子どもがいない夫婦の離婚|離婚を後悔しない対処法とメリット・デメリットとは

子どもがいない夫婦の離婚|離婚を後悔しない対処法とメリット・デメリットとは
子どもがいない夫婦の離婚|離婚を後悔しない対処法とメリット・デメリットとは
  • 「子どもがいない夫婦の離婚は多い?」
  • 「子どもがいない夫婦の離婚を後悔しない秘訣が知りたい」

子どもがいる夫婦と比べ、子どものいない夫婦は離婚に対するハードルが低いと思われがちです。しかしいくら子供がいないからといって、一時の感情で離婚を決めてしまうのは後悔のもと。そこでこちらの記事では、子どもがいない夫婦の離婚にスポットを当て、離婚を後悔しない対処法や、離婚のメリット・デメリットを紹介。

さらに子どもがいない夫婦の離婚率や離婚を決意した後にすべきこと、気になる離婚時の慰謝料についても解説していきます。子どもがいない夫婦が離婚したいと思うようになる主な理由を知って、本当に離婚すべきか考える一助にしましょう。

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子どもがいない夫婦の離婚について

まずは子どもがいない夫婦の離婚について、離婚率や主な離婚理由について紹介していきます。

統計からみる離婚率

人口問題研究所の発表した出生動向基本調査によると、子どもがいない夫婦(結婚維持期間が15~19年の夫婦出生子ども数が0人)の割合は、全体の6.2%ほど。調査開始から増加の一途です。結婚維持期間で分けない全体の離婚割合は、13.1%もあります。

厚生労働省による「令和2年度離婚に関する統計」によると、親権を行使する必要のある子どもがいない夫婦の離婚は、全体の約4割を占めます。中でも男性では30歳~34歳の離婚率が多く、女性では25歳~34歳の離婚率が他の年代よりも多くなっていることが分かります。

そして2015年の人口動態調査を参考に、子どもがいる夫婦と子供がいない夫婦の離婚率を比較すると、次の表のようになります。

子どもの数 0人 1人 2人 3人 4人以上
離婚率 41.6% 26.9% 22.6% 7.2% 1.8%

こちらは「親権を行わなければならない子の数」をもとにしているので、厳密な比較は難しいものの、子どもの数が多くなるにつれて離婚率が低くなるという傾向がありそうです。

参考:令和2年の詳細分析|厚生労働省第15回出生動向基本調査|国立社会保障社会保・人口問題研究所人口動態調査|e-Start

離婚率が高い理由

子どもがいない夫婦の離婚率が高くなる理由は、やはり離婚へのハードルの低さが大きな要因です。子どもがいる夫婦の場合、夫婦仲が良くなくても「子どもが大きくなるまでは」と離婚せず結婚生活を続ける夫婦が少なくありません。

また離婚時に子どもに関する親権や養育費、面会交流などの取り決めが必須で、離婚そのものが面倒と感じるのも理由の一つでしょう。離婚後も子どもを通して何らかの関係が続くわけで、子どもがいない夫婦のようにきっぱりと他人同士になれるわけではありません。

主な離婚理由

では子どもがいない夫婦は、どのような理由で離婚しがちなのでしょうか。

性格の不一致

子どもがいてもいなくても離婚理由の第一位となるのが「性格の不一致」です。令和2年度の司法統計によると、離婚理由を「性格が合わない」と回答したのが、男性で59.6%、女性で37.5%となっています(複数回答あり)。性格の不一致には価値観の不一致も含まれ、生活習慣や金銭感覚、家族に対する考え方などが挙げられます。

他人からすると些細に思えるようなことでも、本人たちにとっては離婚を考えるほど譲れないポイントのことも。元は別の家族がいて、別に暮らしていた人間同士が一緒に暮らすわけで、双方の歩み寄りが大切になります。とはいえ子どもがいない夫婦の場合は、我慢してまで結婚生活を続けるメリットがないと判断すれば、離婚を考えるようになってもおかしくありません。

