慰謝料請求しない方がいい? 控えた方がいい11のケースと【離婚理由別】取るべき対策とは

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  • 「夫の不倫で離婚するときは、必ず慰謝料を請求した方がいい?」
  • 「今後のために慰謝料請求しなかったときに取れる対策が知りたい」

相手に離婚原因があったときに考えるのが、慰謝料請求をした方がいいかどうかです。離婚後は何かと物入りなので、取れるのならばできるだけ請求すべきと考える人もいるかもしれません。しかし状況によっては、慰謝料請求をしない方がいいことも。

こちらの記事では、慰謝料請求を控えるべき11のケースと、慰謝料請求をしないメリット・デメリットについて見ていきます。さらに慰謝料を請求しない場合でも、今後のために取れる適切な対策があります。慰謝料請求した方がいいか迷っている方は、参考にしましょう。

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目次

慰謝料請求は必ずすべき?迷っているときは…

離婚時の慰謝料とは、相手の不法行為や離婚によって精神的苦痛を受けた配偶者が、その苦痛を慰める目的で支払われる損害賠償金のこと。では慰謝料を請求できるようなケースでは、必ずした方がいいのでしょうか。

慰謝料請求はあくまでも「権利」

慰謝料請求はあくまでも「権利」であって、「義務」ではありません。そのため、必ずしも慰謝料を請求する必要がないという訳です。慰謝料請求は、時間的にも精神的にも心身への負担がかなり大きくなる場合が少なくありません。ただでさえ離婚や相手の不倫で精神的にストレスが生じている時期には、無理に慰謝料を請求することはないと考えます。自分にとって本当に必要かを、よく検討するようにしましょう。

状況によって必要でないケースも

また状況によっては、慰謝料請求をすべきでないケースもあります。下で詳しく説明しますが、慰謝料請求することで、かえって離婚が難しくなったり、こちらの負担が大きくなることも。慰謝料請求するかどうかは、個々の状況によって異なります。その点、慎重に判断するようにしましょう。

離婚後に請求することも可能

離婚時に慰謝料請求しない場合でも、後から請求も可能です。離婚慰謝料の請求には時効があり、原則として離婚が成立してから3年以内なら、慰謝料を請求できます。なお、相手の不倫で離婚した場合は、不倫の事実を知ったときから3年、または不倫があったときから20年以内であれば慰謝料請求できます。

ただし離婚時に、離婚協議書などを作成し、そこで慰謝料に関する「清算条項」を定めていた場合には、時効前であっても慰謝料を請求できません。清算条項とは当事者間で争いを残さずに紛争を終わらせるために合意した項目のこと。「これ以上相手に何も請求しない」といった内容を約束するものです。

自分で判断するのは危険

慰謝料請求するかどうかを、自分だけで判断するのはおすすめできません。というのも誤った判断をしてしまうと、今後の夫婦関係が悪化するだけでなく、今後の生活にも悪影響を及ぼす可能性があるからです。

慰謝料を請求した方がいいか迷ったときには、離婚問題に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。あなたの状況や離婚の可否、今後の希望などを踏まえて、適切なアドバイスが受けられるでしょう。

慰謝料請求すべきでない11のケース

ではどのようなケースで慰謝料請求をしない方がいいのでしょうか。こちらでは、慰謝料請求を控えるべき11のケースについて解説していきます。

証拠が十分でなく当事者が否定している

慰謝料請求できるだけの証拠が十分でなく、相手がその行為を否定している場合には、慰謝料請求をしない方がいいでしょう。慰謝料請求は相手方に任意の支払いを求めることから交渉をスタートさせますが、相手が支払に応じない場合には、最終的に裁判で決着を付けることになります。

裁判では慰謝料請求する側が、請求の根拠となる証拠を提出しなければなりません。例えば相手の不倫で慰謝料を請求したい場合には、不倫(不貞行為)があったことを示す証拠が必須です。相手が不倫を認めた場合は、その証言が証拠となり得ますが、不倫の事実を否定しているときには、慰謝料請求がそもそも認められない可能性が。

