- 「性格の不一致が理由だけで離婚できる?」
- 「性格の不一致で離婚する場合の離婚条件について知りたい」
夫婦の離婚したい原因で最も多いのが「性格の不一致」。確かに今まで別に暮らしていた2人が夫婦になる訳なので、さまざまな価値観や考え方が合わない場面が出ることでしょう。しかし、果たして性格の不一致が理由で離婚が認められるのでしょうか。
そこで性格の不一致で離婚できるかについてや、気になる離婚条件について詳しく解説。さらにより有利に離婚するためのポイントも紹介します。夫や妻と性格が合わず離婚を考えているという方は、こちらの記事を参考にして、今後自分がどうすべきか考えるきっかけにしましょう。
そもそも「性格の不一致」とは?
でははじめに「性格の不一致」はどのような状態が当てはまるのかについてや法律的な考え方、過去の裁判事例について見ていきましょう。
「性格の不一致」に当てはまるケース
離婚原因としての「性格の不一致」は、夫婦間の些細なすれ違いから価値観の違いによって生じる溝まで、さまざまな状況を含んでいます。具体的には次のような夫婦間の違いが該当すると考えて良いでしょう。
- 金銭感覚の違い
- 家族観や友人関係など人間関係についての価値観の違い
- マナーや生活習慣の違い
- 環境や居住場所に対する考えの違い
- ルーズか生真面目か
- 子どもの育て方・教育方針の違い
- 政治的思想の違い
- 宗教観の違い
- 休日の過ごし方・趣味の違い
- 仕事に対する姿勢の違い
- 夫婦間の収入格差
上記以外にも、結婚して相手の性格や接し方が変わったことなども含まれます。些細なすれ違いがいずれ大きなストレスになり、離婚を考えるようにも。結婚前は許容できていたことでも、一緒に住み始めるようになると相手の言動が目に付き、我慢できなくなるケースもあります。
性格の不一致は最も多い離婚原因
全国の有配偶と離婚経験のある男女に、離婚実態について行った「離婚に関する調査2016(リクルートブライダル総研調べ)」によると、最も多い離婚理由の上位5つは以下の通りです。
- 価値観の違い
- 人生観の違い
- 性格の不一致
- 金銭感覚の違い
- 夫婦の会話がない
いわゆる「性格の不一致」といわれる理由が、離婚理由の上位を占めています。また令和2年の司法統計でも、離婚したい妻の約37%、夫の約60%が、相手との性格の不一致(性格が合わない)との理由で、離婚調停を申し立てています。
一般的に離婚原因というと、不倫やDV、精神的虐待(モラハラ)などが思い浮かびますが、離婚調停でも男女とも性格の不一致が最も多い離婚理由という結果です。
新婚なのに離婚を考えているという方は、こちらの記事を参考にして回避方法を知りましょう。
「新婚なのに離婚したい…離婚しやすい夫婦の特徴と回避方法、離婚を決意した後にすべきこと」
「性格の不一致」は法律上の離婚原因ではない
離婚原因としてよく聞かれる「性格の不一致」ですが、実は法律上の離婚原因には当てはまりません。民法第770条では裁判で認められる離婚理由(法定離婚事由)として、次の5つの理由を定めています。
配偶者に不貞な行為があったとき。
配偶者から悪意で遺棄されたとき。
配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
参照:民法|e-GOV法令検索
不貞な行為とは、配偶者以外の相手との性交渉を伴う浮気や不倫。悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦間の義務(同居・協力・扶助義務)を履行しないことや不当に反することを指します。具体的には次のような行為を指します。
- 理由も言わず何度も家出をする
- 不倫相手と暮らすために家を出た
- 正当な理由なく同居を拒否する
- 配偶者を虐待して家から追い出す
- 健康なのに働かない
- 家事を放棄する
- 配偶者重い病気や障害があるのに面倒を見ない
- 生活費を渡さない
1~4番目の理由には、性格の不一致は該当しません。そして5番目の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とは、婚姻関係が破綻し、回復の見込みがない状態のことを表します。つまり相手と性格が合わないという理由だけでは、法律上の離婚理由として認められないことになります。
性格の不一致で離婚は可能?
