子供の泣き声でノイローゼに…離婚した方がいい?離婚すべきかの判断基準と注意点とは

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  • 「子供の泣き声でノイローゼに…夫が育児を手伝ってくれないのが原因?」
  • 「育児ノイローゼが原因で離婚が認められる?」

かわいいはずのわが子の泣き声がストレスに感じる…これって育児ノイローゼなのでは?とお悩みの方はいませんか?とくに第一子の子育てや夫が育児に協力的でないケースで、育児ノイローゼが深刻になりがち。こちらの記事では、育児ノイローゼの症状やなりやすい人、原因などについて解説していきます。

育児ノイローゼの原因が夫のせいだった場合、離婚問題にまで発展する可能性があります。そのようなケースで離婚が認められるかや、スムーズに離婚する方法についても紹介していきます。子供を連れての離婚では、離婚後の生活の準備が欠かせません。離婚時にどのようなお金をもらえるのか確認し、念入りに準備をしていきましょう。

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目次

育児ノイローゼとは?主な症状と原因

まずは育児ノイローゼとはどのような状なのか、なりやすい人や原因について見ていきます。

ノイローゼとは

育児ノイローゼ以外にも、様々な「○○ノイローゼ」があります。そもそもノイローゼとは神経症の一つである「不適応障害」を示す医学用語です。ドイツ語の「Neurose」を語源とした精神疾患ですが、現在では正式な疾患名として扱われていません。一般的には不安やストレスなどの精神的緊張が原因で、精神的不安定な状態を指す言葉です。

子育てに不安を抱える人の割合

子育てに悩みや不安を抱える人は珍しくありません。令和2年度に文部科学省の委託で行った調査「家庭教育の総合的推進に関する調査研究報告書」によると、子育てについての悩みや不安を抱えている人の割合は、次の通りです。

男女別 男性 女性
いつも感じる 9.7% 17.1%
たまに感じる 52.1% 59.3%

男性で61.8%、女性では76.4%の人が子育てに関する何らかの不安や悩みを抱えていることが分かります。多くの人が子育ての不安を抱えており、誰でも育児ノイローゼになる可能性があるといえます。

参考:令和2年度「家庭教育の総合的推進に関する調査研究~家庭教育支援の充実に向けた保護者の意識に関する実態把握調査~」報告書|令和2年度文部科学省委託調査株式会社インテージリサーチ

育児ノイローゼの主症状

育児ノイローゼは「育児不安」や「育児ストレス」と呼ばれる場合もあり、何も対処しないとノイローゼ症状が長期化し悪化する可能性があります。では育児ノイローゼになると、どのような症状が出てくるのでしょうか。

感情がコントロールできないほどイライラする

育児ノイローゼになると、自分で感情がコントロールできない程イライラします。「子供の着替えに時間がかかる」「おもちゃを出しっぱなしにする」など今までは気にしなかった些細なことにイライラしてしまい、思い通りにならない子供に怒鳴ってしまうことも。

子供は親が思った通りに動いてくれないことが多々あります。普段であれば「仕方がない」と割り切れる場面でも、育児ノイローゼになると思い通りにならない子供にイライラしてしまいます。

悲観的になりやすい

育児ノイローゼになると、悲観的になり憂うつな気分が抜けなくなる人がいます。「自分の育て方が悪かったのでは」「どうしてうちの子だけこうなんだろう…」とマイナス思考に陥り、自分自身を責めてしまったり、自分が母親(父親)失格なのではと思ったりします。

幼い子供の成長は個人差が大きいので、同じ年齢でも発達速度は違って当然。しかし育児ノイローゼになると、育児書通りに育っていない自分の子供に必要以上に不安を抱いてしまい悲しくなってしまうのです。

無気力になる

何をするにも億劫になってしまい、一日中ボーっと無気力になるのも育児ノイローゼの症状の一つです。シンクに洗い物が溜まっていても子供がおもちゃを散らかしていても、片づける気力がわいてきません。さらに重症になるとお風呂に入る気力がない、歯磨きや身だしなみを整えることすらできなくなってしまいます。

全てに無関心になる

今まで好きだった芸能人やスイーツ、趣味などに対して興味が持てなくなるのも、育児ノイローゼの症状です。今まで楽しみにしていたドラマや映画を見ても、気持ちが動かされずに面白いと思えません。今まで時間を見つけては没頭していた趣味にも興味が持てなくなってしまいます。

