- 「結婚してすぐなのに離婚を考えている…他の人のスピード離婚の理由が知りたい」
- 「スピード離婚すべきかの判断基準は?」
結婚して数年しか経っていないのに、離婚を考えている人はいませんか?今や離婚は決して珍しいことではありませんが、スピード離婚する人も少なくありません。こちらの記事ではスピード離婚の実態やよくある理由などを詳しく解説していくので、離婚に悩んでいる方は参考にしましょう。
さらにスピード離婚すべきかの判断基準や、時間をかけずスムーズに離婚するための方法を紹介。スピード離婚に関して気になる点を明らかにして、今後の人生をやり直すための指針にしましょう。
スピード離婚の実態
まずはスピード離婚の定義や各種統計からみる実態について見ていきましょう。
結婚から数年以内の離婚のこと
スピード離婚とは、結婚から数年以内の離婚のことをいいます。きちんとした定義はないものの、結婚から1~2年以内の離婚のことを指すようです。人によっては、3年以内の離婚もスピード離婚と考えるケースがあります。
スピード離婚の最たるものとして、1990年代以降に使われ始めた「成田離婚」があります。成田離婚とは結婚したての男女が、新婚旅行から帰ってきたあとすぐに離婚することをいいます。帰国後すぐに成田空港で別れ、別の人生を歩む(離婚)という意味で使われます。
司法統計からみるスピード離婚の実態
裁判所による令和2年度の司法統計を見ると、婚姻期間別の申立件数は以下の通りです。
婚姻期間 | 総数 | 割合(%) |
---|---|---|
6カ月未満 | 451 | 0.76 |
6カ月以上 | 1,360 | 2.30 |
1年以上 | 3,605 | 6.11 |
2年以上 | 3,619 | 6.14 |
参照:婚姻関係事件数―終局区分別婚姻期間別―全家庭裁判所|司法統計
入籍後1年以内で離婚申立てをした件数は1,811件(3.06%)です。3年以内の件数を合計すると9,035件、全体のおよそ15.3%という結果になっています。
人口動態統計によるスピード離婚の割合
厚生労働省がまとめた最新の人口動態統計によると、結婚3年以内に離婚した人の割合は次の通りです。
同居期間 | 組数 | 割合(%) |
---|---|---|
1年未満 | 8,971 | 5.00 |
1~2年 | 11,278 | 6.29 |
2~3年 | 11,965 | 6.68 |
こちらは協議離婚件数も含むため、より実数に近い結果となっています。同居期間が3年以内の離婚件数は、トータルで32,214組、全体の17.98%を占めています。これを見るとスピード離婚の件数が決して少なくないことが分かります。
参照:令和4年人口動態統計月報年計の概況・結果の概要|厚生労働省
スピード離婚件数の推移
ではスピード離婚の件数は、これまでと比較して増えているのでしょうか。前出の人口動態統計などによると、1970年からの3年未満のスピード離婚の件数・割合は以下の通りです。
年 | 離婚総数 | 3年未満の離婚件数 | 割合 |
---|---|---|---|
1970 | 95,937 | 28,114 | 29% |
1980 | 141,689 | 30,843 | 15% |
1990 | 157,608 | 37,164 | 18% |
2000 | 264,246 | 61,797 | 30% |
2009 | 253,354 | 53,918 | 26% |
2018 | 208,333 | 41,096 | 20% |
2022 | 179,096 | 32,214 | 18% |
参照:「最近スピード離婚が増えている」は本当なのか|東洋経済ONLINE
これを見ると3年未満の離婚数自体は2000年代から著しく増加しているものの、ここ最近はまた減少傾向です。離婚件数全体の割合でも、それほど大きく増加している訳ではありません。
スピード離婚でよくある理由と判断基準
ではスピード離婚した人は、どのような理由で離婚を決めたのでしょうか。こちらではスピード離婚でよくある理由と、離婚すべきかの判断基準について紹介します。
