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妻や夫が違法薬物を使っていると分かったとき、この先夫婦としてやっていけるか心配になる方は多いのではないでしょうか。違法な薬物でなくても、アルコールや煙草の問題で離婚を考えている人もいるかもしれません。そこでこちらの記事では、薬物やアルコールの使用・依存で離婚問題が生じやすい理由について詳しく解説していきます。
さらには薬物やアルコールがやめられない配偶者と離婚した方がいいか、スムーズに離婚する方法についても紹介していきます。「もしかして夫や妻が…」という方はもちろん、「もう依存症の相手を支えきれない」という方も参考にしてください。
薬物使用・依存と離婚問題
配偶者の薬物使用や薬物依存は、離婚をはじめとする夫婦間トラブルに発展しやすい問題です。こちらでは離婚問題になりやすい薬物の種類やとともに薬物を使用してしまう背景について詳しく解説していきます。
離婚理由になりやすい薬物とは
まずは離婚問題になりやすい薬物について見ていきましょう。
アルコール
アルコールは、依存症になりやすい薬物の一つです。平成28年の調査によると、男性の33.0%、女性の8.6%に習慣飲酒があるという結果に。習慣飲酒とは週3日以上、1日当たり日本酒換算で1合(純アルコール量約20g)以上を摂取している状態です。
とくに男女とも40~50代に、危険な飲酒(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上)をしている割合が多いことが分かっています。習慣飲酒はアルコール依存症の入り口になるだけでなく、生活習慣病などの病気のリスクも高めます。配偶者の飲酒量が増えたり飲酒がやめられないことによって、次のようなトラブルに悩まされる可能性があるでしょう。
- お酒を飲むと攻撃的な行動や暴力、暴言が出る
- 自己中心的な行動をする
- 酒運転などの反社会的行動のリスク
- 妄想や妄言に基づいた行動が生じる
- 仕事に行かなくなる
- 家事や育児をしなくなる
- 酒代が家計を圧迫する
- 身体を壊してしまう
- 子どもへの悪影響
アルコール依存症の相手と離婚する方法については、こちらの記事を参考にしてください。
「アルコール依存症の相手と離婚したい!離婚の可否やスムーズに離婚方法、ポイントなどを徹底解説」
煙草(ニコチン)
煙草を吸う家族がいる場合には「止めて欲しいのに止めてくれない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。煙草に含まるニコチンは合法的に手に入るものの、依存性のある薬物です。神経が興奮しているときには鎮静効果があり、作用時間が短いことで反復使用に陥りやすい特徴があります。
夫婦間の煙草に関するトラブルでは、喫煙マナーを守ってくれない、部屋が汚れる、禁煙したと言っていたのに隠れて吸っているなどが原因で夫婦げんかに発展することも。とくに小さな子どもがいる家庭では、子どもへの「受動喫煙」をはじめとする健康被害が気になります。子どもへの影響が深刻なときには、離婚を考えるようになってもおかしくありません。
タバコを止めない夫と離婚をお考えの方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「夫がタバコをやめない!タバコを理由に離婚や慰謝料請求はできる?」
薬の過剰摂取
医療目的で使用される睡眠薬や抗不安剤を、本来の使用量を超えて過剰摂取(オーバードーズ)することでも、夫婦の危機に陥りやすいです。また処方薬だけでなく、咳止め薬や風邪薬、鎮痛剤といった市販薬の乱用も最近増加傾向にあります。
薬の過剰摂取を止められないというケースでは、メンタルヘルスの問題や依存性が根底にある場合が多く、これによって家庭が崩壊する可能性が高まります。薬の購入費用で家計が圧迫され、「薬を止めさせなければ」と過度に関わることで、支える側も精神的にストレスを抱えてしまいます。
シンナーやガス
塗料の希釈などに使われるシンナー、ガスボンベやライターのガスの過剰摂取にも依存性があります。強い麻酔作用によって急に怒りっぽくなったり無気力状態に陥り、意思疎通が難しくなることも。依存症が進行すると幻覚や妄想、幻聴といった症状が出やすくなります。
