多産dvの対処法&見分けるポイント|dvから身を守る方法や多産dvで離婚する方法を知ろう

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  • 「最近SNSで目にする多産dvって何?」
  • 「自分の状態が多産dvかどうか知りたい…」

「多産dv」というdvの種類があることをご存じですか?X(旧Twitter)をはじめとするSNSで「多産dv」という言葉が使われ始めたのは、2020年以降といわれています。では多産dvとはどのようなものなのでしょうか。こちらの記事では、多産dvの可能性が高いケースと適切な対処法について解説していきます。多産dvは被害者に自覚がないことも多く、dvの連鎖から抜け出すのは大変困難です。場合によっては専門家の力を借りながら、夫との関係をもう一度見直しましょう。

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多産dvとは?

まずは多産dvとは、どのようなものなのかという点から解説していきます。

ドメスティック・バイオレンスの一種

多産dvは、言葉の通りドメスティック・バイオレンス(Domestic Violence)の一種です。dvは、配偶者や恋人など親密な関係にある、または過去にあった者から振るわれる家庭内で発生する暴力行為を指します。多くの人は殴る・蹴るなど身体への直接的な暴力を想像しますが、直接的な暴力だけでなく、精神的暴力や性的暴力も含まれます。

dvは大別して次の6つの種類があると考えられています。

身体的暴力 殴る、蹴る、髪を引っ張る、つねる、首を絞める、押し倒すなど
精神的・心理的暴力 怒鳴る、脅す、バカにする、モノを壊す(投げる)、人前で侮辱するなど
性的暴力 性行為を拒むと不機嫌になる、性行為を強要する、避妊に協力しない、見たくないのに性的な写真や動画を見せる、中絶を強要するなど
経済的暴力 生活費を渡さない、自由にお金を使わせない、外で働くことを禁止する、借金の強要など
社会的隔離 スマホの履歴をチェックする、友人や親族との付き合いを制限する、行動を絶えずチェックするなど
子どもを使った暴力 子どもの前で暴力を振るう、子どもに悪口を吹き込む、子どもの前でバカにするなど

性的dvのひとつ

そして多産dvは、性的dvに含まれる行為です。性的dvとはパートナー間の性的行為における支配や暴力を指します。上記のような行為は、女性の身体だけでなく精神的な健康をも脅かします。性的dvは女性の自尊心を奪われるだけでなく、妊娠や性感染症のリスクを伴うためです。

また夫が妻を性的欲求のはけ口として扱い、妻の意思を無視することは、モラハラの一種ともいえます。日常的に夫から暴力を振るわれていたり暴言を言われている場合には、夫からの要求を断るのが難しく、「自分さえ我慢していれば…」という心理に陥りがちです。そうなると夫の支配的な行動に無意識のうちに従うようになります。

多産dvの一例

多産dvといわれる行為には、次のようなものがあります。

  • 無理やり性交渉しようとする
  • お願いしても避妊してもらえない
  • 望まない妊娠・出産を繰り返す
  • 短期間で妊娠・出産を繰り返す

このように多産dvとは、性交渉や妊娠、出産に関して女性の意思を無視した行為です。

本人が気づかないケースも

dvはどのようなものであっても許されることではありません。しかし一方で多産dvは、被害者であるという自覚がないことも多く、被害を受け続けることでより身動きが取れなくなるという問題点も。

多産dvの被害者は同時にモラハラの被害者となっているケースも多くあります。「夫婦なんだから応じるのは当然」「愛情表現に違いない」という考えに囚われがちで、夫の言動がおかしいことに気が付きません。妊娠出産に関する意思決定の自由を奪われていることにさえ、意識が向かない傾向があるのも多産dvの特徴です。

多産dvならではの問題点

そして多産dvならではの問題点もあります。多産dvを含む性的dvは、究極の夫婦間のことと見られがちなので、他人から見えづらく、他人に相談することもはばかられるような問題です。しかし実際に多産dvは深刻な人権侵害です。法的な介入が必要だという認識に改めるべきでしょう。

また日本では、「子だくさんは幸せの証」といった文化的背景があります。そのため多産dvを訴えても、他人の目からは単純に子だくさんの家庭に見えるという事情から、他人から「多産dvでは」という指摘を受けにくいのも問題です。