では、性格の不一致で離婚することができるのでしょうか?こちらでは、離婚の可否について解説していきます。
裁判では離婚が認められない
離婚には夫婦の話し合いのみで離婚できる「協議離婚」、裁判所に調停を申し立てて合意を図る「調停離婚」、裁判に訴えて結論をだす「裁判離婚」の3つの方法があります。双方が合意しないと最終的に裁判離婚へと進むわけですが、上で説明した通り、性格の不一致は法律上の離婚理由には当てはまりません。
法律上の離婚理由とは、裁判で相手配偶者に離婚を請求できる原因のこと。離婚を求めて主張する離婚理由が、法律上の離婚理由に当てはまらない限り、相手が拒否すれば離婚が認められない可能性が高いという訳です。そもそも離婚裁判では、法定離婚事由がないと裁判を起こすことすらできません。
もし相手が離婚を拒否しそうな場合は、最終的に裁判で離婚が認められるケースなのか、正しく見極める必要があるでしょう。
裁判で認められる条件
裁判で離婚が認められるためには、どのような理由や条件が必要になるのでしょうか。
性格の不一致以外の離婚原因がある
性格の不一致以外に離婚原因がある場合は、法律上の離婚理由に該当するか確認しましょう。夫婦間で性格の不一致を感じると夫婦仲が悪くなり、浮気や不倫といった不貞の問題が起こる場合があります。
例えば夫と性格や価値観が合わないことを不満に思っていた妻が、何かのきっかけで夫以外の男性と仲良くなり不倫してしまったようなケースです。この場合には法定離婚事由の一番目、「不貞な行為」を離婚原因として、裁判で離婚が認められる可能性があります。
夫婦関係が破綻していることを証明
性格の不一致で離婚したい場合は、夫婦関係が破綻していることを証明できれば、裁判で離婚が認められる可能性があります。日本の法律では、離婚について「破綻主義」という考え方が採用されています。破綻主義とは夫婦関係が修復できないほど破綻している状態のときは離婚が認められるという考え方のこと。
きっかけは性格の不一致でも、それにより修復できないほど夫婦関係が破綻していれば、離婚が認められるという訳です。とくに性格の不一致による離婚裁判では、婚姻を継続し難い重大な事由であるかの判断基準は以下の通りです。
- 別居の有無
- 別居期間(同居期間との比較)
- 会話の有無
- 口論や喧嘩の有無
- 暴言や侮辱的発言の有無
- 関係回復の行動や意思の有無
- 子どもの離婚に対する意見
例えば元々夫婦の性格が合わず夫婦仲が悪化し、それに耐えきれず妻が家を出て別居してしまったとします。双方が特に連絡を取り合うことなく5年や10年経ってしまうこともあるでしょう。
そうなるとこの夫婦は単に戸籍上夫婦となっているだけで、実際夫婦としての実態はありません。このような場合に裁判で離婚が認められるケースがあります。上記以外にも、次のような判断基準で離婚が認められる可能性があります。
- 未成熟子の有無
- 相手方の経済力
- 働かない・浪費・借金などの事情
- 犯罪行為による服役
- 疾病
- 過度の宗教活動
- 結婚前と結婚後のギャップ
性格の不一致による離婚裁判では、とくに別居期間が重要な判断材料となります。他の事情や背景にもよりますが、およそ5年以上の別居期間があると婚姻関係が破綻しているとみなされ、離婚が認められやすい傾向があります。
双方が合意すれば協議・調停で離婚が可能
離婚裁判では法定離婚事由がないと離婚が認められませんが、双方が離婚に合意すれば協議や調停で離婚することができます。このような離婚方法では、夫婦が離婚に納得していれば離婚理由が性格の不一致でも、極端にいうと離婚理由がなくても離婚できます。
日本では離婚全体の9割以上が協議離婚です。協議離婚では、双方が離婚することに合意し離婚条件が決まれば、役所に離婚届けを提出するだけで離婚が成立します。性格の不一致で離婚したいと考えている方は、まず協議離婚で離婚できないか模索するべきでしょう。
性格の不一致が理由で離婚できた判例
性格の不一致が原因で離婚となった裁判例があります。(横浜地相模原支判平成11年7月30日・判時1708号142頁)夫の度重なる思いやりのない言動により、妻は慰謝料・財産分与・年金分割を求めて離婚を請求。長男の独立より家庭内別居が約7年、別居が2年近く経過し、夫に離婚の意思がないものの夫婦関係が修復する見込みがないとして妻による離婚請求を認めたという事例です。