若気の至り・理想とのギャップ
20歳前半の比較的若い年齢で結婚してしまったカップルに多い理由として、若気の至りや結婚生活の理想と現実とのギャップが挙げられます。「愛があればなんとかなる」との勢いで結婚したり、子どもができて結婚したケースも該当します。
しかし実際は物語の王子様と結婚したお姫様のように「めでたしめでたし」で終わるはずもなく、現実の生活がひたすら続いていきます。子どもができると学校などを止めざるを得ず、学歴がネックになって就職が思うようにならないケースも。親の支援がないと結婚生活を続けられず、家事や育児に忙殺され、生活費が足りなくなって結婚生活を続けられなくなることもあるでしょう。
好きだと思った相手と勢いで結婚すると、仕事やお金、子どもや将来について意見があわず、相手と衝突したり結婚してから「こんなはずじゃなかった」と痛感することがあります。
性格・価値観の不一致
性格や価値観の不一致で、スピード離婚を決意する人もいます。前出の司法統計によると、毎年離婚理由の1位になるのが「性格の不一致」です。協議離婚でも離婚理由の上位に必ずランクインします。相手の性格なんて結婚前に分かるのでは?と思う人もいるでしょうが、結婚前は相手の本質が見えていない(隠している)場合もあり、実際に暮らしてみて初めて相手のことを知るというケースも少なくなりません。
そして結婚前とのギャップを感じるのが結婚後数年の初期であり、それを乗り越えられずにスピード離婚となる訳です。同じように子どもができ相手のことをよく知らないまま結婚したケースや、結婚後も独身気分が抜けない人がいると、性格や価値観の不一致で離婚しやすいです。
将来へのビジョンの食い違い
双方の将来についての考えや展望の違いで、スピード離婚に至るケースがあります。長い結婚生活の中では次のような将来を共有することが、夫婦生活を継続していくうえでとても重要なポイントです。
- 持ち家を購入するかどうか
- どこに住むか
- 子どもを持つか(何人か)
- 子どもの教育について
- 双方の仕事について
- 両親の介護問題
このような将来について結婚前にすり合わせができていないと、結婚後にトラブルになりがち。自分の理想と相手の希望が折り合わずに、結婚早々で離婚を決意する人も少なくありません。とくに子どもに関しては、結婚する目的の大きな部分を占めるという人もいるため、双方のビジョンを共有する必要があります。
結婚を焦ったため
最近多いのが、焦って結婚して後悔するケースです。とくに女性の場合は妊娠出産に身体的なリミットがあるため、35歳前後で焦って「誰でもいいから結婚したい」となることも。マッチングアプリやお見合いパーティーなどで、相性や相手の性格よりも年収や仕事といった条件ばかりを見てしまい、好きという感情がないままで結婚してしまうと、結婚当初から冷え切った夫婦生活になりがち。
このような場合は相手への愛情がないので、少しのトラブルでも乗り越えるのが困難になります。また「親に言われて結婚した」「何となく結婚した」など結婚への熱量に大きな温度差があると、それぞれが想定している結婚生活に対する期待や相手との関係性にギャップが生じ、結婚生活を続けられなくなりがちです。
相手の不倫
相手の不倫が結婚後に発覚して、スピード離婚を決断する人もいます。不倫は「不貞行為」ともいい、民法第770条で定められている「法定離婚事由」の一つです。不貞行為が認められるためには、配偶者以外の相手と性的関係があったと認められる証拠が必要ですが、これがあると離婚裁判で離婚が認められます。
とくにスピード離婚でありがちなのが、結婚前から婚約者と二股をかけていたケースです。結婚後もなおその関係を継続してしまうと、配偶者にバレて離婚問題に発展します。結婚前は相手の二股に気が付けなかった人でも、一緒に暮らし始めると相手の不審な行動に気が付きやすくなるからです。
また「結婚したら浮気できないから」と駆け込みで不貞行為をする人もいます。しかし結婚したからといえ、人の本質はなかなか変わりません。結婚前の相手とは終わっていても、またいつ浮気の虫が騒ぎ出すとも限りません。