多産dv加害者の特徴

多産dvの加害者には、どのような特徴があるのでしょうか。自分の夫が当てはまるかどうか確認してください。

強い支配欲

多産dvを行う加害者の多くは、妻に対して強い支配欲を持っています。妻に妊娠と出産を繰り返させることで、妻を精神的・経済的に支配しようとする傾向が。加害者はこのような形で妻を含めた家庭内の環境をも、思い通りにコントロールしようとします。これは意識的に行っていることもあれば、無意識に行うこともあります。

さらに妻が妊娠出産により社会的な活動を制限されることで、家庭以外の外部とかかわる機会を減らし、孤立させることで夫に依存させようとするのも特徴。多産dvが行われている夫婦間では、夫婦が支配・被支配の関係になっています。

モラハラとの関係

上で少し触れたように、多産dvはしばしばモラハラと関連付けられます。モラハラとは、言葉や態度によって相手に精神的苦痛を与える行為のこと。「モラル(moral)=フランス語で『精神の』という意味」と「ハラスメント(harassment)=嫌がらせ」が組み合わさった言葉です。家庭内でのモラハラの具体例は次の通りです。

  • 理由もないのに無視する
  • 不機嫌な態度を取る一方で、理由を聞いても答えない、または不機嫌でないという
  • 大げさに溜息をついたり舌打ちしたりする
  • 細かいミスや家事の行き届かない点を執拗に責める
  • 妻が作った料理をわざと食べない
  • 大きな音を立てて扉を閉める・ものに当たる
  • 相手の学歴・職業・容姿などをバカにする
  • 相手の親族・友人をバカにする
  • 大切にしている物を雑に扱う・壊す
  • 相手のスマホを勝手にチェックする

多産dvとの共通点は、妻の人格や意思を無視して自分の意見を押し付け、妻を思い通りにしようとする点です。また自分が被害者だと気づきにくいのも、多産dvとの共通点です。モラハラ行為を受け続けると精神的に追い詰められ、自尊心を奪われる結果に。そして「悪いのは私」という考えに陥り、被害が続いてしまうケースも少なくありません。

モラハラで慰謝料請求できるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「夫婦や恋人間のモラハラで慰謝料請求できる?相場や方法を知って有効な証拠を確保しよう」

多産dvの可能性が高いケースと放置の危険性

こちらでは多産dvの可能性が高いケースについて解説していきます。というのも子だくさんがすべてdvに該当するという訳でもないからです。しかし逆に子どもが少ないからといって、多産dvでないというものでもありません。

多産dvの可能性が高いケース

多産dvの可能性が高いケースは、次の通りです。

子どもが4人以上いる

多産dvかどうかの判断基準に、子どもが4人以上いることが挙げられます。4人という数はあくまでも目安ですが、夫婦の生活状況や経済状況などを考慮して、妻が望まない妊娠・出産を繰り返しているときには、多産dvの可能性が高いケースといえます。

一方で夫婦で話し合った結果、自ら望んで子ども4人以上出産しているケースもあります。このような場合は、多産dvとは一概に言えないでしょう。

出産→妊娠のサイクルが早い

出産から次の妊娠までのサイクルが早いのも、多産dvの可能性が高いです。次の妊娠まで1年未満であるケースで、とくに年子で3人以上出産している状況がこれに該当します。このような場合、出産後すぐに性交渉を強要され、避妊をしてもらえないことが疑われるため。

出産後の母体は、元の状態に戻るまで少なくとも8週間程度必要です。これを産褥期といいます。この期間に性交渉を控えるのはもちろんのこと、最低でも産後1年は妊娠を控えるべきです。WHOでは、健康的な出産間隔として、少なくとも24カ月開けることを推奨しています。

産後1年はホルモンバランスの乱れや骨盤のゆがみ、子どもの世話などで睡眠不足が続き、体調不良に陥りがちです。このような状態で妊娠を繰り返すと、妻の負担はさらに大きなものに。本来次の子どもの妊娠・出産に関しては夫婦で話し合ったうえで決定すべきです。しかし妻の意思を無視して短期間で妊娠・出産が繰り返されると、性交渉の強制となり多産dvとみなされます。

複数回帝王切開しているのに妊娠を繰り返す

複数回帝王切開で出産しているのに、短期間でまた妊娠を繰り返す場合は、多産dvが疑われます。帝王切開後の妊娠は、少なくとも1年半(18カ月)の間隔が必要です。というのも帝王切開では、子どもを取り出すのに子宮を切開していて、その傷が治るまでの期間を空けなければならないため。

