離婚したい男性必見!男性が離婚したい理由と離婚時にすべきこと、注意点とは?

離婚したい男性必見!男性が離婚したい理由と離婚時にすべきこと、注意点とは?
離婚したい男性必見!男性が離婚したい理由と離婚時にすべきこと、注意点とは?
  • 「男が離婚したいときに準備すべきことは?」
  • 「夫に離婚したいと言われた…理由が知りたい」

長年夫婦をやっていると、さまざまな理由から夫婦仲が悪化し、男性が離婚したいと思うこともあるでしょう。また逆に、妻の方から突然「離婚したい」といわれることもあるはずです。しかし中には「離婚は女性に有利、男性に不利」という話を聞き、離婚に不安を感じる人もいるのではないでしょうか。

そこでこちらの記事では、男性が離婚時にすべきことや妻が離婚に応じないときの対処法、注意点について詳しく解説していきます。妻に離婚を告げるときには、「なぜ自分は離婚したいのか」について考えることが重要。男性が離婚したいと思う心理や理由などを参考にして、自分の気持ちや離婚への意思を固めましょう。

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目次

離婚したいと考える男性心理や理由とは?

男性が離婚したいと思うのには、いくつかの理由や男性ならではの心理があります。

統計からみる男性の離婚したい理由

令和2年度の司法統計によると、婚姻関係の申し立てをした理由では、男性と女性で次のような違いがあります。

申立人の男女別 申立理由(男性) 申立理由(女性)
1位 性格が合わない 性格が合わない
2位 精神的に虐待する 生活費を渡さない
3位 異性関係 精神的に虐待する
4位 家族親族と折り合いが悪い 暴力をふるう
5位 浪費する 異性関係

男女とも最も多い理由が、「性格が合わない」となっています。価値観の不一致やすれ違いなど、夫婦のどちらが悪いとは言えない理由です。男性が訴える第2位の理由は妻側からの精神的虐待(モラハラ)、3位は妻の異性関係となっています。

女性側の理由に夫の暴力、いわゆるDVが4位に入っていますが、力の弱い女性からは精神的虐待が離婚理由として多いことが分かります。また嫁姑問題に代表されるような、男性側の親族と妻との折り合いが悪いことも理由の上位となっています。そして5位には、妻の浪費が入っています。

男性が離婚を決断するとき

上の司法統計は、あくまで裁判所に申し立てた人の理由です。日本では裁判所を通さずに、当人同士の話し合いのみで離婚に至る「協議離婚」が全体の9割を占めています。そこでこちらでは、協議離婚も含めた男性が離婚を決意する理由やきっかけについて紹介していきます。

価値観の違い

裁判所への申し立ての理由だけでなく、協議離婚で最も多い理由が、性格の不一致や価値観の違いです。そもそも結婚はこれまで別の家庭で育ってきた価値観の違う男女が、同じ家で家族として過ごすこと。価値観が違うのは当然のことなのですが、互いに譲れないモノがあったり、双方のすり合わせがうまくいかないと、いくら話し合っても平行線。また片方ばかりに譲歩を求めていると、次第に不満がたまる原因に。

互いのことが分かり合えないばかりか、一緒に居ることが苦痛になり次第に離婚を考えるようになります。離婚原因になりうる性格の不一致や価値観の違いには、次のようなことが当てはまります。

  • 感情の共有ができない
  • 金銭感覚が違う
  • 子どもの教育方針、育て方が合わない
  • 友だちや互いの親族との価値観の相違
  • 性の不一致(セックスレスなど)
  • 生活習慣や衛生観念の違い
  • 生活時間のすれ違い

性格の不一致で離婚する方法については、こちらの記事を参考にしましょう。

「性格の不一致で離婚する方法|気になる離婚条件や有利に離婚するポイントを解説」

他に好きな人ができた

妻以外の女性に心惹かれて実際に不倫関係になり、離婚を考えるようになる男性もいるでしょう。浮気として割り切る男性もいる一方で、不倫相手にのめり込んでしまう男性も多いもの。本当に好きになった人と人生をやり直したいと考え、妻に離婚を切りだす人もいます。

浮気相手の方が妻以上に自分を大切にしてくれると、「このまま結婚を続けるよりは幸せになれるかも」と考えます。また不倫相手の妊娠の責任を取って、妻との離婚を決意するという男性も。前項の司法統計を見ると、男女ともに異性関係が上位に来ています。このことからも異性関係と離婚とは、密接な関係があることが分かります。