金銭問題
夫婦間の金銭問題もまた、スピード離婚の原因になります。前出の司法統計では「浪費する」「生活費を渡さない」といった金銭問題で離婚調停を申立てるケースが、男性で約17%、女性で約40%もいます。離婚と金銭問題は切っても切り離せない関係といえます。
とくに結婚当初はお金の使い方などで価値観のすり合わせが必要です。また結婚して初めて相手に多額の借金があることを知ったというケースも。このような場合、内緒にされていたということで信頼関係が損なわれるだけでなく、返済に追われて経済的に苦しくなったりローンを組めないなどで生活に使用が出る恐れがあります。
この先不自由な生活を強いられるくらいなら、なるべく早い段階で離婚しようと考えても無理はありません。
嘘をつかれていた
相手の嘘が発覚して、スピード離婚に至る場合もあります。どうしても相手に言えない、相手の気を引きたいからといって、離婚歴や子どもがいることを隠したり、年齢や収入を偽ったりして結婚してしまったような場合です。そのほかにも次のような事実を隠されていると、離婚に至りやすいでしょう。
- 多額の借金
- 犯罪歴
- 持病
- 新興宗教への信仰
- 性的不能
- 同性愛者
- 特殊な性癖
このような事実は、結婚前であれば隠し通して交際を続けられます。しかし結婚した後までずっと隠して通していくことは極めて難しいでしょう。本来なら結婚するかどうか判断する上で、前提の背景として検討されるべき事柄。事実についてだけでなく、こんな大事なことを相手に隠されていたという点でも離婚を考えるのも無理はありません。
スピード離婚するか迷ったときの判断基準
スピード離婚するかどうか迷ったときには、次のような基準をもとに判断してみましょう。
問題行動の有無
不倫やDV、モラハラなどがある場合は、結婚後すぐであっても離婚を決断した方がいいでしょう。人の本質というのはそう簡単に変わりません。浮気や暴力、借金などは、一度おさまっても繰り返す可能性が高いといわれています。一度信頼関係が崩れると「また同じようなことがあるのではないか」と疑ってしまうのも無理はありません。
とくにDVやモラハラは、暴力や言葉によって相手をコントロールして支配しようとする行為。結婚したとたんに態度が豹変するケースも珍しくありません。いくら一時的に相手が優しくなっても、また同じことを繰り返します。このようなことが繰り返されれば、いずれは精神的に限界が来てしまうでしょう。
旦那が浮気したときの対処法については、こちらの記事を参考にしましょう。
「旦那が浮気⁉賢い妻ならどうすべき?後悔しない対応とNG行動、再発防止のためにできること」
一緒に居るのが苦痛・ストレス
相手と一緒に居るのが苦痛でストレスを感じ、それが続くようであれば離婚を考えた方がいいかもしれません。結婚直後や同居してすぐは、程度の差こそあれ誰でもストレスを感じます。しかし多くは一時的な感情で、相手との価値観や生活習慣の違いに慣れたり妥協しあうことで、ストレスが少なくなっていきます。
しかし場合によっては歩み寄りや妥協が難しく、ストレスがなくなるどころか日々増え続けるという場合も。もはや一緒に居ることが苦痛でストレスの原因になっていて、心身に不調が出るなどすると、夫婦生活を継続するのが難しくなります。このような方は、離婚を決意した方がいいでしょう。
義理親との関係で味方になってくれない
偶者の親族や嫁姑問題が原因で、離婚を考えるようになる人もいるでしょう。結婚後の義理の関係で頭を悩ませる人は昔から多くいますが、配偶者が味方になってくれないと新婚でも離婚を考えてしまいます。配偶者が自分の味方になってくれれば、関係が悪くなっても結婚生活を続けていけます。
しかし義理親の言いなりになっていたり、義理親ともめていてもあなたの味方をせずに放置したりするようであれば、離婚を考えても仕方ありません。配偶者からすると自分の親。どちらに非があるか正しく理解するのは難しいものですが、それでも自分の味方であって欲しいと思うのは自然なこと。
