貯金なしでも子連れ離婚できる?必要な離婚準備と手順、ひとり親家庭向け公的支援制度とは

貯金なしでも子連れ離婚できる?必要な離婚準備と手順、ひとり親家庭向け公的支援制度とは
貯金なしでも子連れ離婚できる?必要な離婚準備と手順、ひとり親家庭向け公的支援制度とは
  • 「貯金ナシでも子連れ離婚できる?」
  • 「お金がない主婦が離婚するために。どんな準備をすればいいか知りたい」

貯金が全くないけれど離婚したい、専業主婦やパート勤めだが子どもを連れて離婚を考えているという人はいませんか?今や離婚は決して珍しくないことといえ、蓄えがなくさらに子どもを引き取って離婚を考えている人にとっては高いハードルです。

そこでこちらの記事では、貯金がない人が子連れ離婚する場合のポイントや離婚時に必要なお金、子連れ離婚するときの手順について詳しく解説。貯金がなく子どもを連れて離婚する場合は、事前の準備が大切になります。利用できる公的支援制度についても紹介するので、離婚後の生活を計画する上での参考にしましょう。

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貯金がない人が子連れ離婚するときの3つのポイント

貯金がない人が子連れ離婚する場合、次の3つのポイントについてよく考えるべきでしょう。

①お金について

貯金や仕事をしていない主婦にとって、離婚時に大きな課題になるのはお金の工面です。こちらでは離婚時にかかるお金について見ていきます。

離婚調停・裁判費用

離婚の話し合いがまとまらなかった場合は、離婚調停や離婚裁判に進むことになります。このような手続きには、裁判所費用や弁護士費用がかかることを覚えておきましょう。

離婚の方法 かかる費用
離婚調停 裁判所・書類取得費用:3,000円前後
離婚裁判 裁判所・書類取得費用:2万~5万円

弁護士費用:50万~100万円

離婚調停の場合、弁護士に依頼せずに手続きできるので書類取得費用などで数千円で済みます。調停でも話がまとまらないと裁判や審判に移行するわけですが、そうなると弁護士費用が追加で発生。争点により費用の相場は変動しますが、最低でも50万円~、相場は70万円ほどで100万円かかる場合も少なくありません。

弁護士費用の捻出が難しい方は、「法テラス」を通して弁護士に依頼するという方法も。収入が一定以下の方は、弁護士費用の立て替え制度が利用できます。

離婚調停にかかる費用について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚調停にかかる費用とは?裁判所・弁護士費用の詳細や一括で払えないときの対処法も」

別居に伴う費用

離婚前に別居が必要な場合は、子どもを連れて住める家を確保しなければならないでしょう。実家が近くにあり引っ越せるという方は引っ越し費用だけで済みます。しかし実家を頼れない場合は、自分で新たに賃貸を借りる必要が。初期費用として敷金・礼金・前家賃・仲介手数料など、家賃の5~6カ月分の費用がかかると考えておきましょう。

それにプラスして引っ越し費用や家具家電代、インターネット工事費やエアコン設置料などがかかる場合も。できるだけ出費を抑えるために、家具家電付きの賃貸を探したり、リサイクルショップで家具や家電を購入するといった工夫が必要です。

別居に必要な準備に関しては、こちらの記事を参考にしましょう。

「別居に必要な準備をシチュエーション別に解説!別居に関する注意点とは?」

収入を得るまでの費用

離婚を前提とした別居をする場合、働いて収入を得るまでの生活費も必要です。別居同時に新たに仕事を見つけた場合、日払いや州払いでない限り給料をもらえるまで最低でも1カ月~2カ月かかります。その間の生活費として、次のような費用を準備しておく必要があります。

  • 光熱費
  • 食費
  • 通信費(携帯代・インターネット料金・プロバイダー料)
  • 日用品費
  • 医療費など

まずは上記の費用に毎月どのくらいの金額がかかっているか計算し、最低でも2カ月分ほどは貯金してから別居すべきでしょう。

②仕事について

離婚後の生活のために大切なのは、経済的な自立です。今まで専業主婦だった方にとって、新たに就職したり転職することは大きなハードルとなることでしょう。前職からのブランクが長い場合は、より再就職が難しくなり、小さな子どもがいる場合はフルタイムの正規雇用で働くのはとても困難です。

