- 「浮気の理由にセックスレスといわれた…これってアリ?」
- 「セックスレスが原因の浮気で慰謝料請求できるか知りたい」
浮気をした配偶者に浮気の理由を尋ねたら、セックスレスが原因だと言われた人はいませんか?やむを得ない事情があって、セックスを拒否していた方もいるかもしれません。ではそのようなとき、セックスレスを理由として離婚や慰謝料請求が認められるのでしょうか?
こちらの記事では、セックスレスと浮気との関係、セックスレスと離婚との関係について詳しく解説。セックスレスによる離婚を避けるためには、行動を起こす必要があります。離婚を決意した場合には、どのような手続きで離婚ができるかや、慰謝料請求の可否についての理解を深めましょう。
セックスレスとは
まずはセックスレスの定義やセックスレスの割合、浮気や離婚との関係をアンケート結果をもとに解説していきます。
セックスレスの定義
セックスレスとは、日本性科学会の定義によると「特別な事情がないにもかかわらず、カップル間で合意した性交渉が1カ月以上ない状態」のことを指します。ここでいう特別な事情とは、次のようなことです。
- 体調不良や病気
- 妊娠・出産直後
- 出張
- 暴力
性生活は夫婦の婚姻生活を継続する上で重要なものの一つ。セックスレスが夫婦の一方にとって耐えがたいことだと、欲求不満や心理的な孤独感を引き起こしやすくなります。結果として夫婦関係が悪化したり浮気につながる可能性も。
そしてセックスレスを含む性的嗜好の不一致は、夫婦の一方にとって耐えがたい状況だとみなされる場合には、婚姻を継続し難い重大な事由として、裁判所で離婚が認められる可能性があります。
セックスレスの割合
実際、日本ではセックスレスの夫婦が増加傾向にあります。一般社団法人日本家族計画協会の調査によると、
セックスの頻度が月一回以下の「年数回」「1年以上なし」と回答した年代別の割合は以下の通りです。
性別/年代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 全体 |
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 33.6% | 51.0% | 57.8% | 69.3% | 79.0% | 38.4% |
女性 | 33.6% | 49.5% | 63.2% | 79.5% | 78.0% | 33.6% |
参考:【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ 2020|一般社団法人日本家族計画協会
上の表を見ると、年代が上がるにつれてセックスレスの割合が多くなっています。しかし20代男女の3割以上、30代の半数近くでセックスレス状態になっていることが分かります。
一方「セックスしたいか」という問いには、男性の77.9%、女性の41.4%が「したいと思う」と回答しています。とくに割合が多いのが、男性40代の81.2&と、女性20代の60.2%です。このようにカップルのどちらがセックスをしたいと思っているにもかかわらずどちらかが拒否し続けていると、不満を募らせ夫婦関係が悪化する原因となります。
年代・性別ごとのアンケート結果
ではセックスレスは、どの程度浮気や離婚に影響を与えるのでしょうか。こちらはセックスレスの経験があり浮気をしたことがある人を対象にしたアンケートで「浮気の原因はセックスレスだと思う」と回答した割合です。
性別/年代 | 20代 | 30代 | 40代 | 全年代合計 |
---|---|---|---|---|
男性 | 83.5% | 69.2% | 54.5% | 68.3% |
女性 | 71.4% | 61.7% | 32.1% | 54.5% |
参考:セックスレスはどの程度浮気や離婚に影響を与えるのか?セックスレス経験別に調査|AllAbout健康・医療
こちらの結果を見ると、年齢が下がるにつれて割合が高くなっていることが分かります。全体で見ても、男性の7割近く、女性の5割以上がセックスレスが原因だと考えています。
セックスレスは離婚理由になる?