子供がかわいいと思えない

物事への興味だけでなく、子供に対しても関心を持てなくなってしまいます。かわいいはずのわが子に対して、世話をしたいと思えない、かわいいと思えないという状況に陥ります。ノイローゼの症状がひどくなると子供へのネグレクト(育児放棄)や虐待をしてしまうことも。

外出が億劫になる

育児ノイローゼがひどくなると、外出する気力がなくなります。家から一歩も外に出ず、自分と子供だけの世界に閉じこもるように。社交性が低下し外部との接触が減ると、症状がさらに悪化する恐れがあります。

食欲がない・過食する

食べることに興味や意欲がなくなったり、逆に必要以上に食べ過ぎてしまうのも、ノイローゼの症状の一つです。ストレスと食欲には密接な関係があるといわれていて、急性のストレスは、交感神経の働きを活発化させて食欲が抑制される傾向があります。ストレスが溜まると食欲に走ったり、逆に食欲がわかないという人もいるでしょう。育児ノイローゼの場合も、食欲と密接な関係があります。

眠れなくなる

育児ノイローゼになると、睡眠にも障害が生じます。とくに生まれた子供を抱えている場合、頻回の授乳やお世話で睡眠などの生活サイクルが狂ってしまい、慢性的な睡眠不足になる方も少なくありません。そのような日々が続くと、身体が疲れていても神経が高ぶって眠れなくなるなどの不眠症状が現れることがあります。

うつ病との違い

では育児ノイローゼはうつ病とどのような違いがあるのでしょうか。一般的に育児ノイローゼはうつ病よりも軽い状態であると考えられています。上記のような症状を感じながらもなんとか日常生活を送れている場合は、うつ病ではなくノイローゼに当たるかもしれません。

精神疾患の国際的な診断基準「DMS-5」によると、次の9項目のうち5項目程度が当てはまる場合は軽度うつ病、5項目以上当てはまり症状がより重い場合は重度うつ病と診断される可能性が。

  • 毎日の憂うつ、沈んだ気持ちで何もする気になれない
  • 興味や喜びを感じなくなる
  • 食欲低下や体重減少がみられる
  • 過眠や不眠などの睡眠障害がある
  • 動作が緩慢になったり落ち着きがなくなったりする
  • 毎日疲れていて気力が低下している
  • 自分に価値がないと感じたり罪悪感で自分を責めたりする
  • 思考力や集中力、決断力が低下する
  • 自殺について考えたり、実際に計画したりする

抑うつ気分や興味・喜びの喪失のどちらかを含む症状が5つ以上あり、それが2週間以上続く場合はうつ病かもしれません。うつ病でなくても育児ノイローゼで辛いときには、専門の医療機関を受診して、治療やサポートを受けてください。

うつ病で離婚するときに慰謝料は発生するかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「うつ病で離婚するときに慰謝料は発生する?状況別の相場や請求方法、条件を解説」

育児ノイローゼになりやすい人

育児ノイローゼになりやすい性格・タイプの人がいます。次のような人は育児ノイローゼになりやすいので注意が必要です。

  • 完璧主義
  • まじめな性格
  • 子育ては自分の仕事と思っている
  • 人に弱みを見せられない
  • 相談相手がいない

育児ノイローゼになりやすい人は完璧主義でまじめな性格のことが多いです。また子育ては自分の仕事と思っていて、夫や他の家族に気軽に助けを求められない傾向も。周囲に相談相手がいないと孤立しやすく、1人で悩みを抱えてしまい育児ノイローゼになりやすいでしょう。

育児ノイローゼの原因

育児ノイローゼになる理由は人それぞれですが、次のような原因があると考えられます。

社会からの孤立

育児ノイローゼになる原因に、社会からの孤立した状態があると考えられています。かつてよりも近所づきあいが希薄になり、子供のことや親のことを気にかけてくれる人が少なくなりました。また働きながら子育てしている人より、育児休暇で会社とかかわる機会が無くなった人や専業主婦の方がノイローゼになりやすいとも言われています。

子育てのプレッシャー

子育てに過度なプレッシャーを抱えている人も、育児ノイローゼになりやすいでしょう。とくに第一子の子育ては、初めてのことばかりでプレッシャーが重くのしかかります。また「よりよい子育てをしなければならない」「子供のために親がもっと頑張らなくては」と自分を追い込んでしまうと、それが大きなストレスとなりノイローゼの原因に。