夫が浮気したときの、賢い妻の対処法や再発防止法については、こちらの記事を参考にしてください。

「旦那が浮気⁉賢い妻ならどうすべき?後悔しない対応とNG行動、再発防止のためにできること」

妻側の浮気や不倫

妻側の浮気や不倫が原因で、離婚したいと思う男性もいます。令和2年の司法統計では、男性側の申し立て理由の第3位が、妻の異性関係となっており、妻側の浮気や不倫で離婚を考える人が多いことが分かっています。夫婦にとって相手の浮気や不倫は、夫婦間の信頼関係を根底から覆し、夫婦関係が破綻しうる重大な問題です。

夫婦には相互に「貞操義務」があります。貞操義務とは、夫婦以外の異性とは性交渉(不貞行為)してはならないという義務のこと。不貞行為は法律で定められた離婚理由、「法定離婚事由」の第一番目でもあるため、裁判で認められれば相手の同意がなくても離婚が可能です。

妻の浮気を見破るポイントや特徴については、こちらの記事を参考にしましょう。

「妻の浮気を見破る8つのポイント|夫の場合と違う浮気の特徴や分かったときの対処方法とは?」

愛情が感じられなくなった・コミュニケーション不足

妻からの愛情が感じられないと、離婚したいと思う男性がいます。とくに妊娠や出産を経験した女性は、優先順位が夫から子どもへと変わります。子どもが小さいうちは母親のケアが欠かせないため、ある意味当然のことなのですが、父親になり切れていない男性から見ると「子どもばかりで構ってくれない」と感じるようです。

共働きや子どもの世話などで夫婦ともに忙しい場合は、なかなか夫婦だけでコミュニケーションを取る時間が持てない家庭もあるでしょう。また家に帰っても妻がいつも不機嫌、話しかけても無視される、子どもの世話で話を聞いてくれないなどの不満を抱えている男性もいます。

このようなときに男性は家庭に居場所を見いだせず、孤独を感じて離婚を考えるようになります。さらにコミュニケーション不足が原因で家庭に安らぎを感じられないと、妻以外の女性に安らぎを求めてしまう可能性も。実際夫婦の会話時間が長ければ長いほど、双方が夫婦円満だと感じているという統計があります。

参照:夫婦の会話、理想と現実を明らかに!夫婦間に温度差あり!?|江崎グリコ株式会社

妻のモラハラ・精神的虐待

男性が離婚を考えるきっかけとして少なくないのが、妻からのモラハラや精神的虐待に耐えられなくなったようなケースです。中には実際に妻から暴力を振るわれ、このままではいられないと離婚を考える人も。珍しいケースではあるものの、妻からのモラハラが原因による離婚訴訟を起こし、実際に離婚が認められた事例もあります。

妻側からのモラハラや精神的虐待としてよくあるのが、次のような言動です。

  • 束縛が強い
  • 些細なことですぐにキレる
  • 怒るとヒステリックになる
  • 人格や性格、能力を否定する言葉を言われる
  • いつも不機嫌で何を考えているか分からない
  • 理不尽な待遇をされる
  • 怒るポイントが分からない
  • 稼ぎが少ないことに対する嫌味
  • 外見への暴言

妻のモラハラが日常的だと、夫は自分の言いたいことも言えず、いつ妻が起こるかも分からない恐怖にさらされます。家庭が安らぎの場でなくなることは当然のこと、子どもにとっても悪影響だと考えて、離婚を決意する男性も一定数います。

子どもへの責任が果たせたから

熟年離婚を決意する男性の中には、子どもへの責任が果たせたからという理由を述べる人もいます。前々から妻に不満があるものの、「子どもが成人するまでは、巣立つまでは」と離婚したい気持ちを封印している夫もいるでしょう。

しかし子どもが就職や結婚などにより親元から離れたタイミングで、「自分も離婚して新しい人生を歩みたい」と離婚を決意。子ども第一に考える男性が、このような離婚方法を取る傾向にあります。

男性が離婚時にすべきこと

スムーズに離婚するためには、離婚を切り出す前にさまざまなことを考える必要があります。場合によっては、証拠や資料を確保してから妻に切り出す必要があるため、感情だけで行動するのはNG。なるべく有利に、時間をかけずに離婚したいなら、次のような準備や心構えは必須です。