しかし十分に期間を空けないままで次の妊娠をするのは、母体にとって大きなリスクです。とくに帝王切開の場合、後陣痛の痛みにプラスして傷の痛みがプラスされます。また適切な期間を空けないと、子宮破裂のリスクも。産婦人科でも、帝王切開の後は最低でも1年は空けるよう指導しています。しかし1年未満で何度も妊娠した場合は、多産dvの可能性が高いでしょう。

出産と出産の間に中絶の経験がある

多産dvの被害者の中には、出産と出産との間に子どもを中絶している人が少なくありません。これはかなりの頻度で、避妊なしの性交渉の強要があったことが疑われます。また女性の意思とは関係なく、男性側から「中絶しろ」と命令され、それに従わなければならないような主従関係があることも想像できます。

妊娠や中絶は女性にとって身体的にはもちろん、精神的にも負担が大きいもの。妊娠を望まない場合、避妊なしの性交渉はなるべく避けたいのは当然です。しかし夫が多産dv加害者だと、お願いしても否認してもらえず、妻の負担を顧みずに中絶を強要させます。妊娠に対する妻の意思を無視して強要しているケースでは、妻が夫に従わざるを得ない関係性がうかがわれます。

妊娠中絶を理由に、夫に慰謝料請求できるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「妊娠中絶で慰謝料請求したい…請求の可否と請求方法、相場について徹底解説」

お願いしても避妊してくれない

夫にお願いしても避妊してくれない場合は、多産dvの可能性が高いです。妻としては体力面や経済面を考えて「これ以上子どもを増やしたくない」と考えていたとしても、夫が避妊に協力してくれなければ、妊娠するリスクがあります。産婦人科の問診で「夫が避妊してくれない」ということが発覚する場合も少なくありません。

避妊して欲しいとお願いすると暴言や暴力を使って拒否されるような状況は、まさに性暴力に該当します。夫婦といえども性交渉を強要したり、暴力によって避妊を拒否する行為は、dvに当たると認識しましょう。

多産dvによる影響と放置の危険性

では多産dvによってどのような影響が生じるのでしょうか。多産dvを放置した場合の危険性についても解説していきます。

身体的影響

多産dvを放置すると、妻の体に多くの悪影響を及ぼします。短期間で度重なる妊娠と出産を繰り返すと、貧血や栄養不足、高血圧などのリスクが生じやすくなります。また妊娠と出産によって母体は大きな変化にさらされ、回復が追い付かないことも。とくに複数の帝王切開では、術後の癒着や子宮破裂のリスクが生じる可能性も。

こうした身体的負担が積み重なって、次のような病気が発症する恐れがあります。

  • 血栓性肺塞栓症
  • 周産期心筋症
  • 産褥熱
  • 産後うつ
  • 膀胱炎
  • 腎盂炎
  • 脱肛
  • 妊娠高血圧症候群の後遺症
  • 子宮復古不全
  • 恥骨のゆるみ
  • 乳腺炎

ただでさえ子どもを産むのは命がけの行為です。医療の発達により妊産婦の死亡率は減少しましたが、それでも妊娠出産で命を落とす女性はいます。多産dvは、女性の体に大きなダメージを与えるリスクがあります。

心理的影響

多産dvは、女性の心理面にも大きな影響も与えます。産後うつなどの精神疾患に罹患するのはもちろんのこと、長期間モラハラや束縛を受け続けると、正常な判断能力が維持できなくなり心理的に追い込まれます。また性交渉を断ると何をされるか分からないという恐怖心が生じて、心理的負担はさらに深刻なものに。

このような状況では、不安障害や適応障害、うつ病などの精神疾患を引き起こす可能性があります。とくに多産dvは被害者が自覚しにくく、他人が介入しにくい問題です。心理的・精神的影響が深刻になって初めて、dvと気づくケースも少なくありません。

経済的影響

多産dvを繰り返されることで、経済的影響も出てきます。子どもが増えることで、育児や教育にかかる費用はどんどん増えます。学費だけを見ても、幼稚園から大学まですべての進学先を公立にした場合でも、子ども1人当たり2,460万円の費用がかかります。

また妊娠・出産・子育てを短期間で繰り返していると、女性自身が働くのも難しくなります。毎年子どもを出産していれば育児に費やす時間は数年単位です。子どもの数が多ければ多いほど、働けない期間が長期化します。そのため、夫のdvから抜け出したいと思っても、経済的なことを考えると夫から逃げることが難しくなります。