慢性的な依存症に移行すると、家庭内暴力や仕事の怠慢などにより、家庭生活を維持するのが困難に。精神や臓器への毒性が高く、使用する本人の健康被害も懸念されます。
違法薬物
覚せい剤や大麻、合成麻薬などのいわゆる違法薬物を配偶者が使っていて、離婚を考えているという人もいるでしょう。このような違法薬物は、配偶者にさえ内緒にして使っている人も少なくありません。そのため、まずは配偶者がどのような薬物を所持・使用しているのかを確認し、その上で適切な対処をしていきましょう。
こちらは主な違法薬物の種類です。違法薬物の売買の場面では、隠語でやり取りをしている可能性が高いため、あらかじめ覚えておきましょう。
| 覚せい剤 |
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| 大麻(マリファナ) |
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| ヘロイン | モルヒネから合成された薬物で鼻からの吸引・あぶり・注射などで摂取する
麻薬性や依存性が極めて高く、多幸感が得られる一方で倦怠感や悪心、嘔吐などの症状が出る 短期間の使用でも離脱症状が出やすい 主な隠語は「ペー」「チャイナホワイト」「ジャンク」「白物(しろもん)」 |
| コカイン |
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| 合成麻薬
危険度ドラッグ |
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薬物に依存してしまう理由
配偶者が薬物を使用・依存してしまうのには様々な理由が考えられます。こちらでは離婚を考えるまでに薬物にのめり込んでしまう理由をご紹介します。
ストレス解消のため
薬物に依存してしまう理由の一つは、ストレス解消のため。社会生活をしていると、会社や家庭、人間関係などで様々なストレスにさらされます。ストレスを感じるのはある意味「正常な状態」といえますが、そのストレスを解消するために薬物を使用してしまう人もいます。
薬物を摂取すれば一時的に快感を得たり現実逃避ができるので、気軽なストレス解消法として取り入れてしまう人もいます。しかし合法的に手に入れられる薬物であっても、長期間使用し続けることで薬物依存を引き起こしてしまう恐れがあります。
好奇心・興味から
薬物の危険性を十分に理解しないままに「どんな気分になるか試したい」と好奇心や興味本位で手を出す人もいます。とくに20~30代の若年層に多く「友達に誘われて」「彼氏・彼女が使っていたから」といった理由で使い始める人も。しかし依存性の強い薬物は、たった1回の使用でも後戻りできなくなる恐れがあります。
現実逃避のため
不安な将来や辛い現実から逃れるために、薬物に手を出す人もいるでしょう。また抱えている生きづらさや憂うつ、苦痛から一時的にでも逃れたいという理由から、薬物を使ってしまう場合も。薬物を使うことで自分自身の問題や現実から目を背けられるため、薬物依存に陥ってしまうケースが多いです。
間違った情報から
「元気が出る」「痩せられる」「スッキリする」といった宣伝文句や、「大麻は依存性がないから」という誤った情報によって、危険な薬物とは知らずに手を出してしまう人もいます。違法な薬物と知らずに摂取してしまうと、心身に影響があるだけでなく、最悪の場合は死に至る可能性も。
配偶者が間違った情報を信じて薬物を摂取している可能性があるときにはすぐに止めさせ、公的機関や専門の医療機関に相談してください。
薬物・アルコールが離婚問題になりやすい理由
上で紹介した薬物やアルコールが離婚問題になりやすいのは、次のような理由からです。
人格の変化
薬物の使用や乱用によって配偶者の人格が変化したことで、夫婦間のコミュニケーションに支障が生じて離婚を考える人もいます。使用する薬物の種類にもよりますが、薬物の乱用で次のような人格の変化が生じる可能性があります。
- 気分の浮き沈みが激しくなる
- 急に怒り出す・暴力的になる
- 自己中心的になる