離婚したい理由を考える

第一に、「なぜ自分は離婚したいのか?」についてじっくり考えましょう。これは、離婚した後で自分自身が後悔しないために重要。もう一度夫婦としてやり直せないか考え、実践したうえで、それでもやっぱり離婚しかないという結論に至れば、離婚を後悔することもないはず。

また妻に離婚を切り出す上でも、離婚したい理由を固めるのは大切です。夫婦は双方の話し合いのみで離婚ができます(協議離婚)。協議離婚はその他の離婚方法(調停離婚・裁判離婚)よりも時間や費用をかけず離婚が可能。相手を説得する上でも、離婚したい理由を自分なりにキチンと説明できる必要があるでしょう。

離婚した方がいい夫婦の特徴については、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚したほうがいい夫婦の特徴|悩んだときのポイントと対処方法を知ってより良い道を選ぼう」

離婚理由がどちらにあるか

離婚理由がどちらにあるかも、しっかりと考えるべきでしょう。夫婦間の協議で離婚できなかった場合、裁判所での調停を経て裁判で離婚を認めてもらわなければなりません。離婚裁判では5つある「法定離婚事由」がないと、そもそも申し立てすらできません。

民法第770条では、法定離婚事由として次のように定めています。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

夫婦間に何かトラブルや問題、不満があって離婚を考えたときは、上の法定離婚事由に該当するかチェックしましょう。離婚原因が自分にある場合は、基本的に有責配偶者からの離婚請求は認められていません。離婚が認められる手段を講じたり長期間の別居を経る必要があるでしょう。

相手側に離婚原因がある場合は、裁判になったときに提出できる証拠を確保しなければなりません。また妻に慰謝料を請求する場合も、証拠が必要です。

性格の不一致で離婚したい場合

性格の不一致が原因で妻との離婚を考えているようなケースでは、裁判で離婚が認められる可能性は低いでしょう。性格の不一致以外に借金や浪費、モラハラや相当長期間の別居など「その他婚姻を継続し難い重大な事由」がないと、裁判で離婚が認められません。

離婚理由が性格の不一致だけの場合は、裁判に進む以前の協議や調停での離婚成立を目指すべきでしょう。そのためには自分なりに離婚したい理由をよく考え、夫婦関係を修復するための努力を怠らず、相手に離婚を認めさせるだけの根拠を持つことが重要です。

自分が有責配偶者だけど離婚したい

「自分に離婚原因や非があるけれども離婚したい」と思っている男性もいるでしょう。とくに新しい恋人と早く結婚したいから妻と離婚したいという方もいるはずです。このように自分が有責配偶者になっている場合、裁判で離婚が認められるのは相当高いハードルです。

とはいえ過去には有責配偶者でありながらも、裁判で離婚が認められたケースもあります。具体的には次のような要件がすべて満たせれば、離婚が認められる可能性があります。

  • 相当に長期間の別居
  • 夫婦間に未成熟の子がいない
  • 離婚により妻が精神的・社会的・経済的に過酷な状況に置かれる事情がない

長期間の別居は、夫婦の年齢や婚姻期間の長さによって変わってきますが、目安としては5年~10年前後は必要でしょう。また夫婦の間に、経済的に自立していない未成熟の子どもがいないことも要件の一つです。さらに離婚により妻が様々な面で過酷な状況に置かれないよう、経済的支援をはじめとする相当の支援が必要です。

「俺が離婚したいと言えば、妻は応じるしかないだろう」と安易に考えている男性がいるかもしれませんが、いざ裁判になったときに有責配偶者からの離婚請求は、簡単には認めてもらえないことを覚えておきましょう。

自分が浮気したけど離婚したいという人は、こちらの記事を参考にして離婚の可否や条件について知りましょう。

「自分が浮気したけど離婚したい…離婚の可否と認められる3つの条件&スムーズに離婚するポイント」

離婚のリスクやデメリットを考える

離婚した場合、男性にとってどのようなリスクやデメリットがあるか考えることも大切です。何をリスクやデメリットと考えるかは人それぞれですが、次のような内容が考えられるでしょう。

  • せっかく建てたマイホームが無駄になる
  • 子どもと離ればなれになる可能性
  • 家事の負担が増える
  • 1人なることの寂しさや孤独感
  • 世間体が悪い
  • 離婚による精神的ショック