参考:婚姻関係事件数-申し立ての動機別申立人別|裁判所

相手に離婚理由となる有責性がある

相手に離婚理由となる有責性があると、子どもがいない夫婦でも離婚理由となります。例えば次のような行為です。

  • 異性関係(不貞行為)
  • 暴力をふるう(DV)
  • 酒を飲み過ぎる
  • 浪費する
  • 精神的虐待(モラハラ)
  • 家庭を捨てて顧みない
  • 同居に応じない
  • 生活費を渡さない

最も離婚原因となりやすいのが、配偶者の不貞行為です。これは相手が離婚を拒否していても離婚が認められる「法定離婚事由」の一番目となっています。また、暴力や暴言などのDV、身体への暴力はないものの精神的な虐待に該当するモラハラなどは、法定離婚事由の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当。

理由もなく別居に応じなかったり家庭を捨てて顧みない、生活費を渡さないという理由は、夫婦間の「同居及び協力扶助義務」を正当な理由なく履行しない「悪意の遺棄」とみなされ、法律上の離婚理由になります。

子どもに対する価値観の違い

子どもがいない夫婦の離婚理由で多いのが、子どもに対する価値観の違いではないでしょうか。子どもを持つかどうかは人生にとって大きな決断です。そのため、配偶者との間で子どもに対する価値観が異なると離婚に結び付きやすいのが特徴。

例えば、結婚前は二人で子どもを持たないことを決めていたのに、結婚後どちらかの気持ちが変わってしまった場合や、逆に子どもが欲しいと言っていたのに、結婚後子どもがいらないと思うようになったというケースです。とくに女性は子どもを持つのにタイムリミットがあるため、子どもを持ちたいという場合には、離婚へと結びつきやすくなります。

不妊が原因のトラブル

夫婦双方が子どもを持ちたいと思っていても、双方が健康に問題がなくても、必ずしも子どもを持てるとは限りません。そのような夫婦は不妊治療を始めるケースが多くありますが、不妊治療に対する考え方の違いや協力のなさ、なかなか子どもができないプレッシャーなどで、夫婦関係がギクシャクして離婚に至ることも。

このような場合は、夫婦が互いを思いやり、協力しあうことで乗り越えられる可能性が高いです。しかし「私ばっかり負担が大きいのに配慮してくれない」「不妊治療に協力してくれない」「周囲からのプレッシャーに耐えられない」などの理由で夫婦関係が悪化し、相手に幻滅したりして離婚を考えるようになります。

離婚に踏み切るきっかけや後悔しないポイントについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚に踏み切るきっかけとは?統計からみる理由と決め手、後悔しないためのチェックポイントを解説」

子なし夫婦が離婚するメリット・デメリット

子どもがいない夫婦が離婚する場合、子どもがいる夫婦にはないメリットやデメリットがあります。

離婚するメリット

子どもがいない夫婦が離婚するメリットには、このようなものがあります。

離婚時の争点が少ない

子どもがいない夫婦が離婚するメリットの第一が、離婚時の争点が少なくて済むということ。子どもがいる夫婦の場合、子どもの親権はもちろん、養育費や面会交流などの子どもに関する項目について決めなければなりません。とくに双方が子どもの親権を希望している場合は、離婚までかなり時間を要するでしょう。

しかし子どもがいない夫婦の場合は、慰謝料や財産分与などが決まれば離婚できます。最近では夫婦で財布を分けているケースも多く、分ける財産がないということも珍しくありません。離婚時の争点が少ないということで、離婚へのハードルも下がることが考えられます。

人生の再出発・再婚がしやすい

子どもがいない夫婦が離婚するメリットとして、人生の再出発がしやすく、再婚も子どもがいる場合に比べてしやすいという点があげられます。小さな子どもを抱えて離婚となると、自分と子どもの生活を支えるので精いっぱい。新しい出発(再婚)をしたいという気にならない人も多いはず。