それではセックスレスは離婚理由になり得るのでしょうか。こちらは離婚を検討したことがあり、セックスレスの経験がない男女を対象に、「離婚を検討した原因はセックスレスか?」と聞いたときの回答です。
性別/年代 | 20代 | 30代 | 40代 | 全年代合計 |
---|---|---|---|---|
男性 | 70.4% | 64.2% | 35.3% | 55.8% |
女性 | 43.3% | 31.3% | 16.0% | 26.3% |
この結果によると、セックスレスが離婚検討の理由と回答した割合は、男女とも年代が上がるにつれて減っています。上で紹介した浮気についての結果と同様に、とくに20代・30代の男性がセックスレスが原因と考えている人が多いということが分かります。
セックスレスが浮気の原因になる理由
ではなぜセックスレスが浮気の原因となるのでしょうか。こちらでは、浮気をしてしまう理由について見ていきます。
コミュニケーション不足
セックスレスが起こる背景には、コミュニケーション不足が深く関係しています。というのも子育てや仕事の忙しさなどで日常的な会話や感情のやり取りが減ると、相手の気持ちや感情の変化に気が付きにくくなります。それが夫婦間の距離となり、「自分は大切にされていない」と感じるように。
その寂しさを埋めるために、他の異性に目を移したり、性的欲求を満たすために浮気に走りやすいという訳です。セックスレスで生じる問題は、単に肉体的なものだけではなく、一方の心の孤独にあると考えられます。
性的関心の薄さ
セックスレスが浮気の原因となる理由に、どちらか一方の性的関心の薄さが挙げられます。結婚生活が長くなるにつれて、性的欲求が薄れていく人も少なくありません。また妊娠・出産・育児のストレスや仕事の忙しさによって、性的関心が一時的になくなってしまう場合もあるでしょう。
とくにパートナーとの間で欲求レベルに差があったり、性に対する価値観が違っていたりすると、それが浮気という形で表れてしまう可能性があります。「愛されていないのでは」「求めても拒否される」といった状況が続くと、他の異性に目を向けるきっかけなりかねません。
年齢・健康状態によるもの
年齢や健康状態の変化で、性欲そのものがなくなることもセックスレスの原因に。結果として性的な欲求を他者に求めるようになり、浮気に発展してしまうという訳です。とくに男性は加齢とともに男性ホルモンの分泌が減少して、性行為への意欲が薄れる傾向が。
他にも糖尿病や高血圧などの病気、睡眠障害といった生活習慣も性機能に影響を与えることが分かっています。また過去に失敗した経験やプレッシャーから、パートナーとの性交渉を避ける人もいるかもしれません。このようなことが原因ですれ違いが生じると、「拒絶された」と感じて他人に目が移るきっかけになります。
配偶者への愛情が醒めた
単にパートナーへの愛情が醒めたことが原因でセックスレスになり、浮気に走る人もいます。愛情が醒めてしまう理由は人それぞれですが、暴言や無関心、家事や育児への非協力といった日常の不満が積み重なって、パートナーへの愛情が醒めてしまうことも少なくありません。
愛情が醒めてしまうと性交渉の機会は自然と減少し、コミュニケーション不足が加わるとそれがさらに長期化することも。家庭外に魅力的な異性が現れると、そちらに気持ちが傾いてしまう人もいるでしょう。
妻に興味がない夫とは離婚すべきかについては、こちらの記事を参考にしてください。
「妻に興味がない夫と離婚すべき?やりがち行動とその原因、妻が取れる対処方法とは?」
心身の不調
女性がセックスレスになる原因の一つに、出産や更年期など女性ならではの心身の不調によるものが考えられます。女性の身体は、ホルモンバランスの乱れに大きな絵異常を受けます。女性ホルモンの減少によって、性的欲求が減退する人もいます。
そのような不調にプラスして家事や育児の負担、仕事のストレスなどが影響して、セックスへの関心が薄れる場合も。浮気や風俗に行ってでもいいから、性交渉を拒否したいという人もいるかもしれません。
セックスレスが原因で浮気された人が取るべき対処法
セックスレスが原因で浮気された場合、自分と自分たち夫婦のために何をすべきなのでしょうか。
浮気の証拠を確保
パートナーの浮気が発覚した場合、その証拠をつかんで保存することが重要。浮気の証拠は離婚時に必要になるだけでなく、浮気相手に慰謝料を請求するときにも必要です。パートナーと今後を含めた話し合いをする場合には、まず証拠を提示して相手に浮気を認めさせなければなりません。
具体的には次のようなものが、浮気の証拠になります。
- ラブホテルに2人で出入りする写真・動画