とくに同居をしている場合には、毎日我慢をしながらストレスを抱えて過ごすことになります。配偶者が味方になってくれない状況では、義理親との関係改善も難しいでしょう。離婚を切り出して様子を見るのも一つの手です。
嫁姑問題で離婚したいとお考えの方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「嫁姑問題を理由に離婚や慰謝料請求をしたい!離婚を決断する前にすべきことは」
価値観に大きな違いを感じて許容できない
相手との価値観に大きな違いを感じ、それを許容できない場合には離婚もやむをえないかもしれません。夫婦といえども育ってきた環境は異なります。生活習慣や金銭感覚など様々な価値観が違っていても当然ですが、夫婦は同じ将来に向かって生活を共にしていくもの。価値観の違いが生じたとしても互いに歩み寄り同じ方向を向いていかなければなりません。
しかしあまりにも価値観に違いがあれば、頻繁にトラブルが生じます。都度話し合いとなり、精神的にも辛くなります。互いの価値観や金銭感覚にずれを感じ歩み寄るのが難しい場合、今後の結婚生活を続けていくのは難しいかもしれません。
価値観の違いで離婚したいとお考えの方は、こちらの記事を参考にしてください。
「価値観の違いで離婚したい…よくある理由と離婚の可否、迷ったときの相談機関を紹介」
長期に及ぶセックスレス
長期の及ぶセックスレスの場合も、離婚を決断する一つの理由となります。新婚というと、恋人の延長のような甘い時期を想像する人もいるでしょうが、結婚したことでセックスレスになる夫婦も珍しくなりません。相手がいることが日常となり、日常生活の中で仕事や家事をこなすうちに疲れてセックスレスになる人もいるでしょう。
「結婚してからずっとセックスレス」などセックスレスが長期に及び、解消するために試行錯誤したものの改善できない場合には、離婚を決断するのもやむを得ません。セックスレスになると子どもを作ることができません。自分の人生計画にも大きくかかわってくるため、早期に離婚を決意するという人もいます。
セックスレスで離婚する方法については、こちらの記事を参考にしましょう。
「セックスレスで離婚する方法|認められる条件や有利に離婚する4つのポイントとは」
スピード離婚のメリット・デメリット
スピード離婚を迷っている方のために、こちらではスピード離婚のメリットとデメリットを紹介します。
スピード離婚のメリット
スピード離婚のメリットは次のようなものです。
時間を無駄にしない
スピード離婚をすると、自分の人生の時間を無駄にせずに済むというメリットがあります。このまま結婚生活を続けていても無駄と判断したのであれば、惰性で生活を続けるよりもスピード離婚した方が有意義な人生を過ごせるでしょう。
年齢的にも若い方が次の再婚相手の選択肢が広がります。再就職する場合でも、良い選択をできる可能性が広がるでしょう。離婚した人でよくある後悔が「もっと早く離婚しておけばよかった」ということ。この人とは無理と思ったら、スピード離婚を決意した方が人生を無駄にしなくて済むというメリットがあります。
離婚時に揉めにくい
離婚時に揉めにくいのも、スピード離婚のメリットです。夫婦が離婚する場合、婚姻期間の共有財産を夫婦で分けることになります。共有財産が多いほど離婚時に揉めやすくなります。しかしスピード離婚であれば、持ち家などを購入していないケースも多く、財産分与の金額も少なくて済みます。
また夫婦の間に子供がいなければ、子どもの親権や養育費、面会交流などで揉めることもないでしょう。スピード離婚の場合は結婚期間が短い分、夫婦の両方が離婚に合意してさえいれば、離婚条件についての話し合いは短期間で済む可能性が高いでしょう。
ストレスや暴力からの解放
相手からモラハラや暴力を受けていたり、相手に借金がある場合は、スピード離婚することでそれらの被害やストレスから解放されます。相手に問題行動がある場合、結婚生活を続けているとさらに精神的・身体的・金銭的な被害が大きくなります。このようなケースでは、これ以上被害を受けないためにもスピード離婚を選択した方がいいでしょう。
