同意を得なければならないため。

さらに家の維持費やリフォーム費用、固定資産税などの負担割合についても決めていかなければなりません。離婚してまで相手と連絡を取りたくないと思っている人もいるでしょう。意見が対立して揉めることも多く、不動産を活用する上でネックになることは想像に難くありません。

離婚時に名義変更が必要な財産②車

離婚時に名義変更が必要な財産の二つ目は車です。夫婦それぞれがそれぞれの名義で車を所有している場合は、離婚後もそのまま使用し続けられますが、夫名義の車を譲り受けて離婚後は妻が使用する場合、夫から妻への名義変更が必要です。

ローン返済中の車

自動車ローンを利用して車を購入してまだ返済中の場合は、ローン残債によって財産分与の方法が変わる可能性があります。そのためにまず、ディーラーや買取店などで、車の査定をしてもらってください。複数の店舗に査定してもらって、平均を出すという方法もおすすめ。

査定してもらった金額とローン残債によっては、売却した方が財産分与しやすくなる可能性も。売却益がローン残債を上回る「アンダーローン」と、ローン残債の方が高い「オーバーローン」とで、次のように財産分与の扱いが変わってきます。

アンダーローン(売却益>ローン残債)
  1. 売却して売却益を1/2で分与する
  2. 売却せずに離婚後乗らない方に売却益相当分の1/2を現金で分与する
オーバーローン(売却益<ローン残債)
  1. 売却してマイナス分を夫婦で負担する
  2. 乗る方がローン残債を負担する

所有権留保の場合

ローンは完済しているが、車検証の所有権が販売店やローン会社のままというケースもよくあります。使用者が夫婦のいずれかになっていれば、結婚中はどちらが使用しても問題ありません。しかし離婚後は、車検証の所有者を使用者(夫婦のどちらか)に変更する必要があります。この手続きを「所有権解除」といいます。

またローン返済中の場合は車検証の所有者が販売店やローン会社になっているので、所有者の承諾なしに名義変更や車の売買ができません。契約に特約が付いている場合は、ローン残債を一括請求される恐れがあります。何より所有者から必要書類をもらわないと手続きができません。

名義変更しないで乗り続けられる?

名義変更は面倒だからといって、離婚後もそのまま乗り続けるのは絶対に止めてください。道路運送車両法では、所有者が変更になったら15日以内に変更の手続きをしなければならないとしています。これに違反すると50万円以下の罰金が科せられる可能性が。

さらに厳しいのが、自動車損害賠償保障法による運行供用者の責任です。運行供用者とは「自己のために自動車を運行の用に供する者」をいいます。車を自ら運転するだけでなく、運転者に車を貸した所有者も含まれます。

例えば元夫名義の車を名義変更せずに元妻が乗っていて、その車で事故を起こしてしまった場合、被害者に重大な損害を与えたケースでは、原則として所有者にも責任が課せられます。

保険の変更も忘れずに

離婚後に使用者が変わった場合は車の名義変更は必須ですが、自動車保険の変更も忘れずに行いましょう。夫名義の車で夫が保険に入っているケースで、離婚後の名義変更をせずにそのまま妻が乗っていることがあります。忙しくて書類を準備できない、運輸支局に行く時間がないなどの理由があるかもしれませんが、もし元妻が事故を起こしてしまうと、すでに夫婦でないため保険金が支払われない可能性が高いです。車の名義変更をした場合には、同じタイミングで保険の変更手続きも行ってください。

名義変更の方法:不動産

こちらでは不動産の名義変更の方法や必要書類について、より具体的に解説していきます。

名義変更の流れ

不動産を名義変更する場合、次のような手順で手続きするといいでしょう。

  1. 離婚届を提出する
  2. 必要書類を準備する
  3. 税金の確認
  4. 申請書類を作成する
  5. 不動産が所在する地域の法務局に登記の申請を行う
  6. 登記識別情報などの書類を受け取る

不動産の名義変更は、離婚届を提出した後に行います。離婚により氏(名字)や住所が変わるケースがあるからです。離婚が成立したら所有権移転登記手続きに必要な書類を準備します(下記参照)。このとき、登録免許税などの税金がかかるので、税金の確認も必要です。