子育ての経験・知識不足

子育ての経験や知識不足も、育児ノイローゼになる原因です。昔は子供の数が多く、年の離れた兄弟を世話する機会がありました。また近所や親戚の子供の面倒を見るというケースもあったでしょう。しかし現在では少子化のため、自分の子供以外の幼い子の世話をする経験が持てなくなっています。

インターネットの発達により子育ての情報を得やすくなったという側面もありますが、情報の中には「○○しないと病気になる」などの極端なものもあり、それがさらに子育てのプレッシャーに。そもそもの子育ての経験が少ないうえに、子供にあった情報を選べているという自信がないと、子育てに対する不安が強まります。結果として育児ノイローゼになる可能性があるでしょう。

ホルモンバランスの変化

育児ノイローゼになる原因に、ホルモンバランスの変化や乱れがあります。出産前後で女性のホルモンバランスは大きく変化します。妊娠中に分泌されていた女性ホルモンは、出産後に急激に下がることはよく知られています。このようなホルモンバランスの変化に加え、産後の体調不良や昼夜問わない授乳、お世話などで体力が消耗することで、よりホルモンバランスが崩しやすくなります。

産後や更年期によって女性ホルモンのバランスが崩れると、精神的に落ち込みやすくなったり情緒が不安定になり抑うつ状態になりやすいといわれています。また交感神経が優位になることでイライラしたり不眠になることも。育児ノイローゼになる原因は、ホルモンバランスの乱れが大きく関係しています。

夫が協力してくれない

育児ノイローゼになる原因として、夫をはじめとする身近な人からの協力が得られないことがあげられます。共働き世帯が増えた現在でも、多くの家庭で育児の大半を母親がになっているのが実情。24時間休みなくワンオペ育児をしながら家事もこなさなければなりません。

そのような体力的にも精神的にも辛い状況にある中で、一番協力して欲しい夫が育児にかかわってくれないと、夫に対してもストレスを感じるように。夫が子育てに協力的でない場合は、育児ノイローゼになる可能性があるので十分に注意しましょう。

早めに専門機関への相談を

自分や配偶者が育児ノイローゼかも?と思ったら、早めに産婦人科や心療内科などに受診することをおすすめします。中には市販の薬で対処しようとする人がいますが、授乳中は飲める薬に制限があります。必ず専門家に相談してから飲むようにしましょう。

もし病院に行くのに抵抗がある場合は、お住いの自治体の子育て相談窓口に相談するのもいいでしょう。多くの自治体では育児中の親をサポートしてくれる専門の窓口があり、カウンセラーや保健師などが相談に乗ってくれるはずです。また親族を頼ったり一時預かりサービスなどを受けて、自分が楽になる時間を作るのも有効。

育児ノイローゼはうつ病ほど症状が重くありません。だからといって放置していると、より症状が悪化する可能性があります。自分でも「少し変だな」と思ったら、早めに専門の機関に相談しましょう。

育児ノイローゼが離婚問題に発展する理由・原因

育児ノイローゼは場合によって誰でもなり得るものですが、育児ノイローゼから夫婦問題に発展する可能性があることをご存じですか?最悪のケースでは離婚を考えるようにも。こちらでは育児ノイローゼと離婚との関係について解説してきます。

育児ノイローゼと夫婦関係の変化

夫婦問題と育児によって引き起こされる育児ノイローゼには、一見関係がないように思えるかもしれませんが、実は密接な関係があります。なぜ育児によって離婚問題に発展するのか、順を追って詳しく紹介していきます。

子供中心の生活になる

子供が生まれると、当然ですが母親の生活は育児中心となります。生後間もない赤ちゃんは、授乳やおむつ替えを頻繁にする必要があり、自分の睡眠時間を削ってまで世話に当たります。出産後、母親の体調は全治1~2カ月の交通事故に遭ったのと同じダメージを受けるといわれています。

そのような状態の中、十分に睡眠や休養を取ることができず、一時も目を離せない新生児の世話をしなければならないということで、他の家事や夫のことに気を回す余裕がなくなるのはある意味当たり前のことです。

すれ違いが生じる

妻が子供中心の生活になる一方で、夫は子供が生まれる前と同じように仕事が中心の生活。育児をするのは、帰宅してからや休みの日のみというケースが少なくありません。しかし妻は体調不良や寝不足、子供の世話などでストレスが溜まっていきます。それにより夫婦の間にすれ違いが生じるようになります。