自分にとってはどのようなことがリスクやデメリットになるのかよく考え、離婚した後に後悔しないようにしましょう。

離婚を迷っている人や、離婚を決断した理由を知りたいという人は、こちらの記事を参考にしてください。

「離婚を迷う人必見!迷う理由や離婚を決断した理由を知って、未来のために正しい行動を」

離婚原因となった証拠の確保

妻に不貞行為やモラハラがあった場合は、離婚原因となったこれらの証拠を確保してください。不貞行為を裁判で証明できる証拠は、以下の通りです。

  • ラブホテルに2人で出入りしている写真や動画
  • 性行為中の写真や動画
  • 探偵や興信所による調査報告書
  • ホテルの利用明細やクレジットカードの明細書
  • メールやSNSでのやり取り
  • 不貞行為を認める念書や録音
  • 不倫相手との通話履歴

写真や動画で証拠を残す場合は、誰と誰がいつどこにどのくらいの時間一緒に居たかが分かり、性交渉があったことを類推できなければなりません。ラブホテルの外で取った証拠では、2人の顔が分かり、ホテルに出入りしたことが分かる証拠が必要です。

妻のモラハラやDVで離婚を考えている方は、次のような証拠を確保しましょう。

  • ケガをした身体の写真
  • 暴れてぐちゃぐちゃになった部屋や壊れた家具、家の写真
  • ケガの診断書
  • 暴言の録音
  • 暴力の録画
  • 妻との通話履歴や留守電の録音
  • モラハラやDVがいつどこでどのように行われたかを記した日記やメモ
  • 警察や公的機関への通報履歴

妻に離婚を切り出すときは冷静に

いざ妻に離婚を切り出すときには、決して感情的になることなく努めて冷静を心がけましょう。離婚の話が出るということは、夫婦間で何かしらのトラブルがある訳で、双方が感情的になりがち。しかしそこで感情的になってしまっては、いつまでたっても話し合いが進んでいきません。まず本当に離婚しか道はないのか、修復の可能性がないのかを夫婦で冷静に話し合いましょう。

妻が離婚に応じてくれないときの対処法や早く離婚する方法については、こちらの記事を参考にしてください。

「妻が離婚してくれない。離婚に応じない理由と1日でも早く離婚するための方法」

妻の意見を真摯に聞く

妻の意見を真摯に聞くことも大切です。離婚協議は夫婦についての最後の話し合いです。妻の考えや思いにもしっかり耳を傾けて、夫婦として正面から向き合いましょう。

あなたが離婚を望んでおらず、妻から離婚を切り出された場合も、なぜ妻が離婚を考えるようになったか真剣に話を聞くべきでしょう。ここでしっかり話を聞くことなく、問題を先送りしてしまうと、さらに妻に離婚を決意させてしまう原因に。修復できるはずの関係でも修復不可能になってしまうため、慎重に対応しましょう。

離婚後の生活設計を立てる

離婚について考えたり協議するのと同時進行で、離婚後の生活設計についてもしっかり考えていきましょう。財産分与で自分の財産を半分妻に渡すことを考え、養育費を毎月支払うことを計算に入れながら、離婚後の生活にいくらかかるか計算してみましょう。

現在マイホームで生活している場合は、家をどうするのかやどちらが出ていくのかについても考えなければなりません。自分が家を出て新たに住まいを探す場合は、引っ越し費用や敷金礼金などの初期費用が必要です。毎月の家賃もかかるため、事前にしっかりと計画を立てておいてください。

妻が離婚に応じないときは…

いきなり妻に離婚を切り出して、あっさり離婚に応じるケースはごく稀です。とくに妻が専業主婦やパート勤めだったり、小さい子どもがいる、子どもの人数が多い場合には、そう簡単に妻は離婚に応じないでしょう。そこで離婚に応じてもらうためには、いくつかの対処方法が必要です。

離婚条件を譲歩する

離婚したくない妻から離婚の同意を得るには、離婚条件をかなり譲歩しなければならないでしょう。離婚を拒否する理由として、離婚条件に納得していないことがあげられるためです。妻に離婚に応じてもらうためには、妻が何を望んでいるか知る必要があります。