- 浮気相手の自宅に出入りする写真・動画
- 泊りがけの旅行に2人で出かけている写真・動画
- ラブホテルの利用履歴が分かるクレジットカードの明細や領収書
- 当事者が浮気を自白したときの録音データ
- 性行為中の写真・動画
- 探偵事務所や興信所による浮気の調査報告書
- 不貞行為があったことをうかがわせるメールのやり取り
- ラブホテルに滞在していることが分かるGPSの記録
浮気した側からの離婚の申し出に対して離婚したくない場合には、これらの証拠を提示すれば相手が「有責配偶者」とみなされて、あなたの主張が認められやすくなります。浮気の証拠を目の当たりにするのは辛いことかもしれませんが、感情に流されたりせず、まずは得た情報を整理することが大切です。
浮気調査で証拠がなかったときの対処法は、こちらの記事を参考にしてください。
「浮気調査で証拠なかった…どうしたら?自分で証拠を集めるときのポイントと注意点とは?」
今後どうしたいか考える
パートナーの浮気が発覚したら、もう今まで通りの関係に戻ることは不可能です。今後自分はどうしたいのか、自分の心に向き合って真剣に考えてください。もしこちらが拒否したことによるセックスレスが原因で浮気されてしまったときには、再構築を望むのであればこれ以上セックスを拒否するのは難しいでしょう。
とはいえすぐに決める必要はありません。時間をかけてじっくりと考えてください。離婚は考えていないが、一緒にいるのが苦しいという方は、期間限定で別居してみるのも一つの手です。浮気からの再構築で重要なのは、自分を裏切った人を受け入れられるかという点です。一度抱いてしまった不信感に対して、それを上回る信頼関係を再構築できるかがカギです。
離婚した方がいい夫婦の特徴について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。
「離婚したほうがいい夫婦の特徴|悩んだときのポイントと対処方法を知ってより良い道を選ぼう」
配偶者と話し合う
再構築するにしろ、離婚を選択するにしろ、パートナーとの話し合いは避けて通れません。話し合いではまず証拠をもとにして事実関係を確認します。相手の口から浮気相手やいつから始まったのか、今後どうするつもりなのかを聞き出してください。
このとき相手を責めて感情的になるのはNGです。真実を隠されたりして、話し合いをすること自体が難しくなります。そのうえで「自分は浮気を知ってどれほど辛かったか」など自分の気持ちを伝えてください。同時にパートナーがどうして浮気に走ってしまったかという理由や背景についても、冷静に聞き出してください。
またこの話し合いはあなたを責めるためでなく、自分たち夫婦が抱える問題を解決するためのものという姿勢を見せることも大切。今まですれ違っていたコミュニケーションや価値観をすり合わせることで、解決の糸口が見えてくるかもしれません。
浮気相手と別れてもらう
離婚しないで夫婦関係を続けたいのであれば、浮気相手と別れさせることが重要。別れてもらう方法はいくつかありますが、浮気相手に慰謝料を請求し、今後の接触を禁止する誓約書を書かせる方法がおすすめ。浮気相手が結婚前の女性だったり、金銭的に湯服でない限りは、金銭的にも精神的にもダメージを与えられるでしょう。
その上で、今後一切の接触を禁止する旨の誓約書を取り交わしましょう。そこには連絡先の削除やSNSのブロック、メールやFAXなどの接触を禁止するといった、具体的な内容を記載してください。
パートナーに別れるように言ってもうやむやにされたりあいまいな態度を取られるときには、浮気が再発するリスクが高いです。ここでしっかりと関係を終わらせる必要があります。
浮気の制裁をしたいとお考えの方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「不倫の制裁をしたい!相手にダメージを与える方法とは?合法・違法なやり方と確実に制裁するためのポイント」
セックスレスを解消する努力をする
セックスレスが理由で浮気したパートナーと関係を継続したいのであれば、セックスレスを解消する努力は必須です。仮にあなたにそれができたとしても、相手はすでにあなたとセックスするのを諦めていたり、愛情の方向が別を向いてたりする場合も。
そのためには焦らず時間をかけて、相手の心をこちらに向けさせることから始めてください。具体的には次のような方法があります。
スキンシップを心がける
セックスレスを解消するには、普段のスキンシップも大切です。もし何気ないスキンシップでさえ拒否していたのならば、今からでもスキンシップを増やすようにしましょう。とくに相手が別の人を見ているのであれば、まずは手をつなぐ・ハグをするといったスキンシップから始めてください。