そして再婚を考えている人がいても、どうしても再婚相手と子どもとの相性が悪かったり、再婚相手の家族の理解が得られないなどで、思うように再スタートできない可能性があります。しかし子どもがいない場合は、自分一人だけの生活ということで生活を立て直しやすく、再婚までのハードルは子どもがいる人と比べて格段に下がるでしょう。

相手ときっぱり縁を切れる

離婚後は相手ときっぱり縁を切れるのも、子どもがいない夫婦の離婚のメリットです。子どもがいると、相手から養育費を受け取ったり、面会交流に応じなければならないなど、元配偶者との関係を完全に切ることは難しいでしょう。場合によってはストレスを感じる人もいるはずです。

しかし子どもがいない夫婦の離婚では、離婚後は関係を完全に断ち切れるので、精神的な負担を感じることがありません。様々なしがらみが生じない分、離婚後の新たな再スタートを切りやすいともいえます。

経済的負担が少ない

子どもを引き取って育てる場合と比べると、経済的負担が少ないのも、子どもがいない夫婦の離婚のメリット。子どもを育てるには、受け取る養育費だけでは足りないことがあります。また突発的な病気やけが、私立学校への進学など、思いもかけないような大金が必要になることも。

その点子どもがいない人の場合は、自分一人の生活を成り立たせればよく、小さな子どもを抱えている人と比べて再就職もしやすいでしょう。たとえ離婚しても経済的に辛い状況になるということは少なくなります。

離婚するデメリット

一方で、子どもがいない夫婦の離婚には、次のようなデメリットがあります。

経済的な自立が必要

経済的な自立が必要になるのが、子どもがいない夫婦が離婚するデメリットです。とくに結婚中専業主婦やパート勤務だった方は、自分一人の収入で生活を成り立たせる必要があります。またこれまで共働きだった場合でも、離婚で相手の収入に期待できなくなるため、生活水準を下げて生活しなければならないでしょう。

経済的な自立は、子どもがいる場合の離婚でも同様ですが、子どもの年齢や人数に応じて養育費を受け取れたり、児童手当などの公的援助を受けられます。子どもがいないとそのような支援が受けられないため、事前の準備が必要です。

一人になる寂しさ

子なし夫婦が離婚すると、家に帰れば夫や妻がいるという環境から、家に帰っても一人きりという環境になります。そのため、離婚で1人きりになりさみしさを感じるという人もいるでしょう。また「このままずっと一人だったらどうしよう」と、未来に漠然とした不安を抱えてしまう方もいます。

離婚に悩む人の決め手については、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚に悩む人の決め手は?決断を後押しする理由と後悔しない6つのポイント」

離婚を後悔しないためのポイント

子どもがいない夫婦の離婚を後悔しないためには、次に紹介するようなポイントを押さえる必要があります。

人生で何を重要視するか考える

離婚を後悔しないためには、離婚前に必ず「人生で何を重要視するか」考えてから結論を出しましょう。中でも離婚する理由が、「今の配偶者との間に子どもがいないことだけ」の場合です。逆に考えると子どもがいないこと以外に、離婚する理由がないということになります。相手の子どもを欲しくないという気持ちが変われば、円満な夫婦関係を築ける可能性が高いからです。

まずは離婚に向けて動く前に、どうしても子どもがいないとだめなのか、今の相手との子どもが欲しいのか、子どもがいなくても今の相手と一緒に居たいか考えましょう。そのうえで夫婦間で今後の人生において何が重要か、どういう決断をすべきか十分に話し合うことが大切です。

離婚を切り出す前に話し合う

離婚を相手に切り出す前に、離婚を前提としない話し合いが必要です。今どんなことに不満や悩みがあるか、相手に正しく伝わっていない可能性があるから。まずは自分の気持ちを正直に伝え、相手はそれを改善もしくは改善のための努力ができるか聞いてみましょう。

