産後クライシスで離婚はできる?離婚につながりやすい理由と回避法を知って夫婦仲を改善!

産後クライシスで離婚はできる?離婚につながりやすい理由と回避法を知って夫婦仲を改善!
産後クライシスで離婚はできる?離婚につながりやすい理由と回避法を知って夫婦仲を改善!
  • 「産後クライシスが理由で離婚したいと妻に言われた…」
  • 「産後クライシスによる離婚を回避するための方法はある?」

出産後に妻の態度が変わった、子育てに協力的でない夫にイライラするという人はいませんか?もしかしたらそれはすでに「産後クライシス」の状態に入っているかもしれません。こちらの記事では産後クライシスと離婚の関係を詳しく解説するとともに、その回避方法も紹介。

さらに離婚した方がいいケースと離婚の方法、離婚を決意したときにすべきことについても解説していきます。産後クライシスは、離婚につながりかねない深刻な状態です。記事の内容を参考にして、最悪の事態を回避する努力をしていきましょう。

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目次

産後クライシスとは?その特徴と原因

結婚生活の中で、夫婦の間に新たな命を授かることは多くの人にとってこの上ない幸せ。今後もさらなる幸せを描かずにはいられない状況です。本来なら幸せの始まりと考えられる出産ですが、場合によっては「産後クライシス」へと陥る可能性を秘めています。

こちらでは産後クライシスとは?ということや産後うつとの違い、具体的に表れる症状や原因などについて見ていきます。もしかしてうちの夫婦も産後クライシスでは?という方は、参考にしましょう。

出産後に起こる夫婦関係の危機

産後クライシスとは、妻の出産後に起こる夫婦関係の危機(クライシス-crisis)のことをいいます。互いの愛情が冷めたように感じ、夫婦仲が悪化するという現象です。出産後2~3年の間に起きるとされていて、最悪の場合には離婚に至ることも。

「産後うつ」「マタニティブルー」との違い

産後クライシスと似た言葉に「産後うつ」がありますが、その違いは何なのでしょうか。産後クライシスは夫婦関係の悪化といった状態を表すのに対し、産後うつは精神疾患の一種となります。包括的な医学情報を網羅するMSDマニュアルでは、産後うつを次のように定義しています。

産後うつ病とは、分娩後の数週間、あるいは数カ月間、極度の悲しみを感じたり、普段行っていた活動への興味を喪失したりする状態をいいます。

引用:産後うつ病|MSDマニュアル

出産前後は女性ホルモンのバランスが乱れやすい時期。そこに子育てに対する不安や環境の変化など、様々な要因が重なり発症します。出産後1~2カ月の女性に発生することが多く、症状は数週間から数カ月続きます。出産した女性の10~15%に発症する恐れがある決して珍しくない疾患で、専門医による診察や投薬治療が必要です。

マタニティブルーは、産後数日以内にみられる極端な感情の浮き沈みのこと。突然悲しくなったりみじめな感情になったりしますが、これは多くの母親が経験するもの。マタニティブルーはたいてい2週間で落ち着くため、それほど心配する必要はありません。

産後クライシスの症状や特徴

産後クライシスというのは、出産後に訪れる夫婦関係が悪化する状態です。具体的には、夫や妻に対して次のような症状や特徴が現れます。

  • 些細なことでもイライラしてしまう
  • 夫婦間の会話や一緒の時間が少なくなった
  • 配偶者からの愛情を感じなくなった
  • 配偶者への愛情を持てなくなった
  • 相手の些細なことが気になって嫌悪感を持ってしまう
  • 家事や育児に追われて自分の時間が持てない
  • 夫が家事や育児を手伝ってくれてもイライラしてしまう
  • 上の子どもに八つ当たりしてしまう
  • 夫と他の旦那さんを比べてしまう
  • つい夫にきつい口調で話してしまう
  • 夫から触られるのも嫌になった
  • セックスレスになった