結婚生活を長く続ければ続けるほど疲弊し、精神的に病んだりして正常な判断ができなくなる可能性があります。より早い段階で離婚できれば、精神的な負担が少なくて済み、離婚後の再スタートが切りやすくなります。
ヒステリーな嫁と離婚したいと考えている方は、こちらの記事を参考にしてください。
「ヒステリーな嫁と離婚したい!妻がキレる理由と対処法、離婚の可否について解説」
人生に与える影響が少なくて済む
スピード離婚は、その後の自分の人生に与える影響が少なくて済みます。結婚を機に仕事を辞めた場合でも、ブランク期間が短いので、転職や復職が容易です。しかし何十年も結婚生活をつづけた後で離婚した場合は、離婚によって人生に大きな影響を及ぼします。
遅かれ早かれ離婚することになる相手との結婚生活は、あまりだらだらと続けていても仕方ないと考えても無理はありません。
スピード離婚のデメリット
一方でスピード離婚のデメリットもあります。
親族によく思われない
スピード離婚すると、親や親族によく思われない可能性があります。不貞やDVなど、誰が見ても相手に非があるケースならば理解してくれるでしょうが、あなたに離婚原因がある場合やあなたのわがままで離婚となった場合、周囲の理解を得られにくく非難される恐れがあります。
とくに親族の価値観や地域によっては、スピード離婚を恥ずかしいことと判断される可能性が。また世間体を気にするタイプの親の場合「結婚してすぐ離婚するなんて、周囲に顔向けできない」と子どもの離婚を恥じるケースもあります。
周囲にご祝儀泥棒呼ばわりされる可能性
たくさんの招待客を招いて盛大な結婚式を行ったという人もいるでしょう。しかしそのような盛大な式を挙げたにもかかわらずスピード離婚すると、「ご祝儀泥棒」呼ばわりされる可能性があります。中には無理してご祝儀を出したり、式に出席するために衣装代や美容院代などを出費した人もいるからです。
離婚を後悔する可能性
よく考えずスピード離婚すると、離婚を後悔する可能性があります。どのような問題でも、時間が解決してくれることがあります。しかしスピード離婚してしまうと、時間の経過で解決できたかもしれないチャンスを逃してしまうからです。
例えば性格の不一致でスピード離婚した場合、一緒に生活するうちに「気にならなくなった」「離婚するほどでもない」と思うようになれたかもしれません。とくに感情的になって離婚を決めた場合、「もう少し頑張ってみればよかった」など離婚を後悔する可能性があります。
再婚相手から懸念される可能性
離婚後新たに再婚したい人が現れた場合、スピード離婚のことを知られると「何か裏の顔があるのではないか」「性格的に問題があるのではないか」と懸念を抱かれる可能性があります。スピード離婚後に再婚したい相手が現れたときには、離婚理由や離婚に至った事情などを丁寧に説明するようにしましょう。
スムーズにスピード離婚するポイント
スピード離婚しようと決意したら、なるべくスムーズに離婚できるようにしましょう。こちらではスムーズに離婚するポイントを紹介していきます。
話し合いによる協議離婚
夫婦が離婚に合意している場合は、早期に協議離婚の成立を目指せます。とくに結婚して間もないスピード離婚の場合は、離婚条件等の争いが少ないのが特徴。相手が離婚に合意すれば、離婚届を記入して役所に提出すれば離婚が成立します。
争いがあるときには離婚調停
一方で相手が離婚に合意しない場合や、離婚条件についての話し合いがまとまらないときには、家庭裁判所に調停を申し立てて、調停委員の仲介の元で離婚についての話し合いを行います。離婚調停では、調停委員の説得等もあり、全体の半数近くが離婚を合意(協議離婚の成立も含む)しています。
離婚調停に弁護士が関与している場合は、そうでない場合に比べて離婚合意が得られる可能性が高まります。とくにスピード離婚の場合は、結婚生活が長い夫婦に比べて相手が離婚に応じないケースが少なく、比較的スムーズに離婚が成立するでしょう。
離婚調停にかかる費用は、こちらの記事を参考にしてください。