正規雇用で就職できない場合、時給の高い契約社員か派遣社員として働きながら、ひとり親家庭向けの公的支援を活用しながら、これまでの生活水準を維持できるようにしましょう。すでにパートやアルバイトで働いている方は、より高い給料をもらえる職場に転職を考えてください。

③子どもについて

子どもを連れて離婚する場合、こどもについても真剣に考えなければなりません。

精神面

まず配慮すべきなのは子供の精神面です。親の不仲のみならず、親の離婚は子どもの精神面に大きなダメージを与えます。片方の親と一緒に暮らせなくなるということだけでなく、引っ越しや転校など生活環境が大きく変わってしまうという不安も子どもの心にとってストレスです。

ただ子どもの目の前で両親が激しい喧嘩を繰り返すほど夫婦関係が悪化している場合や、子どもに直接暴言や暴力がある場合には、できるだけ早く別居して、子どもが落ち着いて暮らせるようにすべきです。

子どものために離婚は…と考えている方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「『子どものために離婚しない』は本当?離婚の判断基準や子どもの本音を知って後悔しない生き方を」

親権

貯金がなく専業主婦だった方が子連れ離婚する場合、気になるのは「子どもの親権」ではないでしょうか。親権を取るためには経済的な安定が大切な条件となります。「自分が引き取ったら子どもが経済的に苦労するのでは?」と考えて、子どもの親権を取ることを躊躇している方がいるかもしれません。

しかし経済的な安定は、今後自立して収入を得られるようになれば不可能なことではありません。そして経済力以外にも、次のような条件があります。

  • 健康面で子どもを養育するのに支障がない
  • 子どもに対する深い愛情がある
  • 子どもの養育に適した環境を提供できる

とくに子どもの年齢が低いと、母親が必要と判断されるケースが多いです。このような条件をクリアできれば、貯金がなくても子どもの親権者になれる可能性はあります。

父親が親権を取れる確率については、こちらの記事を参考にしましょう。

「父親が親権を取れる確率は?重視されるポイント・親権獲得のためにすべきことを解説」

子どもにかかるお金

子連れ離婚する場合、子どもにかかるお金についても考えておくべきでしょう。子どもの将来のために、教育資金の目途を付けておくことは重要です。すでに教育資金を貯めている人や、収入面で心配のない方はいいのですが、たいていのケースでは離婚前よりも収入が落ちてしまいます。

その中でどのように教育資金をねん出していくかが大切に。奨学金を借りて大学に進学するという方法もありますが、子どもが経済的な理由から将来の夢を断たれることがないようにすべきです。収入アップの努力や養育費はもちろんのこと、教育資金の準備について今からでも考えていきましょう。

貯金がない人が子連れ離婚する場合の手順

貯金がなく子連れ離婚する場合、次のような手順で準備を進めるようにしましょう。

必要なお金を計算

冒頭で説明した通り、離婚でまず必要なのはまとまったお金です。離婚するために必要な費用や別居時にかかるお金収入が安定するまでに最低限持っておくべき費用を把握し、トータルでどのくらいかかるか計算しておきましょう。全体で必要な金額がある程度把握できたら、現状でいくら不足するのか、自分でいくら工面できそうかを考えてください。

現実的でない金額が出たときには、生活水準を見直す必要が出てくる場合も。離婚後に必要な費用を把握できれば、女手一つで子どもを育て行くという強い覚悟が生まれるはず。離婚を人生の再スタートと考え、離婚後の子どもとの生活をより具体的に考えていきましょう。

離婚したいけどお金がないという方は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚したいけどお金がない方必見!我慢せず離婚できる方法と対策を紹介します」