スキンシップなどによる皮膚接触では、愛情ホルモン・幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」が脳から分泌されます。オキシトシンには、親密な関係を築いたり相手への信頼を示す効果も。いきなりセックスを誘うまえに、まずは日常的なスキンシップから始めてみましょう。
スキンシップゼロ夫婦の離婚については、こちらの記事を参考にしてください。
「スキンシップゼロ夫婦の離婚|離婚の可否と離婚を回避する7つの方法を知り、離婚すべきか考えよう」
優しい言葉をかける
スキンシップだけでなく、日常的な挨拶や「ありがとう」「いつも助かる」といった優しい言葉をかけるのも重要。とくに浮気される前はそっけない態度でセックスを拒否していた方は、今後は丁寧なコミュニケーションを取るように心がけましょう。
とはいえ、あからさまに態度を変えたり変に媚をうるような言葉遣いは厳禁です。「離婚したくないからに違いない」「今まで冷たかったのに白々しい」と思われる可能性が高いため。あくまでもやりすぎに注意して、これまでよりも優しい気持ちを持って接するようにしてください。
良き理解者になる
相手が今どんなことに悩み、何にストレスを感じているか知っていますか?セックスレスを解消するためだけでなく、夫婦関係を円満にするには普段から相手の話をよく聞くことが大切です。相手に余裕がなさそうと感じたら「最近仕事忙しい?」などと聞いてみましょう。
セックスを誘う場合でも「今晩ゆっくり話せる時間ある?」と聞き、コミュニケーションをとってから相手の意向をうかがうようにしてください。セックスレスを解消したいなら、まず相手の心に沿わせる努力から始めてみてはいかがでしょうか。
カウンセリングを受ける
自力での解消が難しいときには、夫婦カウンセリングを受ける方法もあります。このようなカウンセリングは基本的にカップルで受けることが推奨されていますが、どうしても相手を誘えないというときには、まずは自分一人だけでもカウンセリングを受けてみましょう。
カウンセリングを受ける場合は、日本性科学会認定のセラピストや臨床心理士の資格を持つカウンセラーがおすすめ。セックスレスの原因を探るとともに、どのようにパートナーに働きかけた方がいいかなどをアドバイスしてもらえます。
夫婦カウンセリングを意味あるものにするためには、こちらの記事を参考にしましょう。
「夫婦カウンセリングは意味ない?カウンセリングに向かない人と意味あるものにするためのポイントとは」
セックスレスで離婚を考えたときはどうする?
ではセックスレスが原因で離婚を考えた場合、離婚は可能で慰謝料請求はできるのでしょうか。こちらでは、セックスレスが原因の離婚にまつわる様々なことを解説していきます。
セックスレスで離婚は可能か
まずはセックスレスが理由で離婚は可能かという点から。セックスレスが原因で浮気をして離婚問題に発展したケースについても見ていきましょう。
相手と合意できれば離婚が可能
離婚は、どのような理由でも夫婦の合意さえあれば可能です。そのためセックスレスが理由の離婚でも、セックスレスで相手が浮気をした場合の離婚でも、パートナーとの合意があれば離婚できます。話し合いでのみ離婚する方法を「協議離婚」、裁判所での話し合いで合意が得られた場合の離婚を「調停離婚」といいます。
調停では、離婚そのものの他に財産分与や子どもの親権といった離婚条件についても話し合いを行います。
法定離婚事由に当てはまれば離婚できる
話し合いや調停で相手が離婚を拒否した場合でも、「法定離婚事由」があれば裁判で離婚が認められます。相手の浮気が原因で離婚する場合には、民法第770条の1番目「配偶者に不貞な行為があったとき」に該当します。
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
引用:民法|e-GOV法令検索
一方でセックスレスが理由で離婚したい場合には、セックスレスが法定離婚事由の5番目「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまるかがポイントに。セックスレスによって夫婦関係が修復できない程破綻したかが重要です。セックスレスだけで離婚する場合には、次のような要件が必要になります。
- どちらか一方が理由もないのにセックスを拒否している
- 少なくとも1年以上セックスレス状態である
- 子どもが欲しいのにセックスを拒否されている
- 機能的にセックスが難しいことを隠して結婚した