申請書等必要書類は、不動産が所在する地域を管轄している法務局に申請します。

手続きにかかる期間

申請から1~2週間ほどで登記が完了します。登記完了後に新しい所有者名義の登記事項証明書が発行されます。手元に届いたら内容に間違いがないかチェックしましょう。ただし手続き前の書類の準備や作成に時間がかかる場合も。

不動産の名義変更に期限は定められていないものの、トラブル防止や住宅ローン控除の適用、相続対策などの観点から、離婚成立後すぐに名義変更の手続きに取り掛かることをおすすめします。

名義変更に必要な書類

名義変更の手続きに必要な書類は次の通りです。下記で入手先や必要な情報などを確認してください。

必要書類 内容・入手先
登記申請書 法務局または法務局のホームページで入手可能

収入印紙を貼付し、不動産がある管轄の法務局に提出する

登記事項証明書 登記記録にある事項の全部または一部を証明した書面

土地の「地番」や建物の「家屋番号」が必要

法務局で発行してもらう

権利書または登記識別情報通知書 登記簿の情報を確認するために必要な書類

2005年以降の登記では「登記識別情報通知書」

通常は所有者が保管しているが法務局で発行可能

登記原因証明情報 登記変更が必要になった事情が分かる書類

離婚協議書・離婚調停調書・財産分与協議書(契約書)など

固定資産評価証明書(課税明細・評価証明書) 変更対象の不動産の評価額を証明する書類

市区町村役場の窓口

印鑑証明書 旧所有者の印鑑証明書

市区町村役場の窓口

住民票の写し 新所有者の住民票の写し

市区町村の窓口

戸籍謄本 離婚の旨が記載された戸籍謄本

夫婦の本籍地がある市区町村の窓口

財産分与協議書や離婚協議書は、不動産の名義変更に必須な書類ではありませんが、離婚時に作成している場合には提出を求められることも。忘れずに準備しておきましょう。

名義変更でかかる費用

不動産の名義変更でかかる費用は、大きく分けて税金・司法書士報酬・必要書類の発行手数料の3種類です。

税金

名義変更時にかかる可能性のある税金には、次のようなものがあります。

税金の種類 金額の計算方法
登録免許税 課税標準(固定資産課税証明書の価格から1,000円未満を切り捨てた金額)×税率(0.4%~2%)
譲渡所得税(復興特別所得税・住民税含む) 離婚時の不動産の時価が購入時の時価よりも高額な場合にのみ課税

マイホームの場合には3,000万円の控除が適用されるので、離婚時の方が購入時よりも3,000万円以上高い場合に限られる

税率は所有期間が5年以上:15%、所有期間が5年以下:30%

印紙税 契約書の金額に応じて税率が変わる

10万円を超え50万円以下:200円

50万円を超え100万円以下:500円

100万円を超え500万円以下:1,000円

500万円を超え1,000万円以下:5,000円

1,000万円を超え5,000万円以下:1万円

5,000万円を超え1億円以下:3万円

贈与税 離婚時の財産分与では通常贈与税がかからないが、贈与税を逃れる目的で不正に離婚手続きが行われた場合には贈与税が課税される

財産分与でかかる税金については、こちらの記事を参考にしましょう。

「財産分与でかかる税金について|種類別・ケース別の税金計算方法や節税対策とは?」

司法書士報酬

所有権移転登記は自分でもできますが、司法書士に依頼する場合は司法書士報酬が必要です。報酬の相場は2万円~8万円ほど。司法書士事務所によって金額が変わり、不動産の固定資産評価額によっても変動する可能性があるので、実際に依頼する前に確認するようにしましょう。

書類の発行手数料

不動産の名義変更手続きでは、様々な書類が必要です。これらの書類の発行手数料もかかることを覚えておきましょう。

必要書類 手数料
戸籍謄本 450円
住民票の写し 200円~300円
印鑑登録証明書 200円~300円
登記事項証明書 480円~600円
固定資産評価証明書 200円~400円

名義変更の方法:車

続いて、車の名義変更の手順や必要書類について解説していきます。

名義変更の流れ

車の名義変更では、普通自動車か軽自動車かで手続き方法や手続き場所が変わってきます。

車の種類 普通自動車 軽自動車
手続き方法 移転登記 名義変更
手続き場所 管轄の運輸支局 軽自動車検査協会
手順 必要書類を運輸支局の窓口に提出し、所有者変更をした新しい車検証を受け取る 住んでいる地域が対象となっている場合は保管場所届出が必要