離婚前~離婚後に受け取れるお金を計算

子連れ離婚でなくても、離婚をする場合はできるだけお金を確保してからにしましょう。とくに貯金がない方の場合、夫から受け取れるお金は貴重な資金。いくら夫に対して嫌悪感を持っていたとしても、ここは割り切って請求してください。こちらでは離婚前から離婚後に受け取れるお金について解説していきます。

婚姻費用

離婚前に別居している方は、そのときにかかる費用の一部をより収入の多い夫から婚姻費用として受け取ることができます。これは民法第760条に次のように規定されているからです。

(婚姻費用の分担)

第七百六十条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

引用:民法|e-GOV法令検索

婚姻費用の金額は、子どもの数や夫と妻の年収によって決まります。具体的には裁判所が公表している「婚姻費用算定表」に基づいて金額が決められることが多いです。婚姻費用は別居開始と同時に請求可能。

もし相手が支払を渋った場合は、裁判所に「婚姻費用分担調停」を申立てるという方法があります。調停では裁判所が仲介役となり、双方で婚姻費用の金額を決めていきます。数千円程度の費用で済み、弁護士などを立てずに手続きができるのがメリット。一方で別居の原因が自分にある場合は、請求が認められなかったり減額となる可能性があります。

婚姻費用をもらい続ける方法については、こちらの記事を参考にしましょう。

「婚姻費用をもらい続ける方法は?損しないための対抗策とよくある質問に答えます!」

財産分与

結婚してから築いた財産は、たとえ個人名義でも夫婦共有の財産として離婚時に等分されます。専業主婦の場合、働いて収入を得ているのが夫だけなので、「自分は財産分与をしてもらえないのではないか」と考える人がいるかもしれません。しかし専業主婦でも、家事や夫の健康管理などを通してサポートしていて、財産を増やすことに十分貢献していると判断されるので心配いりません。

財産分与には次の3つの種類があり、それぞれに意味合いや目的が異なります。

財産分与の種類 内容
清算的財産分与 結婚期間中に夫婦が協力して築いた、現金・預貯金・不動産・有価証券などの財産を離婚時に清算すること
扶養的財産分与 夫婦のどちらか一方が離婚によって困窮するときに、経済的に自立するまでの一定期間生活費相当分を財産分与として負担させるもの
慰謝料的財産分与 離婚原因が財産分与の義務者にあるとき、財産分与において精神的苦痛に対する慰謝料的な要素を考慮して清算すること

ただし独身時代に築いた財産や贈与・相続により得た財産は、財産分与の対象とはなりません。財産分与をきちんと行うには、相手名義の財産について調べる必要があります。とくに「隠している財産があるのでは?」と思う方は、隠し財産の有無やその金額についてチェックしましょう。

財産分与でかかる税金については、こちらの記事を参考にしましょう。

「財産分与でかかる税金について|種類別・ケース別の税金計算方法や節税対策とは?」

慰謝料

離婚時に慰謝料を請求できるケースがあります。慰謝料とは精神的な損害に対して請求できる損害賠償金のこと。離婚時には不貞行為やDVなど、第三者が見ても相手に責任があるケースにおいて慰謝料を請求できます。実際に慰謝料をいくら請求できるかについて、明確な規定はありませんが、過去の裁判事例から見ると50万~300万円が相場です。

結婚期間の長さや子どもの有無、離婚に至る経緯や悪質度などが加味されて金額が決定されます。少しでも有利な金額で交渉をまとめるには、自分で請求するよりも弁護士を代理人とした方がいいでしょう。

高額な離婚慰謝料をもらいたいと考えている方は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚慰謝料で1000万もらえる?高額慰謝料を手にする方法と減額するコツとは」

養育費

未成年の子どもを引き取って離婚する場合、相手から養育費を受け取ることができます。しかしながらすべての母子家庭が養育費を受け取れている訳ではありません。厚生労働省が行った調査によると、養育費の受け取りができていない母子家庭の割合は、平成28年で56%もいます。半数以上の母子家庭で、養育費を受け取れてないというのが実情です。