- 無気力・意欲の低下
- 人との接触を避けるようになる
- 家に引きこもる
- 感情が平たん化する・表情が乏しくなる
- 幻覚・幻聴・妄想が定着する
不安な気持ちやストレスから逃れるために薬物を使うようになった人は、薬物を使っていない状態では抑うつや不安が強くなることで社交性が低下します。しかし薬物を使っているときには感情が高ぶったり気が大きくなったりして、反社会的な行動を取ることも。
このような人格の変化は、家族や仕事、周囲の人間関係に悪影響を及ぼす恐れがあります。
DV夫と離婚する手順や相談先は、こちらの記事を参考にして下さい。
「DV夫と離婚したい…早く安全に離婚するための手順・相談先・気になるポイントを徹底解説」
精神疾患が隠れている可能性
薬物使用で離婚問題になっているときには、背景に精神疾患が隠れている可能性があります。とくに違法でない薬の過剰摂取では、うつ病や不安障害、双極性障害で処方される薬を服用されている方も少なくありません。この場合は、薬物の過剰摂取を止めさせると同時に、精神的な病気の治療も必要です。
また自殺願望から薬物の過剰摂取を止められない人もいます。配偶者の精神的な問題は、夫婦関係だけでなく子どもへの影響も大きくなります。専門の医療機関と連携しつつ、治療で精神疾患から回復する可能性があるかについても確認していきましょう。
うつ病で離婚する場合に慰謝料が発生するかについて詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。
「うつ病で離婚するときに慰謝料は発生する?状況別の相場や請求方法、条件を解説」
逮捕される可能性
配偶者が違法薬物を使っていると、それが見つかって逮捕される可能性が出てきます。違法薬物の場合は初犯でも逮捕される可能性が高く、実刑判決を受けると刑務所に収監されます。仕事は辞めざるを得ず、前科のついた親がいることで、子どもの将来への影響も懸念されます。
とくに過去に薬物使用で逮捕歴がある場合の再犯率は非常に高く、覚せい剤取締法違反の再犯率は令和4年度で67.7%です。配偶者が過去に薬物使用で逮捕されたことがある場合は、更生を期待するよりも離婚を検討した方がいいのかもしれません。
参考:再乱用防止対策事業(麻薬・覚醒剤等対策事業)|厚生労働省
子どもへの影響
アルコール依存症や違法薬物を使用している親がいる子どもは、成長過程や大人になってからの人格形成に少なくない影響が出ます。妊娠中や授乳中の薬物使用は、胎児や乳児に直接的な影響を及ぼします。また不適切な養育状況によって、子どもの健康管理や栄養状態がおろそかになることも。
薬物の影響で親の気分や行動が不安定になると、子どもも情緒不安定になりやすいです。また薬物を使用した父親が母親に暴力・暴言を振るう現場を目撃してしまうと、子どもはトラウマや生きづらさを抱える「アダルトチルドレン」として人格形成に次のような影響が出ます。
- 自己肯定感の低下
- 自尊心の欠如
- 感情表現が苦手
- 完璧主義
- 自分を責める施行
- 人間関係を回避しがち
- 人や物に依存しやすい
- 依存症・うつ病・不安障害などの精神疾患にかかりやすい
子どものために離婚は…という方は、こちらの記事を参考にしながら後悔しない選択をしていきましょう。
「『子どものために離婚しない』は本当?離婚の判断基準や子どもの本音を知って後悔しない生き方を」
金銭的な理由から
配偶者の薬物使用により定職につけない、仕事をすぐやめる、生活費を持ち出す、借金するといった状況が続くと、経済的な理由から離婚を考えるようになります。「金の切れ目が縁の切れ目」ではありませんが、平穏な結婚生活を継続させるには、ある程度の経済力が必須です。子どもの将来を考えて、離婚を決意する方も少なくありません。
夫婦の信頼関係を損なう原因になる
配偶者がアルコールや薬物を止められないことで、夫婦の信頼関係を損なう原因になります。とくに依存症と呼ばれる状態になっていると、嘘をついてまで購入するお金を欲しがる、もう止めるという約束を破るといったことが日常的に。信じていたのに裏切られ、それが何度も繰り返されると夫婦の信頼関係は損なわれて当然です。
薬物使用・依存の配偶者と離婚できる?