また夫婦として将来どのようにしていきたいか話し合うのも大切です。子どもがいる未来、子どもがいない未来の両方の可能性について検討し、それでも一緒に居られないと思ったら離婚へと頭を切り替えていくことが大切です。

夫婦関係修復のために行動する

すでに夫婦仲が冷めつつあるという方は、夫婦関係を修復するための行動が必要。まずは何気ない会話から増やし、次第にデートするなどのステップを踏みましょう。

二人だけで関係が修復できそうもないという方は、夫婦でカウンセリングを受けたり、家庭裁判所の「夫婦関係調整調停(円満調停)」を申し立てるという方法があります。調停では、調停委員と裁判官に、夫婦がうまくいかなくなった理由や今の気持ちを話します。

そのうえで第三者の視点から、円満でなくなった原因を追究し、夫婦関係を修復するための助言やアドバイスが受けられます。

別居してみる

上のような方法を取っても夫婦関係の修復が難しい場合は、一度別居してみるという方法があります。別居することで相手と物理的に距離を取れ、一緒に居ることによるストレスから解放されます。そして改めて結婚生活について考えたり、相手の大切さに気付くきっかけになる可能性も。

ただし別居期間が長くなる程、夫婦関係の破たんと判断されやすくなるので気を付けましょう。また相手に黙って家を出てしまうと、夫婦の同居義務違反として離婚時に不利になる恐れがあります。別居する場合は、必ず相手に伝えたうえで行動しましょう。

別居時に必要な準備については、こちらの記事を参考にしてください。

「別居に必要な準備をシチュエーション別に解説!別居に関する注意点とは?」

子どもがいない夫婦が離婚する場合の慰謝料について

子どもがいない夫婦が離婚する場合に気になるのが、慰謝料が発生するかどうかです。慰謝料の相場や慰謝料が発生する・しないケースについても見ていきましょう。

慰謝料請求が可能な要件

どのような理由でも離婚時に慰謝料が請求できる訳ではありません。離婚するときに慰謝料請求ができるのは、民法第709条で定めた「不法行為」がなければなりません。その不法行為によって精神的な損害を受けたと認められなければ、慰謝料を請求できないということを覚えておきましょう。

民法の不法行為に該当するのは、次のような行為です。

  • 配偶者以外の異性と性交渉を持つ「不貞行為」
  • 家庭内暴力やモラハラを含む「DV」
  • 理由もなく同居しない・収入があるのに生活費を渡さないなどの「悪意の遺棄」
  • 特別な理由がないのにセックスを拒否する・異常性癖がある

実際に慰謝料を請求する場合は、根拠となる客観的な証拠が必要です。離婚原因によって法的に有効な証拠の種類が変わってくるため、詳しくは弁護士に相談することをおすすめします。

慰謝料の相場

離婚時に受け取れる慰謝料の相場は、子どもがいない夫婦の場合50万円~300万円が相場です。裁判所では様々な要素を総合的に判断したうえで慰謝料の金額を決めるため、必ずしも上記の慰謝料になるとは限りません。とはいえ慰謝料の金額を考える上で、子どもの有無も考慮されるので、子どもがいる夫婦に比べて慰謝料の金額が抑えられる傾向にあります。

慰謝料の金額が変動するのは、次のような要素によります。

  • 婚姻期間の長さ
  • 子どもの有無
  • 夫婦の収入
  • 離婚原因の程度
  • 元々の夫婦関係
  • 離婚原因がどちらにあるか

ただし、離婚原因が双方にあったり、離婚問題が起きる以前から夫婦関係が悪化していたような場合は、慰謝料が減額される可能性があります。

慰謝料請求が認められないケース

子どもがいない夫婦の場合、そもそも慰謝料の請求が認められないケースがあります。例えば次のようなケースです。

  • 性格の不一致による離婚
  • 長期の別居などで婚姻関係が破綻している
  • どちらか一方だけに離婚原因がある訳でない
  • 慰謝料請求の時効が経過した

性格の不一致やどちらか一方だけに離婚原因がある訳でない場合は、離婚が認められても慰謝料を請求することができません。また長期の別居などすでに婚姻関係が破綻している場合も、慰謝料請求が認められない可能性が高いでしょう。そして慰謝料請求には期限があり、時効を超えると慰謝料を請求できなくなるので注意が必要です。

不妊が理由で慰謝料請求できる?