養育費をきちんと受け取るためには、離婚前から次のような準備をすると有効です。

参照:養育費について|厚生労働省

養育費請求調停を起こす

夫婦間の話し合いで金額が折り合わないときや離婚後に養育費を請求する場合には、養育費請求調停を行うとスムーズに支払ってもらえる可能性が高まります。双方の金額的な合意を目的とした調停ですが、合意が得られなかった場合は審判手続きに移行します。

最終的には裁判官が養育費の金額を決定する流れになるので、どうしても夫との話し合いで決まらない場合は、裁判所に養育費請求調停を申し立ててください。

養育費の相場について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚時の養育費の相場が知りたい!ケース別の相場や増額方法、請求方法とは?」

公正証書にする

養育費の金額等について決まった内容は、協議書や合意書として作成し公正証書にすることをおすすめします。公正証書とは、法務大臣から任命された公証人が、その権限に基づいて作成する公文書のこと。作成した公正証書には反証のない限り高い証拠力を有し、極めて強力な証拠力を持ちます。

とくに「強制執行認諾文言付」公正証書にすると、養育費の未払いが起きたとしても裁判を起こさなくても財産の差し押さえが可能に。養育費は子どもの生活や教育に欠かせないお金です。離婚時には養育費の合意内容を公正証書にすることをおすすめします。

養育費を強制執行するメリット・デメリットについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「養育費を強制執行する・されるデメリットとは?強制執行の基礎知識とデメリット回避方法」

保証サービスを利用する方法も

民間の養育費保証サービスを利用するという方法もあります。養育費保証サービスとは、元夫が養育費の支払いを滞らせたときに、代わりに保証会社が養育費を立て替えてくれるサービスのこと。会社によって1年~2年と補償範囲が決まっていて、初期費用と毎月の手数料、更新料がかかります。

サービスを利用するには離婚協議書や調停証書、判決書など養育費の支払いを取り決めたと分かる書類が必要です。直接相手と接触することなく養育費を受け取れるメリットがあるものの、内容によっては弁護士法に抵触する可能性が。法律を意識した保証会社選びが必要です。

養育費の一括請求については、こちらの記事を参考にしてください。

「養育費の一括支払い・請求について|メリット・デメリットや計算方法、注意点を解説」

年金分割

離婚時には、婚姻期間中に支払っていた厚生年金記録を分割した金額を受け取れます。ただし年金分割の請求ができるのは離婚から2年以内。夫から妻という決まりはなく、年収の高い人から低い人へ分割されるというルールです。年金分割には合意分割と3号分割の二種類があり、それぞれの手続き方法は以下の通りです。

年金分割の種類 条件・手続き方法
合意分割 当事者の一方または双方からの請求により当事者間で分割できる制度

婚姻期間中の厚生年金記録があることや離婚した日の翌日から2年以内であること、当事者間の同意があることが条件

3号分割 国民年金の第3号被保険者期間がある人からの請求により分割できる制度

当事者間の合意が必要なく、2年の請求期限を経過していないことが条件

単純に元配偶者が受け取る金額の半分をもらえるという制度ではないものの、条件に合えば将来受け取れる年金額が増えるので、自分のケースに当てはまるかチェックしましょう。

最低限の資金を確保

離婚後に必要な費用を大まかに計算したら、最低限の資金を確保することから始めましょう。離婚を急がない場合は節約したり仕事をしたりして離婚後の資金を貯めるという方法も。また実家からお金の援助を受けるのも一つの方法です。離婚時に夫から慰謝料や財産分与を受け取れる場合には、確実に支払われるような準備をしましょう。

親権を取るために

相手が子どもの親権が欲しいという場合には、親権を取るための行動が必要です。親権を決める場合、次のような事柄が重要視されます。

  • 子どもの監護実績や監護に対する意欲
  • 監護の継続性
  • 母子優先の原則
  • きょうだい不分離の原則
  • 育児のサポート体制
  • 子ども自身の意思