- 同性愛者であることを隠して結婚し、パートナーとのセックスを拒否した
これ以外にも、浮気やDV、モラハラや長期間の別居という理由があると、裁判でも離婚請求が認められる可能性があります。
セックスレスが離婚理由とならない場合
一方で離婚を請求しても、セックスレスだけでは離婚が認められない場合があります。次のようなケースでは、セックスレスによる離婚請求が認められない可能性が高いです。
- 夫婦の合意がある場合
- 病気や高齢によるもの
- 物理的な制約(単身赴任・長期の海外出張など)がある場合
- 妊娠・出産・育児によるもの
- 婚姻関係の破綻が認められない場合
- セックスレスの程度が軽度の場合
たとえ長期間のセックスレス状態でも、夫婦ともその状態に合意していれば離婚原因になりません。またsexレスの程度が軽度(3カ月に1回・3回に1回は応じてもらえる)だと、セックスレスによる離婚請求は難しいでしょう。
妊娠中に夫が浮気して離婚をお考えの方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「妊娠中に夫が浮気⁉ありがち理由と賢い対処法、浮気されないためのポイントとは」
セックスを拒否した側の離婚請求
ではセックスを拒否していた側からの離婚請求は認められるのでしょうか。話し合いであればどのような理由であれ離婚できるので、セックスを拒否していた側からでも切り出すことはできます。調停や裁判では、セックスは夫婦が円満な婚姻生活を続けるうえで必要なものと判断されますが、セックスを長期間拒否していただけで有責配偶者になるケースはごくまれです。
一方で、こちらが拒否したことによるセックスレスでも相手が浮気をした場合は、浮気をした側が有責配偶者となるため、こちらからの離婚請求は認められやすくなります。
セックスレスで離婚する方法については、こちらの記事を参考にしてください。
「セックスレスで離婚する方法|認められる条件や有利に離婚する4つのポイントとは」
浮気した側からの離婚請求
ではセックスレスが理由で浮気した側からの離婚請求はどうなるのでしょうか。婚姻関係が破綻しているなど、法定離婚事由の「婚姻を継続し難い重大な事由」がある場合でも、浮気をした側は裁判で離婚を請求しても認められにくいのが現状です。
そもそも有責配偶者からの離婚請求は、民法にある「信義則(互いに相手の信頼を裏切らないように誠意をもって行動しなければならないという原則)」に反するとみなされるため。全く認められないという訳ではありませんが、次のような厳しい条件を満たす必要があります。
- 別居期間が双方の年齢及び同居期間と比較して、相当の長期間に及んでいること
- 夫婦の間に未成熟の子どもがいないこと
- 離婚により相手方が精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれないこと
浮気した側からの離婚請求についてのポイントは、こちらの記事を参考にしてください。
「自分が浮気したけど離婚したい…離婚の可否と認められる3つの条件&スムーズに離婚するポイント」
慰謝料請求の可否
セックスレスが理由で離婚する場合、離婚時に慰謝料請求は可能なのでしょうか。こちらでは、婚姻関係破綻の有無による慰謝料請求の可否について、解説していきます。
婚姻関係が破綻していない場合
セックスレスによる浮気が原因で離婚に至った場合、浮気発覚までに婚姻関係が破綻していないのであれば、あなたが拒否したことによるセックスレスであっても、慰謝料請求は可能です。というのもセックスレスだというだけで婚姻関係が破綻しているとはいえないため。
婚姻関係が破綻していたかどうかは、セックスレスだけで判断されず、夫婦で会話があったかや一緒に出掛けることがあったかなど、双方に夫婦関係を維持しようとする努力の姿勢が見られたかを客観的に判断されます。またセックスレスであっても、夫婦には互いに配偶者以外の異性と性交渉してはいけないという「貞操義務」があります。
そのためセックスレスの状態でも、相手が浮気をすればそれは貞操義務に反する行為とみなされて、慰謝料請求が認められる可能性が高いです。
婚姻関係が破綻している場合
しかし長期間のセックスレスが、特に理由もないあなたの一方的な拒否によるもののときには、婚姻関係破綻の原因がセックスレスにあるとみなされて、浮気された側でも慰謝料を請求できない可能性があります。また相手の浮気による離婚でも、浮気以前から実質的に婚姻関係が破綻していたと認められれば、慰謝料請求が認められない場合があります。
もし自分の浮気が原因で慰謝料請求され、その請求を拒否するときには、セックスレス以外の事情があることも主張し、懇意関係が破綻していたことを証明する必要があります。