子どものことが心配という場合は、妻を親権者にして、離婚後も子どもを協力して育てるつもりだということを主張しましょう。金銭的な問題で離婚に躊躇している妻には、婚姻費用や財産分与、養育費などの上乗せで極力譲歩すべきでしょう。

場合によっては別居も検討

離婚条件を譲歩しても離婚の同意が得られないときには、別居も検討してください。長期間の別居はそれだけで夫婦関係の破たんを示す証拠となるからです。また別居は、本当に離婚すべきなのか考える上でも有効。互いに冷静になったうえで、やっぱり妻(夫)が必要だと思えば、別居を解消して婚姻を継続できる可能性も。

ただし別居をする場合は、次のようなことに注意しましょう。

別居期間1年で離婚できるか知りたいかたは、こちらの記事を参考にしてください。

「別居期間1年で離婚できる?長引く・認められないケースと早く離婚するポイント」

婚姻費用分担の義務がある

夫婦が別居する場合、通常は収入の多い側が少ない側に対して「婚姻費用」を分担しなければなりません。多くの夫婦で夫の方が収入が多いケースが多数のため、夫から妻への婚姻費用の支払い義務が発生します。婚姻費用は子どもの有無にかかわらず、夫婦双方の収入に応じた婚姻費用を支払う必要があります。

裁判所では「養育費・婚姻費用算定表」として、子どもの年齢や人数、夫婦の収入に応じた婚姻費用の相場金額を提示しています。まずは自分たちのケースでは、いくら婚姻費用が必要になるか調べてみましょう。

婚姻費用を支払わなくてもいいケース

ただし妻よりも収入が高いからといって、必ずしも相場通りに婚姻費用を分担する義務があるとは限りません。妻側に離婚の原因となる有責事項がある場合は、婚姻費用の減額や免除が認められる可能性があるからです。例えば妻の不貞行為が原因で別居に至ったようなケースで、自分が別居の原因を作った有責配偶者なのに、妻からの婚姻費用分担請求が相場通り認められてしまうと、社会正義に反します。

このようなケースでは、有責配偶者からの分担請求が認められなかったり、認められても相場以下となることがあります。

別居の長期化を避けるには

婚姻費用は別居が解消するか離婚が成立するまで払い続けなければならないので、別居が長引くほど支払う婚姻費用も増えます。そのため、別居の長期化を避けたいと考えるのも当然でしょう。別居の長期化を避けるには、離婚を成立させるのが一番。

離婚そのものに争いはなく、離婚条件で揉めているようなときには、先に離婚を成立させてしまうのも一つの方法です。また夫婦間の話し合いが進まないときには、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

離婚協議書を作成する

離婚条件の話し合いでまとまった内容は、離婚協議書にまとめて公正証書にすると、相手が離婚に応じる可能性が高まるでしょう。公正証書とは、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書のこと。公正証書にすることで証拠力を完全にし、法的強制力を強める効果があります。

また「認諾文言付き公正証書」にすることで、養育費など約束通りに支払わなかったときに、裁判所に申し立てることなく強制執行が可能になります。「きちんと約束通り払ってくれないのでは」というときの大きな安心材料になるはずです。

離婚時の条件の決め方

離婚時には、子どもやお金についての条件を決めなければなりません。こちらでは有利に交渉を進めるためのポイントや、注意点などを紹介していきます。

親権について

夫婦の間に未成年の子どもがいる場合、子どもの親権を決めない限り離婚することはできません。というのも離婚届けには親権者の記入が必要で、未記入のままでは届けが受理されないため。また親権者は一度決めるとその後の変更は大変難しいもの。「後で変更すればいいや」など離婚したいからといって、安易に決めないようにしましょう。

子どもが小さいほど母親が有利

子どもの親権を決める場合、最優先されるべきは「子の福祉」です。父と母のどちらが親権者になる方が、子どもの心身の成長にとって良いのかということが優先されます。子の福祉の観点からも、子どもが小さいほど母親の養育が欠かせないとして「母性優先の原則」という考えがあります。

日本の裁判所ではまだこの傾向が強く、とくに未就学児など年齢の低い子どもの親権を決める場合は、母親のもとで生活するのが原則ということで、依然として母親が有利になります。父親が未就学児の親権を獲得するのはかなり難しいということです。

親権獲得のためには弁護士に相談

とはいえ、母親の側に子どもの養育にふさわしくない事情がある場合や、子どもにとって父親と暮らす方が相応しい場合には、必ずしも母親が有利になるとは限りません。父親でも、子どもをしっかりと監護養育できる環境にあるということを証明できれば、親権が認められる可能性があります。