上のようなことがいくつか当てはまる方は、すでに産後クライシスになりかけている可能性があります。最悪の事態にならないよう、取れる対策を取っていきましょう。

産後クライシスの原因

ではなぜ産後クライシスに陥ってしまうのでしょうか。こちらでは、産後クライシスになる原因について解説していきます。

産後の体調・ホルモンバランスの変化

産後クライシスになる大きな原因として、女性の産後の体調やホルモンバランスの変化が挙げられます。女性は妊娠や出産により、女性ホルモンの量が大きく変化します。女性ホルモンにはいくつかの種類がありますが、妊娠12週までに分泌量が最大になり、その後は急激に減少します。そして妊娠後期になると再び増加し、出産後は女性ホルモンがほぼゼロに。授乳期が終わるまで、女性ホルモンはほぼ分泌されません。

このようなホルモンバランスの乱れによって精神的に不安定になったり、イライラしやすくなり攻撃的になる人が少なからずいます。また母性本能が強くなる時期でもあるので、周囲に対して「子どもを守る」という気持ちが強く働きます。このようなことが原因で、出産前は許せていた夫の言動が許せなくなり、ちょっとしたことでも過剰に攻撃的になりがちです。

生活リズムの変化

出産後の生活リズムの変化も、産後クライシスになる原因です。とくに女性は子どもを産むと、生活リズムが大きく変わります。生後1カ月くらいまでは、2~3時間おきの授乳が通常です。今まで仕事をしていた人でも、産前産後は仕事を休まざるを得ません。家にいて子どもと過ごす時間がほとんどで、夫以外の大人と交流する機会は限られるでしょう。

このような生活の変化は、妻にとって大きなストレスになります。「私ばかり辛い思いをしている」という気持ちになりがちで、夫へのイライラに形を変えて現れます。対して夫は今まで通りの生活を送れるケースが多く、自分だけが世間や社会から取り残されたと感じることも。このようなことが原因で夫婦間に溝が生じやすくなります。

産後うつによる影響

産後クライシスになるのは、産後うつによる影響も少なからずあります。上で説明した通り、産後うつを発症する女性は全体の10~15%もいます。出産後数週間を過ぎたころから発症し、人によっては数カ月続くことも。産後うつも女性ホルモンのバランスが崩れることにより自律神経が乱れることが原因で、次のような様々な不調を引き起こす可能性があります。

  • イライラして攻撃的になる
  • 突然強い悲しみを感じて涙が止まらなくなる
  • 感情のコントロールができなくなる
  • 感情がなくなる
  • 集中力がなくなる
  • 無力感や絶望感を感じる
  • 気分が落ち込み自信を喪失する
  • 睡眠障害(不眠・過眠)
  • 摂食障害(食欲減退・過食)

夫が家事や育児を分担していても、妻が産後うつの状態になってしまうと、良好な関係を築くことができなくなります。夫婦関係が悪化し、最悪の事態になる可能性もあるでしょう。

うつ病で離婚する場合の慰謝料相場や請求方法については、こちらの記事を参考にしてください。

「うつ病で離婚するときに慰謝料は発生する?状況別の相場や請求方法、条件を解説」

夫に父親の自覚がない

産後クライシスになる原因の一つに、夫に父親になったという自覚がないことがあげられます。女性は妊娠してから出産までの約10カ月かけて母親になります。一方の男性は、子どもが生まれてから育てている間に父親になるといわれています。

出産時にすでに母親になっている妻は、出産後子どもの存在や世話に戸惑っている夫に対し「父親の自覚がない」と感じ、イライラしてしまうという訳です。

妊娠中なのに離婚したいとお考えの方は、こちらの記事を参考にしてください。

「妊娠中なのに離婚したい…気になる親権や養育費、認知について解説」

ワンオペ育児による疲労

ワンオペ育児による疲労も、産後クライシスになる原因です。かつてより男性が育児休暇を取りやすくなったとはいえ、令和3年時点で男性の育休取得率は13.97%にとどまります。女性の取得率85.1%に比べると、まだまだ低いのが現状。どうしても女性側に育児の負担が偏ってしまうでしょう。