参考:子ども一人にかかるお金はいくら?年代別の内訳も解説|auフィナンシャルパートナー

離婚しにくくなる

子ども1人であれば母親だけでも何とか育てられるかもしれませんが、子どもが3人、4人と増えてしまうと、母親一人で育てるのは現実的に困難です。そのため夫との離婚が頭によぎっても、離婚するのが難しくなります。

「子どもが社会人になったら」など、子どもの自立を待って離婚を検討するケースもあるものの、子どもの数が多くなる程、離婚は先延ばしになります。このように多産dvには、子どもが増えるにしたがって離婚しにくくなるという問題があります。

多産dvを受けていると感じたら…主な対処法

自分が多産dvを受けているかも…と感じた方は、次のような対処法を取っていきましょう。

自分が被害者だと気づく

多産dvが疑われる場合には、まずは自分が被害者だということに気づくことが重要。自分でdv被害者なのか判断がつかない場合には、友人などの身近な人に相談するのがおすすめです。身近な人に相談しづらいときには、下で紹介する相談先に相談してみてください。

夫と話し合う

多産dvを受けていると分かったら、夫婦の性生活の在り方や家族計画について、夫とよく話し合ってくださくい。昔ながらの考えを持っている男性の中には、子どもは多ければ多いほどいい、夫が誘ったら妻が応じるのは当然だと考えている人が少なくありません。

妻が度重なる妊娠出産や避妊しない性交渉を嫌がっていると分かっておらず、結果的に自分が多産dvに当たる行為をしていると気が付いていないのです。また良かれと思って避妊していないケースもあります。まずは多産dvとはどのようなものかから説明し、避妊についてや子どもを何人欲しいのかなどを話し合いましょう。

とはいえ、多産dvだけでなく身体的暴力や暴言がある場合は、無理に話し合いしようとせず、身の安全を第一に考えて夫と距離を置くことを考えてください。

気づかれないように避妊する

避妊できるのなら性交渉に応じてもいいという女性の場合は、夫に気づかれないように避妊するのも一つの手です。女性ができる避妊には、次のような方法があります。

  • ピル(経口避妊薬)
  • IUD(子宮内避妊具)
  • IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)
  • 不妊手術
  • 緊急避難ピル(アフターモーニングピル)

それぞれの方法には、副作用などのデメリットもあります。必ず医師に相談したうえで、自部の状況に応じた適切な方法を選択しましょう。

専門機関に相談

多産dvについて身近な人に相談できないという方は、専門機関に相談することをおすすめします。適切な相談先は状況によって異なるので、次のような相談先から選んでください。

産婦人科 自分が多産dvに該当するかわかなないとき

現在産婦人科に通院している場合は、診察時に相談も可能

DV相談ナビ dv全般の相談が可能

電話で専門の相談員に4時間相談可能

日本全国共通の電話番号(#8008)より、最寄りの相談窓口に転送される

DV相談+ dv全般の相談が可能

電話(0120-279-889)・メール・SNSのチャットでの相談が可能

10か国語に対応しており、Web面接も可能

性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター 性暴力を受けた場合の相談が可能

全国共通の電話番号(#8891)で最寄りの支援センターにつながる

緊急避妊薬の処方

性感染症検査

相談・カウンセリングによる心理的支援

弁護士などの専門家を紹介する法的支援

キュアタイム 性暴力に関するメール・SNSによる相談を受け付けている

毎日17時~21時に相談可能

日本語の他10か国の外国語での相談も受け付けている

配偶者暴力支援センター 配偶者からの暴力により、保護を希望する場合に相談する

主な業務は以下の通り

専門の相談員によるカウンセリング

相談や相談機関の紹介

保護命令についての情報提供

被害者及び子どもの安全確保・一時保護

保護施設の利用についての情報提供・その他の支援

警察 暴力があり身の危険を感じているときは警察に相談

 

弁護士 多産dvによる離婚を検討している場合

保護命令を裁判所に申し立てる手続きを代行してもらえる

離婚を検討する

夫と話し合っても暴力や暴言、多産dvをやめてくれないときには、夫と離婚することも検討しましょう。子どもが小さいとすぐに決断できないかもしれませんが、学校に入学したタイミングなどで離れられるよう、離婚準備を進めておくべきです。