ただ裁判所で交渉する場合、自分だけで主張するよりも、弁護士に依頼した方が、より本気度を示せます。またどのような点をアピールすべきかポイントを押さえられ、母親に対してプレッシャーをかけることもできます。本気で子どもの親権を獲得したいという方は、離婚問題に詳しい弁護士の協力が欠かせません。

父親が親権を取れる確率や重視されるポイントなどについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「父親が親権を取れる確率は?重視されるポイント・親権獲得のためにすべきことを解説」

養育費について

子どもの親権を持たない方の親は、子どもが大きくなるまで養育費を支払う義務があります。離婚時には養育費の金額はもちろんのこと、支払方法や支払い期間についてもしっかりと取り決めをしておきましょう。

支払期間は、子供が成人するまでや大学を卒業するまでなど、状況に応じてフレキシブルに決めることができます。

双方の収入、子どもの状況に応じて決定

養育費の金額は、婚姻費用と同様に裁判所に算定表に基づいて算出できます。子どもの人数と年齢によって該当する表を選択し、養育費を支払う義務がある人(義務者)と受け取る権利がある人(権利者)の年収によって算出。それぞれが自営か会社員かによっても、金額が変動します。また子どもがその上の大学院に行きたい場合や、留学を希望する場合など、スポット的に養育費を支払うよう取り決めすることも可能です。養育費は子どものために必要なお金です。配偶者に対してどんな感情を持っていたとしても、キチンと支払うべきお金だということを忘れずに。

これまで通り支払えないときは減額も可能

やむを得ない事情でこれまで通り養育費の支払いができなくなった場合には、減額することも可能です。家庭裁判所に「養育費減額請求の申立て」をして認められれば、養育費を減額できます。くれぐれも勝手に減額したり支払いをストップしたりしないように気を付けましょう。

養育費の減額が認められるには、離婚後に状況が変化したことを証明しなければなりません。具体的には次のような事情があれば、減額が認められる可能性が高いでしょう。

  • やむを得ない事情による収入の大幅な減少
  • 義務者の再婚により扶養家族が増えた場合
  • 権利者の再婚により子どもと再婚相手が養子縁組した場合
  • 権利者の収入が大幅に増加した場合
  • 合意した養育費が不当に高額だった場合

養育費算定表が高すぎると感じた方や、減額方法が知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「養育費の新算定表が高すぎる…改定の理由と従来との変更点、支払えないときの減額方法とは?」

面会交流について

親権が持てない側の親には、定期的に子どもと会う「面会交流」を求める権利があります。相手方が面会に応じないときには、家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てることも可能です。面会交流についても、離婚前にしっかりと話し合って決めておくことが重要です。

事前に決めるべき内容

面会交流については、事前にさまざまなことを決めていた方が、後のトラブルを防げます。具体的には次のような項目について決めるといいでしょう。

  • 頻度や回数(一カ月に〇回・週に〇回など)
  • 日時(曜日・時間など)
  • 面会場所
  • 連絡方法
  • 宿泊を伴うかどうか
  • 子どもの引き渡し方法(引き渡しの場所や時間など)
  • 監護親の立ち合いの有無
  • 第三者の立ち合いの有無
  • 祖父母の立ち合いの有無
  • プレゼントやお小遣いの頻度や金額
  • 学校行事への参加の有無
  • 対面以外の交流方法

決めた内容は合意書などを作成し双方が保管するようにすると、後のトラブルを防げます。

最優先すべきは「子の福祉」

面会交流は親の権利とはいえ、あくまでも最優先されるべきなのは子どもの福祉です。子どもにとって大きな負担になるような条件(毎日会う・週に3回面会させるなど)は認められにくいので気を付けましょう。おおよその目安としては月1回、1回につき数時間程度の面会方法が認められやすいです。

面会交流は養育費との交換条件ではありませんが、円滑に面会交流を続けるためにも、養育費はキチンと支払うようにしましょう。

財産分与について

30代以上夫婦の離婚の場合、婚姻期間が長くなるにつれて財産分与の問題が生じてきます。財産分与とは婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚時に夫婦それぞれに分ける手続きのこと。分与対象となる財産の種類は、次の通りです。