とくに生まれて間もない赤ちゃんの場合、頻回授乳や世話などで食事がとれなかったり睡眠不足なることも珍しくありません。精神的、肉体的に疲労がたまり、些細なことでもイライラしたり受け入れられなくなってしまうことも。出産前は気にならなかった夫の言動が許せなくなり、夫婦関係が悪化しがちです。

一方の夫は「自分は今まで通り生活しているのにどうして妻はいつもイライラしているんだ」と不安を抱くことも。夫婦の感情のすれ違いから産後クライシスに陥ってしまうこともあります。

参考:育児・介護休業法の改正について|厚生労働省

家事が負担に感じる

家事が負担に感じてしまうことが原因で、産後クライシスになる人もいます。子どもが生まれると、女性はこれまで通り家事に専念することはできません。とくに出産直後は24時間子どもの世話をすることになります。また出産による身体への負担や睡眠不足により、家事が思うようにできなくなります。

このような中で夫が育児だけでなく家事への関与が低いと、妻は不満を募らせることに。夫側でも家事を今まで通りやらない妻に対して不満を持つようになった結果、産後クライシスから離婚へと発展してしまう可能性があります。

夫婦間のコミュニケーション不全

夫婦間のコミュニケーションがうまくとれなくなると、産後クライシスになりやすいです。子どもが生まれると妻は子どもの世話にほとんどの時間を取られます。結果的に夫の相手をする時間が減り、中にはセックスレスになる夫婦も少なくありません。

また今まで通り仕事をしている夫と、家で子どもの世話をする妻とでは、生活時間にずれが生じます。互いに話したいことがあっても「時間のあるときでいいか」とため込みがち。次第に会話やスキンシップが少なくなります。最終的には完全に会話がなくなり、産後クライシスになっていたという場合も。

セックスレスで離婚する方法や条件については、こちらの記事を参考にしてください。

「セックスレスで離婚する方法|認められる条件や有利に離婚する4つのポイントとは」

仕事との両立がうまくできない

産休明けで仕事に復帰する場合、仕事・子育て・家事の両立ができなくなり、産後クライシスになる可能性があります。とくに子どもを産んですぐに仕事に復帰する場合、夫との負担の違いに夫婦関係が悪化しがちです。今まで通り仕事だけをする夫に対し、家事と育児にプラスして仕事もという妻の心身に大きな負担が発生。生活が変わらない夫に強い不満を抱くきっかけになります。

性格の不一致や不平不満が露になって

結婚後や出産後といったタイミングで、今まで相手に見せていなかった部分が出てきて、性格の不一致や不平不満が露になりがちです。出産後に人格が変わったように不満を言うようになるなど、性格の不一致が明らかになった結果、産後クライシスから離婚へ発展する可能性があります。

産後クライシスで離婚する割合

厚生労働省がまとめた「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告(令和3年11月1日現在)」によると、母子世帯になった時点での末子の年齢階級別状況をみると、子どもの年齢が0歳から2歳まで離婚した人の割合は38.1%、3歳から5歳の割合も含めると、全体の59.1%にも上ります。

これにより離婚件数全体の約4割が産後2年以内に、約6割が5年以内に離婚していることが分かります。統計上の数字では表れない「離婚危機を瀬戸際で回避した夫婦」や「婚姻関係は破綻しているものの離婚を選択していない夫婦」の数を加えると、さらにその割合は増加します。

とくに夫婦関係では一度相手に不信感・違和感を感じたり、性格の不一致や価値観のずれを感じてしまうと、それをきれいに解消することは困難です。このことからも産後クライシスにより夫婦関係が悪化したまま改善されない状態の夫婦の数は、より多数になると考えられます。

産後クライシスによる離婚を回避する方法

産後クライシスによる離婚は決して珍しいことではありません。離婚に至らないまでも、子どもの出産によって夫婦関係が悪化するというケースはよく耳にします。では産後クライシスによる離婚や夫婦関係の悪化を防ぐためには、どのようなことをすべきなのでしょうか。