女性のための離婚準備については、こちらの記事を参考にしましょう。

「【完全版】女性のための離婚準備マニュアル|スムーズかつ有利に離婚するために必要なこととは?」

多産dvの夫と離婚する方法

多産dvの夫と離婚しようと思ったら、確実に離婚できるよう、次のような方法で準備を進めていきましょう。

多産dvは離婚理由になる

前出の通り、多産dvを含む性的dvはdvの一種です。そしてdvは民法で定める「法定離婚理由」のうち、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当てはまる可能性が高いです。最終的に離婚問題が裁判になったとしても、裁判所が認めれば離婚できるということを頭に入れておきましょう。

dv夫と離婚する方法について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「DV夫と離婚したい…早く安全に離婚するための手順・相談先・気になるポイントを徹底解説」

離婚に必要な証拠をあつめる

最終的に裁判で離婚が認めてもらうためには、dvがあったという証拠が必要です。というのもdvやモラハラをする男性は離婚に応じないケースも少なくありません。離婚するには裁判まで覚悟する必要があります。裁判では何の証拠もなくdvの事実を認めてもらうことは難しいので、dvに関する次のような証拠を確保しておきましょう。

  • 暴力や暴言の録音・録画
  • 暴力によるケガや壊されたものを写した写真・動画
  • 暴力によりケガをしたときの診断書
  • Dvにより精神疾患になったときの診断書
  • されたことや言われたことを記録したメモ・日記
  • 性行為の強要や避妊を拒否したことが分かる音声・メール・LINE
  • 保護命令が発令された記録

状況によるものの、一回分の証拠だけではdvがあったと認められない可能性が高いです。日常的にdvを受けている方は、複数回分の証拠を確保してください。

別居する

夫のdvがひどいときには、身の安全を第一に考えて別居を検討してください。家を出ても住む場所がない方は、シェルター等で子どもと一緒に保護してもらうのも選択肢の一つです。多産dvの他にモラハラがあるようなケースでは、離婚を拒否される場合がほとんどです。それでも離婚を実現するには、ま別居することがポイントに。

別居するまでには別居後の生活費の確保やdvの証拠収集、夫婦共有財産の調査などを入念に行ってからにしましょう。別居中の生活費が確保できないという場合は、夫に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てて、自分と子どもの生活費を出してもらうようにしてください。

別居に必要な準備については、こちらの記事を参考にしてください。

「別居に必要な準備をシチュエーション別に解説!別居に関する注意点とは?」

間に人を入れて話し合う

夫に面と向かって離婚を切り出せない方は、間に人を入れて話し合うのも一つの方法です。親族や友人に依頼するのもいいですが、どちらかの肩を持つ恐れがある人だと、公平な立場で話し合いが進まない可能性が高いです。またトラブルが起きたときも、適切に対処できないでしょう。

なるべくなら弁護士などの専門家に間に入ってもらい、離婚の話し合いをするのがおすすめです。女性にとってはdv加害者の夫と直接話をするのは、心理的に相当高いハードルがあります。万が一暴力を振るわれる恐れもあるため、極力弁護士などの専門家を間に入れて話し合いを進めましょう。

慰謝料請求が認められる可能性

多産dvで離婚する場合、慰謝料請求が認められる可能性があります。離婚時の慰謝料とは、dvなどの不法行為や離婚そのものによって精神的苦痛を受けた場合に支払われる損害賠償金のこと。dvの場合の慰謝料相場は、数十万円~300万円程度となります。相場に幅があるのは、次のような要素によって金額が変わってくるためです。

  • 婚姻期間
  • 子どもの年齢・人数
  • dvの内容
  • dvの頻度・回数・期間
  • 被害の程度
  • 精神的苦痛の程度

離婚慰謝料の相場について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚慰謝料の相場が知りたい!離婚理由や婚姻期間による相場・金額をアップさせるポイントを解説」

調停や裁判を検討する

夫との直接の話し合いが進まないときには、離婚調停や離婚裁判も検討しましょう。離婚調停とは、家庭裁判所で夫婦が離婚について話し合う法的手続きのこと。調停委員が間に入って話し合いを進めていきます。話し合いで合意に至れば、調停が終了し離婚が成立します。

調停では、調停委員に「離婚も仕方ない」と思ってもらうことが重要です。証拠を提出できれば一番いいのですが、証拠が不十分でも耐えがたいほどの被害にあっていることを分かりやすく伝えられれば、離婚する方向で話を進めてもらえるはずです。