裁判を起こしても費用や労力だけがかかり、時間の無駄になるでしょう。証拠が十分でなく、相手が否定しているときには、慰謝料請求は控えた方がいいでしょう。

自分で浮気の証拠を集めるポイントについては、こちらの記事を参考にしてください。

「浮気調査で証拠なかった…どうしたら?自分で証拠を集めるときのポイントと注意点とは?」

不倫以前から夫婦関係が破綻している

相手の不倫が分かる前から夫婦関係が破綻していた場合、慰謝料を請求しても認められない可能性が高いです。というのも過去の判例により「不貞行為時に婚姻関係が破綻していたときには、特段の事情がない限り慰謝料請求の支払い義務を負わない」としているため。

そもそも慰謝料は、今まで円満だった婚姻関係が破綻したことや、それによる離婚で生じた精神的苦痛に対して支払われるものです。不貞行為の前からすでに別居状態だったなど、婚姻関係が破綻していたとみなされれば、慰謝料請求をしてもそれが認められない可能性が高いことを覚えておきましょう。

ただし「婚姻関係が破綻した」かどうかについては、法的な面からの判断が求められます。詳しくは男女問題に詳しい弁護士に相談してください。

参考:最高裁判所判例集|裁判所

離婚危機に陥りやすいサインについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚する夫婦の前兆は?離婚の危機に陥りやすい夫婦間のサインと対処法」

相手から危害を加えられる恐れがある

相手から危害を加えられる恐れがあるときには、無理に慰謝料請求をする必要はありません。結婚期間中にDVがあった暴力的な夫や、ストーカー行為をしてきそうな妻の場合、慰謝料請求をすると逆恨みを買ってしまい、感情的になった相手が攻撃的な行動に出る可能性があるからです。

配偶者の不倫相手に慰謝料請求をしたい場合も同様です。不倫相手が攻撃的な人であった場合、自分だけでなく子どもも攻撃対象となり危害を加えてくる恐れがあります。まずは身の安全を第一に考えて行動し、弁護士に依頼するなどリスクを回避できる場合には、慰謝料請求を検討してもいいでしょう。

相手に支払い能力がない

相手に慰謝料の支払い能力がない場合、請求すべきかどうかを慎重に検討すべきでしょう。収入が無い、借金があるなどで相手に慰謝料の支払い能力が無ければ、裁判をして強制執行をしてもなお、慰謝料を回収できない可能性が高いからです。配偶者や不倫相手に支払い能力がないことが明らかな場合は、かかる費用ですら回収できない可能性があります。

自分の配偶者に非がある

不倫で離婚する場合でも自分の妻や夫に非があるときには、不倫相手に慰謝料を請求しない方がいいでしょう。配偶者に非があると不倫相手への慰謝料請求が認められないばかりでなく、逆にあなたの配偶者が不倫相手から慰謝料を請求される可能性があるからです。

具体的に次のようなケースでは、逆に不倫相手から慰謝料を請求される可能性があります。

  • 配偶者が独身と嘘をついていた
  • 不倫相手に対して身体的・精神的暴力を振るっていた
  • 不倫による妊娠が発覚したときに、配偶者が不適切な対応をした

あなたの配偶者にのみ非がある場合には、不倫相手に慰謝料を請求されてもおかしくありません。このような可能性があることを把握したうえで、本当に慰謝料を請求すべきか検討しましょう。

夫婦関係を修復したい

離婚をせずに夫婦関係を修復したいと考えているときには、慰謝料を請求しない方がいいかもしれません。不倫相手と接触する過程で、知りたくなかった事実を知ってしまい、配偶者に対する嫌悪感が生じたり配偶者を許せなくなる可能性があるためです。