  • 預貯金
  • 有価証券
  • 不動産
  • 自動車
  • 生命保険・個人年金
  • 退職金
  • ゴルフ会員権
  • 結婚後に購入した家具や家電

1/2ずつが原則

財産分与は原則として、1/2ずつ分けることになっています。かつては専業主婦の財産分与割合は、財産総額の3割程度でした。しかし専業主婦といえども、家事や育児を一手に引き受けていたことで、夫が仕事に専念できたという考えが主流になり、今の5割程度にまでアップしました。

分与対象となる財産は、結婚期間中に築いた共有の財産です。夫名義の不動産であっても、結婚中に得た財産なら分与対象です。ただし結婚前から有していた財産や、自分の親などの第三者から贈与を受けた財産は夫婦の協力によって得られた財産ではないため(特有財産)、分与対象には当たりません。

妻名義の財産を調査

財産分与を正確に行うには、妻名義の共有財産についても調べる必要があります。共有財産でありながら、片方がそれを隠していると、分与時に平等に分けることができません。もちろん結婚前からの財産や、親からの相続分は分与の対象外となりますが、それ以外の共有財産については、妻に開示するよう要求するだけでなく、自身でもできる限り調査するようにしましょう。

また子ども名義の預貯金も、場合によっては財産分与の対象となる可能性があります。このような子供名義の財産を含め、妻名義の財産の中身についても確認が必要です。

財産分与に関する弁護士費用については、こちらの記事を参考にしましょう。

「財産分与に関する弁護士費用|内訳別相場や変動する要素、安くする秘訣を解説」

年金分割について

婚姻期間中に厚生年金に加入していた方は、離婚時に年金分割についても協議しなければなりません。年金分割には3号分割と合意分割の二種類があり。それぞれ対象となる人や条件が異なります。

年金分割の種類 詳細
3号分割 婚姻期間中に厚生年金や共済年金に加入していた場合に、国民年金の第三号被保険者であった妻からの請求により、被保険者期間(婚姻期間)における相手方の厚生年金記録に基づいて、当事者間で1/2ずつ分割できる制度

当事者間の同意の必要がなく、離婚後に所定の手続きを行えば将来受け取る年金を分割できる

合意分割 婚姻期間中に厚生年金や共済年金に加入していた場合、双方もしくは一方からの請求により、婚姻期間中に支払った年金相当額を分割できる制度

こちらは当事者の同意又は裁判手続きで按分割合を定める必要がある

いずれの分割方法も、離婚した日の翌日から2年以内に請求しなければならないので気を付けましょう。

ローン返済中の持ち家

ローン返済中の持ち家がある場合、財産分与はより複雑になります。不動産は現金や預貯金のように簡単に半分に分けることができないためです。またローンという負債をどのように分配するかも決めなければなりません。夫名義のローン返済中の持ち家を財産分与する場合、次のような方法があります。

売却して現金化する アンダーローンの場合:売却したお金でローンを返済し、残ったお金を分配する

オーバーローンの場合:売却したお金でローンを返済、残債は財産分与で相殺する

夫が離婚後も住む アンダーローンの場合:不動産の時価からローン残高を差し引き、残った分を別の形で分与する

オーバーローンの場合:不動産の時価~ローン残高を差し引いた負債分は、夫婦双方で返済を続けることになる

妻が離婚後も住む 妻に収入がある場合は、住宅ローンの借り換えと名義変更が必要

妻に収入がない場合は夫がローンを支払い続けながら妻が住む

夫のローン返済が滞ると、住宅を差し押さえられる可能性がある

不動産の評価は離婚時の時価で計算します。そしてローン残高と家の評価額を比較して、評価額の方が高いアンダーローンと、ローン残高の方が高いオーバーローンでは、分与の方法も変わってきます。

慰謝料請求について

離婚の原因によっては、妻に慰謝料を請求できることがあります。

不貞の証拠があれば可能

不貞行為など、妻に明らかな不法行為があった場合、離婚時に慰謝料を請求できます。そのためには証拠の確保が欠かせず、慰謝料の金額は相場の範囲内になります。詳しい慰謝料の金額や請求方法については、離婚問題に詳しい弁護士に相談してください。