相手の不妊が原因で離婚する場合、不妊を理由に慰謝料を請求できるのでしょうか。残念ながら、本人も知らなかった身体的な問題で慰謝料を請求することはできません。不妊は身体の問題であり、本人に責任がないためです。ただし子どもが欲しいことを知っていて、あえて不妊を隠して結婚した場合には、慰謝料請求が認められる可能性があります。

子どもへの価値観の違いで慰謝料請求できる?

子どもに対する価値観の違いで離婚するとき、相手に慰謝料を請求したいと思う人もいるでしょう。例えば自分は子どもが欲しいのに相手は欲しいと思っておらず、性交渉を拒否されるようなケースです。相手の身体に問題がないのに性交渉を拒否されている場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。

また双方が子どもを望んでいたはずなのに、結婚後に子どもを作ることを拒否され離婚を余儀なくされたケースも、慰謝料を請求できる可能性があるでしょう。しかし結婚前から子どもはいらないと言っていたのに「結婚すれば気が変わるだろう」という考えで結婚し、うまくいかなくなった場合は慰謝料を請求することはできません。

離婚時の慰謝料相場について知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚慰謝料の相場が知りたい!離婚理由や婚姻期間による相場・金額をアップさせるポイントを解説」

離婚を決意したときにすべきこと

子どもがいない夫婦が離婚を決意したら、離婚後の生活のためにもしっかりと次のような準備を整えましょう。

離婚後の生活準備

離婚を決めたら、その後の生活のための準備は必須です。とくに住む場所と収入を得る手段は確保しておきましょう。今住んでいる家を出るのか実家に戻るのか、それとも一人で賃貸を借りて暮らすのか前もって考える必要があります。

また現在の収入で生活ができそうもない場合は、職を変えたり正社員になることを考えましょう。まずは自分の財産がいくらあるか把握して、離婚後の生活にいくらかかるか計算してください。引っ越しにはまとまったお金が必要です。それもあわせて衣食住にいくらお金がかかるか、あらかじめ計算しておきましょう。

自立できるメンタルを持つ

離婚すると決めたら、自立できるメンタルを保つことが大切です。これまで相手に精神的に頼っていた方は、1人になることで精神のバランスを崩す可能性があります。大丈夫と思っていても、慣れない一人暮らしで孤独を感じたり不安になることもあるでしょう。

少しでも離婚後の生活に不安を感じたら、まずは家族や友人などの身近な人に相談してください。話を聞いてくれるだけでも心が軽くなります。もし身近に相談できる人がいない場合は、心療内科や精神科を受診してカウンセリングを受けるようにしましょう。

離婚条件を考える

相手に離婚したいことを伝えるときには、慰謝料や財産分与といった離婚条件についてあらかじめ考えておくと、話し合いがスムーズにできます。

慰謝料

慰謝料を請求できるかどうかは、前項で紹介した通りです。話し合いでまとまればいいのですが、相手が支払いを居視した場合には慰謝料請求裁判を起こす必要があります。裁判では慰謝料を請求する側が、法的に有効な証拠を提出し、事実を立証しなければなりません。

慰謝料を請求したいと思ったら、まずは証拠の確保から始めてください。なお一度別居してしまうと、証拠の確保は難しくなります。できるだけ別居しているうちに証拠を確保するようにしましょう。

財産分与

結婚期間中に夫婦で築いた財産は、2人で分け合うことになります。これを財産分与といい、財産の名義がどちらであっても基本的には夫婦それぞれ1/2ずつを分けるという決まりになっています。財産分与で損をしないためには、相手名義の預貯金や不動産、株式などについてしっかり把握することが重要。