また慰謝料請求によって、さらに夫婦関係が悪化してしまう可能性があることも否定できません。「もう不倫はしないから相手に接触しないで欲しい」と懇願されていたにもかかわらず、不倫相手に慰謝料を請求したようなケースです。離婚せず夫婦関係をこのまま継続したいという方は、慰謝料請求をすべきか慎重に検討してください。

離婚をスムーズに進めたい

離婚をスムーズに進めたい方も、慰謝料請求は控えた方がいいでしょう。慰謝料を請求することで、相手との関係が悪化する恐れがあるため。慰謝料の支払い義務の有無や金額などで争いが生じると、解決までにさらに長い時間がかかってしまうでしょう。

話し合いで解決できないと離婚調停、さらには離婚裁判という法的手続きが必要に。お金や時間、手間がかかってしまうでしょう。少しでも早く離婚を成立させたいという方は、離婚を先行して進めたうえで、財産分与に慰謝料分を含ませる(慰謝料的財産分与)といった方法を取るといいでしょう。

精神的負担が大きい

精神的負担が大きいときには、無理に慰謝料請求をしない方がいいです。相手とのやり取りや法的手続き名でさらにストレスが生じ、心身に支障をきたす恐れがあるからです。ただでさえ離婚にはエネルギーが必要です。慰謝料請求でさらに精神的負担を増やさないためには、慰謝料請求をしない選択肢も検討してください。

ダブル不倫の場合

ダブル不倫の場合は、状況に応じて慰謝料を請求しない方がいいケースがあります。

配偶者の不倫相手が既婚者

配偶者の不倫相手も既婚者のダブル不倫のケースでは、不倫相手の配偶者から自分の配偶者に慰謝料請求をされる可能性があります。そもそも慰謝料の金額は婚姻期間や子どもの有無、不貞行為の期間により算出されます。場合によっては自分の配偶者が支払う慰謝料の方が高額になる場合があることを覚えておきましょう。

他にも自分の配偶者が不倫の主導権を握っていたケースや、不倫による妊娠が発覚したときに不適切な対応をしたときにも高額な慰謝料を請求される可能性が高いでしょう。とくに離婚を考えていないときには、夫婦の財布から慰謝料を支払うことになり、反対請求されたためにかえってマイナスになる恐れがあります。

また自分の配偶者には慰謝料を請求せず、不倫相手にのみ慰謝料請求する場合、後で不倫相手が配偶者に対して「求償権」を行使して、慰謝料の一部を負担するように求めてくる可能性があります。本来不倫は、配偶者と不倫相手の2人で行った行為であるため、当事者の2人が慰謝料の支払い義務を負います。

しかし不倫相手にしか慰謝料を請求しないと、本来配偶者が負担すべき分を請求される可能性があるという訳です。これが求償権の行使です。夫婦の財布が一緒だと、本来得られる慰謝料金額が目減りしてしまう可能性があります。

夫婦それぞれが不倫している

自分の配偶者が不倫している一方で、自分自身も不倫しているというダブル不倫の場合にも、慰謝料請求しない方がいい可能性があります。自分が慰謝料請求したことによって、相手からも請求される可能性があるからです。互いの請求が認められた場合、相手からの請求金額の方が大きければ、マイナスとなってしまいます。

また相手の不倫に関する確実な証拠を持っていない場合では、逆にこちらの不倫の証拠を取られていると、相手からの慰謝料請求のみが認められる可能性も。時間や費用をかけて手続きしても、それに見合う結果が得られないのであれば、慰謝料を請求する意味がありません。

ダブル不倫の慰謝料請求について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「ダブル不倫で離婚したい!離婚の方法や気になる慰謝料請求について解説」

かかる費用を上回る金額が期待できない

慰謝料を請求する場合は、かかる費用と得られる慰謝料金額についてよく検討しましょう。慰謝料請求を弁護士を依頼する場合には、弁護士費用がかかります。得られる慰謝料金額が弁護士費用を上回らないと、逆に損をしてしまう可能性があります。