相手に気持ちをはっきり伝える

まずは夫や妻に自分の気持ちをはっきりと伝えましょう。とくに産後クライシスによる離婚を回避するには、夫婦間のコミュニケーションが欠かせません。自分の中での不満が大きくなる前に、日ごろからどのようなことに不満を感じているのかや辛い思いをしているかを打ち明けましょう。また自分で自分の感情をコントロールできずに困っていることなど、不安や悩み、辛い気持ちがあることを夫に素直に伝えてください。

そのような悩みや気持ちを聞いた相手は、自分の考えや言動を変えることができます。また努力により夫婦関係が改善されることもあります。まずは一人で抱え込まず、相手に今の自分の状況を話したうえで、具体的にどうして欲しいかを話し合ってください。

出産後の変化を理解させる

妻から夫に対して、出産後の心身の変化を理解させることも大切です。まずは妊娠から出産で女性ホルモンのバランスが乱れることやそれによる影響を理解してもらいましょう。また育児についての知識を持ってもらうことも大切。説明するだけで伝わりにくい場合は、本を読んでもらったり夫婦でカウンセリングを受けるのも有効です。

妻の大変さを理解し出産後の変化を知ることで、妻や子どもに対するかかわり方が変わる可能性があります。また産後にイライラした妻を見ても「今はこういうものだ」と受け入れるでしょう。そして出産後は、子ども中心の生活になることが避けられないと自覚することが、産後クライシスによる離婚を回避する秘訣です。

相手を理解するための努力

夫婦関係を良好に維持するためには、互いが相手を理解するための努力が欠かせません。これは産後に限らず大切なことです。夫婦は元は他人で、考え方や価値観が違って同然です。相手の価値観や考えをすべて受け入れられなくても、理解して尊重する努力が大切。

互いに相手のことを受け入れ、歩み寄ることで産後クライシスによる価値観のズレやすれ違いを埋めることができます。

話し合い以外でもコミュニケーションを取る

自分や相手の気持ちを話す以外でも、さまざまなコミュニケーションを取る努力が必要です。相手にイライラしていたり不満があったりすると「ありがとう」や「ごめんね」という一言が出なくなります。しかし気持ちは言葉にしてこそ伝わるもの。このような些細な一言こそ、言葉にしてキチンと伝える努力をしましょう。

またセックスレスを含む身体的なコミュニケーションの不足が、夫婦関係の悪化につながる可能性もあります。まだそのような気持ちになれないときでも、スキンシップを取るようにしましょう。相手から求められたときには「疲れていてそのような余裕がない」や「痛みがあるのではと怖い」などという理由をキチンと言うようにしましょう。

夫婦喧嘩を減らす方法や仲直りの方法に関して詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「夫婦喧嘩に疲れたときの仲直り&喧嘩を減らす方法|自分を変えて夫婦仲を改善しよう」

家事の役割分担を決める

出産後の家事の役割分担を決めるのも、産後クライシスによる離婚を回避する方法の一つです。まずは「新生児期の家事や育児にかかる負担は妻一人では背負いきれない」ということを夫に分かってもらい、夫婦双方が危機感を持って臨むことが大切。そのうえで家事や育児の役割分担について、一度見直してみましょう。

分担を見直すときにはどちらかに不満が出ないよう、現時点での家事や育児について細かく列挙していくのがポイント。「畳んだ洗濯物をタンスにしまう」「洗った食器を食器棚にしまう」「トイレットペーパーがなくなったら補充する」など、名もなき家事についてもどちらが分担するか決めていきましょう。

とくに今まで家事をしてこなかった夫は、いつどんな家事をしたらいいか分かりません。「自分で考えて」などと突っぱねたりせず、一度タイミングや手順を教えてあげるようにしましょう。

育児は夫婦の仕事と双方が認識する

子育てについては、とくに夫側の参加意識の低さが問題になりがち。夫婦二人の子どもである以上、父親の育児参加は当然の義務だということを双方が認識することが大切です。妻が1人で育児をしているのであれば、家にいる間のオムツ交換や入浴、着替えや寝かしつけなど、協力できるものがあれば積極的に行うよう心がけてください。