こちらの判例では家庭内別居中はほぼ家の1階と2階に別れて生活しており、途中から夫の食事の支度を妻が拒否、最終的には妻が家を出て別居という形になりました。このような経過から妻の心情を裁判所が認定。近年増えつつある、熟年離婚や性格の不一致による離婚の典型といえます。
性格の不一致で離婚するときの離婚条件
性格の不一致で離婚する場合の、慰謝料や親権、財産分与や養育費といった離婚条件について解説していきます。
慰謝料について
相手の不法行為によって離婚する場合、有責配偶者から慰謝料が支払われることがあります。例えば不貞行為やDVなど夫婦の一方に離婚原因があるときなどです。慰謝料とはそもそも、行為そのものや離婚することによる精神的苦痛に対して支払われる損害賠償のこと。性格の不一致で離婚する場合、離婚時の慰謝料は発生するのでしょうか。
理由が性格の不一致だけでは発生しない
離婚理由が性格の不一致だけの場合、離婚慰謝料は発生しません。性格の不一致では、夫婦のどちらが悪いといえないためです。妻が夫と性格が合わないことを理由に離婚を切り出し、夫がこれに同意すれば離婚が成立します。しかし夫と妻どちらかに有責性があると認められず、単に性格が合わないだけという可能性もあるので、そもそも慰謝料を請求できる前提に当てはまりません。
協議や調停で離婚する場合はもちろんですが、長期間の別居による夫婦関係の破たんで裁判離婚する場合にも、慰謝料は発生しないのが一般的です。
「解決金」という方法がある
性格の不一致による離婚では慰謝料が発生しないものの、「解決金」という呼び方で金銭のやり取りが生じる場合があります。慰謝料と呼び方が違うのは、損害に対して支払うお金(慰謝料)というよりは、問題を解決するためのお金(解決金)としての意味合いが強いため。
また対外的に、どちらか一方に落ち度(不法行為)があった訳でないとアピールする意味合いもあります。解決金は次のようなケースに支払われることが多いです。
- 離婚を望んでいる側が拒んでいる側に支払うことで離婚に応じてもらうようにする
- 離婚すると経済的に苦しくなる側に当座の生活費として支払う
解決金を支払うことで離婚の合意が得やすくなり、調停や裁判に発展する前に離婚問題を解決できるというメリットがあります。ただ解決金は法的な根拠のない金銭のやり取りのため、相場やルールはありません。金額や支払い方法などの内容についても、夫婦の話し合い次第となります。
他に離婚理由がある場合は発生
性格の不一致以外に離婚理由がある場合は、その理由に基づいた相場の慰謝料が認められる可能性があります。離婚時の慰謝料は、離婚原因や婚姻期間、子どもの有無や悪質度合いによって異なるものの、離婚裁判になった場合は、50万~300万円に収まるケースがほとんどです。
離婚理由や婚姻期間ごとの離婚慰謝料の相場については、こちらの記事を参考にしましょう。
「離婚慰謝料の相場が知りたい!離婚理由や婚姻期間による相場・金額をアップさせるポイントを解説」
子どもの親権・養育費について
未成年の子どもがいる場合は、子どもの親権や養育費についても決める必要があります。
親権の決め方
性格の不一致が離婚理由でも、子どもの親権については直接かかわりがありません。離婚を先に言い出した方が親権に不利になるということもありません。親権は離婚理由というよりは、子どもにとってどちらが親権者として適切かという「子の福祉」の観点から決められるため。具体的には、次のような項目を総合的に判断されます。
- 子どもへの愛情
- 子どもの年齢
- 兄弟の有無
- 子どもの意思
- これまで日常の世話をしてきた実績
- 今の子どもとの関係
- 両親の健康状態
- 離婚後の生活の変化の有無
- 離婚後の生活環境
子どもが小さいうちは母親の存在が必要だという「母子優先の原則」があり、母親に親権が認められることが多いです。子どもに兄弟がいる場合は、兄弟を一緒に養育できる環境を与えられる側が親権獲得に有利になります(兄弟姉妹不分離の原則)。また離婚前と同じ環境で子どもを育てるのが相応しいという考えも(継続性の原則)。
ただし離婚原因は子どもの親権に影響を与えないというものの、子どもにあまりに無関心だと離婚原因以前に親としての資質を疑問視され、親権者として認められない可能性があります。