慰謝料請求を弁護士に依頼した場合、次のような費用がかかります。

相談料 無料~5,000円/30分
着手金 交渉:10万円前後

調停:10万~20万円

裁判:10万~30万

報酬金 獲得した金額の10~20%前後
実費 事件の内容によって異なる

弁護士費用がトータルで50万円かかった一方で、慰謝料が40万円しか獲得できないと、マイナス10万円の赤字です。不倫慰謝料の相場は50万~300万円前後ですが、様々な要素により変動します。相手の支払い能力も重要な判断材料となるため、費用をペイできるだけの十分な慰謝料を獲得できないようなときには、慰謝料を請求するかどうか慎重に検討すべきでしょう。

不倫がバレたときの慰謝料相場や変動する要素については、こちらの記事を参考にしましょう。

「不倫がバレたらどうなる?トラブルを防ぐ対処法や慰謝料の相場・変動する要素を解説」

職場不倫で離婚しない場合

不倫相手が自分の配偶者と同じ職場にいて、なおかつ離婚を考えていない場合には、慰謝料を請求しない方がいいかもしれません。このようなケースでは、慰謝料請求することで不倫のことが職場に知られ、配偶者が配置転換させられたり降格させられるなどの不利益を被る可能性があるからです。

職場不倫により職場の秩序が乱されたと判断されると、最悪の場合懲戒処分の対象となる恐れも。「離婚するからどうなろうと関係ない」であれば問題ないのですが、不倫発覚後も結婚生活を続けたいときには、配偶者の不利益はそのまま夫婦の不利益になります。かえって自分の首を絞める結果になる可能性があることを覚えておきましょう。

社内不倫がバレたらどうなるかについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「社内不倫バレたらどうなる…?社内不倫の顛末とバレる理由、バレた後の対応を徹底解説」

慰謝料請求しない場合のメリット・デメリット

こちらでは、慰謝料請求しない場合のメリットやデメリットを紹介していきます。こちらを参考にして、慰謝料請求をすべきかどうか検討の材料にしましょう。

慰謝料請求しない場合のメリット

慰謝料請求をしない場合には、次のようなメリットが得られます。

精神的なストレスが軽減される

慰謝料請求をしないことで、精神的なストレスの軽減が期待できます。そもそも自分の配偶者の不倫相手と直接交渉するだけでも、大きなストレスです。また相手が素直に不倫を認めて、提示した金額をスムーズに支払ってくれる保証はどこにもありません。

双方の主張が食い違うばかりか不倫の事実を認めなかったりすると、トラブルが長期化する可能性が。また不倫中の配偶者の言動など、知りたくなかったことも請求の過程で知ってしまうかもしれません。本来慰謝料は精神的苦痛に対する賠償金ですが、請求することで更なるストレスや苦痛につながる可能性があります。

時間やお金が節約できる

慰謝料請求をしないと、時間やお金を節約できます。慰謝料請求するには、証拠の収集や相手方との交渉に手間や時間がかかります。また裁判費用や弁護士費用といった費用がかかるケースも少なくありません。こうして時間や費用をかけて慰謝料を請求しても、十分な慰謝料を得られない可能性が出てきます。

しかし慰謝料請求をしないと決めると、時間や費用を別のことに費やせます。また争点を減らしたことによって、スムーズに次の生活に移れるというメリットもあります。

夫婦関係を修復しやすい

慰謝料をしないメリットに、夫婦関係を修復しやすいことが挙げられます。穏便に事を済ませられるため、夫婦関係の修復にスムーズに移行できるでしょう。トラブルを出来るだけ少なくして不倫問題を解決したい場合は、慰謝料請求をしないという選択を検討すべきでしょう。