外部にサポートを求める

家事や育児の負担が夫婦関係の悪化の原因になっているのであれば、外部にサポートを求めることも大切です。親や兄弟が近くに住んでいるのであれば、家に来てもらって手伝ってもらいましょう。家族や友人が近くにいないという方は、自治体のサービスや民間の家事代行サービスを利用するという方法があります。

とくに女性は家事や育児を一人で抱え込みがちです、自分に限界が来る前に、他人の手を借りることも検討してください。

専門家や専門窓口に相談

産後クライシスだと感じたら医療機関を受診したり、カウンセリングを受けたりしましょう。とくに産後うつの症状がみられる場合には、症状が悪化する前にすぐに精神科や心療内科などを受診することをおすすめします。

そこまでではないものの育児についての不安や夫婦関係での悩みがあるときには、相談窓口に相談するという方法も。女性相談や育児相談を行っている自治体も多く、産後健診のときに相談することも可能です。他にも次のような相談窓口があります。

一人だけの時間を作る

たまには一人だけの時間や夫婦2人きりの時間を作ることも重要です。親や夫に子どもを見てもらったりして、自分一人で自由に過ごせる時間を作りましょう。ストレス解消になるだけでなく、夫に父親の自覚を持たせる意味でも有効です。

子どもにより愛情を感じ、父親としての自覚や責任感を持てるようになります。さらに普段の妻の大変さを実感できるようになり、その後の家事や育児への協力がより積極的になることも期待できるでしょう。

離婚を考えた方がいいケースと離婚の可否

産後クライシスによる離婚は双方の努力で回避できるものの、離婚を考えた方がいいケースがあります。離婚の可否と離婚手順も併せてみていきましょう。

離婚を考えた方がいいケース

次のような場合は、離婚を考えた方がいいでしょう。

夫が不倫している

産後クライシスにより夫婦関係が悪化し、夫が不倫するようになったら離婚を考えた方がいいかもしれません。とくに産後クライシスによるコミュニケーション不足やセックスレスが原因で、夫が不倫に走るケースはよくあります。遊びと割り切っていれば妻のもとに戻ってくる可能性がありますが、本気になったら夫婦関係を完全に修復することは不可能だからです。

モラハラやDVがある

産後に夫婦関係が悪化し、夫からモラハラやDVを受けている場合、離婚を考えるべきでしょう。出産前から被害を受けている場合も同様です。妻だけでなく子どもに対する虐待に発展する可能性が高いからです。最悪の場合は母子ともに命にかかわる可能性も。

そうでなくても家庭内暴力やモラハラは、子供の成長に悪影響を及ぼします。母親が父親から殴られているところを見続けていたり、異常な関係性の親のもとで育ったりすると、子どもの人格や対人関係、成長後の感情にも影響を及ぼします。

夫婦間のモラハラで慰謝料請求する方法は、こちらの記事を参考にしてください。

「夫婦や恋人間のモラハラで慰謝料請求できる?相場や方法を知って有効な証拠を確保しよう」

生活費を入れない

夫が産後生活費を入れなくなった場合、離婚を検討すべきタイミングです。生活費がないと、子どもに十分な食事や身の回りのものを準備することができなくなります。母子ともに健康面に影響を及ぼします。

結婚していて最低限の生活費さえも入れてもらえないのなら、いっそのこと離婚して公的支援と養育費をもらった方が楽になるケースも少なくありません。本当に「子どものため」を思うなら、離婚を考えるべきなのかもしれません。

離婚の方法と離婚の可否

産後クライシス以外で離婚を検討した方がいい理由がある場合や、産後クライシスが理由でどうしても離婚したい場合、離婚することはできるのでしょうか。

協議離婚なら可能

産後すぐであっても、夫婦双方が離婚に合意すれば、離婚ができます。このような離婚のことを「協議離婚」といい、日本では約9割の夫婦が協議離婚で離婚しています。ただし夫婦のどちらかが離婚したくない場合は、協議離婚することができません。

相手から産後クライシスを理由に離婚を切り出されても、離婚したくない場合は無理に応じる必要はありません。「離婚したくない」と自分の気持ちをはっきり伝えて構いません。