父親が親権を取る確率や重視されるポイントについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「父親が親権を取れる確率は?重視されるポイント・親権獲得のためにすべきことを解説」
養育費も相場通り
子どもの養育費も、離婚理由にかかわらず子どもの親権を持つ側が相場通りに受け取れます。養育費の決め方については、裁判所が公表している「養育費算定基準表」に基づいて、夫婦の収入や子供の人数、年齢などにより決められることが多いです。離婚原因やどちらが離婚を切り出したかによって、養育費が変動するということはありません。
養育費の金額の目安となる算定表については、こちらの記事を参考にしましょう。
「養育費の新算定表が高すぎる…改定の理由と従来との変更点、支払えないときの減額方法とは?」
財産分与について
財産分与とは、離婚時に夫婦が協力して築いた財産(共有財産)を分けること。性格の不一致が原因で離婚する場合、どのように分け合うのでしょうか。
基本は1/2ずつ
離婚理由やどちらが離婚を切り出したかにかかわらず、財産分与の基本は1/2ずつです。婚姻期間中に夫婦が協力して形成、維持してきた財産は、夫婦の収入や立場にかかわらず1/2の割合で分け合うのが原則です。ただし離婚前に別居している場合は、別居時点での財産が分与対象となります。
離婚したい方が多めに支払うことも
ただし、離婚したい側が財産分与として多めに相手に渡すというケースもあります。離婚したいと相手に伝えたときに「離婚に応じてもいいが財産(家)はこちらに欲しい」といわれた場合などです。どうしても離婚に同意して欲しいときは、相手の要望通りに財産分与を行う必要があるでしょう。
性格の不一致が理由で離婚する場合、原則として1/2ずつの財産分与の権利があるものの、実際の場面では上記のような問題が起こる可能性があることを覚えておきましょう。
マイナスの財産も等分される
離婚時の財産分与で注意したいのは、不動産や預貯金といったプラスの財産だけでなく、ローンや借り入れなどマイナスの財産も等分されるということ。性格の不一致で離婚する場合、次のようなマイナスの財産も分与対象となる可能性があります。
- 住宅ローン
- 自動車ローン
- 教育ローン
- 生活費のための借り入れ
ただギャンブルや浪費など、夫婦の一方が個人的に作った借金は離婚時の財産分与の対象となりません。プラスの財産とマイナスの財産があるときは、プラスの財産からマイナスの財産を清算し、残りの財産を夫婦で分割する方法が一般的にとられています。
財産分与に関する弁護士費用、安くする秘訣については、こちらの記事を参考にしましょう。
「財産分与に関する弁護士費用|内訳別相場や変動する要素、安くする秘訣を解説」
性格の不一致で離婚する方法
性格の不一致が理由で離婚する場合、裁判までこじれる前に協議や調停で合意を目指すのが、スムーズに離婚するポイントです。こちらでは性格の不一致で離婚する手順について解説していきます。
相手に離婚を持ちかける
まずは相手に離婚を持ちかけてください。日本では、90%以上の夫婦が協議離婚を選択しています。相手が離婚に合意すれば、離婚届けを役所に提出するだけで離婚が成立します。性格の不一致で離婚する場合、協議で決着をつけることが一番スムーズに離婚する秘訣です。
そのためにはまず自分の気持ちをしっかり整理し、話を切り出すタイミングやシチュエーションを見極め、こう言われたらこう返すなどの想定問答を作っておくといいでしょう。離婚を切り出すときは極力冷静に、自分の気持ちや意思を明確に伝えましょう。
決して感情的になることなく相手の言い分も聞きながら、場合によっては相手に有利な離婚条件を受け入れるなど、歩み寄る姿勢を示すことも大切です。
離婚条件についての話し合い
双方が離婚に合意したら、離婚条件についての話し合いが必要です。子どもがいない夫婦の場合は財産分与などのお金について、子どもがいる場合はそれにプラスして親権や養育費など子どもに関することを決めます。とくに親権はあらかじめ決めておかないと離婚届けが受理されません。
子どもについて | お金について |
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話し合いに第三者を入れるという方法