専業主婦やパート勤めなど、収入に不安がある場合でも、これまでの監護実績や継続性により親権を取れる可能性が高いでしょう。とくに子どもの年齢が低いほど、母子優先の原則により母親の親権獲得が有利に。子どもが15歳以上の場合は、子どもの意思に基づいて親権者が決まる可能性もあります。逆に次のようなケースでは、母親親権争いで負ける場合があります。

  • 子どもを虐待していた
  • 父親に育児を任せきりにしていた
  • 精神疾患により子どもの監護ができない
  • すでに子どもが父親と暮らしている
  • 監護をサポートしてくれる人が周囲にいない

母親が親権争いで負ける理由について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「親権争いで母親が負ける理由とは?親権争いを勝ち取る6つの対策も解説」

住む場所をどうするか

離婚後の資金の目途が立ったら、住む場所をどうするか具体的に決めていきましょう。一番費用がかからないのは実家に戻る選択ですが、実家に頼れない方は公営住宅なども視野に入れながら物件探しをしていきましょう。物件探しでポイントになるのは、次のような項目です。

  • 家賃や間取り
  • 勤務先からの距離
  • 子どもの学区
  • 周囲の生活環境や利便性
  • 実家からの距離

緊急で別居の必要がある場合は、「母子生活支援施設(母子寮)」に入るという選択肢があります。母子寮は18歳未満の児童を扶養している母子世帯のうち、生活に困窮している方が対象。収入がない場合には費用がかからずに入所可能です。

離婚で市営住宅の手続きがどうなるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚で市営住宅の手続きはどうなる?離婚前・離婚後の申し込みのポイントを解説」

仕事を探す・転職する

離婚後は、元夫からの養育費に頼らずに生活できるよう、ある程度の収入が得られる仕事を見つけましょう。離婚前から仕事ができれば、離婚費用を貯められたり、離婚してから仕事が見つからずに焦るという状態を回避できます。

子連れで離婚を考えている場合、ハローワークの中でも「マザーズハローワーク」の利用がおすすめ。子ども連れでも安心して仕事探しができ、専属の担当者がそれぞれの状況に応じた就職活動をサポート。地域ごとの保育情報なども得られるので、仕事中子どもを預ける場合でも安心です。

子どもを預けられる場所を探す

離婚後に仕事しながら子育てする場合、子どもを預けられる場所探しをしなければなりません。保育園や学童施設など、お住まいや勤務先の近くで、子どもを預けられる場所を探しましょう。一般的に保育園や学童施設の募集は秋ごろにスタートするので、早めにリサーチしておいてください。

さらに子どもが体調不良のときでも預けられる、病児保育やベビーシッターを探すのも重要です。住む場所が決まったら、自治体の情報を確認し、シングルマザーが受けられる支援についても調べておきましょう。

離婚時のやることリストを作成するときには、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚時のやることリストを全網羅!タイミングごとの内容と注意点とは?」

離婚のタイミングを考える

子連れ離婚する場合には、離婚のタイミングにも気を付けたいものです。自分自身の準備もさることながら、子どもへの影響も考慮しなければならないため。もちろんDVやモラハラなどがあるときには、できるだけ早く離婚するのが子どもにとってもベストです。

そうした場合を除き、ある程度離婚時期を選べるときに最適なタイミングがいつなのか紹介していきます。

子どもが小さいうちに

子どもが物心つく年齢になると、両親の離婚や片方の親との別れ、転校や引っ越しなど環境の変化は大きな心の傷になります。そう考えると、なるべく子どもが小さいうちに離婚するのも一つのタイミングです。両親との記憶があまり残らない乳児期から2、3歳くらいまでの間が該当します。

子どもの進学に合わせて

子どもの入園や入学に合わせて離婚するのも、タイミングの一つ。入園や入学では、子どもの人間関係も変わります。両親が離婚しても友達に噂されたり変に気を遣うことも少ないはず。子どもの名字が変わる場合でも、このタイミングがベストだと考えます。

ただ子どもが進学のために受験勉強をしている間は、極力離婚のことを悟られないようにしましょう。受験勉強が手につかなくなったり、せっかく志望校に合格できても喜びが半減します。その後の高校・大学への進学のことを考えると、離婚のタイミングは慎重に検討すべきでしょう。