自分の時間さえ取れない妻は、以前と同じように過ごしている夫を見て「父親の自覚がない」「夫ばかりズルい」というマイナスの感情を持つようになり、余計に夫に対するイライラを募らせます。夫は自分の生活リズムが大きく変わらないことから、妻の出産後の苦労を理解するのが難しく、夫婦間にさらにすれ違いが生まれます。

夫婦間のコミュニケーションの時間が取れない

話したいことや相談したいことがあっても、夫婦で会話する時間がないと夫婦関係は深刻なものに。夫の帰宅時間が遅いと、子供の寝かしつけで一緒に寝てしまうことの多い妻は、育児のことで相談したくても時間が取れないということがよくあります。

逆に夫が妻と話したくても、子供の世話で疲れていたりすると子供が生まれる前のようなコミュニケーションができなくなります。妻にほったらかしにされると、夫も寂しい思いをするでしょう。いくら育児が大変でも、夫婦どちらもコミュニケーションの時間を取るようにするのが重要です。

互いに不満を抱くようになる

子供中心の生活になって夫婦にすれ違いが生じ、十分にコミュニケーションを取る時間がなくなると、互いに不満を抱くようになります。妻は夫に「もっと育児に参加して欲しい」「私の辛さを分かってほしい」と考えるようになり、夫は夫で妻に「子供にかかりきりで話もしてくれない」「仕事で疲れているのに家事はして欲しい」と不満を持つことも。

息苦しさを感じるように

互いに不満を抱いたまま、それを相手に伝えられないでいたり相手にイライラをぶつけていると、一緒に居ることに息苦しさを感じるようになります。一緒に居たくないと感じると、別居や離婚を考えるようになるのも時間の問題です。

出産前後は、夫婦の関係性が大きく変化する時期です。多くの夫婦にとってこの時期をいかに乗り越えるかが、その後の夫婦関係を左右するといっても過言ではありません。夫婦2人だけで頑張りすぎるときには、親族や一時預かりなどの助けを借りながら子育ての負担を減らし、イライラや不安を抱え込まないようにしましょう。

家事・育児の方針の違い

夫婦間の家事や育児についての方針や価値観の違いで、夫婦仲が悪くなる可能性があります。共働き世帯が増加し育児休暇を取得する男性が増えたとはいえ、家事や育児は女性が主となって行うものという価値観の男性が少なくありません。

しかし働きながら育児をしている女性にとっては、「働くのも家事も育児も自分が全部やらなきゃいけないの?」という不満が出てもおかしくないでしょう。働き方は昔と大きく変わっているのに、家事や育児における男女の役割は昔のままだと、負担がより大きくなる女性側にとって、この生活を続けていくことに疑問が生じるようになります。

離婚すべきか迷ったときは…

育児ノイローゼや育児に伴う夫婦関係の悪化で離婚を考えるようになっても、すぐに行動に起こすのはNGです。上で説明した通り、育児ノイローゼの原因がホルモンバランスの変化による可能性があり、ホルモンバランスが整うことで、イライラや不安が解消されることも。

また互いに不満に思っていることややってほしいことを伝えられる時間が取れれば、今まで共有できていなかった相手の気持ちが分かるようになり、譲歩することで関係が改善できる可能性があります。育児ノイローゼで離婚を考えるときには、次のチェックリストを参考にして自分の今の状況を見直してください。

  • 相手に要望を伝えても3カ月以上改善の兆しがみられない
  • 経済的な自立の見通しが立っている
  • この生活を続けることが子供にとって悪影響になる
  • 子供への影響や将来について十分に考慮している
  • 専門家に相談している

相手にやってほしいことや直して欲しいことを伝えても3カ月何も改善の兆しがないときには、離婚を真剣に考える時期に来ています。そのうえで経済的な自立や子供への影響をしっかりと考え、専門家に離婚の相談をすべきでしょう。

離婚に悩む人の決め手について知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚に悩む人の決め手は?決断を後押しする理由と後悔しない6つのポイント」

離婚した方がいいケース

育児ノイローゼが原因で離婚を早まるのは止めた方がいいですが、場合によっては離婚した方がいいケースがあります。次のいずれかに当てはまるときには、真剣に離婚を検討した方が良いかもしれません。