夫婦だけの話し合いで合意に至らなかった場合、離婚の話し合いに第三者を入れるという方法があります。第三者の客観的で冷静なアドバイスをもらうことで、婚姻関係の継続につながる可能性も。話し合いの結果、離婚することになっても、離婚までスムーズに話がまとまるケースもあるでしょう。
ただし話し合いに加わってもらう人選を慎重に行わないと、一方に肩入れしてしまい、話がまとまらないばかりか余計にこじれてしまう恐れが。信頼できる人物かつ、どちらにも肩入れしない中立の立場の人を選定し、話し合いに参加してもらうようにしましょう。
離婚調停に進む
夫婦の一方が離婚に合意しない場合や、離婚条件で折り合わず協議で離婚できなかった場合、離婚調停(夫婦関係調整調停)に進むことになります。離婚調停は家庭裁判所の調停手続きを利用し、2名の調停委員を間に立てて双方の主張を調整します。あなたの離婚意思が固い場合は、調停委員が相手を説得してくれることで離婚が成立する可能性も。
離婚調停では、全体の半数以上で離婚が成立しています(調停中に協議離婚が成立したケースも含む)。とくに性格の不一致だけが理由で離婚したい場合は、離婚裁判で離婚が認められない可能性が高いため、離婚調停の場が勝負です。弁護士に依頼しなくても調停の手続きを進めることができますが、弁護士が関与した方がより離婚合意の成立確率が高まります。
参考:司法統計|裁判所
離婚調停にかかる費用および弁護士費用を一括で支払えないときの対処法は、こちらの記事を参考にしましょう。
「離婚調停にかかる費用とは?裁判所・弁護士費用の詳細や一括で払えないときの対処法も」
性格の不一致で離婚するときのポイント
性格の不一致で離婚する場合、次のような点に気を付けましょう。
裁判で離婚するときには証拠が必要
裁判で離婚を請求する場合、離婚が認められるためには証拠が必須です。相手の不法行為を立証できる、客観的な証拠を集めてください。
離婚原因 | 必要な証拠 |
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不貞行為 |
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DV |
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モラハラ |
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長期間の別居 |
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悪意の遺棄 |
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このように、離婚理由によって有効な証拠の種類が異なります。具体的にどのような証拠が必要か分からない方は、弁護士などの専門家に相談しましょう。
離婚裁判の手続きの流れや期間の目安、短縮する秘訣についてはこちらの記事を参考にしてください。
「離婚裁判の期間を手続きの流れごとに解説!長引くケース・期間を短縮する秘訣とは?」
一方的な離婚請求は不貞を疑う
今まで問題なく婚姻生活を送っていたと思っていたのに、突然相手から「性格が合わないことで離婚したい」などと言われた場合、相手が浮気や不倫をしている可能性があります。相手が不貞行為をしているケースでは、なるべく有責配偶者にならないよう、こちらに非があるような論調で離婚を請求する傾向に。
決して相手の挑発に乗ったりせず、冷静に相手の言動をチェックしたり、スマホや持ち物を調べて不貞行為を行っていないか探ってみましょう。
こちらが離婚を拒否し続けていると、相手が勝手に離婚届けを作成して提出する恐れがあります。先に自治体役場に行き「離婚届不受理申出」を窓口に提出すると、申出人の意思が確認できない限り離婚届けが受理されなくなります。
旦那が浮気している?というとき賢い妻はどう行動すべきかについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「旦那が浮気⁉賢い妻ならどうすべき?後悔しない対応とNG行動、再発防止のためにできること」
離婚の話し合いは粘り強く