子どもの休みに合わせて

小中学生の子どもを連れて離婚する場合、春休みや夏休みなど、長い休みのタイミングで離婚するのも選択肢としましょう。ある程度長い休みがあれば、その間に親子でじっくりと話しをする時間が取れます。また精神的に落ち着かせる時間もたくさんあります。

学年途中の転校や友達との別れは、子どもにとってつらい経験になるかもしれません。しかし離婚後に元夫婦が親としてケアしていったり、祖父母がサポートしていくことが大切です。

ひとり親世帯向けの公的支援制度

子連れ離婚する場合、ひとり親向けの公的支援制度が大きな助けになります。こちらでは国や自治体が行っている手当・助成制度について詳しく解説していきます。

生活保護

生活保護は、自身の収入だけで国が定める最低生活基準に満たない場合に受け取れるもの。憲法25条にある「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するための制度。住んでいる地域の福祉事務所が窓口で、次のような保護費を受け取ることが可能です。

生活扶助 食費・光熱費・被服費など毎日の暮らしに必要な費用
住宅扶助 家賃や間借り代、地代など住むために必要な費用
教育扶助 教材費や休職など義務教育を受けるのに必要な費用
医療扶助 治療や療養のために医療機関に支払う費用
介護扶助 介護保険サービスを利用するのに必要な制度
出産扶助 分娩などに必要な費用
生業扶助 生計を維持するための事業に必要な費用や技能習得のための費用
葬祭扶助 葬儀の費用が払えないときに支給される

生活保護の金額は、住んでいる地域や世帯の人数、世帯の状況に応じて異なります。詳しくはお住いの福祉事務所に直接お問い合わせください。

児童手当

児童手当は、0歳から中学卒業までの児童を対象とした手当金です。申請先はお住いの自治体の役所で子どもの年齢人数、世帯主の収入などにより、受け取れる金額が変わってきます。ひとり親家庭は非課税世帯と同世に受取対象です。毎年2月・6月・10月に下記の月額が4か月分ずつ支給されます。

子どもの年齢 支給月額
0~3歳 15,000円
3歳~小学校卒業まで 第一子・第二子:10,000円

第三子以降:15,000円

中学生 10,000円

参考:児童手当制度のご案内|こども家庭庁

児童扶養手当

児童扶養手当は、ひとり親家庭が受けられる手当の一つ。離婚等により父母のいずれかと生計を別にする子どもがいる世帯に支給されます。支給対象は高校を卒業するまでの子どもを育てている世帯。18歳に達する日以降の最初の3月31日までの児童がいる世帯となっています。

手当の金額は、扶養親族等数に応じた世帯収入によって全部支給と一部支給に分かれています。

支給の別 全部支給 一部支給
子ども1人の月額 44,140円 44,130円~10,410円
2人目の加算額 10,420円 10,410円~5,210円
3人目以降の加算額(1人当たり) 6,250円 6,240円~3,130円

所得制限限度額は、全部支給(2人世帯)で160万円、一部支給(2人世帯)で365万円です。

参照:児童扶養手当について|こども家庭庁

離婚後の児童手当・児童扶養手当の手続きは、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚後の児童手当・児童扶養手当の手続きについて|ケース別の変更方法と基礎知識」

児童育成手当

児童育成手当は、両親が離婚した児童や死亡により片親になった児童を扶養する人が受給できる手当です。子どもが18歳になった年の3月31日まで受け取ることができ、手当額の月額は、児童1人につき13,500円。こちらも所得制限があるので注意しましょう。申請先は自治体役所となっています。

特別児童扶養手当

特別児童扶養手当は、心身に障害を持つ児童に対する福祉の増進を目的として支給される手当。20歳未満で精神または身体に障害を持つ児童を、家庭で養育監護している保護者に支給されます。令和5年4月より適用される支給月額は、1級で53,700円、2級で35,760円です。