調停でも合意が必要

夫婦での話し合いが難しい場合や、離婚条件で折り合いがつかない場合は、裁判所に調停を申し立てて解決を図ります。調停では、調停委員が双方の希望や気持ちを聞き、話し合いで妥協点を見出します。ただし双方が離婚に合意しない限り調停は不調に終わり、離婚することはできません。

離婚調停は弁護士なしでも可能かについては、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚調停は弁護士なしで対応できる?依頼したほうがよいケースとメリット・デメリット」

法定離婚事由があれば裁判を提起

協議や調停でも離婚できない場合には、離婚裁判を起こすという方法があります。ただし裁判で離婚を認めてもらうには、民法第770条に規定されている次の5つの「法定離婚事由」が必要です。

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明や行方不明
  • 回復の見込みがない強度の精神病
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由

産後クライシスの他に不貞行為や生活費を入れなくなったという悪意の遺棄がある場合には、裁判で離婚が認められる可能性があります。またDVやモラハラがあったと認定されれば、その他婚姻を継続しがたい重大な事由とみなされて離婚が認められます。

産後うつになった場合、法定離婚事由の強度の精神病に該当するのではと考える人がいるかもしれません。たとえ専門の医師に産後うつと診断されていても、強度の精神病と認められるとは限りません。

産後クライシスだけでは裁判離婚は難しい

産後クライシスが法定離婚事由に該当するかについては、それだけでは裁判離婚することは難しいでしょう。産後クライシスが上記の1~4に該当しないことは明白です。該当するとすれば5のその他婚姻を継続しがたい重大な事由となりますが、客観的な証拠から産後クライシスを明らかにするのは困難です。

産後クライシスは子どもの出産をきっかけにして夫婦関係が悪化した状態です。不貞行為やDVなどのように客観的な証拠が取りにくく、夫婦の内面だけの問題のため当人以外が「婚姻を継続しがたい」と判断することは難しいと言わざるを得ません。

離婚裁判で負ける理由とその対処法は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚裁判で負ける理由|統計からみる裁判結果と裁判を進めるコツ&負けたときの対処法とは」

慰謝料請求はできる?

離婚時に話題になるのが慰謝料についてです。慰謝料とは離婚そのものや離婚に至った原因によって精神的苦痛を被った場合に請求が可能なもの。従って産後クライシスになった理由が相手の落ち度の場合には、慰謝料請求が可能です。また不貞行為や悪意の遺棄、DVやモラハラなどがあった場合にも請求できます。

離婚慰謝料の相場は50万円~300万円ほど。相手の行為の悪質性や婚姻期間などによって相場は変動します。なお産後うつが理由で離婚や慰謝料請求をする場合には、きちんと医師の診察を受け、診断書を取ることが必須です。

協議離婚の慰謝料相場は、こちらの記事を参考にしましょう。

「協議離婚の慰謝料相場が知りたい!増額・減額できる秘訣や慰謝料の決め方を解説」

産後クライシスで離婚を決意したときにすべきこと

産後クライシスで離婚を決意したとしても、すぐに行動に移すことはおすすめできません。まずは次に紹介するようなことを考え、それでも離婚に後悔しないかをじっくりと判断しましょう。そのうえで離婚後の生活で苦労しないよう、事前にしっかりと準備してください。

リスクを把握する

産後クライシスで離婚を考えている人は、離婚後のリスクや問題を把握する必要があるでしょう。とくに子どもを引き取って夫と離婚する場合、1人で働きながら子育てもしなければなりません。子どもが小さいうちはフルタイムで働ける可能性が低く、パートで働いても収入が得られず生活が苦しくなる可能性が。

結婚中もワンオペだったからといっても、いざというときは夫を頼ることもできたはず。しかし離婚してしまうと本当に困ったときでもすべて自分だけでこなさなければなりません。「こんな時に夫がいたら…」と離婚を後悔してしまう人もいるでしょう。

一時の感情の可能性

離婚の原因が産後うつやホルモンバランスの乱れから来る症状の場合、症状が落ち着いてきた頃に離婚したことを後悔する可能性が高いです。とくに産後うつの場合、ホルモンバランスが改善してくると状態が安定してきます。