  • 暴力や暴言、虐待が日常的に有る
  • 育児放棄や子供への極端な無関心が続く
  • 生活費を渡さない
  • 家計を顧みずに借金や浪費をする
  • 度重なる浮気や不倫がある
  • アルコールやギャンブルなどの依存的行動がやめられない

このようなことがある場合、育児ノイローゼと夫婦関係の破たんは区別して考えるべきでしょう。育児ノイローゼがなくても離婚を検討すべき事柄だということを覚えておきましょう。ここまでひどくない場合でも、相手の言動によっては、将来的に離婚を考えた方がいいケースがあります。

  • 子育てに一切協力しない
  • お金や時間を自分のことだけに使う
  • 優先順位の付け方がおかしい
  • 子供のことより自分(夫)を優先しないと怒る

10カ月の妊娠期間を経て出産する女性と比べると、男性は子供が生まれてからも親になった自覚が芽生えにくい傾向があります。通常は育児や子供と接することで徐々に親としての自覚が芽生えていきます。しかし夫に親の自覚が芽生えないようなケースでは、今後の人生において夫が原因で苦労する恐れが。

父親の自覚が生まれない男性とは、夫婦で協力して子育てするのが不可能です。このような夫はいざというとき頼りにならないばかりか、子供にも悪影響が及ぶ恐れが。いずれ離婚を視野に入れる時期が来るかもしれませ。

DV夫と早く安全に離婚する方法については、こちらの記事を参考にしてください。

「DV夫と離婚したい…早く安全に離婚するための手順・相談先・気になるポイントを徹底解説」

育児ノイローゼで離婚する方法

育児ノイローゼで離婚するには、次のような方法があります。どのような理由があれば離婚できるかについてや、必要な証拠などについて見ていきましょう。

相手と協議する

相手と協議して双方が離婚に合意できれば、協議離婚が可能です。協議離婚であれば、離婚理由を問わず離婚できます。夫が家事や育児に協力してくれないことを理由に離婚したいときには、まず協議離婚の成立を目指して相手と話し合うといいでしょう。

離婚について話し合うときには、相手を責めるような話し方はNGです。今まで家事や育児のほとんどを自分がしてきたこと、それに対するあなたの感情を冷静に伝えてください。難しいことであるものの、あなたの本心を聞いたことで、相手が今までの行動を反省して家事や育児に協力的になる可能性もあります。

調停離婚で合意を目指す

相手が離婚に応じないときには、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる方法を検討してください。離婚調停は男女2名の調停委員を介して、相手と話し合う手続きです。このとき、相手の家事育児の非協力について、具体的なエピソードを入れながら分かりやすく調停委員に伝えてください。

ここでポイントになるのは単に相手を非難するのではなく、その行動の積み重ねにより夫婦関係が修復不可能なほど破綻していることを調停委員に理解してもらえるかどうか。調停委員が理解してくれれば、離婚に応じるよう相手方を説得してくれるはずです。

それでも相手が離婚に応じない姿勢を変えなかったり、夫婦関係の修復を望んでいる場合には、離婚調停は不調(不成立)となります。以降はある程度の別居期間を持ち再度離婚の話し合いをするか、離婚裁判の提起を検討します。

離婚調停は弁護士なしで対応できるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚調停は弁護士なしで対応できる?依頼したほうがよいケースとメリット・デメリット」

離婚裁判は最終手段

離婚調停が不調だった場合、最終手段として離婚裁判によって離婚する方法があります。離婚裁判で離婚が認められるためには、民法で定められた下記の法定離婚事由に該当する必要があります。

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上の生死不明
  4. 回復の見込みがない強度の精神病
  5. 婚姻を継続しがたい重大な事由

育児ノイローゼだけでは離婚できない

離婚したい理由が育児ノイローゼだけでは、離婚裁判で離婚が認められません。育児ノイローゼは上で示した法定離婚事由のいずれにも該当しないからです。ただしきっかけは育児ノイローゼだったとしても、そのことが原因で夫婦関係が破たんしたのであれば、法定離婚事由の5つ目「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すると認められ離婚ができる可能性が。

専業主婦だけど離婚したいという方は、こちらの記事を参考にしてください。

「専業主婦だけど離婚したい!離婚後に成功するための準備と注意点」

育児への非協力の証明と立証の方法

育児ノイローゼがきっかけで夫婦関係が破たんしたと認められるには、夫が家事や育児を妻に押し付け、思いやりや配慮を欠く言動の一方で、自分は身勝手な行動を繰り返していたという証拠が必要です。さらにその結果として夫婦関係が修復不可能なほど破綻したという具体的な事実を示し、証拠によって立証する必要があります。