必要書類

離婚後の車の名義変更では、対象の車が普通者か軽自動車かで必要書類が異なります。新旧の所有者、両方の書類が必要となってくるので、できれば離婚前に書類を準備するようにしましょう。

普通車 軽自動車
  • 自動車検査証(車検証)
  • 自動車検査証変更記録申請書
  • 手数料納付書
  • 譲渡証明書(旧所有者)
  • 印鑑登録書(旧所有者、新所有者)
  • 自動車保管場所証明書(車庫証明書:新所有者)
  • 自動車(取得)税申告書
  • 委任状(旧所有者、新所有者)
  • 旧ナンバープレート(自動車登録番号が変更になる場合)
  • 戸籍謄本・住民票(車検証の氏名や住所が変わっている場合)
・自動車検査証
・申請書
・申請依頼書(旧所有者、新所有者)
・軽自動車税申告書

普通車の場合、新所有者の車庫証明が必須です。離婚後に引っ越しをする場合には、事前に車庫証明を取っておく必要があります。車庫証明書の取り方は以下の通りです。

  • 駐車場のある場所を管轄する警察署で申請書類一式をもらう
  • 申請書を含む必要書類を準備する(駐車場を所有している場合と、借りている場合で異なる)
  • 書類を上記警察署に提出(認印が必要)
  • 申請から3~7日で車庫証明を受け取る

車の名義変更は、原則として旧所有者が行うことになっています。相手がすぐに手続きしてくれれば問題ありませんが、離婚後に「いくら頼んでも名義変更してくれない」という恐れがあるので、注意が必要です。新所有者が自分で出向いて名義変更することも可能ですが、その際には旧所有者の「委任状」が必要です。

旧所有者が手続きをしてくれないのではと心配な方は、あらかじめ委任状をもらっておいた方が安心です。

名義変更の期間

離婚による財産分与で所有者が変わったときには、車を譲渡した日から15日以内に車検証の名義変更が必要です。これに違反すると罰金が科される可能性があるので気を付けましょう。また自動車税は毎年4月1日時点での所有者に課税されます。離婚に伴う財産分与がこの付近の場合には、課税のタイミングにも注意してください。

離婚時のやることリストを作成したい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚時のやることリストを全網羅!タイミングごとの内容と注意点とは?」

離婚時の名義変更に関する疑問・質問

離婚時の名義変更に関して、よくある疑問や質問にお答えしていきます。

財産分与で贈与税はかかる?

上で少し触れたように、財産分与で財産を受け取る側に原則として贈与税は課税されません。財産分与には夫婦の財産関係の清算と、離婚後の生活を保障するという意図があるため。

しかし分与された財産が、婚姻期間中に築いた財産よりも明らかに多い場合や贈与税を逃れる目的で不正に離婚の手続きをした場合には、贈与税が課せられる可能性があります。また財産を分与した側には譲渡所得税が発生する場合もあるので気を付けましょう。

相手が名義変更に応じないときは?

相手が財産の名義変更に応じない場合はどうしたらいいのでしょうか。離婚時に離婚協議書や調停調書で合意済みの場合は、基本的に元配偶者の合意は不要です。しかし手続き書類への署名や押印を拒否された場合は、調停・審判・裁判といった法的手続きを検討する必要があるでしょう。

離婚前に名義変更できる?

離婚前に双方の合意があれば、財産の名義変更は可能です。しかし名義変更の理由や経緯を明確にしておかないと、後の財産分与でトラブルになる可能性があります。また離婚後に引っ越しなどで住所や保管場所が変更になるケース、旧姓復氏によって氏が変わるケースもあるでしょう。このような場合は車庫証明申請や変更登録の手続きが追加で必要に。二度手間になる可能性が高いので、特別な事情がない限り離婚後にまとめて手続きするようにしましょう。

名義変更と住所変更どちらが先?

名義変更と住所変更は基本的に別の手続きですが、名義変更後に住所変更の届出をするのが一般的です。家の名義変更のケースだと、住民票の住所と不動産登記簿の住所が一致していると、各種手続きがスムーズに進むためです。

実印がないときには?