離婚の話し合いは、時間をかけて粘り強く行いましょう。性格の不一致で離婚する場合、相手が離婚に応じれば話し合いはスムーズに進みますが、相手が離婚を拒否するケースも多く、そうなると離婚の話し合いは長引く傾向に。
とくに離婚による子どもへの影響を心配する相手や、経済的理由で離婚に踏み切れないようなケースでは、簡単に離婚に応じることは少ないでしょう。離婚後の不安を解消できるような提案をしつつ、時間をかけてこれ以上結婚生活を続けることはできないこと、長年我慢を続けての結果だということを相手に伝え続けることが大切です。
相手が離婚に応じないときの対処方法、NG対応についてはこちらの記事を参考にしましょう。
「夫や妻が離婚に応じない…基本とケース別の対処方法を解説!やってはいけないNG対応とは?」
相手が応じないときは別居を検討
どうしても相手が離婚に応じないような場合は、別居を検討しましょう。別居が長期間に及ぶと、それだけで婚姻生活の破たんとみなされ、離婚が認められる可能性が高まるからです。別居するときには、必ず離婚前提の別居であることを伝え、相手の合意を得てから別居に踏み切りましょう。
もし相手の収入だけでは生活ができないときには、「婚姻費用」という形で援助してください。婚姻費用とは別居時に収入の少ない方が多い側に対して請求できる生活費や子どもを養育する費用のこと。こちらの婚姻費用を負担する義務があるのに支払わないと、法定離婚事由の一つ、悪意の遺棄とみなされる恐れがあります。
また逆に離婚を拒否している側に婚姻費用の支払い義務がある場合は、「別居してすでに夫婦としての形がないのに生活費を支払うのは馬鹿らしい」と離婚に応じる可能性があります。
別居に必要な準備や注意点については、こちらの記事を参考にしてください。
「別居に必要な準備をシチュエーション別に解説!別居に関する注意点とは?」
合意した内容は離婚協議書で書面化
合意した内容は「離婚協議書」を作成し、公正証書にすることをおすすめします。公正証書の中でも「認諾文言付き」公正証書で作成すると、相手が離婚後に約束通り養育費を支払わなかった場合、裁判を経ることなく相手の給与等を差し押さえることができます。
公正証書は、最寄りの公証役場で作成します。離婚協議書を公正証書にするためには、夫婦2人で公証役場へ出向いて手続きを行います。あらかじめ協議書を作成して公正証書にするという方法もありますが、公正証書の作成に当たり、合意内容を改めて調整する必要が出るケースも。
また一般的に離婚前よりも離婚後の方が離婚条件に関する合意が難しくなるため、公正証書の作成も離婚前に済ませておいた方がいいでしょう。
スムーズに離婚するには弁護士に相談するのがベスト
相手がすんなり離婚に応じてくれないような場合は、弁護士に相談することをおすすめします。性格の不一致で離婚を考えているようなケースでは、そもそも離婚が可能なのかや、離婚条件がどうなるか判断つかないことも多いでしょう。
協議や調停で決着がつけばいいのですが、裁判になっても離婚が認められるかはケースバイケース。そのようなときに弁護士に相談できれば、法的に離婚や慰謝料請求が可能かや、離婚条件の妥当なラインなどが分かります。すでに別居に踏み切っている場合は、相手と直接顔を合わせて離婚協議をすることなく、交渉を弁護士に任せられます。
弁護士に依頼すると確かに費用は掛かりますが、精神的ストレスや時間的な負担を軽減させつつ、高確率で離婚を成立させられます。親権問題や養育費についても、希望に沿ったより有利な条件を手にできるはずです。
まとめ
性格の不一致で離婚する夫婦は多いものの、法律上の離婚理由ではないため、相手が離婚に応じないと裁判で決着をつけることが難しくなります。その場合には性格の不一致以外の理由で離婚が可能か検討したり、長期間の別居で婚姻関係の破たんを証明する必要が。
性格の不一致で離婚する場合の離婚条件は、親権や養育費、財産分与では離婚原因にかかわらず決めることができます。性格の不一致による離婚では慰謝料を請求することが難しいため、解決金という名目で金銭のやり取りをすることが可能です。
性格の不一致で離婚するには、まず相手に離婚を持ち掛けて離婚条件について話し合います。合意した内容は公正証書にするとのちのトラブルを防げます。相手が合意しない場合や離婚条件で折り合いがつかない場合は、なるべく早めに弁護士に相談することをおすすめします。