調停を経ても合意に至らないときには、調停は不成立となり、離婚裁判に進むことになります。裁判では証拠による事実認定が行われるので、証拠の提出が必須です。第三者の供述も証拠となり得るので、客観的な証拠を確保できない場合でもあきらめずに弁護士に相談しましょう。

離婚調停を弁護士に依頼せずに対応できるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚調停は弁護士なしで対応できる?依頼したほうがよいケースとメリット・デメリット」

弁護士に相談

多産dvで離婚したいときには、なるべく早い段階で離婚問題に詳しい弁護士に相談してください。とくに多産dvは、時間が経つにつれて状況が悪化します。育児の負担で心身が疲弊し、妊娠出産を繰り返すことで「夫がいないとやっていけないから」と逃げ道を奪われてしまっている人もいます。

そこで弁護士に相談することで、具体的な離婚までの手順をアドバイスしてもらえます。離婚したいけど自分一人では不安という方は、弁護士に相談しましょう。

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弁護士に離婚を依頼するメリット

弁護士に離婚問題を相談すると、次のようなメリットが得られます。

身を守るためのアドバイスが得られる

dvをする夫に対して離婚を切り出す以前に、自分と子どもの身の安全を守ることが必須です。dv被害にあっている人の中には、適切な相談先や避難場所についての情報を知らない人も多くいます。その点弁護士に依頼すれば、dv被害者が取るべき対応についてもアドバイスが受けられます。

執着してストーカー行為をしそうな夫に対しては、接近禁止命令の申立が有効です。また適切な機関と連携を取り、シェルター等への入居をサポートしてもらえることも。弁護士にdvを受けていることを相談し、今後の対処方法を教えてもらいましょう。

接近禁止命令の申立方法については、こちらの記事を参考にしましょう。

「DVから身を守る『接近禁止命令』を出すには?手続き方法・注意点・離婚の方法を詳しく解説」

適切な離婚条件が分かる

弁護士に相談すると、適切な離婚条件が分かるようになります。離婚時には子どもの親権や養育費、財産分与や慰謝料などの離婚条件を取り決めなければなりません。しかしdv案件では、被害者側が「離婚できればお金はいらない」と、一方的に不利な条件を受け入れるケースも少なくありません。

しかしいくらdvする相手が怖いからといって、適切な条件で離婚しないと後悔することに。とくに婚姻費用や慰謝料、養育費などの請求方法といった金銭面でのアドバイスを受けることで、離婚時の経済的不安を軽減できるはずです。自分から諦める前に、まずは弁護士に相談して適切な離婚条件を勝ち取りましょう。

養育費に関する弁護士費用については、こちらの記事を参考にしてください。

「養育費に関する弁護士費用が知りたい!ケースごとの相場・払えないときの対処法とは?」

離婚手続きを代行してもらえる

離婚問題を弁護士に依頼できれば、法的な手続きを代行してもらえるメリットがあります。たくさんの子どもを抱えるdv被害者が、1人で離婚手続きを進めるのは相当困難です。離婚の話し合いのために、夫と直接顔をあわせるのが不安という人もいるでしょう。

このようなときに弁護士に依頼すれば、あなたの代理人として夫と離婚の交渉を進めてもらえます。調停や裁判になった場合でも、裁判所に提出する書類作成や証拠の準備、裁判所への対応などを任せられます。子育てで時間がない方でも、弁護士に依頼すれば離婚にまつわる時間的・精神的負担から解放されるはずです。

まとめ

多産dvとは性的dvの一種で、妻が望んでいないのに妊娠・出産を短期間で繰り返したり、お願いしても避妊してくれないケース、拒否しているのに性交渉を求めてくる行為などが該当します。加害者の特徴として、支配欲が強い、モラハラもあるといったケースがあります。

年子で4人以上の子どもがいる、出産の間で中絶している、複数回帝王切開しているのに妊娠を繰り返すなどの場合に多産dvが疑われます。多産dvの対処法としては、夫と話しあう、避妊する、専門機関に相談するといった方法が有効です。

多産dvで離婚を希望する方は、dvがあった証拠を確保しましょう。そのうえで弁護士に相談し、以降の交渉や手続きを弁護士に任せてください。相手が離婚に応じないようなときには、別居も視野に入れましょう。多産dvで離婚するのは簡単なことではありません。それだけに、入念な準備や専門家の助けが必要になります。

離婚・不倫の慰謝料の相談は専門家にお任せください!

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