離婚を早期に進められる

離婚を進める場合でも、慰謝料請求をしないことでスムーズに進められるでしょう。不倫慰謝料を請求した場合、全面的に慰謝料請求を受け入れるというケースはほとんどありません。十分な証拠を確保していないと、不倫の事実自体を認めません。

たとえ事実を認めたとしても、今度は不倫の内容や不倫に至る経緯に食い違いが生じ、慰謝料の金額自体も争いの種になる傾向が。不倫という明らかな落ち度がある場合でも様々な争いが生じますが、モラハラやDVを理由に慰謝料請求する場合はより争いが激化する可能性が高いでしょう。

離婚を優先的に進めたいのに、慰謝料請求の協議や審理が滞ると、離婚成立までに時間がかかります。スムーズに離婚したいときには、慰謝料請求をしないというのもポイントです。

慰謝料請求しない場合のデメリット

慰謝料請求しない場合には、次のようなデメリットがあります。

不倫が再発する恐れがある

慰謝料を請求せずに婚姻関係を継続させると、不倫が再発するリスクが生じます。というのも慰謝料請求によって当事者2人に反省を促すことができずに、同じことを何度も繰り返す可能性が高いからです。きちんと不倫の責任を追及しないと「バレてもどうってことない」と思われても仕方ありません。

不倫の慰謝料請求には、経済的利益を求めるという目的だけでなく、相手方に反省を促すという側面もあります。むしろ慰謝料請求をすることで、今後の不倫を抑止したいという気持ちの方が強い人も。今後の不倫の再発が心配な方は、あえて慰謝料請求をした方が良い場合があります。

心の整理がつかない

慰謝料請求をしないままでいると、自分の心の整理がつかないというデメリットがあります。配偶者に不倫をされた怒りや悲しみを発散できないままでいると、気持ちに区切りを付けられないためです。とくに不倫相手に強い怒りがある場合「許せない、相手を懲らしめてやりたい」と思うのはある意味当然です。

しかし法的に不倫の責任を取らせるには、慰謝料請求しか方法がありません。しかし慰謝料を請求しないという選択をした場合には、悔しい気持ちや怒りの感情を発散できずに、いつまでも心の整理がつけられない可能性があります。

不倫の制裁をしたいとお考えの方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「不倫の制裁をしたい!相手にダメージを与える方法とは?合法・違法なやり方と確実に制裁するためのポイント」

被害回復のための金銭を受け取れない

慰謝料請求しないデメリットに、被害回復のために金銭を受け取れないという点が挙げられます。不倫やDVなど不法行為に基づく損害賠償は、金銭による補償が原則です。つまり不倫によって生じた精神的苦痛を補うための現実的な方法として唯一あるのが、慰謝料としての金銭的な補償。

しかし慰謝料を請求しないという選択を取ると、この金銭的補償を放棄したことになります。「配偶者の不倫や離婚によって生じた苦しみや悲しみは、お金をもらっても消えることはない」と思うかもしれませんが、後になって慰謝料を請求したいと思っても請求時効を過ぎると、不倫相手に対して請求できなくなります。

慰謝料を請求しないときでも…やっておいたほうがいい対策

慰謝料請求しないメリットやデメリットを考えたうえで、やっぱり請求しないという結論に至った場合でも、後々のためにやっておいた方がいい対策があります。

DVが原因の場合

相手のDVが原因で慰謝料請求を考えていた方は、今後の身の安全や離婚のために、次のような対策を取るべきでしょう。

専門機関への相談

DVによる慰謝料請求を考えるより先に、まずは自分と子どもの身の安全を第一に考えましょう。そのために必要なのは、専門機関への相談です。DV専門の機関に相談することで、今後の対応方法などのアドバイスが得らえます。具体的には次のような相談窓口に相談しましょう。

DV相談+(プラス) 専門の相談員が対応

365日相談対応

24時間電話対応

10か国語対応(チャット)