モラハラやDVでは難しい

妻のモラハラやDVで離婚を決意した場合、離婚時に慰謝料を請求しても認められるのは難しいでしょう。そもそもモラハラは一つの行動や言葉だけではモラハラと認められにくく、証拠が取りにくいのが理由です。また妻からのDVがあった場合でも、男性の方が力が強いのだから、妻からの暴力は我慢できるのでは?となかなか慰謝料請求を認めてもらえない現状があります。

離婚慰謝料の相場が知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「離婚慰謝料の相場が知りたい!離婚理由や婚姻期間による相場・金額をアップさせるポイントを解説」

離婚したい男性が注意すべきポイント

男性が離婚したいと考えたとき、次に紹介するようなポイントに注意が必要です。

一方的な別居はNG

いくら妻が離婚に応じず話し合いにならないからといって、一方的に家を出て別居することは避けるべきです。一方的な別居は、夫婦は同居して協力して生活すべきという「夫婦同居義務違反」に該当する可能性が高いため。たとえ妻の方に離婚に至る原因があっても、勝手に別居してしまうとあなたが有責配偶者とみなされます。離婚までにさらに時間がかかるのはもちろんのこと、慰謝料を請求される恐れも。同様に妻に「今すぐ家から出ていけ」というのもNGです。

妻が子どもを連れて別居すると親権が不利に

妻が子どもを連れて別居すると、たとえ合意のもとの別居でも親権争いに不利になります。親権者を決める場合「継続性の原則」があるためです。子どもの現在の生活状況に特別な問題がなければ、現状子どもを世話している側の親を親権者として優先するという考えがあります。

妻が子どもを連れて家を出て、離婚までに妻が子どもと問題なく生活できていたという実績があれば、子どもにとっては今の状態を維持した方がいいと判断され、妻が親権者になる可能性が一層高まります。どうしても子どもの親権を欲しい場合は、極力子どもと別に暮らすことは避けましょう。

養育費の支払いは拒否できない

養育費の支払いは、基本的に拒否できません。妻が一方的に離婚理由を作った側であっても、それと子どもの養育費とは関係ありません。妻の浮気が原因での離婚であっても、妻が親権者になった場合は、相場通りの養育費を支払っていく義務があります。

住宅ローンと婚姻費用について

離婚前に別居になり、夫が住宅ローン返済中の家を出ていくこともあるでしょう。このような場合、夫は自分が住んでいない家のローンを支払い続けることになります。同時に夫の方が収入が多い場合、妻に婚姻費用も支払うなります。

このようなケースでは、ローン返済の負担は、婚姻費用算定において婚姻費用の一部と考えて金額を調整することもあります。ただし住宅ローンの返済は、資産形成という意味合いもあるため、返済額全額が婚姻費用として認められるとは限りません。どちらかが家を出て賃貸に住む場合は、住居費が二重にかかることになります。その点をよく考えて、別居するべきかどうかを判断しましょう。

有利に交渉を進めるには弁護士に相談

離婚交渉を有利に進めたいなら、なるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。とくに養育費や財産分与では、自分で交渉したために、本来よりも多くの財産を妻に取られてしまったり、相場よりも多い養育費金額で合意させられたというケースも。

また住宅ローン返済中のマイホームがある場合は不動産の精査が必要になり、自分が有責の場合はなるべく不利にならない方法で離婚すべきでしょう。このようなときでもその人の状況にあったアドバイスが受けられます。弁護士に支払う費用が不安という方は、法テラスの利用や無料相談を実施している弁護士事務所を検討してみましょう。

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まとめ

男性が離婚したい理由は性格の不一致や妻の異性関係、精神的虐待などさまざま。他にも妻に愛情を感じられなくなったときや、自分に好きな人ができたときも離婚を考えるようです。妻に離婚を切り出す前には、離婚したい理由や離婚のデメリット、どちらに離婚原因があるかよく考えてからにしましょう。

また子どもの親権や養育費、財産分与や慰謝料など、離婚条件についても決めなければなりません。妻がなかなか離婚に応じないときは、離婚条件の譲歩や別居、離婚協議書の作成などを検討しましょう。

ただし一方的な別居や養育費の支払い拒否はNGです。親権が欲しいなら、子どもと極力生活を共にしてください。そしてなるべくスムーズに有利に離婚するには。弁護士に相談するのがベスト。それぞれの状況に応じた適切なアドバイスが得られ、相手との交渉も任せられます。まずは無料相談に行き、離婚の可否や離婚条件について相談してみましょう。

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