具体的な証拠や証明の仕方は、個々のケースによって異なります。育児ノイローゼが原因で離婚したいと思ったら、なるべく早い段階で離婚問題に詳しい弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けましょう。

育児ノイローゼが原因で離婚できるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「育児ノイローゼが原因で離婚はできる?苦しい理由や対処法を知り後悔しない選択を」

育児ノイローゼで離婚するときのポイント・注意点

育児ノイローゼが原因で離婚するときには、離婚後の生活で後悔しないような注意点やポイントがあります。とくに子供を連れて離婚する場合は、養育費や面会交流についても離婚時にきちんと決めるようにしましょう。

婚姻費用

離婚前に別居する予定の方は、婚姻費用をしっかりと請求してください。婚姻費用とは別居中の生活費を、収入の多い側に請求できる制度。婚姻費用は請求を開始した時点から認められるので、別居を開始したらすぐに請求するのがポイント。

婚姻費用は一般的に、離婚後に支払われる養育費よりも高額です。別居期間が長引くと養育費よりも多い金額を支払わなければならないため、相手の負担増は避けられません。これだけでも離婚交渉が進みやすくなる可能性があります。

婚姻費用をもらい続ける方法があるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「婚姻費用をもらい続ける方法は?損しないための対抗策とよくある質問に答えます!」

慰謝料請求について

相手に離婚原因があるときには、場合によって離婚時に慰謝料の請求ができます。ただし仕事が忙しくて子育てに協力的でなかったという理由や、育児ノイローゼが原因で辛く当たられたというだけでは慰謝料を請求できません。

慰謝料が請求できる要件

一般的に離婚時に慰謝料を請求できるのは、相手に不法行為があった場合です。離婚時の慰謝料は、不法行為やそれにより離婚に至ったことに対する精神的苦痛に対する損害賠償だからです。具体的に次のような行為があった場合に、慰謝料請求が可能になります。

  • 不貞行為
  • DVや虐待
  • モラハラ
  • 悪意の遺棄

4番目の悪意の遺棄とは、民法上の夫婦間の同居・協力・扶助義務を正当な理由なく履行しないことをいい、次のようなケースが該当します。

  • 正当な理由なく家を出て同居を拒否する
  • 一方的に家を追い出したり家にいられない状況にして帰宅を拒否する
  • 収入があるのに生活費を渡してくれない
  • 健康なのに働かない
  • 専業主婦が家事をしない
  • 家事や育児を協力してくれない

子どもの虐待で慰謝料請求できるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「子どもが虐待されたから慰謝料請求したい!配偶者ヘの請求方法を詳しく解説」

家事や育児の非協力で慰謝料請求できる?

配偶者が家事や育児を協力してくれないことは場合によって悪意の遺棄に当たり、慰謝料を請求できる可能性がありますが、実際に慰謝料請求が認められるためには、次のような状況でないと難しいでしょう。

  • 家事や育児に協力しない理由が男尊女卑的な思想に基づく場合
  • 文字通り「全く」協力しようとせず、その状況が解消される見込みがないとき
  • 夫婦の一方のみが生計維持のための仕事や家事、育児を全面的に負担していた場合

悪意の遺棄で慰謝料請求が認められるためには、上記のような悪質度の高い状況が一定期間続く場合に限られます。家事や育児に非協力的だというだけで、慰謝料を請求できる可能性は低いでしょう。

離婚時の慰謝料踏み倒しは可能かについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚時の慰謝料踏み倒しは可能?支払えないときの対処法と踏み倒しを予防する対策」

子供の親権について

未成熟の子供がいる場合、子供の親権をどちらが持つか決めないと離婚できません。「母親が育児ノイローゼだから、親権は父親になるのでは?」と考える人がいるかもしれませんが、相手が育児ノイローゼだからといって親権がこちらに有利になるとは限りません。

というのも親権は子の福祉を第一に考えられるからです。子供が小さければ小さいほど(乳幼児など)、母親が有利になります。一方で育児ノイローゼが悪化してうつ状態になり、寝たきりで子供の世話ができない、幻覚や幻聴の症状があり日常生活が送れないというときには、父親が親権を持てる可能性も。それでも最低限の育児ができる場合は、依然として母親が有利になるでしょう。