では薬物やアルコールを使用・依存している配偶者と離婚することはできるのでしょうか。こちらでは離婚の可否や必要な要件について解説していきます。
夫婦の合意があれば離婚が可能
夫婦の話し合いによって双方が離婚に合意すれば、協議離婚が可能です。夫婦で署名捺印した離婚届を役所に提出してそれが受理されれば、離婚が成立します。日本の9割以上の夫婦が選択する一般的な離婚方法なので、まずは協議離婚を目指していきましょう。
未成年の子どもがいる場合には、子どもの親権者を決めないと離婚届が受理されません。協議離婚では財産分与や慰謝料などの条件を決めなくても離婚可能ですが、後のトラブルを防ぐためにもなるべく離婚前に取り決めをしておきましょう。
夫が離婚に応じない理由や対処法、離婚手順については、こちらの記事を参考にしてください。
「夫が離婚してくれない…応じない8の理由と同意を得る方法とは?離婚手順も詳しく解説」
離婚調停で合意を目指す
配偶者に離婚を切り出しても応じてもらえないときには、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて、調停の場で離婚の話し合いを行います。親権や養育費など、離婚条件で揉めているときも、調停利用して離婚交渉を進められます。
調停委員を介した協議で話し合いがまとまれば、その内容を「調停調書」にまとめたうえで離婚が成立します。調停調書は法的拘束力があるため、養育費など相手が不払いをしたらすぐに給与や預貯金を差し押さえられます。
離婚調停の具体的な流れ、弁護士に依頼したほうがよいケースについては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
「離婚調停は弁護士なしで対応できる?依頼したほうがよいケースとメリット・デメリット」
離婚裁判では法定離婚事由が必要
離婚調停が不調(不成立)に終わった場合、離婚裁判に移行します。離婚裁判では、民法第770条に規定されている「法定離婚事由」がないと離婚が認められないのが通常です。
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
引用:民法|e-GOV法令検索
配偶者の薬物使用や依存が原因で離婚を希望するときには、どの事由に該当するか確認してください。
「回復の見込みがない強度の精神病」には該当しない
配偶者が薬物依存の場合、上の4番目の「回復の見込みがない強度の精神病」に該当するのでは?と考える人もいます。しかし過去の判例から見ると薬物中毒や薬物依存は回復可能と考えられているため、4番目の要件で離婚するのは難しいでしょう。
薬物による逮捕歴は離婚理由にならない
配偶者が違法薬物の使用で逮捕・起訴された前科がある場合、それを理由に離婚できないかという方もいるかもしれません。しかし配偶者に薬物の前科があるだけでは、離婚理由になりません。前科が殺人や強制性交といった社会的に非難が多い犯罪に限り、離婚が認められる可能性があります。
とはいえ、薬物で何度も逮捕されたり懲役刑になったりして配偶者として多大な迷惑を被り、それによって夫婦仲が悪化した場合には、5番目の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚できる可能性があります。
「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかがポイント
薬物使用・依存の配偶者と離婚する場合は、5番目の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかがポイントです。薬物使用により次のような状況にある場合は、裁判で離婚が認められるでしょう。
- 薬物中毒の夫から日常的に暴力を振るわれる
- 同じ家に住んでいるが家庭内別居状態が続いて何年も会話していない
- 薬物使用が原因で夫婦のコミュニケーションが取れず、お互いに夫婦としてやり直す意思が亡くなっている
- 別居が長期間続き、夫婦としてのやり取りや交流が全くない
「悪意の遺棄」による離婚の可能性
薬物摂取やアルコール依存が原因で離婚を考えたとき、法定離婚事由の2番目「悪意の遺棄」が認められると離婚できる可能性があります。悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦の同居・協力・扶助義務を履行しないことをいいます。具体的には次のような行為が、悪意の遺棄に当てはまります。
- 昼間からお酒を飲んで家事や育児をしない
- 薬物依存で仕事ができずに収入が途絶えた
- 給料をすべてお酒につぎ込んで生活費を渡してくれない
- 家でお酒が飲めないからと黙って家を出て何日も帰ってこない
- 「酒を出さないなら出ていけ」と家を追い出される
悪意の遺棄で離婚する要件について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
「悪意の遺棄での離婚|認められる条件と必要な証拠、スムーズに離婚するためのポイントとは」
離婚原因の証拠を確保する