電話:0120-279-889

メール:https://form.soudanplus.jp/mail

チャット:https://soudanplus.jp/

DV相談ナビ 全国共通の電話番号に電話すると、最寄りの配偶者暴力支援センターに自動転送される 電話:#8008
Cure Time(キュアタイム) 性暴力に関するSNS相談窓口

毎日17時~21時に相談を受け付けている

メール:https://form.curetime.jp/mail

専門の相談員が詳しく事情を聞いたうえで、必要だと判断した場合に面談や同行支援、安全内場所の提供を行います。

DVで離婚を考えたときの相談先については、こちらの記事を参考にしましょう。

「DV夫と離婚したい…早く安全に離婚するための手順・相談先・気になるポイントを徹底解説」

警察への相談

配偶者からのDVで悩んでいるときには、警察への相談も有効です。最寄りの警察署にある相談窓口に直接出向くほかに、警察相談専用電話「#9110」への電話も可能です。受付時間は平日の午前8:30~午後5:15(各都道府県警察本部で異なる)です。相談後は関係する部署が連携し、指導や助言、配偶者への警告等を行います。

保護命令を申し立てる

DVする相手と別居したとしても、相手が別居先や職場、実家などに押し掛けてくるのではと心配な方は、裁判所に保護命令を申し立てるという方法があります。DV防止法に基づく保護命令には次のようなものがあり、それぞれに禁止事項が異なります。

接近禁止命令 申立人の身辺の付きまとい、住まい周辺や勤務先周辺の徘徊を禁止する命令
電話等禁止命令 申立人への面会要求や緊急性のないFAXの送信、無言電話や行動の監視を告げる行為などを禁止する命令
子への接近禁止命令 申立人の子どもの連れ去り、身辺の付きまとい、学校周辺など子どもがいる場所の徘徊を禁止する命令
親族への接近禁止命令 申立人の親族に対する身辺の付きまとい、住まい周辺や勤務先周辺の徘徊を禁止する命令

親族等が15歳以上の場合は本人の同意が必要、15歳未満の場合は法定代理人の同意が必要

退去命令 申立時点で生活の拠点を同じにしている場合は、相手に住まいから2カ月間退去し、付近を徘徊しないように命じる

裁判所への申し立てにより、上記のような命令が出されこれに違反すると、2年以下の懲役または200万円いかの罰金が科される可能性があります。

接近禁止命令の手続き方法について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「DVから身を守る『接近禁止命令』を出すには?手続き方法・注意点・離婚の方法を詳しく解説」

不倫が原因の場合

不倫が原因の慰謝料請求をしない場合でも、次のような対策を取っておくと今後のためになります。

証拠を確保・保管する

慰謝料請求をしない選択をした場合であっても、不倫の証拠をしっかりと確保し、保管しておくことをおすすめします。後になって「やはり慰謝料を請求したい」と考える可能性があるためです。具体的には次のような証拠を確保しておくといいでしょう。

  • 性的関係があったことが分かるLINEやメールのやり取り
  • ラブホテルに出入りする写真や動画
  • 裸で2人でいることが分かる写真や動画
  • 不倫したことを認めている書面や録音データ
  • ラブホテルの領収書やクレジットカードの明細書

とくにLINEやメールのやり取りは、簡単に削除できるので注意が必要です。場合によっては画面を撮影するなどの方法で、不倫の証拠を確保しましょう。

LINEで浮気の証拠を見つける方法は、こちらの記事を参考にしてください。

「LINEで浮気の証拠を見つける13の方法|見つけた後にすべきことや注意点とは」

誓約書を交わす

不倫の慰謝料を請求しない場合でも、不倫の当事者2人と誓約書を交わすことをおすすめします。誓約書を交わすことで、不倫の再発防止効果が期待できるからです。配偶者や不倫相手と協議したうえで、次のような内容を誓約書に記載します。