妻が自分の印鑑を実印登録していないときや、旧姓復氏した場合の実印がないときには、手続き前に実印登録をする必要があります。また夫を含めた住所の変更がある場合にも、速やかな変更手続きが必要です。とくに車の移転登録は15日以内と決められているので、印鑑登録と車庫証明申請を急いでしなければなりません。

その他離婚前後に必要な手続き

不動産や車の名義変更のほかに、離婚前後で必要な手続きがあります。抜け漏れがないよう、チェックしながら確実に手続きを進めていきましょう。

世帯主の変更

結婚時の世帯主が自分ではない場合、離婚後に世帯主の変更が必要です。必要書類は下記の通り、住所地のある市区町村役場に変更届を提出します。

  • 世帯主変更届
  • 本人確認書類
  • マイナンバーカード(作成している場合)
  • 届出人の印鑑

住民票の変更

離婚で住所が変わったときには、通常の引っ越しと同じように住民票の異動が必要となります。離婚前に別居する場合にも、住民票を異動することをおすすめします。

  • 転出届(市区町村が変わる場合には以前住んでいたところに提出)
  • 転出証明書(転出届を提出した際に交付される)
  • 転入届(新しく住む市区町村に提出)
  • 本人確認書類
  • マイナンバーカード(作成している場合)
  • 届出人の印鑑
  • 国民健康保険証(加入している場合)

シチュエーション別の別居に必要な準備については、こちらの記事を参考にしてください。

「別居に必要な準備をシチュエーション別に解説!別居に関する注意点とは?」

運転免許証の変更

運転免許証の氏名変更・住所変更は、管轄する警察署の他に運転免許センターでも手続きが可能です。

  • 運転免許証
  • 運転免許証記載事項変更届
  • 住民票(本籍記載のもの)
  • 届出人の印鑑

パスポートの変更

本籍や氏(名字)が変更になったときには、近くのパスポートセンターに届け出る必要があります。このとき新しいパスポートを発行するか、発行済みのパスポートを切り替えるか選択します。

  • 一般旅券発給申請書
  • 戸籍謄本または戸籍抄本
  • 住民票
  • パスポート用の写真
  • 本人確認書類
  • 現在のパスポート(切り替える場合)

銀行口座の名義変更

銀行口座の名義(氏名)変更は、しなかったからといって使えなくなるわけではありませんが、クレジットカードや公共料金の引き落とし名義が銀行口座名義と違っていると、引き落としができなくなる可能性があります。また給与振り込みでも、名義が違うと入金を受けられなくなるので注意が必要です。

銀行口座の名義変更は、口座を開設した店舗以外でも手続き可能。また銀行によってはネット上で手続きができる場合があるので、詳しくは金融機関にお問い合わせください。銀行口座の名義変更で必要なものは、以下の通りです。

  • 通帳
  • キャッシュカード
  • 登録している銀行印
  • 氏の変更が分かる本人確認書類
  • その他金融機関が指定するもの

クレジットカードの変更

クレジットカードをお持ちの方は、クレジットカードの名義変更や住所変更をお忘れなく。引き落とし用の銀行口座名義と、クレジットカードの名義が異なると不正利用が疑われて引き落としができなくなる可能性も。支払い遅延で利用停止になる恐れがあるので、住所や氏が変わったら速やかに変更手続きをしてください。

また住所変更も併せてしておかないと、カード更新時に新しいカードが届かないということも。クレジットカードは今や生活費需品といっても過言ではありません。必ず変更手続きを済ませるようにしましょう。

携帯電話・Wi-Fiなどの名義変更

携帯電話・スマホやWi-Fiの名義変更も忘れがちです。住所や氏名が変わったときには変更手続きを行ってください。また携帯の通信料をファミリープランなどにしている場合には、プランの変更も必要です。通信会社によってはネット上で手続きが完結できる場合もあるので、確認してください。

保険の変更

元配偶者が契約者だった場合や、保険金の受取人を元配偶者にしている場合には、保険の変更も必要です。保険会社のカスタマーサポートに問い合わせて、必要な手続きを取って下さい。