ダブル不倫の慰謝料問題については、こちらの記事を参考にしましょう。
「ダブル不倫の慰謝料問題|ケース別慰謝料の相場と周囲すべきポイント、弁護士に依頼するメリットとは」
請求した側が理由のセックスレス
慰謝料を請求した側に落ち度があるセックスレスの場合、拒否した理由やセックスレスの期間、夫婦の関係などにより、慰謝料金額は相場以下でまとまる可能性が高いです。セックスを拒否した理由が相手のDV(避妊してくれない・乱暴に扱われる)の場合には、病院から診断書を取るなどして、できる限り証拠をまとめておきましょう。
セックスレスに関する離婚の可否と注意点は、こちらの記事を参考にしてください。
「『したい夫』と『したくない妻』-セックスレスをめぐる離婚の可否と離婚時の注意点とは?」
慰謝料の相場
セックスレスによる離婚慰謝料の相場は、50万~300万円程度です。結婚期間や子どもの有無、浮気の内容などによって相場は変動します。離婚しない場合の慰謝料は、数十万~200万円程度が相場となっています。具体的な慰謝料の金額は個々の状況によって異なります。詳しくは弁護士に相談したうえで確認してください。
高額な離婚慰謝料を手にしたいという方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「離婚慰謝料で1000万もらえる?高額慰謝料を手にする方法と減額するコツとは」
親権への影響
セックスレスやそれによる浮気が原因の離婚の場合、子どもの親権への影響はほとんどありません。子どもの親権は、子どもにとってどちらに育てられる方がより幸せかという点を第一に考えて決められるためです。そのため、妻の浮気が原因で離婚する場合でも、普段から子どもの世話を妻がしていたときには、妻の方が有利になります。裁判では子どもの親権について、次のようなポイントを重要視しています。
- 子の利益と福祉に反していないか
- これまでの監護実績
- 親権者の健康状態
- 子どもの養育環境はこれまで通りか
- 子どもの年齢
- きょうだいは離れ離れにならないか
- 子ども自身の意思
- 面会交流に関する寛容性
離婚で父親が親権を取れる確率が知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「父親が親権を取れる確率は?重視されるポイント・親権獲得のためにすべきことを解説」
財産分与への影響
財産分与とは、同居期間中に夫婦が協力して形成した共有財産を離婚時に分けるというもの。離婚理由がどうであれ財産分与には影響しません。基本的に夫婦1/2ずつ分けるのが原則です。しかし相手が隠し財産を持っていたりすると、財産分与時に不利になる可能性が。離婚を切り出す前に、相手の財産については十分にチェックしておきましょう。
離婚で年金はどうなるか気になる方は、こちらの記事を参考にしてください。
「離婚で年金はどうなる?財産分与における年金分割の種類と方法、離婚後に後悔しないポイントとは」
弁護士に相談する
セックスレスやそれによる相手の浮気が原因で離婚を決めたときには、弁護士に相談するのがおすすめ。法的な離婚の可否や慰謝料請求方法についてアドバイスが受けられます。また実際に弁護士に依頼できると、相手との離婚交渉や裁判所での手続きを任せられるほか、浮気相手への慰謝料請求なども一任できます。
とくに相手の浮気が原因で離婚する場合、精神的ダメージがある中で判断したり自分で動く必要が。かかるストレスは大変なものになります。そのようなときには無理せず、法律の専門家である弁護士に相談したうえで、どのような道を選択していくべきか決めてください。
まとめ
日本ではセックスレスの夫婦は、増加傾向にあります。その原因は様々ですが、セックスレスによって相手が浮気するなど、夫婦関係にとって深刻な状況に陥る可能性も。セックスレスが原因の浮気が発覚したときは、証拠を確保したうえでパートナーとの話し合いを行ってください。場合によっては浮気相手に慰謝料請求するのも有効です。
セックスレスを理由で離婚できるかは、離婚方法によります。長期間のセックスレスだけで有責配偶者になるわけではありませんが、請求した慰謝料金額は減額される可能性があります。また婚姻関係破綻の有無も、離婚の可否や慰謝料請求に影響します。
セックスレスやそれに伴う浮気で離婚を考えたときには、法律の専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。夫婦の状況に応じた離婚の可否や離婚条件、相手との交渉や法的手続きなど、離婚に伴う様々なことをすべて任せられます。