財産を渡したくないからとあえて少なく申告してきたり、財産を隠そうとする恐れがあるため、離婚を切り出す前に相手の財産の内容を調べておくことをおすすめします。こちらも別居すると調査が難しくなるため、同居中に調べるといいでしょう。

財産分与にかかる税金については、こちらの記事を参考にしてください。

「財産分与でかかる税金について|種類別・ケース別の税金計算方法や節税対策とは?」

年金分割

財産分与とは別に、「年金分割」という制度もあります。年金分割とは、婚姻期間中に納付した厚生年金の記録もとに離婚時に分割する制度。年金分割を受けた方は、将来厚生年金を受給するときに、受け取れる年金額が増えます。結婚期間が長い方は、忘れずに年金分割の手続きも済ませておきましょう。

ただし年金分割の手続きができるのは、厚生年金保険や共済年金保険に限られます。国民年金保険は年金分割することはできません。年金分割の種類には、第3号被保険者だった方が手続きできる「3号分割」と、双方の合意が必要な「合意分割」の2種類があります。いずれも請求期限が2年以内となっているので、早めの手続きがおすすめです。

別居中の婚姻費用請求

離婚が成立するまで別居していたという方は、収入の多い方に別居中の生活費「婚姻費用」を請求できます。婚姻費用の相場は、裁判所の「婚姻費用算定表」で計算してください。相手が婚姻費用の支払いに応じないような場合は、家庭裁判所に「婚姻費用請求調停」を申し立てることが可能です。

婚姻費用は別居した時点からさかのぼって請求することができず、調停が申立てられた月までしかさかのぼって請求できません。そして婚姻費用を請求できるのは、離婚が成立するまでの間です。そのため、別居したらなるべく早めに請求するようにしましょう。

婚姻費用をなるべく長くもらいたいと考えている人は、こちらの記事を参考にしましょう。

「婚姻費用をもらい続ける方法は?損しないための対抗策とよくある質問に答えます!」

弁護士に相談

離婚の意思が固まった方は、なるべくスムーズに離婚するためにも弁護士に相談することをおすすめします。たとえ子どもがおらず親権や養育費問題がないといえ、離婚がすんなりまとまるとは限りません。離婚時の慰謝料や財産問題で損をしないためには、法律の専門的な知識が欠かせません。

離婚話がすんなりまとまらないときは調停や裁判が必要になるケースも。慣れない手続きでストレスが溜まったり、時間や手間がかかる場合もあるでしょう。そのような場面でも、弁護士に依頼すれば煩わしい手続きや裁判への出席を代行してもらえます。

離婚時に依頼する弁護士の費用が気になる方は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚時の弁護士費用を徹底解剖!費用をおさえるコツや注意点を紹介」

まとめ

子どもがいない夫婦の離婚率は、子どもがいる夫婦に比べて高い傾向にあります。その理由として、子どもを理由として結婚生活を継続することができず、子どもがいる夫婦よりも離婚時の争点が少ないことが挙げられます。離婚理由として多いのは価値観の違いや相手の有責の他に、子どもに対する価値観の違いや相手の不妊などです。

子どもがいない夫婦が離婚するメリットやデメリットがそれぞれありますが、いずれにしても離婚を後悔しないことが大切。そのためには自分の人生で何が大切なのかよく考え、離婚を切り出す前に相手とよく話し合いましょう。夫婦関係修復のために行動を起こしたり、別居することも検討してみては?

離婚すると決意した後は、慰謝料を請求できるケースか確認し、財産分与や年金分割、離婚後の生活の準備も忘れずに。ひとりでは不安だという方は、弁護士に相談するのがおすすめです。費用が気になる方は「法テラス」という選択肢も。まずは無料相談に足を運んで、不安な点や分からないことを聞いてみましょう。

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