薬物やアルコールがやめられない相手と離婚するには、離婚原因となった問題行動の証拠を確保しましょう。相手が暴力を振るった場合は、怪我や被害の様子が分かる写真、医師の診断書などが証拠になります。また生活費を使い込んでいるときには、家計簿や通帳、カードの利用明細が証拠となります。
薬物・アルコールの問題にプラスして異性問題もあるときには、浮気や不倫の証拠も確保しましょう。これらの証拠は離婚時に必要なだけでなく、慰謝料を請求する場合にも必要です。別居後は証拠を取りにくくなるため、なるべく別居前に証拠を確保してください。
「依存症」と診断されると離婚が難しくなる
配偶者が依存症かもと思い、医療機関を受診して「アルコール依存」や「薬物依存」、その他の精神疾患だと診断されると、離婚が難しくなる可能性があります。夫婦には互いに助け合わなければならないという「相互扶助義務」があり、夫婦の一方が依存症という病気で扶助が必要になったときには、もう一方がそれを助けなければならないという義務があるためです。
単に依存症というだけでは離婚が認められない可能性があるものの、DVや悪意の遺棄など、婚姻生活が破綻している具体的な証拠があれば、離婚が認められる場合があります。
離婚を納得させる言葉が知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「離婚を夫や妻に納得させる9つの言葉|拒否する理由や心理学的交渉術を知ってスムーズな離婚を」
薬物・アルコールが理由で離婚する場合の離婚条件について
配偶者の薬物やアルコールの問題で離婚を決めたときには、離婚条件についても同時に検討してください。具体的には次のような離婚条件についてです。
慰謝料
単に依存症というだけでは慰謝料を請求できませんが、それに派生したDVや不倫問題、悪意の遺棄があるときには、離婚時に慰謝料を請求できるかもしれません。慰謝料は相手の不法行為によって生じた精神的苦痛に対する損害賠償です。不法行為が証拠によって認められれば、慰謝料請求が可能です。
離婚理由ごとの慰謝料相場は、以下の通りです。
| 不貞行為(浮気・不倫) | 100万円~300万円 |
| DV・モラハラ | 50万円~300万円 |
| 悪意の遺棄 | 50万円~300万円 |
| その他婚姻を継続し難い重大な事由 | 100万円~300万円 |
その他にも次のような要素で、慰謝料相場が変動します。
- 未成熟の子どもの有無・人数
- 婚姻期間の長さ
- 支払う側の年収・社会的地位
- 離婚の方法
離婚慰謝料の相場や金額をアップさせるポイントは、こちらの記事を参考にしてください。
「離婚慰謝料の相場が知りたい!離婚理由や婚姻期間による相場・金額をアップさせるポイントを解説」
子どもの親権
未成熟の子どもがいる場合には、離婚時に親権者を父母のどちらにするか決めなければなりません。薬物やアルコールの問題を抱えている側が親権を希望しない場合はいいのですが、希望している場合は子どもに悪い影響がないか、子どもを養育するのにふさわしいかの判断が必要です。
一般的に子どもの年齢が低いほど母親の存在が欠かせないとして、親権者の判断に有利になります。しかし薬物やアルコール依存の母親に親権を渡したくないという場合には、次のような証拠を確保したうえで、親権者としてふさわしくないことを主張していきましょう。
- 子どもの前で泥酔・薬物摂取していることが分かる写真や動画
- 子どもを虐待していることが分かる写真や動画
- 子どもがけがをしている写真・カルテ・診断書
- 保育園や学校など第三者の証言
父親が親権を取れる確率やポイントについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「父親が親権を取れる確率は?重視されるポイント・親権獲得のためにすべきことを解説」
養育費
夫が薬物やアルコール依存で、子どもの養育費を払ってもらえるのか心配になる人もいるでしょう。いくら依存症であったとしても、親としての義務は果たさなければならないのが原則です。しかし養育費の支払いをするだけの充分な収入がない場合には、現実的に養育費を支払ってもらうことは不可能です。
例えば働けずに入院している場合や生活保護を受けている場合、刑務所に収監されている場合などです。相手が薬物やアルコール依存の場合には、養育費を支払えるだけの収入を確保できるかもポイントとなります。
養育費を強制執行するメリットについて詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。
「養育費を強制執行する・されるデメリットとは?強制執行の基礎知識とデメリット回避方法」
面会交流
親権を持たない側の親(非監護親)は、離婚後も定期的に子どもと会う権利があります。それが「面会交流権」です。しかし薬物使用の疑いのあるときやアルコール依存で面会中に飲酒する可能性があるとき、精神疾患があり子どもの安全管理ができないときには、子どもの生命に危険を及ぼす可能性があると判断されて、面会交流が制限される可能性があります。
医療機関を受診して治療を受けている段階でも、短時間・監視付きの面会からスタートし、徐々に面会時間を増やすなど段階的に進めていくといいでしょう。