  • 不倫当事者が認めた不倫の内容や事実について
  • 不倫関係を解消すること
  • 二度と2人で会わないこと
  • 連絡を取ったり接触しないこと
  • 約束に違反したときの違約金
  • 不倫の事実を第三者に口外しないこと

配偶者に対しては、門限などの生活上のルールや、再び不倫したら財産分与なしに離婚することなどを盛り込んでもいいでしょう。誓約書は過去の不倫の証拠になります。離婚したくなった場合でも、より有利な条件で離婚しやすくなります。

旦那が浮気したときの対応について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「旦那が浮気⁉賢い妻ならどうすべき?後悔しない対応とNG行動、再発防止のためにできること」

違法行為はしない

いくら不倫相手が憎くても、違法な復讐行為はやめましょう。例えば不倫相手の勤務先に電話して、上司や同僚に不倫の事実を伝える行為や、不倫相手の写真や不倫中の動画をSNSにアップするような行為です。このような行為が発覚すると、あなたが民事・刑事上の責任を問われることに。

違法な復讐行為によって、話し合いが不利になる可能性も。自ら違法行為をするようなことは絶対に止めましょう。

離婚前にやってはいけないことについては、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚前にやってはいけないこと11選|離婚前にすべき事柄&準備について詳しく解説」

転職を検討するよう促す

職場不倫が発覚した場合は、配偶者に転職を促すのも有効。不倫相手に慰謝料請求したことがきっかけになり、社内での立場が悪くなったり、配偶者に不利益が及ぶ可能性があるためです。慰謝料請求したことで不倫相手がどのような行動を起こすかは未知数で、職場でどのような処分が出されるか分からないことから、職場不倫が分かった時点で転職を検討するとリスクの軽減になります。

もちろん転職の影響はうけるものの、突然会社から転勤を言い渡されたり解雇を言い渡されるより、事前に様々な準備ができます。不倫相手によっては職場で2人の関係をばらすという強気な態度に出る人も少なくありません。速やかに転職することで、その後の交渉がスムーズにいく可能性があります。

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悩んだら弁護士に相談

慰謝料を請求するかどうかお悩みの方は、弁護士に相談してください。請求すべきかどうかは様々な背景や事情を考慮して判断する必要があります。法律の専門家である弁護士に相談すれば、慰謝料請求が可能なのかについてや、得られる慰謝料額などをアドバイスしてもらます。

実際に慰謝料請求を弁護士に依頼できれば、不倫相手との交渉やその後の法的手続きをすべて任せられます。また配偶者からのDVを理由に慰謝料請求や離婚を進めていきたい場合にも、弁護士に依頼することでスムーズに交渉できます。

慰謝料請求をする場合には、少なくない時間的・精神的負担がかかります。弁護士に依頼することでこれらの負担を軽減できるので、慰謝料請求に伴うストレスを最小限に抑えられるでしょう。

まとめ

不倫やDVなど、相手の不法行為が原因で慰謝料請求を考えた場合、本当に請求した方がいいかを慎重に検討すべきです。証拠が不十分で相手が否定しているときには、裁判で認められない可能性があります。他にも危害を加えられる恐れがある場合やスムーズに離婚したいとき、逆に離婚したくないときも慰謝料を請求しない方がいいです。

慰謝料請求しないメリットには、精神的ストレスが軽減され、時間や費用を節約できる点が挙げられます。逆に心の整理が付けられない、被害回復のための金銭が受け取れない、不倫が再発する可能性があるなどのデメリットがあります。自分のケースに当てはめて、慰謝料請求すべきかどうかをよく検討しましょう。

慰謝料請求しない場合でも、証拠はしっかりと確保し、誓約書を交わすなどの対応を取ってください。DVが原因のときには、身の安全を第一に考えて専門機関や警察に相談すべきです。慰謝料請求するかどうかで迷ったときには、弁護士に相談するのがおすすめ。個別の事情を検討し、あなたにとって最適な選択に導いてくれるでしょう。

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