次第に冷静に考えることができるようになり、「どうしてあんなに離婚したいと思ってしまったのだろう」と後悔してしまう人も少なくありません。産後クライシスで離婚を考えたときには、産後うつの症状が治まったり、育児が一段落するまで結論を先送りするということも必要です。

離婚後の生活をサポートしてくれる人を探す

離婚のための手続きや離婚後の生活をサポートしてくれる人はいますか?とくに子どもを連れて離婚する場合は、生活のサポートをしてくれる人は欠かせません。親や兄弟、友人など頼れる相手がいる方は、早めに離婚のことを知らせて、事前にサポートをお願いしておいてください。

もしサポートしてくれるような人がない場合には、早めにサポートしてくれる人を見つけましょう。

離婚準備は時間をかけて

離婚すると決めた場合でも、準備は時間をかけて念入りに行ってください。小さい子どもを連れて離婚する場合は特にです。感情のままに離婚してしまうと、後になってから「こんなはずじゃなかった」「離婚しなければよかった」と後悔してしまうため。

産後クライシス以外で離婚したい理由があるときには、離婚や慰謝料請求を優位に進めるために証拠が必要となります。また離婚前に別居をする場合でも、住居の確保や当座の生活費、仕事をどうするかしっかり決めなければなりません。

子どもの養育費を相手に負担してもらう場合は、養育費の金額をあらかじめ決めるのはもちろんのこと、支払がストップしたときでも給与などをスムーズに差し押さえることができるような手続きが必須。離婚後の生活は子どもへの影響があります。離婚準備はしっかりと時間をかけてしましょう。

別居に必要な準備に関しては、こちらの記事を参考にしてください。

「別居に必要な準備をシチュエーション別に解説!別居に関する注意点とは?」

公的支援制度をチェック

子どもを連れて離婚する場合、利用できる公的支援制度は積極的に利用していきましょう。子どもが幼いうちやひとり親である場合は、様々な公的支援を受けられます。自分一人の収入や養育費だけでは金銭面に不安があるという方は、住んでいる自治体にどのような支援制度があるか相談し、可能な制度をすべて受けられるような手続きをしましょう。

パート主婦の離婚で利用できる公的支援制度については、こちらを参考にしましょう。

「パート主婦の離婚に必要な準備とは?お金・公的支援制度、注意すべきポイントを詳しく解説」

離婚問題に詳しい弁護士に相談

産後クライシスで離婚する場合に限らず他の離婚理由がある場合でも、離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。離婚をする場合、相手との交渉が欠かせません。しかし産後の大変な時期に離婚しなければならないケースでは、相手と顔を合わせるだけでも苦痛と感じる人も。

弁護士に依頼できれば、相手との交渉を代わりに行ってくれるのはもちろんのこと、法的な問題に関するサポートも可能。双方が感情的にならずに交渉を進められるので、時間をかけずに離婚を実現します。

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まとめ

産後クライシスとは、産後のホルモンバランスの乱れやワンオペ育児、相手の無理解や非協力的な態度が原因で、夫婦関係が悪化する状態のこと。生活リズムの変化や夫婦間のコミュニケーション不足が原因でなる可能性もあります。産後クライシスで離婚に至るケースも少なくなく、見過ごせない問題です。

産後クライシスによる離婚を回避するには、コミュニケーションを積極的に取り、自分の気持ちを相手に伝えることが大切。育児は夫婦の義務という共通認識のもと、家事分担の見直しや外部へサポートを求めることも必要です。一方で不貞行為やDV、モラハラなどがある場合は、離婚を選択した方が良い場合も。

産後クライシスで離婚を考えたときには、今だけの感情ではないか見極め、離婚のリスクを認識する必要があるでしょう。慰謝料請求や養育費、離婚後の生活に関する準備は念入りに行い、離婚を後悔しないようにしましょう。離婚で困ったことがあったら、法律の専門家であり交渉のプロでもある弁護士に相談するのがおすすめ。より有利に、よりスピーディに離婚するためのアドバイスがもらえるでしょう。

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