依存症の相手との面会交流を拒否したいとお考えの方は、こちらの記事を参考にしてください。
「面会交流を拒否したい!子供に会わせないことの違法性と対処法を解説!」
薬物依存の配偶者と離婚すべきか迷ったら…
薬物依存やアルコール依存のある相手と離婚しようか迷ったときには、次のような方法で自分の気持ちや状況を整理していきましょう。
医療機関を受診してもらう
相手に完全に薬物やアルコールを止めて欲しいときには、依存症専門の医療機関を受診して治療してもらえないか話し合ってください。「このままの状態が続けば離婚を考えている」ということを伝えたうえで、本気になって依存症と立ち向かってもらう必要があります。
もし相手が治療を受けることに承諾したら、治療を助けることで、離婚せず夫婦生活を継続できるかもしれません。とはいえ依存症治療は、専門の医療機関で長期にわたって行われるのが一般的。克服するのは大変困難で、愛情だけで解決できません。離婚せずに相手の病気と向き合っていく覚悟があるのか、慎重に考えたうえで結論を出しましょう。
離婚の話し合いは「シラフ」のとき
相手に離婚を切り出すのは、必ず「シラフ」のときにしましょう。薬物やアルコールを摂取している状態で話をしても、真剣に取り合ってくれないだけでなく、覚えていない可能性があるからです。話し合いの場では薬物やアルコールを離婚したい理由にするのではなく、家族との向き合い方や信頼関係に問題が生じていることを伝えるといいでしょう。
相手が離婚したくないというときには「キッパリとやめるから離婚したくない」と言われるかもしれません。しかしラストチャンスを与えるかどうかはよく考えたうえで、結論を出しましょう。
離婚を納得させる言葉が知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「離婚を夫や妻に納得させる9つの言葉|拒否する理由や心理学的交渉術を知ってスムーズな離婚を」
暴力・暴言があったら逃げる
お酒を飲んで暴れたり、薬物を買うお金欲しさに暴言があるようなときには、速やかに相手の元から逃げてください。毎日のように相手から暴力や暴言を行けていると、心身に大きな傷ができてしまいます。正常な判断能力ができなくなるだけでなく、ストレスから精神疾患になってしまう可能性も。
まずは自分と子どもの身の安全を第一に考えて、実家や保護施設など身を寄せられる場所に行きましょう。
DV夫と離婚する手順や相談先は、こちらの記事を参考にして下さい。
「DV夫と離婚したい…早く安全に離婚するための手順・相談先・気になるポイントを徹底解説」
別居を検討する
相手との離婚を悩んでいるときや、相手が離婚に応じないときには、別居を検討しましょう。物理的に相手と距離を置くことで、冷静になって夫婦関係を考えられるようになります。また別居期間が長期に及んで夫婦らしい交流が全くないときには、それ自体で夫婦関係が破綻しているとみなされて離婚できる可能性があります。
しかし暴力やDVなどやむを得ない事情があるとき以外は、必ず別居の理由を伝えてから家を出るようにしてください。黙って家を出てしまうと、あなたの方が悪意の遺棄とみなされる恐れがあります。
別居に必要な準備や注意点については、こちらの記事を参考にしましょう。
「別居に必要な準備をシチュエーション別に解説!別居に関する注意点とは?」
第三者を入れて交渉する
夫婦だけでの話し合いが難しいときには、第三者を間に入れて交渉してください。ただしどちらかの親族や知人など、片方に肩入れする可能性が高い場合は、かえって話し合いがまとまれなくなる可能性があります。第三者を選ぶときには、双方に利害関係のない人にしましょう。
弁護士に相談
夫婦だけでの話し合いができない、裁判で離婚が認められるか分からなというときには、離婚問題に詳しい弁護士に相談してください。法律に詳しくない人が、薬物やアルコールの問題がある相手と離婚の話し合いをするのは大変困難です。またより有利な条件で離婚したいというときにも、弁護士に依頼するのがおすすめ。
依存症は「否認の病気」というように、自分が依存症だという自覚を持てません。そのため、薬物やアルコールを理由に離婚を切り出しても、それに応じてくれない人も少なくありません。スムーズに離婚するためにも、専門家に依頼するといいでしょう。
まとめ
薬物やアルコールを止めない配偶者と離婚するには、双方が合意すれば協議離婚が可能です。しかし裁判にまで発展したときには、配偶者の行為が「法定離婚事由」に当たるかがポイントに。DVや不貞行為、悪意の遺棄などの証拠を確保したうえで、裁判に臨みましょう。
離婚時には慰謝料や子どもの親権、養育費などの離婚条件についても検討します。相手が依存症の場合は、金銭面の請求が可能かや、子どもと会わせることによる影響についても考えてください。離婚を迷ったときには、離婚を切り出した後の相手の反応やその後の変化を予想しながら、ボーダーラインを決めておくといいでしょう。
薬物やアルコールの問題を抱えた相手と離婚するときには、専門家の協力が必要です。より有利に、よりスムーズに離婚するためにも、弁護士の存在は大きな助けになるはずです。