なお、不動産や車の名義を自分に変更する場合は、火災(地震)保険や自動車保険の契約者変更もしくは、新たに契約しなおしが必要です。名義変更をしたタイミングでこれらの保険の手続きも忘れずに行いましょう。

会社関係手続き

会社勤めの場合、会社関係の手続きも行ってください。氏名の変更や住所変更、扶養家族の変更手続きが必要です。必要書類は各会社によって異なるので、詳しくは総務担当部署に確認しましょう。

子ども関係の手続き

どもを連れて離婚するときには、子ども関係の手続きも忘れずに。

戸籍・氏(名字)の変更

夫婦が離婚しただけでは、子どもの氏や戸籍は自動的に変更となりません。今まで父親の戸籍に入っていた場合は親権者が母親になったときでも、必要な手続きを行わない限り、戸籍は父親の戸籍に入ったまま、氏も父親の氏のままです。

子どもの戸籍や氏を変更するには、まず「子の氏の変更許可申立書」を家庭裁判所に提出し、変更が許可された後に、母親の戸籍に入籍する手続きをします。そのためには、母親が筆頭者の戸籍を新しく作っておかなければなりません。これらの手続きは、旧姓復氏せずに婚姻時の姓(氏)を離婚後に名乗る場合も必要です。

ちなみに子の氏の変更許可申立てをする場合の必要書類は以下の通りです。

  • 子の氏の変更許可申立書
  • 申立人(子)の戸籍謄本
  • 父母の戸籍謄本(離婚の場合、離婚の記載があるもの)
  • 収入印紙
  • 郵便切手

学校関係

子どもの氏や住所が変更になった場合には、速やかに学校や幼稚園、保育園等に届け出してください。学費や給食費などが口座引き落としになっている場合には、口座名義が変更になった旨も伝えるようにしてください。

児童手当等の申請

離婚により母子(父子)家庭場合には、お住いの市区町村から児童手当などの公的支援が受けられる場合があります。役所に離婚届や転入届を提出したときに、シングルマザー(ファザー)向けの支援制度はあるか確認してみましょう。

離婚後の児童手当・児童扶養手当の手続きに関しては、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚後の児童手当・児童扶養手当の手続きについて|ケース別の変更方法と基礎知識」

健康保険の変更

子どもが元夫の扶養に入っていた場合には、健康保険の変更が必要です。まず元夫が勤めている会社に子どもの保険証を返却し、必要書類を提出します。その後自分の会社に扶養家族変更届を提出します。なお元夫が養育費を支払っている場合には、そのまま元夫の扶養でいることもできます。

各種保険の変更

自分の任意保険と同様に、子どもにかけている学資保険や医療保険の名義変更も必要です。母親が子どもを引き取っているにもかかわらず、保険の契約者が父親のままだと、元夫が自己判断で契約を解除してしまう恐れがあります。離婚前には必ず保険の契約者・被保険者・受取人等の見直しを行い、適宜名義変更を行ってください。

塾や習い事関係

子どもが塾や習い事に通っている場合、月謝の引き落としや氏名変更などが必要な場合があります。子どもと自分の手続き関係は、一覧表にまとめておくと手続き忘れが防げて安心です。

離婚前後の手続きの流れ、注意点については、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚前・離婚後の手続きの流れを解説!離婚の条件や種類別の期間、注意点とは」

まとめ

離婚時に財産分与に伴う名義変更が必要になるのは、家などの不動産と車です。それぞれに名義変更を怠ると、その後にトラブルが起きやすいので、離婚のタイミングで名義変更を行うようにしましょう。返済すべきローンがあるときには、ローン名義を変えたり、売却した利益を1/2ずつ分与するという方法があります。

それぞれの手続きには、必要書類の準備や費用が必須です。財産分与の方法が決定したら、離婚協議書などにその内容をまとめ、離婚後住所や氏名を変更したらすぐに名義変更に取り掛かれるようにしましょう。

離婚時には車や家の名義変更を含め、様々な手続きが必要です。自分や子どもの手続きに不備がないようにやるべきことをリストアップし、ひとつずつ確実にこなしましょう。離婚前後は何かと落ち着かない時期ですが、その後の生活をスムーズに送るには、名義変更等の手続きを忘れずに。

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