親権争いで母親が負ける理由について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「親権争いで母親が負ける理由とは?親権争いを勝ち取る6つの対策も解説」

養育費・面会交流の決め方

養育費は、離婚後に子を監護養育していない側の親が支払う義務を負います。具体的な金額や支払い期間については、双方が話し合って決めます。金額は裁判所が公表している「養育費算定表」に基づいて、夫婦の収入や子供の年齢、人数に応じて算出する方法を取るのが一般的。話し合いで合意ができないときには、家庭裁判所の調停や審判で決められます。

親権を持たずに子供と離れて暮らす側の親は、定期的に子供と会う「面会交流権」があります。面会交流は子供の健やかな成長に必要とされ、こちらも離婚時に詳細を決めるのが一般的です。

  • 面会交流の頻度(月〇回など)
  • 面会交流の時間(○時~○時までなど)
  • 宿泊の有無
  • 待ち合わせ場所
  • 具体的な連絡方法・頻度
  • 学校行事への参加の有無
  • プレゼントの有無

養育費を途中で増額できるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「養育費、途中で増額できる?請求できる要件と手続き方法、増額請求を成功させるポイントとは」

財産分与

離婚時には、夫婦が婚姻期間中に協力して形成した共有財産を分ける「財産分与」を行います。財産分与は原則として1/2ずつ分けられ、どちらの名義になっているかは関係ありません。財産分与の対象期間は婚姻期間中ですが、別居した場合は別居開始時点までの財産が対象です。

また住宅ローンや子供の教育ローン、家計を補填するための借金など、マイナスの財産も財産分与の対象となります。財産分与で損をしないためには、双方が持っている財産をきちんと調べる必要があります。離婚に先立って別居するときには、事前に相手の財産についても調査することをおすすめします。

財産分与で名義変更が必要な財産や注意点は、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚時の財産分与で名義変更が必要?必要な財産ごとの手続き方法・必要書類・期限を詳しく解説」

別居するときは準備を念入りに

離婚前に別居を考えている方は、別居前の準備は念入りに。前出の財産分与のためだけでなく、相手に離婚原因があったときにはその証拠をしっかりと確保しておきましょう。相手に不貞行為があったと思われるときには、不貞行為を証明できる証拠が必要です。

また相手の育児や家事への不参加が原因で別居を決意した場合は、こちら側が「悪意の遺棄」に当たらないような準備が必須です。相手に無断で家を出てしまうと、相手から悪意の遺棄を主張されて慰謝料を請求される可能性も。

そうならないために別居に至る経緯を出来るだけ詳細に記録しておいてください。具体的には配偶者が家事や育児にいかに協力的だったかを示す日記やメモを記録する、相手の心ない言葉が記載されたLINEやメモを保存しておく、実際の家事分担の実情を記録しておくなどです。

貯金なしで子連れ離婚するときに必要な準備は、こちらの記事を参考にしてください。

「貯金なしでも子連れ離婚できる?必要な離婚準備と手順、ひとり親家庭向け公的支援制度とは」

まとめ

子供の泣き声でノイローゼになるのは、ホルモンバランスの変化や子育てに関する知識不足、社会からの孤立などの原因があります。こうした育児ノイローゼは、夫婦関係にも亀裂を生じさせるので注意が必要。相手が家事や育児に非協力的だったり子ども中心の生活になると、夫婦間にすれ違いが生じて一緒に居るのが息苦しくなってしまうことも。

すでに家事や育児などで夫婦関係が悪化している方は、もう一度相手にして欲しいことや自分の気持ちを伝える努力をしましょう。その上でどうしても歩み寄れないときや、相手に問題行動があるときなどは離婚を検討しましょう。相手が合意しないとノイローゼや育児を協力してくれないだけでは離婚が難しいですが、修復不可能なほど夫婦関係が破たんしたと証明できれば、離婚が認められる可能性があります。

そのためにはなるべく早い段階で弁護士に相談するのがおすすめです。離婚裁判で認められる証拠や親権が認められるためのポイント、財産分与で損しないためのコツをアドバイスしてもらえます。さらに調停や裁判手続きを任せられるのもメリット。子育てしながらの離婚はとても大変です。専門家の力を借りながら、子供との新しい生活を始めていきましょう。

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