こちらも児童育成手当などと同様に所得制限があります。詳しくはお住いの自治体役所にお問い合わせください。

参照:特別児童扶養手当について|厚生労働省

住宅手当

お住いの自治体によっては、ひとり親家庭向けの住宅手当があるところも。離婚後、賃貸物件に住む予定の方にとってはうれしい制度です。例えば東京都国立市では、民間アパート等に住むひとり親家庭に対し、住宅費月額の1/3(上限1万円)を助成。対象は市内に3年以上居住している方で、18歳未満の子どもと同居し扶養しているひとり親家庭。

そのほかの地域でも5,000円~20,000円を上限として家賃補助を実施しています。詳しい条件や金額は、お住いの自治体によって異なります。

参照:ひとり親家庭住宅費助成|国立市

ひとり親家庭等医療費助成制度

児童を監護養育しているひとり親家庭を対象に、医療費の一部を助成してくれる制度(通称:マル親)があります。通常は18歳になった年の3月31日までの児童がいる家庭が対象ですが、障害がある場合は20歳未満までとなっています。

医療費や薬剤費が助成の対象ですが、予防接種や健康診断費用、差額ベッド代は対象外です。負担上限額は世帯収入や通院・入院によって次のように異なります。

世帯の種類 通院・入院 ひと月当たりの負担上限額
住民税課税世帯 通院 18,000円(1割負担)
 〃 入院 57,600円(1割負担)
住民税非課税世帯 通院・入院 自己負担なし

参照:ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)|東京都福祉局

税金等の減免

ひとり親家庭を対象として支援制度には、税金等の減免もあります。減免が可能な税金は、所得税や住民税です。そのほかに国民年金や国民健康保険料の免除制度もあります。それぞれの制度の詳細は以下の通りです。

減免制度 内容
所得税控除 その年の12月31日現在で、結婚していないまたは配偶者の生死が明らかでない人のうち、次の3つの要件すべてに当てはまる人

  • 事実婚状態の相手がいないこと
  • 生計を一つにする子どもがいること
  • 合計所得金額が500万円以下であること
住民税控除 前年の合計所得が135万円(年収2,044,000円)以下のひとり親家庭を非課税

前年の合計所得が500万円以下のひとり親家庭に対し、「ひとり親控除」として30万円が適用

国民年金保険料の免除・納付猶予制度 収入の減少や失業等により、保険料を納めることが難しくなった方を対象に、保険料の全額(16,520円)・4分の3免除・半額免除・4分の1免除のいずれかが承認される
申請は自治体役所の国民年金窓口もしくは、年金事務所
国民健康保険料の減免制度 前年の総所得が一定基準以下の世帯は、保険料均等割額が軽減
所得基準に応じて7割・5割・3割の減額割合となる
上下水道料金の減免 自治体によっては、申請により上迎水道料金が減免可能
東京都では生活保護受給世帯、児童扶養手当または特別児童扶養手当を受給している世帯が対象
減免割合は、上水道と下水道で計算方法が異なる

これらの減免制度は、お住いの自治体によって異なります。どのようなものが減免になるかや、対象の条件などは、担当窓口でお問い合わせください。

まとめ

貯金がなく子連れで離婚を考えている方は、別居や離婚でかかるお金のこと、仕事のこと、子どものことについて時間をかけて考えましょう。まずは離婚で必要な費用を算出し、相手からもらえるお金と自分で準備すべきお金について明らかにしましょう。

そのうえで子どもの親権を取るために必要なことや離婚後に住む場所、離婚後の仕事探しやその間子どもを預けられる場所について調査してください。子連れ離婚する場合は、子どもの年齢や状況に応じたタイミングですることも重要。ひとり親家庭向けの公的支援制度についても、どの制度が利用できるかチェックしましょう。

貯金がないがどうしても離婚したいという方は、弁護士に相談することをおすすめします。相手との交渉を任せられたり、調停や裁判の手続きを依頼できます。何より「離婚すること」にすべてのエネルギーを費やさずに済むので、子どもに心配りができたり仕事探しも不可能ではありません。

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