「離婚調停にかかる費用とは?裁判所・弁護士費用の詳細や一括で払えないときの対処法も」
法定離婚事由がある場合には離婚裁判
法定離婚事由がある場合は、離婚裁判で離婚を求める流れとなります。離婚裁判では、裁判所が法定離婚理由があるかどうかを判断し、あると認めた場合は離婚判決を出します。法定離婚事由は、民法第770条1項により以下の5つとなります。
一 配偶者に不貞な行為があったとき
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
引用:民法|e-GOV法令検索
スピード離婚に至った理由が相手の浮気や不倫の場合、「配偶者に不貞な行為があったとき」という理由で離婚が認められます。また相手が生活費を一切渡さなかったり、理由もないのに同居しあい場合は「悪意の遺棄」という理由で離婚が認められます。
その他相手のDVやモラハラなどがあった場合には「婚姻を継続しがたい重大な事由」として離婚が認められる可能性があります。
相手に原因があるときには慰謝料請求も可能
相手に離婚の原因(不法行為)がある場合には、離婚時に慰謝料を請求できる場合があります。不貞行為やDV/モラハラはもちろんのこと、結婚前に相手から重要な事実を隠されていたといった事情があるときには、離婚だけでなく慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。
慰謝料の相場は、次のような要素によって変動します。
- 離婚の有無
- 婚姻期間
- 不法行為の期間
- 悪質度
- 未成熟子の有無
- 反省の度合いなど
詳しい慰謝料相場が知りたい方は、離婚問題に詳しい弁護士に相談してください。
協議離婚の慰謝料相場については、こちらの記事を参考にしてください。
「協議離婚の慰謝料相場が知りたい!増額・減額できる秘訣や慰謝料の決め方を解説」
離婚条件は公正証書にする
離婚条件がまとまったら「離婚協議書」などの形式で公正証書にすることをおすすめします。公正証書とは公証人役場にいる公証人がその権限に基づき作成する公文書のこと。離婚協議書を公正証書にすることで、とくに子どもの養育費に未払いが発生した場合、裁判を経ずに相手の給料などを差押えできます。
早く離婚したい人やスムーズに離婚したい人は、こちらの記事を参考にしてください。
「早く離婚したい人が取るべき7つの方法|スムーズに有利に離婚するためのポイントとは?」
離婚問題に詳しい弁護士に相談
スムーズに離婚するためには、離婚問題に詳しい弁護士に相談するといいでしょう。結婚してから離婚を決意するまでの期間が短期だとしても、相手が離婚に合意せず泥沼の離婚紛争が続いてしまうと、結局は離婚するまで時間がかかってしまいます。
そうならないためには、相手に離婚を切り出す前に弁護士からのアドバイスを受けるのがベスト。離婚条件や離婚の切り出し方などをあらかじめ弁護士に相談すると、離婚を決めたときに有利に進められる可能性が高まります。また自分のケースで離婚できるか知りたい方や慰謝料請求方法、子どもの養育費をどうしたらいいかなど不安があるときも弁護士に相談するのが有益です。
まとめ
スピード離婚とは結婚後1~2年で離婚することをいい、離婚件数全体の15%以上がスピード離婚となっています。スピード離婚の理由として多いのが価値観の不一致や不倫など、全般的に見られる理由がある一方で、理想と現実のギャップや結婚を焦ったためなど、スピード離婚ならではの理由もあります。
スピード離婚のメリットは離婚で揉める心配が少なく、時間を無駄にすることなくいち早く新しい人生に踏み出せるという点です。一方で親戚や周囲の人に良く思われなかったり、離婚を後悔する可能性があります。
スムーズに離婚をするには、協議離婚を成立させるのが最も近道です。相手が離婚に同意しないときには離婚調停、離婚裁判へと進みます。スムーズに離婚するには、事前に弁護士に相談するのがおすすめ。法律の専門家としての立場から、有利にしかもスピーディーに離婚するためのアドバイスを受けられます。